< 時の流れに福音を伝えし者 >

 

 

 

 

 

 

 

 

「さ〜て!!

 艦長!! ミナトさん!! メグミちゃん!! ついでにジュン!!

 コレを着てもらおうか!!」

 

 そう言ってウリバタケさんが持って来たモノは・・・過去と同じ物でした。

 ・・・私もやっぱりコレを着るんですか? ウリバタケさん?

 

「お〜〜っと!! ルリルリはコレだ!!」

 

 はあ・・・やっぱり私はコレですか。

 ・・・ま、別にいいですけどね。

 

 

 

 

 

 

 ビシッ!!

 

 

「あら。」

 

 何とも言えない顔のエリナさん。

 

「艦長!! テンカワ達の様子は・・・新手のコスプレかね?」

 

 ゴートさんが冗談なのか本気なのか解らない表情で、そう言います。

 

「セイヤさんがコレを着た方が〜」

 

「作戦司令部みたいな気分でるからって〜」 

 

「コ、コレクションから持って来たそうです・・・」

 

「ビシッ!!」

 

 

 ビシッ!!(ブリッジ全員)

 

 

 上から、メグミさん、ミナトさん、ジュンさん、ユリカさん・・・で、全員敬礼で締めです。

 ・・・でも、どうして皆さん軍服のサイズがピッタリなんでしょう?

 ウリバタケさんも謎な人です。

 

 私はまた鎧を着てます・・・実は重いです、この鎧。

 

 

 

「まあ♪」

 

 何故そこで嬉しい悲鳴が出るんですか? エリナさん?

 実は軍事オタク?

 

「・・・こちらの作業は始まってる。

 ドクターが観測衛星から送られて来るデータを分析中だ。」

 

 ・・・ゴートさん、かなりナデシコのクルーに耐性が出来ましたね。

 動揺すらしないとは。

 それとも、諦めているのかもしれませんね・・・

 

 プロスさんは頭を抱えてますけど・・・まだまだですね、プロスさん。

 

「使徒の生命反応の停止も確認されて倒された事がわかった。

 イカリもじき帰還するだろうし、

 ナナフシの方もいずれ新たな情報が得られるだろう。」

 

 

「ビシッ!!」

 

 

 ビシッ!!(ブリッジ全員)

 

 

 

 

「ほーんと、馬鹿ばっか。」

 

「もしかして・・・嫌?」

 

「いえ、十分楽しんでます、私。」

 

「そ、そうなの・・・ルリちゃんはまともだと思ってたのに(ボソッ)

 

 ジュンさんにそんな事を言われるのは心外です。

 

 

 

 ビー!! ビー!! ビー!!

 

 

 

「何事ですか!?」

 

 ユリカさん、喋り方まで代わってます。

 

「戦車隊がナデシコに進撃を開始しました。

 増援によって何時の間にか数が五万体まで増えています。」

 

 

「五万も〜〜〜〜〜!!!!」

 

 

「ざ、残存のエステバリス隊は直ちに発進して下さい!!

 ビシッ!!」

 

 こんな状況でも乗ってますね。

 すぐにヒカルさん、イズミさん、アカツキさんが発進しましたがこの数です。

 焼け石に水にしかならないでしょう。

 

「艦長どうする気です。

 五万体の戦車に対し、エステバリスはたったの三機です。

 旧時代の兵器と言えどとても相手に出きる量ではない。」

 

 ゴートさんが言います。

 まあ戦力が一万分の一以下ですからね。

 

『その通りよ。 それどころかあの数に一気に攻められたら質量だけで

 ナデシコのディストーション・フィールドを破られかねないわ。』

 

 次にイネスさんが回線で現れユリカさんに言います。

 

「それでも少しは時間稼ぎになります。」

 

『言っておくけどアキトくんがナナフシを破壊するのにはまだ時間が掛かり過ぎるわ。

 それまで時間稼ぎを続けるのは不可能よ。』

 

「ルリちゃん、シンジくんに通信を開いて下さい。

 急いで戻ってくるように伝えて。」

 

 なるほど、シンジさんですか。

 シンジさんなら戦車の五万体くらいどうにか出来ますね。

 

「確かにイカリならこの状況を何とか出来るかも知れん。

 だが、使徒との戦闘で機体が故障していたらどうするのです?」

 

「その時はその時です。

 今は早くシンジくんに戻ってきてもらう事が先決です。」

 

「わかりました。」

 

 私はシンジさんのコミュニケに向かって通信をいれます。

 この後、アキトさんとリョーコさんの監視をしなければいけなかったのですがそれどころじゃありませんね。

 まあ後でリョーコさんにかまかければ何があったのかわかりますね。

 リョーコさん、わかりやすいですから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 僕はイアナちゃんと話を続けていた。

 今のゼーレの事についても聞いてみたのだが、あまりいい情報は得られなかった。

 自分のいた場所すらわからないらしい。

 何でも自分のいた場所から何度も乗り物を変えて半日ほど移動し

 その間はほとんど周りの景色すら見せてもらえなかったそうだ。

 ラミエルに乗ったのもここから数10kmの地点からで

 帰りも迎えが来るはずだったらしい。

 

 かなり警戒しているな、ゼーレは。

 イアナちゃんがほとんど囚人か誘拐された人じゃないか。

 

 他のエンジェルの事も聞いた。

 会った事があるのはたった二人でトゥエルブ(十二番目)とフォーティーン(十四番目)らしい。

 トゥエルブは第十二使徒レリエルの化身でナヤと言う十歳前後の女の子らしい。

 この子に戦闘能力はないらしくディラックの海を使い移動出来る程度で

 イアナちゃんも任務の時に送り迎えしてもらった事があるらしい。

 彼女は性格も幼く、自分と同じエンジェル達と一緒にいたいからゼーレの元にいるだけらしい。

 

 シクスティーンは第十四使徒ゼルエルの化身で、容姿は十八歳前後の長身の女性らしい。

 会ったのはほとんど偶然で容姿と大剣を持っていたことしかわからなかった。

 彼女がゼーレに従っている理由もわからない。

 

 わかったのはこの二つだけだ。

 イアナちゃんにはやっぱりほとんど情報を与えなかったみたいだ。

 

 

 ピッ!!

 

 

 その時、コミュニケに通信が入った。

 

『シンジさん。』

 

「あ、ルリちゃんどうしたの?」

 

『今、ナデシコが戦車に襲撃されてるです。

 今すぐ戻ってきてください。』

 

「うん、わかった。

 でも戦車なんてよくこの時代にあったね。」

 

『この辺りは昔の軍事施設だった大量に残っていたそうですよ。

 さっきまではもうちょっと少なかったんですが、

 残存のエステバリスの数ではどうしても対応しきれなくて。』

 

「アキトさんはどうしたの?」

 

 アキトさんなら戦車がいくら集まっても何の障害にもならないと思うんだけど。

 

『アキトさんは今、ナナフシの破壊に向かっていてナデシコにはいません。

 今いるパイロットはアカツキさんとヒカルさんとイズミさんだけです。』

 

「じゃあアキトさんはリョーコさんと一緒にナナフシに向かっているの?

 ルリちゃん、よく許したね。」

 

『ええ、まんまと出し抜かれましたよ・・・』

 

「あはは・・・」

 

 い、言うんじゃなかった・・・

 

「そ、それでどれくらいの戦車の数なの?」

 

 僕は少しでもルリちゃんの険悪な雰囲気を晴らそうと別の質問をする。

 

『約五万体です。』

 

「五、五万!! ちょっと多すぎない!?

 僕にそれだけの相手しろって言うの?」

 

『これだけの相手アキトさんとシンジさんにしか出来ませんよ。

 とにかく急いで戻ってきてください。』

 

 

 ピッ!!

 

 

 そういい終わるとルリちゃんは一方的に通信を切った。

 

「まあ、アキトさんがいないんじゃそんな数を相手に出来ないか。

 イアナちゃん、そういう事だから急がなくちゃいけないんだ。

 後の話はナデシコの戻ってからにしよう。」

 

「わかりました。」

 

 イアナちゃんがそう答えたら僕達はエヴァの元へ向かう。

 

「もともと一人乗りだから、ちょっと狭いけど我慢してね。」

 

 そう言ってイアナちゃんのコクピットの奥の方に詰めてもらう。

 

「大丈夫です、かまいません。」

 

 その答えを聞いて僕はコクピットの扉を閉める。

 そして、エヴァを起動し翼を広げる。

 

「それじゃあ、行くよ。」

 

「はい。」

 

 そしてエヴァは翼をはばたかせ空へ跳んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 シンジさんに通信してから数分後、アカツキさん達は何とか持ちこたえていますが

 戦車の数があまりに多く、じわりじわりとナデシコに近づいてきています。

 

 

    ドガァァァン!!

 

                            ババババババ!!

 

                ズゴォォォンン!!

 

 

『くっ、きりがないね。』

 

『この数じゃ弾もすぐに尽きてしまうわ。』

 

『え〜ん、シンジくん早く戻ってきて〜!!』

 

 皆さんもそろそろ限界ですね。

 シンジさん、まだでしょうか?

 

 ピッ!!

 

『ルリ』

 

「オモイカネ、どうしたの?

 シンジさんが来たんですか?」

 

『違う』

 

「では、何があったんです?」

 

『エステバリスが一機、発進しようとしてるよ。』

 

 オモイカネがそう答えた直後・・・

 

 ピッ!!

 

 

『ハッハッハッハッハッ!!! 

 ナデシコの危機に、名誉の負傷を追いつつも!!!

 このヒーロー!!! 

 ダイゴウジガイ様ただいま参上!!!!』

 

 

 ・・・・・・

 いきなりの大声で耳が痛いです。

 そういえばまたヤマダさんのことを忘れてましたね。

 

「おや、ヤマダさん。

 あなたは確か入院していたのでは?」

 

 

『ナデシコがピンチだと言うのに

 おちおち寝ていられるか!!!

 それと俺の名前はダイゴウジガイだ!!!

 医療室の主と言う二つ名を持つ男!!!

 それがこの俺様!!! ダイゴウジガイだ!!!!』

 

 

 何でも二つ名が付けばかっこいいと言う訳ではないと思うんですが・・・

 

「そう言えばそんな噂を前に聞いたような。」(メグミ)

 

「へ〜、この人がそうだったんだ。」(ミナト)

 

「私もその噂なら知ってるよ。

 ナデシコ七不思議の一つだって。」(ユリカ)

 

 そこまで噂が発展してましたか。

 ところでヤマダさんも戦闘に出るみたいですね。

 まあ今は一機でも多く仲間がほしい状況ですからね。

 

「とにかく戦闘に出れるのですね。

 艦長、発進許可をお願いします。」

 

「分かりました、発進を許可します。

 ヤマダさん、出撃して下さい。」

 

 

『おう!!! 

 それから俺はダイゴウジガイだァァァ!!!!』

 

 

 そう叫びつつヤマダさんのエステバリスが発進しました。

 もう少し静かに話せないんでしょうか?

 

 そしてヤマダさんが戦車が密集しているところに突っ込みます。

 そこで・・・

 

 

『いくぜぇ!!! 

 バーストモード・スタァァトゥ!!!!』

 

 

「え!?」(ブリッチ+パイロット全員)

 

 

 ブィィィィィイインンン!!!!

 

 

 そう宣言してバーストモードに入ってしまいました。

 ヤマダさんのエステバリスのディストーション・フィールドが真紅に変わります。

 

 

 ピッ!!

 

 

『くぉら、ヤマダ!! お前何考えてんだ!!

 バーストモードは三分間しか持たねえんだぞ!!』

 

『ワハハハハ!! こりゃいいぜ!!

 どんどんいくぞ!!』

 

『人の話し聞け〜!!!』

 

 ウリバタケさんがヤマダさんに文句を言いますが全然聞いていませんね。

 もしかしてバーストモードしたいから出てきたんでしょうか?

 ヤマダさんの性格ならありえますね。

 その直後・・・

 

 

 ピッ!!

 

 

『こちらイカリシンジ、ナデシコ聞こえますか?』

 

 

「シンジくん!!」(ブリッチ全員)

 

 

「シンジさん今何処にいるんです?」

 

『ナデシコ上空四千mって辺りだと思うよ。』

 

「どうしてそんなところにいるんです?」

 

『戦車をまとめて倒すなら一度に広範囲に攻撃出来る方法がいいと思ってね。

 艦長、エステバリスをディストーション・フィールド内に戻してくれませんか?

 このままじゃ僕の攻撃に巻き込まれちゃうんで。』

 

「何を言っている、

 そんな事をすればナデシコが無防備に・・・」

 

 ゴートさんが反論を言いますが・・・

 

「分かりました、メグちゃん。

 アカツキさん達に戻るように言って。」

 

「はい。」

 

「艦長!!」

 

 ゴートさんが叫びます。

 

「大丈夫ですよ、シンジくんもアキトと同じことが出来るんだったら

 戦車なんか一気に吹っ飛ばしてくれますよ。」

 

「でもユリカ、そんな事したらナデシコまで巻き込まれちゃうんじゃ。」

 

「あ・・・」

 

 今度はジュンさんが反論を言います。

 

『それだけじゃすまないわ。』

 

 そこへタイミングよくイネスさんが現れます。

 

『ナナフシもアキトくんの攻撃も宇宙に向って飛んで行ったから自然消滅したけど

 地上に向かって撃った場合、直撃後その場で重力波を解放。

 重度の放射線と熱量で辺り一帯が死の大地になるわ。

 直撃でなくともその余波だけで今のナデシコのフィールドは持たないわよ。』

 

『アキトさん、咆竜斬を使ったのルリちゃん?』

 

「ええ、シンジさんも使徒を倒すのに使ったんでしょう。

 観測衛星からマイクロ・ブラックホールの反応が確認されましたから。

 アキトさんのを間近で見た時ほどではありませんが皆さんびっくりしてましたよ。」

 

『そっか、でも大丈夫ですよ。

 使うのは別の技ですし、ナデシコに被害がないようにしますから。』

 

「そうですか・・・分かりました。

 エステバリスが帰還し次第、戦車の殲滅をお願いします。」

 

『了解。』

 

「ところでシンジさん。」

 

『なに、ルリちゃん?』

 

「さっきから気になってたんですが

 何で音声だけで映像は出さないんですか?」

 

『あえて言うなら、以前アキトさんの失敗は僕にとっていい注意事項になったって事かな?』

 

 ??? どういう意味でしょう?

 

「アカツキ機、アマノ機、マキ機、ディストーション・フィールド内に戻りました。」

 

「ありがとう、メグちゃん。

 シンジくん、後はお任せします。」

 

『はい。 あ、それとプロスさんいますか?』

 

「おりますが何か?」

 

『後で用事があるので、僕がナデシコに戻った時に格納庫に来てくれませんか?』

 

「?・・・わかりました。」

 

 

 ピッ!!

 

 

 そう言ってシンジさんは通信を切りました。

 それにしてもプロスさんに何の用なんでしょう?

 さっきの言葉の意味も気になります。

 

 その時、ナデシコの周りに異変が起きました。

 これはシンジさんの・・・

 

「艦長、ナデシコ周囲にシンジさんのATフィールドが発生しました。

 ドーム状に発生してナデシコを包んでいます。

 そのうえATフィールドが強力すぎてフィールド外部の状況が分からなくなっています。」

 

「シンジくん、何をする気なんだ?」(ジュン)

 

「おそらくイカリさんはナデシコを守るためにこのフィールドを作ったんでしょうな。」(プロス)

 

「だがこれでは外の状況が分からんぞ」(ゴート)

 

「シンちゃんが何をするのか見たかったな〜」(ミナト)

 

「ねえ、ルリちゃんはシンジくんが何をするのか知ってる?」(メグミ)

 

「大体の予想は付いてます。

 ただ言える事は、ナデシコの周りのATフィールドが消えた時

 周辺がすごい事になっているという事だけです。」

 

 これだけの広範囲を攻撃するなら、たぶんあの技でしょうね。

 それでナデシコを守る為にATフィールドを張ったんでしょう。

 あの技の攻撃軌道はランダムですからね。

 

 皆さんはなにが起こるのか気にしているみたいですが

 私はやっぱりさっきのシンジさんの言葉が気になります。

 

 そのことを気にしていた為に一つだけ忘れてしまっていたことがありました。

 それに気づいた時には、もう終わった後でした。

 

 

 

 

 

 

 僕は通信を切って攻撃の準備をする。

 

「あの、シンジさん。

 一体どんなことをするんです?」

 

 僕の後ろにいるイアナちゃんが言った。

 さっきの通信で映像を出さなかったのもイアナちゃんがいたからだ。

 アキトさんも火星でイネスさんをナデシコにつれてきた時

 狭いコクピットにメグミさんも乗ってすごい状態だったからひどい皆に酷い目にあったもんね。

 

 こっちの映像を出していたらアキトさんと同じ結果にはならないだろうけど

 何らかの誤解を受けるかもしれないので、一応映像を送らなかったのだ。

 

 プロスさんを呼んでおいたのは、ナデシコの人事は全てプロスさんが行なっているからだ。

 プロスさんが許可してくれれば、イアナちゃんも問題無くナデシコに乗せてもらえる筈だ。

 

 

「ラミエルの力を使うのさ。

 でもただ加粒子砲を撃つんじゃなくて、僕がアレンジした発展技なんだけどね。

 でも強力すぎるからナデシコを守りを強くしなくちゃいけない。

 だからこうする、アビリティ『タブリス』

 

 ナデシコの周りにドーム状のATフィールドが展開される。

 タブリスの力を使ったATフィールドはかなり特別だ。

 球状に展開されるフィールドはその内部と外部を完全に遮断し、

 誰も踏み入る事の出来ない究極の結界となる。

 カヲルくんはこれを使いネルフの発令所からターミナルドグマの情報を完全に遮断した。

 ATフィールドは心の壁、カヲルくんはそう言った。

 ならばタブリスが作る球状のATフィールドは、

 作った者の心の領域、作った者自身の世界と言っても間違いではない。

 これを破るには普通のATフィールドの中和は効かず

 あるとすればアンチ・ATフィールドくらいだろう。

 

 

「次に出力を上げる。

 今のままじゃエネルギーが足りない。」

 

 

 S2ドライブの出力を上げる。

 エヴァの翼が二枚からいっきに三対六枚に増える。

 そしてエヴァの両腕を下に向け言う。

 

「アビリティ『ラミエル』」

 

 突き出した腕の先にラミエルをかたどった全長三m位のプリズム状のAT物質を一つ生み出す。

 

「まだまだ!!」

 

 一つ目のAT物質が横に移動し二つ目の小型ラミエルを生み出す。

 それをどんどん繰り返し小型ラミエルが八体出来上がった。

 小型ラミエル達は突き出した腕の周りを等間隔で円を書くように周る。

 

「ラミエル、発射準備!!」

 

 エヴァのS2ドライブから小型ラミエルにエネルギーを送る。

 そして小型ラミエルの枠の溝の加速器が動き光り出す。

 それと同時にラミエル達が円を描きながらエヴァから十五m程の距離をとる。

 

 

「我流砲技!!! 第二門!!!

     オロチの雷(いかずち)!!!!」

 

 

 ドゴゴゴゴゴゴゴォォォォォォォォォンンンン!!!!!!

 

 

 八本の加粒子砲が同時に発射され地上へ向かう。

 その途中、それぞれの加粒子砲がお互いに干渉し合い

 軌道が歪みヘビのようにうねり、まるで生きているかのようにナデシコ周辺に降り注いだ。

 

 

 ドギュルルゥゥゥゥゥゥンンンン!!!!

 

 

                     ズザザザァァァァァンンン!!!!

 

 

          ドゴゴゴォォォォォォンンンン!!!!

 

 

「・・・すごい。」

 

 イアナちゃんが驚愕の声を上げる。

 

 加粒子砲達はナデシコ周辺を暴れまわり、

 戦車はもちろん木々や岩をも飲み込んで焼き払う。

 ナデシコにも向かう物もあるがタブリスの結界により加粒子砲は弾かれる。

 

 そして加粒子砲が止んだ時には、動ける戦車が百も残っておらず

 ナデシコ周辺はクレーターと焼け野原となっていた。

 

 僕はS2ドライブの出力を落としもとの状態に戻す。

 エヴァの翼も三対から一対に戻った。

 八体の小型ラミエルを消して、ナデシコを守るタブリスのATフィールドも消した。

 

「それじゃ降りるよ。」

 

「え、あ、はい!!」

 

 イアナちゃんはさっきの光景で今まで惚けていたみたいだ。

 僕はイアナちゃんにそう言ってナデシコに向かって降下し始める。

 その途中・・・

 

「あの、シンジさん・・・」

 

「ん、何?」

 

「あれってもしかして味方じゃないんですか?」

 

 イアナちゃんはナデシコよりちょっと離れた位置を指差して言う。

 

「え? でもエステバリスは全機ナデシコに戻ったって・・・」

 

 僕はイアナちゃんが示した方を見て黙り込んだ。

 そこには戦車の残骸の上にはいい感じに焦げた青いエステバリスが転がっていた。

 

 

 

 

 

 

 ナデシコの周りにATフィールドが張られてから約二分経ちました。

 その間、外のことはまったく分からず皆さん少しそわそわしていました。

 そんな時ATフィールドが上の方から消え始めました。

 

「ナデシコを包むATフィールド、上方より消失し始めました。

 外部の映像出ます。」

 

 

「な!!!!!」(ブリッチ+パイロット全員)

 

 

 外の光景を見た時、皆さん驚愕の声を上げます。

 なにせナデシコの周囲一kmは完全にクレーターと言ってもいいほどのありさま。

 更にその外側も木々は倒れ戦車は残骸か溶けて鉄の固まりと化しています。

 

「ほへ〜、すご〜い。」

 

「これは凄まじいですな。」

 

「これじゃまるでクレーターじゃないか。」

 

「残存している戦車も百体以下になっています。」

 

「見れなかったのがちょっと残念。」

 

『ハハハハハ、シンジくんもテンカワくんに負けない非常識だね。』

 

『残り百体程度なら私達で何とか出来るわね。』

 

『「さっすがシンジくん(シンちゃん)!!」』

 

 近頃ミナトさんとヒカルさん、シンジさんと仲がいいですね。

 シンジさんが二人目のアキトさんになることはないと思いますが・・・

 

 

 ピッ!!

 

 

『ルリちゃん。』

 

「あ、シンジさんお疲れ様です。

 外の光景を見て皆さんびっくりしてましたよ。」

 

『それよりルリちゃん。

 エステバリスは全機、ディストーション・フィールド内に戻ったんだよね。』

 

「はい、そうですが。」

 

『じゃあ、空からガイさんの機体らしきものが

 戦車の残骸の上に転がって見えるのは気のせいなのかな?」

 

 

「あっ・・・・・・」(全員)

 

 

 すっかり忘れてました。

 そういえば出てたんでしたね。

 

『みんな忘れてたんですか。』

 

「そうみたいです。」

 

『一応ガイさんに通信を開いてみてくれる。』

 

「はい、オモイカネお願い。」

 

『OK』

 

 

 ピッ!!

 

 

「ヤマダさん、生きてますか〜?」

 

『お、俺に名は・・・ダイゴウジ・・・ガイ・・・ガクッ』

 

 

 ブチッ!!

 

 

「・・・何とか生きてましたね。」

 

『よく僕の攻撃に耐えられたね。』

 

「多分最初からバーストモードになってたおかげで攻撃に耐えられたんでしょうね。

 ほんと運にいい人です。」

 

『一応ガイさんを回収して帰還するよ。』

 

「はい。」

 

『プロスさん、格納庫の方で。』

 

「おお、そうでしたな。

 それでは待っておりますので。」

 

 

 

 

 

 

 その後、僕はガイさんを回収してナデシコへと帰還した。

 エヴァからイアナちゃんと一緒に降りてきた時にセイヤさんが何か騒いでいたが

 それを無視して格納庫で待っていたプロスさんにイアナちゃんを紹介して

 ナデシコで乗船さしてもらえるように頼んだ。

 

 プロスさんは条件付きでイアナちゃんの乗船を許可してくれた。

 条件はナデシコ内で何かの職につく事。

 『働かざるもの、食うべからず』と言ったところらしい。

 

 それでイアナちゃんは食堂でウェイトレスをする事になった。

 それなら簡単だしイアナちゃんにも出来るしね。

 

 ナデシコクルーに紹介されるのは作戦終了後になると思うけど

 イアナちゃんは無事にナデシコに乗船出来た。

 ナデシコを攻撃したという負い目があるけど皆、イアナちゃんを受け入れてくれると思う。

(特に、プロスさんとの会話を聞いてイアナちゃんに泣いて同情していたセイヤさん+整備班の人達辺りが)

 

 

 更にその後、アキトさんがナナフシを破壊に成功。

 その様子が送られてくる映像を見ていた人達は

 今日一日に何度も驚き過ぎて、半分呆れてしまう人すらいた。

 

 しかしアキトさんの機体の損傷が激しい上、エネルギーが切れてしまったため迎えが必要になった。

 僕が行こうとしたところヒカルさんが・・・

 

「シンジくんはたくさん働いたんだから休んでて。」

 

 と言われ、僕は行く事はなかった。

 

 ただ、リョーコさんがヒカルさんとイズミさんのいろいろ聞かれ困っていたり、

 アカツキさんとセイヤさんがボロ雑巾の様になっていたりなど、

 僕の知らないところで別の事件も起こっていたみたいだ。

 

 イアナちゃんの紹介はちょっと遅くなりそう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第十一話 アフターに続く

 

 


 あとがき

 

 どうも、やっとシンジ用のヒロインを登場させる事が出来ました。

 他のエンジェル達の布石も出せましたし、必殺技も出す事が出来ました。

 次回は原作から外れて少し外伝ぽい話になります。

 

 やっとシンジ派のヒロインが出来たんだからこんな計画をやってみようかな。

 今回の事で分かったシンジの心の傷が癒えていないと言う事から、

 シンジの心を救ってあげようという計画、名づけて『シンジ君真・補完計画』。

 とにかくシンジの心を癒せそうなヒロインをどんどん増やしていくというものです。

 どちらかと言うとシンジをアキトと同じように女性にモテモテになるシンジ君のアキト化計画、

 『シンジ君真・補完計画』別名、『シンジ君A・T(テンカワ アキト)化計画』とも言えます。

 

 まあ、これからシンジのヒロインが増えていくと言う事です。

 ナデシコに某同盟と某組織に続いてシンジを中心とした第三の勢力を作る予定もあります。

 もしヒロインキャラが思いついたらメールを送ってください。

 まだオリキャラの募集はやっていますのではメール待ってます。

 次回の話もよろしくお願いします。

 

 

 

 

代理人の感想

おー、ナナフシの代りにラミエルに落とされるというのは良かったですね、クロスオーバーっぽくてw

 

ただ、やっぱり助詞(て、に、を、は、ので、して、が、より・・・等々)の使い方がなってません。

というか、日本語として間違いまくっています。

要精進。