結構、盛大に出迎えしてもらったし…。

しかも商談も成立!!

はぁ〜、良いこと尽くめで参っちゃうよ…。

え、嫌なのかって?

いや、良いことだなって思ってね、うん。

 

 

 

機動戦艦ナデシコ

『影(シャドウ)』

 

 

 

相転移エンジンを遂に確保したナデシコ。

今はその取り替え作業にウリバタケ率いる整備班は忙しいようだ。

相転移エンジンの回りをちょろちょろと走り回っている整備班を見ることが出来る。

 

「おら、早く取り替えないと日が暮れちまうぞ!!

 さっさと替えて地球へと戻る為にも急ピッチでやれ!!」

 

    「「「「「うっす!!」」」」」

 

ウリバタケが拡声機で怒鳴って作業を早める。

その作業の進行具合をユリカとゴートとプロスが後ろの方から見ている。

 

「どうやら順調に作業は進んでいるようですな

 皆さん、頑張っておられるようですから明日には完成ですかな?」

 

「あったりめぇだろうが!?

 誰が指揮していると思ってんだ?この俺様だぞ!!」

 

ウリバタケが拡声機でプロスに言って来る。

だが、直ぐに作業が遅れているところへ文句を言いに向かって行く。

 

「しかし、これで地球までの距離は飛べそうだな……、

 後は火星から宇宙へとどうやって脱出するのかが問題だな」

 

「えぇ、この前の戦いで回りに無人兵器がいなくなったとはいえ、

 脱出の際にチューリップから敵の増援が来るのは目に見えてますからね」

 

「ところで艦長……その格好は何だ?」

 

ゴートが怒りを押さえながらユリカへと聞いてくる。

しかし、ユリカはゴートを無視して嬉しそうに説明してくれた。

 

「え?この服ですか?

 イネスさん監督の自主製作番組に出てくるキャラクターで、

 他にもルリちゃんがお姉さん役で登場したりするんですよ♪」

 

「ほぉ、それは楽しみですな」

 

「違うだろうが!!」

 

ゴートが遂に怒りを押さえきれずにキレて大声を上げた。

その声に和やかに話をしていた二人が何事かとゴートを見る。

 

「艦長、今は地球に戻れるかの瀬戸際なんだぞ?

 そんな番組を作って流しているような場合ではない筈だ」

 

「それだったら大丈夫ですよ、

 そんなマイナス思考でいたら良い案も浮かびませんよ♪」

 

「まあ、確かに艦長の言うことにも一理有りますな」

 

(毎日プラス思考でも駄目だと思うが?)

 

ゴートがそんなことを思っているとは知らずにユリカは番組の説明をしている。

そんな話し合い(?)が持たれている中、作業は順調に進んでいる。

 

「よ〜し、後は試運転だけだ!!」

 

取り替え作業が完成し喜んでいる現場にミナトがやってくる。

何やらエンジンの取り替え作業が終わったのを見て喜んでいる。

 

「ようやく完成したみたいね」

 

「あ、ミナトさん!!

 エンジンの取り替えを見に来たんですか?もう終わっちゃいましたけど」

 

「フフフ、そうと言えばそうだけどね。

 シミュレーターばっかり運転するのもそろそろ退屈して来たから」

 

「お手柔らかに頼みますよ?

 なにせもう予備のパーツの当てなんてありませんからな」

 

「ウフフ、ミスター大丈夫よ。

 今度は相手の弾をかすりもしないぐらいにかっ飛ばすから…」

 

その言葉にかなり顔を青ざめるメンバー。

ミナトは久々にナデシコを暴走させれるので目を輝かせている。

 

「では、そろそろブリッジで今後の予定を皆で考えますかな」

 

そうプロスが言ったそんな時だった……。

 

    「ウギャ〜〜〜!!」

 

断末魔の悲鳴のような叫びが響き渡る。

発した相手の心配よりも全員自分の耳が大丈夫かを心配する。

自分の声で鼓膜が鍛えられているユリカが一番最初に復活する。

コミュニケで先ほどの悲鳴がなんなのかをルリへと尋ねる。

 

「なんだ、なんだぁ?

 今のやかましい悲鳴は一体?こっちの耳が腐っちまうだろうが!!」

 

「ルリちゃん、さっきの悲鳴は一体何なの?」

 

『はい、あれはヤマダさんです』

 

「ヤマダだと?

 奴はナデシコに激突した時のケガで医務室で寝ている筈だ」

 

『どうやら、その医務室から悲鳴を上げているようですね』

 

ルリがオモイカネに頼んで検索をした結果そこから悲鳴を上げているのが分かった。

何が原因でガイが悲鳴を上げているのかを全員考える。

すると、何故か全員イネスの顔が浮かび上がってきたのだった。

 

「とりあえず医務室に行って見ますか?

 おそらくそこで何かあったのだろうと思いますから」

 

「ねぇ、それより試運転わぁ〜?

 あたしってずっとこの日が来るのを待ってたんだけどぉ」

 

「諦めろ、もしかしたら敵襲かもしれん」

 

ゴートが仏頂面をさらにむっつりさせながら言って来る。

なにしろこれが敵襲だとナデシコは全滅する恐れがあるからだ。

 

「でも、あの人の部屋からでしょ?

 だったら平気よぉー、きっと実験だと思うけどぉ?」

 

「いやはや、これが敵襲だとすると…。

 恐らく敵の狙いはきっとブリッジの制圧でしょうな、

 そして、ナデシコを起動出来ないようにするかも――――」

 

「いっちょ事の真偽を確かめに行きましょうか!!」

 

「うわっ!ビックリしたなぁー、

 きっと実験ですから大丈夫ですって♪」

 

ユリカがミナトへと言う。

それを無視してミナトは壁に暗証番号を入力して銃を取りだし武装する。

 

    ガチャ!!

 

私のマシンが壊れたら大変でしょ!?」

 

かなり邪な動機なのだが…。

他の銃を主要メンバーへと投げて渡す。

その放り投げられた銃を受けとめながらユリカは言う。

 

「おっとっと、でも敵襲と決まった訳じゃ…」

 

「甘い、甘すぎるわよ艦長」

 

「へ?」

 

「もし敵襲だったらナデシコはまたボロボロに…、

 おそらく相転移エンジンも壊れてしまうでしょうね…」

 

「そうなるともうこの火星を出る方法は無くなる……と」

 

プロスがメガネのズレを直しながら言ってくる。

 

「へ?」

 

「時間が経ち過ぎている。手遅れになるかもしれん、

 しかし、医務室が占拠されたとなると不用意に近づくのは危険だ」

 

ゴートがそう言うとウリバタケが待っていましたとばかりに言ってくる。

手には、何かマントのような物を人数分持ちながら…。

 

「ふっふっふ、こんなこともあろうかとぉ!!

 あぁ、こんなこともあろうかとぅお!!

 敵に見つからない為に光学迷彩を作っておいたのさん」

 

全員に作った光学迷彩を渡す。

 

「いや、あのですね…」

 

「さあ、行くわよ!!」

 

    「「「おお!!」」」

 

ユリカを置いて全員医務室へと光学迷彩で姿を消して向かう。

その姿を見ることは出来ないがユリカは彼らに向かって言った。

 

「敵襲だったらルリちゃんが警報を鳴らすと思うんですけどー…」

 

 

 

 

 

中編へジャンプ!!

 

 

 

 

 

あとがき

 

 ま〜だ、火星にいますね…。

 まあ相転移エンジンがぶっ壊れていてはしょうがありませんしね。

 その隙に黒アキトは、旅を続けているのにねェ?

 

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

Sakanaさんからの投稿第十八弾です!!

ここのゴートさんはまともですからね〜

どうも、逆に違和感を感じてしまいますね(笑)

しかし、ミナトさんは相変わらず壊れてるし。

ウリバタケさんは何時ものアレだし(笑)

・・・無事に火星を脱出できるのかな?

 

ではSakanaさん、投稿有り難う御座いました!!

次の投稿を楽しみに待ってますね!!

 

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