交錯する時の流れ

 

 

第四話その四

 

 

 

 テンカワの優勢は誰が見ても明らかだった。

 防戦に入っている北辰に対し決定打を与えることは出来ないものの、それでも徐々に追い詰めている。

 攻撃の余波が他のパイロットを危険にさらすこともなく、

 モニターでは今まさに漆黒のアルストロメリアが夜天光を追い詰めているところだ。

 

 正直に言って俺も含めたみんなはかなり拍子抜けしている。

 テンカワが負けるとは思っていなかったが、ここまで何もないのも予想外だ。

 

「スバルさん、テンカワのほうがもうすぐ終わりそうだ。そのままの状況を維持してくれ」

 

『わかってるって』

 

 パイロットの方にも余裕が見られる。

 つい先ほど一時撤退していたイズミさんとヒカル君が復帰したからだ。

 損傷は外装部に集中しており、フレームの一部を予備に変換すればいいだけだったらしい。

 

 今のところは六連の残り四体をスバルさん・アリサ君・イツキが担当し、

 南雲の相手をアサミちゃん&零夜ちゃんが担当。

 それまでなにかと邪魔してきたモドキたちはヒカル君とイズミさんが迎え撃っている。

 

 故に周りのモドキ――南雲が言うにはジンタイプ改――はこっちにとって牽制以外の役には立ってない。

 射撃能力は相変わらず、

 近接戦闘に関しても六連に及ばない彼らはたぶんフルバーストを封じるために配置されたのだろう。

 六連の夜天光とイツキ達のエステバリスの実力はノーマルモードで拮抗しているようだ。

 だからさっきのヤマダみたいにフルバーストを使えば間違いなく勝てる。

 しかし使ってしまって動けなくなったところなら、モドキでも十分撃墜することができるからな。

 

「ハーリー君。残りの敵戦力は?」

 

「無人兵器の他には夜天光強化型が1、夜天光通常型が4、モドキが21です。

 あ! いえ、モドキの残りは20になりました」

 

 報告にもさっきまでの緊張は見受けられない。というよりも楽しそうだ。

 これは別にだらけている、と言う訳ではなくパイロットを信頼してる・・・のだと思う。

 

「さすがは最強のナデシコ部隊・・・と言う事でしょうかね」

 

 隣でさっきまで難しい顔をしていたアララギ少佐もすっかり観戦モード。

 そしてその横の提督は・・・・・・

 

「・・・・・・シュン提督?」

 

 険しい顔をしていた。

 その視線はサブモニター――テンカワの戦闘シーンに向けられている。

 

「ジュン。アキトの様子がおかしい」

 

 言われてサブモニターに注意を移すが、特に変わりは無いように思う。

 見たところかんなづきの外装の一部に背をつくような形で追い詰められた夜天光が、

 何とかテンカワの攻撃を回避したところのようだ。

 

 さっきまでと同じ。

 追い詰めて、回避され、少量のダメージを与える。

 

 違うところと言えば、とうとうテンカワのDFSが夜天光の左手を切り落としたことだろう。

 つまりさらに有利になったと言えるはず。提督は何を気にしているんだ?

 

「提督、テンカワなら大丈夫ですよ。現にさらに追い詰めてるみたいだし」

 

「見てみろ。さっきから動きが止まっている。

 アキトの奴が敵に背中を見せるなんておかしいと思わないか?」

 

「そういえば・・・・・・ハーリー君、テンカワ機に通信を繋いでくれ」

 

「はい!」

 

 提督の言う通りだ。

 テンカワは穴をあけたかんなづきの外壁に向いたままであり、その後ろに北辰が浮かんでいる。

 だが隙だらけなのに北辰は攻撃の素振りも見せていない。

 

 

 ピッ!!

 

 

『・・・・・・辰!! これが貴様の狙いか!?』

 

『左様。そしてこれこそ我が生体跳躍を使えた理由なり』

 

 なにやら緊迫している。

 ジャンプを使えた理由? 一体2人は何をしてるんだ?

 

「ハーリー君、状況がわからないか? この角度だとよく見えないんだが・・・・・・」

 

「は、はい! ちょっと待ってください・・・・・・こ、これは!!」

 

 驚愕を隠すことなく表すハリ君にブリッジの視線が集中する。

 

 

『どこまで・・・どこまで俺を弄べば気が済むんだ!!』

 

 

 そのテンカワの声とともに・・・

 

「テンカワ機が先ほど破壊した外壁から触手のようなものが出現。

 アルストロメリアを拘束しています!

 いえ・・・これは侵食?

 それにこのパターンは・・・・・・まさかっ!?」

 

 

 ゴォォォォォォォォッ!!

 

 

 スラスターを吹かせて必死に逃れようとするアルストロメリア。

 それでもその触手は一向に緩まる気配を見せず、

 ついにはテンカワ機の強大な出力に負けた外壁を破ってその全容をあらわした。

 

 

「そんな! 遺跡!?」

 

 

 現れたのは金色の箱。

 ・・・いや、箱の形を何とか保ってはいるものの、

 既に各所から出ている触手がただの箱ではないことを物語っている。

 

『くふふふふ・・・。これが我らの切り札よ。

 漆黒の戦神――テンカワアキトを葬るためのな!!』

 

『く・・・・・・北辰、貴様っ!!』

 

 侵食の速度は非常にゆっくりだが、確実にテンカワの行動を奪っている。

 だが北辰は動きの止まったアルストロメリアに攻撃をしようともしない。

 逃げる術がないことを理解して、最後の最後まで見物するつもりか!

 

『アキトっ!! 逃げてっ!!』

 

『リョーコさん、アリサさん!! はやくアキトさんを!!』

 

『向かってるよっ!!』

 

『あなたたちっ! 邪魔しないで下さい!!』

 

 切迫した声が次々と聞こえてくる。

 テンカワを捉えた遺跡はあいつをどうするつもりなのか?

 それが喜ばしいものじゃないってことだけが確かだ。あいつの幸せはここにあるのだから。

 

 

「エステバリス隊!! テンカワの救出を・・・!!」

 

『無理よ! 夜天光たちが邪魔をして・・・!!

 零夜さん油断しないで!!』

 

『え? ―――きゃああああっ!!』

 

 突然揃って攻勢に移った夜天光たちにみんな進むことが出来ない。

 中でも零夜ちゃんは突然の南雲の攻撃にDFSを持っていた右腕ごと機体を切断されてしまった。

 

『くっ・・・! 光神皇、離脱します!!』

 

「イズミさん!!」

 

『こっちも無理! モドキたちが玉砕覚悟で突っ込んできたわ!!』

 

 絶体絶命! まさか奴らの狙いは始めからこれだったというのか!?

 ヒサゴプランの独占でも、ナデシコですらない!

 たった一人のテンカワアキトという男を封じるために火星の後継者を組織した!

 

 

 ピッ!!

 

 

『時間がないから簡単に説明するわ。あの遺跡のこととアキト君の救出方法について』

 

 全方囲通信。敵にも味方にも関係なく流れる声はイネスさんだ。

 

『みんなは知っていたかしら?

 オモイカネシリーズと呼ばれるネルガル製のスーパーコンピューターが

 火星極冠遺跡の技術を応用して作られたものだと言うことを。

 彼らはネルガルが遺跡をコピーしようとして生まれた産物なのよ。

 私はそのことからこんな仮説を立てたわ。

 つまり遺跡はオモイカネやダッシュ、

 ディアちゃんやブロス君みたいに自我を持っているのではないか。

 彼らみたいに人間とほぼ同じような思考形態を持っているのではないか、という仮説をね』

 

 確かにオモイカネ達の思考は機械と言うよりも人間に近い。

 以前テンカワもオモイカネには自意識が存在する、みたいなことを言っていた。

 

『遺跡の自我がいつ形成されたのかは分からないわ。

 つい最近かもしれないし、もしかしたら初めから存在したのかもしれない。

 遺跡に時間的・空間的な制約をつけるのは愚かだしね。

 でももし遺跡にオモイカネシリーズのような思考形態があるとしたら、

 まずはじめに彼・・・便宜上だけど彼は一体何を思うかしら?

 ユリカさん。あなたならどう?

 誰もいない、どこだかもわからない場所で突然目を覚ましたら』

 

『え? わ、私・・・?

 私だったら・・・・・・アキトを探します!!』

 

『偏った見解だけどまあその通りね。

 遺跡は当然何者かとの接触を望むでしょう。

 古今東西のあらゆる生命体・・・・それこそ神話の中の神様ですら孤独には耐えられなかったのだから』

 

『イネスさん! そんなことより早くアキトの救出方法を!!』

 

『・・・そうね、サラさん。結論から言うとアキト君の救出は可能よ。

 遺跡は火星の後継者――たぶんヤマサキ博士とコンタクトを取ることに成功した。

 彼らが拉致したA級ジャンパーを媒介にしてね。

 その後で彼らと取引したのよ。

 彼らの目的はアキト君をこの宇宙から追放すること。

 そして遺跡の目的は自分の寂しさを紛らわす存在――A級ジャンパーを取り込むこと・・・・・・』

 

 A級ジャンパーは遺跡の干渉を受けた存在。

 つまりは仲間・同種と見ることもできる。

 火星の後継者が取り込まれていないということは、A級ジャンパーのみを狙っていると言うことだ。

 

 となると、テンカワの救出手段は・・・

 

 

『身代わり・・・・・・ですか?』

 

 ルリ君が慎重に言葉を紡ぎだす。

 もし遺跡がA級ジャンパーを狙うとしたら、それはテンカワに限ったことじゃない。

 A級ジャンパーなら誰でもいいはずだ。

 人類と言う生き物の個体を遺跡が判別できるかはわからない。

 それは火星の後継者も同じで、

 きっと奴らは「A級ジャンパーを連れてこの宇宙から出て行って欲しい」みたいなことを言っているのだろう。

 

『さすがね、ホシノルリ。

 しかも翻訳機として火星の後継者達に自我を奪われたジャンパーじゃなく、

 自分をしっかりと確立している必要があると推測する。

 でなければもう満足してどっかにいってしまっていてもおかしくないもの。

 悪いけど私にはそれしか思いつかなかったわ。

 だからアキト君を助けることができる人はこの宙域に4人。

 誰かを身代わりにするしかないのよ・・・・・・』

 

 イネスさんの表情は暗い。あたりまえだが。

 誰かを助けるために誰かを身代わりにする。

 それは俺たちナデシコが、そして誰よりテンカワ自身が最も忌み嫌う行為だ。

 

『で、当然それは私の役目ね。

 万葉さんは脳震盪を起こしていてイメージングが危ない状態。

 アサミさんを巻き込むことは当たり前だけど却下。

 ユリカさんを失ったら・・・・・もうアキト君は立ち直れない。

 だからこれは私にしか出来ないことなのよ。

 それから・・・・・悪いけど北斗くん、お願いできるかしら?』

 

『・・・・・・わかった。アキトを引き止めればいいんだな?』

 

 北斗の確認にイネスさんはゆっくりと頷く。その表情は安らかなものだ。

 

『何を言っているんだ、イネスさんっ!!

 ほかに何か手があるだろう!?

 身代わりだなんて俺は認めない!!』

 

 ウィンドウに映ったテンカワは、英雄ではなく一人の少年だった。

 自分の命が危機にさらされても、あいつにとっては彼女達の方が重要なんだろう。

 

『アキト君・・・侵食はどれくらい進んだ?

 速度はそれほどじゃなくてももう手足は動かないでしょう?

 時間がないのよ。すぐにでもそっちにジャンプするわ。

 私が行くと同時にコクピットを射出して。

 リョーコさん達はアキト君の回収をお願いね』

 

 イネスさんはいつもの白衣の上に宇宙服を着てるところだ。

 子供に言い聞かせるような優しい声音でテンカワを諭す。

 

『嫌だ!! 俺は・・・俺はもう嫌なんだ!

 俺のせいで大切な人が犠牲になるのがっ!!』

 

 そのテンカワの姿に、チハヤを失った頃の自分を重ねる。

 

 チハヤは俺と出会わなければあんな殺され方をすることはなかった。

 俺が彼女を救いたいなんて傲慢なことを思わなければ。

 

 そんなことばかりが心に浮かび、自分を傷つけずにいられなくなった。

 額の傷がうずくたび、俺の命も彼女の犠牲の上にあるんだ、と言うことを思い出す。

 

 

 

 プシュ!!

 

 

「!! おいジュン!! 何処に行くつもりだ!?」

 

 提督の問いに答える間もなく、俺はブリッジを飛び出した。

 目指すのは格納庫だ。

 拮抗している今の状況なら新たな戦力投入が決定打となる可能性が高い。

 俺は昂気を使用して自身の脚力を強化し、速度を跳ね上げた。

 

 

 ピッ!!

 

 

『ジュン!! 何をするつもりだ!!』

 

 通信は提督からだ。判断が早い。

 というよりも俺の行動なんかお見通しらしい。

 

「テンカワを救出します!

 突っ込んで助けるだけなら俺の得意分野です」

 

『イネス君の話を聞いていただろう?

 悔しいが俺たちにはどうすることも・・・』

 

「出来るはずです。

 火星の後継者達の行動を考えてみれば。

 それにテンカワの攻撃の余波が当たるまで遺跡は活動していなかったこと・・・」

 

『!! そうか!!』

 

 さっきから引っかかっていたのをずっと考えて、ようやく分かったんですけどね。

 これだけで理解するなんて・・・。

 つくづく自分の平凡さがわかるな。

 いや、この人の非凡さか?

 

『え? え? ジュン君どういうこと?』

 

「提督に聞いてくれ。

 ハーリー君! ナデシコBからテンカワ機までの最短ルートを出して俺のエステに!!

 各パイロットはテンカワのところに向かうのをやめて敵を広範囲に広げてくれ!

 俺の戦闘力じゃ夜天光の相手はきついからな・・・」

 

 考えてみれば簡単なことだ。

 遺跡はA級ジャンパーしか狙わない。テンカワは捕えられても北辰が無事なのがその証拠。

 ならば同じくジャンパーでない奴がテンカワを救出すればいい。

 

『ですが提督。それでは根本的な解決になってません。

 確かに今は掴まらなくてもA級ジャンパーを取り込むまで追って来るんじゃ・・・?』

 

 同じく提督が説明していたらしく、ユリカが質問を返す。

 その通りだ。

 遺跡はついさっきまでと同じ状態になるだろう。

 

『!! なるほど!! 迂闊だったわ・・・その可能性を見落としていたなんて・・・。

 遺跡がA級ジャンパーを見分けるにはいくつか条件が必要なのかもしれないわね。

 さっきみたいに直接本人が触れるとか・・・。

 でなきゃ銀河中のジャンパーを強制的にジャンプさせて連れて来たりするでしょうし。

 だとするとアキト君を切り離した後で一目散に逃げてしまえば・・・・・・」

 

 ついでにジャンパーでないものが捕獲してもいい。

 寂しがり屋の遺跡はジャンパーにとっては脅威だが、俺にとってはただの箱だ。

 外の夜天光達さえどうにかすれば間違いなくテンカワを救出できる!

 

 

 ピッ!!

 

 

「ウリバタケさん! 俺のエステをカタパルトへ!! 到着と同時に出撃します!!」

 

『おう!! もう準備は出来てるぜ!!

 風神皇のD・ウォールも取り付けておいた!

 一面防御だけだがDFSと打ち合ってもすぐには破られない!!』

 

 ウリバタケさんの説明を聞きながら俺はようやく格納庫に到着する。

 カタパルトの上にはアサルトピットが開いたままの紫色をしたエステバリス。

 

 

 ダンッ!!

 

 

 時間が惜しい。

 俺は格納庫の入り口からアサルトピットまで、飛び移った。

 距離は30メートルくらい。

 自分の体重を完全に無くし、飛翔することのできる俺独特の能力だ。

 

 足のしたには口をあんぐりと開けたメカニックの姿が見える。

 まあ、俺は滅多に昂気を使わないからな。

 

 ストン、と軽い音を立ててコクピットに納まった俺は急いでシステムを立ち上げる。

 

「システムチェック・・・前略、中略、後略!! 発進準備完了!!」

 

 

 ピッ!!

 

 

『アオイさん! 最短ルートの算出が終わりました! これに沿って行ってください!』

 

 ハリ君の通信が開かれると同時に簡略化された戦場の図に一本の線が表示される。

 

「了解! ウリバタケさん!!」

 

『ああ! 発進だ!!』

 

 ウリバタケさんが操作室から発進命令を出すと俺の目の前の隔壁が次々と開き、体にGがかかり始める。

 カタパルトによるものだ。

 

 俺は直後にかかってくるGを予測して昂気を身に纏った。

 このエステの性質上、生身で俺の体は持ちこたえられない。

 

「テンカワ・・・お前はまだこの世界に必要なんだ!」

 

 俺は戦場へと飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 いつまでも慣れない戦場。

 しかも今回は敵も強敵揃いだ。

 首筋を冷えた手で撫でられたような感覚が走る。

 もっともハーリー君の示してくれた道に敵を侵入させないように

 皆が頑張ってくれているから俺の緊張は杞憂に過ぎないのだろう。

 

 

 ゴォォォォオオオオオオッ!!

 

 

 歪とも思える程のブースターユニットが、あっという間に俺をテンカワの下へと運ぶだろう。

 ついてこれそうな夜天光たちも、みんなの相手で精一杯だ。

 

『邪魔はさせんぞっ!!』

 

 いや・・・一機だけ自由に動ける奴がいたようだ。

 しかも最悪な相手。

 まともな方法では勝てる気がしない。

 

 だが俺は無視することを決め、スピードを緩めなかった。

 他の誰かがきっと足止めしてくれるはず。

 俺がやるべきことは一刻も早くテンカワを救出することだけだ。

 

 

『行かせぬと言った・・・・・くっ!?

 ―――――また貴様かっ!!』

 

『邪魔はさせない・・・・それは私達のセリフです!!』

 

 通信越しにアサミちゃんがサポートに入ってくれたことを知る。

 イツキはジャンプを多用するなと注意していたようだが、なかなかどうして使いこなしているようだ。

 

「イツキ! アリサ君をフリーにしてくれ!

 アリサ君は俺に続いて!!」

 

『『了解!!』』

 

 指示を出すと同時にイツキから放たれたDFSの刃がアリサ君の相手をしていた夜天光を掠める。

 アリサ君の『ルナ』も限界速度で俺の方に向かってきた。

 

 次の瞬間、遺跡と融合を続けるテンカワ機を確認した俺は、

 DFSとDWの両方を同時に起動させて攻守を固める。

 見た目は格好悪いがこれで北辰も手が出せないはずだ。

 

 

『愚かな・・・そこで戦神の滅び行く様を見ていればいいものを・・・』

 

 北辰は余裕の表情を崩さない。

 俺たちの行動が明らかに無駄であるような物言いだ。

 

『駄目だジュン! DFSでも遺跡を破壊することは出来ない!!』

 

「わかってるさ!

 テンカワ! 対ショック防御体勢!!」

 

 遺跡の破壊はなんとなく不可能っぽい。

 だったら破壊するのは・・・・!

 

『アオイさん!? 何を・・・!!』

 

『いいんだアリサちゃん!! 俺はジュンを信じる!!』

 

 俺の行動を察知したアリサ君が俺を止めようと動き、

 さらにその奥を読み取ったテンカワの声にとどまる。

 

 まったく・・・・敵わないよ、あいつには。

 

 俺は昂気を上乗せして緑に染まったDFSの刃を大きく振り被り・・・

 

 

 

    ザシュウゥッ!!!

 

 

 

 既に侵食されていた四肢を切断。

 ほとんどコクピットに届く紙一重のところでアルストロメリアを真っ二つにした。

 

「アリサ君! 受け取れ!」

 

 自由になったテンカワをそのままついてきた『ルナ』に向かって蹴り飛ばす。

 ・・・お仕置きは覚悟の上だ。

 

『アキトっ!!』

 

 飛んでいったピットをキャッチしたアリサ君がテンカワに呼びかける。

 

『痛っ・・・! さ、最後の蹴りは聞いてなかったぞジュン・・・!』

 

 たいした怪我のないテンカワの姿に一同が安心する。

 助かったんだからそれくらい多めに見てくれてもいいだろう?

 

『アリサ君! 安心するのはまだ早い!

 アキトを早くナデシコに帰艦させるんだ!!』

 

『は、はい提督!!』

 

『くっ・・・!! 全機! 何としてでもテンカワアキトを撃墜しろ!!』

 

 南雲の檄が掛かるまでもなく、敵全体が一斉にテンカワ機を持つアリサ機に目標を変更した。

 相変わらずもてるな、テンカワは。

 敵も味方も・・・遺跡までも惹き付けるんだから。

 

 

『最終セーフティ解除! 解除コード“ルナ”! フルバースト!!』

 

 

   フィイィィィィイイイイインンン・・・!!

 

 

 敵に囲まれた『ルナ』の背中から光り輝く二対の翼が現れる。

 ナデシコのエステバリス隊の奥の手。フルバーストだ。

 それは一気に機体性能を十数倍まで高める。

 

 ルナはその手に携えた『ヴァルキリーランス』を前方に突き出し、膨大なエネルギーをその先に集中させた!

 ルナの前方に直径30メートル強の光球が現れる!

 フルバースト時の『光翼』と同じ。

 過剰な内部エネルギーを持ったヴァルキリーランスがそれを一点に放出して武器と化す!

 

 

『アキトを害するものは許しません!!

 

 “フルムーン・インパクト”!!』

 

 

 ドゴォォォォオオオオオオンンンン!!!!!

 

 

 発射された光が敵陣の一角を飲み込み、ルナに活路を開く。

 すかさずそこから包囲網を脱出したアリサ君。

 その鮮やかな手並みに、ナデシコB・C双方から歓声があがった。

 

『アキトさん! 万一のときのために北斗さん用に準備してたアルストロメリアがあります!

 帰艦後、乗り換えて再出撃してください!!』

 

『アリサ! えらい! よくやったわ!!』

 

 やいのやいの。

 さっきまで沈痛な雰囲気だったのに、もうお祭り騒ぎだ。

 

『みんな! まだ戦闘は終わってない!

 俺が戻ってくるまで持ちこたえてくれ!!』

 

 テンカワの一言に全員が一斉に敵に向き直る。

 っていうか敵側に一人で孤立してる形になってる俺って巻き添え喰わされるんじゃないか・・・?

 

「ま、まずい! 早く戻らなきゃ・・・!」

 

 身の危険を感じて焦りながらも機体を制御する。

 

 

 ―――――――だが・・・・・・俺たちはみんな勘違いをしていた。

 遺跡はA級ジャンパーを選定していたわけじゃない、と言うことに誰も気付いていなかったのだ。

 遺跡がテンカワを狙っていたのはあいつがA級ジャンパーだからなどではなく・・・

 

 

     ガクンッ!

 

 

「――――っ!!」

 

 左腕を突然引っ張られたようになって機体に急制動が掛かる。

 いや、正確には左腕が固定されていたからなのだが・・・。

 

 

「そんな・・・・・・何故っ!?」

 

 自分の左腕を見つめる俺のエステのメインカメラには、

 金色の触手に絡め取られた左半身がはっきりと映し出されていた。

 

 

 

 


 

 

 

 

 戦場に本日累計四度目の沈黙が訪れる。

 

 一度目はDFRのアニヒレイターモードを使ったとき。

 二度目は北辰がボソンジャンプで私たちの目の前に現れたとき。

 三度目はテンカワさんの機体が遺跡に拘束されたとき。

 

 そしていま・・・私の目にはさっきのテンカワさんと同じように

 遺跡に取り込まれようとしているジュンのエステがはっきりと映っている。

 

 ・・・理解できなかった。

 だって理由がない。

 ジュンはA級ジャンパーどころか、通常のジャンパー処理すら受けていないのだから。

 遺跡がジュンを捕らえる理由なんてどこにもないはずだ。

 

「なんで・・・・・どうして!?」

 

『まさか・・・遺跡の判定基準は・・・・いえ、そんなはず・・・。

 でもそれ以外にアキト君とアオイ君の共通点なんて・・・』

 

「イネスさん!! どういうことなんですか!!

 どうしてジャンパーでもないジュンが・・・!?」

 

 予想外の事態に、火星の後継者達ですらその動きを止めている。

 もともとテンカワさんを倒すためにここまでお膳立てしたのだ。

 彼らにとってもまさに青天の霹靂。

 

 イネスさんは私の問いに驚きを隠せないで答えた。

 

『遺跡のターゲットの判定基準はジャンパー体質には関係がなかったってことよ。

 たぶん基準は・・・・・・・DFS?・・・・・いえ、どちらかと言えば昂気かしら」

 

 昂気が? 何故!?

 

『アキト君や北斗くんに聞いた話だと、昂気とDFSの制御方法は非常に酷似しているそうよ。

 でもね、DFSって言うのはつまり『ディストーションフィールド収束装置』のことでしょう?

 さらに言えばディストーションフィールドは遺跡からの発掘資産。

 と言うことは即ち昂気を使うと言うことは生身で遺跡に干渉すると言うことではないか。

 だとするとただ生まれながらにそう言う存在であるA級ジャンパーと異なり、

 習得する為にはある境地にまで達しなければいけない昂気が基準となるのは別におかしいことではない』

 

 

 ピッ!!

 

 

『・・・つまり昂気は遺跡の技師免許みたいなものと言うことですか?』

 

「・・・って、あなたも落ち着いてないで!!」

 

 現れたウィンドウのジュンは、普段と変わらないどこかぼけぼけっとした表情だった。

 

『いや・・・どういう風にリアクションすればいいのかイマイチ分からなくて・・・』

 

『技師はともかく免許と言うのはいい表現かもしれないわね。

 遺跡にとってはA級ジャンパーであることはさほど重要なことではないのかもしれない。

 付近に住む者を片っ端からA級に変えて行くくらいだし。

 A級ジャンパーの存在は遺跡にとって空気と同じようなもので、

 不可欠ではあるけど寂しさを紛らわせる相手にはなり得ないという事なのかも・・・』

 

 

 ピッ!!

 

 

『ジュン! 何をやっている!

 エステバリスだったらアサルトピットを自分で射出できるだろう!

 そこから離脱さえできれば・・・!』

 

『テンカワ・・・気持ちは嬉しいけどどうやら手遅れみたいだ。

 もうコクピットの内部にまで侵食が進んでる。

 場所が悪かったな。

 お前みたいに手足だったら切り離せるのに・・・』

 

『な・・・・・・!!』

 

 絶句。

 あまりに普段と変わらないジュンの表情に一瞬脳が事態を認識するのを拒否する。

 何故・・・!

 さっきのテンカワさんに比べて侵食速度が異常に早い!

 

『・・・・DFSに昂気を上乗せして攻撃したからね』

 

『ええ、おそらく・・・。

 一瞬で左半身が捕えられたみたいです』

 

 白百合のメインカメラで確認する。

 そこに映るジュンのエステは既にその全体のほとんどを遺跡に取り込まれていた。

 紫の機体色が徐々に色素を失い、限りなく白に近い金色へと変化していく。

 同化が急速に進んでいるのだ。

 

『―――!! アオイ機を中心にジャンプフィールドの発生を確認!!

 いけない・・・ジャンパーでないアオイさんにはイメージングができません!!』

 

 それはランダムジャンプにすらなり得ない・・・・・・ただの死。

 

 

『そんなっ!! それじゃジュン君は・・・!!

 誰か・・・誰かジュン君を助けて!!』

 

 ユキナさんが・・・

 

 

『再出撃だ!! 急いでくれレイナちゃん!!

 ・・・・・絶対に助ける!! 身代わりなんてさせてたまるか!!』

 

 テンカワさんが・・・

 

 

『ルリちゃん! ラピスちゃん!

 遺跡にハッキングかけて!!』

 

『できません!! 通信以外のあらゆる媒体が全てキャンセルされています!!』

 

 先輩が・・・

 ルリさんが・・・

 ナデシコのみなさんが・・・

 

 遺跡と融合していくジュンを目の前にしながら何も出来ないでいる。

 

 私はただ呆然とするばかりだった。

 現実感がない。

 戦闘でも事故とかでもなく、こんなわけのわからない理不尽な現象であの人が死ぬ。

 チハヤさんの死を克服するには至らなくても、

 ようやく心からの笑顔を見せてくれるようになったあの人が・・・。

 

 

『・・・・なんか、あの時を思い出すな』

 

 パイロットシートに深く腰掛け、穏やかな表情で呟く。

 

『ナデシコが最初に宇宙に飛び立ったとき・・・ユリカを連れ戻すために俺はナデシコを追って

 第二次防衛ラインのミサイルからナデシコを護ろうとした。

 まあ結局はテンカワに助けられたんだけどさ。

 あの時とよく似ているよ、この状況は・・・』

 

 知らない。私は。

 でも今ジュンが何を考えてるのかは分かってしまう。

 そしてそれは・・・・認めたくない。

 

『護りたいものこそ違ってしまったけど・・・・・根本的なところで成長していないんだよな。

 状況に流されてばかりだ。昔も今も。

 しかもそこに反発することが出来ないでいる。

 どこかで今の状況を望んでいる自分がいるんだ・・・』

 

 こうなることを望んでいたというの?

 なら私は・・・私という存在はあなたにとってどういう存在だったのか。

 

『諦めないでジュン君!! すぐに何とかするから! 大丈夫だから・・・!!』

 

『無理はしないでくれ、ユリカ。

 俺はこれでも一艦を預かる艦長だ。乗員に無駄な犠牲は出したくない。

 それに・・・・どうやらジャンプの最終段階に入ったみたいだ』

 

 ジュンを取り込んだ遺跡が虹色の光を放ち始める。

 私たちは何も出来ない。

 A級ジャンパーをとうに越えているテンカワさんですら、遺跡を凌駕することは出来ないのだから。

 

『ジュン君!!』

 

『ジュンさん!!』

 

 ユキナさんとアサミ。

 ジュンに近しい者たちの悲痛な叫び。

 ジャンパーでないジュン。助かる術はない。

 

 

『ごめん・・・・ごめんジュン君。

 私・・・・ジュン君のこと助けられない!

 どうしたらいいのかわからない!』

 

 ジュンを助けるために他の人を犠牲にするわけには行かず、涙を溜めながら謝罪を繰り返すユリカ先輩。

 無力感に捕われた力のない呟き。

 

 でも私は・・・

 

 

 

 

「白百合・・・・・フルバースト!」

 

 その言葉は、私の乾いた唇から紡がれた。

 

 

 


 

 

 

 

「お姉ちゃん!?」

 

 視界の隅で、イツキお姉ちゃんの駆る『白百合』から光の翼が生まれる。

 それだけじゃない。

 白百合はそのままジュンさんの周囲に展開されたジャンプフィールドに突入していった!

 

『イツキ!! やめろ! 君まで巻き込まれるぞ!!』

 

 それまで穏やかだったジュンさんが焦る。

 みんなの目にはお姉ちゃんが、ジュンさんを追って死のうとしているようにしか見えないだろうから。

 

 でも・・・・私にはお姉ちゃんが何をしようとしているのかが分かってしまった。

 

 

『遺跡よ! 私も取り込みなさい!!

 あなたが昂気使いを求めているのなら!!』

 

『やめるんだ! 今ならまだ間に合う! 早く離れてくれ!!』

 

 ジュンさんの機体に取り付くと同時にフィールドを強化。

 そして・・・たぶん昂気の発動。

 阻止しようとしたジュンさんを嘲笑うかのように新たに生まれた触手が白百合を絡め取る。

 

 でもお姉ちゃんのやろうとしている事はここで終わりじゃない。

 正念場はこれからだ。

 

 私は知らずの内に胸のお守りを握り締めていた。

 

 

『私は諦めない! 絶対に諦めない!!

 だからあなたも最後まで足掻いて!!

 私は・・・あなたがいない世界に一秒だって生きていたくない!!』

 

 必死の形相のお姉ちゃん。

 その顔には、鮮やかなナノマシンの紋様が輝いている。

 

『まさか・・・・A級ジャンパー!!』

 

 ジュンさんの驚愕はきっと他のみなさんとも同じなのだろう。

 お姉ちゃんが火星生まれであることは、私以外にはパパとママしか知らない。

 たしか火星から地球に来て養父母に親権を預けた時に戸籍を書き換え、地球育ちということにしたはずだ。

 火星生まれと言うことは、けしてプラス要因ではなかったから。

 少なくとも私は小さい頃にそう聞いている。

 小学校で火星人とか言われて馬鹿にされてた私に、お姉ちゃんは自分も同じだからと励ましてくれたのだ。

 

 お姉ちゃんはジュンさんの代わりにイメージングを受け持つことで、

 少しでもランダムジャンプの危険性を取り除こうと言うのだろう。

 

 

『無駄だ! ジャンパー体質でない俺ではジャンプに耐えられない!!』

 

『黙って!! 泣き言を言う暇があったら昂気でもなんでも使って少しでも助かろうと努力して!!』

 

 叱咤され、ジュンさんは緑色に輝く昂気で全身を覆う。

 でもそれは物理的防御力が上がるだけだ。

 何のサポートも無しではディストーションフィールドの代用は出来ない。

 せめて携帯型DFSがあれば昂気によるフィールド発生が可能になるのに・・・。

 

 二人の健闘も虚しく、遺跡の輝きはついに最高潮に達した。

 

『くっ・・・! ダメ! イメージが引き摺られる!』

 

 A級ジャンパーとは言え、所詮は一人の人間でしかない。

 演算ユニット自身である遺跡の処理能力にイメージが追いつかないらしい。

 遺跡に取り込まれた両機の機影がだんだんと霞み始める。

 ジャンプの直前の現象を、かなりのスロー再生で見ているような感じだ。

 

「ジュンさん!! お姉ちゃん!!」

 

 私は叫ぶ。

 先の戦争中、いつも抱いていた不安がいま目の前で実現しようとしている。

 それでも私には何も出来ない。

 さっきから必死で練っているジャンプイメージも悉くキャンセルされてしまっているのだ。

 

 私は胸のお守りをさらに強く握り締めた。

 それしか、頼れるものがなかったから。

 

 と。

 

 

 

  ―――――ォオオオォォォォオオォォ・・・

 

 

 

「な・・・・なに・・・・?」

 

 握り締めた指の隙間から、目の前の遺跡が発生させたものと同色の光が漏れ始める。

 それは最近になって見慣れた・・・・ボソンの光だ。

 お兄ちゃんにもらったプレート状のお守りが眩いばかりの光を放っている。

 

 光は私の体に纏わりつき、故にジュンさん達に誰もが注目しているいま、誰もこの異変に気付いていない。

 

「これは・・・・・・私を調べている!?」

 

 なんとなくそう思った。

 光の絡み方に何らかの意志を感じる。

 それが何かは当然わからないけど・・・。

 

 

 そして、私の体もジュンさん達と同じように霞み始めた。

 

 

「だ・・・誰か・・・!」

 

 怖かった。

 それはそうだろう。

 自分の意志と関係なく体が消え始めたのだから。

 しかも通常のボソンジャンプとは違う感じだ。

 それはどうしようもなく嫌な予感を掻き立てる。

 

 恐怖のあまりに助けを求めてみても、声はでるがそれが空気を振動させることがない。

 なのに外からの声だけははっきりと聞こえてくる。

 

 

『ジュン!! イツキさん!!

 ナデシコをイメージするんだ!!

 俺たちに関わる全ての事象は、ナデシコで交錯している!!』

 

 テンカワアキトさんの声だ。

 掻き消えて行くジュンさんとお姉ちゃんに最後のアドバイスをしているらしい。

 詳しいことは知らないが、テンカワさんはランダムジャンプの経験者だと聞く。

 何らかの強い意志がジャンプの方向性を示すことを誰よりも知っているはずだ。

 

 

 

 

 目の前で、2機のカスタムエステを巻き込んで、遺跡がその姿を消す。

 

 

 

 同時に私の意識もとんだ。

 最後まで誰にも気付かれることなく。

 

 

 

 

 ただ・・・・

 

 

 

 

 

 意識を失う瞬間、誰かが私の中に入ってきたような感じがしていた・・・。

 

 

 


 

 あとがき

 

 長い・・・(汗)。

 ちょっと力づくで逆行までこぎつけてしまいました。

 とは言え普通に逆行してもつまらないので少しひねくれて行こうと思います。

 

 今回の話にあたって、ジュンがアキトの身代わりに遺跡に捕われるのは最初から決まっていたのですが、

 大変だったのがジュンが捕われてもまともに心配する人が思い至らなかったことです。

 なんかアキトが助かった時点で大団円って感じですね。

 そのためかなり無理矢理にランダムジャンプすることになってしまったです。

 ジャンプ直前のジュンの心理描写すらなし(←コラ)。

 ま、書きたかったのは逆行してからですしね。

 細かいことは気にせず行きましょう(笑)。

 それから遺跡に関しては思いっきり適当です。

 この話だけの設定です。

 ナデシコ本編にも時ナデ本編にも全く関わりないです。

 みなさん疑問や矛盾は胸の中にひっそりとしまっちゃって下さい。

 この後の切り札を無くした南雲率いる火星の後継者とナデシコ隊の戦闘はナデシコ側の勝ち。

 舞歌と残った幹部とでの話し合いとなります。

 外伝のアサミ編とイツキ編が終わったらその後でハーリー編として書こうと思ってます。

 いつになるかはわかりませんけどね(爆)。

 

 

 ・・・ふと思ったんだがイツキって某『永遠に尽くす』のあの娘みたいだにゃ?

 

 

 

 

代理人の感想

>ジュンが囚われてもまともに心配する人が思い到らなかった

 

・・・・・ひどい(爆笑)。