ナデシコ2次小説
寒い逆行
お日様がさんさんと照りつける火星の草原。
彼等は今日も平和だった。
優しい歌声が周囲に響き、
草の上で大の字になる男とその腕を枕にする少女、
草に正座する女とその膝を枕に眠る少女。
・・ほのぼのを絵に描いたような情景である。
「懐かしーな、この歌。」
「え?」
大の字のままアキトは呟いた。
その言葉に反応し、首を横に向ける腕枕のルリ。
「死んじまった俺とあいつの母さんが、俺達にここでよく歌ってくれた歌だ。」
「優しい歌・・ですね。」
「あのユリカが歌う側に回るとはな・・。
時間が経つのは早いもんだ。」
「時間・・と言えば、”あれ”からもう4年、経ちますね。
私にとって悪夢の始まったあの日から。」
「安心しろ。もう俺達は君・・いや、君たちを置いていきはしない。」
「はい。その言葉、信じます。」
アキトのその言葉にルリはくすっと微笑んだ。
「・・ん?」
突然周囲が暗くなり始め、辺りに響いていた歌声も止まる。
太陽に雲がかかってきたのだ。
「アキト、一雨来そうだよ。」
「そだな。帰るか。」
アキトはCC2つを取り出し、片一方をユリカに投げると
上半身を起こした。
「ラピスはそのままにしといてやれ。
リラックスしてる方が跳びやすい。ルリちゃんは俺が跳ばす。」
「はい。」
4人の身体が光りだした。
ボース粒子反応が増大する。
「「ジャン・・」」
カッ!!!
その時だった。
天のつるぎが轟きながら草原に振りかざされた。
つるぎは2つの光の石に刺さったまま、ボソンの光に包まれていった。
・・後には雨で濡れた草原だけが残っていた。
−−−
「よっと。」
「到着。」
「確か雷、落ちましたよね?よく生きてますよ。」
「ふぁ・・。うるさくて起きちゃった。」
CCのおかげか、
稲妻による生命の紛失は免れた御一行。
目的地のアパートに到着である。
・・しかしアパートの様子が少し変だ。
その事に気付くのにそう時間はかからなかった。
なんたって自分の家だし。
「あれ?そのタンス、こっちに模様替えしなかったっけ?」
ユリカのこの言葉をきっかけにいろいろ不審な事項が挙げられていく。
「畳、替える前みたいだな。」
「タンスの中に私の服、ないよ?」
「それどころか電話とテレビすらありません。」
「カレンダーの日付も違う。」
「「「ええ!?」」」
そのラピスの一言を聞いた三人が
顔色を変え、電子カレンダーを覗き込む
日付を見た三人の顔色は最悪の物と化した。
「マジかよ・・。」
「ホントみたい。」
「今から泣きたくなってきました。」
「???」
その日付は・・・
−2199年6月18日−
「「「(やっちまったああああああああ!!!!???)」」」
頭に手を当てた状態で心の中で絶叫する三人に、一人首をかしげるラピス。
「どしたの?凶日か何か?」
いろいろあるのよラピちゃん。
−−−
あとがき
続きます。(たぶん。)
逆百合みたく”次回予告オチ”は無しです。(たぶん。)
やめたらもったいないです。(たぶん)
”あんな情況”から”ここ”に跳ぶSSは見た事ないですから。(たぶん。)
・・でもあくまで”たぶん”です!(キッパリ!)
代理人の感想
ふと思いついてペスさんの「あとがき」にツールの機能で置換を掛けてみる。
使用前 続きます。(たぶん。) |
┃ |
使用後 続きます。(絶対。) |
・・・・この感想・・・・戯れているっ!(自爆)
追伸
ちなみに2199年6月18日というのはアキトとユリカのハネムーン・・・つまり「あの日」です。