<時のながれに+α 導き無き者>
第弐話 <朝食>vs電子レンジ?
ところどころに、戦争の傷跡の残る町の中を一人の少年が歩いている。
黒髪に黒いひとみ、服装はラフなものを着ている。
一言で言えば優男、笑顔が似合いそうな少年である。
ただ、目だけは違った。まるで違う世界、命のやり取りをするような世界で生きてきた者の目だ。
その少年が足を止めたのは、一軒の工場のようなところだった。
「う〜ん、町の中歩き回ってみたけど、バイトができそうな所はここだけか。」
工場の壁には、ポスターが張ってあり
アルバイト募集
資格:整備士の資格を保有している人。
一日5時間以上働ける人。
機械が好きな人。
子供嫌いで無い人。
変な改造をしない人!
待遇:時給900円、食事、住込み可(はなれ有)
採用試験有り。
なんて書いてあった。
しばらくポスターを見ていて、心を決め中に入っていく。
「すみませ〜ん。」
中に入って、誰もいなかったため声をかけてみる。
「留守かな?」
今度はもう少し大きな声で呼びかけてみる。
「すみませ〜ん!!」
「は〜い、今行きます。」
中から、女性の返事が返ってくる。
工場の中を見回してみると、かなり設備の整ったところであることがわかる。
というか、ここほんとに工場か?
研究室並みの施設だぞ、やろうと思えばエステバリスの整備ぐらいできるぐらいだ。
俺が工場の設備に驚いている間に、中から一人の人が出てきた。
?
出てきたのは、一人のきれいな女性だった。
「すみません。今主人が、「町内会の寄り合いだ。」ってでかけてから戻ってこないんです。
ですから、今修理などはできないんです。まぁ前から行方不明になることはあったのですが、
3ヶ月も戻ってこないなんて初めてのことで・・・あの〜どうかしました?」
女性が不思議そうな顔でたずねてくる。
俺としては、この設備からしていかにも職人って人を想像していたため驚いていた。
「あっ、すいません。ちょっと想像していた人と違う人が出てきたのもで・・・
それに修理の依頼じゃありません。」
「それじゃぁ、家電製品のお買い物?」
「いえ、表に張ってあったポスターを見て、アルバイトの応募にきました。」
「アルバイト?ふ〜ん・・・あなた、このあたりに引っ越してきたばかり?」
女性がとても不思議そうな顔で尋ねてきた。
「ちがいます。ちょっと旅行中(ナチュラルに嘘)で、資金が尽きてきたもので
短期の住込みのアルバイトを探していたんです。ってどうしてそんな不思議そうな顔をするんですか?」
「ここね、このあたりじゃ結構有名な噂があるのよ。だから、アルバイトの募集をしてもなかなか人がこなくて、
あきらめはじめていたから。」
「はぁ。」
俺は、あいまいな返事を返す。有名な噂?何だろ
この美人な女店主の事かな?
それとも、料金が高いとか?
よくわからない疑問を浮かべながら、ポスターにあった試験のことを聞いてみる。
「試験って、何をやるんですか?適正試験?それとも性格審査ですか?」
「いえ、実技試験よ!」
「実技?」
「そっ、実技。主人が「俺の店で働くなら、これくらいの修理を30分ぐらいで直せないと、認められない」。
って言うから。あそこに置いてある、試験用の電子レンジを直してもらうわ。」
指をさすほうを見てみると、確かに試験用という紙が張ってあるレンジがある。
「試験時間30分だけど、一時間でいいわ。今までできた人もいないし。」
「いえ、30分でいいです。」
即答する。普通なら、せっかく条件を緩めてくれたのだから、その好意に甘えるべきなのだろうが・・・
悪いけど少しだけ頭にきた。これでもブラック・サレナやエステバリスの整備をしていた経験もある。
町工場の主人なんかに負けるような事はしたくないと思ったからだ。
「道具借りていいですか?」
はやる気持ちを抑えて、必要事項を聞いていく。
「いいわよ。条件はそこの紙に書いてあるから。準備ができたら声をかけて。」
レンジを作業台の上におき、道具の配置と種類を覚えていく。
道具を見て気づいたのだが、腕のいい整備士だったことがわかる。
大事に使われた道具。腕のいい人ほど、自分の道具を大切にする。
自分の未熟さを覚えながら。準備を整えていく。
「いつでもいいですよ。」
声をかける。
「はじめ!!」
「お願いします。」
とりあえず、条件の書いてある紙を裏返して、内容を理解しようとする。
・・・・マジで?
そこには、紙いっぱいに小さな文字で、100以上もの故障個所が書いてあった。
「一つ質問いいですか?」
「なに?」
「この試験、通った人います?」
「さっきいったけど、誰も通っていないわよ。主人は、20分ぐらいで、直していたけど。
棄権する?」
「いえ、やります!」
まさかここまで難しいとは、真面目にやらないとやばいかな?
自分に言い聞かせ、意識を集中させていく・・・・
30分後
「やめっ!」
「ふ〜ぅ。」
女性の声で、集中していた意識を開放していく。
何とか、145項目の条件のノルマをクリア!
途中なんだか、電子レンジとは関係の無い回路なんかもあったが、とりあえず動くようにはした。
女性は驚いた表情で、
「へ〜ぇ、時間内におわらせるとわね。さて、動くかな〜?」
といって、手に持っていたリモコンのスイッチを押す。
ウィ〜〜ン。
どうやら動くらしい。俺がホッと胸をなでおろしていると、
「合格ね!おめでとう。」
と声をかけてきた。
「結構きつい試験でしたよ。」
俺が素直な感想を述べていると、
「まさか、こんな若い子がね。そうだ、まだ名前着て無かったね?」
「そうでしたね、名前は、ミツルギ・マヤといいます。女みたいな名前ですけど、男です。
歳は、16です。」
簡単な自己紹介を済ませて、相手のことを尋ねる。どうやらオリエさんというらしい。
「ミツルギ君は、どうしてここに?」
「マヤでいいですよ。ただの旅行です。」
まさかボソンジャンプしてきた、なんて言える訳ないし、余計な詮索を避けるため嘘をついた。
「ふ〜ん、こんなときにね。」
オリエさんは、不思議そうにこっちを見ていた。
今度はこっちから質問してみる。
「3つほど聞いてもいいですか?」
「なに?」
「お店の名前なんですけど・・・本当にアレですか?」
「驚くのも無理ないけど、アレよ!もう次は?」
怒ったようにかえってきた、あまり触れたくない話題なのかな?
「ポスターのことなんですけど、なぜ最後の「変な改造をしないこと。」ってところが、
赤文字で大きく書かれているんですか?」
「すぐに解るわ。働き始めれば嫌でもね・・・」
といって、黙ってしまった。
「最後なんですけど・・・このレンジのこのボタンなんですか?」
試験中一番頭を悩ましたボタンについて聞いてみる。
赤いのボタン(なぜか対テロリスト用って書いてある。)
「絶対触っちゃだめ!!」
大声で答えが返ってきたが、人間駄目って言われると、余計にやりたくなるんだよな。
ポチットナ!
ボタンを押してオリエさんのほうを見ると、青い顔をして、チタン合金製の盾を構えていた。
「逃げたほうがいいわ!」
「へ?」
間の抜けた返事を返していると、目の前でレンジが、変形した!!
俺がぼーぜんとして見ていると、
「武装確認!暴徒鎮圧用ノゴム弾!ターゲット・ロックオン!!」
という、音声が聞こえてくる。
「はっ?」
俺がどう対処していいか迷っていると、
「発射!!」
ドン!!
という音が聞こえて、まともにくらう!
失いかけた意識を、気力でたち直し、
持っていたスパナで、変形レンジを、一刀両断!
鈍い音を立てて、崩れ落ちるレンジ。
「勝った!」
妙な、勝負に勝ったと思って気が緩んだ瞬間!!
変形レンジの最後の一撃を、避けきれず崩れ落ちる俺。
「相打ちか?くそ!レンジごときに不覚を取るとは・・・・。」
意識を失いながら、オリエさんの言葉を思い出す。
変な改造をしないこと!に対しての返事、
「すぐに解るわ。働き始めれば嫌でもね・・・」
の意味を、身を持って味わったこと。
とんでもない所だな、この工場、「瓜畑秘密研究所 本部」
生きて、お金稼げるかな?
そこまで考えて、完全に意識を失った。
ど〜もSINです。
疲れた。
今日はその一言です。
さて、やっと主人公の名前が、でてきました。
進むの遅いかなぁ?
まぁもう1話ぐらい、ウリバタケ作の家電製品との対決でも書こうかな?
管理人の感想
SINさんから投稿です!!
そうか、このマヤさんが主人公なんだ!!
しかし・・・いきなり転がり込むか、ウリピーに実家に?(苦笑)
それにしても、採用試験なんてあったんだな。
・・・自爆装置は無かったけど、迎撃装置はあったんだ(爆)
それでは、SINさん投稿有難うございました!!
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