『時は満ちるあの闇がくる』

辺りに声が響いてくる。

「どういう意味だ?」

しかし返事は帰ってこない。

『力が欲しいか』

その言葉を聞いた瞬間僕は無意識のうちに答えていた。

「ああ」

その瞬間辺りは真っ白になった。

        新たなる道筋への序章
             第4話
           遺跡の闇
   


       


気づくとそこは、僕たちがさっきまで居た遺跡のフロアではなかった。

「ここは・・・・!」

僕は立ち上がって周りを見るとみんなが倒れていた。

「みんな大丈夫?」

「大丈夫よ。」

「ああこっちも大丈夫だ。」

「私も大丈夫です。」

「私も何とか。」

みんな何とか無事のようだ。

「しかしここは何処なんだ?」

南斗の疑問は僕ら全員考えていることだった。

「確か・・私たちは遺跡に鳴り響いた声のすぐ後光に包まれたんですよね。」

「確かにそうそう。」

ルカとユリエの言っていることは正しい、

1つだけ違うのは僕の言葉に反応して光に包まれたと言うところだけである。

(力が欲しいか、か。)

その言葉を聞いた時僕はなぜか答えてしまった。

それが当然のように・・・





『すまなかった。』

急に聞こえてきた声に私たち全員に緊張が走る。

『そう警戒することはない。 

 私は遺跡の管理者、頼みがあってここへ呼んだ。』

その言葉自体普通の言葉である。

それなのにものすごいプレッシャーが私に襲いかかってきた。

周りを見るとハーリーさんや他のみんなも同じようだ。

特にアリスさんは戦闘の経験がないからなのことであった。

「俺たちに頼むようとは何だ。」

南斗はプレッシャーに耐えながら聞き返した。

私はさすがは戦神と羅刹の息子であると思うしかなかった。

『頼みというのは他でもない、君たちに我の後継者になって貰いたい。』

その言葉は唐突過ぎる一言だった。



「なぜ貴様は後継者を必要とする。」

俺は震えそうになる心を必死になって止めていた。

目の前の奴のプレッシャー、親父やお袋と同等かもしくはそれ以上である。

「そうです。あなたの力ならば私たちを後継者にしなくても

  御自分で出来るのではないでしょうか?」

その言葉に俺は感心した。

普通の敬語であるが

ハーリーの奴はこのプレッシャーに耐えていて、

なおかつそのプレッシャーの相手に話しかけているのだのだ。

(これは確かにルカが惚れるわけだ。)

ルカはとてももてるらしい。

しかし一度も浮いた話がない。

それを不思議に思った親父はある日聞いてみたらしい。

その時帰ってきた言葉は「私はお父さんまではいかなくても、

強く、優しいお人が好きなのです。」

その言葉確かにそうかもしれないハーリーは

親父よりは劣るが立派な強さと優しさを持っているな。

『確かに・・』

俺がそんなこと考えてる間に話が始まりだしていた。


『確かに普段なら君たちにこの役目はさせないつもりであった。

 しかし、この世界に遺跡の闇が近づいた今。

 私ではなく人間である君たちに頼むしかないのだ。』

「遺跡の闇?」

その言葉に対し僕は問いかけた。

『そう、確か君たちが先ほど話していた・・・』

「 E・シャフト!」

ルカの言葉が僕たちのいる空間に鳴り響いた。

その言葉には悲しみが込められていた。

『そう、E・シャフト。

 その人物こそ遺跡の闇なのです。』

「では遺跡の闇とはいったい何なんです?」

南斗の声に怒りの感情が交じってきていた。

『まずそれからお話しいたしましょう。』

そう言って僕らまた光に包まれた。





光が収まると僕たちの周りにはテレビのような物がいくつも漂っていた。

しかし

「これは・・」

一番はじめに覗いたそれには僕がこの世界にいる前の世界。

そうアキトさんが復讐に身を焦がしていた時代が写っていたのだ。

「なにこれ?」

「これは?」

「何よ、こんなの?」

「なぜだ?」

みんなも同じように周りに漂っている物を見て驚いている。

『これは、あなた達の言う平行世界という物です。

 あなた達はなぜこの様な世界があるかわかりますか?』

「平行世界は私たちそれぞれの可能性の結果です。」

管理者の問い掛けに返したルカの答えはみんなが思っていることと同じだろう。

『それも確かにあります。

 しかし考えてください、

 なぜ古代火星人はその世界に行かなかったのでしょうか?』

「それはみんながそんな自分の都合のいい未来を望んでジャンプしてしますから

 禁止したんではないでしょうか。」

『確かにそれもありました。

 しかし、それは後になって考えたことなのです。

 本当は平行世界に行くこと自体古代火星人は考えていませんでした。』

「え!それはどうしてなんですか?」

僕は驚いた。

確かにボソンジャンプだけでも僕たちは満足している。

しかし制作者である古代火星人は平行世界に行く事はわかっていたはずだ。

なのになぜそれを後になってから気づいたのだろう。

『それについては、まず遺跡の仕組みからお話しいたしましょう。

 そもそも遺跡とは巨大な演算ユニットであることは

 みなさんご存じだと思います。』

それは僕ら全員が知っている。

『しかし遺跡はそれだけでなくジャンプした人間の感情までも

 演算してしまうのです。

 そのためこの世界が何時の日か長い間戦争が続くような世界になっていたら。

 その負の感情を演算出来なくなってしまうことを予想した

 古代火星人は感情が一定量演算出来なくなると

 他の世界の演算ユニットに演算を託すように設定しました。

 そのために演算ユニットには平行世界に行く力を持たしたのです。

 その後他の古代火星人が平行世界に行き悪事を働いたことから、

 その力を禁止しました。』

「しかしそれと今度の闇、いったい何の繋がりがあるんですか?」

アリスの問い掛けに対して僕はもう答えが何であるのかある程度はわかっていた。

『しかしどんな物にも限界があります。

 遺跡の演算値が限界に達した時最悪の事態が起こってしまうのです。』

「それは?」

だいたいわかっていた僕の問に管理者は少し間をおいた。

『・・・闇の具現化。

人間の負の感情より生まれし人物。

その心は闇に覆われています。』

「しかしなぜお父さん達の不幸を望むのですか?」

ユリエの言葉には悲しみがありありと出ていた。

『それは、ある世界でミスマルユリカが遺跡に取り込まれたのが原因です。』

それはユリエにとってもっとひどい事実だった。

「ど・どういう・・意味ですか・・?」

『彼女の愛それもまた遺跡の演算能力を超える物だったからです。

 あなた達の世界とは違う世界詳しく言えば、そこのマキビハリが

 過ごした世界、その世界でミスマルユリカは遺跡に取り込まれました。』

「本・・当?」

ユリエの言葉は微かな希望を持っていた。

しかし

「・・・ああ、さっきも言ったけど僕がある人を追いかけていた時、

 その人は復讐に身を任していた。

 その理由がミスマルユリカだったんです。」

ユリエは何も言わず黙ってしまった。

『そう、その時彼女の愛・・・いやテンカワアキトというデーターだけを、

 遺跡は次に世界に送ってしまったのです。』

「だから、シャフトはアキトさん達の不幸を願ったのか。」

それについては僕はもう何も言えなかった。

僕たちのいた世界のせいでまたアキトさんやルリさん達が悲しんでしまう。

(それは絶対だめだ)

その気持ちに気づいた時僕はもう声を出していた。

「・・・なってやる。」

「「「「え!」」」」

僕の言葉にみんな驚いていた。

「その後継者になってやる。

 僕はいつもルリさんやアキトさんに助けて貰ってばかりの毎日だった。

 僕自身心のどこかでそれに甘えていた。

 だから今度は僕が守る僕が守ろうと思う人達を。」

「ハーリー君」

「ハーリーさん」

「ハーリー・・」

「ハーリーさん」

『君たちはどうするかい?

 このまま帰ることも出来る。

 元の時代に帰ることも出来る。

 それとも受け継ぐかい?』 




私にとってそれは決まっている事だった。

元の時代に帰っても、私はあのハーリーさんの顔を忘れられない。

それに決めていたから、ハーリーさんの助けになろうって。

だから。

「私も後継者になります。

 守られているだけじゃ嫌だから。」




ハーリー君は優しすぎる。

いつも周りにいる人は気づいていないけど、

彼は周りの人全てに優しかった。

そんな彼を私は愛している。

だから

『いつかハーリー君が苦しみに負けそうになった時助けてあげるね』

幼い頃そんなこと言ってた。

今でもその気持ちは変わらない。

「私も受け継ぎます。

 私の一番大事な人の支えになりたいから。」





俺にとってこれはここに来る前に決まっていたことだった

俺はあの時零夜さんを助けることが出来た。

でも一瞬彼女の視線に負けて助けられなかった。

彼女は俺が傷つかないようにしてくれた。

でも彼女は殺された。

(だから俺は零夜さんの墓標に誓った。

 何が何でもこの悲しみを広げはしないと、だから。)

「俺も受け継ぐ。

 俺が愛する女性との誓いのために。」




今まで考えてもいなかった。

この事件の原因が私の母さんにあったなんて。

でも、だからこそやらなくちゃいけない。

あの人のためにも。

「私はこの争いの決着をつけたい。

 だからそのために必要な力が欲しい。」

 



『わかりました。

 あなた達の決意・想い・誓い。

 それら全てがあなた達の力となるのです。

 では私遺跡の管理者はこの子らを後継者と認める。 』 
 
すると僕らの手の甲が光り始めた。

「何だこれは?」

『これは後継者の証、全ての力をだせる紋章。

 しかしそれはまだ封印は解かれてはいません。

 君たちのこれからがこの紋章の全てを解いていくでしょう。

 それを使いこなした時君たちは遺跡の後継者となります。』 

「それはどのようにすれば良いんですか。」

『君たちは自分の覚悟のままに進めばいいのです。

 それでは、後継者達よ頑張ってください。』

そう言うとまた世界は光に包まれた。

次の瞬間僕たちは遺跡が跡形もなくなった、フロアに立っていました。





『君たちの未来に栄光あれ』

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作者の部屋の座談会 

聖:やっと書き終わった。
ルリ:作者これは何ですか(怒)
聖:え・・・・これは・・・えーと・・
ルリ:そうですかあくまでしらを切るなら。
聖:わかりました。お話しします。
ルリ:よろしい。なぜ私たち活躍がないですか?
聖:この話はあくまでルリやアキトに戦争させないというのが一部入っているんだ。
  確かにアキトは強いけどそのせいで色々大変な目に遭ってるからね。
  この話だけでも脇役っぽいハーリーを出していこうと思ったんだ。
ルリ:それについては何も言えませんね。
   わかりましたしかしこの話が終われば次は私達が主役ですよね(怒)
聖:え〜〜と
聖竜は逃げ出した。
ルリ:逃がしません。
しかし聖竜は回り込まれた。
聖:・・・・・・・・
ルリ:覚悟は良いですね?
聖:・・・・・・・・
聖竜は闇にとけ込んでいった。
ルリ:何ですって?逃がしませんよ(怒)
ルリ退場。
聖:それではまた
聖竜の声だけが響いた。

 

 

代理人の感想

・・・むぅ、よくわからん(爆)。

何ゆえわざわざ並行世界の遺跡などという不確かな存在に演算をまかせるよう設定したのか?

まぁ、そこらへんは伏線と思っておきましょうか。