< 時の流れに福音を伝えし者 >

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドグゥゥウゥゥゥゥンンン!!!!

 

 

               キュイイイィィィィンンンン!!!!

 

 

 無情にも巨人の仮面からリョーコちゃんのエステバリスに光線が発射されててしまった。

 だが光線は紅い壁に妨げられた。

 光線が衝突によって消え去った後には

 リョーコちゃんの前に紫の鬼が立っていた。

 

 

「シンジくん!!!」(パイロット・ブリッチ全員)

 

 

 

 

 

 

 ・・・間に合った。

 もう少し遅かったらリョーコさんのエステバリスが消滅していたかもしれない。

 僕はリョーコさんに通信を繋ぐ。

 

「リョーコさん、まだ動けますか。」

 

『お、おう。 大丈夫だ。』

 

「だったらナデシコに戻って下さい。

 動けてもその状態じゃ戦えないでしょう。」

 

『・・・わかったよ。 けどお前はこいつの事知っているんじゃないか?

 お前のエヴァと同じバリアを張りやがるし。』

 

「心当たりはありますよ、でもそれだけです。

 それ以上は僕にもわかりません。」

 

『後でその心当たりってのを聞かせろよな。』

 

「・・・わかりましたよ。

 だから早くナデシコに戻って下さい。」

 

『ああ。』

 

 話を終わらせるとリョーコさんはナデシコに帰還していった。

 

 けど、間違いない。

 多少、外見に変化があって機械が埋め込まれているところがあるけど間違いない。

 あれは僕が初めて戦った使徒と同じ、第三使徒サキエル

 

 そして、あれを操っている奴は・・・

 

(ミスト、君か。)

 

(ご名答、どうです私の鎧は?

 言ったでしょう、まだ終わっていないと。)

 

 僕は前回、アキトさんに使ったATフィールドの回線をサキエルに繋いだ。

 

(あんまり驚かないんだ。)

 

(ええ、これくらいの芸当

 私の知ってるエンジェルの中で使える者がおりましたから。)

 

(そう、腕はどうしたんです。

 ばっさり切り落としたのにそんなもの動かせるの。)

 

(愚問ですね。 腕一本無くともイメージ一つで十分動かせますよ。

 それはあなたも同じ事では?)

 

(・・・こんな事ならあの時追いかけて

 止めを刺しとけばよかったよ。)

 

(つれないですね、今度は鎧同士て戦うと言うのに。)

 

(そう、じゃあその鎧ごと止めを刺してあげるよ。)

 

(ほんとつれないですね。)

 

『シンジくん!!』

 

 ミストと会話している時にアキトさんから通信が入った。

 

(お呼びのようですね。

 おしゃべりもここまでです。

 第二ラウンドを開始しましょう。)

 

 そう言ってミストはATフィールドを展開する事で僕の繋いだラインを切った。

 

『シンジくん、聞いているか?』

 

「は、はい、聞いてます。」

 

『やっぱりあれはシンジくんの記憶で見た・・・』

 

「ええ、使徒です。 以前戦った事のある。

 なんでこの世界に存在するのかは分からないけど

 今はこいつを倒すのが先です。」

 

『そうだな。

 !!!来るぞ、シンジくん!!』

 

 ミストは・・・いや、サキエルは両腕を突き出し

 光のパイルを連続で放ってきた。

 

 僕達は雨のようなパイルの連射に動き回って避ける。

 

『え〜ん、これじゃあ近づけないよ〜。』

 

『アキトくんもシンジくんもよく避け続けられるわね。』

 

 ヒカルさんとイズミさんは避けきれそうも無く

 パイルの射程外に出る事になったみたいだ。

 

『うおおぉぉぉぉぉぉ!!!』

 

「あ、アキトさん!!」

 

 その直後、アキトさんがD・F・Sを振りかざしてサキエルに向かって行った。

 

 

 

 

 

「クッ、このまま避けていても埒が明かない。

 D・F・Sが使徒のATフィールドに効くか試してみるか。」

 

 俺は再びD・F・Sを構えて白い刃を作り出す。

 そして、使徒の目掛けてパイルを避けるのと同時に突き進んだ。

 

「うおおぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 俺は使徒のATフィールドに切り込むと

 D・F・Sは一瞬でATフィールドを切り裂く事はなかったが

 刃の半分がATフィールドに食い込んでいた。

 

 このまま押し切れる!!

 

 だが、もう少しで完全に切り裂けると言うところで

 使徒の腕が俺の方に向けられパイルを放ってきた。

 

 やむなく俺はそれを避けるためにフィールドから離れた。

 あとちょっとで切り裂けたのに。

 

 そこへシンジくんから通信が入った。

 

『アキトさん無茶しないんじゃなかったんですか?』

 

「無茶したつもりはないんだけどな。

 あのまま避けていても埒が明かなかったからな。」

 

 とは言っても、今だって避け続けているのだが。

 

『だからっていきなり特攻しないで下さいよ。

 またルリちゃん達に何か言われますよ。』

 

 うっ・・・

 

『それに僕は以前同じ奴と戦った事があるんですよ。

 一人で戦わないで下さい。』

 

「そうだな、すまない。

 だけどどうする? D・F・Sでも切り裂ききれなかった。

 バーストモードなら一気に切り裂けるだろうけど

 さっき使ったから、あと二十分以上は使えない。」

 

『それなら大丈夫ですよ。

 僕なら使徒のATフィールドを中和して消す事が出来ます。

 その隙にアキトさんはD・F・Sでコアを攻撃して下さい。』

 

「了解。」

 

 

 

 

 

 

 僕はなるべく接近してATフィールドを展開し

 サキエルのフィールドを中和する。

 

 僕がまだ普通の人間だった頃はわからなかったけど

 今の僕にはサキエルのフィールドが掻き消えていくのが感じられた。

 

「アキトさん、今です!!」

 

『わかった!!』

 

 アキトさんは再びD・F・Sを掲げてサキエルに突進する。

 

 サキエルはパイルをアキトさんに向けて打ち出すが

 アキトさんは難無くそれをかわしながらサキエルの懐に入り込んだ。

 

 

『うおぉぉぉぉぉおぉぉぉ!!!!』

 

 

 アキトさんはD・F・Sの刃が今度は白く200m程に伸び

 横に一文字切りでコアごとサキエルの体を薙いだ。

 

 サキエルの体は横にずれて上半身が滑り落ち、下半身もゆっくり後ろに倒れた。

 そして両半身の切り口から・・・

 

 

 

 

 

 

アカイエキタイガフキダシタ

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウッ・・・」

 

「あ、あれってもしかして・・・血?」

 

「い、生き物なのか?」

 

「驚きましたな、あのような物が生物とは。」

 

「むう。」

 

「・・・ルリちゃん・・・あれに生命反応はあった?」

 

「はい・・・現在弱まりつつありますが確かにあります。

 !!!敵、エネルギー反応増大。

 生命反応はほとんどありませんが

 光線を発射した時よりもエネルギーが増大しています!!」

 

「何!? 今度は何が起こるの!?」

 

 

 

 

 

 

(ミスト、まだ生きてる?)

 

(ええ・・・まだ生きてますよ。

 まさかあなたが・・・手を貸したとはいえ・・・

 ただの人間にやられるとは・・・)

 

(僕も君も人より強い力を持っているにすぎないんだ。

 決して無敵なんかじゃないんだよ。)

 

(そうですか・・・ですがその忠告も・・・

 無意味な物と・・・なってしまうんですがね・・・)

 

(最後に一つだけ聞いておくよ?

 僕を連れて行こうとしている組織の名を教えてくれない?)

 

(・・・いいでしょう・・・いつかは知る事でしょうし。

 私達マリオネットエンジェルを手駒とし・・・

 数百年と裏で世界を操ってきた・・・表の名、クリムゾンとは別の名を持つ・・・巨大組織・・・

 その名は・・・

 

 

 

【ゼーレ】

 

 

 

 あなたに組織と他のエンジェルを退け続ける事が出来ますか?)

 

 ・・・ゼーレ

 僕の世界を終わりに導いた諸悪の根元

 この世界にも存在していたのか。

 使徒がいたんだ、ゼーレが残り続けてもおかしくない。

 奴等は僕をする気なんだ。

 

(・・・どうやらもう・・・限界のようですね。

 ですが・・・最後の悪あがきくらい・・・させてもらい・・・。)

 

 そこでミストの声が途切れた。

 でも悪あがきって・・・

 

 そこにルリちゃんから通信が入った。

 

『アキトさん、シンジさん、敵のエネルギーがどんどん増大しています!!

 何か起きるかも知れません!!』

 

 エネルギーの増大?

 そうか!! 最後の悪あがきって!?

 

 

「アキトさん!!」

 

 

 僕はスラスターを全開で吹いてアキトさんのエステバリスに向かった。

 

 その直後、サキエルは自爆した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドゴォォォォオォォオォンンンン!!!!

 

 

 今回、最大級の爆発音が鳴りました。

 

 ナデシコが衝撃波で揺れます。

 アキトさんとシンジさんは!?

 

 二人はここより爆心地の近くにいました。

 無事でいて下さい。

 

「アキトさん!! アキトさん!!」

 

「ルリちゃん!! アキトは!! アキトは大丈夫なの!?」

 

 メグミさんとユリカさんが騒ぎたてます。

 

「わかりません。 爆発の影響でセンサーが乱れて確認出来ません!!」

 

 オモイカネ、センサーの回復急いで下さい。

 

「しかし生命体なのに爆発するとは・・・」

 

「テンカワとシンジくんは大丈夫なのか。」

 

「あの爆発では、いくらテンカワとイカリでも・・・」

 

 

 ギロッ ×3

 

 

「ぬおっ!!」

 

 いくらテンカワとイカリでも・・・何ですか?

 アキトさんなら大丈夫に決まってます、シンジさんも

 

 ・・・あれは?

 爆発によって巻き上がった爆煙と砂煙がだんだん晴れ、中に紅い光が見えました。

 あの光はもしかして・・・

 

 煙が晴れるにつれてその光は鮮明になってきて輪郭がはっきりしてきました。

 その光は球体のようにな丸まっています。

 

 完全に晴れきった時、そこにはアキトさんのエステバリスと

 それを包んで守るように紅い翼を丸めたシンジさんのエヴァが

 球状のATフィールドの中にいました。

 

 ただ、エヴァの紅い翼が

 一対二枚から二対四枚に増えていましたが・・・

 

 

 

 

 

 

 またぎりぎりだよ。 あぶない、あぶない。

 

「アキトさん大丈夫ですか?」

 

『ああ、助かったよ。

 エステのフィールドじゃ、あの爆発には耐えられなかったからな。』

 

「リョーコさんの時といい

 何度もヒヤヒヤさせられましたよ。」

 

『ハハハ、そうだな。

 でもシンジくん、エヴァの翼が増えているんだが。』

 

「ええ、アキトさんの機体も含んでフィールドを纏わなきゃいけませんでしたから

 エヴァの出力を上げたんですよ。

 この翼はそれに比例して増えるんです。」

 

『ちなみにどれくらいまで増えるんだい?』

 

「最大出力を出したらエヴァの体が持たないんで試した事ないんですよ。

 問題無く出せる翼の枚数は四対八枚までですね。」

 

『それ以上出したらどうなるんだ?』

 

「爆発したりしませんけど

 機械部分に以上が生じますね。」

 

 

 ピッ!!

 

 

 その時、ルリちゃんから通信が入った。

 

『アキトさん、シンジさん大丈夫ですか?』

 

『この通り無事だよ、ルリちゃん。』

 

「僕もアキトさんもあれくらいじゃ死なないよ。」

 

『そうですか、よかったです。

 それより早く戻って来てください。

 ユリカさんたちが・・・』

 

 

 ピッ!! × 3

 

 

『アキト!! アキト!! アキト!!』

 

『アキトさん!! 大丈夫ですか!?』

 

『テンカワ、返事しろー!! テンカワー!!』

 

 艦長、メグミさん、リョーコさん・・・

 三人とも少しは落ち着いて下さい。

 

『・・・そういう訳ですので、早く帰ってきてください。』

 

『・・・わかった、シンジくん戻ろう。』

 

「・・・はい。」

 

 僕達はナデシコに帰還していった。

 

 

 

 

 

 

 

 俺達が格納庫に帰ると・・・アカツキが俺に話しかけてきた。

 

「・・・テンカワ君、シンジ君。」

 

「「どうした(んですか)?」」

 

「・・・彼を見付けて連れて帰ってきたんだが

 何でもアクアマリンって子を救うんだ――――って叫んでたと思ったら・・・

 急に倒れてそのまま医療室に直行してしまったよ。

 一体彼は何がしたかったんだい?」

 

「・・・さあ、俺にも解りませんよ。」

 

「ガイさんの考える事ですし。」

 

 ・・・イネスさんの薬の効果が切れたな。

 これで少しの間はガイも大人しくしてるだろう・・・多分。

 

 

 

 

 

 

 その頃彼女は・・・

 

 

「ガイさ〜〜〜〜〜ん!!

 二度とこの島に来ないでね〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

 

 

 と、飛び去るナデシコに叫んでいたらしい・・・

 

 

 

 

 そして、その夜、俺の部屋で・・・

 

「アキト!! 私頑張ってまたお夜食作ってきたの!!」

 

「アキトさん!! 私の料理食べて下さい!!」

 

「・・・ちょっと俺、用事が

 はっ、はははは・・・じゃ!!」

 

 俺はユリカ達の料理から逃げるため

 後ろを向いて走り出した!!

 だが、外に出ようとして扉に向かうが

 俺より先に扉が開いてしまった!!

 そう言えば前回は二人の後に・・・

 

 

 プシュー!!

 

 

「よ、ようテンカワ。 じ、実は俺も夜食っての作ってみたんだ。

 自信がある訳じゃねえけど・・・も、もしよかったら食ってくんねえか。」

 

(ぜ、前門の虎、後門の狼・・・

 ・・・逃げ場はないのか。)

 

 俺はこの最悪の現状に気が遠くなってきた。

 ・・・現実逃避か。

 

 だが!! 俺の前に再び天使が舞い下りた!!

 

「アキトさん、皆さん揃って何をやってるんです?」

 

(シンジくん!! 君は間違いなく救いの天使だ!!)

 

 俺はシンジくんにこの状況を何とかしてくれと目で訴えた。

 だが・・・

 

「あのねシンジくん、昨日は失敗しちゃったから

 今度こそと思ってまたお夜食作ってきたの。」

 

「そうですよ。 せっかく作ってきたんですから

 食べて下さいよ、アキトさん。」

 

「そうなんですか・・・」

 

(そうなんだシンジくん。

 だから頼む、この二人を何とか説得してくれ!!)

 

 俺はシンジくんがこの状況を何とかしてくれるのを祈る。

 

「でも、夜食なんですから三皿は多いと思いますよ。」

 

 へ?

 

「ですから、アキトさんには三人の料理の中から一つだけ選んでもらったらどうですか。

 ただし料理がもったいないから残った人の料理は自分で食べること。

 アキトさんが選ぶんだから文句は言いっこなしですよ。」

 

(シ、シンジくん!! どういう事なんだ!?

 俺を助けてはくれないのか!?)

 

 確かに三人分食わずにすみそうだけど、

 俺にその選択が出来るのか!?

 

「それもそうだね。 

 アキト、ユリカのを食べてくれるよね。」

 

「アキトさん、私のを食べてくれますよね。」

 

「テ、テンカワ、食べてくれるよな・・・」

 

 どれを選べって言うんだ!!

 

「アキトさん、夜食に丁度良いものを選べばいいんですよ。」

 

 そんな事言ったてな〜、シンジくん・・・

 

 ユリカの料理なんか・・・

 

 ドログロい紫色でときどきビクンッと動いてるじゃないか!!

 

 生け作りなのか!! それとも生き物造りなのか!!

 だいたい地球上の生物なのか!?

 

 

 

 メグミちゃんの料理は多分スープとして作ったのだと思うけど・・・

 

 なんでボコボコ泡立ってるんだ!? 熱いのか!? それとも化学反応起こしてるのか!?

 

 その上、灰色でそのはみ出してるみたいなのは何なんだ!?

 七本指の足なんて見た事ないぞ!?

 

 

 

 リョーコちゃんの料理は・・・・・・

 ・・・あれ?

 ぼろぼろに散らばったご飯粒と海苔がついたご飯の固まりが皿に乗っている。

 もしかしたらこれっておにぎりか?

 いや、不格好だが十分見えるな。

 隅にたくあんも添えられてるし

 見た目だけならリョーコちゃんのがましだ。

 

 

 

 俺はおにぎりを一個手に取って口に入れた。

 

「むっ!! 形は不格好だし握り具合もいまいちだが

 ご飯の柔らかさと塩の加減も良い感じだ。」

 

「「そんな〜!!!」」

 

「じゃあリョーコさんの勝ちって事で。

 艦長にメグミさん、食べ物は粗末にしないでくださいね。」

 

「「つ、次は負けないんだから(ませんから)〜」」

 

 そう言って二人は走っていってしまった。

 すまない、二人とも

 俺はまだ死にたくないんだ!!

 

「これでもう艦長達の料理を食べなくて済むと思いますよ。」

 

「それはどういうことだい、シンジくん。」

 

「多分すぐわかる筈ですよ。

 それじゃあ僕はもう行きますから。」

 

 そう言い残してシンジくんも言ってしまった。

 

「?」

 

「テンカワ、残りも食べてくれねえか。」

 

「あ、そうだったね。 ありがたくもらっておくよ。」

 

 このおかげでユリカ達の料理を食べずに済んだんだ。

 ほんとにありがたいよ。

 

 俺が残りのおにぎりを食べはじめようとした時・・・

 

 

「「ぎゃああああぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

「お、おい、この悲鳴・・・

 艦長とメグミのじゃねえか?・・・」

 

「そ、そうみたいだな・・・」

 

 自分の料理食って悲鳴を上げたのか?

 自分で作った物を食って悲鳴を上げるんだ。

 もうあんな酷い物は作らんだろう。

 シンジくんの言ってた事はこういうことか。

 

 

「ところでリョーコちゃん

 このご飯の炊き方と塩加減は何処で覚えたんだい?

 少なくとも多少経験のある作り方だが。」

 

「ただ俺の好みに合わせて作っただけだよ。

 握るのは全然だめだけどな。

 本当は別の料理にしようと思ったけど上手くいかなくてな

 それでシンジに聞いたらこれにしろって言われたんだ。

 夜食にもよかったし俺も好物だからな。

 炊き方や塩加減はその時シンジにアドバイスしてもらった。」

 

(ありがとうシンジくん!!

 ほんとに何から何まですまない。)

 

 俺は心の中で涙が出るほどシンジくんに感謝していた。

 

 

 

 

 

 

「クッ、テンカワめ

 シンジの助力で助かりやがったか。」

 

「ある者の幸福は、ある者にとっては不幸。

 ・・・人の不幸は蜜の味。

 今回は君が蜜を啜ったようだが

 次は僕らが蜜を啜らせてもらうよ。」

 

「ユリカの料理を選ばないなんて・・・

 気持ちはすごく分かるがゆるせない。

 絶対君を不幸にしてみせる!!」

 

 

 

 

 

 

「・・・まだ、私に逆らう気ですかあなた達は?

 まあそれは後回しにしておきましょう。

 それでこれはどういうことなんです?」

 

「どういうことって何のことかな? ルリちゃん。」

 

「とぼけないで下さい、リョーコさんのことです。

 なぜアキトさんに好印象を与えるような手助けをしたんです?

 場合によってはただじゃ済みませんよ。」

 

「アキトさんの為だよ。

 艦長達の料理を何度も食べさせる訳にはいかないでしょ。

 リョーコさんの料理ならまだ救いようがあったからね。」

 

「・・・まあいいでしょう。

 アキトさんの為となればしかたありません。

 ただし今後、手を貸すのは許しませんからね。」

 

「わかってるよ。

 アキトさんの性情に付き合うつもりは全然ないから。」

 

「・・・そうですか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃・・・

 

「誰か〜〜〜〜〜!!

 私を助けなさいよ〜〜〜〜!!」

 

「うふふふ・・・貴方は私と死んでくれるの?」

 

「へ? 貴方誰よ!!」

 

「もう直ぐこの辺りは満ち潮で海の底・・・一緒に溺れましょうね?」

 

「何なのよ!! この子は〜〜〜!!!

 誰か助けて〜〜〜〜〜〜!!!!」

 

 ムネタケの悲鳴は砂浜に虚しく響いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

第十一話 へ続く

 

 


 あとがき

 

 2003年最後の投稿です。

 やっとシンジくん用の敵キャラを出すことが出来ました。

 ついでにゼーレとクリムゾンを一つにしちゃいました。

 ゼーレの現状ですがここ三百年で結構衰退してしまい支配力もだいたい世界の1、2割と言ったところです。

 そうでなきゃクリムゾンとネルガルが並べませんからね。

 二十一世紀始めが絶頂期である裏の事件を期に財力を大幅に失い、それに比例して支配力も失った。

 まあ、ありきたりな設定ですね。

 本編にその内容が出てくるのはまだ先になると思います。

 

 前話の感想にBenさんがサードのことをチルドレンと勘違いしてましたけど実際はこういう敵です。

 もしかしたら敵のエヴァ位は出すかもしれませんけど、チルドレンは作るつもりはありません。

 エンジェルがその役割を果たせると思いますし、専用の機体(鎧)がありますから。

 

 それと今回はリョーコを勝者にしましたが別にアキト×リョーコにする予定ではありません。

 ユリカとメグミの(自称)料理があまりにも悲惨なので、打開策としてリョーコを勝たせました。

 今後二人の(自称)料理が出てくる事は多分ありません。

 

 アキトと使徒が戦う事になった場合、

 サキエルクラスならバーストモード時のエステとD・F・Sでアキトが勝ちます。

 今回はタイミングが悪かったので倒せませんでしたが・・・

 肉弾戦では現段階では倒せません、ATフィールドを敗れませんから。

 

 あとがきが長くなりましたけど次回からはエンジェル及び使徒が続いて出てくる予定です。

 それと前のあとがきに書いたキャラの考えてほしいキャラの容姿もまだ有効です。

 今のところまだ誰も送ってきてもらってないので誰か送ってきてください。

 

 それではよいお年を。

 少し早めに新年明けましておめでとうございます。

 

 

 

管理人の感想

SIMUさんからの投稿です。

おお、まさか使徒を出してくるとは思ってもいませんでしたねぇ。

しかし、さすがATF・・・DFSを防ぎますか(笑)

 

 

そうなると、ポジトロンライフルより弱いのか、DFSは・・・(苦笑)