< それいけ!テンカワアキト >
あの、忌々しい戦争が和平という奇跡の幕を閉じ。
激戦を戦い抜いたナデシコの面々も、今は平和な世界へと溶け込もうとしていた。
しかし、その平和を享受できぬ不幸な男が一人・・・
これは、その男の愛と(自分自身の)平和への戦いの話である。
シュン!!
部屋の自動ドアが開き、一人の男が入ってくる。
そして、おもむろに目の前の椅子に座っている男性に、質問をする。
「それで何の用だ、アカツキ?」
「いや〜、実に久しぶりだね〜テンカワ君」
軽い口調をしているがこのアカツキと呼ばれた男はネルガル重工の会長である。
目の前に置かれている机も、一目見ただけで高級品だと解る気品を放つ一品だった。
「昨日は・・・何をしてたんだい?」
「・・・海岸で、サラちゃんとアリサちゃんの追撃を逃れてた」
「で、一昨日はどうしてたんだい?」
「・・・零夜ちゃんと遊園地に行っていた」(正確には連れて行かれた)
「・・・何時の間に落したんだい?」
何処か人生に疲れた顔で、アカツキの質問にそう応えるテンカワ アキト。
そう、前の戦争における連合軍最強の戦士であり、希代の英雄。
現代の戦神、『漆黒の戦神』と呼ばれ敵味方に畏怖されていた人物こそ。
このアカツキの目の前で、疲れた表情で溜息を吐いている人物だったのだ!!
「君が誰かの書類に判子を押して、サインをすれば平穏無事な生活に戻れるんだよ?」
「・・・本当に、そう思うか?」
アカツキの台詞に、真顔で聞き返すアキト。
その返事を聞いて、アカツキは5秒ほど考え込む・・・。
「・・・まあ、他の娘達から逃亡する日々になるかな?」
と、軽くアキトに返事を返した。
勿論、彼女達が離婚書類を手に追いかけてくる事は明白である。
「意味が無いだろそれじゃあ!!」
こんな会話を幾度行ったのか?
アキトの顔に、疲れと諦めの表情が宿る・・・。
「テンカワ君、君はコックになる夢を捨て・・・。
御両親のあとを継いで、ボソンジャンプの研究をすると言ってたよね?」
「あ、ああ・・・」
「それが・・・毎日、毎日、何をしてるかと思えば。
彼女達の求婚から逃げるわ、お仕置きを受けているわ・・・。
研究が進んでいるとは、とうてい思えないね」
「・・・」
アカツキの台詞に、何も言い返せないアキトだった。
「そこで、ひとつ提案があるんだけど?
君の望みがすべて適えられる、凄い提案だよ」
「本当かよ?」
そして一時間後・・・。
会長室から一人の青年・・・いや、少年が姿を消したのだった。
第壱話 平穏な生活を・・・(ア:無理だろうなぁ)
俺はアカツキとの約束を思い出しながら町の中を歩いている。
『テンカワ君、君は研究をするにしても最終学歴は高校中退だろ?
しかもバイトをしていてほとんど学校では勉強出来なかったそうじゃないか。
この際もう一度勉強をやり直してきたほうが良いんじゃないかい?』
うむ、確かに俺自身もそう思う。
イネスさんの助手をやりながらでは、まともに勉強できない。
怪しい実験に付き合わされたり、怪しい部屋に連行されそうになるからな。
ある程度知識を高めてから、改めてイネスさんの手伝いをしながら、ボソンジャンプの解明に取り掛かろう。
・・・イネスさんが有能なのは、間違いは無いし。
性格の問題はこの際、忘れるとしよう。
ナデシコクルーだし・・・。
『だけどそれには少なからずとも問題がある。
君が何処に逃げようとも彼女たちからは逃れることは出来ない。
そうだろ・・・?』
う、それは反論できん。
返答に詰るとアカツキがビンに入った錠剤の薬を取り出した。
『そこで僕が某同盟にも秘密で作らせたあるこの薬がある。
この薬は人間のホルモンに作用してナノマシンが数年だけ体を若返らせてくれるという物だ
一回一錠で効果は二ヶ月ほど、個人差にもよるけど大体3年から4年若返ることが出来る。
副作用も多少眠くなるだけだ』
そうか、年齢が変わればいくら姿が似ていようとも彼女達は勘違いをしてしまう。
感謝の言葉も出ないよ・・・。
俺はお前のような良い親友を持てて幸せだよ。
・・・せめて拷問で昇天しないことをしない事を祈らせてもらう。
まあ無理だと思うけど。(爆)
『ただし!! これからが重要だ。
戦闘行為はもちろんの事、出来るだけ目立った行動は避けてもらい。
君の口座も凍結しておく。
オンライン端末でアクセスしたら、幾らなんでも言い訳の仕様が無いからね』
まあ、この平和な日本でそうそう戦闘行為があるとは思えないし。
お金は・・・アルバイトでもするか?
おお、何だかごく普通の一般人みたいだぞ!!
何て新鮮な感動なんだ!!
『ああ、まだ言う事があった。
高校のほうはこちらですでに手を打っている。
理事長とはちょっとした知り合いで『僕の友人を預かってほしい』と言ったら二つ返事で了解してくれた。
住む所はこちらで準備をしている、この紙に書いてあるアパートに行ってくれ。
お金は暫くは暮らせる程度の分を入れておいたから困る事は無いと思うよ、もちろん偽造だ』
そういうとアカツキは、書類や通帳の入ったバックを手渡した。
『で、一応偽名を考えておいたよ。
まあ当然の事だけど君の名前は余りにも有名すぎるからね。
・・・偽名は陣内 アキトだよ』
それを聞くと俺は薬を一錠取り出し飲み込んだ・・・。
暫くして俺は会長室のソファーで目を覚ました。
筋肉が多少落ちて背丈も低くなっている。
大体16歳前後というところか。
『おや? やっと目覚めたようだね。
それじゃあそろそろ行動を開始するよ。
・・・これから3時間、僕とウリバタケ君達の協力により、彼女達の行動を抑えてみせる。
君は、この紙に書いてある住所に行くんだ。
僕もその紙に書いてある住所は見ていないよ。
勿論、彼女達の質問に対する対処の為さ。
高校は此処から近いところだが彼女たちは君がすでに遠くに逃げてしまっていると勘違いするだろう。
そうすれば最低でも、数年は彼女達の干渉を止められるはずさ』
なるほど、灯台下暗しっていうやつか・・・。
『今着替える服もその中に入っている。
一応理事長に挨拶をしておいてくれ。
・・・それじゃあ作戦開始だ!』
「ここがアカツキが言っていた高校か・・・」
私立東綾瀬高校か、もう一度高校に通えるとは夢にも思っていなかったな。
・・・ところで理事長室はどこなんだ?
まあこの時間だと誰かに聞けば分かるだろう。
お、こっちに女の子達が来るから聞いてみるか。
「ちょっと道を聞きたいんだけど、いいかな?」
「なによ、あんたは?
この高校じゃ見かけない顔だけど・・・。
もしかして新手のナンパァ?」(キラァン)
「いや、ナンパじゃなくて・・・」
「・・・まどか、おでこが眩しいからあんまり喋んないでよ」
「ただの転校生であって・・・」
「何ですって、この痛快猫娘!」(キラァン)
「って言うか聞いてますか?」
「なによ、このでこカマキリ!」
「聞いてないですね、ハア・・・」
薄い茶髪のおでこの広い娘と緑色の瞳をしたボーイッシュな女の子がいきなり俺を無視して口喧嘩を始める。
しかも完全に無視されているらしい。
「まあまあ、二人とも。 抑えて抑えて・・・」
その子をポニーテールをした肌の茶色い女の子がなだめようとする。
鼻に絆創膏を付けているのが印象に残る。
・・・この娘も俺を見無視しているらしい。
「それで、何処に行きたいんでしょうか?」
黒く肩まで伸ばした髪とエメラルド色が印象の強い瞳をした娘が答えてくれる。
この娘達のマイペースに振り回されてるな、俺・・・。
「えっと、理事長室なんだけど」
そう言った瞬間、全員の表情が一瞬固まった。
口喧嘩をしていた娘たちもこちらを凝視している。
「ほ、本当に行くんですか?」
「悪いことは言わないわ・・・。
あそこだけは止めておいたほうが良いわよ」
「そうよ、悪いことは言わないから帰ったほうが良いわよ!」(キラァン)
「あそこは絶対に行かん方がいいと思うんやが・・・」
彼女たちは『行かないほうが良い』と、言うようであった。
・・・そんなに危険なところなのか?
やっぱり行くの止めたほうが良いかな・・・。
「でも用事があるんだったら仕方ないですよ。
場所は玄関から入って右に方に行って一番奥にあります」
「・・・ご愁傷様」
「ま、死なない程度に頑張んなさい」(キラァン)
「まあ気ィ付けてや」
彼女たちはそう言うと帰っていってしまった。
さて・・・、俺も理事長室に行かなければならない。
・・・彼女達の話を聞いた後で行きたくは無いんだが。
キィ・・・バタン
「失礼します」
部屋の中を見ると綺麗に整理されて中央には老人が座っていた。
さっきの娘達が言うほどの人じゃ無いみたいだ
「ああ、君がアカツキさんの言っていた陣内アキト君ですか?
私は此処の理事長をやっています金田 俊夫です。
まあそこの椅子に座ってください」
「あ、はい」
「いや〜、アカツキさんに言われたときは驚きましたよ、急に一人預かってくれと言われて。
アカツキさんには親の代から色々お世話になっているものですから断るにも断れず・・・。
貴方もいろいろ訳ありでしょうが、まあ気楽に学校生活を送って下さい。
それと貴方のクラスは1−3になります。
まあ来週の事なんですが覚えて置いてください
それで・・・・・」
一時間後・・・
「それから・・・・・」
さらに三時間後・・・
「いや〜、面目無いですが・・・・・」
計五時間後・・・
「で、あるからして・・・。
おや、もうこんな時間ですか?
それじゃあそろそろ校門も閉まりますし話も終わりましょうか
それじゃあ・・・」
―――いかん、一時間もしない内に意識がどこかに飛んでいたな・・・。
あの娘達はこれを言いたかったのか。
理事長もわざとやっている訳じゃないよな。
「・・・美子さん、昼飯はまだかね?」
「・・・・・は?」
な、何なんだ、いったい!?
「理事長、失礼します・・・。
あれ、貴方は?」
「俺は転校生の陣内 アキトですけど・・・。
何ですか、これは?」
「ああ、あなたが・・・。
私は貴方の担任になる柊 若菜よ、よろしくね。
それと、これは何時もの事だからあまり気にしないほうが良いわよ」
こ、こんな事がいつもあるのか?
それにしてもアカツキ、あんな理事長と良くまともに話が出来たな。
「・・・まあ、理事長は何とかするから貴方はもう帰って良いわよ」
「・・・美子さん、昼飯はまだかね?」
「・・・はい、そうさせてもらいます」
「・・・美子さん、昼飯はまだかね?」
「理事長、美子さんは一昨年に亡くなられてますよ。
それに昼御飯はお取りになられました」
「そ、それじゃあ失礼します」
・・・大丈夫だよな、この学校。
「おお、そうじゃったな。
・・・ところで美子さん、昼飯はまだかね?」
・・・前言撤回。
駄目だな、この学校。
さて、こんな事はもう忘れてアパートにでも行くか・・・。
それにしても今日は精神的にも疲れた・・・。
「この角を曲がって三つ目の左のアパートか」
アパートか、あの時はユリカとルリちゃんで暮らしていたっけ・・・。
まあ今となっては懐かしい話だが。
そんな事を考えている内にいつの間にか着いてしまった。
そこで俺は・・・自分の目とアカツキの常識を疑いたくなった。
「これ・・・、高級マンションじゃないか」
数え間違いか知れなかったのか、もう一度確かめてみるが間違いない。
・・・うむ、アカツキの常識が無いらしい。
まあ会長が戦艦に乗る時点でないとは思っていたが・・・。
そんな事を気にしても仕方が無いので自分の部屋に行く。
「・・・アカツキは常識が無いどころか非常識に富んでるな」
俺はそんな事を言いながら自分を納得させていた。
なんと自分の部屋にあった物が全てここに運んであるからだ。
それにしてもいつの間に運んだんだ、これだけの物・・・。
まあ考えてもしょうがない、明日は休みだしゆっくり寝るか・・・・・。
作者とキャラの懇談会
作:はあ、やっと書き上げた・・・。
ア:っていうかなんだ、あのキャラは・・・。
作:まあ題名を見ればあの女四人組は分かるでしょう。
と、言うより『でこ』やら『痛快猫娘』なんて出てるし。
(キラァン)は無視してください(笑)
理事長と教師は何かノリで出ちゃったんだよ。
ア:それより、連載のほうはどうなったんだ?
作:あ、あれ?
ちょっと難しい今ゆっくりと書いてるところ。
ア:そんな調子でいいのか?
作:しょうがないだろ、お前のツッコミ所が難しいんだから(笑)。
ア:だったら書くな!
それにあんな事まで言われちゃってるし・・・。
作:別にいいだろ、鋼の城氏に『今の所、アキトの役割は主に突っ込み役』か?
そのために書いたんだから。(爆)
ア:・・・それよりいいのか、連載終わってないのに?
作:・・・そんなこと気にしていたら人間生きていけないぞ?
ア:お前はもう少し気にしろ。
作:うっ、痛いところを・・・。
しょうがない、そこまで言うなら・・・。
ア:そこまで言うなら?
作:不貞寝してやる!!
ア:・・・俺もう帰るわ。
作:そう? それじゃまたね〜。
ア:もう来たくないよ、こんな所は・・・・・。
作:さて、それじゃあみんゴル3を・・・。(みんなのGOLF3の事)
ん、電話か。
もしもし?
?:どういうことですか、いきなり連載始めるなんて?
作:あ、これですか?
あまり気にしないでください、人の気まぐれですから。
?:そうですか・・・。
それじゃあル・・・じゃなかった、妖精さんグラビティーブラスト発射!!
作:ちょ、ちょっと待てい!!
ズドオオォォォォォン・・・
?:これで悪は滅びましたね。
妖:滅んだと思いますか、天真爛漫さん?
天:・・・それもそうですね。
それでは皆さん、次の目標に行きましょう!!
一同:了解!!
作:つ、次の目標は貴方かも知れません(爆)。
つづく?