時の流れの迷い子達
プロローグ
風が吹く。
赫い風が。
人々の怨嗟の声が混じった風が吹く。
風は砂埃を巻き上げ、沈黙した都市の間を駆け抜け、全てを虚ろう時の流れの中に風化させてゆく。
この星で幾つもの戦いが起こり、幾千、幾億もの人間が散り、この大地は再び赫く染まった。
この星に最早生命の息吹は無く、ただただ荒れ果てた荒野と、荒廃した都市群が砂に埋もれずに僅かに地上に姿を見せていた。
かつてこの星の上で生活していた人々は、自らの大地をこう呼んだ。
すべての災厄の眠りし地『火星』と・・・
ここより、悪夢は蘇る・・・。