異世界へ・・・
Vol.1-2
という事で、とりあえず俺はこれからのことをどうするか考えることにした。
・・・と思ったけど、俺はまだ朝飯を食っていない。
そこで俺は近くにあったコンビニ?らしき建物へと足を向けた。
俺はいつも朝食はコンビニのパンと牛乳に決めている!
コンビニの中は流石は22世紀らしく、進歩していた。
とりあえず、まずは雑誌の欄に向かう。
この世界について、何か情報を手に入れないと・・・・・俺は元の世界に戻れない!
適当に新聞を取って見ると、そこには、
地球連合軍、木星トカゲにまたも敗れる!
という見出しで始まっていた。
あぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁ・・・!!!
ナデシコじゃん!どう見てもナデシコの世界じゃん!!
できれば、嘘であって欲しいという願いはやはり実らなかった。
この新聞は買う事に決め、次に食品の欄に向かった。
俺はお気に入りの牛乳と、クリームパンを探した。
しかぁし!!
な、なんと、俺の探してる物はなかった(涙)。
ここらへんが未来っぽいのか、携帯食になるものは、俺が知っている物とはかけ離れた物になっていた。
並んでいるのは何かゼリー状の飲み物のみだった。そのパック毎に「レモン味」や、「オレンジ味」などと書かれてあった。
その中から俺は結局、「オレンジ味」と、「ブルーギステリック味」(よくは分からんが、「ただいま人気急上昇中!」と書かれてあった)と言うやつを選んだ。
普通のパンが欲しかっただけなのに・・・
俺は店を出ると、近くの椅子に腰を掛け、朝食を食べ始めた。
(一体どういうことなんだろう。まさかほんとに未来?というか、この世界、ナデシコの世界に似すぎている。という事は、パラレルワールドという可能性も否定は出来ないな。なんだか頭が痛くなってくる話だな・・・)
俺はさっきコンビニで購入した新聞を開いた。そこには、「ネルガル重工、新型の戦艦を造船中!?」と書かれてあった。
(はぁぁぁ。何度見てもナデシコだ・・・それにしても、こんなに機密情報が民間に流れちゃって良いのかよ!?)
俺は新聞を閉じて、これからの事を考える事にした。
(俺の人生って泣けてくるな…無職になるわ…ナデシコの世界なんぞに来ちまうわ…どちらにせよ、なんとか元の世界に戻る方法を見つけ出さなくては。その方法として一番有力な方法はやっぱりナデシコに乗る事だよな。このナデシコの世界に来てしまった理由には、きっと・・・いや、絶対にナデシコが関係している筈だ。やはりまずは、何とかしてナデシコに乗り込まなくては!)
朝食も食べ終わり、俺はネルガルの工場へと向かい始めた。
ネルガルの工場は少し高くなった丘の上にあった。
俺は入口から少し離れた場所で、どうやって入り込むか、考えていた。
(どうやって入り込む。やっぱり入口の前で暴れるか?それとも・・・う〜ん、なかなかいい案が思いつかない。)
俺が考えているところで、俺の側を一台の車が通り過ぎ、建物の中にと入って行った。
「今の車は・・・確かユリカ達が乗ってた・・・」
それから暫くして、自転車に乗った青年が息を切らせながら工場に向かって行く。
「あれは・・・アキト?」
(どうやら俺が知っている物語と同じみたいだな。・・・ってことは、早くあの建物の中に乗り込んでおかないと、いつ出発するか分かったものじゃないぞ。)
再び工場の入口の方を見てみると、アキトが警備員に連れて行かれるところだった。
俺は入口に走っていき、門が空いている間に入り込もうとする。
しかし、それは失敗に終わった。まだ一人警備員が残っていたらしい。
「誰だ、お前は!」
俺はあっさりと捕まり、内部へと連れて行かれた。
俺が連れて行かれた先には、アキトもいた。
暫くして、プロスペクターが警備員に連れられてやってきた。
「彼等ですか。この工場に乗り込もうとした者達とは。」
「はい。そうなんです。こちらの料理人風の男の方はユリカに会わせろ会わせろと入口の所で騒いでいた所を取り押さえました。」
「ほぅ、パイロットですか・・・」
「違うよ、俺はパイロットなんかじゃない・・・パイロットなんかじゃ・・・俺はコックだ・・・でも、コックじゃない・・・」
「このように先程から訳のわからない事を言っているのです。」
俺から見ても、今のアキトはアニメの時そのままの、ただのオドオドしている不法侵入者にしか見えなかった。本当にこの男があの黒の王子とまで呼ばれた男になるのか?俺にはどうも信じられなかった。アニメで見るアキトと今いるアキトがどうしても別人のような気がした。
アキトの身元が分かり、ナデシコのコックになる事が決まると、プロスは次に俺の方へとやってきた。
「さて、次はあなたの番ですね。あなたは何故ここに来たのですか?」
「俺は、仕事を探しに来たんだ。俺は朝起きてみたら仕事がなくなっていたんだ。何故今ここにいるのかも分からない。大体、今の俺が一体何者なのかも分からない。だが、俺の考えじゃ、このナデシコとかいう戦艦。この戦艦が絶対に俺のこの事態に関係していると思うんだ。」
「う〜む、本当なんですかね〜?取り敢えず、あなたのお名前を調べましょう。」
そう言って、プロスはペンのようなものを取り出す。
俺は慌てて腕の服を捲り上げた。
「!!!まさか・・・あなたはこの世界には存在していない。あなたの言ってた事、どうやら本当だったみたいですね。疑ってすいませんでしたね。・・・いいでしょう。あなたもこれからナデシコのクルーです。で、前は何の仕事をやっていたのですか?」
「それが・・・プログラマーだったんですが・・・」
今は失業の身だよ。全く、参っちゃうよな。
「プログラマーですか。随分昔になくなった仕事ですね。ふ〜む、あなたには興味が湧いてきました。よろしい!あなたにはナデシコのコンピュータの修理などをしてもらいましょう。では、これからしっかり働いてくださいね!ところでお名前をまだ聞いていませんでしたね。」
「俺の名前・・・名前・・・取り敢えず、皆からはBenって呼ばれてるよ。よろしく。」
「Ben?変わった名前ですねぇ。」
偽名だよ、偽名。本名名乗ったらやばいでしょが。
「私はプロスペクターです。さてと。では、ナデシコに参りましょうか。」
やった!俺はナデシコの中に乗り込む事が出来た。
俺はウキウキしながら、ナデシコの内部を見て回る事にした。
何処もかしこも俺が知っているナデシコの中だった。中には俺の知っている人間が何人も見受けられて、なんだか変な気分だ。
俺はこの足で、エステバリスの格納庫に向かう。
そこには現在配備されている二機のエステバリスがあった。その内一機は動いている。
「やっているな〜。」
俺は丁度いいときに来たようだ。あのガイの情けない場面をこの目で見る事が出来るとは!
そのとき、俺が通ってきた通路からアキトがやって来た。
「やあ、君はさっき一緒に捕まった・・・」
アキトは屈託の無い笑顔で俺に話し掛けてくる。
「俺の名前はBenだ。よろしく。」
俺が手を差し出すと、アキトも手を差し出し、握手を交わした。
どうやら同じような境遇で捕まったことで、親近感がアキトには起こっているようだ。
その時右手のロボットから声が聞こえて来た。
「ゲキガ〜ンキ〜〜ック!!!」
「ゲキガンカッタ〜!!!」
ガイの声だ。
俺とアキトはガイの様子を見る。
どうやらガイの性格もそのままのようだ。
暫くすると、ガイが自分でこけてしまった。
ああ!いいものが見れた。あの不死身君に本当に会えるとは、俺はなんと運がいいんだろう!
少し俺の思考回路も壊れ始めたようだ。
暫くして、ガイが自分の足のことに気づき、ウリバタケ達の手によって連れて行かれる。
その時予定通り、アキトがガイの乗っていたエステバリスのコクピットに向かう。
俺も、もう片方のエステバリスのほうに行ってみた。
どうやらこちらも整備中だったらしい。入口は開いており、俺は乗ってみる事にした。
う〜!!!これがコックピットか!素晴らしい。
中を見ると、どれも見たことの無いものばかりだった。
そうやって内部を見ていると、ピッ!と言う音がして、ハッチが閉まり始めた。どこか間違って押してしまったらしい。
俺は直ぐに出る為に、何処を押してしまったのか、探し始めた。
しかし、運命の悪戯なのか、俺の身体に振動が来る。木星蜥蜴の攻撃が始まったのだ。
俺はここからでる為に、何も考えずにいろんな所を触ってみる。
ダメだ〜!全く動かん!!
それから暫くして、アキトの乗ったほうのエステバリスが動き始めた。エレベータが動き始めたのだ。
(いよいよ出陣だな。)
そう思った矢先、俺の方のエレベータも動き出したのだ。
「な、なにぃ!?」
そりゃもう驚きだ。
一体俺にどうしろと言うんだ?
「誰だね、君は。名前と所属を言いたまえ。」
!!!
突然俺の目の前にあのコミュニケと言う奴が現れた。
映し出されていたのは、英雄フクベ提督だった。
もう一つのコミュニケが開いた。どうやらこっちはアキトのほうの映像のようだ。
アキトが先に自分の名前と所属を名乗った。俺も続いて名乗る。
「俺は今日、ナデシコのコンピュータの修理担当として雇われました、Benと申します。よろしく。」
俺は律儀にも挨拶までしてしまった。
未だに操作できないと言うのに、どうしろと言うんだ?
俺が考えている間に、ユリカがアキトのことを思い出し、ユリカモードが発動してしまった。
他の皆はあれやこれやと混乱をしている。
くそ〜!・・・・どうしたらいいんだろう?
不意にその時、目の前のボール状の物が眼に入った。
先程から気が付いてはいたが、今の自分が触ったら何が起こるか分からないと言う事で、手を触れなかったのだ。
たしか、これがナデシコを動かす為のもののはずだ。だが、俺の腕にはIFSはついていない。
これを触って動いたら、いよいよ俺もかなり危ない集団の一人になってしまう…
そう思い、触らずにいたんだが…
「このままじゃいかん! ええぃ! ままよ〜〜!!」
俺は触ってみた。
……
…………
………………
「なんだ。何にもおこんないじゃ……」
ガクンっ!!!
動き出しやがったぁ〜〜〜!
はっきし言って、ガン○ムじゃないんだぞ! 俺の腕にはIFSなんてついてないんだぞ!
しかし、動いてる…
なんでだぁ〜〜〜!!
遂に俺も…俺も人の道を踏み外してしまったか……(爆)
「しかし…止まらんぞ〜〜!!」
俺が乗っていたエステバリスが暴れ始めた!
い、いかんぞ〜!!
そうだ、想像だ!
イメージするんだ。
何とか止まった…
「大丈夫か?」
ゴートが俺に話し掛けてきた。
大丈夫なわけ無いだろ! こっちは初心者なんだぞ!
「だ、大丈夫です。」
俺はみえをはって何とか言った。
「そうか、では、作戦を説明する。作戦の時間は10分間。なんとか敵をひきつけてくれ。健闘を祈る!」
なにぃ〜〜!!
もう着いちまうのかぁ!!
や、やばい!!
よく考えたら、俺がいたっていなくたってナデシコの世界での歴史には何の影響も無いじゃん!
死亡確率100%!!
い、嫌じゃ〜〜!!!
そんなことをいってもリフトは地上に出た。
そこでアキトが話し掛けてきた。
「くっそぉ〜。いくぞ!!」
「お、おう!!」
俺たちは逃走を開始した。
本当に10分間も逃げ切ることなんか出来るのか?
くそぉ。後ろからはあのジョロとバッタが追いかけてくる。
時間は…まだ3分しかたってないのか?
後7分…ホントに逃げ切ることが出来るのか!?
その時、アキトから通信が入った。
「このままじゃらちがあかない! 俺たちから反撃に仕掛けるぞ!」
な、なんだとぉ〜!
しかし、俺とて簡単にやられるわけにはいかない。
アクション大魔王といわれたこの力、見せてやる。
俺は反転するイメージをした。
エステバリスは急ブレーキをかけ、反転をする。うむ、なかなか思い通りに動き出したぞ。
何故なら俺はこの機の性能を完全に把握しているんだ。どのぐらいの性能を出すことが出来るのかも。
「ふっふっふっふっふ。わーっはっはっはっは。」
周りからは、どう見ても壊れたようにしか見えないかもしれない。
「そうだ、そうだったんだ! 俺にはやれるんだぁ〜!」
嫁さん貰わずして死んでたまるか!!(爆)
俺の乗るエステバリスのアームが伸びて一体のジョロに突き刺さる。
まずは一体!
アキトのほうも倒していた。
「よ〜しっ! こうなったらいくぞ!」
俺とアキトの乗るエステバリスがそれぞれジャンプをする!
アキトのほうは大丈夫として、問題は俺のほうだ!
一体どこにいたらいいんだ?
そう思っているうちに、救援が来た。ナデシコだ。
「アキト、Benさん、離れて下さい。」
ユリカの一言で、俺は敵が固まっている直線状から身を引いた。
ナデシコから放たれたグラビティ・ブラストで敵は消滅した。
「流石に…やっぱ凄いな…」
俺は感動していた。何てカッコイイのだろう!
俺は何とか戦いに生き残ることが出来た。
次は…果たして大丈夫なのだろうか……
TO BE CONTINUED
作者のかなりのお詫び
どうも、シゲです。この作品の続きを投稿するのは、そうとう久し振りなので、忘れていらっしゃる方が多いでしょう。もしかしたら、誰も知らないかも。
Benさんが異世界に行っちゃったお話です。いやぁ、なかなか難しいですけど、面白いですよ、こういう小説も。きっと。
読んでくださったかたは、どうも有り難う御座いました。
続きも頑張って書いていこうと思います。(自分のHPのほうを書きながらなので、ペースは速くないかもしれないですけど…)
では、続きを楽しみにしていて下さいね。
代理人の感想
・・・・・まだ、踏み外していなかったのか(謎爆)。
まあ、それはともかく。
Benさんはどうやってコンビニで買い物をしたんだろう?
二百年後の通貨なんて持ってないよね〜(笑)?