< 時の流れに福音を伝えし者 >

 

 

 

 

 

第一話.その三 『「男らしく」でいこう!・・・ここは何処だ・・・そして俺は』

でもって君は?

 

 

 

 

 

 上昇するエレベータの中でフクベ提督に所属と名前を聞かれた。

 

「俺は・・・テンカワ・アキト、コックです。」

 

 昔通りの言い訳・・・

 

「何故コックが、俺のエステバリスに乗ってるんだ!!」

 

 俺しかパイロットがいないからだよ、ガイ。

 

「もしもし、危ないから降りた方がいいですよ?」

 

 そう言う訳にはいかないよ、メグミちゃん。

 

「君、操縦の経験はあるのかね?」

 

 ・・・嫌になるほどにね、ゴートさん。

 

「困りましたな・・・コックに危険手当は出せ無いのですが。」

 

 別に構いませんよ、プロスさん。

 給料なんて・・・

 

 それにしても、相変らず・・・騒がしい人達だ。

 俺は余りの懐かしさから、顔が笑みに崩れそうになるのを、必死に堪えていた。

 

 そして・・・

 

「アキト!! アキト、アキト!! アキトなんでしょう!!」

 

「・・・ああ、そうだよユリカ、久しぶりだな。」

 

「本当にアキトなんだね!!

 あ!! 今はそんな事より大変なの!!

 そのままだと戦闘に巻き込まれるよアキト!!」

 

 ・・・今、俺がいる場所を何処だと思っているんだ?

 

「パイロットがいないんだろ?

 俺も一応IFSを持ってるからな・・・囮役くらい引き受けてやるよ。」

 

 本当は囮より、殲滅する方が簡単なんだがな。

 

「本当? ・・・うん、解ったよアキト!!

 私はアキトを信じる!!

 やっぱりアキトは私の王子様だね!!」

 

 ・・・君の笑顔が、俺に苦痛を与える事を君は知らない。

 ・・・君の言葉が、俺に過去の出来事を思い出させる事を、君は知ってはいけない。

 そして今度こそ俺は、ユリカ・・・君を。

 

「絶対怪我しないでねアキト!!

 後で会おうね!!」

 

「ああ。」

 

「・・・テンカワ機、地上に出ます。」

 

 ルリちゃんの声を合図に。

 俺は再び、あの無人兵器達の群れと出会った。

 

 

 

 

 僕はアキトさんの乗ったエステバリスがエレベータに乗った後

 『イロウル』の能力を使ってブリッチの通信を聞いていた。

 

「アキトさん、外に出たみたいだな。

 僕もイロウルを使えばエステバリスを動かせるんだけど、

 僕の力は他の人には隠しといたほうがいいし。

 せめてエヴァを持ってきてたら・・・」

 

 僕のエヴァは初号機のコアを元にしている。

 初号機とはサードインパクトの時から離れていても

 わずかにシンクロした状態が続いている。

 そのおかげで僕がエヴァを呼べば、何処からでも来てくれる。

 

 だが何度か呼んでみたのだが、さすがに違う世界までは来れなかったみたいだ。

 

「僕はアキトさんが帰ってくるのを待つだけか。

 IFSを何とかしなくちゃいけにないかな?」

 

 仕方ないと思いつつ

 僕は諦めてアキトさんの帰りを待つしかないか。

 

 そんな時だった。

 

「え? どうして今頃・・・」

 

 格納庫の壁越しに僕は遠くのほうを見つめた。

 

 

 

 

 俺の目の前には、バッタとジョロの群れ。

 殲滅する事など、今の俺には簡単だが・・・

 

「・・・今は俺の実力は隠しておくほうが賢明、だな。

 ここは過去と同じく、囮役と誘導に徹するか。」

 

 そして俺はバッタとジョロの攻撃を紙一重で避け。

 たまにワイヤードフィストで攻撃をしかけて、確実に敵を殲滅しながら敵を誘導していった。

 

 

 

 

 さすがアキトさんです、敵の攻撃にほとんど当たっていません。

 攻撃はあまりしていないようですが、確実に倒しています。

 

「くおらぁぁぁ!! 逃げずに戦え、卑怯者!!」

 

 ヤマダさん、アキトさんの任務は囮ですよ。

 敵を引き付けられれば戦う必要はないんです。

 

「無理よ、コックが戦えるわけないじゃない。 今すぐ対空砲火よ。」

 

 ムネタケ副提督、ヤマダさん以上に馬鹿ですね。

 ここで対空砲火なんかやったら、天井が落ちてきてナデシコが潰れます。

 

「彼は、ほんとに素人なのでしょうか?

 囮とはいえ、見事にエステバリスを扱いこなしています。」

 

「うむ、そのうえほとんど被弾していない。

 何らかの訓練を受けているのかもしれん。。」

 

 さすがプロスさんにゴートさん。

 さっきの二人とは違います。

 

 このままナデシコが出て、グラビティブラストで終わりですね。

 

 

 ピーーー、ピーーー、ピーーー

 

 

 あれ? エレベーターがもう一基動いてます。

 

「報告。 エレベータがもう一基地上に向かってます。」

 

「え? まだ、パイロットがいたんですか?」

 

「そんなはずはありませんよ。

 現在、ナデシコでIFSを持っている方は、

 ヤマダ『ダイゴウジガイ!!!』さんとテンカワさんとルリさんだけですから。」

 

 ユリカさんの疑問にプロスさんがすぐに答えました。

 

「ルリちゃん、エレベーターのエステバリスに繋いで下さい。」

 

「了解・・・・・・え?」

 

「どうしたの、ルリちゃん?」

 

「エレベーター上にエステバリスはありません。 ですがクルーが一人乗っています。

 このままでは地上の戦闘に巻き込まれます。」

 

「たいへんです! すぐにその人に通信を繋いで下さい!」

 

 ユリカさん、慌ててます。 

 まあ当然ですけどね。

 

「通信開きます。」

 

「え!? 子供?」

 

 出した映像にはシンジさんが映っていました。

 

「きみー! あぶないよ! そこから早く逃げて!」

 

 メグミさん、アキトさんの時より注意してます。

 まあ、生身で戦闘に中には行ったら普通死にますもんね。

 シンジさん何をするつもりなんでしょう?

 

「ぬおぉぉぉ、戦いに巻き込まれる子供。 まさにヒーローである俺の出番だ!」

 

 ヤマダさん、足折れてるでしょう。

 

「イカリさん。テンカワさんにもおっしゃりましたが、コックには危険手当は出せないのですよ。

 それに、この状況ではおそらく払えませんよ。」

 

 プロスさん、そればっかりですね。

 

「ルリちゃん! すぐにエレベーターを止めて下さい!」

 

 ユリカさんが私に呼びかけています。

 

『あ、大丈夫です。 僕はちょっとお迎えに外の出るだけです。』

 

「お迎えですか? 誰のですか?」

 

『うーん・・・・・・相棒かな。』

 

 相棒ですか・・・誰のことでしょう?

 

 ・・・あ、センサーに反応が。

 

「サボセ遠洋に高速飛行をする機影を確認。

 モニターに出します。」

 

 出された映像には一本角の赤い羽根を生やした紫色の鬼が飛んでいました。

 

「エレベーター、地上に出ます。

 同時に所属不明機、ドック上空に差し掛かります。」

 

 

 

 

 エレベーターが地上に出ると真上から翼を折りたたんだ紫の鬼が降りてきた。

 

「よく来てくれたね。 エヴァ・・・」

 

 エヴァは片膝をつき手の平を僕の前に降ろしてきた。

 僕は手の平に乗ると、コクピットの前まで上げた。

 コクピットに乗り込むとインターフェイスを頭に取り付ける。

 

「今回はあまり戦わないけど、お前の初戦闘だから試験戦闘だと思ってやろう。」

 

 エヴァの紅い目に光が輝く。

 顎部の関節が開き、エヴァは唸り声をあげる。

 

 

 グヴォォォォォォ!!!

 

 

 エヴァは赤い翼を広げ飛び立ち、僕はアキトさんを追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 グヴォォォォォォ!!!

 

 

「何ですか!? この唸り声は!!!」

 

「発生源はシンジさんの乗った機体からです!

 その後、飛翔し囮のエステバリスに向かっています。」

 

 何ですか、あの機体は!? 吠えるロボットなんて・・・

 あれがシンジさんの相棒なんでしょうか?

 

 どうやらアキトさんのところ向かっているようですが

 アキトさんに伝えておきましょう。

 

 

 

 

 俺はエステバリスのワイヤードフィストで所を倒した所に、ルリちゃんから通信が入った。

 

「何だい、ルリちゃん?」

 

『アキトさん、今シンジさんが謎の機体に乗ってそちらに向かっています。

 シンジさんもバッタとジョロを引き付けています。』

 

「謎の機体? シンジくんが?」

 

 どういうことだ? シンジくんのエヴァって機体はむこうに置いてきたらしいし。

 

 そして、空を飛ぶ紫の鬼が視界に入ると同時に

 シンジくんからコミュニケで通信が入った。

 

『アキトさん、僕も手伝いますよ。』

 

「シンジくん、それがもしかしてエヴァンゲリオンなのか?

 たしか、きみの世界に置いてきたんじゃなかったのか。」

 

 シンジくんはエヴァをエステて傍に降り立たせながら応えた。

 

『エヴァは空間に穴を開ける能力を持っているんです。

 おそらくその能力で僕を追いかけてきたんだと思います。

 エヴァには多少意志がありますから・・・』

 

「そうか・・・

 じゃ、バッタとジョロを引き付けて、ナデシコのほうに向かうぞ。」

 

『はい。』

 

 その時、話をしていた為に隙ができたのか

 バッタどもから大量のマイクロミサイルが俺達にむかってきた。

 

 俺はディストーションフィールドで防御したが、

 シンジくんは・・・

 

「シンジくん! 大丈夫か!?」

 

 俺はすぐに通信をいれ、シンジくんの安否を確認する。

 

『はい、大丈夫ですよ。

 僕にはこれがありますから。』

 

 爆煙がはれるとエヴァの前に紅い壁があった。

 

「・・・それがATフィールドってやつか?」

 

『ええ、他にもこんな事が出来ますよ。』

 

 エヴァが空を飛ぶバッタ達に腕を一振りする。

 腕の延長線上にATフィールドが現れ、

 そこにいたバッタを全て切り裂いた。

 

「すごいな・・・」

 

 フィールドの断面を刃として使ったのか。

 

『アキトさん、そろそろ行きましょう。

 ナデシコもそろそろ来る頃でしょうし。』

 

「ああ、そうだな。」

 

 俺達は一気に海の方まで跳び、海面にナデシコの影が現れた所に降りる。

 

 そして、海上にナデシコが浮上してきて

 俺達が引き付けてきたバッタとジョロをグラビティブラストですべて殲滅した。

 

 

 

 

 ナデシコの初戦闘はグラビティ・ブラストの一撃で勝利を収めた。

 

 俺達はナデシコのデッキに帰りながら、今後の事を考える。

 

「負ける・・・訳にはいかない!!

 俺の、いや俺達の過去への挑戦は今始まったばかりなんだ!!」

 

 ルリちゃん、ラピス・・・

 それにシンジくん。

 頼む、こんな俺だが支えて欲しい・・・

 全ての贖罪は、最後に払ってみせるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

第二話に続く

 

 

 

 

代理人の感想

・・・・・・・・・・・・・もーちょっと常識的というか合理的な行動取りなさいよ、シンジ君。

いきなり異次元人だとほざくわ、プロスさん相手に滅茶苦茶な話(事実は小説より奇なり!)を話すわ。

プロスさんの方は多分てんから信じてないでしょうが、アキトの方は・・・

どう考えたって、アキトでもなけりゃあんな話は信じませんわなぁ(爆)。

全人類の知識がうんたらかんたらと言うことですが

どうやら記憶媒体にだけでそれを行動に活かすかどうかは別の話のようで。

 

つーか、こんな滅茶苦茶なエヴァがこの時点で存在するなら

即座に木連を壊滅させる事だって出来るよーなw

 

後、老婆心ながら一つ。

リンクは「ファイル名」(例えばこのファイルなら「simu_a013.htm」)に張るものであって、

「ページタイトル」(このファイルなら「hukune013」)に張っても意味がありません。

今回は修正しておきましたがお気をつけを。