機動戦艦NADESICO

時空を越えて 集う者たち

 

 

 

 

 

《第1話:『「俺らしく」で行こう!』・歴史はここから始まった》

 

 

 

 

 

「ねえ、ねえったら。お兄ちゃん?OK、ぐっすり寝ちゃってるよ。」

 

数人の子供達の中心には、アキトが倒れていた。

 

「こんなところに寝ちゃうなんて、無用心だなあ。ふっふっふ・・・・・さあ、皆。始めよう!」

 

『おうっ!!』

 

子供達は、各々が好きな色のマジックペンを持ち、持ち場へと着いた。

 

しかし・・・

 

「んんっ・・・」

 

アキトの意識が戻ってきていた。

 

「やばいぞ!○ーレンジャー部隊、脱出だ〜。集合場所は何時もの所へ!解散!!」

 

「お〜!!」

 

子供達は各々がバラバラの方向へと走って行ってしまった。

 

その場にはアキトだけが残されていた。

 

(・・・・・んんっ・・・・・此処は・・・・・此処は何処だ・・・・・)

 

子供達が走り去ってから暫くして、虚ろではあるが、アキトは意識を取り戻し始めていた。

 

(・・・・・なんだか・・・・・土の匂いがする気がする・・・・・俺の嗅覚は殆ど役に立たないはずなのに・・・・・)

 

(・・・・・なんだか・・・・・眩しいな・・・・・眩しい?)

 

アキトの意識がはっきりとしてきた。

 

(何故こんなにはっきりと物が見えるんだ?バイザーは・・・つけていない。)

 

アキトは全身で風を感じ、土を匂い、そして空に浮かぶ雲をはっきりと見ることが出来ていた。

 

(五感が・・・失われた五感が元に戻っている?)

 

アキトはむくっと体を起こし、周囲を見回してみた。

 

此処は河原の近くの草むらだったらしい。

 

すぐ近くに昔乗っていた自転車と、中華鍋やおたまが縛り付けられているリュックが置いてある。

 

そして自分の姿は、漆黒のスーツではなく、昔着ていた服へと変わってしまっていた。

 

(どうやら俺は過去へ跳んでしまったらしいな・・・)

 

(様子からして俺は、あの中華の親父さんの所をクビにされたすぐ後に跳ばされたみたいだな。)

 

(他の皆は大丈夫なのだろうか・・・)

 

(・・・キト!アキト!聞こえる?アキト!)

 

(ラピス、ラピスなのか?ラピスとのリンクは繋がっているのか?)

 

脳へと直接ラピスの言葉が伝わってくる。

 

(ねえ、どうして?どうしてわたしの体が縮んじゃって、また研究所の中に居るの?)

 

(落ち着け。落ち着くんだ、ラピス。どうやら俺たちは過去へジャンプしてしまったらしい。)

 

(また、また北辰に・・・北辰に襲われて、あの研究所に連れて行かれてしまうの?・・・・・イヤ・・・・・いやぁぁぁぁぁっーーーーー!!)

 

(大丈夫だ。大丈夫だ、ラピス。俺が必ず北辰よりも先に研究所から連れ出してあげる。だから暫くの間、研究所で待っていてくれ。)

 

(・・・分かった・・・アキト、アキトはこれからどうするの?)

 

暫く考えたあと、アキトは答えた。

 

(俺は・・・・・ナデシコに乗る。俺が乗らないとナデシコが危ないだろうし、歴史が予測のつかない方向へと向かってしまうかもしれない。もう誰も・・・誰も死なせはしない!!)

 

(分かった、アキト。頑張ってね。・・・わたしも・・・ナデシコに乗ってみたいな・・・)

 

(必ず乗せてあげるよ、ラピス。それまでの間にやって貰いたい事がある。ラピスの記憶の中にあるブラックサレナをもう一度作って欲しい。)

 

(いいけど、なんで?)

 

(もしも歴史が俺の予測のつかない方向へと向かっていってしまった場合、この頃のエステバリスだけではナデシコを、皆を助けることが出来ないかもしれない。それだけは絶対に嫌だからな・・・)

 

(分かった。でも、ブラックサレナを作る為の機材もないし、資金も無いよ。)

 

(うっ・・・・・そ、そうか。そこら変の事を考えていなかった。何か良い案が浮かんだらまた連絡をする。この件はそれからでいいよ。それじゃあ、そろそろ切るよ、ラピス。)

 

(分かった。アキト、時々アキトに話し掛けてもいい?)

 

(ああ、いいよ。じゃあね。)

 

(うん、じゃあまたね。)

 

ラピスとのリンクが切れると、アキトは立ち上がり、懐かしい自転車へと向かって行った。

 

(この自転車に乗るのも久し振りだな・・・)

 

リュックを背負い、アキトは懐かしく、そしていとおしい彼女へ逢うために自転車をこぎ始めた・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空には満月が昇っている。

 

「確か此処ら辺だったな・・・」

 

アキトは自転車から降り、坂道を押して登り始めた。

 

暫くすると、後方からもの凄いスピードで車が走ってくる。

 

(俺があいつと再会したのは・・・)

 

一気にアキトを追い越すと、その車からひとつのスーツケースが落ちてきた。

 

(!!あ、そういえばスーツケースが落ちてくるんだったな。)

 

アキトはとっさに向かって来るスーツケースに対し、身構えて受け止める姿勢を取った。

 

しかし・・・・・・・・・・

 

ガッシャ〜〜〜〜〜ン

 

スーツケースは受け止められずにアキトにぶつかり、その中身は辺りに飛び散ってしまった。

 

(・・・・・しまった・・・・・体が昔の状態に戻ったからまだ昔のように動かせないという事を忘れていた・・・・・しかし、よくあんな物がぶつかったのに生きているな、俺・・・2度目だけど・・・・・体を俺の記憶にある通りに動くように鍛え直さなければならないな。)

 

走っていた車は急ブレーキで止まり、中から一人の女性が走って来た。

 

(来た、か。さて、どうする?)

 

「すみません、すみません。」

 

やって来たのはネルガルの制服を来たユリカだった。

 

「本当にすみません。申し訳ありませんでした。痛いとこ、ありませんか?」

 

「いや、大丈夫だ。」

 

(久し振りだな、ユリカ。俺は・・・俺は・・・・・)

 

アキトは自分の心の叫びを押さえ込みながら、ユリカと共に散らばってしまったスーツケースの中身を片付け始めた。

 

「お〜い、ユリカぁ〜。今更だけど、荷物減らそうよぉ〜。」

 

ジュンが情けない声でユリカに愚痴をこぼす。

 

「ダメ!!!!!ユリカが3日かけて選んだお気に入りグッズばかりなんだもんっ!全部持ってくのっ!!」

 

「ホントすいません、手伝いまで。」

 

「いや、気にしないでくれ。・・・・・どうした?俺の顔に何かついてるのかい?」

 

「あの、ぶしつけな質問で申し訳ありませんが、私、以前あなたと何処かでお会いしていませんか?」

 

(どう答える?やはり・・・)

 

「いや、俺はそんな気はしないが・・・」

 

(・・・くそっ・・・適当にごまかしておくしかないのか・・・俺には・・・)

 

「そうですか・・・」

 

そんな会話をしている間に、スーツケースは片付ける事が出来た。

 

「ユリカぁ〜!」

 

「はぁ〜い!ご協力有難う御座いました。ではっ!!!」

 

ジュンに呼ばれて、ユリカは車に戻り、走り去って行った。

 

(・・・・・さて、行くか。)

 

アキトは忘れられていった写真をリュックに入れると、再び自転車に乗り、ネルガルの工場へと向かってこぎ出した。

 

(あの時は、ユリカに父さんと母さんの死について聞き出すためにユリカを追ったんだったな・・・・・)

 

昔の事を思い出しながら、遠くに見える工場に向かってアキトは自転車のペダルを強くこぎ出した・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜ネルガル重工 地下ドック内部〜

 

「・・・と、いうように責任者に会わせろとしか何も喋ろうとはしないのです。おい、連れてきてやったぞ。」

 

アキトは内部に潜り込むために、今回も入口で軽く暴れることにした。

 

そして警備員に捕まり、まんまとドックの内部へと入り込んだのだった。

 

「貴方ですか。ここの玄関で暴れていたという方は。」

 

警備員に連れられてやって来たのは、今回もプロスペクター(通称プロス)だった。

 

「まずは・・・」

 

そう言ってプロスは何かペンのような形の物を出した。

 

そしてアキトへと向けてくる。

 

今回はコックというのを説明したおかげか、腕に刺してくれた。

 

「あ・な・た・の・お名前・探しましょっと♪」

 

「ふむふむ、テンカワ アキトと仰るんですか。んんっ?」

 

「ほほぉ〜。あの壊滅したユートピアコロニーからどうやって地球へ?」

 

(やはりこう答えるべきだろうな・・・)

 

「よく覚えていないんです。気が付いたら地球にいました。」

 

「そうですか・・・で、どのような御用でこのネルガルの工場に?」

 

「ユリカに会うために。あいつなら、俺の家族が何故死んだのか知っていると思うんです。」

 

(・・・もう、俺は知ってるんだがな・・・プロスさんのおかげで真実を・・・)

 

「・・・そうですか、分かりました。貴方も大変みたいですねぇ。・・・・・たしか、今は無職のコックさんでしたよねぇ・・・・・いいでしょう。ウチの方で貴方を雇いましょう。貴方は今日からナデシコのコックさんです。」

 

「ナデシコのコックですか・・・有難う御座います。」

 

(よしっ。予定通りだ。しかし、俺の料理の腕はどうなっているんだろう。もう随分長いこと作っていないからな・・・)

 

「んん?なんだかあまり驚いていらっしゃらないみたいですね。ま、いいでしょう。しっかり働いてくださいよ!」

 

ということで、アキトは予定通りコックとしてナデシコに乗船することが出来た。

 

それからアキトはプロスに連れられて、ナデシコのもとへとやって来た。

 

「ナデシコの出航はまだ先ですから、その間に艦内を見学しておくといいでしょう。」

 

(まぁ・・・・・艦内の見学なんて俺には無意味だけどな・・・)

 

「分かりました。」

 

その時、右の方からアキト達のもとへ一人の少女がやって来た。

 

「プロスさん。艦長が到着しました。」

 

「はい、分かりました。では失礼しますね。」

 

プロスはユリカに用事があったらしく、アキト達のもとを後にした。

 

その場に残った二人は暫くナデシコを見ていたが、それから少女の方がアキトに話し掛けてきた。

 

「お久し振りですね。アキトさん。」

 

「えっ!!!・・・もしかして、『あの』ルリちゃんかい?」

 

「ええ、そうですよ。」

 

アキトの前に現れたのは、アキト達と共にボソンジャンプしてしまったナデシコCの艦長、ホシノ ルリだった。

 

しかし、やはり姿は昔のルリに戻っているようだった。

 

「そうか・・・驚いたよ。やはりルリちゃんたちもあのランダムジャンプに巻き込まれてしまっていたのか。ナデシコのクルーには悪い事をしたな。」

 

「いえ、大丈夫ですよ。あの時にはわたしとあと数人の人間しか乗っていませんでしたから。乗っていたのは全員B級ジャンパー以上ですから皆無事でしょう。」

 

「そうか・・・よかった。」

 

「ただ、皆ジャンプした場所が違うみたいなんです。アキトさんは何時この世界に入って来たのですか?」

 

「昨日だが・・・」

 

「わたしがこの世界に入って来たのはナデシコに乗ることが決まった2週間ほど前です。わたしなんかまだいいほうで、ハーリー君なんか、半年も前に入り込んでしまったから、わたしに連絡が取れなくて苦労したみたいですね。」

 

「そうか・・・ところでナデシコには誰が乗っていたんだ?」

 

「わたしとあと、ハーリー君にサブロウタさん。あと、イネスさんにナビゲーターとして乗って貰っていました。」

 

「そうか。ルリちゃんは他の二人とは連絡を取ったかい?」

 

「サブロウタさんとはまだ連絡が取れていません。彼は木蓮の人間ですからね。あと、イネスさんなんですが、彼女も現在火星にいますから連絡を取ることが出来ません。」

 

「そうか。」

 

「ところでアキトさん。アキトさんはこれからどうしようと考えているんですか?」

 

「この世界は俺たちの知っている世界の過去・・・平行世界ではないかと思う。恐らく俺達の知っている通りに歴史は進んでいくんだろう。そして、俺達が何らかの行動を起こす度に歴史は少しづつ変化しているのだと思う。歴史に俺たちが干渉してもいいのかどうかは分からない。しかし、前のような未来にする気は無い。」

 

「と、いうことはわたし達の記憶では死んでいったダイゴウジ ガイさんや、サツキミドリの皆さん、白鳥 九十九さん達は助けるんですよね?」

 

「彼等は・・・助けたい。そして木蓮との和平交渉・・・あの時は実現できなかったが、今回は何としても成功させたい。・・・・・もう・・・皆が悲しむ姿を見たくない。」

 

「そうですか・・・で、これがアキトさんにとっては一番重要な事だと思うんですが、ユリカさんとはどう接していくつもりなんですか?」

 

「・・・ユリカとはあの時と同じように接していくつもりだが、最終的にはあいつとは一緒にはなるつもりは無い。」

 

「どうしてですか!?!?!?ユリカさんはアキトさんと一緒にいる事が一番の幸せなのに・・・」

 

「だけど俺といる事でユリカは不幸になってしまう。俺と一緒にいたからあの時も、あの時も・・・・・」

 

アキトは新婚旅行に向かう時にユリカを守ることが出来なかった自分に対して責任を感じていた。

 

「・・・・・そんな事は無いですよ、アキトさん。でもまあ、その話はまた今度にしましょう。」

 

「そうだな。そろそろ俺も行かないとな・・・」

 

そう言って立ち去ろうとした時、アキトはもうひとつ大切な事があったのを思い出し、立ち止まった。

 

「あ、そうだ、ルリちゃん。ハーリー君に後でやって貰いたい事があるから、伝えておいて欲しいことがあるんだが。」

 

「いいですけど、何を伝えればいいんですか?」

 

「ハーリー君は今研究所に居るんだろう。彼にラピスと一緒に居てもらいたい。そして、ラピスの手伝いをして貰いたい。何をするのかはラピスが分かっているから、彼が聞けば済むだろう。それにラピス一人じゃあ寂しいだろうしな・・・」

 

「分かりました。それでは。」

 

そう言ってアキトとルリは別れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レェェェッツゴォォォオ〜〜〜!!ゲキガンガー!!!」

 

ガイがエステバリスで不可解な動きをしている。

 

アキトはエステバリスの格納庫へ来ていた。

 

(ガイ。お前って昔っからそんなだったのか?というかお前って、本当にエステバリスのエースパイロットになれるほど強いのか?俺にはプロスさん達の人選ミスとしか思えない・・・)

 

「ふっふっふ、諸君らにだけお見せしよう。このガイ様の超スーパーグレート必殺技!人呼んで、『ガイ・スゥパァ〜・アッパァ〜!』」

 

ガッシャ〜〜〜〜〜ン

 

(あ、倒れた。あれで足を折っちゃうんだからな・・・もうちょっときちっとしろよな、ガイ。)

 

「あちゃあ〜、おたく、足、折れてるよ。」

 

「な、何ぃぃ〜〜〜!!!お〜イタタタタ。お〜い、そこの少年!あの中に俺の大事な物が入っているんだ。すまん、とってきてくれぃ。」

 

「はいはい。」

 

そう言ってアキトはエステバリスのコックピットに向かって行った。

 

(そういえば、あの時の俺の心の支えはこのゲキガンガーだったんだよな。・・・でも、もう今の俺には必要の無いものだ。俺の今の支えはこのナデシコの皆が無事にいる事だからな・・・)

 

アキトはエステバリスに乗り込んだ。

 

(過去の過ちは絶対に犯さない!!!)

 

その時、目の前にコミュニケが開いた。

 

現れたのはルリだった。

 

「アキトさん、もうすぐですね。ユリカさんがアキトさんの事を思い出すの・・・」

 

「ああ、そうだな。・・・・・ルリちゃん、そっちの方はよろしく頼む。」

 

「はい。分かりました。」

 

そう言って、ルリはコミュニケを閉じた。

 

ナデシコの出航は近づいていた・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チュド〜〜〜〜ン

 

ドドドドドドドドッ

 

遂に時は来た。

 

ナデシコの、出航の時が・・・・

 

「敵の攻撃は我々の頭上に集中している。」

 

現在の戦況をゴートが説明する。

 

「敵の狙いはナデシコか・・・」

 

フクベ提督が戦況を分析する。

 

「そうと判れば反撃よ!!」

 

「どうやって?」

 

「ナデシコの対空砲火を真上に向けて、敵を下から焼き払うのよ!」

 

ムネタケが無茶を言う。

 

「上に居る軍人さんたちは吹き飛ばすわけ?」

 

「ど、どうせもう死んでるわよ。」

 

「其れって非人道的って言いません?」

 

ミナトとメグミがムネタケに批判をする。

 

どうやら他の皆も同じ意見のようだ。

 

「艦長は、何か意見があるかね?」

 

フクベ提督がユリカに意見を求める。

 

「海底ゲートを抜けて、一端海中へ。その後、浮上して、背後より敵を、殲滅します!!!」

 

「そこで俺様の出番さぁ〜〜!俺様のロボットが地上に出て囮となって敵を惹きつける。その間にナデシコは発進!かあぁぁ!燃えるシュチュエーションだぁ!!」

 

「でもおたく、骨折中だろ。」

 

「し、しまったぁ。」

 

「囮ならもうエレベーターで出撃しています。」

 

ルリが落ち着いた様子で皆に伝える。

 

「モニターに映し出します。」

 

ユリカ達の前にアキトの姿が映し出された。

 

「誰なんだ、君は。所属と名前を言いたまえ。」

 

フクベ提督がアキトへ質問をする。

 

「テンカワ アキト。今日、ナデシコのコックとして雇われました。」

 

「コック?どうしてコックなんかがエステバリスに乗っているんだ?」

 

「どういうことかな?プロス君。」

 

「え〜、彼が言っていた通り先ほどナデシコのコックとして私が雇いました。」

 

(やっぱり皆驚いてるな。・・・さて、そろそろ来る頃か・・・)

 

「あぁ〜!!!アキト!アキトだぁ〜!なつかし〜!そうかぁ、アキトかぁ!どうしてさっき知らん振りしてたの?」

 

ユリカが笑顔でアキトに話し掛けてくる。

 

「あぁ。久し振りだな、ユリカ。べ、別に知らん振りしてたつもりは無いんだがな・・・」

 

(アキトさん。すっかりユリカさんのペースに飲み込まれていますね。)

 

ルリが面白そうにアキトとユリカのやりとりを見ている。

 

「ま、まあともかく、今は戦闘中だろ。艦長のお前がしっかりしないでどうするんだ。」

 

「うん、そうだよね!・・ってアキト。私が艦長だって事、何時知ったの?」

 

「私は話してませんよ。」

 

プロスさんも不思議そうにアキトを見ている。

 

(く、くそっ!しまった!!)

 

「そ、それはだな・・・・・」

 

「わたしが教えました。」

 

そこでルリが助け舟を出してくれた。

 

「そう、そうなんだ。プロスさんがユリカの所に行った後にルリちゃんから教えて貰ったんだ。」

 

(た、助かった・・・)

 

「そうなの・・・まあ、その話はまた後でゆっくりとね、アキト。・・・アキト、辛いでしょうけど囮、頼むわね。」

 

「ああ、分かった。」

 

アキトとユリカ達とのコミュニケが切れる。

 

それから暫くして地上に出た。

 

アキトの目の前にゴートのコミュニケが現れる。

 

「作戦は10分間。なるべく敵を多く引きつけてくれ。健闘を祈る。」

 

「よしっ、やるか。」

 

アキトの乗るエステバリスが起動する。

 

現在のアキトであれば、この程度の敵は一人で倒す事が出来るのだが、やはり今正体を知られるわけにはいかず、前回を同じように敵を引きつける作戦を取る。

 

(それにしても・・・・・反応が遅い。やはり現在の技術力ではこれ以上のものは出来ないのか。ならやはりブラックサレナが必要になってくるな。)

 

次々に来る敵からの攻撃を余裕でかわしながら、アキトは敵を誘導していく。

 

「ちょっと、やばいんじゃないの?このままじゃやられちゃうわ。今からでも遅くないわ。対空砲火を上に向けてぶっ放すのよ!!」

 

「おい!貴様!!逃げてばっかりいないで少しは攻撃しろ!!!」

 

「いえ、彼はよくやっていますよ。遠すぎず近すぎず、上手く敵を引き付けています。まったく見事な囮振りです。」

 

(それにしても、見事すぎるんですよねぇ〜。まるで今日初めてエステバリスに乗ったようには見えない。何か、ありそうですねぇ〜。)

 

「そうだな。」

 

プロスの考えはゴートも同じらしく、2人の見つめる先には敵の攻撃を紙一重で避けるアキトの姿があった。

 

そんな2人をよそに、遂にナデシコが発進をする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作戦開始から3分が経過した。

 

(よし、そろそろ行くか。)

 

アキトの乗るエステバリスは180度反転をし、敵の方へ向く。

 

「ほんの少しだが、相手をしてやるぜっ!」

 

アキトは敵に向かって攻撃を仕掛ける。

 

バッタやジョロ程度の反応速度の遅い敵では相手にならず、あっという間に2体を倒してしまった。

 

(おおっと、本気を出しちゃいけないんだったな。)

 

そのあとは敵の攻撃を避ける事に重点をおく。

 

「アキト、離れて。」

 

突然ユリカがコミュニケで現れ、それに続いてナデシコが海中から姿を現す。

 

「早かったな、ユリカ。」

 

「あなたの為に急いできたの。」

 

「敵残存兵器、有効射程範囲内に殆ど入っています。」

 

「目標、敵まとめてぜ〜んぶで〜す!!」

 

ズキュ〜〜〜ン

 

ナデシコから放たれたグラビティブラストにより、敵の爽快な破壊音が響く。

 

「戦況を報告せよ。」

 

フクベ提督に対してルリちゃんが答える。

 

「敵残存数、バッタ、ジョロ共にゼロ。地上の被害は甚大だが、戦死者数5名。」

 

「そんな・・・そんなの、そんなの偶然よ、偶然に決まってるわ!!」

 

「むぅぅ〜、認めねばなるまい。よくやった、艦長。」

 

「凄い、凄〜いアキト。」

 

まるでフクベ提督の言うことを聞こうとせず、ユリカはアキトへと話し掛ける。

 

「ユリカ、これから帰艦する。」

 

「うんっ。待ってるね、アキト。」

 

こうしてナデシコの初戦は見事に勝利を収める事ができた。

 

空には朝日が昇ってきていた・・・・・

 

 

 

TO BE CONTINUED・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回予告!

 

なんとか敵を倒したナデシコ。

 

 しかし、またしてもナデシコを狙う者達が!!

 

 一体どうなるナデシコ!!

 

そしてアキト達の取る行動とは!!!

 

歴史は徐々に変わっていく・・・・・

 

 次回、

 

《第2話:『「緑の地球」はまかせとけ』・動いていく歴史》

 

を皆で見よう!!

 

 

作者より一言

 

 どうも、シゲです。

 

僕の作品を読んでくれて、どうも有難う。

 

 遅くなっちゃってすいませんでした。

 

 次はもう少し早く完成させますね。

 

 楽しみにしてて下さい!

 

 

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

シゲさんからの投稿です!!

やはり、いきなりアキトは暴走をしませんか(苦笑)

ちょっと期待をしたんですがね。

でも、イネスさん・・・どうなってるんでしょうね?

連絡が取れないだけに不安ですね。

火星で余計な事をしてなければいいですがね(笑)

さて、今後はどう物語は展開するんでしょうか?

 

それでは、シゲさん投稿有難うございました!!

 

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