<時のながれに+α 導き無き者>

 

 

第参話 バイト開始!

 

 

 

 

 

 

息苦しさを感じて、寝返りを打つと。

「痛!」

何かに撃たれたような痛みに、急激に意識が戻ってくる。目を開けると、知らない部屋の中で寝かされているようだった。

しばらく状況がわからなくて、ボーっとしていると、オリエさんが部屋に入ってきた。

「あら、目が覚めたみたいね。大丈夫?骨は折れていなっかたけど。」

心配してくれているみたいだな。けど何でだろ?

俺が不思議そうな顔をしていると、

「その様子だと、何が起こったか覚えていないようね。マヤ君ね、撃たれて半日くらい寝込んでいたのよ。」

「撃たれた?誰にですか?」

「リリーちゃんよ。」

「リリーちゃん?」

「そっ、電子レンジのリリーちゃん。あなたが直した試験用のレンジよ。」

あ、思い出した。できれば思い出したくないけど、絶対トラウマになるぞ!あのレンジ。

「思い出したみたいね。レンジのことは置いといて、
確か住み込みを希望していたわよね?ここの部屋を自由に使っていいわ。今日はもう遅いから、ここで休んでいって。それで、お仕事のことなんだけどお昼から夕方までの時間帯でいい?」

朝の弱い体質の俺にとっては、願ってもいない勤務シフトなので、

「いいですよ。それじゃぁ、昼から修理をやればいいんですね?」と返事を返す。

「時間についてはいいけど、マヤ君の業務についてはちょっと違うわ。」

「ちがう?それじゃぁ営業ですか?」

「それも違うわ。簡単にいうと、「苦情処理」ね。」

「苦情処理というと、まさか・・・」

「多分考えていることで当たってるわ。あなたの業務は「主人が修理し、改造した家電製品を普通の家電製品に直すこと」よ。よろしくね、マヤ君(ニコッ)」

オリエさん、最後の笑顔は反則ですよ。思わず返事してしまったじゃないですか。

こうして、俺の命をかけたバイトが始まりました。

 

次の日の朝、この世で一番嫌いな電子音が鳴り響きました。

ピッピー!ピッピー!ピッピー!ピッピー!

うるさい!まだ、朝10時半ごろ。決して俺が起きる時間ではない!

どうして、目覚し時計というやつは、時間に正確なんだ!たまには、遅刻してみせろ!

さてどうしてくれよう?

いつもならば、パンチをくらわすか、真剣で切り捨てるか、ブラスターで打ち抜くか、

の三択を一瞬で決め、すぐに実行!

自慢ではないが、目覚し時計を壊した数なら、誰にも負けないつもりだ!もう少しで3桁だ。

今日もいつもの3択を決め、(ちなみに無難に拳で壊すことにした。)狙いをつけようと、

目覚し時計を凝視した瞬間!目が覚めたね。冷汗もかいたけど・・・

そこには、劇の小道具として使うよな、ダイナマイトに時計がついた、時限爆弾式の目覚し時計が・・・

後30秒という表示をしていた。隣には、はさみが置いてあり、注意書きのしてある紙も置いてある。

なぜかお約束どうり、「青か赤、好きなほうを選べ!」って書いてある。

とりあえず、手を合わせて今までお世話になった人に感謝の思いを述べて(15秒経過)、

特攻をするような心境で(後10秒)、はさみを構え2本の線をにらむ、後5秒

4・3・2・1・・・ピッ!青い線を切ると同時に、タイマーは止まってくれた。

「ふぅ〜。冗談だよな、これ。まさか本当に爆発なんてしないと思うけど・・・いや、昨日のこともあるからな、はぁ〜。」

とりあえず、遅めの朝食をとり、食後のたばこを吸って、新聞を見て見る。

記事を見ると、木星蜥蜴との戦争のことが記されていた。

「ボソンジャンプ」をめぐる同じ人類同士による初めての惑星間戦争。そして、火星の後継者によるクーデターを引き起こすきっかけになった戦争だ。

「四年ぐらい前の新聞か。最近のやつは無いのか?」

探して見たが見つからない。カタログやら週刊誌なども4年前あたりのものしか見つからなかった。

さすがに不思議に思ったが、バイトの時間になったため店頭に行くことにした。

 

時間は午後の3時半ごろ、外はきれいに晴れわたり、ベランダあたりに、布団を引いてゆっくり本でも読みたい気分である。

さすにバイト初日から、サボるわけにもいかないので、昨日最後に破壊してしまったレンジの修理をしている。

はっきりいって、暇だ!平日であることを考えれば、こんなものかとも思えるが。

そういえば、一人目覚し時計を買っていったな。今日俺を起こした同機種を・・・まぁ、大丈夫だろう。うん、大丈夫だ。自分に言い聞かせているところから、少し危ないような気もするが・・・

そのとき、静かだった空間を切り裂くように、音が聞こえてきた。

ウォーン!ウォーン!ウォーン!

「なんだろ?確かこの音は・・・避難警報?!戦争は終わったはずなのに?」

よく解らなくて、避難警報の意味を考えていると、オリエさんが

「なにやってるのマヤ君!早くシェルターまで逃げるわよ!ついて来て」

と真剣な顔でいってきた。あの顔から察するに訓練のたぐいではないことを感じとり、ついていくことにした。走りながら、疑問について聞いてみる。

「オリエさん、この、避難警報って、何ですか?」

「あなた、本気で言ってるの?蜥蜴よ!木星蜥蜴!その無人機が、こっちに向かっているの。」

「はい?」

「マヤ君、大丈夫?」

オリエさんが、すごく心配そうな顔で、聞き返してくる。いや、あきれているのか?

大丈夫?と聞かれたけど、はっきりいって大丈夫ではない。

ジャンプしてみたら、戦争がおこっていて、しかも木星蜥蜴だと。戦争がおわってから木星蜥蜴という呼び名は無くなって、木連と呼ぶようになった。

まるで、過去に戻ったようなそんな気分だ。ホントわけ解らん!

しばらく走っていくと、たくさんの子供を連れた一団に出会った。どうやら、こちらもシェルターに逃げ込む途中だったらしい。

オリエさんがその一団を見つけそっちへ走っていき、何かを話し始めた。

「スズキ先生!」

「あっ!ウリバタケさん。」

「あれ、キョウカは?キョウカはどこです?」

「実は、避難警報でシェルターに逃げようとしたんですが、途中ではぐれてしまって、すいません!この子達をお願いできますか?私が責任を持って探してきますので。」

「いえ、私が行きます。先生はこの子達を早く非難させてください。あっ、あとこのマヤ君も案内してください。お願いします。」

そこまで言って、オリエさんは青い顔をしながら走っていてしまった。

「ウリバタケさん!」

スズキ先生と呼ばれた人も追っかけようとするが、子供達が泣き始めてしまったので、すぐに戻ってきた。

「大丈夫、先生はここにいるから。キョウカちゃんもきっと無事よ。だから泣かないで、すぐに非難しましょう。さっ、マヤ君だったわね。君も早く。」

「ええ、解りました。」

自分おおかれている状況がわからなくて、子供達と一緒に非難しようとすると、

空を赤い物体、オリエさんが走っていったほうへ、通り過ぎていった。

「ジョロだと?」木星蜥蜴の無人機を見て、すごく驚いた。

スズキ先生を見ると、すまなそうな顔していた。

その顔を見て、俺は自分の迷いを打ち捨て、

「どこ行くの、マヤ君!」

「オリエさん達のところへ行きます。」

スズキ先生に、そういうと、全力で走り出す。

解らないなんて関係ない!とりあえず、自分にできることをするだけだ。

途中で、鉄パイプを二本拾いオリエさんと、キョウカちゃんを探しまわる。

「きゃっ!お母さん!」

左のビルの角のあたりから声が聞こえ、走り出す。

間に合ってくれ!

角を越えると、オリエさんが、キョウカちゃんの前に立ちふさがりジョロから守ろうとしていた。

ジョロのほうは、いつでも銃を撃てる状態だ。

俺は、足元にあったコンクリートの塊を蹴り上げて、左手で持っているパイプで撃つ。

ガン!

狙いどうりに、ジョロに当たり俺に注意が向く。オリエさん達は、驚いた顔を押しているが、今は気にしている時間は無い。

エステでの戦闘ならはっきりいって、雑魚でしかないジョロ。しかし生身で立ち向かうとなると、強敵だ。しかも武装は、鉄パイプ二本。いくら木連式の剣術を極めたといっても、相手は機銃を持っている。せめてブラスターがあればな。

無いものねだりしてもしかたないか。

「すぅぅぅ、はぁぁぁ」

深く息をして、意識を集中する。ジョロまでの距離は10m弱。

左右にフェイントをかけ、間合いを詰める。

ババババババ!

火を噴くジョロの機銃。

攻撃を紙一重で避けながら。

途中の電柱に隠れて、ジョロの攻撃をやり過ごす。

後4m!

目の前にあった、看板を右に蹴りだし、タイミングを少しずらして、反対側から飛び出す。

ジョロの注意が、看板から俺に向くまでの少しの間に、一気に間合いを詰め

ドカッ!

ガキーン!

二連撃!

浅いか?

バランスを崩したジョロを横目に、予想される反撃の回避のため距離をおく。

バババババババ!

連射されるジョロの機銃。

辺りが、立ち煙る埃で見づらくなってきたことを見計らって、その埃を煙幕として、行動を起こす。

隠れていた障害物を抜け出て、先ほどと同じようにダミーとなるものをジョロに向かって、投げつける。違うのはここからだ。

二本のパイプを構えなおし、意識を集中させていく!

「弐式・飛燕!」

掛け声をかけ、左手のパイプを投げつける!

ドカッ!

「ギィィ!」

狙い済ましたパイプが、ジョロの右カメラアイを貫き。

弧を描くように走り、死角となった、右側から間合いを詰める。

「はぁっ!」

左腰に構えていたパイプを居合抜きの応用で叩きつける。

ゴキッ!

何かを砕く音と、右手にかえってくる反動を感じながら、目の前のジョロが首の辺りから二つに割れた。

ジョロが完全に機能を停止しているのを確認し、辺りを見回すとオリエさん達がいた。

どうやら無事みたいだな、よかった。

考えているうちに、オリエさんたちが寄ってきて話し掛けてくる。

「マヤお兄ちゃん、すごーい。」

「マヤ君大丈夫なの?」

「ええ、何とか生きてます。オリエさんたちは大丈夫ですか?」

「こっちは大丈夫。ところでマヤ君?あなたホントに人間?改造人間とか、仙人とか、突然変異の人間とか、エスパーなんかの類?」

やっぱ驚いているなぁ。まさか鉄パイプでジョロを倒すやつなんて、そうたくさんはいないし。まずかったかな?

しかし、俺どういう目で見られていたんだろう?

まぁ、実際いえないような事も多いけど。

「れっきとした人間ですよ!ナノマシン処理は受けていますけど。」

「じゃあ、パイロットなの?」

「いちおうは、エステバリスの操縦はできます。」

「ふーん、さて、おなかもすいたし晩御飯の準備でもしますか。」

おーい、俺ってその程度なの?もう少し聞かれると覚悟したのに、まっいっか。

「あの、オリエさん一ついいですか?」

「なに?」

「今日の事なるべく秘密にしてくれませんか。」

「いいけど、どうして?」

「あまり目立つのは好きではないんです。」

「目立ちたくない?ふーん、何かわけありみたいね?解った黙っててあげる。けど、困ったことがあったらいつでも相談して、ちからになるから。」

「ありがとうございます。でもこれは俺自身の問題ですから。あと、今年は何年ですか?」

「2197年だけど?それがどうかしたの?」

「いえ、少し気になったもので、先に帰っていてください。散歩しながらゆっくり帰りますので。」

「キョウカもいく。」

「マヤ君、お願いしてもいいかな?」

「ええ。」

できれば、一人になりたかったけどね。

 

夕方の公園のベンチで、たばこを吸っている。

目の前では、キョウカちゃんと避難警報が解除され、遊びにきた友達と何かを話していた。

2197年か、まさか過去に戻っているとはね。

これで、なぜ木連が、木製蜥蜴と呼ばれ。未だに戦争をしているか。

なぜ、四年前の新聞ばかりあったのか。

なぜ、預金通帳の中がマイナスだったのか。

一つの結論に達したね。

説明好きの白衣のお姉さんによると、

「ボソンジャンプは、空間移動ではなく、時間移動。

空間移動は、時間移動のついでに起こったものでしかない。

しかし、A級ジャンパー人間でも、時間移動のイメージングは今のところは不可能ね。」

と言っていた。

しかし、今回のジャンプは、意図しないランダムジャンプ。

ジャンプ先を望んでいたわけでは・・・、いや望んでいたのかもしれない。

自分のしてきたことが、すべて夢であり、目が覚めれば白紙に戻る。

そんなことを考えていたこともあった。

自分が何をしてきたのかを考えれば、すぐにでも消えるべきだったのだろう。

・・・・。

「ねえ、マヤお兄ちゃん!ねえってば!」

どうやらキョウカちゃんが話し掛けていたらしい。

「なんだい?」

「キョウカたち、マヤお兄ちゃんのニックネーム考えたんだ!いくつかあるんだけど、気に入ったのを選んで!」

「いいよ。」

「一つ目、サムライ君。」

は?

「二つ目、勇者様!」

え?

「三つ目、騎士殿!」

おい。

「六十三個目、対木星蜥蜴用最終決戦人型兵器スーパー改造人間マヤ剣客バージョン6.3!」

・ ・・すでに真っ白。

「以上の中でどれがいい?」

「え?え〜っと。」

63個・・・。二時間ぐらい話しているなぁと思ったけど、ずっと考えていたんだね。

その割には、まともなやつは一つも無かったけど。

子供の想像力には、驚かされるというか、恐怖すら覚えるけど・・・・。

はっきり言って、どれも嫌だ!

会うたびにそんなので呼ばれたら、2日で人間不信におちいるぞ俺!

「ねぇ、どれにする?」

「お願いだから、普通にマヤって呼んで。」

「え〜、せっかく考えたのに?」

「気持ちはうれしいけど、最後のやつなんて長すぎるじゃん。」

「そう?キョウカのやつもっと長いよ。300文字ぐらいだもん!」

「覚えにくくない?」

「何で?すっごく解りやすいよ!1回ニックネーム言っただけで、住所、氏名、生年月日、電話番号、好き嫌い、家族構成までわかるんだもん。」

「それって、自己紹介って言わない?」

「だって、お父さんが、「ニックネームはわかりやすいのにしろ。」って言ってたもん。」

半分は、あってるよ。もう半分は、何か別のほうにいっちゃてるけど。

しかし、こうしていると辛いな、思い出してしまって。

あの時、俺に力が無くて誰一人救えなかった。

救えなかったどころか俺は・・・殺した。

そして今度は、自分勝手な願望で、過去にいる。

血で汚れ、殺すことしかできなかった俺に何ができるか解らないが。

できるとこまで足掻いてみるさ!

少なくとも、守ってみせる!

たとえもう一度、人の道を踏み外そうとも・・・ね。

 

 

ども、SINです。

日本語って難しい。英語はもっと苦手だけど・・・。

もう少し真面目に、授業受けるんだった。

ほんと、ボソンジャンプでもして、過去に戻りたい!

長い文章でしたが、読んでくれた人どうもありがとうごさいます。(ぺこ)

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

SINさんから投稿です!!

強いな〜マヤさん。

それ以上に、オリエさんとキョウカちゃんが強く感じるのは、私の気のせいでしょうか?(苦笑)

なんか、マヤ君なんて軽くあしらわれてるし(汗)

う〜ん、母とお子様は強し・・・

 

それでは、SINさん投稿有難うございました!!

 

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