「う〜む、こんなもんかな?」
只今アキトはガイとの相部屋だった部屋を1人部屋に模様替え中である。
「やっぱりマリモは外せないな」
マ、マリモ?
「そうそう、後ヤシの木もないとな」
どんな部屋なんだ?
「うーん、1人だと部屋が広く使えていいねー」
ガイはもういいのか?
「あ、そういやアイツの荷物・・・」
覚えていたか。
「・・・コレって何処に捨てりゃいいんだ?」
捨てるな。
伝説の3号機
その7
どおおおおぉぉぉん・・・・・!
突然の衝撃がナデシコ全体を揺らす!
「のあ!?何だ!?ヤジンが化けて出たか!?」
勝手に殺すな。
「・・・・・・・・・・頼むから成仏してくれよ」
だから殺すなって。
「フィールドジェネレーター第2区画付近に中程度の破損」
「木星蜥蜴ですか」
「むう・・・まさかサツキミドリが落とされるとは」
ブリッジはL2コロニー『サツキミドリ2号』が落とされたことで慌しくなっていた。
「そんな・・・さっきまでお話していたのに・・・」
「メグミちゃん、生存者いないか周囲の確認をお願い」
「あ、はい」
「ジェネレーターすぐに点検をお願いします。周囲の状況確認はそのまま続行!」
非常時には流石にユリカも真面目なようだ。
何時もこうならいいのに・・・。
ビーッ!!ビーッ!!ビーッ!!
「ん?何だ?またオレのステージが見たいのか?」
それはもういい。
「・・・まあいいか、今日は譲ってやろう」
誰に?
「それに今はこの荷物を何処かに捨てなきゃならんからな。こっちの方が重要だ」
だから捨てるなって。
「ちょっと待ったーー!!!!」
突然天井からメガネをかけた女性が降ってきた!
「ぬ?何奴!曲者か!?」
お前、何時の人間だよ。
「ソレ捨てちゃうんだったら私にちょうだーい!!」
「ダメ」
捨てるんじゃなかったんかい。
「え〜でも捨てるんでしょ?」
「ああ」
「じゃあ頂戴?」
「やだ」
「どうして?」
「なんとなく」
「・・・・・」
やっぱりアキトはアキトのようだ。
「で、アンタ何処の誰だ?氏名と年齢、生年月日、血液型、住所、電話番号、職業、後働いてる所の連絡先もね」
職務質問?
「え、え〜と・・・・・・・・・あっ!」
「ど、どうした?」
「ちょっと一緒に来て!」
「な、何!?何だ!?何なんだー!!?」
「いいから!」
突然メガネの女性に引っ張られるアキト。
「ちょっ・・・待てええぇぇ!事情を言わんかーい!!大体何を思いついたああぁぁっ!!?」
「え!?まあ、なんというか・・・・・・・・カン、かな?」
「カン?」
「そう、野生の」
「野生!?」
「とにかく来る!」
「も、勿論でゴザルよ!」
だからお前何時の人間だよ。
「む!何かここっぽい!」
「何故わかる?」
「何かが私の中に降りたのよ!」
「そ、そうか・・・」
アキトは戸惑っている!
シュッ
「あー!やっぱりリョーコ!!」
「お!ヒカル!」
どうやら本当に当たったようだ。
「あんだよ、ちゃんと生きてたのか」
「あったりまえだよ!リョーコもちゃんと脱出したんだね!・・・で、イズミちゃんは?」
「んあ?一緒じゃねーのか?」
「え?リョーコが一緒じゃなかったの?」
「オレは知らねぇ」
「そんな・・・じゃあ」
「勝手に殺さないで」
突然何処からともなく陰気な声が聞こえた!
「な!?イズミか!?」
「イ、イズミちゃん?」
「何?何?」
「誰だ!?」
リョーコと呼ばれた緑髪の女性とヒカルと呼ばれたメガネをかけた女性、それにユリカとゴートが辺りを見回す。
「む!?やはり化けて出たか!?」
アキトよ、お前はそんなにガイを死んだことにしたいのか?
「ここ」
「何処だよ!」
「ここだってば」
「だから!」
「リョーコ後ろ」
「え?・・・・・のわあああああぁぁぁっ!!!」
テロン♪
「ど〜も〜」
突然リョーコと呼ばれた女性の後ろに未確認生物が現れた!
しかも何故かウクレレを持っている。
「お、お、脅かすんじゃねええええぇぇっ!!!」
「リョーコが勝手に驚いただけ」
「いやイズミちゃん?誰でも驚くと思うよ?」
「そう?」
コクコク
そこに居た全員が頷いた。
「む!それは芸人にとっての必須アイテム『ウクレレ』!」
いやアキトは別のようだ。
「ふっ・・・アナタよく解ってるじゃない」
「ああ・・・お前も中々やるな」
何故か認め合っている2人。
「ふふふふふ・・・」
「はははははは・・・・」
「ふっふっふっふっ・・・・・!」
「はっはっはっはっ・・・・・!」
「へーっへっへっへっへっへっ!!!」
「あーっはっはっはっはっはっ!!!」
不気味だ。
「な、何なの?」
「さ、さあな」
「・・・・・・・・それに何であの2人笑いながら固い握手してるの?」
「知るか」
「いいなぁ、2人とも楽しそー」
「む、むぅ」
「な、何なんだい?」
居たのかジュン。
「ふぇーっへっへっへっへっへっ!!!!」
「だぁーっはっはっはっはっはっ!!!!」
何だか解らない空間が格納庫に出来上がっていた。
「とにかく自己紹介!」
どうやら落ち着いたようだ。
ただ隅っこで撃沈しているゴートとジュンはなんなのだろうか?
さっきまで何があったのかは謎である。
「まずは私からだね!」
最初はアキトの部屋に落ちてきたメガネをかけた女性のようだ。
しかし何時の間にかクルーの大半が格納庫に集まっているのはどうしてだろう?
「始めましてー!パイロットをやっている『アマノ・ヒカル』でーす!18歳!独身!3サイズは82−56−84!好きな物はピザのはじっこの硬いとこと両口屋の千なりと山本屋のみそ煮込み!嫌いな食べ物はピータンとタマゴボーロ!趣味はマンガを描くことでーす!!特技は時々何かを受信しまーす!宜しくお願いしまーす!!」
「「「「「「「「「「「おおおおおおおおおお!!!!」」」」」」」」」」」
突然男性陣(整備班一同)から雄叫びが上がった!
「な、何ですか?」
「さてねぇ」
メグミは戸惑っているがミナトは何処か悟っている。
大人だ。
「ばか」
で、ルリだ。
「はい!1番『アマノ・ヒカル』さんでしたー!元気で良い子!電波がチャームポイントですね!!」
いつの間にかプロスが司会を務めている。
で、マイク代わりに持っているのは『トンファー』だ。
まあ何時もの光景だ。
しかし電波はチャームポイントなのか?
「それでは次行ってみましょー!2番『スバル・リョーコ』さん!」
「うぃっす。スバル・リョーコ、パイロット、18歳、好きな物はオニギリ、嫌いな物は鶏皮、趣味は居合抜きと射撃、それと背後に立たれると時々斬るかもしれないから気をつけな。まあ宜しく」
「「「「「「「「「「「きたあああああぁぁぁぁっ!!!!」」」」」」」」」」」
まあ同様だ。
「な、なんだか怖いです〜」
「まあまあ」
「・・・ばか」
同様だ。
しかし物騒なヤツだ。
「ダメだよー?リョーコ。ちゃんと3サイズも言わなきゃー」
「う、うるせぃ!言えるかそんなもん!」
「またまたーじゃあ私が言っちゃうねー」
「ヒカル?」
「わ、解ったよリョーコ。だからその刀しまおうね?ね?」
「解ればいい」
どっから出したソレ?
「・・・コホン!では最後3番『マキ・イズミ』さん!どうぞー!!」
テロロロン♪
「ふっふっふっ、ふが3つ、マキ・イズミ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・それだけですか?」
テロロン♪
「聞きたい?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いえ」
コクコク
どうやら全員同意見のようだ。
賢明である。
しかし何故喋る度にウクレレが鳴るのだろう?
謎である。
「さぁて艦長?確かパイロットが1人居るって聞いたけどどいつだ?」
「あ、アキトのことですね?アキトー!ご指名だよーー!!」
ここはどこぞの○○な店か?
「いらっしゃいませー」
乗るなよ。
「・・・なんだ、お前だったのか?ココのパイロットってやつは」
「おうさ!この艦のコック兼パイロット『テンカワ・アキト』だ!オレのことは気軽に『大気圏落下中のちょっとキレイ好きな前向きマングース』とでも呼んでくれぃ!!」
以前と変わってないか?
「何言ってんだお前?」
それは誰にも解らない。
ペロン♪
「やるわね・・・」
でもそれを認めるヤツもいるようだ。
「あーさっきの人!」
「よーあんたはさっきの曲者」
「私は曲者じゃないよ!」
「じゃあ不法侵入者?」
「それも同じ!」
「じゃあ泥棒?」
「違う!」
「じゃあ・・・ま、まさかストー「やめい!」
「全くわがままだな。結局なんなんだ?」
「さっきの自己紹介聞いてなかったの?」
「もちろん聞いてたぞ?『タマゴ』、『アヒル』、『スリ』だろ?」
出た。
「「「はあ?何だって?」」」
ナイスハモリ。
「だ・か・ら、『タマゴ』、『アヒル』、『スリ』」
1人づつわかりやすいように指を差すアキト。
ポロン♪
「た、卵?」
「え?私、アヒル?なんでアヒル?」
「なんでオレがスリなんだあああぁぁぁっっ!?」
「はぁ・・・何時も言ってるだろう?その場の雰囲気だって」
「オレたちは初対面だあああぁぁぁっ!!それに理由になってねええぇぇぇっ!!!」
「そう興奮するな。カルシウム不足か?ならばいいモノがあるぞ。後で食堂に来い」
「はあ?なんで?」
「オレは一応コックらしいからな」
元々コックである。
で、食堂。
出てきた料理は以下の通り。
・死海風オムレツ
・鳥取の照り焼き
・チョモランマ風味豚カツ
・モロヘイヤとトマトとザリガニ + β
のかきあげ
・お化けカボチャの練乳煮
・小松菜の天然ミネラル煮浸し干し(生しらす付)
アキト本領発揮!
小松菜が有る辺りアキトらしいと言えよう。
「「「・・・・・・」」」
「さあ!遠慮なんぞしないでたーんと食え!」
「なあ、一つ聞いていいか?」
「なんだ?」
「お前、味見はしたか?」
「・・・・・・・・・・・味見ってなんだ?」
ある意味爆弾発言である。
「く・・・」
「く?」
「食えるかあぁぁっっ!!」
ずがっしゃああぁぁっっん!!!
「よっとっほっへっはっ!」
ぽんぽんぽんと起用に飛んできた料理を受け止めるアキト。
何者だお前?
で、その料理をアキトが受け止めた側からから食ってるやつが約1名。
「モグモグ・・・うん!美味しい!」
「ちょっ、艦長、それホント?」
「うん、おいしーよ?」
本当か!?というより何時の間にココへ?
「う〜ん、どれどれ・・・!お、美味しい!」
「え!マジかよ!」
「ホントホント!何か謎っぽい味だけど後からこみ上げて来る不可思議な感覚がたまらないよ!」
どんな味だソレ?
というかソレやばくないか?
「全く、失敬なヤツだな味わいもしないで料理を評価しやがって」
お前が言うな。
「う・・・悪かったよ」
「ふっ、解れば宜しい!では食せ!今回は特別にタダになるかもしれないぞ?」
「・・・じゃあお金とるかもしれないんだね?」
「さあぁぁぁて、どうかな〜」
悪だなアキト。
そんなことはわき目も振らずにひたすら食ってるこの2人。
「むぐむぐ・・・おいひーよー」
ペロロン♪
「パクパク・・・ふっ、癖になるかもね」
ある意味やばくないか?と言うかユリカ関係ねーだろうに。
「でも食べ物は粗末にしない方がいいよー?」
「そうだな、もったいないお化けが出てきて縛り首にされるかもしれんぞ?」
もったいないお化けってそういう事しないと思うが。
しかし何故このご時世で縛り首?
「はぁ・・・・・・しかしお前本当にパイロットか?」
「何?失礼な!これでも『歴戦のうっかり八兵衛』と呼ばれた男だぞオレは!」
強いのか弱いのか解らん。
それに何時、誰がそんなこと言った?
「・・・まあ一応パイロットなわけだな?」
「ああ、58%の確率でパイロットだ」
「何故確率?」
「はっはっはっ!倍率ドン! さらに倍だ!」
「いや、意味不明なんだが」
「うむ、オレにも解らん」
「「・・・・・・・」」
この時リョーコとヒカルはアキトがどういう人物か大体理解したという。
ガチッ
「・・・イズミさん?これは私の物ですよ?」
ポロロン♪
「ふっふっふっ・・・譲れないわね」
こっちはこっちで何故か熱い戦いが繰り広げられていた。
「さて、この後すぐにコロニー探査か・・・・・・・・・面倒臭いな」
後半の部分を小声にしたのは恐らく武器商人を警戒しているのだろう。
あの後リューコがアキトの料理を食べて心底不思議そうな顔をしたり、ヒカルがガイの荷物をくれとせびったり、イズミがひたすらユリカと熱いバトルを繰り広げたり・・・何時ものナデシコの光景だ・・・多分。
で、現在に至る。
つまりアキト1人だ。
「・・・はぁ」
ビクッ
「な、なんだぁ?展望室?誰か居るのか?・・・・・ってメナードか」
少々ビビリ過ぎだぞアキト。
「あ、テンカワさん?」
「おおテンカワさんだ。ちなみにこの艦にはテンカワさんが後518人程居るらしい」
居てたまるか。
「・・・ふふ、テンカワさんらしいですね」
「何!?それはどういう意味だ!?返答によってはメナードの部屋にタラバガニが同居することになりかねないぞ!?」
同居する前に喰われるだろう。
「・・・・・・くくくくく」
「・・・?何だ?」
「あははははははは・・・!!!」
「ど、どうした!?変な物でも拾って喰ったのか!?3秒ルールは適用したのか!?」
「ぷっ・・・くくくく・・・・テ、テンカワさん、ちょ、ちょっと待って・・・・」
「・・・・・・・よし!ちょっと待ったぞ?で、どうした?まさか売店のおばちゃんにおつりを渡された時200万円と言われたが実は20円だったとか!?」
「・・・・ははははっ・・・・も、もうだめ・・・あはははははははっ!!!」
「何なんだ一体?そうか!もしかして自動販売機でコーヒーを買ったら温かいじゃなくて生温いが出てきたとか!?」
「あははははははは!!!」
「じゃあ!・・・」
まあこんなやりとりが後10分程続いたとか。
しかし生温かいって・・・。
「ぷくくくくく・・・・お、可笑しかった・・・・」
「何がそんなに可笑しかったんだ?普通の日常会話じゃないか」
絶対普通じゃない。
「で?一体こんなとこで何やってたんだ?」
「・・・・・私ちょっと考えちゃって」
「考える?」
「はい・・・・・・テンカワさん、なんですかそのポーズ?」
「いや基本かなと」
まあ考えるポーズというやつだ。
「・・・・・・・続きいいですか?」
「どんぞ」
何故なまる?
「思ったんですけど、何だかこの艦の人たちって人が死んでも平気みたいで・・・」
「ほうほう」
「普通、人が死んじゃったら悲しいですよね?それなのに・・・」
「ほう」
「おかしいですよね?こんなの・・・・・・・でも何だかどうでもよくなっちゃいました」
「ほ・・・」
「テンカワさんとお話してたら自分の中にあったもやもやが無くなったみたいです。これもテンカワさんの・・・・・テンカワさん?」
「・・・」
返事がない、どうやらタラバガニのようだ。
「・・・・・・・・・本気だったんですか?」
いったい何時の間に摩り替わったのだろう?
「はぁ・・・・・あれ?これって・・・・・・・・ふふ、テンカワさん・・・いえアキトさんらしいですね」
メグミが見つけた物、それはタラバガニのハサミに挟まっていた紙切れ。
そこにはこう書いてあった。
【これで元気ハツラツ100トンパワー!
海原を統べる拒否反応シンガー より】
アキト・・・メグミの運命はどっちだ!?続くような続かないような思わなくも無きにしも非ず。
あとがきです。
こんにちは、彼の狽ナす。
さて、これでメグミフラグは立ったのだろうか?
次回は本編のようにキスまで行くのか!?
・・・・・・まあ、無いかな?あのアキトじゃ(笑)
と、それは置いといて。
ついに3人娘が出ました。
この個性的(全員)なキャラたちを何処まで生かせるか!
特にイズミ!・・・どうすべ?
物書きって難しいです(汗)
さてさてお楽しみいただけたでしょうか?
笑っていただけたら幸いです。
次回はコロニー探査!・・・アキトのエステ操縦は大丈夫なのか!?
ではまた次回お会いしましょう!
みなさん、感想ありがとうございます!たそがれてても執筆がんばります!
・・・イズミのあだ名、何故タマゴかは後々という事で(笑)
管理人の感想
彼の狽ウんからの投稿です。
とうとう出てきましたね、イズミ(笑)
何気にヒカルもいい味出してますが、お陰でリョーコが目立っていないような(苦笑)
それも相手が相手ですから、仕方が無いですかねぇ
本編に添うように、メグミといい雰囲気のアキトですが、今後はどうなるでしょうか?