機動戦艦ナデシコ

『影(シャドウ)』


 

 

 

ナデシコのある一室

 

 

明かりも点けないでミユキがアキトと話しをしている。

 

「……つまり、ボソンジャンプというワープ装置を使えば良いんですね!!」

 

『って、オイ!

 ちゃんと勉強したんだろうな!!』

 

きちんとボソンジャンプ等についての抗議を毎日した筈なのに、

ミユキはきっちりと頭からその記憶が抜け落ちているようだ。

 

「それとナデシコは多大なダメージを船体に受け、

 ただいま、ネルガルの研究所に予備の相転移エンジンを取りに向かっている最中です

 ……ところで……なんでトイレから通信してるんですか?」

 

『……なるほど、

 だけどゲキガンカッターがある限りバッタやチューリップ程度の奴には負けないだろうな』

 

「え!は、はい!!

 テンカワ君が使っているとはいえ、負けることはないでしょう」

 

『良し!!

 それじゃあ、しばらく通信出来ないからよろしく』

 

アキトが長距離コミュニケを切り、

部屋には明かりが無くなり暗くなってしまった。

 

「……しばらく出来ないってことは大の方かな?」

 

ミユキの独り言は誰にも聞かれることはなかった。

っていうかあんまり食事中には聞きたくない独り言だった。(カレーを食べているときとかね)

 

 

 

 

 

その頃、ブリッジでは

 

 

「……踊ってますね」

 

「あれってマイムマイムだよね!!ね?ね?」

 

ルリとユリカの言葉の通りチューリップはマイムマイムを踊っていた。

しかもブリッジの全員が何故かパーティー衣装なのは謎だ。

 

「あれが相手の作戦なのかもしれない」

 

「レーダーに映っていた研究所を回転していたのはこれが原因ですか……」

 

「……さっさとエンジン交換させろ!!」

 

ビクッ!!(ブリッジにいる全員)

 

「ル、ルリちゃん?

 エステバリスの発進をよろしくお願いしまう!!」

 

「はあ、分かりました……でも、もうメグミさんが……」

 

「さっさと出撃しろやタコどもが!!

 ……あ、ゴメンなさい、アキトさんはゆっくり出撃して良いですよ?

 てめえは先に突撃するんだろうがこのヤマダ!!」

 

何故か戦闘をしない筈の通信士が一番エキサイトしているように見えるのは気の所為だろうか?

 

「テンカワさんも大変ですね……」

 

 

 

 

 

研究所の周りにいたチューリップから変わり映えのしないバッタ軍団が飛び出してきた。

しかもそのチューリップはまだマイムマイムをしている。

 

だが数やたらと多かった。

 

視界を埋め尽くすバッタの群れがガイのエステバリスだけを襲う。

 

「うおおおおおぉぉぉぉ!!アキト!!助けてくれ〜〜〜!!」

 

どうしてガイはアキトだけに助けを求めたかと言うと……。

他の連中はガイを助けるどころか好機と見てチューリップ退治に向かってしまったからだ。

 

「どうしてみんな自分勝手なんだよ!!」

 

そう叫びながら全弾をガイだけを襲っているバッタの群れへと発射する。

 

「うおおおおおおぉぉぉぉ!!(バッタ軍団に近づく)

 熱血スラッシュッ!!(まとめてぶっ飛ばす)

 熱血アッパーッ!!(ロケットパンチしただけ)

 熱血コークスクリューッ!!(機体に負担かけまくり)」


 

そしてバッタがひるんだところでガイの訳の分からない必殺技でピンチを回避した。

そうこうしている間にチューリップ退治に向かった連中がようやく一個破壊に成功した。

 

「あれ?

 あのバッタって確かイネスさんが造ったっていう……」

 

ナデシコから勢いよく出撃して来たのはGB(ジャイアント・バッタ)だった。

あの後、改造を施されたみたいで唯でさえ重装備だったのにさらに強力になっている。

全員のコミュニケに通信が入った。

 

『うふふふふふふふふふふ……』

 

アキトは問答無用で通信の音量を最小にした。

なにやら相手が叫んでいるが目に入らないように無視をした。

すると、別の回線から通信が入った。

 

「オイ!!アキト!?博士が音量上げろって怒ってるぞ!!」

 

「うっ!!わ、分かった……(ピッ)」

 

『なんで音量を下げるのよ!!

 ちゃんと人の話しは最後まで聞くものよ!!』

 

「い、いえ、なんだか危なかったものですから……」

 

『……まあ、良いわ、

 あのバッタはレース用に改造した最新型よ』

 

「「「「「「「はあっ!?」」」」」」

 

通信を聞いていた人全員がそう言った。

 

「操舵師のハルカ ミナトが造れって言ったから造ったのよ」

 

「ミナトさんが?……」

 

ルリがそう呟くとそれに応えるかのようにGB(レース仕様)は一気に戦場を駆け抜けた。

しかもミサイルを放ちながら研究所に一直線に向かっていた。

 

「予備のエンジンをよこしなさーーーい!!」

 

相変わらず機体に合わない不格好な主砲から放たれた

すさまじい攻撃に運悪く進路方向にいたチューリップが一個撃沈された。

そしてGBは研究所へと突っ込んでいった。

 

チュド〜ン!!

 

パパパパパパパパパパパパッ!!!!!!

 

ドカン!! ドカン!! ドカン!! ドカ〜ン!!


 

そしてGB(レース仕様)は後ろに相転移エンジンを持って飛び出してくる。

何故かたくさんのバッタやジョロが待ち構えていて攻撃を受けた筈なのに、

 

GBは全くの無傷で飛び出してきた。

 

「どうしてナデシコの時と差が出たの?」

 

オモイカネがルリの疑問に答える。

 

『小回りの効かない戦艦とレース用にしてある車(?)では動きに差が出るんだと思うよ

 ……というかミナトはスピードが出る物の方が運転しやすいのも原因の一つだと思うよ』

 

「ありがとう、オモイカネ」

 

……それで済むことなのだろうか?

 

 

 

 

 

ところがどっこい弾薬も切れてもはや唯のレースマシンとなったGBは

仲間の大半を壊されて自暴自棄になったバッタとジョロの猛反撃にあっていた。

しかし、ミナトも後ろから付いて来る何千というミサイルを振りきろうとする。

 

「お〜し!!援護するぞ!!」

 

「「ラジャ〜!!」」

 

「くぅ〜〜!!

 燃えるシチュエーションだぜ!!」

 

「うるさいよ!!ヤマダ君!!」

 

ガン!! ガン!! ガン!!

 

ミユキがエステバリスの持っている銃でヤマダ機を攻撃する。

その衝撃でヤマダ機は遠くに飛んでいってしまった。

 

「おぉい!!早く援護しないと危ないぞ!!」

 

アキトがそう叫ぶがミナトの操縦テクニックのおかげでまだ無傷でナデシコに向かっている。

だが!!ここでアクシデントが起こってしまった。

 

ヤマダ機がナデシコにぶち当たったのだ。

 

吹っ飛ばされた所為でナデシコに当たったヤマダ機のぶつかった衝撃の所為で

受け入れ準備が整っていたナデシコが傾いてしまった。

つまり出入口があさっての方向へと向いてしまったのだ。

 

そして……ドカ〜ン!!

 

「ミナトさん!?ミナトさん!?返事をして下さい!!」

 

メグミが呼びかけるが全く応答が無い。

エステバリス部隊が事故現場に着いた。

 

「そらよ!!」

 

リョーコがGBの装甲を取って操縦席を出す。

 

ミナトは無事だった。

 

だが、彼女の服はボロボロで見えそうで見えない状態でもあった。

 

映像を見ていたナデシコの男性陣が一斉に映像に食らいつく。

その行為が他の女性クルーの機嫌を損ねると何故分からないのだろうか?

 

「アキト!!アキトは見ちゃ駄目だよ!!」

 

「そうですよ!!アキトさんは見ちゃ駄目です!!」

 

「コラ〜!!テンカワ!!何見てんだよ!!」


 

そう三人から言われたアキトは、

 

「わあ〜!!ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!!

 もう首を曲げさせられたり、これ以上胃の穴を広げたりしないでくれ〜〜!!」


 

ここは戦場である。

なのにみんな油断し過ぎであった。

ミナトがナデシコに帰ってきたということは、

追っていた自暴自棄のバッタとジョロにおまけのチューリップも来ていたのだ。

 

「やべ!!忘れてた!!」

 

「どうするの!?リョーコ?」

 

ヒカルがリョーコに聞くと意外なところから案が出た。

 

「良し!!ここはみんなで母艦を救う為に特攻だ!!」

 

「却下!!私この会社の社員じゃないもん!!」

 

ガイが無謀ならミユキは無責任と言ったところだろうか。

そしてこの状況を打破する一言をイズミ マキが言い放った。

彼女はじっとミナトを見て、

 

 

「見栄を張る象、見え像、見えそう!……クックックックック」

 

 

シ〜〜〜〜〜〜〜〜ン―――……。

 

 

そして戦いは終焉を迎えた。

バッタとジョロ、チューリップの人工知能がイズミの言葉が理解出来ず、

回路がショート、さらに自壊しながら地面へ次々と落ちていく。

ヤマダ機がチューリップに体当たりされて地面に落ちた以外はみんな無事に済んだ。

時間が止まった世界なので一瞬で敵が倒されたように見えただろうが……。

 

「こ、これはどういうことですか!?」

 

「馬鹿な!!あれだけの数を一瞬でか!?」

 

プロスとゴートが先に立ち直って外の光景を見て驚愕の声を上げる。

他のブリッジのメンバーも信じられないという風な表情をしている。

 

「オモイカネ、何があったの?」

 

『記録されてないから回答出来ません』

 

この戦いの後に木連の人達は

「ナデシコには悪魔が潜んでいる!!」「What!?」 ←(誰?)

「漆黒の戦神がいるんだ!!きっと!!」「Oh、My、God!!」 ←(だから誰?)

と噂されるようになった。

 

 

 

 

 

あとがき

 

 第11話終了!!

 

メグミ:「コラ!!何をサボってるんですか!!

     さっさと第12話に取りかかるって下さい!!」

 

 えぇ〜っ!!

 

メグミ:「えぇ〜っ!!じゃない!!

     このままだとアキトさん(未来)の企みが全く分からないじゃない!!」

 

 ちぇ〜――……。

 

 メグミ:「それでは、次話をお楽しみに〜〜〜!!」

 

 

 

管理人の感想

 

 

Sakanaさんからの投稿第十七弾です!!

アキトが動くと、ミユキさんの存在が薄れますね(笑)

しかし、未だガスマスクを被っているのか・・・

よっぽど気に入っているんですね〜

それにしても、コレだけ壊れたミナトさんは初めてみたよ・・・

 

ではSakanaさん、投稿有り難う御座いました!!

次の投稿を楽しみに待ってますね!!

 

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