機動戦艦ナデシコ

『影(シャドウ)』

 

 

 

 

 

「楽勝、楽勝!!」

 

「たいした事ないな!!」

 

2機のエステバリスがバッタをばったばったと倒していく。

 

「ほ〜ら!!お花畑!!」

 

あっという間に宇宙にきれいな花が咲く、やはり雑魚は弱かった。

 

「油断してるとやられるよ」

 

良い気分でいたのにイズミに水を指されてジト目の2人。

 

「まあまあいいじゃないですか!!」

 

ミユキが2人をなだめる。

 

「ちくしょお!!なんだよ!!なんだよ!!

 あいつら楽しそうじゃないか!!」

 

後ろからついて行っているテンカワが文句を言っている。

そんなにうらやましいのだろうか?

バッタを倒し続けているとものすごい量の大艦隊が近づいていた。

先に敵の戦艦に近づいたパイロット3人娘が様子を見る。

 

「どうやらバリアを強くしているみたいだね」

 

「これじゃ手が出せないよ」

 

「ん?コックが戦艦に体当たりしているぞ」

 

「どりゃああああ!!」

 

別の戦艦に突っ込んでいくテンカワだったが

ディストーションフィールドに跳ね返される。

 

「いやぁ!!

 さすがに戦艦を落とすのは無理ですね」

 

テンカワが跳ね返されるのを見ながら遅れてやってきたミユキがヒカルに言う。

 

「ミユキちゃ〜ん

 そんな事言ったって落とさないとナデシコが危ないよ」

 

ミユキとヒカルが戦場でのんびりとした事を言っている時に。

リョーコとイズミと跳ね返ってこっちまで来た

テンカワは戦艦を落とす方法を考えている。

 

「戦艦を落とすにはどうしたらいいんだ!?」

 

「敵のバリアを何とかしないといけないよ」

 

「一体どうしたらいいんだ?」

 

その時!!

どんなピンチも「こんな時の為に」の言葉と共に

解決してくれる男がコミュニケで話し掛けてきた。

 

「テンカワ!!あの装置を使うんだ!!」

 

「ウ、ウリバタケさん!?あの装置って?」

 

「お前が持ってきた装置だよ!!

 こんな時の為にお前のエステバリスに付けておいた!!」

 

「あれはガイのエステバリスに付けてもらう筈だったんですけど……」

 

「…………まあ、気にするな」

 

ウリバタケは自分の言いたかった台詞の為にその頼みは無視していた。(笑)

 

「いいか?

 この取扱説明書によるとあの装置はディストーションフィールドを

 強化して飛ばして中距離から攻撃出きるようにする代物だ。」

 

「でもバリアをそれで突破できるんですか?」

 

「出力を最大にして放てば

 最低でもディストーションフィールドを張る事はできなくなるはずだ」

 

「それまでナデシコがもつかな?」

 

 

 

 

 

 

「何でも言いから早くしてーー!!」

 

ナデシコは木星蜥蜴の艦隊のグラビティーブラストでボコボコにされていた。

 

「えぇー聞こえています?

 艦長がああ言っていますのでなるべく早くしてください」

 

エステバリスに報告をしているメグミの後ろでユリカがギャーギャー騒いでいる。

 

ちっ!!五月蝿いわね……宇宙に放り出してやろうかしら。

そうしたら私の邪魔する人もいなくなる事だしね(ニヤリ)

 

「ディストーションフィールド、出力60%」

 

ルリは攻撃によって真っ赤になっているブリッジの中努めて冷静に報告を続ける。

その時操舵者のミナトが何故かうつむいていた顔を上げて叫ぶ!!

 

「挑戦状ね……これは!!」

 

ミナトは度重なる攻撃によって少しキレぎみだった。

 

「……ミナトさん、怖いですよ」

 

「な〜に言ってるのルリルリ」

 

「っ!!」

 

恐怖心を抑えこんで抗議したルリをあの言葉で黙らせたミナトは

一気にエンジンを出力最大にして敵の攻撃をかいくぐり始めた。

 

今、私は確実に神の領域に近づいてるわ!!

 

ミナトは確実に宇宙でスピード違反があったら捕まっている事だろう。(笑)

ちなみにルリはミナトの言った言葉が気に入ったらしく少し顔を赤らめていた。

 

「いやぁ〜困りましたな

 包帯にナデシコの受けた攻撃の修理費これは高くつきますよ」

 

「ミスター、エステバリスの修理費も入れておかないと」

 

「すみませんね、ゴート君

 本社がさっさとよこせとうるさいもんですから」

 

この騒ぎを全く無視して2人は会社へと提出する領収書を作っていた。

 

プシュ  ウィーン

 

「そろそろ火星かの?」

 

提督、もといボケ老人はようやくブリッジにやって来た。

 

 

 

 

 

 

「あのぅ……もう一度言ってもらえますか?」

 

「聞いてなかったのか?

 いいか耳ほじって良く聞けよ!!」

 

戦場で耳ほじってるのは危険だと思うんですけど……。

さすがに耳ほじりながらエステバリス操る事はできそうにないですし……。

 

「その装置は音声入力なんだよ」

 

「……何でですか」

 

「そんなのは作った奴に言えよ。

 お前がこの前叫んでいたから別にいいかなと思ったんだがな」

 

「あれは叫べって言われたからですよ!!」

 

「とにかくエネルギーのチャージが完了したら叫ぶんだぞ」

 

「とりあえず早くして、見ている限りナデシコがピンチだから」

 

ナデシコはピンチというよりナデシコの相転移エンジンが耐えられないぐらい

スピードに乗って暴走しているように見えた。実際に暴走しているのだが……。

 

「えぇっと、このボタンを押すとエネルギーチャージが始まるんだったな」

 

するとテンカワのエステバリスの周りを覆っていたディストーションフィールドが

後ろに回したエステバリスの両手に集まっていく。

この状態の時に攻撃をくらうとせっかく集めたディストーションフィールドが

四散してしまうので周りをバッタが来ないように守ってもらっている。

 

「ゲキガンカッターーーーーーー!!」

 

テンカワのエステバリスから勢い良くゲキガンカッターが飛び出す。

あっという間に敵の戦艦のディストーションフィールドにぶつかるが

敵のフィールドをあっという間にぶち破って戦艦に吸い込まれる様に当たる。

ここまでは予想通りだった……次の瞬間!!

敵の戦艦を貫いて他の戦艦をどんどん沈めていく。

 

チュドドドドドドオオオォォォォン!!

 

貫いた順番にどんどん爆発していく。

敵は固まっていたのが失敗してほとんど戦力がなくなってしまった。

 

「す、凄すぎる……どこが最低でもバリアを張れなくするだけだよ

 グラビティーブラストより強いじゃないか!!」

 

ウリバタケがコミュニケの向こうでやっぱりあの回路をいじくったのが悪かったのか?

とか言っていたが残念ながらテンカワには聞こえなかった。

コミュニケで他のエステバリスのパイロット達が連絡してくる。

 

「テンカワ、やるじゃないか!!

 お前の撃墜数が1番を祝っておごってやるよ」

 

リョーコのテンカワの呼び方がコックからテンカワにランクアップしたのも

全てはゲキガンカッター発生装置のおかげだ。

 

「驚いちゃった、こ〜んな感じ」

 

コミュニケの向こうでヒカルがおもちゃで驚かせようとしている。

 

「テンカワ君、どうだった?

 その装置は凄いでしょ!!」

 

「ち、違うでしょうがだいたいなんでこんな物騒なのを持ってるんですか」

 

「お土産で人がくれたのよ」

 

「「「はあっ!?」」」

 

「他のお土産は何だったの?」

 

イズミは他のお土産の方が気になったようだ。

 

「えぇっと、キーホルダーでしょ(何で会社のキーホルダーくれたのかしら?)

 それから工具(トイレの仕掛けをするのにドライバーがなかったからね)と

 花○のバブ(お歳暮じゃないのに)とふぐ(機能テストで漁業したとか言ってたわね)

 だったかしら」

 

「本当にあれと一緒にくれたのか?」

 

沈んだ木星蜥蜴の戦艦を指差しながら問いただす。

 

「う、うん、そうだけど」

 

「何だか、一緒に渡すような物に思えないからね」

 

「一体なんの仕事している人なの?」

 

イズミが聞いてくる。

 

ど、どうしよう、言い訳を、言い訳を考えないと

 

「科学者やっている人なのよ」

 

ミユキが思いついた言い訳はこの程度だった。

 

「「本当にぃ〜〜〜〜!?」」

 

ミユキが返答に困っている時ナデシコは、

 

 

 

 

 

 

「もう誰も私の前を走らせないわよ!!」

 

「あぁーーSOS、SOS、ナデシコは暴走中です」

 

ユリカがメグミに情けない声で助けを求める。

 

「メグちゃん、ミナトさんどうにか止められないかな」

 

「艦長、そういうのが艦長のお仕事なんですよ」

 

「ま〜かせなさい!!」

 

ユリカが胸を叩きながら言う。

メグミがユリカの物体Xを見ながら自分の物体Xを見てため息をついている。

 

「ミナトさん、ミナトさん、もう敵も少なくなってきたからスピードを落としてくれないかな」

 

「邪魔ですよ!!艦長はドーンと構えておいてもらわなきゃ」

 

「え、艦長ってそういうの何ですか?」

 

「当たり前でしょ、さあ、運転の邪魔だから席に着いてて」

 

ユリカは何かブツブツ言いながら席に戻っていく。

 

菩提樹の木の下で悟りを開いたこの私がこんなに悩むなんておかしいわ。

わかったわ、アキトよ、アキトが近くにいない所為なんだわ。

 

お前が悟りを開いたのはバーチャルルームだろうが!!

 

「アキトのエステバリスの回収をお願いします」

 

「他のみなさんも出撃してますが?」

 

「ついでに回収します」

 

「「「ついでにするなあーーー!!!!」」」

 

テンカワとイズミ以外はコミュニケを開いてユリカと口論している。

ユリカが口論している横でプロスとゴートがようやく計算し終わった。

 

「何でこんなに使途不明金が多いのですかねぇ〜」

 

「これは横領じゃないのか?」

 

「まあ、犯人はわかってますのでここは大目に見るという事で解決ですな」

 

「しかし、金額が金額だぞ、これでは本社から文句が殺到する筈だ」

 

「大丈夫ですよ……ええ、本当にね」

 

ミスターの目が虚ろだぞ!!(汗)

誰だ、こんなになるまで追い詰めた奴は!?

 

「はっくしょん」

 

「班長、風邪っすか?」

 

「お、俺は風邪じゃないぞ

 頼む、隔離室には連れて行かないでくれ」

 

「ふっふっふ、おい、

 班長が風邪を引いている可能性がある。お連れしろ!!」

 

「ま、待て、俺は風邪を引いてない、頼む

 もう少しで自動販売機が4体合体可能になるんだーーーーーー!!」

 

追い詰めていた人物は隔離室へと連れていかれた。

 

 

 

 

 

 

無事(?)にエステバリスを回収し終わり火星へと下りる時だった。

 

「見える!!」

 

「え、ミナトさん、何が見えるんですか?」

 

メグミが聞くがミナトは聞く耳を持ってないらしい。

 

「グラビティーブラスト発射よ」

 

「グラビティーブラスト発射準備」

 

ルリがそうつぶやくとエンジンの調子がブリッジに伝えられる。

 

「出力最大、いつでもいいぞ!!」

 

隔離室からある男が相転移エンジンの出力を見ている。

エンジンルームで見る相転移エンジンは爆発寸前だ。(爆)

 

「グラビティーブラスト発射!!」

 

ドゴォオオオオオオオオオオン!!

 

地上で待っていたチューリップは出番が無いまま吹っ飛んだ。

チューリップも雑魚かもしれない。

 

「もう邪魔をする者はいないは、いざ火星に出発よ!!」

 

「艦長、ミナトさんを止めてくださいよ」

 

ユリカからの返事は無い。

 

「艦長?なっ!!」

 

 

メグミが見たのは艦長席にいた艦長という名札をつけたゲキガン人形でした。

 

仕事ぐらいしろ!!あの牛女が!!

 

メグミは物体Xがまだ気になっていたようだ。

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 

あとがき

 これでようやく火星に来る事が出来ました。

 このお話でだいたいキャラクターの役割は決まってきました。

 今までは気分そのままに書いていたダメダメ投稿作家でした。

 そういえば、ジュンはどこ行ったんだろう?

 ミナトさんが動きまくった所為でジュンの影がいっそう薄くなってしまった。

 戦闘シーンが薄っぺらでした。

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

Sakanaさんからの投稿第十弾です!!

俺は今までこれほど壊れたミナトさんを知らない!!(爆)

もう、今回の話のMVPはミナトさんしかいないでしょう!!

このお方の前では、ジュンの存在など・・・(苦笑)

しかし、ゲキガンカッター・・・しかも音声入力(笑)

アキト(未来)、何がお前をそこまで変えた?(核爆)

 

ではSakanaさん、投稿有り難う御座いました!!

次の投稿を楽しみに待ってますね!!

 

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