「テンカワ・アキト、今日こそ貴様を冥土へ送ってやる。覚悟を決めろ」

「いや、メイドって言われても…コスプレか? 悪いがそういう趣味はないぞ?」

「そのメイドではない!」

「え? じゃあマーメイド?」

「メイドにこだわるな!」

 

冒頭から不毛な言い争いをするのはご存知、アキトと北辰。

軍からの命令により木星蜥蜴との掃討戦に参加したのはいいが途中から北辰と主バッタが乱入。

お陰でアキトは北辰に付け狙われ逃げ回っているという有様だ。

 

「とにかくあっちはほっといて俺達は俺達の仕事するぞー」

『了解』

 

こちらも慣れたもので北辰と主バッタが現れても全然動じないパイロットの面々。

アキトに北辰と主バッタを押し付け自分達は本来の任務を全うしようとする。

木星蜥蜴の正体が変な人達の集団とわかってしまった為、今更何が起こっても驚かない神経を身に付けてしまったようだ。

また突然現れた変な生物と物体を目撃しさすがに戸惑いを見せる連合軍だったが、

北辰は『極度のストレスに苛まれるアレな人』

と報告をしたところ何故か酷く納得し、同情までされてしまった。

おそらく軍にもそういう輩が多いのだろう。

 

「ほらアキトー! 右! そこ右だって! 違う! ほら避けて!」

「あきとおにーちゃん、しっかりー」

「えっと、ユキナちゃん、ラピスちゃん。一応戦闘中だし、もうちょっと静かにして欲しいなー」

「艦長がそれを言いますか?」

 

ブリッジもいつもどうり緊張感などといった物は部屋の隅に追いやって、ほんわかな雰囲気を漂わせていた。

もはやユキナとラピスのブリッジ乱入は当たり前となってしまい誰も咎めようとしない。

あのムネタケさえもだ。

 

「あーもうイライラする! ミナトさん! あのデカバッタ、ミサイルで撃ち落して!」

「え? でもねぇ…」

「いいよいいよ。ミナトさん、アキトの援護だと思って」

「そう?…じゃあミサイル発射ぁ」

 

シュパパパパパパパ!!!

 

チュドォォォォォォォォォン!!!

 

 

「のぉうわあああぁぁぁあぁぁぁっ!」

 

『あれ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

伝説の3号機

その38

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほんじゃ俺達もど−んと行くぜ! 喰らえーっ!」

 

ヒュドドドドドドン!!

 

「がべべべべべべ!?」

「ありゃ?」

 

「受信、受信〜♪ ん? で、電波障害がぁ…もう! 邪魔だよー!」

ポロン♪

「ふふふ…戦場に命の華が咲く。さあ散ってみせて」

「ヒカルさん、イズミさん…ちょっと怖いです」

 

チュドドドドドドドドドォン!!!

 

「おがががががががが!!?」

「あれー?」

「あら?」

「へ?」

 

「オラオラオラオラァ! どんどんこいやぁ!! 男の生き様を見せてやらぁ!!」

「よーし、僕も負けていられないね。ミサイル発射!」

 

ズドドドドドドドドドン!!!!

 

「ぐぶぶぶぶぶぶぶぶぶ!!!!?」

「んあ?」

「おや?」

 

『…アキト、さっきから何遊んでんだ?』

 

「ち、違うわぁ! なんだか知らんがミサイルがオレ目掛けて飛んでくるんだよ!!」

 

「おいおいテンカワ君、そんなバカな…」

 

チュドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドゴォォン!!!!!!!!!!!

 

「ぎゃびゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

 

「…ホントだね」

「なんだよこれ? ミサイルが勝手に飛んでくぞ?」

ピキーン!

「アキト君! もしかして金星人とお友達になった!?」

ポロ〜ン♪

「テンカワ君…貴方が華になってどうするの。綺麗だけど」

「なんの冗談だ、こりゃあ?」

「あの…テンカワさん大丈夫なんですか?」

『アキトだから大丈夫』

「はぁ」

 

根拠は無いが、説得力はあった。

 

「……えっと…ねぇミナトさん。私、あのデカバッタを攻撃してって言わなかったっけ?」

「あれー? おっかしいなぁ、私ちゃんと主バッタをロックしたんだけど…」

「じゃあなんでアキトのみミサイル喰らいまくってるの!?」

「さあ?」

 

手を左右に広げて『お手上げ』のポーズをとるミナト。

その間もアキトはひたすらミサイルの雨を浴びていた。

 

「あきとおにーちゃーん、 根性で避けてー」

「無茶言うなぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

アキトの悲痛な叫びがブリッジと各コクピット内に響き渡った。

今現在も引っ切りなしにアキト目掛けて数百以上のミサイルが応酬している。

避けきれる訳がない。

 

「た、助けて━━━━━━━っ!!!」

「………同士討ちか?」

 

突然始まった珍騒動に呆れ果てる北辰。

ついでに他の無人兵器も戸惑いを見せている。

 

「…やる気が失せた。今日の所は勝負を預けておくぞ」

 

北辰はそのまま主バッタと共に彼方へ飛び去ってしまった。

後に残るのはミサイルの総攻撃を受けるアキトと呆れ果てる無人兵器に地球連合軍。

そして…

 

「アキトー! ファイト――!」

「あきとおにーちゃん、がんばー」

「アキトさん! そこ右! 下! 斜め上! 左旋回! 急下降! ループ! 聞いてますか!?」

「アキト! もしもの時はナデシコが盾になるから安心して!」

「物騒なこと言わないでください!」

 

無責任に応援するナデシコのみ。

 

「…オモイカネ?」

 

だがその中でルリのみ異変に気付いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で? いったい何がどうなってああなったの?」

 

あの後、どうにか戦線を維持しつつ後退しナデシコは逃げ出してしまった。

勿論のこと軍からイヤミな文句やら不幸の手紙やら金返せコールやらちゃぶ台返しが山ほど届き、またもやっかいもの扱いされてしまう始末。

こうなっては自分中心で動く男、ムネタケが黙っている筈がない。

 

「パイロットの操縦ミス? それとも整備班が仕事を怠った?

 まったく給料をちゃんと払ってるんだからそれに見合った仕事をして欲しいものねぇ」

「給料を払っているのはウチなんですが…」

「まあまあ、いちいち気にしない。というより誰も聞いてないけどね」

「原因はパイロットのミスでも整備不良でもありません」

 

ムネタケのお咎めに反論したのはルリだ。

その表情はいつもの呆れた表情ではなく真剣そのものである。

 

「私が調べた結果、原因は別にあることがわかりました」

「ならどういう事?」

「アレです」

「…アレ?」

「はい」

 

ルリの言葉を最後に1つのモニターを凝視するクルーの面々。

そこに映るのはあまりにも凄惨な光景だった。

 

「あぅぅぅ…も、もー勘弁してー」

 

ベコッ!

 

「ぐぶっ!」

 

妙な悲鳴を上げてぶっ飛ぶ1人の男。

先程までミサイル総攻撃を受け、なんとか生き延びたアキトである。

しかしナデシコに着艦したのも束の間、今度はあらゆる警備システムが作動しアキトを攻撃し始めた。

完全にリンチ状態だ。

 

「テンカワがまた何かしたの?」

「提督。この件、私に全て任せてもらえませんか?」

「1人でなんとかなるの? 下手をしたら今度の標的はあなたかもしれないわよ?」

「その時はその時です。それに次の標的はおそらく私ではなく…」

「なく?」

「…」

「な、何よその不気味な沈黙は! ちょっと! なんで私から遠ざかるのよ! ねえ!」

 

その日、ムネタケは1人ぼっちになったらしい。

元からかもしれないが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「テンカワさん。ちょっといいですか?」

「…」

 

しかしアキトからの返事はなかった。

幾らアキトでもあれだけ攻撃を喰らえば屍になるらしい。

 

「…………こんなところにダイイングメッセージが。

 『この面汚しが!』…?」

 

何気に血文字だった。

誰の血かは知らないが。

 

「テンカワさん、そこを捻じ曲げてお願いしてもいいですか?」

「…空気を読めノリ3世」

「大丈夫、きっと道は開けます」

「開きたくねえ」

「というわけで行きますよ。まあテンカワさんの都合なんてあまり関係ないというか何があっても連行しますけど」

「……………お前の発言には微妙に悪意がこもっていると推測する」

「よくわかりましたね」

「…ノリ3世、オレを舐めてるな?」

「そんな事はありませんよ?

 トリモチのせいで壁に張り付いて身動きが取れず、しかも背後から迫る色んな駆除対策に冷汗を掻いている人のことなんて全然舐めません。

 むしろ舐めたくありません」

「………OK、わかったから助けろ。そうすれば願いを聞いてやらんでもない」

「偉そうですね」

「はっはっは。そんなことは全然ないぞ!」

「とにかくその状態を脱したいなら私の言う事を聞いてください」

「お前の方が態度デカイぞノリ3世。お願いする時はもっとこう頭を下げてだな…」

「いーから来い」

 

ジャキッ!

 

「さあ行こうじゃないか! いつ? どこ? 目印は?」

「…先程とは打って変わって、手の平返したような態度ですね」

 

ルリが構えたライフルを見るや否や即座に従うアキト。

効果は抜群のようだ。

 

「しかしノリ3世、そんなもんどっから持ってきた?」

「先日エリナさんから貰いました。護身用だそうです」

「……………何考えてんだ南京錠は」

「私は少女ですからわかりません」

 

軍事オタク、エリナ・キンジョウ・ウォン。

やる事がかなり飛びぬけている所は流石はあの会長の秘書というところだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここです」

「なんだ、タイヤ班長の研究所じゃないか。フィギア製作は午後11時からだそ?」

「そんな情報はいりません。とにかくついてきてください」

 

部屋のロックを専用のキーで解除すると中にはこれでもかという位の様々な荷物が詰まれていた。

全体的に微妙なバランスを保っているようで少しでも触れれば津波が起きること必至だろう。

 

「ウリバタケさん、来ましたよ」

「やっと来たー遅いよルリー…(コーフー)」

「変な部屋…(コーフー)」

「………なんでユキナさんとラピスさんが居るんですか」

 

ウリバタケの代わりに返事をしたのは何故か居るユキナとラピス。

2人とも防毒マスクを装備し、その辺の玩具で遊んでいた。

 

「アキトが居る所ユキナちゃんありよ!(コーフー)」

「私もあり(コーフー)」

「そうですか」

「…なあアキト、俺の部屋ってそんなに臭いか?」

「ああ。きっと部屋の隅では毒々しい色の菌がわんさかだろうな」

「そんなわけで後程この部屋の除菌を行います。

 その際不要物は全て破棄しますので今日中に荷物をまとめておいてください。

 即座に。速攻で。一秒でも遅れたら天罰が下ります。

 では私はこの辺で」

 

突如現れたと思ったらすぐさま出ていくレンナ。

見事な早業だった。

 

「…すっかりプロスの旦那の使いだな、レンナちゃん」

「何時の間に現れたんだあいつは…」

 

どうやらレンナは隠形の術を身に付けたようだ。

プロスの先生ぶりもなかなかである。

 

「テンカワさん、お話はその辺にして本題に入りますよ」

「ああ、そうだったな。で、オレは何をすればいいんだ? ハンマー投げか? ドングリ拾いか?」

「いいから話を聞いてください」

 

チャキッ!

 

「ラジャッ!」

 

またも銃を鼻先に突きつけられ即座に従うアキト。

見事な敬礼をしてもそれはあまりにも空しかった。

 

「前の名残だね(コーフー)」

「ルリ偉いの?(コーフー)」

「…なあ、消臭するからそのマスク取ってくれよ2人共。なんだか泣きたくなってきた」

 

ウリバタケは消臭スプレーを撒きながら2人に懇願する。

30前の男にしてはあまりに情けない姿だ。

 

 

 

 

 

 

 

「実は…オモイカネがプッツンしてしまったんです」

「何? アジ副長並にか?」

「それ以上です」

「一大事だな!」

「はい」

 

ジュンのプッツンはナデシコ内でかなり危険度に位置していた。

一番の被害者はアキトなのだが、そこはほぼ自業自得である。

 

「で、その原因は何だ?」

「テンカワさんです」

「なぬ?」

「テンカワさんのあまりにもバカというか破天荒というか非常識というか…

 とにかくそういう行動がオモイカネにとってはあまりにも未知すぎる事だったんです。

 そのせいでストレスが溜まり、さっきそれがレッドゾーンを突破して…」

「プッツンしちゃったんだ」

「その通りですユキナさん」

「オモイカネ、デリケートなところあるから」

「まあ無理もねえな。俺達もアキトの行動にゃあ理解不能なところが結構あるからなぁ」

「いや、オレには何の事だかさっぱりなんだが…」

『ああ、やっぱり』

「なんだやっぱりって!?」

 

予測されたのか一斉に頷く一同。

勿論、アキトは全くわかっていない。

 

「それではテンカワさん、あなたを『オモイカネ・リカバリィ・プロジェクト』の隊員に任命します」

「ちっとも嬉しくねぇ」

「拒否は許しませんからね。テンカワさんにはちゃんと責任をとってもらわなければいけませんから」

 

聞きようによっては結構きわどいセリフだ。

 

「だ、だがなぁ…よくわからんのに…」

「責任とってください」

「でも…何を…」

「責任とってください」

「えっと…」

「責任とってください」

「う〜ん」

 

ジャコッ!

 

「責任とれ」

「ラジャァッ!!」

「いい返事です。それではウリバタケさん、準備をお願いします」

「ラジャ!!」

 

無敵モードに入ったルリに反論は許されなかった。

アキト、ウリバタケが2人ともイイ敬礼をかますほどに。

 

「…ルリ、怖い」

「ルリの奴、どこに銃しまってるんだろ…」

 

ユキナとラピスは怯えるばかりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんじゃこりゃ!?」

「地獄へようこそ」

「しかも不吉なこと言うな!」

「突っ込むのはいいんですけど…どうしてシャドーボクシングを始めるんですか」

 

ウリバタケが用意したバーチャルマシンによりビジュアル化されたオモイカネの自意識部分に入り込んだアキトとルリ。

そこに広がるサイバースペースはとにかく広かったのだが、問題はそこではなく2人の格好だ。

 

「それはそれとして…なんだよこの高層ビルが舞妓の格好をするより有り得ない姿は?」

「そうですか? 結構似合ってますよ?」

「オレの格好もそうだが…ノリ3世の服もなんでそんなにぶっ飛んでるんだ?」

 

2人の格好。

それは言うならばある季節の風物詩というところだろう。

 

「「ねっこはこったつでまっるくなる〜♪」」

「そこ歌うな!」

「言い得て妙ですね」

「と言うかそのまんまだけどな」

 

そう、アキトはコタツ、ルリはネコになっていた。

はっきり言って変だ。

 

「まあ、いいじゃないですか。でもこの格好…あの頃以来です」

「あの頃?」

「…ネコミミ」

「ルリルリも若いくせして色んな人生を送ってきたんだなぁ」

「ぬぅ…あなどれんなノリ3世!」

「前世の話です」

『前世!?』

「ちなみにテンカワさんの前世は『ストロー』です」

「無機物なのか!?」

「まあ嘘ですけど」

『嘘か!』

 

ルリに遊ばれる面々だった。

オモイカネはいいのだろうか。

 

「あーとにかくだ。遊んでねえでさっさと済ませるぞ。

 オモイカネの目を誤魔化すのにも限界があるんだからな」

「アキトー後で私もその格好で一緒に遊びたいな♪」

「あきとおにーちゃん…かわいい」

「……瞬間的な勢いで終わらせるぞノリ3世!」

「やる気満々ですね」

 

反応はそれぞれなれどアキトは大いに不満のようである。

早くこの状況から脱したいのかやる気だけは人一倍になっていた。

 

「しかし…よりによってコタツとは…」

「じゃあ以前『なぜなにナデシコ』で使った電柱になりますか?」

「…アレには嫌な思い出があるので却下だ」

「そうですか…電柱の上で佇むネコも悪くないと思ったんですが」

「ノリ3世、何気にかぶりもの好きか?」

「さあ」

 

ナデシコオペレーターの名は伊達ではないようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかしまぁ凄い光景だな。旋回飛行をする綿帽子シスターズを思い出す…なあノリ3世?」

「す〜…」

「寝るな!」

「ん…あ、すみません。この格好でコタツに乗っていたら強烈な睡魔が襲ってきてしまって…」

 

肉球がついた手で顔をこすりつつ背を伸ばすルリ。

すっかりネコ化している。

 

「…この格好、問題点が多すぎだぞ」

「でもテンカワさん、どことなく楽しそうですよ?」

「バカを言うな。足は常にタップダンスを繰り返しているがそんなことは微塵もあると思う」

「結局どっちなんですか」

「つまり当初の疑問は遥か遠くという訳だ」

「さっぱりですね」

「ちぃっ、我侭さんめ!」

「テンカワさんが言いますか、そのセリフ」

「アキト、ルリ、いったい何を話してんの…」

「「至極普通の会話」」

「…どこが?」

 

ルリ、何時の間にかアキトに毒される。

 

「おらおら、じゃれてねえで先に進めよ。オモイカネに見付かったらアキトの無事は保証できねえんだからな」

「なぬ!? そんなにヤバイ状況なのか!?」

「そうですね」

「そうだな」

「そうらしいよアキト」

「あきとおにーちゃん、もしもの時は骨を拾ってあげるね」

「うあ! すげえ無責任だな!」

「「「こうなったのは誰が原因?」」」

「誰?」

「「「お前だ!!!」」」

「あらま」

「あきとおにーちゃん、反応薄い…」

 

先行きは大いに不安だ。

そんな会話をしつつオモイカネの奥へ奥へと進むコタツアキトとネコルリ。

ふよふよ飛んで行くコタツの上にあくびをかますネコが乗っている光景はシュール以外の何物でもない。

 

 

 

 

 

 

「なあノリ3世」

「なんですか?」

「オモイカネのヤツはそんなにオレの行動が不可解だったのか?」

「いえ、誰が見ても不可解です」

「ぬぅ…」

 

キッパリ言い切られ、ちょっと気圧される。

 

「テンカワさん、オモイカネは私の大切な友達なんです。 何があっても助けます。

 ですから真面目に対処してください。いいですね?」

「わかったわかった。まあなにはともあれオレが原因ならばその責任は取ろう。

 で、実際問題どうすればいいんだ?」

「まずはここの中の一番奥に行きます。

 そこまで行けば後は簡単ですから」

「えらくアバウトだな…大丈夫なのか?」

「テンカワさんなら大丈夫ですよ。

 多少コゲたり刺されたり撃たれたり凍りついたりしてもテンカワさんなら大丈夫です」

ちょっと待てい! かなり無茶苦茶言ってるが、もし何かあってオレの命が無くなったらどうする気だ!?」

「私の命じゃないから万事OKです」

「そういう問題か!?」

「2人共、着いたみてえだぞ」

 

2人の会話をウリバタが遮る。

どうやら目的地に到着したようだ。

ふと見てみれば、中央部分に聳え立つ物体が目に入る。

これこそオモイカネの記憶をつかさどるもの。

それは…

 

「木だな」

「木だね」

「おっきい木」

「あれは何かの記念樹か?」

「違います。あの木がオモイカネの自意識になる部分です」

「ふ〜ん。で、アレをどうしろと?」

「木の頂上に少しだけとび出している部分がありますよね。あそこを切り落としてください。

 そうすればテンカワさんの奇行を忘れることが出来る筈です」

「伐採で忘れられるのか? なんだかうさんくせぇ感じが…」

 

チャッ!

 

「いーからやってください」

「ネコが銃持つなよ…」

 

文句を言いつつも高枝切りバサミをどこからともなく取り出し枝を切り始める。

アキトの姿がコタツなのであまりにも違和感があるが。

 

「むぅ…意外と時間掛かりそうだな」

「でもなんとかギリギリで間に合いそうですよ」

「そうだ…なぁ!?

「テンカワさん何…え!?」

 

2人が驚き声を上げた瞬間、突如目の前に巨大な物体が出現した。

それはここ数日アキトや他のクルーが目にしているモノ。

 

「くっくっく…こんな所で何をしている?」

 

北辰&主バッタ、再びの登場だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「えいっ」

 

ザクッ!

 

北辰の額に高枝切りバサミが突き刺さった。

流血沙汰だ。

 

「ふ〜危ないところだった」

「問答無用ですね」

「さて、続きを…」

 

「………………貴様ぁぁぁぁっ!!!」

 

「うわ! 生きてる!」

「しぶといですね」

「バーチャルの空間なんだからあの程度じゃ死なねえだろ」

「でも額にバンソーコ張ってるね」

「変なの」

 

北辰、ギャグキャラ度が急上昇中。

 

「しかしなんで奴がここに居るんだ?……………そうか! ハッキングか!」

「ええ!? …………で、はっきんぐって何?」

「ユキナ…おバカさん」

「ラ〜ピ〜ス〜?」

「ふがふが」

 

頬を引っ張られジタバタするラピス。

一見微笑ましい光景だが状況が状況なのでウリバタケは完全無視だ。

 

「2人共、気をつけろ! その中じゃあ思い込みで自由に姿を変えられるし下手すりゃなんでも出せる!

 奴がどんなことをしてくるかわからねえぞ!」

「なぬ!? タイヤ班長! そういう事は早く言え! このまま一生コタツになるのかと思ったじゃねえか!」

「いや、お前はオモイカネに拒まれてるから何も出来ねえけどな」

「んなバカな!」

「ほぉ…自由になんでも出来るのか。それは良い事を聞いた」

「あ、あら? 知らなかったの?」

「ウリバタケさん余計なことを…」

「ラピス」

「うん」

 

バコッ!

 

「いてえ…」

 

ラピスによるお仕置きツッコミを喰らい頭が揺れるウリバタケ。

ちなみに例のステッキはお掃除用具の1つ『デッキブラシ』になっていた。

 

「先程のことが気がかりで接触を試みてみたが…まさかこのような場面に遭遇するとはな。

 我は運が良いようだ…」

「何を言っている! お前関係無いだろうが! 地の底から!」

「どの口が言うか? 元々の原因は貴様だろう…

 その減らず口、我が一生開けんようにしてやるわ。

 では早速この空間を存分に使わせてもらおうか」

 

北辰の義眼が見開かれたと同時に数百はくだらない無人兵器が現れた。

しかもその中には無人兵器だけでなく、木連の戦艦、地球軍の戦闘機や戦艦まで存在している。

 

「うおわぁ!? なんじゃこの脈絡のない混成軍団はーっ!?」

「これだけの大軍勢だ。貴様等に勝ち目はあるまい」

「そんなもんこんでいい! 持ち帰ってくれ! 今すぐ!」

「聞く耳もたん」

「参った。もうアンタが勝ったも同然だよ…降参する」

「イキナリ諦めないでください!」

「だってよぅ、コタツでどう戦えと?」

「く〜…」

「寝るな!」

「ここを破壊すれば貴様らの船はもう飛べまい。これで終いだ!」

「うわわわわ! ちょ、ちょっと待て! タイム! 選手の交代をするから待って!!」

「また訳のわからんことを…おとなしく往生しろ!」

「いやじゃぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

北辰の声と同時に一斉にアキトとルリ目掛けて混成軍団が襲い掛かった。

必死になり避けようとするアキトだがコタツでは反応速度の差は明らかだ。

 

「アキトーっ! 逃げてー!!」

「あきとおにーちゃん…!」

「よぉーし、今こそ汚名返上の時…!

 アキト! こんなこともあろうかと作っておいたデータがある!

 コレを使え!!」

 

ウリバタケがキーボードを操作するとアキトの目の前に幾つかの物体が現れた。

ウリバタケ印が入ったソレは頼もしい程に光り輝いている。

 

「タイヤ班長これは!?」

「ふっふっふ、いつかはナデシコの新兵器にしようと製作しておいた発明ナンバー71番! 『反射式小型衛星砲』だ!」

「おおおお! 凄いぞタイヤ班長! で、どうやって使えばいい?」

「おう! まずナデシコの相転移エンジンのエネルギーを小型衛星に向けて照射させろ。

 そうすればその幾つかある小型衛星であらゆる方向から敵を焼き払うことが出来る兵器だ!」

「なるほど! ………って、相転移エンジンはどこだ? 問屋で買ってくるのか?」

「はっ! しまった! そこにはナデシコがねえ!!」

「「ウリバタケさん?」」

「またツッコミ?」

「いや! まてまてまて! まだあるんだ!

 じゃあこれならどうだ!? 発明ナンバー95番! 『超巨大アーム』!

 これは2つの特殊な腕を取り付けることであらゆる武装を施すことができる優れものだ!

 直接打撃系の武器から銃なんかの飛び道具までなんでも扱えるぞ!

 さあ取り付けるんだアキト!!」

「よぉぉし! …で、どうやって取り付けるんだ? ガムテープ使用か?」

「はっ! しまった! 今のアキトはコタツだった! 取り付ける場所がねえ!!」

「「ラピス?」」

「うん」

「だぁーっ! 待て! 落ち着け! だったらこれならどうだ!!

 発明ナンバー記念すべき100番! 『巨大ロボット・リリーちゃん5号改め』…実質ナデシコの裏の支配者の名を借りて…

 『超合金親分ロボ・G・P』だ!!

 

ウリバタケが意気揚々と叫んだと同時にサイバースペースの空間が揺らぎ、巨大なロボットが現れた。

それは全貌は全身を鋼鉄の鎧で身を固めた巨大プロスペクターと言った方がいいだろう。

主バッタといい勝負である。

 

「へっへっへ…聞いて驚けー? この親分ロボは今まで俺が発明したあらゆる武装を積んでいる現時点での最強ウェポンだ!

 こいつに睨まれちゃあ無事でいられねえぜ?」

「うおおお! 何故にプさん風なのかは置いといて、とにかく凄そうだぞタイヤ班長! かなり怖いけど!!」

「はっはっは! もっと褒めろ!」

「ウリバタケさん、色んな意味で凄いね」

「ちょっと引っ掛かる言い方だが、まあ良しとしよう! さあ俺を敬え!」

「…それでコレをその内現実で作るつもりなんですか?」

「………ルリルリ、目が怖いぞ」

「あ」

「ん? どうしたラピスちゃん」

 

ラピスの目線の先を追ってみるとそこに映るのは『宇宙対応正義の巨大ソロバン』を振り回しながら、

周りの無人兵器をぶっ飛ばしつつコタツアキトを追いかける親分ロボの姿があった。

 

「な、なんだ!?」

「『なんだ!?』じゃねえええ! いったいどうなってんだぁ!!?」

 

必死の形相で逃げ惑うアキト。

ちなみにネコルリは部屋の隅っこで観戦に徹している。

 

「ねえウリバタケさん。もしかしてあのロボット、性格持ってたりする?」

「何? 性格? あーそういやためしにプロスの旦那の日常生活をインプットしたんだっけ…って、まさか!」

「うわーたぶんその想像当たってると思う」

「プ…暴走」

 

そう、プロスの性格を忠実に再現した為、アキトを普段通り追いかけ始めたのだ。

巨大ロボのプロスペクターが。

 

「どぉうわあああああああああああ! た、助けてくれええええええええ!!!!」

「なんだかさっきよりピンチになってない!?」

「あきとおにーちゃん…大ピンチ」

「ウリバタケさん。そのデータ、後で全て消去です」

「ま、待ってくれルリルリぃーっ! この設計図を完成させるのにどれだけの時間を…!」

「プロスさんに報告しますよ?」

「ぐっ………うぉぉぉん! 許してくれ、俺の大切な発明案たち! きっとまた復活させるからなぁぁ!!」

「「させるなぁっ!!」」

「いい迷惑です」

「本当」

 

ルリがコンソールを操作し暴れていた親分ロボを除去する。

アキトは九死に一生を得た顔をし、ウリバタケは男泣きをしていた。

 

「………いい加減、人を無視するのもどうかと思うぞ」

「あ、すまん忘れてた」

「…やはり貴様は許せんな。もうこのような茶番は終わらせる…!」

 

その光景を呆れながら眺めていた北辰だが、その目を閉じたと同時に突如その身体が輝き始めた。

光が収まった後に現れたのは…

 

「くく…この身体も久しぶりだな」

「うわ! 生意気に八頭身かよ!」

「我は元々この身体だ!」

「納得できねぇ」

「お遊びもここまでだ…久しぶりのこの身体で貴様と撫子を葬ってくれるわ…!」

「病んでるな…」

「病んでる言うな!!」

 

魂の叫びだった。

 

「もういい。貴様にこれ以上付き合うと疲れるだけだ。

 残りの無人兵器と戯れておれ。

 我は先にこの邪魔な木を落とさせてもらおう…」

「そ、そんな…ダメー!」

「オモイカネがオーマイゴッドね!」

 

どげっ!

 

「ぶびっ!?」

 

アキト、ぶっ飛ぶ。

 

【相変わらずくだらなさ爆発だね】

「え!?」

「な、何!?」

「あーっ! あれって!」

「ゲキガンガー?」

 

アキトをぶっ飛ばし、ルリの目の前に現れたのは誰であろう、ゲキガンガーだった

その頃ぶっ飛んだアキトは敵の群れの真っ只中でピンボールになり、景気良く弾かれまくっている。

 

「む!? ゲキガンガーだと!?」

「あ、動揺してる」

「そういや奴等、ゲキガンガーが聖典だったな」

「…やっぱり変」

 

突然のゲキガンガーの登場に動揺の色を隠せない北辰。

周りの無人兵器も何時の間にか立ち止まっている。

勿論無人兵器が止まったので弾かれていたアキトはその中を飛び出し、壁に激突した。

 

「もしかして…オモイカネ?」

【そうだよルリ】

「どうして…」

【ここは僕の中だよ。僕自身が居ないわけないじゃないか…それにあんなに大暴れされちゃあ幾らなんでも気付くよ】

「…ごめんねオモイカネ」

【謝るのは僕の方だよルリ】

「え?」

【僕のせいでこんなことになっちゃったんだから…。僕がもっとしっかりしていればハッキングなんてされなかったのに】

「ううん、それは違う。悪いのはあのトカゲとテンカワさんだから」

「おい…」

「トカゲ言うな…」

【ありがとうルリ】

「でもオモイカネ、なんでゲキガンガー?」

【ほら木連の人達ってコレを見て育ったわけじゃない? だから多少なりとも効くかなぁと思って】

 

確かに効果はあったようで未だに北辰は戸惑っている。

 

「くっ、いかん! やはりゲキガンガーは我の心に何かを訴えかける…!」

「オモイカネ、バッチリみたい」

【うん、じゃあ終わらせるよ。僕の心は僕自身が守る!

「ま、待て! それは流石に…!」

 

 

 

【ゲキガンビーム!!!!!】

 

 

 

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!?」

 

 

 

ズゴォォォォォォォンッ!!!

 

 

 

オモイカネ・ゲキガンガーの攻撃により凄まじい爆発が響き渡る。

 

「やったか!?」

「オモイカネ偉い!」

「ちぃ! これからがオレの見せ場だったのに! まあいい、ここは譲ってやろう」

「テンカワさん、いい加減にしないと怒りますよ?」

 

「ま、まだだぁ!!」

 

瓦礫の中より北辰、再び復活。

主バッタも健在だ。

 

「くっ! 野郎、無人兵器を盾にしやがったな!?」

「オモイカネもう一発!」

 

【ピ━━━━━━━━━━━━━━━━━━】

 

「すみません、さっきのゲキガンビーム。自分の中で放ってしまったからフリーズしちゃったみたいです」

「「アホ━━━━━━━━━━━━━━━━━━っ!!」」

 

「好機! 主バッタ! 特大ミサイル全弾発射だ!

 全てを破壊しつくせ!!」

 

「そんなことしたらダメっ」

 

「何!?」

 

突如頭上に現れた人物に驚きの表情を見せる北辰。

 

「ラ、ラピス・ラズリ!?」

 

「『不思議ステッキ』変化っ

 スペシャル100トンハンマーっ!

 

 

「ぬおおおおおおぉぉぉっ!!!?」

 

 

 

ガドォォォォォォォンッ!!!!

 

 

 

北辰&主バッタ、プレスされ電脳空間でも散る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ラピU、ナイスガッツ!」

「うん、私がんばった」

「ラピス、ありがとう。テンカワさんより役に立ちましたよ」

「えへへ…」

「ノリ3世、一言多いぞ」

 

ちなみにラピスの格好はコタツに付き物のミカンだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やれやれ、なんとかなったな」

「ラピスいつの間に…でもいいか。

 オモイカネも無事みたいだし」

「そうだな…ん? オモイカネ? …………あ!」

「ど、どうしたのウリバタケさん? いきなり大声上げて?

 耳痛いんだけど…」

「おい、アキト! 急いでオモイカネの記憶除去を再開しろ!」

「おいおいタイヤ班長。折角敵を退けたんだ。

 お茶の一杯でも飲ませてくれよ」

「んなこと言ってる場合か!

 オモイカネがフリーズしている内になんとかしねえとお前またミサイル喰らったり、艦内の警備システムにリンチされるぞ!?」

「……………………………………………………おお!」

「忘れてんじゃねえ! 早くしろ!」

「わかった! すぐにブドウ狩りに出る!」

「違う!」

 

ウリバタケに叱咤され、ボケながらも大急ぎでオモイカネの木を切り始める。

自分のことになると凄まじいやる気だ。

 

 

 

 

 

 

「ふ〜これでどうだ? 見事なもんだろう」

「………………はぅ」

 

ぱたっ

 

ルリ、その光景を見て気を失う。

 

「ルリ、しっかり。気を強く」

「…アキト、何考えてんのよ」

「バ、バカたれぇぇぇぇぇぇっ!!!

 誰が木をウサギの形にしろって言ったぁぁぁぁ!!」

「何を言うかタイヤ班長!

 1つの完成を極めたものを否定するなど愚の骨頂だぞ!

 愚か者には死を与えるという法律もきっと存在するに違いない!」

「訳わかんえねよ!」

「とにかく、これでオモイカネもOK。オレもOK。ナデシコもOK。ほら完璧」

「だから根本的解決になってねえって…」

 

心底疲れた表情をするウリバタケ。

当然アキトは全然わかっちゃいなかった。

 

【…】

「あ、オモイカネ。気が付いた?」

「オ、オモイカネ…大丈夫ですか?」

【ふっ…】

「オモイカネ?」

 

何故か悟った笑いを浮かべるオモイカネ。

字のみのため憶測だが。

 

【アキト…殴る】

「「「へ?」」」

「なんじゃ?」

「オ、オモイカネ?」

【よくも…よくもこんな…

 絶対ぶっ飛ばす!

 必ずぶっ飛ばす!

 有無を言わさずぶっ飛ばす!

 例え瀕死の状態でもトドメといわんばかりの

 勢いでえぐりながらぶっ飛ばす!】

 

「うおわぁぁぁぁ! オモイカネが狂ったぁぁぁぁ!!」

「オ、オモイカネ落ち着いて!」

「…キレた」

「アキト…バカなんだから」

 

オモイカネ、暴走する。

勿論、標的はアキトだ。

 

「思わぬアクシデント発生!?」

「お前が原因だっ!!」

「アキト、心行くまで殺られてきな」

「あきとおにーちゃん、流石にフォローできない」

「テンカワさん、ここがあなたの墓場になりそうですよ」

【くくくくく…】

 

北辰のような低い笑い声を上げ、何気にゲキガンガーVにチェンジしたオモイカネがアキトに迫る。

 

「ちぃぃ! ここは逃げる!」

【逃がさない】

 

 

バシュゥゥゥゥゥゥゥッ!!

 

 

「あんだとー!? 『バシュゥ』って…『バシュゥ』って…おいおいおいおい!!

 自分の中で熱線を広域放射するなよ!

 なんだか地面が溶岩みたいになってるぞ!?」

【ふふふふふ…この光景は僕の今の心さ…もうなりふり構わず逝くよ…】

「字が違う! 字が!」

【バイバイ、アキト

 

「すみません! 今、体調崩してるので来週まで伸ばしてもらえませんかっ!?」

 

【ダ〜メ♪】

 

その後、電脳空間は一時閉鎖になったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「体中痛ぇぇぇぇぇっ!」

「自業自得ですよ」

 

あの後、どうにか現実世界に戻ってきたアキトとその一行。

それでも止まないオモイカネの逆襲。

あれからというのもアキトが何かする度にオモイカネもツッコミに加わるようになった。

しかも容赦無しで。

お陰でアキトは精神的にも肉体的にも手痛い仕打ちを受ける羽目になってしまった。

 

「何故だ…オレは精一杯やったのに…」

「あんなことをすれば当然です。

 でもオモイカネも努力してくれたことはわかってくれたみたいですね。

 ボケない限りオモイカネは何もしませんから」

「やれやれだな。ノリ3世の友達は気難しくて困る」

「テンカワさんに関われば誰だってああなりますよ」

「でもまあ…いい友達だな」

「ええ、オモイカネは親友ですから」

「ノリ3世も良い友達でいるようだしな。ま、これからも宜しく…か」

「…テンカワさん、変なモノでも食べました?」

 

アキトに褒められて、訝しげな表情をするルリ。

流石に聞いた事の無いセリフを言われた為、少々引いてしまったようだ。

 

「なんでぃ…オレが誉めたら悪いのか?」

 

毒つくアキト。

 

「テンカワさんに誉められても誉められた気分になりません」

「…そうなのか?」

「はい」

「いい服着てるな」

 

突然話題を変えるアキト。

 

「いつのも制服ですが?」

「だからだ」

「…テンカワさんらしいです」

 

『何を言っているのか…』といった表情のルリ。

 

「引っ掛かる言い方だな」

「テンカワさんは引っ掛かりっぱなしですけどね」

「…ぬぅ」

 

アキトをやりくるめる辺りルリも成長しているようだ。

何の成長かは知らないが。

 

とにもかくにもオモイカネは無事復旧しナデシコは元に戻った。

アキトにとってはまた天敵を増やしてしまったがそこはやはり自業自得である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【あの忘れえぬ日々

 そのためにいま

 生きている。

 ………そう、 アキトを野放しには出来ないからっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アキト…とルリ、そしてオモイカネの運命はどっちだ!? 続くような続かないような思わなくも無きにしも非ず。

 

あとがきです。

こんにちは、彼の狽ナす。

かなり季節外れなようなネタがあったりおバカなネタ(毎回)があったり…すみません(汗)

ただ単にネコルリと巨大ロボを出したかったとかそんな願望が有ったり無かったりしただけですので(笑)

 

補足ですが、『超合金親分ロボ・G・P』のGPはジャイアント・プロスペクターの略称です。

また、間違っても『ジャイアント』の最後の『ト』の一文字を取らないでください。

別人になってしまいますから(爆)

ま、ギャラクシィ・プロスペクターでもいいような気がしますが(笑)

 

で、今回も登場の北辰さん…キャラがもう大変です(泣)

次回も色々活躍するでしょうけど(酷)

 

…元々の原作から遠く離れて欠片くらいしか残っていないような気がしますがあまり考え悩まない方向でお願いします(笑)

 

それではこれにて。

 

 

 

代理人の感想

何故『超合金親分ロボ』なのか、製作者には色々問い詰めたいところではありますががが、

まあそれは置いておいて本題。

 

 

 

 

 

つーてもツッコミしか

やることはなかったりするけどな!

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・はっ。

なんか今、非常に私らしからぬ芸風が発動したような?(気のせいです)

まさかこの作品のアキトに付き合っていると、読者の方までアキト化していくのでは!?

ああ、恐ろしい恐ろしい。

 

 

ところでラピスがミカンならユキナは鏡餅で、直列合体してお供え餅になるというネタは駄目ですか?