機動戦艦ナデシコ <黒>
 06.「運命の選択」みたいな→遠き「火星」の大地

 

 多対一の原則。
 まず圧倒的な戦力で包囲、反撃を許さず一斉に攻撃、敵を殲滅。これが理想だ。この場合、自己の側の損害には目をつむる。無人兵器を主勢とする木星蜥蜴ならではの戦法とも言える。
 無人兵器もこれに則り、ナデシコにグラビティ・ブラストの集中砲火を浴びせる。最新鋭機の意地からか、辛くも耐え切るが、かかる負荷は計り知れない。
 ここでナデシコからエステバリス隊が出撃した。

 ゴウッ!
 激しい閃光を上げ、エステバリスが飛翔する。
『くらえっ!!』
 リョーコがガトリング砲を乱射する。
 う゛ぁららららららららららららら・・・・
 この過密状態なら、大体のところを狙っただけで敵に必ず当たる。
 宇宙の闇を背景に、真紅の花が咲いて行く。
『へっへん、どんなもんだい』

 ダダダダダダダダダダダダ……
 ダダダダダダダダダダダダ……
 両腕に構えたライフルが火を噴いている。フルオートにされたそれは、ナデシコからのエネルギー供給を受け、弾数は無制限。殆ど何も考えずに、敵を討つことに集中できる。
 360°の視界と呼ぼうか、ヒカルはそれを持っていた。
 敵の姿を見て、確実に動きを見ているのだ。
『えっと、こっちとそっち……次はあっち、っと』
 気楽に敵を撃ち続けている。
『イズミちゃん、そっちは?』

 しゅっ……バアアアアアア!!!
 投げたそれは閃光弾、ほんの僅かの距離飛ぶと、激しい光を辺りにまき散らした。
 激しい光は、光学センサーの死んだバッタに、センサーが切り替わるまでの隙を作った。
『……遅いわね』
 ドン! ドン! ドドン!! ドン!!
 性格からか、シングルアクションの銃を撃ち放っていく。
 左手に多連装ショットガン。
 右手にルガーを思わせる古風な銃。
 使い終わった事を確認するとウェポンラックに戻し、今度はラピットライフルに戻してまた撃ち始める。
『つまらないわ。……私はこう……一撃必殺の方が好みなのに……』
 目には物騒な光が見える。それは『狩る者』だけが持つ光だった。

 ゴウッ!!
 激しい光を撒き散らしながら一直線に飛ぶ機体が。いや、一直線ではない。
 パシュッ! ……プシュ。
 瞬間的にスラスターを作動させ、螺旋を描きつつ、彼の目に映った敵機を明確に狙い、最短の距離を飛び……

 バキャアアアア!!
 交差したはずのバッタを一瞬で、すれ違いざまに破壊。
『んー……やっぱ必殺技にゃ名前がねえとな……』
 ゲキガンフレアも、ゲキガンパンチも、ゲキガンソードも違う……そうぶつぶつと言っていた。
 そしてそのまま、十機ほどバッタを切り裂いたとき、彼の頭上に天啓の如く閃いた。
『そう、そうだ!! これぞ俺様の真・必殺技……『ガイ・クロウスラッシュ』だっ!!』
 そして、周りの人間が引くようなことを叫ぶと、彼はまた次の獲物へ目掛け飛んでいった。

 だが。
 アキトは戦いながら、左手で顔を覆っていた。右手はIFSターミナルを硬く握りしめ、割り砕かんばかりだった。
 全身から汗を流し、左目からは極度の緊張により毛細血管を破損、血の涙さえ流していた。
 目の前には、火星。
 そして……敵、あの日の火星を作った。そう、敵だ。
『やめろ……思い出すな。今、戻ったら、俺は……』
 目の前で、貫かれるコクピット。駆け付けたとき、上半身がなかった。生々しい、血を吐き出す下半身だけだった。
 医務室で息を引き取った男。全身を包帯に覆われ、傷口には蛆さえ見えた。
 通っていた高校、その廃墟。空々しい寒さを感じさせた。
 子をかばいながら、その子供もろともバッタに殺された母子。
 ……自分を、かばい、死んだ、師の姿。
 もう、何を叫んだのかも、忘れてしまった、目に焼き付き離れない故郷、火星。
 目が見開かれた……瞳孔は完全に開き、常軌を逸していく。
『ああ……あああああああ!!!』
 そこで、アキトの意識は、闇に沈んだ。

『ヒカル! イズミ!』
『はいはーい♪』
『……やるわよ……』
 リョーコ・ヒカル・イズミの三人は集結し、陣を組む。
 宙を舞い、引き寄せられたバッタを残った二人がフィールドを纏って撃破する。
 たったそれだけで、宇宙には赤い花が華開いて行く。
『ほーら、お花畑だぁ〜』
『……ふざけてると、死ぬよ』
『あ〜まった、シリアスイズミかよ。最近ずっとだな……』
 リョーコの軽口に、イズミがただ、こう返した。
『あなたには気配を読む能力がないからね。……テンカワ君を見ていれば、ふざけている余裕なんて無いわ』
『え? アキト君? ……人畜無害を絵に描いたようなあの?』
 ちなみにヒカルにしてみれば、遊びに行ったときに見る、ガイと一緒に全力で遊んでいる姿や、ホウメイ料理長にしごかれている姿の印象が強すぎるのだ。
『……そういや、テンカワは?』
『『気になるの? リョーコ』』
『バッ!? 馬鹿言ってんじゃねえ! アイツが心配なだけだ!!』
『『ほう、心配……』』
『だぁ〜もう、違うッ!!』

 アキトは、動いていなかった。
 機体は宇宙を漂い、フィールドの上からとはいえ、撃たれるがままだった。
<火星>
<木星兵器>
 うつむき、表情の見えないその顔。乾いた涙の跡は、血の色をしていた。
<父の死>
<母の死>
 ぽたっ・・
 一滴、血が滴る。
<師である龍馬の死>
 そして。
<最後に見たシェルターの光景>
 そして、顔を上げたとき、アキトは、居なかった。
 居たのは、獣。
 癒えることを知らない、乾いた獣だった。
『バーニア、リミッターカット』
 制御されていたものが、解き放たれ、その暴虐とも言える力を示す。
 ゴウッ!!
 激しい衝撃と共に機体が、明らかに設計外の速度で翔ける!
 機体の軋む音が聞こえ、かかるGに肉体は圧迫され、本能が危険を知らせる。だが、それでもなお加速を続けるそれは身を守るはずのフィールドを用いることさえなく、敵に肉薄し、敵……いや獲物をその手で切り裂いた。
 スラスターを使い、慣性を無視、見定めた次の獲物を狙う。
 ピシ……ビッ……ベキャッ!!
 耐えられなくなった装甲の一部が歪み、剥がれ落ちる。
『ブレード、チャージスタート』
 手に持った大剣が、全てを拒絶する場を作っていく。敵を、滅ぼすためだけに。

 

 異変に最初に気づいたのはパイロット達だった。
 アキトの様子の異常さに。
『何やってんだアイツ!?』
『まさか特攻!!』
『死ぬ気?!』
『くそ!! 俺も行くぞ!』
 驚いている三人を無視し、ガイはアキトを制し、自分が止めを刺そうと飛び出していった。
『おい、ヤマダ!!』
『俺はっ、ダイゴウジ・ガイ、だぁあーーっ!!』
 背にあるバーニアが激しく光を放ち、加速を、負荷をかけ戦場の奥深くへとガイを運んでいった。
 だが、アキトとの差が縮まる事はなかった。

 そして、ブリッジもまた、気づく。
「砲戦改、シグナル…レッド!」
 機体からの救助信号をキャッチしたメグミが悲鳴を上げる。パイロットが、異常事態に陥ったことを知らせるための信号……それの意味は気絶・ショック状態・そして、死。
「そんな、アキト!?」
 ショックを受けたユリカが一歩、また一歩と後ずさり、床に座りこむ。
「ユリカ! ……メグミ君、エステバリス隊に連絡、テンカワを回収してくれ!!」
 倒れ込んだユリカを、ジュンが支える。
「スバルさん聞こえますか? テンカワさんが……」
「待ちたまえ」
 その時、行動を止めた者が居た。
 提督、フクベ・ジン。その目には、理知の光があった。
 メグミはその光に射竦められ、動きを止める。
「座標を見なさい」
 砲戦改は異様な動きを続け、段々と、段々とだが、旗艦と目される戦艦へと近づきつつあった。
「エステバリスとの通信は?」
「今やって……拒絶されました!」
「カメラの映像を持っては来られるかね?」
「やってみます」
 その言葉と共に、ルリの両手に刻印された印が光を放つ。

 映し出された、戦場。
 激しくぶれる視界の中、瞬間見えた、敵の姿。
 刹那の速度で交差する生と死。
 腕……装甲が剥がれ落ち、ひしゃげた……が振り抜かれ、ただそれだけだった。
 振り返ることもなく、再度斬りつけるでもない。
 目に映るそれを敵と認識する暇もあればこそ、次の瞬間には破壊していた。
 ……ブラックアウト。

「交信できません。通信系にロックをかけられました」
「いや、良い。もう分かった……」
 そう、フクベには分かった。
 この戦いは、死を前提としていることが。
 帰ることを考えず、ただ、全てを破壊するための戦い。
 そして、それを見、彼はこう、誰にも聞こえない声で呟いた。
「死を望むな、若者よ」
 自らの姿を、重ね合わせて。
「まだ、すべきことは残っている」
 誰とでも語り合い、笑う……そんな彼はまだ死ぬべきではないと思い。

 

 

 地上におけるネルガルの施設、オリュンポス砦。元々は単なる研究所であったそれは、木星蜥蜴の襲来と共に要塞へと姿を変えた。しかし、現状において唯一木星蜥蜴に対抗出来る力を持つそれは、既にその威容を失いつつあった。
 限界まで改良されたエステバリス数機と、ナデシコ級のために用意された多連装グラビティブラストも、残るは二門だけ。

 総責任者不在の中、現在のトップであるタニ・コウスケは、この緊迫した中、新たに起きた事件に頭を悩ませていた。
 それは火星宙域において戦闘が始まったこと。
「……地球側の識別反応はいくつある?」
「一つだけです」
 艦隊の到来を期待しただけに、落胆は酷い。
「ここから援護は出来るかい?」
「距離が遠すぎます。収束率は12%以下に落ちますからディストーションフィールドに弾かれます」
 結果として、静観しかできないことになる訳だ。
「……現状維持か。ところでイネスさんは?」
「地下最下層……<龍皇>の間です」
「あそこか……」
 かつて火星を守り続けた英雄の中の英雄。彼の愛機<龍皇>。それは誰にも扱えず、最強と呼ばれた者は触れようとさえしなかった。
 何時しかそれは神の如く敬われ、眠り続けていた。

 また、ユートピアコロニー跡地。
 もう、地上には誰もいない。火星の陥落以降、町に住む人間が誰も居なくなったとはいえ、それ以上の寒々しさを感じさせる光景だった。
 付近一帯には幾つもの木星蜥蜴の残骸がある。

 そして、地下。
 粉々に打ち砕かれ、血の跡の残るシェルター、その一つ。そこにイネス・フレサンジュは、数人の護衛と共に居た。
 しゃがみ込み、そっと床に触れる。
「あの日、ここでボース粒子の反応があったわ。それ以来アキト君は行方不明。何がボソンジャンプのキーになるのか分からない以上、他にいたはずの人達は生死不明」
 分かってはいた。けれど、言葉に出して無理矢理その事実を飲み込んだ。それは、信じられないから、信じたくないからだ。
 そして、ここには、主を失った者が鎮座していた。
 それこそがEX01、もっとも古い、しかしネルガルの全ての英知を結集し生まれた、全ての機体の上に立つ存在。
 あの日、主を失ったそれは今だ眠り続けていた。
 ダダダダダダ……!!
「フレサンジュ博士!!」
 現れたのはうら若き女性、フィリス・クロフォード。白雪のごとき肌と、銀の髪を持っている。
「……どうしたの? 今の私達には驚いている余裕なんて無いのに」
「……火星のすぐ近くで戦闘行為が。それと、テンカワさんの識別反応がそこから……」
 その言葉にEXが打ち震えたのは、錯覚だったのだろうか。
「そう……ナデシコね。テンカワ君の性格なら、きっとここに来る……EXを運んで! 改修行程を説明するわ!!」
 にわかに活気づく。
 そう、火星は滅びに瀕していた。もう、木星蜥蜴の攻撃に耐える力もない。
 だからこそ、それがきっかけになった。
 彼らは再び、戦うことを選んだのだ。

 

 

 目の前にあるのは破壊すべき標的。
 目の前にいるのは敵。
 敵を赦す理由など無い。
 ブレードを両手で構え、全ての力をそこに集中させる。
 宿った力はただ一点、そう、ただ一点に集中した。宇宙の闇の中にも分かる、一切の光を通さぬ真の闇の姿が現れる。
 ゴウッ…ズザザザザザザザ……シュバアッ!!
 突き抜けた。
 まるで熟した果物のように、研ぎ澄まされた刃物のように、エステバリスは、敵戦艦、その機関部を難なく、一切の抵抗を感じさせることなく。
 一瞬の間を置き、火柱が上がる。それは船体を舐めるように広がり、あちこちで誘爆をくり返した挙げ句、周囲の戦艦を巻き添えに戦場を炎が埋め尽くしていった。

 ピーッピ−ッピ−ッピ−ッ……
 激しく鳴り続けるアラームと、視界を埋め尽くすレッドシグナル。
『……終わりか。随分呆気なかったな』
 見なくとも分かる。空気が薄くなっていること、推進剤ももう無いことは。怒りに支配された自分の愚かなことさえ。
『……結局、見つけられなかった……これじゃあっちで師匠に殺されるな』
 地獄だろうと、天国だろうと……師匠なら必ず追いかけて、自分を殴り倒すだろうと。
 それを想像して苦笑する。
『その前に俺が殺してやろうか?』
 接触回線で、見慣れた顔が現れる。
『……遠慮しとく。まだゲキガンガー最後まで見てないからな』
『これで借りを一つ返したぞ』
『そう、だな』
 サセボの時とは逆に、ガイがアキトを抱えてナデシコに連れ帰った。それは12分後、砲戦改の酸素が切れるぎりぎりの時間だった。

 

「前方の敵80%消滅。降下軌道取れます」
 現れたウインドウを指で軽く弾くと、それは真っ直ぐミナトのところまで進んで止まった。
「どうぞ」
「サンキュ、ルリルリ」
「えっ…?」
 軽くウインクを飛ばすミナトに戸惑うルリ。
「さ、みんな用意は良い?ちょっとサウナになるわよ〜」

 

 ナデシコに降り立った砲戦改、その損傷は凄まじいものがあった。
 ブースターは焼き付き変形を起こし、装甲は加速の衝撃でひしゃげ、また剥がれた。ブレードは過負荷で半ばから折れ、唯一無事なのは素材そのものから根本的な見直しをされた<竜牙>だけだった。
 そして、パイロットでもあるアキトの憔悴もまた、激しかった。
 キャリアに寝かされた機体からアキトが降りてこないのを奇妙に思ったリョーコが見てみると、ぐったりとしたアキトの姿があるだけ。
「お、おいテンカワ!?」
「ちょっと肩……貸してくれないかな?」
 慌てたリョーコがアキトを下ろしたとき、アキトは集まってきたパイロット達、整備員達の前で頭を下げた。
「…ごめん。謝っても赦して貰えないかもしれないけど……」
「テンカワ。お前……何であんな事をした? 俺達が機体を作るのはお前達を死なせないためだ。自分から死のうとする人間に乗せる機体はない」
「そうだよ。それをカバーするアタシ達の身にもなってほしいな〜」
「……言いなさい。あなたは何故あんな事をしたの?」
「そりゃ決まってるだろ? それがヒーローってもんよ! それを助ける俺もな!」
 バキイッ!
「「「「お前は黙ってろ!!」」」」
 そのガイの姿を見て、ふっと笑い、呟く。
「火星が見えたんだ。……思い出したんだ、あの時のことを。そうしたら、押さえられなかった」
 手で、顔を覆う。
 そのアキトの顔に張り付いていたのは哀しみではなく、怒り。それは自分自身へのもの。

 

「火星大気圏内、相転移反応さがりま〜す」
 火星の大気を降下し始めるナデシコ、その向こうに輝くものが見え始める。
「何、あれ?」
「ナノマシンの集合体だ」
「自己増殖機構を備えた小さな機械、火星の大気組成を地球のものに近づけるためにナノマシンを使ったのよね……」
「そう、今でもああして火星の大気を一定に保つと共に、有害な紫外線を防いでいるのです。その恩恵を受けるものがいなくなった今でも」
 この時、誰かが気づくべきだった。
 ナデシコは元々避難民の救助のために火星へと来たのではなかったのか、と。
 このプロスペクターの言葉は、何かを知っているからこその言葉ではなかったか。もしかしたら本当の、ナデシコの理由を聞ける可能性もあったのに。
「グラビティーブラスト、スタンバイ!」
「いいけど。どうせなら宇宙で使えばよかったじゃない」
「地上に第二陣がいるはずです。包囲される前に叩きます」
 ナデシコは火星の大気を大きく揺らしながら艦首を下に向け、砲撃体勢にはいる。
 そして、それはユリカの推測通り、地上のチューリップを、そしてそこから吐き出される無人兵器を破壊するのだった。
 しかし艦内では。

「うああああ」
 悲鳴が上がる。
 ここ、格納庫では、疲労のためロクに動けなくなっていたテンカワをかばってリョーコが、滑り落ちそうになっているヒカルをガイが抱き留め、何故かガイを支えるイズミの手は襟の位置にあって首を絞めていた。
「じ、じぬ……じんでまう……」
「ちゃんと重力制御しろーっ!! それに何でナデシコが降下してるんだっ!?」
 動けない中、アキトは叫んでいた。

 その少し上ではウリバタケが梁にぶら下がっていた。
「テンカワのヤツなんてイイ思いを……しかもヤマダまで……」
 上から見た彼らは、アキトに覆い被るようにリョーコが、ヒカルを抱きしめたままのガイが。ガイの首を絞めているイズミの姿は無視。
 うらやむのも無理はない。

「チューリップ消滅。半径30km以内に敵影ありません」
「…金属反応……あら? これってエステバリスかしら?」
 安全性を言うルリに続き、レーダーを見ていたミナトがそれを見つけた。
 近づくに連れ、はっきり見える距離に来て分かった。はるか遠くに見えたそれは、確かにエステバリス。何十機とある。
 しかし、どれもこれもが破壊され、中にはアサルトピットが全壊している物も。
「何なのかしらこれ?」
「……墓場だよ」
「アキト! 大丈夫なの!?」
 ドン!……ごん。
 肩を貸していたガイをはじき飛ばし、アキトに駆け寄るユリカ。その所為でアキトは床に膝を突き、ガイは鈍い音を立てて倒れ込んだ。
「アキト、しっかりして……そうだ、こんな時には人工呼吸!」
「するな!!」
 力の入らないその手で、なんとかユリカの顔を近づけさせまいとするアキト。
 千載一遇のチャンスとばかりに目が血走っているユリカ。
 ハンカチを噛むジュン。
 記録するオモイカネとルリ。
「ね、テンカワ君。お墓って、どういう事なの?」
「……連合が…逃げ出した後……戦った人達がいた…その人達の墓、だよ。あの足下に眠っている。エステバリスは……墓標だよ」
 言っていることと、表情はシリアスそのもの。
 しかし、全身を流れる脂汗と、襲われそうになっているその状況は喜劇そのものだ。
 スパァン!
 ギリギリ……という音が聞こえてきそうなアキトとユリカの攻防は突如ルリの介入によって終わった。その手にはメグミの持ち込んだ雑誌が丸まっている。
「ぜーはー、ぜーはー」
「艦長。ここ、真面目なところ」
「はい」
 はっきり言って、この時のルリは怖かった。トリップが実力行使に変化したユリカを正気に戻させるほどに。
「ミナトさん、……何機、ある?」
「えっと……12機……」
「また、誰か死んだのか……」
 アキトは、苦しんだ。
 もしも自分が飛ばされていなければ、生きていたかもしれない誰かが……死んだことに。

 

「これより上陸班を編制し、「揚陸艇ヒナギク」にて地上に降りる」
「どこに向かいますか? 軌道上から見る限り生き残っているコロニーはなさそうですが」
「まずはオリュンポス山の研究施設に向かいます。我が社の研究所は一種のシェルターでしてね生存確率が高いものですから」
 プロスペクターがそう提案したとき、アキトが口を挟んだ。
「俺はユートピアコロニーに行きたい」
「生まれ故郷の?」
 ユリカがその言葉に反応する。
「……」
「何を言っている。戦力を分散させられるか」
「チューリップの勢力圏ですよ」
 反対するゴートとプロス。しかしアキトは、望みを繋ぐため、もう一言続けた。
「分かっています。でも……もし、この火星で生き延びるなら、砦かシェルター、つまりオリュンポス山かユートピアコロニーだけなんです」
「? アキト、どうしてそんなこと知ってるの?」
「今はまだ、言えない」
「しかしその体では……」
「それなら私が……准看ですが、資格もあります!」

 

 結局、三班に分かれることになった。
 オリュンポス山を目指す揚陸艇ヒナギク。もしものためにパイロットが三名。
 ユートピアコロニーへ向かうエステバリス。パイロットのアキトと、介助のためのメグミ。
 そしてナデシコ。
 ちなみにガイはまだ目を覚ましていない。

 

 格納庫に残った男達は憤りを感じていた。
「……なあ、テンカワばかり何故モテる?」
「最近はヤマダの奴もヒカルちゃんと仲が良いって聞きますけどね」
「何故パイロットばかりが……何故俺達に女っ気がないんだ!!」
「班長、これを」
 そう言って、一人の男が見せたのは……「契約書」。
「……やるか?」
「「「やりましょう」」」

「問題ですよね! これは!」
「良いんじゃない? 敵さん来ないし。通信士くらいいなくっても」
「それは……そうだけど……」
 ミナトがあっさりとかわした事で、ユリカはいきなり唸りながら百面相を始める。
 そして、何を思ったか立ち上がったところで、フクベが誰何する。
「どちらへ?」
「……そうだ! ジュン君艦長代理やってみない?」
「ダメだよ、そんなの」
「ちぇ……そうだ!」
 ポン、と置かれたゲキガンガーのぬいぐるみ。胸にはひらがなで「かんちょう」。
「じゃ、そう言うことで!」
「だぁ〜めっ!」
 ジュンが投げつけたゲキガンガーがルリの眼前まで飛んでいき、ぽて…と言った音を立てて止まる。
「アンタの方がマシかもね」
 結構辛辣だった。
 ミスマル・ユリカ、ついに無機物に負ける。
「なら……なら、ナデシコ発進!! アキト達を迎えに行きましょう!!」
「ばか」
 非常に簡潔に、だがユリカを的確に捉えたその一言は、絶対零度の冷たさを持っていた。
「る……ルリちゃん?」
「テンカワさんは避難民のところに行ったんですよ?」
「だからナデシコで迎えに!」
「……おばか。……提督はどのように思われますか」
 火星に来てからずっと、考える素振りを見せるフクベに……話を振る。
「ここに居るべきだ。ナデシコは木星蜥蜴をおびき寄せる」
「倒せばいいだけじゃないですか。ナデシコになら出来ます!」
 ジュンはユリカをかばうように立つ。
「バカ二号」
「……いいかね、艦長、副長。ナデシコが無事でも、避難民が無事とは限らんのだよ」
 視野狭窄。
 アキトを思うユリカ。ユリカを思うジュン。本末転倒としか言えない。
 二人が自分の視野の狭さに、その意味に気づいたとき、また話が変わる。

 ドガ!!
 突如なだれ込む整備班。その手には思い思いの武器を持っている。
「な、何ごと……です!?」
「見てわからんか! 俺達こそが革命の志士!!」
「そう!! 今こそネルガルの……」
「圧政に終わりを告げるときだぁっ!!」
 バッバババッ……
 音を立てて構えられる銃。そして「ネルガル社内規定」を書いた契約書。
「俺達は! 今ここに、内容の改訂を請求する!」
「最高責任者、フクベ・ジン提督! アンタには、ここに「サイン」をしてもらうぜ」
 パイロット達の格納庫での姿。それを見た彼らの目は常軌を逸していた。

 

 

「はあ〜。これ、どう見ても要塞よね……」
 ヒカルが研究所を見上げ、呆然とした面持ちでこぼす。
 眼前にあるのはピラミッドのような形状の建物。巨大な砲門をいくつも従え、さらには遠くに砕け散った、原形を留めていないチューリップの姿が見える。
「行ってみましょう。テンカワさんの話だと、あそこに火星の戦力は集中しているそうですから…人が居るはずです」
 ボンッ!!
 向き直った瞬間、足下が爆ぜた。
 そして、その向こうには武装した兵士の一団が。
「動くな。これは対無人兵器用に作成した代物。一発で楽に死ねるぞ」
「な、これ……どういう事?」
「私に聞かないでよ……ね、イズミちゃん?」
「……プロスさん」
「私もこのような状況は想定外でして……」
 プロスペクター達は、生き残っていた人間を見つけたと思った時には完全に囲まれていた。詳しいことは分からないが、撃たれたら即死するような砲座まで自分達を狙っているとなれば、下手に動くことは出来ない。
「警告する。自らの所属を告げ、訪問の理由を述べよ。沈黙は否定、敵対行為と見なし射殺する」
 さらっと、銃を構えた男の一人が言ってくる。
「3.……2.……」
「ちょ、ちょっと待ってくれ! 俺達は地球から来たんだ! アンタ達を助けに!」
「……所属は?」
「ナデシコ、ネルガルだ!!」
「まあ良い。……付いてこい」
 そう告げると、銃が引かれる。
 また狙われては敵わないとばかりに、付いていくことにする。
 彼らは歩き続けながら問答を続けた。
「……何故、ここに来た」
「それはアンタ達を助けに……」
「建前は要らない。本音を聞いているんだ。……プロスペクターさん」
 知っているんじゃないか、とは心の内の声。
「何かあるの?」
「……回収です」
「何を回収するんだ?」
「……それは企業秘密でして」
 質問をはぐらかそうとするプロスペクターだが、銃を持つ男はあっさりと答えてしまう。
「遺跡だよ。この火星、いや……全ての始まり、かな? ま、この戦争を終わらせることの出来るアイテム」
 余りに荒唐無稽な答え。しかし、この極限状態と、彼の声色が真実の響きを持たせていた。
「そんな物があるのなら、何で使わないの?」
「何が起こるか分からない物を使えるか? 前会長がテンカワ博士を殺してからこっち10年、誰も手出しできないんだよ」
 言葉を続ける。
「何よ、それ……?」
「言葉通りだ。だから隊長がナデシコに乗っていることが分かったとき、本気で驚いたよ」
 10分ほど歩き続けただろうか。通路と、幾つものエレベーター。執拗なまでのセキュリティ・チェック。
「……一つ目は、ここだ」
 カシュ。
 スリットに差し込まれたカードが音を立ててスライドされる。
 彼らの眼前に、それは現れた。
 巨大な鉄の柱。しかしその柱の形は木星蜥蜴の戦艦に酷似していた。
「ナデシコの始まり……ですね」

 

 荒涼とした大地にたった一つ、チューリップが大地に突き刺さっていた。
 それを眼前に望む位置にエステバリス……アキトは立っていた。既に動きに停滞はない。
「……寂しい光景ですね」
「だからみんな戦っているんだよ。……みんなね。そうでしょ、イネスさん」
「えっ?」
 驚いて振り返ったメグミの先に……マントを纏った女性の姿。フードの隙間からは金色の髪が見えている。
「ばれてたか……流石ね」
 茶目っ気を含んだその声と共に、フードが下ろされる。
「生きているとは思っていたけど……どこに行っていたの?」
「それを説明するために来たんです。そして、確認するために」

 

 膠着状態に陥ったブリッジ。
 相変わらず銃を構えたウリバタケ。しかし、フクベは動かない。
「何故、私なのかね」
「決まってるだろ! プロスペクターのいない今、ナデシコ内の全ての決定権を持っているのがアンタだからだ!!」
 ジャキッ!
 周囲からも銃を構える音が聞こえる。そしてその全てが「管理職」の人間をポイントしていた。
「……提督、サインして下さい」
 新たに聞こえたその音と声に、全員が呆気にとられる。
「アキトと私の輝かしい未来のために」
「……って、艦長!?」
「やめるんだユリカ!!」
 泣きながら止めようとする男の姿。それは余りに惨めで、その理由を知る人間は「……やっぱやめるか?」と思いもするのだが。
「やめないわ! そう、もうお葬式はいや! 結婚式をするの!! そして、そして!!」
 段々とユリカの顔が「教育上都合の悪そうな顔」になっていく。
「(ぼそ…)オモイカネ、ロック」
 ピッ。
 トン、……トコ、トコ……ズパァアアアンン!
 今度は前もって用意したのか、ルリはバカでかいハリセンで景気よくユリカの頭を殴りつけ、ユリカはそのままひっくり返った。
「ちょ、ちょっとルリちゃん!? 暴発したら……」
「それは大丈夫です。オモイカネにロックさせましたから」
「それはまた……」
 意味を理解したとき、全員が震え上がった。
 危険人物の手に銃器が渡る危険性を考慮して、ナデシコ内の銃器は全てスマートガンになっている。しかし、ルリの裁量一つでロックされることを考えると、ますますこの少女には逆らえない。自爆プログラムや、酸素供給システムに手を入れる時間が半月以上あったことを考えると。
「……提督、いい加減鬱陶しいからサインしちゃって下さい」
 フクベ・ジンはこの時ほど、この艦に乗ったことを後悔した瞬間はなかったと、後に語った。
「艦長、あなたには特別メニューを受けてもらいます。拒否権は……分かってますね」
 コクコクと、機械的に頷く。

 

 機動戦艦ナデシコ。
 この時を持って「恋愛無法地帯」となる。
 また、ルリがユリカに課した特別メニューの正体は不明だが、効果が無かったとだけ記しておく。

 

「……何があったんです? この、荒廃した空気は」
 戻ってきたプロスペクター達、イネスを加えたアキト達はブリッジで理解に苦しんでいた。
「気にしないで下さい。ウリバタケさん達が例の項目を訂正しろと要求してきただけですから」
「提督、了承していないでしょうね!?」
 その問いにフクベはプイ…と明後日の方を向き、ただ一言呟く。
「……スマン」
 その言葉にブリッジの空気が固まり、ある一点に視線が集中するものの、すぐさま目を逸らす。何か突っ込んではいけない、そう思わせる空気だった。
「……いいかしら?」
「あなた誰なの?」
「この人はイネス・フレサンジュ博士。コロニーと砦の最高責任者でマ……いやなんでもない」
 ついうっかり「マッドサイエンティスト」と続けそうになって口を急いで閉ざす。もし言えば、古式の業を見られたときの…あの光景が再現されることが容易に想像できたから。
「気になるけど、まあ良いわ。ナデシコにはコロニーの人間は乗せられないわ」
「そんな、どうして……」
「火星の人間は誰も信用してないのよ。ネルガルと連合を。第一、私はナデシコの設計者の一人。その力を誰よりも詳しく知っているわ」
「ま、この艦がここに来れたのも、敵の思惑があるから、ですけどね」
 さらっとアキトが言う。
「アキト、思惑って?」
「……ユリカ、お前ホントに戦術科目でトップだったのか? ……ハァ……ここ、大気の底から逃がさないって事だよ」
「……アリ地獄、ですか?」
 辛辣なルリの表現。
 落ちたら上れない、登ろうとしても砂をぶつけられて下へ落ちる。やがて力つきたアリは、哀れ体液を吸われ、カラカラの死体を捨てられるだけ。まさに、今のナデシコの状況を表していると言えよう。
 では、そのカラカラの死体……いやナデシコはどうなるのだろう……。
「アキト、何でそんな大事なこと教えてくれなかったの!?」
 ぎろ。
 今まさにアキトに飛びかかろうとタイミングを見計らっていたユリカを、ルリがその目で牽制する。
「まさかお前が……相転移エンジンのまともに使えない地上に降りるとは思わなかったんだよ。それに止めようにも格納庫に戻った途端に降り始めてるし」
「で、でもちゃんとチューリップは破壊したから……」
 ごずううううんん・・
 ナデシコが激しく揺れる!!
「木星蜥蜴来襲!! 迎撃を要請します、艦長!」
「左舷相転移エンジン、被弾!」
 ナデシコ後部から、衝撃が伝わってくる。エンジンの稼働率の低かったことが幸いしたのか、爆発はしなかった。
「宇宙の広さに比べたら、地上の広さなんて微々たるものよ」
 そう言って、イネスが締めくくった。
「ミスマル・ユリカ。あなたはこの状況をどうするつもり?」
「グラビティ・ブラスト、スタンバイ!」
「……チャージOK!」
「てぇーっ!」
 ナデシコの艦首に設置された砲門より、暗い光……放たれる重力子により光の届かない空間が、射線となって見える。
 それは一直線に敵艦隊を包み……ただそれだけだった。
「そんな……」
 それは誰の言葉だっただろう。
 彼らにその言葉を呟かせたのは、その目に映る光景。全くの無傷、こちらに進軍を続ける敵戦艦の群れ。

 

「前方40kmにチューリップ確認」
「何であんなに入ってるワケぇ!?」
 ルリの声と、映し出される光景に、ミナトが驚愕する。
 チューリップの前方に厚みのない円盤のような、木星を思わせる斑模様が見える。艦がそこから現れているのだ。
「入っているんじゃないわ。繋がっているのよ。どこか『他の場所』に」
 この戦場の空気の中、イネスの言葉から含みのある声だと、誰が気づけようか。
「敵のフィールドとて無敵ではない。連続発射だ!」
「は、はい!」
「むりよ!」
 ゴートの声にユリカが反応し命令を下すが、ミナトによって否定される。
「ここは真空ではないから。相転移エンジンの反応が悪すぎるのよ」

「どうする?」
「アタシ達が出ても挽肉にされちゃうよ」
 エステバリスも、この状況なら、間違いなく敗北するだろう。
 パイロット達もこの場から出られない。
「くそっ……ゲキガンガーさえあれば……」
「あっても負けると思うな……敵さんはリアルユニットだし、スーパーロボットの命中率悪いもん」

「ディストーションフィールド、スタンバイ!」
 ドゥッ……ズウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……
 展開と同時に激しい負荷がジェネレーターにかかる。ナデシコも揺れ、何人かが床へとたたきつけられる。
「……もつのか……?」

 絶望が空気に混ざり始めた頃、アキトが口を開く。
「……イネスさん、使えるんでしょ?」
 そこで、イネスは軽やかに笑ってこう一言。
「オール・グリーン」

 

 EX−01。
 格納庫の中にある、巨体。他の機体はそれの胸までしかない。
 黒ではない、闇色のそれは、余りに異質だった。
 周りにある機体と見比べることが出来るからこそ、そう思えたのかもしれない。
「……悪役みてえだな」
 忌憚ない、本気の声でガイははっきり言ってしまった。
 そう言われるのも無理はないだろう。無骨な、ごつごつした装甲。左腕は奇妙な金属光を放つ楕円形の物に覆われており、その半ばから手が見える。頭部に至っては、サブカメラなのか、右目の上下にもう一つずつ、計4つの目がある。背にあるバーニアは二つに別れ、小回りよりも突進力を高めるよう、多少稼働するのだろうが後方にのみノズルを解放している。
「言えてるねぇ」
「強そう……だけど」
「所詮、10年前の試作機でしょ?」
「イズミ、知ってんのか?」
「……名鑑に載ってたわ。ネルガルの作ったエステバリス1号機、今更こんな骨董品を持ってきてどうするのかしら……テンカワ君は」
 その言葉で、イズミの視線の向こうにアキトがいることを確認する。
 アキトは動じることなく、こう言う。
「ウリバタケさんはどう思いました?」
「化け物」
 額からは、僅かに汗が滲んでいる。
「何を考えて作ったのか知らねえが……戦闘用ってより、決闘用だな。パイロットにかかる負担がでかすぎる」
 そう言いながら近寄り、ガン、とレンチで殴りつける。
「構成素材からして謎だ。少なくとも俺はこんな金属見た事ねえ」
「外見だけじゃないんですけどね……」
「……アキト、なんか言ったか?」
「何でもないよ、ガイ」

 

 右手をターミナルに預け、瞑目する。ここはあたりの喧噪とは違う。死にも似た静寂の中。
<起動コード、入力して下さい>
 キーボードを取り出し、一定のリズムでコードを入力。
 タタ…タ…タン……タン!!
<承認>
 感情のない声が答える。
「相転移エンジン起動」
 ルゥ……ウウウゥゥゥゥゥゥ…!!
 高い、笛の音のようなものが響き渡る。
<起動成功。エネルギー変換効率06%、フィルターシステム、稼働を奨励します>
「フィルター稼働、連続して再起動」
<相転移エンジン、停止。フィルター稼働、再起動>
 おおおぉぉぉぉぉぉぉぉおおおぉぉ……
 明らかに違う、吠えるような物があたりに響き出す!!
<起動を確認、変換効率43%>
「アニヒレイター(殲滅者)装填弾数は」
<2>
 それを聴いたとき、アキトの顔に笑みが張り付いた。猛禽類を思わせる、それが。

 

 

あとがき
 ども、さとやしです。

 これはベースが「時の流れに」なので、ナデシコはコロニーに行けないのです。
 で、行けない理由はこうしました。これが後に「テンカワアキト・ハーレム疑惑」に繋がる……のかな?
 戦場では「感覚が麻痺」したり、「子孫を残そうという本能が刺激」されるという。よし、ここの前フリは終わった。

 プロスペクターの選抜基準は「能力>性格」。ただ、この時点でのユリカはどう考えても「能力<性格」では?
 なんとかして阻止しないと、本陣であるナデシコを個人的感情で動かしてしまうのですから。
 ……ユリカって、有能→無能→無脳?

 

 とある事情で戦闘はカット。
 次回へ引きます。

 

 現在、質を引き上げるためにテコ入れ中。

 

 

代理人の感想

 

・・・・・そう言えば「時の流れに」ではいつのまにか有名無実化してたな、この一項。

まあ、そもそも原作でも有名無実化はしてたけど(笑)。

 

それはともかく、龍皇とEX-01ってなんか「邪鬼王」((c)石川賢)みたいなイメージがありますね。

左右非対称な所といい、悪役っぽい異形といい。

敵がジンシリーズになったら尚更悪役っぽいのが正義の味方じみたカッコイイロボットを薙ぎ倒すと言う、

「邪鬼王」のシチュエーションに近くなるんじゃないでしょうか(笑)。

 

あるいは「アルジェントソーマ」のEX1(エクストラ・ワン)こと「フランク」というのもありますね。

と、ゆーか狙ってるんですか、さとやしさん(笑)?

 

 

 

管理人の感想

 

 

さとやしさんからの投稿です!!

EX−01ですか。

う〜ん、次の戦闘が楽しみですね!!

それにしても、ウリバタケは元気だな・・・

あれだけ残業がキツイと言いながら、恋愛に燃えているんだから(笑)

・・・相手がいるのかどうかは知らんけど(爆)

 

では、さとやしさん、投稿有り難う御座いました!!

次の投稿を楽しみに待ってますね!!

 

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