機動戦艦ナデシコ
ever day
第6話
午前7時
「ふぁーあ。よく寝たなぁ」
昨夜はベッドに入ると、余程疲れてたのかすぐに寝てしまった。
しかし、そのおかげで今朝はすこぶる調子がいい。
それにしても、服を着替えないでそのまま寝てしまうなんて、俺って結構ズボラだな。
と、軽く苦笑する。
着替えようかと思ったが、昨日風呂に入っていないことを思い出し、バスルームに向かうことにした。
ついでにシャワーでも浴びようとして。
洗面所に入ると、バスルームからシャワーの音が聞こえる。
どうやら誰か先客がいるようだ。
俺以外でシャワーを使うことが出来るのは1人しかいない。
考えなくても分かるアリスだ。
「おーい、アリスかぁー?」
だけど、一応声を掛けてみることにした。
「あ、はい」
やっぱり。
でもこれじゃ、シャワー使えないじゃん。
俺としては一緒でも構わないんだが、向こうがそれを許すとは思えないしなぁ。
でも、ものは試しと言うし。
一息つくと、俺は声を張り上げた。
「おーい、俺も一緒に入っていいか「ダメです」い?」
早ッ!
俺が全部言い終わる前に答えたぞ?
「・・・・・・・・・・・・・けち」
ま、シャワーはひとまず置いておくことにして、これからどうしようか?
今日は食堂に挨拶に行かないといけないから、あんまりのんびりとしてられないんだよな。
しばし考え込む俺。
そして、
「・・・・・・・・・・・・・・・!」
そういえば昨日から何も食べてないよな、俺?
今の内に朝飯でも買いに行ってこようかな?
うん。そうしよう。
急いで洗面所を出て、自分の荷物に歩み寄る。
ガサガサ
バッグの中から財布を探す。
確かこの辺に・・・・・あった。あった。
俺は財布を握りしめドアに向かった。
プシュー
外に出てみると、朝早いということもあってか艦内はシーンと静まり返っている。
自販機は・・・・こっちか。
前回の記憶を頼りに歩き始めた。
その途中、俺はある思いに耽る。
それにしても・・・、あいつ幽霊みたいなものだって言ってたのに。
シャワーまで浴びるのかよ。
これじゃ、光熱費が倍掛かっちゃうじゃん(汗)
しっかりと請求した方がいいかな?
でも、どう見ても金なんて持ってなさそうだしな・・・。
どうするべぇ等と、考えながら歩いていると、やがて自販機が見えてきた。
それに加え1人の少女の姿も。
藤色の髪を二つに分けた女の子といえば、このナデシコ艦内で1人しかいない。
どうやら彼女も朝食を買いに来たみたいだな。
俺は彼女に歩み寄り、
「よっ、ルリちゃん。おはようさん」
明るく声を掛ける。
彼女も俺に気が付き、
「ええと、確か・・・・・テンカワさん、でしたよね?」
と、俺に返事をした。
そういえば、この頃はまだ俺のことを知らないんだよな。
未来の彼女の姿を知っている俺は、少し寂しさを覚える。
ま、当たり前といえば当たり前なんだけどさ。
だけど、そんなことは顔に露ほどにも出さず、
「そうだよ。ルリちゃんも朝ご飯買いに来たの?」
「はい。テンカワさんもですか?」
「うん。食堂はまだ開いてないし、お腹減っちゃったからね」
彼女の手の中には、もうすでにハンバーガーの包みがあった。
「ルリちゃんは何を買ったの?」
「私ですか?明太バーガーですけど」
「め、明太バーガー!?それっておいしいの?」(汗)
「はい」
うーむ。俺にはよくわからん。
マシンチャイルドって味覚も特殊なのかな?
でも、前回はちゃんと俺の料理をおいしいって食べてくれてたし・・・。
本当はおいしいのかな?
でも、明太子とハンバーガーって・・・やっぱ無理があるだろ(汗)
なーんてなことを考えていると、
「じゃあ、私はこれで」
いつの間にかドリンクも手にした彼女が、そう言い残し去っていった。
「ルリちゃん・・・・・」
俺はそっと呟く。
必要最小限しか返さない言葉。
まるっきり他者と接するような態度。
分かっているつもりだったが、ここが俺の元いた世界と違うということを、改めて見せつけられた気がした・・・・・。
とにかく今は飯だ!飯だ!
彼女のことはひとまず忘れよう。
俺は頭を振って、自販機に向かい直る。
何にしよう?ここは無難にノーマルハンバーガーかな?でも、フランクバーガーも捨てがたいよな。
「うーん」
アリスは飯、食べるのかな?
シャワーを浴びるくらいだから飯を食べてもおかしくはなさそうだけど、な。
どうなんだろ?
「・・・・・・・・・・・・」
決めた。
ノーマルを2つと、フランクを2つ買うことにする。
俺1人だけの量だ。
どうせあいつは居候なんだし、俺がそこまで気を使う必要はないよなぁ。
なんせ家主は俺なんだから。
後、適当にドリンクを買い、俺は部屋へと戻った。
プシュー
「お帰りなさい」
朝食を仕入れてきた俺をアリスが出迎えてくれた。
服装こそ今までと変わらないが、髪をアップにまとめている。
いかにも湯上がりといった感じだ。
ほんのりと赤くなった顔がやけに可愛く見えた。
「あ、ああ。ただいま」
その大きな瞳で見つめられて、思わずどもってしまう。
いかん、いかん。平常心、平常心。
「どこに行ってたんですか?」
「ああ。ちょっと朝ご飯を買いにね」
「そうなんですか」
そして俺達は机を挟み座った。
買ってきた物を机に置き、早速包みを開いてハンバーガーを食べようとする。
「いただきます」←俺
「いただきます」←アリス
・・・・・・・・・・・・・はぁっ!?
「ちょ、ちょっと待ていっ!!」
慌ててアリスにストップを掛ける。
「何ですか?」
「何ですかじゃねー!なんで俺の飯食べようとしてんだよ!?」
「食べたかったから」
しれっと言うアリス。
なるほど。・・・・・・・・・・・・じゃなくて!!
「食べたかったら自分で買いに行けばいいだろ!?」
「お金持ってません」
うむ。納得。
「・・・・・・・・・・・・・ってそういう問題じゃないだろぉ!?」
「もう。さっきから何です?」
俺が絡んでくることに、げんなりとした表情を見せる彼女。
ハンバーガーの一つや二つ、何みみっちいこと言ってんだよ?とでも言いたげな顔だ。
しかし俺もそうそう引くことはできない。
前回でお金の大切さは身に染みてわかっている。
それに今は手持ちが残り僅かだし。
給料はまだ当分先だろうから、これだけで何とかやりくりしなくちゃならない。
下手に給料の前借りなんかすると、金利をいくら取られるやら。
「とにかく返しなさい」
ハンバーガーをアリスから取り戻そうとすると、
「ヤです」
自分の後ろに隠してしまった。
くっ、こいつ。腹立つな。
「あのな。これは俺が買ってきたんだぞ!?だから俺の物なの!!」
「いいじゃないですか!ハンバーガーの3つや4つ!!」
「それって全部じゃねーか!!」
この女・・・、まさか全部食べようとしてたのか!?
俺に戦慄が走る。
いくら俺でもここまで図々しくはなれんぞ。
とにかく、このままじゃ埒があかない。
気を静めて彼女に話し掛けた。
「仮に、だ。食べるとしても俺が買ってきた物なんだから、俺に対し何か言うことがあるだろ?」
「だから言ったじゃないですか。いただきますって。」
「・・・・・言った?」
俺は眉をひそめる。
・・・・・・・・まさか、さっきのがそうか?
てっきり食べる前の挨拶だとばかり思っていたら、俺に対しても言っていたとは・・・。
さりげなく「いただきます」と「いただきます」を掛けるなんて普通じゃあないな。
俺は身体から嫌な汗が出るのを止められなかった。
「お前・・・・・何者だ?」
「クスッ・・・・・・・・人間・・・ですよ?ちょっと普通じゃないですけどね?」
「・・・・・・・・・ちょっと?・・・・・・・・どこがだよ」
お互い視線を外さない。
先に目を逸らした方の負けだ!←何が?
何分か均衡状態が続き、俺はスッと目を逸らした。
「あー、もう。分かったよ!!」
俺は両手を上げ降参のポーズを取る。
その瞬間アリスがしてやったりの顔を覗かせた。
「半分やるよ!」
どう見ても相手は引きそうにないからな。
それに今日から仕事が始まるし。
いつまでもこんなことで時間を取られるわけにはいかない。
さっさと済ませ、支度しなくっちゃ。
しかし、辛酸を嘗める思いだ。
奴はそんな俺にお構いなく悠々と食べ始める。
くそっ。この借りは兆倍にして返してもらうからな!!
俺達はしばらくの間、黙々と食べ続けた。
一段落ついたところでアリスが話し掛けてくる。
「ところで、今日はどうします?」
「ん?そうだな・・・。まずは食堂に挨拶に行かないと。今日が仕事始めだし」
「それはいいんですけど・・・。ムネタケさんはどうするんですか?」
「ムネタケ?・・・・・・・・・・・ああ、そんなのあったっけなぁ」
そういえば軍の連中がナデシコを拿捕しようとするんだっけ。
すっかり忘れてた。
俺としては、ホウメイガールズのみんなにどう自己紹介をしようかそればっかり考えてたし。
ま、それに比べたら些細なことだよな。ナデシコの拿捕なんてことは。
そんなことより自己紹介どうしよう?
やはりオーソドックスにいくのが無難かな。
でも、インパクトあるやつの方がいいかも。
それともここは、ウケ狙いか?
いやいや。それはリスクが高すぎる。
・・・・・・でもなぁ、ハイリスク・ハイリターンとも言うしなぁ。
うーむ。・・・・・・・・・決まらん。
「なぁ。どれがいいと思う?」
「え?何がですか?」
「俺の自己紹介の内容」
「はぁ・・・・・・・何を考えてたんだか」
アリスがジト目で俺を見る。
むぅ。失礼な!
「自己紹介は大事だぞ!職場での人間関係を円滑にしていくためにも、第1印象をおろそかにしてはいかんのだ!!」
拳を上げて熱弁する俺。
そんな俺に彼女は呆れ顔だ。
「・・・・・まぁ。自己紹介は分かりましたから。艦内に潜伏している軍人さん達はどうします?」
「あん?別に俺がどうこうする必要はないんじゃないか?誰かが処理してくれると思うし」
「・・・・・他人事だと思ってません?」
「思ってる」
俺はすぐさま切り返す。
だってなぁ。実際他人事だしなぁ・・・。
と、何気に時計を見る。
すると、
はっ、いかん!時間がぁ!!
既に7時30分を回っていた。
このままでは遅刻してしまうではないか!
食堂が開くのは8時からだ。
当然この時間には俺も行かなくてはならない。
食堂に顔を出す前に、速攻でシャワーを浴びなくては!
彼女たちと接する時には、清潔感を出したいからな。
「じゃ、アリス。シャワー浴びてくるから後よろしく」
そう言い残すと、急いで洗面所に駆け込んだ。
後ろでアリスが何か言ってたようだが、そんなのは無視だ。
パパパッと服を脱ぎバスルームに入る。
シャー
ちょっと熱めの湯が体に心地いい。
ふぅ。気持ちええ。
本当ならゆっくりと湯船に浸かりたいところだが、今そんな時間は無い。
それは今日の夜にでも満喫するとして、さっさと身体を洗わなくちゃ。
ゴシゴシと、念入りに隅から隅まで洗う。
それが終わったら次は頭だ。
そして、最後にシャワーを頭から浴びる。
ふー・・・・・・・・・・ま、こんなものかな。
時間にして10分弱くらいだ。
バスルームから出て体を拭いていると、
ピンポーン
来客を告げるインターホンが鳴った。
あん?誰だよ、こんな朝から?
応対しようにも今は何も着てないからな。さすがに無理があるだろ。
「おーい、アリス。頼むよぉ」
俺がそう声を掛けると、
「無理です。私は普通の人には見えません。」
と言ってくる。
ああ、そういえばそうだったな。
すっかり失念してた。
しょうがないな。俺が出るしかないのか。
「ちょっと待ってくださーい」
ドア越しに声を掛け、俺は手早く体を拭く。
しかしその間にもインターホンは止まらない。
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、
「だから少し待ってよぉ」
身体にタオルを巻き付け着替えを取りに部屋に戻った。
一応、部屋には女の子がいるからな。
いくら俺でもそれくらいの分別はつく。
さすがにモロ出しはまずいだろ。
バッグの中から新しいパンツを出して履こうとした時、
プシュー
扉が開いた。
「へ?」
履こうとした体勢のまま凍りつく俺。
一方その闖入者は、
「そういえば私って艦長さんなんだから、マスターキーを持ってるんだった」
と言いながら入ってきた人物は、間違いなくナデシコの艦長さんなわけで・・・・。
そして、入り口で俺と目と目が合う。
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・?」
「※§〆#*†@§!!!!」
もうなんちゅーか、筆舌に尽くしがたい悲鳴を上げてくれました。
いやー、相変わらずユリカさんは凄いですぅ♪
そのあまりの声量に俺は意識を保つことが出来ませんでした・・・・・・。
「アキトだって男の子なんだから今回の浮気は大目に見て上げます」
気がついた時、俺は部屋でユリカとテーブル越しに向かい合っていた。
何気にお茶まで用意してある。
??何で?
それに何よりも驚いたのは、俺がしっかりとナデシコの制服を着込んでいたことだった。
もしかして小人さんがやってくれたのかな?
それともユリカが?
ははっ、まさかな・・・・(汗)
この頃のユリカにそんなことは出来るとは思えないが・・・・・。
・・・・・でもなぁ。こいつは俺の知ってるユリカじゃないんだよなぁ。
絶対とは言い切れないし、一応確認しておいた方がいいかな?
「な、なぁ。ユリカ・・・・」
恐る恐る声を掛けてみると、
「嬉しい!私のことユリカって呼んでくれて。火星じゃいつも私のことを「ユリカ、ユリカ」って追いかけて!」
・・・・・・・・・・あの、姉さん。
昨日確かユリカって呼んだと思うんすけど・・・・・?(汗)
あんたわざとやってないかい?前回の通りに。
もしかして彼女も逆行者とか?
・・・・・・・・・・・・・・・・なわけねーよな。
もしそうなら、とっくに俺に正体を明かしてると思うし。
「でも、嬉しいな。アキトとまた会えるなんて。地球にはいつ来たの?」
「・・・・・・よく言うよ」
何気なく答えた言葉。
しかしそれは前回を準えたものだった。
はっ!思わず俺もユリカにつられてしまう!?
「え?」
きょとんとした表情を見せる彼女。
むぅ。ちょっといいかも(はぁと)
こういうふとした時に覗かせる顔がまたいいんだよな。
思わず「ユーリカちゅわーんっ!!」と飛び掛かりそうになってしまった。
しかし、
ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ、
と、腕のコミュニケのアラームが鳴り響く。
それによって俺は、なんとか思い留まることが出来た。
げっ、7時50分!?
開店まで後10分しかないやん!
このままでは遅刻してしまう。
初日から遅刻じゃ心証が悪いよな。
「ユリカ、続きは今度だ。俺は今から食堂に行かなくちゃ」
「ほぇ?何で?」
「あのなぁ。俺はコックだぞ。当然職場は食堂だろ?」
「あっ、そっか」
「ということで、またな」
強引に話を打ち切り、部屋からユリカを追い立てる。
そして俺は食堂に向かって歩き始めた。
「・・・・・・・・・・・・・なぁ」
「ん?何、アキト?」
「・・・・・・・・・どこまで付いて来る気だ?」
部屋を出てからずっと、ユリカは俺に付いて来ている。
「アキトがお世話になるところだもん。ユリカが恋人として挨拶しなくちゃ♪」
「・・・・・・・・・・・・・・・マジか?」
「うん、マジ♪」
うがぁあああっ!!まずいっすよ、それは。
せっかくこんなナイスガイでイケメンな俺とはいえ、そんな捏造をでっちあげられたら、ホウメイガールズのみんなから見向きもされなくなるだろう。
それだけは何としてでも避けなくては!
そう。あらゆる手段を駆使しても!!
「ほ、ほらユリカは艦長なんだから、艦橋にいないとまずいんでないかい?」
「ううん。平気だよ。ジュン君がいてくれるもん」
ぐっ。見事な切り返しだ。
自分の目的のためなら平気で他者を贄とするなんて・・・、侮り難しミスマル・ユリカ!!
「で、でもさ。ジュンだけじゃ色々と問題があるんじゃないかと・・・」
「平気だよ。ジュン君頭いいもん」
「くっ・・・・・・・・・お、俺さユリカが仕事してる姿が一番好きなんだ。ブリッジで凛々しく立っている時のユリカが一番好きなんだよ」
「・・・・・・え?本当?」
「ああ、本当さ。だからブリッジに戻って・・・・・・・」
「やっぱり、・・・・・・・・・・・・・ユリカが一番好きだなんて。・・・・・・・・もうアキトったら」(はぁと)
うりんうりんと身悶えするミスマル・ユリカ、20歳。
時々忘れがちだが、彼女は俺より年上だ。
「へ?あのユリカさん?」
「わかってる。アキトの気持ちはぜーんぶね」(はぁと)
「そ、そう?なら早くブリッジに戻って・・・・・・・・」
「いつがいいかな?」
「な、何が?」
「私達の結婚式」
「は?」
「あ、それはまだ気が早いかもね。まずは2人で愛を育まなくちゃ(はぁと)。正式にお付き合いするってお父様にも報告した方がいいし」
「な、な・・・・」
俺は驚いて声も出ない。
「恋人同士なんだから一緒の部屋で暮らしてもいいよね。それで・・・・・・・・・きゃっ、もうアキトったらエッチなんだから♪私達まだそういうことは早いと思うの。でもでも、アキトだったら・・・・・・・・・でへでへ」
ニヤニヤと締まりない笑顔を浮かべるユリカ。
よく見ると涎までも垂れている。
・・・・・・・・・・・・・100年の恋も冷めるとはよく言ったものだ。
相手を憎からず思っていたとしても、目の前でトリップされてみろ。
普通は引くよな。しかも激しく。
しかし・・・・・な、何故こんなことに!!
俺が何したっていうんだぁ!?
結局、俺の言葉は届いてなかったのね・・・(涙)
と、とにかく。ユリカを食堂に連れていくのだけは何とか阻止しなくては!
ここは一つ、あの話をするしかないか・・・。
「ユリカ」
俺は厳かに話し始めた。
「・・・ダメだよぅ。そんなとこ触っちゃ♪・・・・・・あ、ダメだったら・・・」
「俺の父さんと母さんは殺されたんだ・・・・・・」
「あ、あん♪・・・・・・アキト・・・」
「あの日、お前を見送りに行った空港でテロが起きたんだ。そして、父さん達はそれに巻き込まれたんだ・・・・」
「・・・・・・いや・・・そんなところ嘗めないで・・・・」
「俺は真実が知りたい。何で父さん達が死ななくてはならなかったのか・・・・」
「・・・・・・・・・お願い・・・・・・・アキ・・・・ト・・・・・」
「真相次第ではお前も殺・・・・・・・・・って聞けよ!!?」
さすがはユリカさんだ。
これでもかこれでもかえいえい、と言うほどに俺の話なんぞ聞いちゃあいない(涙)
自分の世界を満喫中だ。
ビシッ
「いった〜い」
ユリカの頭にチョップをかます。
トリップ中だった彼女を何とか現実に引き戻した。
「いいか、最初から言うぞ?」
「うん」
「実は・・・・・・・・・・・・・・・・・」
俺はもう一度さっきと同じことを繰り返す。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・と言うわけで俺は本当のことを知りたい」
「あきと・・・・・」
ユリカは目をうるうるさせている。
「真相次第ではお前も殺す。・・・・・・殺すかもしれない」
「!・・・・・・・・そんな殺すだなんて・・・」
ユリカはまたもやトリップに入ろうとしている。
が、とりあえず放っておけばいいだろう。
この話の後にユリカには通信が入るはずだからな。
俺はトリップ中の彼女をその場に残し、食堂に向かって走り始めたのだった。
続く
後書き
こんにちは、ぽてとです。
ちょっと間が空いちゃいましたね。
なかなか納得のいくものが書けなくて四苦八苦しました。
書く意欲はあるのですが、それが形になるかどうかは別なんですよねぇ(しみじみ)
前回まで1週間あたりでアップしてたので、今回もそのつもりでしたが仕上げることが出来ませんでした。
1週間くらい経つと焦りました。そろそろ仕上げなくては、と。
ですが、ある時からま、気にしないという風に思えてしまったんですね。
開き直りとも言うのですが(笑)
そうなると恐いもので、別に書かなくてもいいや、という風に思考が発展してしまったんです。
焦りから解き放たれた開放感(笑)とでもいうのでしょうか?
他にもたくさん面白い作品がアップされているので、私が書く必要はないんじゃないか?と思えてしまったんです(汗)
ですが、やっぱりそれではいけないと思い頑張りました。
更新ペースって怖いですよね。
読む専門だった時は分からなかったのですが、書き手にまわって初めてその怖さが分かりました。
作品を1本生み出すにはとてつもない労力が掛かるんですねぇ(しみじみ)
途中で力尽きている人がこのアクションに何人もいますが、他人事じゃないですよ。
私もその仲間入りしそうになったのですから(汗)
少しずつですが、感想を頂けるようになって嬉しい限りです。
ジゴロと化したアキト君が思いの外、好評だったようで。
私はあんまり意識してなかったんですけどね(笑)
でも、「面白い」と言われるのはとっても嬉しいです。
嬉しいですけど、同時にとっても恥ずかしかったです。
本当に読んでくれているんだなぁーとか思うと、赤面してしまい穴があったら入りたい心境に駆られました(笑)
モチベーションの出ない時とかは、頂いたメールを何度も何度も読み直してます。
感想掲示板、メールのどちらでも構わないんで感想をお待ちしています。
どうかお気軽にお気軽に。
次回は第7話です。
次こそは食堂デビューを飾ります。
ホウメイガールズの設定等について、空明美さんの五花ファイルをお借りしました。
このファイルの設定にテレビや小説などのメディア、私自身が持っている印象などを併せたいと思ってます。
空明美さん、ありがとうございました。
次はいつ出せるのか自分でもわかりませんが、なるべく早く仕上げるようにします。
それでは、またお会いしましょう。
代理人の感想
なんて図々しい同居人でしょう(笑)。
「働かざるもの食うべからず」という格言を知らないのでしょうか!?
それはさておき。
この話のユリカって原作よりグレードアップしてません?
例えて言うならIE5.5からIE6.0くらいに(核爆)。
まぁ、アキトも変な具合にグレードアップしてるので丁度いいっちゃあ丁度いいんですが(ナニが)。
>後書き
あいたたたたたたたたたたた。