どずざぁ!

「ぐべ!?」

ぐしゃ!

「あきゃ!?」

「ごは!?」

穴底にやっと到着のようだ。

しかし、今なんか1人の悲鳴(奇声)が2回聞こえたような。

「………う〜…いたたた…あれ?アキトさん?アキトさ〜ん何処ですかー?」

「…こ、ここじゃい」

「あれ?アキトさん、私の下で何やってるんですか?」

「ああ、ちょっと世の不条理さを考えていた所だ」

「博識ですねー」

「……………ホントは早くどいて欲しいとひたすら思っているのだが…しかも人をクッション代わりにしやがって

「何だそうだったんですか。早く言ってくださいよ」

どうやらアキトの呟きは無視されたようだ。

メグミよ、お前も中々いい根性してるな。

 

なんだかんだで穴に落ちてもマイペースの2人だった。

 

 

 

 

 

 

 

伝説の3号機

その12

 

 

 

 

 

 

 

 

「…で、ここは何処なんでしょうか?」

「地下だな」

「それは解ります」

「じゃあ聞くな」

「…そういう意味じゃなくてここはどの辺かってことですよ」

「それが解れば苦労はしない!」

「はぁ…」

現状をちゃんと認識しているのかかなり怪しいところだ。

 

「ちょっとそこの漫才コンビ」

突然暗がりから声がかかった!

「誰が漫才コンビだ!」

「そうです!せめて漫才の前に夫婦を付けてください!」

「…おい」

「てへっ@」

言われてる側から漫才してるし。

「……やっぱり漫才コンビじゃないの…ってアレ?」

「何だ?」

「アナタもしかしてアキト君?」

「何?確かにオレはテンカワ・アキト、18歳、通称『ベーリング海を単独航海する生渇きジャケット』だが?」

「…何ですかソレ?」

「…はぁ。こんな訳の解らない事を言うのは間違いなくアキトくんね」

「アンタこそ何者だ?マントとフードと全身を覆っている怪しさ総攻撃なヤツと知り合いじゃないぞオレは」

「…ふふ。私の声を忘れたの?」

「へ?声?……………誰だお前?」

「じゃあこれでどう?」

そう言って謎の人物はフード外した。

現れたのは妙齢の女性。

「!!!」

「アキト君、解った?」

「アキトさん本当に知り合いなんですか?」

「…」

しかしアキトは何故かフリーズしている。

「アキト君、アキト君しっかりしなさい」

「…はっ!……………え〜と…あ、どうもこんにちは」

「はい、こんにちはアキト君」

「さようなら」

「さようなら…ってちょっと!」

「なにかな?」

「どうして突然さようならなの!?」

「ダメ?」

「ダメ!」

「うう、お見逃しくだせぇお代官さまぁ」

「誰が代官よ、全く相変わらずねぇ」

「そりゃどうも…」

「アキトさん?結局この人誰なんです?」

「ふふ…まあソレも含めて私が説明してあげるからこっちへいらっしゃい」

ビクッ!

「…」

「そうですか?じゃあ…ど、どうしたんですかアキトさん?真っ白になっちゃって」

「…うう…もういい、もういいから…ああ、お願いだから見逃してぇ…ううぅ眠いよぉ眠いよぉ…」

アキト壊れる!

「ちょ、ちょっとアキトさん!アキトさーん!帰ってきてくださーい!!」

「はぁ、困ったものね」

その後アキトが無事復活したのは10分後だったとか。

 

 

 

 

「うう〜…」

「アキトさん、大丈夫ですか?」

「全くだらしないわねぇ」

「………!」

がしぃ!

「へ?」

突然アキトはメグミの腕を掴んだ!

「逃げるぞメナード!このままじゃ殺られる!

「え?え?」

そう言い困惑気味のメグミを引きずりながらアキトが跳び出そうとする!

ビィン!

「ぐば!?」

「きゃっ!」

ドカ!

ベシ!

だが2人共脱出失敗のようだ。

「逃げようたってそうはいかないわよ?」

「…何時の間にオレの足にロープが」

「さっきまで無かったのに…」

アキトとメグミは驚愕の表情だ。

「それにしても随分と言ってくれるわねアキト君?何を考えていたのかしら?」

「はっはっはっ!やだなぁ!それじゃ、まるでオレが何か酷い事を考えていたみたいじゃないか!」

「白々しいわ」

「………ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。すみませんすみませんすみません。どうかどうか平にご容赦を!オレ良い子になりますから!!」

必死になって地面に頭を擦り付けながら謝るアキト。

一体、何があった?

「はぁ……もういいわ」

「うう…感謝します」

「さて、大分話が脱線してしまったけどアキト君、彼女に紹介してくれる?」

「へい、あ〜メナード。こちらはネルガルの研究員でオレが随分小さい頃から世話を時々見てくれていたイネス・フレサンジュさんだ。
まあコッペパンラプソディーとでも呼んでやればいい」

「…はあ」

「…アナタに紹介を任せた私がバカだったわ。とにかく宜しくね。え〜と?」

「あ、私はメグミ・レイナードです」

「そう、宜しくレイナードさん」

「あ、メグミでいいですよ」

「ふふ…じゃあ私もイネスでいいわ」

「じゃあオレはマイナー帯グラフでいいぞ!」

「はい、イネスさん」

「ええ、メグミちゃん」

「……ねえ無視しないでよ」

アキトは悲しそうだ。

「さて彼方達はどうしてココへ?アキト君は今まで何処に居たの?それにメグミちゃんは何処から来たの?」

「ええと…私達はナデシコという艦で地球から火星に来たんです。それで目的は難民の皆さんを救出とか色々らしいんですけど…
それにココに来たのはアキトさんに着いてきたからであって…う〜…」

「ナデシコ?…まあいいわ。大体事情は飲み込めたから。それじゃあ1度顔を出しておいた方が良さそうね」

「はい!…あ、でも他の皆さんは?」

そう言って周りを見渡すメグミ。

確かに周りには数多くの難民がこちらを見ている。

「まあ私が代表として行くわ。今後の事も含めて色々と話しておかないとね」

「そうですか?…解りました!じゃあ行きましょうかアキトさん!…アレ?アキトさん?」

「いいんだいいんだ…どうせオレは要らなヤツなんだ…へっどうせオレなんて」

アキトは隅っこで陰を背負い地面に『の』の字を書きながらいじけていた!

まあ完全に無視されていたからな。

「アキトさーん!しっかりしてくださーい!帰りますよー!」

「やれやれ…先が思いやられるわね」

「せっかくオレのナイスな喋りで皆を明るくさせようと思ったのによ…もういいよ勝手にやってくれ」

アキトが立ち直るのに再び10分程掛かったとか。

 

 

 

 

「アキトさん元気出してくださいよ。私が居るじゃないですか♪」

「…まあメナードが居る居ないは置いていて」

「置かないでください!ちゃんと神棚にお供えしないと不幸が訪れますよ?」

「そ、そうなのか?」

「勿論です!」

つまり生贄?

「ほらほら、じゃれてないでさっさと行くわよ?」

「へ〜い…」

「返事はしっかり!」

はいな!……………そういえばインフレの姉御

どうやらイネスはインフレの姉御になっているようだ。

「…………………その呼び名まだ覚えていたの?」

「うぃ」

「……はぁ…解ったから。昔『私のことは姉御と呼びなさい!』って言ったことは取り消すから」

昔、何やってたイネスよ。

「りょーかい。じゃ、インフレ姉さん

「………どうせならそのあだ名も止めて欲しいんだけど」

「や」

「……もういいわ。で、何?」

「あ?ああ、え〜と、ここにさ孤児院のヤツラって居るか?」

「いいえ、ここに孤児院の子は1人も居ないわ」

「そうか……ってことは勿論アイツも居ないわけだな?」

「アイツ?…ああ、彼女?ええ、ここには居ないわ」

「…?アキトさん彼女って?」

「ん?気にするなメナード。何処にでも在るマッコウクジラとフンコロガシの対談だ

「はあ?」

そんなのが何処にでも在ったら凄いだろう。

「気にしちゃダメよ、メグミちゃん」

「え?ええ…でも…」

更に追求しようとするメグミ。

「ほれ着いたぞ、さっさと乗れ乗れ。発車のベルが鳴ってるぞー早く乗らないと置いてくぞー
乗らない方は白線の内側にお下がりください。ドアが閉まります、駆け込み乗車はお止めください。発車よーし!」

だが寸前でアキトに遮られた。

しかしお前は何時から駅員になった?

 

 

 

 

「それじゃあ行きますか!」

アキトが元気良くエステに乗り込む。

「ええ、宜しく」

「う〜狭い…」

しかし1人乗りのエステに3人もよく乗れるものだ。

 

シュバッ

 

アキトエステが何故か勢いよくから飛び立つ!

まあ飛びたい気分だったのだろう。

 

バシュウウウウゥゥゥ………ガン!

 

「ぬわあああああぁぁぁっ!!!?」

「ひゃああああぁぁぁっ!!!?」

「きゃぁぁぁぁぁっ!!!?」

だが何かに弾かれた!

 

やっほー!アキトー!迎えにきたよー@………あれ?アキト?何で崖に激突してるの?』

確かに崖に激突してピクピクしてる黒いエステバリスが見える。

「……………てめぇ…戦艦でエステ轢いといて言うことはそれだけか?」

『う…アキト、こわひ…』

ちなみにイネス、メグミは目を回している。

「お前は後でお仕置きじゃああああぁぁっ!!!」

えーーーっ!!!………あ、でもアキトならいいかな@』

いきなり妄想に耽りイヤンイヤン等と言いながら身をよじらせるユリカ。

「誰がオレがやると言った?………よぉし!アジ副長!」

『な、なんだ?』

「お前に『艦長を1日自由にしてもいいよ券』を進呈しよう!」

『え?』

「だから!1日スカを自由にしていいんだよ!つまりあーんな事こーんな事をしてもいいんだぞ?」

『『『『『『『ええーーーーっ!!!!!!?』』』』』』』

『な、な、な、なななななな何をををいいいいい言ってるるるるんんだ
おおお前は!!!!?』

ジュンは激しく戸惑っている!

ついでにブリッジクルーも戸惑っている!

「……………はい!今、18禁な事考えたヤツ!正直に手ぇ上げろ!」

『『『『『『『……………』』』』』』』

スッ

ブリッジが沈黙する中、一人手を上げるヤツがいた!

「……いや、ベン師匠。満ち足りた表情で手を上げられても困るんですが」

『何を言う、お前が上げろと言ったから上げたのだ。文句があるのか?』

若いなフクベ。

「いえ……あ〜コホン!とにかく未成年も居るわけだから不埒な事を考えるんじゃない!恥を知れ!」

『確かにそれはそうだが…あんな言い方をされれば誰でも誤解すると思うぞ?』

「何を言うかアジ副長!その辺の事はこう以心伝心といった感じで読み取ってくれよ!」

『『『『『『『『いや無理、絶対無理、死んでも無理』』』』』』』』

「ぬあ!?全員でツッコむか!?しかも無理って何故!?」

『『『『『『『『テンカワ(アキト)だから』』』』』』』』

「………」

アキトは再び落ち込んだ!

 

 

 

 

 

 

「誰も乗らない?」

あの後ナデシコに乗り込んだアキト達。

イネスの説明を聞き終えた意気消沈の面々の中でフクベが開口一番にそう切り出した。

「そう、私達は火星に残るわ。ナデシコの基本設計、その他諸々をしたのは私達火星の人間。だから解る、この艦じゃヤツラには勝てない!
そんな艦には乗る気にはなれないわ。幾らフクベさんの頼みでもね」

「しかしこの艦は木星蜥蜴との戦闘には常に勝利してきた……まあ手段は色々有ったが」

「……そうか。数時間程前の怪電波も貴方達の仕業ね?」

「か、怪電波…」

アキトとイズミのアレは怪電波と認識された!

「そうよ。ソレのお陰で私達の通信機もオシャカに…まあ、それは今は置いといて…」

「あまり置かないでほしいような…」

「ユリカ、そこはあまり触れないほうが…」

どうやらクルーの面々はアレをあまり直視したくないようだ。

「とにかく、貴方達は木星蜥蜴の何を知っているの?」

「少なくとも飯は食わないわな」

「アレだけ高度な無人兵器がどうして作られたか?」

「暇人が山ほど居て暇潰しに作ったとか?」

「目的は?」

「火星名所巡り、または火星で美味いもの探索ツアーとか?いや、秘境発見ツアーもアリか?」

「火星を占拠した理由は?」

「無駄に広いからなぁここ、家でも建てるんじゃないか?じゃなきゃ火星全土を使って鬼ごっことか」

火星全土を使っての鬼ごっこ…何時終わるんだ?

「……………アキト君?」

「おう!なんだ、インフレの姉御!」

「今、真面目な話してるんだけど?それに姉御っていうな!

ぷすっ

ぱたっ

「くーくーくー…」

アキトは強制的に眠りについた!

「イ、イネスさん。その注射器、一体何処から?」

メグミは困惑している。

「……………ふふ、さて話の続きだけど」

「笑って誤魔化さないでください!」

「…じゃあ聞きたい?たっぷりと説明してあげるわよ?」

「結構です」

メグミは1秒で拒否した!

「…そんな一瞬で返さなくても」

イネスは少し悲しそうだ。

「…まあいいわ。さて…」

ビーッ!!ビーッ!!ビーッ!!

イネスの声を警報が遮った!

「…」

イネスは再び悲しそうだ。

「敵襲、大型戦艦5、小型戦艦30」

ルリの報告がブリッジに響く。

「とにかく今はこっちが優先!グラビティ・ブラスト、フルパワー!撃てーー!!!」

ユリカが一気に攻撃に移る!

もしかしたらイネスの説明を聞くのが嫌なのかもしれない。

そんなことより黒き奔流が敵を包み込む!

「やったぁー!」

だがモニターに写るのは未だ健在の敵多数!

「ええー!?」

「ど、どうして!?」

「う〜む、喰ったか?」

「「「「「「「「「「喰うか!」」」」」」」」」」

何時の間にやらアキト復活!

「はぁ…あなた一体どういう体してるの?あの薬は最低でも6時間は利いている筈よ?」

「ふっよく言うだろう?予定は未定で決定ではないと」

「何だか有ってるような、何か間違っているような…」

イネスは困惑している。

「と、とにかく敵もディストーション・フィールドを使っているのよ?お互い一撃必殺とはいかないわね」

「必殺といえば?」

「ええ、テンカワ君?」

「「「「「「「「「「止めんかあああぁぁぁっ!!!」」」」」」」」」」

もう皆必死だ。

「…40キロ前方敵戦艦続々増大」

ルリだけは何とか仕事をしているようだ。

「な、何よアレ…何であんなに入ってるのぉ?」

「ああ、アレは実は「入ってるんじゃない、出てくるのよ途切れることなくね」……」

セリフを遮られたアキトは淋しそうだ。

「あの沢山の戦艦はきっと別の宇宙から送り込まれてくるのよ」

「なにぃ!アレって送り物だったのか!?じゃあ、お返しを考えないとな。う〜ん…ベン師匠!やっぱりお返しの基本は石鹸とか海苔ですかね?」

「ふむ、カルピスも定番じゃぞ?」

「おおそうか!流石はベン師匠!じゃあ早速…」

「「「「「いい加減にしろぉ!それは送り違いだぁ!!」」」」」

 

どげべぎぐしゃっ!!!!!

 

ぱたっ

 

「……ぐはっ…」

アキト再びダウン!

「この非常時に…」

プロスはモーニングスター片手に怒り心頭だ。

「本当だよ全く…」

ジュンも例の警棒片手に同様だ。

「現状をわきまえんか」

ゴートはをさすりながら呆れている。

「何考えてやがんだコイツは?」

リョーコはを納めつつ頭を抱えている。

「ホント変わらないわねぇ」

イネスはそう呟きながら何かを懐にしまった。

何かは不明だ。

しかし5人同時に激しいツッコミだ。

「「「「「…」」」」」

ユリカ、ミナト、メグミ、ルリ、そしてフクベは冷や汗を掻いている。

特にフクベは自分も殺られるのではないかとドキドキものだ。

「…あ〜…敵、更に増大中…」

ルリは何とか仕事に戻ったようだ。

「敵のフィールドも無敵でない、連続攻撃だ!」

「そ、そうですね!グラビティ・ブラスト、スタンバイ!」

「無理よぉ!」

「ええ!?」

ミナトの報告にユリカは戸惑いの表情を見せる。

「ここは真空では無いわ。グラビティ・ブラストを連射するには相転移エンジンの反応が悪すぎる」

「何?反応が悪いのか?じゃあオレがいっちょ…」

「アンタは寝てなさい!」

ぷちっ

ぱたっ

「…きゅう」

「全く、何でこうすぐに復活できるのかしらね?」

それは謎だ。

そんな事をやっている内に敵が迫る!

「どうする?」

「私達が出てもあの数じゃあ」

「……ここはやっぱりアレを」

「「止め止め!」」

イズミの暴走を必死で止めるリョーコとヒカル、賢明だ。

「ディストーション・フィールド!」

「待ちなさい!」

「そうです、待ってください!今フィールドを張ったら艦の真下の地面が沈んじゃうじゃないですか!
そこにはイネスさんの仲間が、生き残りの人達が居るんです!」

「!……全速離脱!」

「ごめーん、着陸しちゃたら離陸に時間が掛かるの」

「そ、そんなぁ…」

「敵艦上方に回りつつあります。チューリップより敵増大中」

ルリの報告が更にユリカを追い詰める。

「フィールドを張るか、このまま敵の攻撃を受けるか」

「提督、艦長には酷な決断のようですね」

「うむぅ…」

「………とにかくミナトさん!急いで離脱準備に入って!」

「解ったわ!」

「しかし間に合うか?」

ゴートの言葉にブリッジが沈黙に包まれる。

「まあみんな落ち着け!こういう時は開き直りというのも良いかもしれんぞ?」

アキト再び復活!

「うぁ…また復活したぞコイツ」

リョーコは呆れている。

「しかし開き直りと言っても…この状況では」

「うむ、だからここはいっちょバーンと!ぶちかますとか?」

「ぶ、ぶちかます?」

「そう!全砲門開きながら敵に体当たりして最後は自爆@とか」

「「「「「「「「「「「「自爆したらダメだろうがあああぁぁぁっ!!!」」」」」」」」」」」」

「おお!何故!?」

「何を考えているんですかアナタは!第一そんな事したら全滅してしまうじゃないですか!」

「ふっ!まだまだ甘いなプさん。少なくとも火星住民は無事だし、もしかしたらオレ達も運良く助かるかもしれんぞ?おお!万事解決!」

「全然解決してません!しかも運でしか生き残れないんですか!?」

「敵を退けるという点はクリアしていると思うが」

「今だけ退けても仕方ないでしょうが!」

「そういう細かいことは気にしない気にしない」

「全然、全く、これっぽっちも細かくありません!それにナデシコが無くなったらどうやって地球に帰るつもりですか!?」

「あ、こりゃ盲点」

ペシッ!っとおでこを叩いてアキト苦笑い。

「いいんですか?そんなことやってる間に敵艦が配置に着いてますよ?」

「「「「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」」」」

ルリの報告に全員フリーズだ。

「あ〜…え〜と…とにかく防御体制とって!ミナトさんまだですか!?」

「もうちょっと待って!」

「急いでください!」

なんとか復活したユリカが命令を下すが敵艦は砲撃の準備に入っている!

「まだですか!?」

「ダメもう間に合わない!」

ユリカを含む面々は絶望の表情を浮かべている。

「なあ、こんなのどうだろう?」

「何?アキト君。この状況でくだらない事言ったらどうなっても知らないわよ?」

「はっはっはっ、安心しろインフレ姉さん!かなりナイスな思いつきだぞ?」

「へえ…それで一体何を思いついたの?」

「うむ!まあ任せろ!…メナードちょっとソレ貸してくれ。ああそれと全周波数に音声が届くようにしてくれ」

「え?はい、どうぞ。でも何をする気ですか?」

「ふっ…黙って見ていろ」

そう言ってアキトがメグミの席に着く。

「では……………ボソッ

 

ピタッ

 

アキトが何か呟いたとたんに敵艦隊の動きが止まった!

「「「「「「「「「「「「へ?」」」」」」」」」」」」

勿論ブリッジクルー全員驚愕だ。

「い、一体何が…?」

「んなことはいいから、ほれさっさと逃げるんだろ?」

「え?う、うん。ミナトさん発進出来ます?」

「え、ええ。もういいわよ」

「じゃあ、はっしーん…」

かなり間の抜けた号令だ。

だがアキトのお陰?で無事に逃げる事が出来たナデシコだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…はぁ…なんとか逃げ切れましたな〜」

「全く…しかしテンカワ、一体どんな手品を使ったんだ?」

「ふっふっふっ…なあに、ちょっとした掛け声ですよ」

「掛け声?何を言ったのだ?声が小さくて聞こえなかったが…」

「いや、おそらく誰もが一度は耳にしている言葉だ。それは…」

「「「「「「「「「「「「それは?」」」」」」」」」」」」

全員注目である。

 

 

『だるまさんがころんだ』だ!」

 

 

「「「「「「「「「「「「…」」」」」」」」」」」」

全員絶句である。

 

「何だ?全員黙って?…もしかしてアレか?もしかしてお前らも止まったのか?」

いや、そうじゃない。

「…なんてこと。そんな方法で敵艦を止めるなんて」

イネス苦悩する!

「…そんな方法で止まるなんて」

プロスも同様だ。

「…木星蜥蜴は子供の遊びを知っているのか?」

ゴートはひたすら考えている。

「非常識だ…」

ジュンは頭を抱えている。

「もしかして私が焦っていたのって無駄?」

ミナトはでっかい汗を浮かべている。

「…ナデシコ内に音声が流れるようにしないで正解でした」

ルリはアキトのやりそうな事を予想していたようだ。

流石だ。

「…もう何も考えたくない」

「右に同じ〜」

リョーコ、ヒカルは疲れきった表情で座りこんでいる。

ポロロン♪

「そんな手が…くっ…負けられない」

イズミは何故か対抗意識を燃やしていた。

「ほっほっほっ、ワシの今までの苦労は何だったのかのう…」

フクベは遠くを見つめている。

「アキトさんってつくづく不思議な人…」

メグミは呆れながらも何故か感心している。

「アキト…ありがとう。アキトのお陰でみんな無事だったよ…でも私、何も出来なかった…」

ユリカはアキトに感謝しながらも自分の不甲斐無さに落ち込んでいる。

ベシッ!

「あうっ…どうして叩くのー?アキトぉ」

「お前らしくもない…何時ものバカ元気はどうした?バカ元気は?」

珍しくアキトがユリカに気を使っている。

明日は嵐だろうか?

「…うう…あんまりバカバカ言わないで欲しいような…」

ユリカ再び落ち込みモード突入である。

「だから元気出さんかい!」

 

ゴキッ!

 

パタッ

ユリカ沈む。

「あれ?」

『あれ?』じゃないだろう。

「うわーっ!?ユリカーっ!!くおらぁ!テンカワぁ!お前何でぶっ叩いたーっ!?」

ジュン、久しぶりにぶち切れそうである。

「………何故か転がってた漬物石

「そんなもんで叩くなーっ!!」

「いや、なんとなくお告げを受けた気がして…」

何時からお前も何かを受信するようになった?

しかし何故漬物石が…。

「でもまあ、あれだ…人生前向きってことで」

「今の状況とそのセリフの何処に関連性が有る!?」

「まあオレは前向きっていうより斜め上ってとこかな?」

「無視するな!」

「そんなとこだな!後ろ向きはいかんよ!はい、バックオーライ!コラ!そこ下がりすぎ!って、ぶつかってんじゃねーか!

「……もういい、覚悟はいいな?」

ジュン、切れる3秒前だ。

「うん!解ったよアキト!人生前向き!ポジティブ・シンキングってやつだね!」

何時の間にかユリカ復活!

「ユ、ユリカ大丈夫なのかい?」

「大丈夫だよジュン君!何故か体が軽いよ!今なら空も飛べるかも!」

「一体何時の間に復活したんだ?…まあいいか。とにかく何とか上向きになったようだな」

「うん!ありがとうアキト!」

「いや気にするな!はっはっはっ!」

全然ぶっ叩いたことなぞ気にしていないアキトだった。

本当にイイ根性している。

 

「ね、ねえ…リョーコ」

「ん?なんだヒカル?」

「艦長の身体、何だか透けて見えない?」

「はぁ?んなバカな…ホントだな。イズミも見えるか?」

ペロロン♪

「…半透明…リアス式海岸の名前?…それは半島名…ぷっ…くくく…」

「………聞いた俺がバカだったよ」

「でもやっぱり透けて見えるよねー?」

「…ヒカルさん。それ多分見間違いじゃありません」

「え?ルリルリにもそう見えるの?」

「はい」

「じゃあ、みんなも見えてるわけだね」

「そうねー私も見えるわよー」

「あ、ミナトさんもですか?私もです」

どうやら全員ユリカが半透明に見えているようだ。

「まあ、コレは俗に言うアレね」

「「「「「「「「「「「「アレ?」」」」」」」」」」」」

イネスの発言に全員注目である。

「さっきのアキト君の一撃が艦長にイイ感じに決まった。普通ならすぐに起き上がれない筈なのに起き上がった。
しかし何故か艦長は半透明で、しかも身体が軽い、飛べそうという証言もある。この情報から導き出されるのは…」

「「「「「「「「「「「「のは?」」」」」」」」」」」」

 

 

「幽体離脱。つまりご臨終?」

 

 

チーン…

何故かオモイカネが軽めに鳴った。

 

 

「「「「「「「「「「「「なにいいいいいいいぃぃぃっ!!!?」」」」」」」」」」」」

一瞬フリーズしていた面々だが叫んだと同時にユリカの蘇生に出た!

「うわーーー!!ユリカしっかりーー!!!諦めちゃだめだああああぁぁっ!!!!」

「艦長ー!!まだ終わりじゃないのよーー!!!」

「艦長!アキトさんの事は私に任せてゆっくり眠ってくださいね♪」

「メグミさん…言いますね」

「ミスター…どうするのだこれから…」

「今は何も考えたくありません…」

「私は一応医療技術も習得してるからここは任せなさい!」

「よっしゃ俺も手伝うぜ!少しは蘇生法知ってるからな!」

「じゃあ私も手伝うねー」

パロロン♪

「…じゃあ私も〜」

全員必死だ。

 

 

 

 

「アキト〜…アキト〜」

幽霊ユリカがアキトにとり付いている。

…背後霊?

「しかしアキトよ、その漬物石は一体?」

「…さて、オレにも解らないっす。まあ気にしないほうがいいですよ」

「ほっほっほっ、それもそうか」

「そうなんですよ。はっはっはっ…でも何か陰謀のようなものが匂うな…」

漬物石ならば匂いもするだろう…じゃなくて一体誰が?

「だがアキトよ。そんな物で殴るのはいかんなぁ…あまり関心せんぞ?」

「ははっ…以後気を付けまする」

「解ればいい」

いいのか?ユリカの立場は?

 

 

「あれれ〜アキトぉ…何だか天から暖かい光が…あ〜身体が浮いていく〜」

ユリカ、本気で逝っちゃいそうである。

 

 

 

 

 

「ユリカあああああああぁぁぁっ!!!!!
死ぬなあああああああぁぁぁっ!!!!!」

その日、ジュンの叫びがひたすらブリッジに木霊していたとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみにその後ユリカは無事復活したらしい。

なんでも向こうの世界で母親に会ったとかなんとか。

だが誰も向こう世界について詳しくは聞かなかったそうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

アキトは当然クルー全員からお仕置きを受けた。

その時の光景をフクベは後にこう語る。

 

 

「………らぐなろく?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アキト…いやユリカの運命はどっちだ!?続くような続かないような思わなくも無きにしも非ず。

 

あとがきです。

こんにちは、彼の狽ナす。

…え〜まずユリカファンのみなさん!ごめんなさい!

危うくユリカを殺しかけてしまいました!

しかし、おかしいな…当初の予定じゃアキトがユリカを慰めてメグミが対抗意識を燃やして…で終わる筈だったのに。

何故?………私にも何かが降りた(受信した)のか?

……………………と、とにかく!こんなこともさもありなんな『その12』楽しでいただけましたでしょうか?

次回は…イネスのアレかな?

それではまた何時かお会いしましょう!

 

みなさん、感想ありがとうございます!気を失いつつも執筆がんばります!

 

 

 

 

 

 

…そういえば何気にオモイカネ初出演だったな(汗)

 

 

管理人の感想

彼の狽ウんからの投稿です。

 

 

ユリカ、火星に死す!!

 

 

・・・・だったら、インパクトあったのにな(苦笑)

何気にアキトの行動が不思議に思えてきました。

実はコイツ、何かとんでもない秘密を抱えているんじゃないでしょうかね?

どう考えても、あの掛け声で無人兵器が止まるとは思えませんし。

ガイクラスの不死身っぷりですし(笑)

 

 

もしかしてメグミファンですか、狽ウん?