―――翌日―――

 「それじゃユリカ行ってくるよ…もう離さない――――

なんて言ったのに、ほんとゴメン……だけどもう『肝心な時に何もでき無かった』って後悔したく無いんだ………だから

――――俺はもう一度乗るよ『ナデシコ』に」

 一晩かけて作った墓に向かって呟く、ただ墓石も十字架も立てずに墓と言うにはあまりに簡素なものでは有るが――もう神も仏も信じる気にはなれない為、仕方が無いと言えば仕方が無い。

 「だけどユリカ信じてくれ、俺は必ず此処に戻ってくるからな!」

 ここまで言って一呼吸空ける。

「それじゃ――――行って来ます」

ジャンプフィールド展開完了、あたりを虹色の光が包み込みジャンプする瞬間

 

 

―――――アキトお土産忘れたらユリカ、プンプンだからね―――――

 

 

昔と変わらぬ…あの頃のユリカの声を聞いた気がする…………

 

 

     機動戦艦ナデシコ

                      時の帰還者

 

 

 ―――クリムゾン極東支部―――

 ザッ

 「こちらポーン、Sポイント制圧完了」

 ザッ

 「キング了解、そのままナイトの援護にまわれ」

 ザッ

 「こちらクィーン、A地点に到着このあとはプランDに移行する」

 ザッ

 「キング了解」

 ザッ

 「こちらナイト、Iポイント制圧完了ポーンと共にE地点に向かう」

 

 クリムゾン極東支部、裏の世界ではかなり名の通った施設である。

 曰く進入したら生きては出られない。

 曰く針の一本も中から持ち出せない。

 などなど、確かに警備は厳重だが難攻不落と言われる最大の理由はそのビルが保有するセキュリティーシステムとチェック機構にある。

 だがアキトにはそんな事は全く関係無かった。

 この施設には『一度』来ているのだ、いかに警備が厳重だろうとセキュリティーシステムとチェック機構が優秀であろうと管理室にボソンジャンプし制圧してしまえば関係ない。

 

 実戦において最も重要な物、それは情報の伝達による連携である

 情報の伝達が的確であるか的確でないかで勝負は決すると言っても過言では無い。

 的確であれば連携が上手くとれ的確でなければ連携が取れない、子供でも分かる理屈だ。

 連携を失った以上、組織的な反撃は出来ない、ならば後は狩られるのみ。

 もっとも始めて襲撃した時は今回のようにすんなりと事がはこんだ訳ではない。

 自ら先頭に立ち幾多の屍をこえ部下を犠牲にして――そして出会ったのだラピスと…

 そこまで考えると意識を現実に戻す。

 今は感傷に浸っている時ではない――――

 ザッ

 「こちらビショップ、ターゲットK及びJ捕獲」

 ニヤリ

 思わず口元がゆがむ。

 連中には昔、色々と『お世話』になったからな…もっとも連中には何の事かさっぱり分からんだろうが…。

 ザッ

 「ブラックプリンス了解、ミッションコンプリートだ手早く撤収せよ」

 「「「「了解」」」」

 3分後、あたりに爆発音が響いた。

 

 

―――ネルガル本社ビル―――

 「いや―――アキト君お疲れ様、どうだい直属SS部隊の練度は?」

 「まだまだだな、作戦終了するのが予定より140秒遅れた」

 「140秒…ってほんの2分ちょいじゃ無いか。

 あの難攻不落と言われたクリムゾンの極東支部を相手にしてだよ?」

 「所詮はテストの相手だ…予定どおりに行ってくれないと困る」

 「ハッハッハッハ…ほんとキツイナ―――

 それはそうとアキト君、このターゲットK(クサギ)とJ(ジョン)の二人…なんで捕獲したんだい?

 何か重要な情報でも握っていたのかい」

 握っているでは無く握っていた…すでに過去形である。

 「いや、何も握ってはいない…ただ」

 「ただ…?」

 「昔お世話になったからな。その『お礼』がしたかっただけさ」

 「おぉ――恐い恐い、ひょっとしてその『お礼』がしたいが為、極東支部を襲ったのかい?」

 アキトは顎を親指と人差し指ではさみたっぷり3分程考えてから―――

 「……そういう側面もあるな」

 しれっと答えた。

 

 「さて、そろそろ本題に入ろうかアカツキ」

 「あぁいいよ」

 「まず頼んでおいた事はどの位できた?」

 「頼まれた事はほとんど出来たよ…ただ」

 「ただ、どうした」

 そう言って先をうながす。

 「和平への下準備…つまり木星蜥蜴の正体を明かす事についてはてんでだめだね」

 「下手に発表する事によって自分の立場を危うくする気はさらさら無い、といった所か…」

 「もともと自分の保身しか考えられぬ連中が大多数を占めているからね。

 そうじゃなきゃこの戦争は起きなかったさ」

 

 そこまで言っていったん会話を切る。

 「さてと…アキト君、今日明日は休んでもらってもいいよ」

 「…?まだジャンプの最終実験がのこっているぞ?」

 「あぁ…そんなのいいのいいの、ただえさえ君は労働超過気味なんだから。

 ……後でプロス君にお小言、言われるのは僕なんだよ?」

 「しかし…」

 「それに仕事ばっかりだとエリナ君が怒るよ?

 ただでさえ3日後にはナデシコに乗ってとうぶん会えなくなるんだから

 今日はしっかりと可愛がってあげなくちゃ」

 「……了解」

 そう言って会長室を出て行くアキト。

 その背中はどこか疲れているように見えるのは気のせいか?

 などと一人想いふけるアカツキ。

 

 

 「それにしても…あのエリナ君をああも見事に落とすとは……大関スケコマシの二つ名、譲るべきかな?」

 会長室で一人呟くアカツキその背中には哀愁が漂っていた。

 

 

 「明後日にはナデシコ…か」

 シャワールームから出てきたバスタオル姿のエリナが話し掛ける

 先程までベッドで激しい一戦を交えてかいた汗を落とす為シャワーを浴びていたのである

 

 此処は都内の高級ホテル、セキュリティーの高さと機密性の高さがウリである。

 それゆえ此処を使用できるのはごく限られた――俗にVIPと呼ばれる人達――のみである。

 勿論エリナはVIPと呼ばれても可笑しくない人物である為このホテルを何度も利用している。

 元々は仕事でとても自宅に帰れない時に利用していたのだが最近はアキトと二人で利用する事が主な理由となっている。

 因みにアキトはエリナの愛人という事にしてこのホテルの使用許可を貰っている。

 もっとも、どちらがどちらの愛人であるかは余り考えない方が得策というやつである。

 

 シャワーを浴びたばかりの為、濡れた髪がしっとりとして扇動的である。

 「本当なら一緒に乗り込みたいんだけどな…」

 そう言って上目遣いにアキトをみる。

 「すまないエリナ…出来るだけイレギュラーは排除して置きたいんだ」

 「そんな事言って。本当は私の見えない所でユリカさんとのイチャツキたいだけじゃ無いの?」

 「……ユリカとは一緒になる事はもう出来ない。俺にはその為の『資格』も…『時間』も無い」

 一瞬の沈黙が二人の間に落ちる。

 「そう…ゴメンなさいね……貴方が一番辛いのに…

 でもアキト君、私だったら何時でもOKよそんな資格だの時間だの気にしないから」

 流石に恥ずかしかったか、そう言うとそそくさと着替えを取りに行こうとするが後ろからアキトに抱きしめられる。

 「すまない…本当にすまないエリナ、未来でも今でも君に迷惑ばかりかけている…」

 エリナは絡められた手に自分の手をそっと重ねる。

 「いいのよアキト君…私か好きでしている事だから。1年後にまた会いましょう……だから」

 「だからどうした…エリナ?」

 「もう…分かっているくせに意地悪しないでよ」

 そう言って可愛く口を尖らせる、アキトにしか見せない仕種だ。

 「フフ…はっきり言って貰わないと分かりかねるな」

 わざととぼけるアキト。

 「もう……可愛がってよ」

 「了解」

 そう言いエリナの唇を奪いそして足をからめ、そして体重をエリナ側にかけ後ろにあるベッドに倒れ込む。

 「え…ちょ、チョット……イキナリ…アっ」

 まだ夜は始まったばかりだ。

 

 

―――――サセボシティー―――――

 アキトは物思いにふけりながらサセボの町を歩いていた。

 俺が始めてボソンジャンプしてたどり着いたのがこの町だった。

 この町にたどり着き、この町で働き、そしてクビになってナデシコに乗る事になった。

 今、改めて考えてみると何とも運任せの出来事である。

 どれか一つでも無かったら俺がナデシコに乗る事は無かったのだ。

 そう考えると歴史を変える事など訳が無いように思える。

 だがそう考えるのは早計と言うものだろう、どうやら歴史…いや時間にはある種の是正効果の様な物が有るらしい。

 なんせこの時間にいたはずの…19歳の俺が消えているのだからな。

 恐らくこの先、俺が歴史を変えようとすればするほど様々な是正効果が起きてくるだろう…

 だがそんな事はどうでも良い…例えどの様な事が起きてもアイツを…ユリカを守る為に手に入れたこの力を最大限使わせて貰うだけ――――――

 

 キキキキイィ――――!!! 

 

 その瞬間意識が思考の海から現実に引き戻された。

 

 ガラガラガラガラ……ドカン!!

 

 「…グウ」

 両手を咄嗟に広げ落ちてきたトランクを受け止める。

 (それにしても凄い威力だったな、前回は良く死ななかったものだ)

 そんなことをついつい考えてしまう。

 少し前で黒塗りのリムジンが急停止して一人の女性が走りよって来る。

 「すみませ―――ん、怪我しませんでしたか―――?」

 ミスマルユリカ…俺が最も愛しそして俺を愛してくれた女性が其処にいた。

 

 「……」

 俺は不覚にも声が出せなかった…会う事は分かっていたのに……会う為に此処に来たというのに―――

 それでもいざ会ってみると、どうしようもなく愛おしさこみ上げて来て危うく抱きしめてしまいそうになった。

 「あ…あの…ひょっとして怒っていらしゃいますか…?」

 ユリカのおずおずとした声を聞いて俺は正気に戻った。

 「…い、いや少し考え事をしていただけだ。

 それよりも連れが待っているみたいだぞ…早く行った方が良いぞ」

 「え…あ、でもお詫びもしていませんし…」

 「別に怪我した訳でも無いからな…気にしなくても良い」

 「そ、そうですか?ではアリガトウございました―――」

 そう元気よく言ってユリカは車に乗ってナデシコに向かって行った。

 その後姿を見えなくなるまでじっと見続けていた。

 「くそっ!!!」

 ドゴォ!!!

 力任せに横にあるコンクリートの壁に拳を叩きこむ。

 鈍い音を立てて拳がコンクリートの中にのめり込む。

 「あいつとはもう一緒になれないと分かっているくせに…なのに今でもあいつの温もりを求めてしまうとはな」

 そう呟く声は苦い…

 

 

―――――ナデシコブリッジ―――――

 「ちょっと!!本気でこんな連中に戦艦一隻任せる気!?」

 「彼らはそれぞれの専門分野での一流の人材でして、はい」

 「あの人たちでしょ?火星にチューリップを落とした人達って」

 「やな感じ〜〜〜」

 「ちょっと!!あんた達なに言っているのよ!!!」

 「「別に〜〜〜」」

 キノコがなにやら騒いでいるが回りは取り合わない。

 「特に艦長は士官候補生時代、戦術シミュレーションにおいて不敗の実力を誇る逸材で…」

 「その艦長は何処よ!!!」

 「それが到着が遅れてまして…はい」

 「そんな人に艦長は任せれないわ、今すぐクビにしなさい!!」

 そんなことを言っている時ブリッジのドアが開いた。

 「あ、ここだここだ!みなさーん!私が艦長のミスマルユリカでぇーす!ぶいっ!!」

 「「「「「ブイ〜〜〜?」」」」」

 「またバカ?」

 と某人気キャラが呟いたとか呟かなかったとか… 

 

 時を遡る事数分

 「皆様にだけお見せしよう、このガイ様必殺超ウルトラグレートな必殺技

 その名もガイ・スーパーナッパ――!!」

 そう言って『黒い』エステバリスが謎のポーズを片足で取る。

 次の瞬間、どでかい音と共にエステが転んだ事は言うまでも無いだろう。

 「相変わらずだな…ガイの奴は」

 そう言って苦笑してしまう。

 ちなみにアキトはユリカと分かれた後ボソンジャンプで工場前まで来ていたのである。

 何やらガイがウリバタケとしばらく口論した後に

 「おぉ――い、すまんがエステの中に宝物置いてきてしまった!

 悪いが取ってきてくれ―――!!」

 そう言ってタンカに乗って医務室に向かう。

 「やれやれホント仕方の無い奴だな…」

 知らず知らずのうちに苦笑が癖づいてしまっている。

 「それはそうと博士、あのゲキガンガー随分と仕様書と違っていたぞ?」

 「誰が博士だ誰がそれとあれはエステバリスだ…あのエステは専用機だ、だからだよ」

 「ナニィィ――!このガイ様を差し置いて専用機とは!!許せ〜〜〜ん!!!」

 何かガイがごねている様だが…気にしないことにした。

 取りあえずエステのコクピットに乗って襲撃まで時を待つ。

 「全地形(オールラウンド)対応型エステ試作機『ブラックサレナ』か

 …あいつの封印を解くまでの繋ぎだが…がんばってくれよ」

 そう『プラス』に話し掛ける。

 この『ブラックサレナ』は5年後にアキトが使っていた『ブラックサレナ』ではない、あのサレナは余りにも強力過ぎ、そして現在有りえない技術を使っているので否応無く軍や権力者の注目を集めてしまう。

 そうならない為にこの時代のエステに合わせた形をして、そしてなおかつ通常のエステでは耐え切れないスペックで活動できるように設計したのが今乗っている『ブラックサレナ』である。

 余談だが、アキトがサレナを持ち込んだ事により、エステの技術が飛躍的に進歩した為、現在ナデシコに乗っているエステは少なくとも後のカスタム・エステバリス並みのスペックはある。

 《気にしないで下さい…此方こそ余りお役に立てなくなりますが……》

 そういったウインドウが表示される。

 「なにお前は十分役に立ってくれているさ」

 そう励ますように話し掛ける。

 

 ビィービィービィービィー

 

―――――再びブリッジ―――――

 「ほえ…?火災訓練?」

 「ユリカ…これは敵襲だよ」

 相変わらずのボケボケぶりを発揮するユリカに疲れたように突っ込むジュン…漫才の様でもある。

 「敵、木星蜥蜴140機99.8%ナデシコが目標です」

 ルリが淡々と状況を報告する。

 「どうすんのよ!どうすんのよ!私はこんな所で死にたくなんか無いわよ!!」

 キノコが相変わらず叫んでいるが誰も相手にしない。

 「艦長、君ならどうするかね?」

 今まで静観を決め込んでいたフクベ提督が口を開く。

 「そうですね…まずエンジン始動と共に海底ゲートに注水、

 その後ゲートを抜け敵背後からグラビティーブラストにより殲滅します」

 そう言うユリカは何時ものぼけぼけとした感じでは無く、凛々しささえうかがえた。

 「フム…だが撃ちもらした敵はどうする?

 すべての敵が射程にいるとは限らんだろう?」

 提督が的確に作戦の穴をついてくる。

 「はい、ナデシコが出航するまでの間、エステバリスに囮役をやってもらいます」

 「その囮役…俺が引き受けてやろう」

 突如ウインドウに現れる黒尽くめに対してブリッジの要員の大半が引いてしまう。

 「ほえ…?」

 例外的に引かなかったが再びボケボケモードに変わるユリカ。

 「君は誰だね!所属と名前を言いたまえ!」

 こちらも引かなかったし、職務を全うする威厳のある声…どちらが艦長か分かったものでは無い。

 「テンカワ・アキト…パイロットだ」

 「テンカワ…テンカワ」

 何やら考え出すユリカ。

 「おぉ―――テンカワさん来ておられましたか、それでは早速お願いしますよ」

 「誰よあの得体の知れない奴は!あんな奴に命預けるなんて冗談じゃないわ!!」

 「いえいえ、あの方は我がネルガルの誇るエースパイロットでして…はい」

  相変わらず煩いキノコに何やら嬉々としてアキトの自慢をするプロス。

 「へー凄いんですねミナトさん」

 「そうね、メグミちゃん人は見かけによらないって言うしね…

 そうでしょ?ルリルリ」

 「私、少女ですから」

 少しずれた所で会話が成立しているミナトとルリ。

 「お前このガイ様を差し置いて専用機なんか作りやがってズッコイゾ!!」

 (みんな緊張感無いな……流石ナデシコと言うか何と言うか)

 そして―――

 「あぁ――――アキトだアキトだアキトなんでしょう!?」

 俺の正体(?)にきずいたユリカ、だが俺は此処で通信をカットしてしまう。

 今の俺にとってはユリカの温もりほど心を傷つけるものは無い。

 とは言え今の事でユリカが傷ついたのは間違いあるまい…そう考えるとそんな事しか出来ない自分に腹が立ってしまう。

 

 ―――ちなみにその頃のブリッジ―――

 「もう、やだな〜〜〜アキトッたら、照れて通信を切っちゃうなんて。相変わらすシャイだね」

 全くもって……というか邪険にされたという事すら認識していない艦長がいた。

 

 

 「……バカ」

 

 

 長いエレベーターを上りきり辺り一面バッタだらけの地上にでる。

 相手はバッタとジョロが計140匹いるそうだがアキトにとっては何の脅威にも無い得ない。

 むしろ囮役などよりも殲滅戦の方がむしろやり易いぐらいだ。

 最も普通のパイロットなら囮役はおろか10分間生き延びる事さえ容易ではないだろうが…

 「……今の俺は少し虫の居所が悪い…少し本気で行くぞ」

 そう宣言した次の瞬間、四方を囲んでいたバッタ達がミサイルをサレナに向かってばら撒く。

 「…フッ」

 ミサイルが直撃するの一瞬前にサレナが信じがたいスピードで上昇し旋回をしつつライフルを正射、四方を囲んでいたバッタ達を一瞬で撃墜する。

 すぐに地上に向けて急降下し、その間にもライフルをセミオートに設定して発砲する。

 そして地上ぎりぎりをホバーリングするかのように滑らかに滑空しながら立ち塞がるバッタを次々に撃破していく。

 ちなみに現在アキトが使っているエステには足が無い、形としては5年後に使っていた『ブラックサレナ』よりも『夜天光』に近いものである。

 この時代で使える銃器類では戦艦クラスのフィールドは破れない、ならば機動性を活かしフィールドランサー類でフィールドを無力化して攻撃するのがベストである為この様な格闘戦を前提とした機体の形となった。

 

 「ミナトさん…これって凄いですよね?」

 「えぇ私も素人だから良く分かんないけれど凄いと思うよ

 そうでしょルリルリ?」

 「私、少女ですから良く分かりません…

 ですが始めに見せたあの飛行、あんな急激な運動すれば普通はGによって気絶する筈です」

 「いや―――全くもって素晴らしいですな」

 「何よこれ…なんでこんな事できんのよ!おかしいわよあいつは!!」

 「最大の敵をナデシコから自分に設定変更させる事により敵を集める…流石だな」

 「やっぱりアキトは私の王子様なんだね!!ユリカの為に強くなってくれたんだね!!」

 「…ユリカ(泣)」

 ナデシコブリッジでは相変わらず緊張感の欠けるやり取りがされていた。

 ユリカにいたってはトリップまでしておりアキトが懸念したユリカが『傷つく』なんて事は全くなかった。

 

 

 「後3分か…そろそろ…か」

 180度ターンして敵陣に突っ込み、ディストーションフィールドに物を言わせて強引に突破して行く。

 

 そして海に向かって跳躍。

 しかし其処には浮上してきたナデシコの甲板がある為沈む事はなかった。

 「…早かったな」

 努めてぶっきらぼうに尋ねるアキト。

 「アキトの為に急いで来たの」

 ユリカは全く気にしていない…いやそもそもアキトに邪険にされていると言う認識が有るのかさえ怪しい。

 「敵、全て射程に入っています」

 「目標、敵まとがめてぜ―んぶ、ってえぇ――!!!」

 

 一条の黒い光が全てを飲み込む、今この時歴史が流れ出した……

 

 バッタが光に飲み込まれていくのを見ながらアキトが呟く。

 「……此処から全てが始まったんだな」

 《私も出来る限りのお手伝いをします…

 共に歴史を変えていきましょう、マスター》

 「…あぁ頼むぞ『プラス』」

 

                       続いたぁ!!(はやばやと感嘆形)

 

 

後書き

 ようやく話が進みだしました。

 容量も少しは増えてきたようです。逆行物とは以前言いましたが、これの基本属性はユリカ×アキトです。

 なんせルリアキの逆行は何ぼでもありますから、今更へっぽこSS作家が書く必要は無いでしょう。

 当初の予定ではユリカも帰還させる予定でしたがやっぱり止めました。

 どうしてかって?考えても見て下さい、あの二人がコンビで帰還すれば草壁…つまり火星の後継者どもなど雑魚同然ですから…そうなってしまうと流石に連中が可哀想ですからやめにしました。

 その辺はご了承ください。

 会えたら第3話の後書きでお会いしましょう。

 

 

 

管理人の感想

 

 

霜月さんからの投稿です!!

ユリカも一緒に飛ばしたかったのですか。

う〜ん、確かにそれだと敵無しですよね〜

ついでにジュンも早期に振られて、ユキナにスムーズに乗り換えていたでしょうに(爆)

しかし、今後アキトはどのような動きを見せるのでしょうか?

 

では、霜月さん!! 投稿有難うございました!!

 

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