< それいけ!テンカワアキト >
あの、忌々しい戦争が和平という奇跡の幕を閉じ。
激戦を戦い抜いたナデシコの面々も、今は平和な世界へと溶け込もうとしていた。
しかし、その平和を享受できぬ不幸な男が一人・・・
これは、その男の愛と(自分自身の)平和への戦いの話である。
「ウ、ウリバタケ君・・・。
ソナーの反応はどうだい?」
「だ、だめだ。
小魚一匹も反応しない・・・」
「そうか、これで断食8日目か・・・。
・・・所でこのボタンは何だろうねぇ?」
「分からんが押してみるか・・・」
ポチッ!
『説明しましょう!
このボタンは貴方たちが降参する、つまりアキト君の居場所を教えてもらうためのものよ。
この回線はネルガルの通信衛星で主に木連との秘守通話をする時に使われるものよ。
まあ今じゃ新型が出来て廃棄しようと思った矢先に貴方たちがあんな事を仕出かすんだからそれに再利用させてもらったのよ。
それで改修する時に新機能を付けたわ、これは凄いわよ!
『はっきり落し前つけて殺る君DX』!!
これは貴方達がこの前の無様な戦いを挑んできたときに使った改良版よ。
命中精度が格段に上がって地球上何処に居ようともこれから逃れられる事は出来ないわ。
使用弾頭も前の紅い鉄球(通常の3倍)とは違い、
通常炸薬から核弾頭、N2爆雷(勿論紅)まで打ち出す事が出来る優れものよ。
そして何と言ってもこれが今回の目玉・・・効きたい?』
そう言うとイネスが凶悪な笑みを浮かべる。
力の限り首を横に振り否定する二人。
ちなみに前回はハーリー君に直撃したが殺れなかったらしい。
『・・・まあ良いわ。
それで、アキト君の場所を教える気になったのかしら?』
「ウリバタケ君、どうしようか?
もう、いっそ彼女たちに全て話して楽に・・・」
「この馬鹿野郎!」
バキィッ!!
「ウ、ウリバタケ君、何て事をするんだい!?」
「ここで俺達が諦めてどうするんだ!!
あいつらに・・・あの同盟の圧倒的な武力に立ち向かい、散っていった150人の戦友(とも)に!!
皆の墓前で、何て言い訳をするつもりだ!!
・・・俺達は二人だけじゃない!!
この肩には、ハーリーやジュン、それにサブロウタや整備班の熱い想いだけじゃない!
全世界の年頃の娘を持つ父親達の想いも獲り憑いているんだ!!」
「そ、そうだったね・・・ここで、僕達が挫けちゃいけなんだ!!
あの悪魔の横暴をこれ以上許す訳には行かない!!」
「そうだ! 何時か俺達がこの事を笑って話せる日がくるさ!!」
「ああ、頑張ろう! ウリバタケ君!!」
「勿論だ、アカツキ!!」
『・・・まあ良い事を一つ教えてあげるわ。
私達は今賭けをしているのよ。
その賭けの内容は『某組織がTAの居場所を吐くまでどのくらい耐えられるか』というものよ。
ちなみに私は『後一ヶ月でギブアップする』よ。
それと、さっき悪魔って言ったことは皆に報告しておくわよ」
あ、悪魔や!ほんまモンの悪魔やぁ!
アカツキとウリバタケが同じ事を考えているのだあった。
放流から2週間が経つがまだまだ元気な二人であった。
さて、限界まで後どの位かな?
所で笑って話せる日って来るのかな。(笑)
第三話 新しい日常・・・?
「ふわぁ〜・・・」
今ではもう日課となりつつあるジョギングと鍛錬を始める。
昨日、遊びに行った帰りにちょうど人気の無い公園を見つけた。
そこで『昂氣』を手の中で練り、纏い、解放する・・・。
人外の力により、辺り一体に上昇気流が発生し、大気がざわめく。
そして、そんな嵐の中心を形成しながら、俺は緩やかに鍛錬を開始した。
「あ、もうこんな時間か」
腕時計がもうすぐ7時なる所で鍛錬を切り上げる。
別に体内時計でもいいんだが、転校初日に遅刻するわけにもいかないからな。
鍛錬でかいた汗を、持参していたタオルで拭きつつ息を整える。
そして自宅に帰る途中俺の心の中はただ一つの事で一杯になっていた。
そう、これから自分が通う学校の事についてだ。
キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン
俺が学校内に入ったと同時にチャイムが鳴る。
手渡された資料には職員室の担任の教師に行けと言うような事が書いてある。
確か担任の教師って柊 若菜だったよな。
そんな事を考えている内に職員室のドアをノックする。
「すみません、陣内 アキトですけど」
「あら、丁度いい所に来たわね。
これから教室に行くから付いて来なさい」
「アキト君、ちょっとここで待っていて」
「あ、はい」
ガラガラガラ・・・
「皆、席に着きなさい。
HRを始める前に今日は転校生を紹介するわ。
アキト君、入ってきなさい」
ガラガラガラ・・・
「アキト君、簡単に自己紹介をしてちょうだい」
「はい。
えっと、今度親の都合で転校して来た陣内 アキトです。
分からない事が色々あると思いますが宜しくお願いします」
自分にもこんな生活が出来たからか分からないが、無性に嬉しく笑顔で話していた。
何故かクラスの大半の女子の顔が赤かったが・・・。
「それじゃあアキト君は・・・後ろにある空いてある席に座ってちょうだい」
俺はそう言われ後ろの席に向かう。
途中色々な感情のこもった視線が周りからきたが、あえて無視しておく。
そして席に座ると横には・・・洋子ちゃんが居た。
「ハァイ♪」
「や、やあ。 おはよう・・・」
「何よ、もうちょっと明るく話してもいいんじゃない?」
「何々、洋子?
その人と知り合いなの?」
「ええ、まあ色々とね。
アキト紹介しておくわ、矢部 真琴。
演劇部に所属してるわ」
「宜しくね、アキト君」
「こちらこそ宜しく」
「こら、後ろ!
話がしたいんならHRが終わってからにしてくれないかしら?」
こんな事をしながら朝のHRは終わった。
ちなみにこの後クラスの全員から質問攻めにあった。
洋子ちゃん曰く、『それは、アキトだからじゃない?』と、言われた。
俺には何の事だかサッパリだが・・・。
今、1時間目の授業が始まっている。
まあ学校だからな・・・。
この学校では体育の時2クラスで授業をする。
私立だからその辺は特別だと思う・・・。
女子もソフトボールの観戦をしている。
まあ此処までは大目に見よう。
だが、何故味方の男子までも俺の事を敵視するんだ!
ついでに言うと、今のバッターは俺だ。
「陣内 アキト!
我々が貴様に天誅を下す!!」
オオォォーーーーーーーーーー!!
敵・味方の陣地の男子から叫び声が上がる。
女子は言う事も無く呆れている。
「よ、洋子ちゃん。
何でこんなに盛り上がってるんだ?」
「さあ?
自分の胸に手を当ててよく考えてみたら。
あ、それと相手のピッチャー、けっこう球が速いからね」
俺は何も悪い事をしていないぞ・・・多分。
こんな事を考えても仕方が無いのでさっさとバッターボックスに立つ。
「ふふふ、陣内 アキト。
よくこれたものだな・・・。
俺達のゴールデンコンビには所詮無力。
貴様の悪行も所詮此処までだ!
いくよ、岡田君!!」
「分かった、株木君!!」
・・・だから俺が何をした?
ズバーーーン!
「ストライーーク!」
伊達に機動兵器のパイロットをやってはいない。
これぐらいのスピードなど止まって見える。
ズバーーーン!
「ストライーークツーーー!!」
だけど何で俺がこんなに恨まれなくちゃならん。
次の瞬間から俺の記憶は薄れていく。
「陣内 アキト、これで最後だぁ!」ブチ!
ヒュン!
カキーーーーーーーン!!
「なグハッ!?」
「だ、大丈夫か!? 株木!!
傷は浅いぞ、しっかりしろ!」
・・・しまった、俺があんな挑発に乗ってしまうなんて!
まだまだ俺も未熟だな・・・。
って悟っている場合じゃない!
顔面に直撃だったのに大丈夫か?
「お、俺はもう駄目だ・・・。
だが・・・あいつだけは・・・・・あいつだけは地獄に送ってくれ!!」
「わかった、だからもう喋るな!」
「後は頼んだ・・・ぞ・・・・・」ガクッ
「か、株木イイィィィィ!
お前の死は無駄にはせんぞぉ!!
よし、保険委員後は頼んだぞ〜」
「「ウイーッス」」
「「ピ〜ポ〜ピ〜ポ〜ピ〜ポ〜ピ〜ポ〜・・・」」
担架に乗せられ、ドップラー効果付きで退場していく株木というピッチャー。
何か芝居みたいだしこの様子だと大丈夫だな。
ちなみにボールはピッチャーの顔面に炸裂した後ギャラリーに飛んでしまったため、
エンタイトルツーベースになった。
「さて、アキトも塁に出たみたいだし・・・。
そろそろ得点とらなきゃね」
「いくぞ、山本洋子!
この奥田魔球第3号の味、その身を持って味わうが良い」
また、同じような奴が出ていたな。
こんな人しか居ないのか、この学校は。
「はいはい、そんなのはどうでも良いから早く投げなさいよ。
後がつまっているんだから」
「そんな減らず口を叩いていられるのは今だけだ、いくぞ!」
ヒュン!
・・・・・火の玉ボール!?
カキーーーーーーン!!
「なにいぃぃ!」
・・・燃えているだけじゃ何も意味無いだろう。
って言うかどうやって燃やした?
「ぎゃぁぁ!」
「アキト、ボケッとしないで早く走りなさい!」
む、そうだったな。
そう言われて俺は走り出した。
「奥田君、3塁を回ったよ!」
「任せろ、俺の鉄壁の防御は誰にも崩せはせん!!
陣内 アキト、此処は俺の命がある限り絶対に通さん!!」
そうか、なら一回死んで見るか?
・・・いかん、思考が戦闘的になっているな。
だが少し灸を据えた方がいいかな?
危ない事を考えている内にボールがキャッチャーに返っていく。
「こい、陣内 アキトォ!
俺たちはお前のような外道には負けん!!」
・・・この男に少し人生の厳しさという物を教えてやろう。(怒)
ドゴオッ!
「うわああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・」
ドサァッ
ちょ、ちょっとやり過ぎたかな?
「陣内 アキト・・・、今回は僕達の負けだ。
だが、今度拳を交える時には絶対に僕達が勝つ!」ガクッ
ソフトボールでどうやって拳を交えるんだ?
そんな事を考えながらハーリー君並みに丈夫なキャッチャーの奥田は運ばれていく。
「おーい、保険委員。
こいつも連れて行けー」
「「ウイーッス」」
「「ピ〜ポ〜ピ〜ポ〜ピ〜ポ〜ピ〜ポ〜・・・」」
このまま奇妙なソフトボールは順調に進んでいった。
余談だが俺の成績は3打数3安打2得点保健室送り2人そのうち1人を病院送りにしてしまった。
ちなみに病院に行った理由は、保険委員の運んでいる途中に洋子ちゃんの打ったボールが同じところに直撃したらしい。
火は飛んでいる最中に消えたのが幸いだった。
「はぁ、疲れた・・・」
「何よ、あんな事でもう疲れたの?」
「・・・何か異様に濃い人ばかりだったからね」
「それは私も認めるわ」
「それより洋子ちゃん、それノート?」
「ええ、そうよ」
「でもさ、それってノートパソコンって言わない?」
「あら、授業に使うノートなんて何でもいいのよ」
他の人は普通にノートを準備しているんだが、この辺は深く突っ込まない事にしよう。
余計な事を言ったばかりに五体満足で生きていられないこともあるからな。
午前の授業は問題なく進んでいった。
俺がその内容について行けなかった事を除けば。
俺は今屋上に来ている。
昼休みぐらい独りになりたいと思い、屋上に出てきた。
「ああ。青空の下で食べるお弁当って美味しい・・・。」
「何黄昏てるのよ」
「いや、ちょっと理不尽な人生を恨んでいるだけだよ」
「何わけわかんない事言ってんのよ」
「洋子ちゃん達はどうしたの?」
「お弁当食べにきたに決まってるでしょ」
ドン!
「な、何だ!?」
銃声か!?
もしかして火星の後継者に俺の居場所がばれたのか?
いや、それはまず無いだろうな。
ばれたならあいつ等よりも先に彼女達に捕まってるからな。
それにしても銃声が聞こえた割には洋子ちゃん達があまり驚かないな。
「・・・ねえ、何で銃声がして驚かないの?」
「耳を澄まして聞けば解るで」
紅葉ちゃんにそう言われて耳を済ませて聞いてみる。
「宗助! 何であんたコッペパン買うくらいで危ないものを振り回すのよ!?」
「アレだけの人の中では緊急時に身動きが取れんからな。
それに自分をアピールしろと言ったではないか」
「だからって発砲することは無いでしょうが!」
「む、了解だ。 千鳥がそこまで言うなら今度からは非致死性のスタン・グレネードを使う事にしよう」
スパアァァァァン!
「それじゃ更に悪化するだろうがぁ!!」
なるほど、コッペパンを買うために発砲したのか。
・・・・・どんな学校なんだ、ここは!?
「何なんだ、あの人たちは・・・?」
「2年の有名人よ。
一人は副生徒会長で千鳥かなめ先輩。
もう一人は一ヶ月前に転校して来た相良宗助で小さい頃は紛争地帯で育ったんだって。
それで何時も拳銃とか持ってるらしいわよ」(キラァン)
「そうですね、この前なんて生徒玄関を爆破してましたからね」
良くそんな事して退学にならないな。
「それにしてもアキト、今日の体育凄かったわね。
あの株木の球って結構速いのにピッチャー返しして、しかも病院送りにするし」
「いや、病院送りにしたのはよ ガキン! ・・・何でもありません」
「解ればよろしい」
洋子ちゃんの持っていたフォークが後ろの壁に突き刺さっていた。
その時の笑顔は凄く綺麗だったが恐ろしかったとだけ言っておこう。
もしかすると此処ってあの地獄に遜色無いほど危険じゃないか?
俺はそんな事を考えながらアカツキに対する殺意が芽生えていった。
作者とキャラの懇談会
作:むう・・・。
ア:どうしたんだ?(何時の間に還ってきたんだ?)
作:学校生活がうまくかけんな・・・。
ア:・・・本当にそう思っているのか?
作:いや、全然。
それじゃあ今回のゲストは白鳳院 綾乃 エリザベスさんです。
綾:どうも、宜しくお願いします。
作:綾乃さん、一つ聞きたいことがあるんですが宜しいでしょうか?
綾:ええ、かまいませんけど。
作:それじゃ、遠慮なく・・・。
声優が某決戦兵器の弐号機パイロットと同じなのは『赤』で『三番目に出てきたパイロット』で 『ハーフ』だからですか?
それと・・・バキィッ!
ア:・・・綾乃ちゃん。
綾:何でしょうか?
ア:いや、こいつまともに受身も取れないのにこんな事やっていいのか?
綾:洋子さんが言うにはどんな事をしても絶対に死なないって言ってましたから。
ア:・・・まあそりゃあ死なないけどさ。
綾:それに言ってはいけない事ですし。
ア:うん、それじゃあ作者が悪いな。(何なんだ、言ってはいけない事って?)
綾:私、これから少し用事があるんで失礼します。
ア:ああ、それじゃ・・・。
ん、作者何か言いたいのか?
作:・・・・・・・・・・。
ア:どうでもいいから早く助けてくれ?
俺は医学の知識なんか持っていないからなあ・・・。
良し、イネスさんに送っておこう。
作:・・・・・!?
ア:何、礼を言われるまでも無いよ。
何時も大魔王にやられているからそのお返しって言う事で。
何、ただの八つ当たりだって?
そんなことは無いよ、俺にとっては投稿作家はその手下でしかないからな・・・。
それじゃあ宅配便の人が来たから頼んでおくね、『要冷凍』って・・・。
作者が生きていたらつづく?
代理人の感想
ん?綾乃ってハーフだったかな?
確か友人だか門人だかの名前をもらって「エリザベス」とつけただけで
本人は100%日本人だったような気がしますけど。
まあ、OVAは見てないんで設定が変更されていたらわかりませんが(笑)。
追伸
なんで奴らがここにいる(笑)!?