機動戦艦ナデシコ
『影(シャドウ)』
『はぁー…アキトも人遣い(?)が荒いよ』
そうぼやいたのは、ダッシュであった。
今、ダッシュが一体、どこにいるのかというと火星極冠遺跡であった。
何故、ダッシュが火星極冠遺跡にいるのか?木連にユーチャリスで行ったんじゃないのか?
ボソンジャンプも瞬間移動もできないのに遠く離れた木連と火星を移動したのか?
『でも、フラクタルを使って移動するのは、肩が凝ったよ(もみもみ)』
つまりは、フラクタルを仲介して木連から火星へと移動してきたのであった。
木連に移動する最中、フラクタルが忍者の五色米のように宇宙に放置していった訳である。
フラクタルがブラックサレナと同じ黒い色をしていたのは、隠密性も一応、兼ねていたのである。
断じて、アキトの趣味の延長線……というわけではない。(ホントだよ?)
もし、フラクタルが木連、地球連合に見つかった場合攻撃され、最悪の場合は、落とされてしまうだろう。
その場合、ダッシュも落とされるから考えられる策を入れておいたのである。
だから、黒というわけである……ホントにアキトの趣味じゃないからね?
『でも、本当はもっと楽だったのになぁー…』
「ダッシュ、ゴメンねェ?」
『別に良いよ、ラピスも中学生に入って反抗期を迎えたのだろうし』
・・・。
ラピスがもし家出をしなければ、このようなフラクタルの使い方はせずに済んだのである。
【第9話 後編】でアキトとラピスが遊びながら木連の連中と待ち合わせをしていた時のことだが、
あの時に、本当は、ラピス一人でユーチャリスを操縦して木連へと向かうはずだった。
ところが、家出してしまったせいでその計画がおじゃんになってしまったのだ。
アキト一人では、ユーチャリスは動かせない。なのでわざわざダッシュが移動させたのだ。
その移動させた距離をまた逆戻り、人遣いが荒いとぼやくのも無理はない。
さらに戻った後に直ぐに…。
『遺跡の乗っ取りだもんなぁー』
「ゴメンってば、私もちょっと大人気無かったと思うし」
『うん、それじゃ遺跡の乗っ取りも完全に終わったし、後は他の奴に任せて僕は帰るよ』
「うん、バイバイ」
そうダッシュが呟くと現れるウインドウの数々。
これが、ダッシュの言っていた他の奴なのだが、こんなにどうしているのか?
火星の大地にアキトが【第9話 中編】でコソコソと埋めていた物、その正体こそコレである。
ダッシュの人格のコピー。
通称 : コダッシュである。
だが、ダッシュとは違い喋れるわけでもなく、主人格のダッシュの命令には絶対服従である。
この連中の指揮を取り、遺跡との電子戦をやり遂に遺跡の乗っ取りを完了したのである。
後は、火星戦力の運営、遺跡の抵抗の見張り、または鎮圧が彼らの仕事である。
『それじゃあ、バイバイ』
ダッシュが呟いてしばらくすると遠くで勢い良く火星からシャトルが脱出する。
その際、コダッシュの操る黒いバッタ達が全員で白いハンカチを一生懸命振っている。
シャトルは、遠くから発射されたので遺跡の外で見ているラピスのところまで衝撃破は来ない。
ラピスは、そのシャトルが作り出す白い雲とシャトルを見ながらじっと見ながら思っていた。
ふと、ダッシュの言った「反抗期」という言葉が脳裏に浮かんだ。
(別に反抗期を迎えたわけじゃないヨ。
ただ「違う未来が見たい」って、
言ったアキトの言葉が、
どこまで本当のことなのか…、
それと未来を見てどうするのか?
それを私にも教えたり言ったりしてくれないからさ…、
だから、ほんの少しぐらいわがまま言っても良いよね?)
しかし、その問いかけに対して誰も答えは返さない。
唯一、正しい答えを出してくれそうなダッシュにも言わなかった。
「だから、いろいろと注意を引こうとしたんだけどネ」
見ていた黒バッタに入っているコダッシュに微笑みながら言った。
コダッシュは、人格がないが反応を返すぐらいの愛嬌は持ち合わせているので首を傾げた。
火星の空を見上げると、自分の悩みを包みこむぐらい青かった。
「……アキト」
呟いてからシャトルも雲も完全に見えなくなったのを確認してから遺跡内部へと向かった。
そして、遺跡の中央部にやってきたラピスは、コダッシュに命令してある映像をださせた。
「アキトもこんなボソンジャンプの使い方しなくても……」
ラピスの周りにでてきた映像は、アキトの腹から生えたり、壁から生えたりする映像である。
そう、ラピスの言う通り、これらは、全てボソンジャンプであった。
その名も先行ボソンジャンプ!!
体の一部、または、物質の一部を先に目的地に先行してボソンジャンプ。
後に他のパーツをボソンジャンプさせるという裏技である、いや、荒業という方が正しい。
それを可能にしたのが、先ほどの遺跡を乗っ取ったダッシュ指揮するコダッシュ軍団である。
「ダッシュに遺跡の演算処理を操作させ、ボソンジャンプ特有の虹色の光を最小限に押さえ、
さらに生物を二つに分けるという実際には、絶対に起こらないはずのボソンジャンプを可能にする」
ラピスがその映像を見ながらそう言った。
「そして、場所を―――」
頭の上の映像を触ってからラピスは、続けた。
「少しでもずれたら生物に致命傷を与える怖いボソンジャンプ……」
あとがき……という名の座談会
Sakana(以下:S):「遂に第13話をお届けしました!!(ビシッ)ここまで付き合ってくれた皆さんありがとうございます!!」
メグミ:「あぁー…はいはい、第13話にきましたね」
S:「ど、どうしたんですか!?出番があったじゃないですか!?なのにそのやる気のなさそうな声は!?」
メグミ:「何が出番じゃぁー!!しかも全く謎解きになってませんよ!?逆に謎が増えてますし!!」
S:「そ、それは、作者にもいろいろと都合があってですねぇー…、
それに他の書かないといけないのとも合わさって近頃、大変なんッスよ!?(アセアセ)」
メグミ:「やれやれ、このチェンソーの出番が来てしまいましたか(フゥ)―――チュイーン!!!!!」
S:「みぎゃぁーーー!!!!!」
描写不能にまでコマ切れにされた作者を置いて舞台の幕が降りる。
代理人の感想
ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ、ガッチャ・・・・・・・・・・・・・・・
しびびぃ〜む!
ってものだと一瞬思いませんでした?
思いましたよね、「先行ボソンジャンプ」!
・・・その実体は結構怖い代物な訳ですが。
それにしてもこの話、ガスマスクアキトを筆頭にメグたんは腹黒度が急上昇、
ミナトさんもますますイイ感じに壊れてきて楽しい楽しい。
さあ、次に壊れるのは誰だ(笑)?
しかし「五色米」って・・・歳がばれますぜ(笑)?