『……さん……くださ…』
 …………
『おーい、やっほー』
 ……声。
『やっほーやっほーやっほー』
 ……懐かしい、声。
『起きてくださーい』
 この声は、そう。
 電子の妖精――ホシノ・ルリ。
「――ッ!!」
 彼は反射的に跳ね起きる。
 即座に状況確認。
 違和感はあるが、四肢は動く。目立った損傷は無し。
 銃器は携帯していない。装備も普段のものではなく、衣類は何処かで見たような制服。
 増大する違和感、まるで悪夢を見たような。
 周囲は広い青空と緑の草原―――瞬間、顔に手を当てる。
 まさか。
 否、違う。違うはずだ。
「……バーチャル、か?」
 そうだ、今の自分にこの状況は有り得るはずがない。
 湧き上がる焦燥。
『艦長、艦長、かーんちょー』
「……う? ううん……」
 傍らより流れてくるその声に、彼女のピクリと肩が動く。
「……うにゃ、……キ、ト?」
 彼女は草原に直に横たわり、少し丸めた背に美しい藍色の髪がかかる。
 ――ばかな! そんな筈はない!
 彼は喉の奥に叫びを押し殺した。
 その奥にあったもうひとつの身体にまでは、意識が向かなかった。
 それほどの驚愕。
『起きてください。ねえ艦長!』
 純白の制服、傍らに転がった帽子。
「……ちょっと、まって、よ……お願い……ルリ、ちゃん」
 朦朧としたまま彼女は、声を出し……
「――え、ルリちゃん?」
『はい、おはようございます艦長』
 彼女もまた、己の言葉で即座に覚醒した。




セカンド・エンゲージ (前編)
the Second Engagement : first part



 しばし後、艦橋。
「敵、距離1500」
 オペレーター、ホシノ・ルリの冷静な声がブリッジに響く。
 現在、ネルガル重工所属『機動戦艦ナデシコ』は、月近海で連合宇宙軍との共同戦線の真っ最中だった。
 ナデシコもまた、戦列の一端に連なって、無人兵器を迎え撃とうとしていた。

 第四次月攻略戦。 
 木星蜥蜴と連合宇宙軍第二艦隊との攻防戦の真っ只中、突如飛び込んできた白亜の戦艦。
 乱入したナデシコのグラビティブラストによって、木星蜥蜴は一時撤退。合わせて宇宙軍も艦を引き、戦線を立て直す時間を得た。
 しかしナデシコの参入は、完全な突発事態。今更艦隊に組み込むわけもなく、遊撃部隊とは名ばかりの露払いを申し付けられていた。
「第二艦隊、敵と接触」
 艦橋のメインモニターが、艦隊模式図から艦外カメラの最大望遠に切り替わる。
 四角く切り取られた漆黒に、煌く火花。
 艦隊の一部が戦闘に突入しているのだ。
「ユリカ。そろそろエステバリスを」
 アオイ・ジュンが促す。
 人前で艦長のファースト・ネームを呼ぶといういささか規格外れの副長だが、判断は悪くない。
 そして声を受けた艦長もまた普通とはいえなかった。
 ミスマル・ユリカ。
 まだ二十そこそこの女性だが、ある意味この常識外れの戦艦の象徴ともいえる人物だ。
「うん。ルリちゃんパイロットに通信」
「――映像、出ます」
 中空に四つのウィンドウが開く。
 すでにパイロットスーツに着替えて、コックピットにスタンバイしている四人のパイロット達。
「そろそろみなさんの出番です。よろしいですか?」
『こっちはバッチリだぜ!』
『腕が鳴るよね〜』
『…………了解』
 スバル・リョーコ、アマノ・ヒカル、マキ・イズミ。
 三人とも女性ながらナデシコ所属のパイロットにして、一流の腕をもつエステバリス・ライダーだ。
『あれ? イズミちゃんってばシリアスモードだね〜』
『………フ』
『静かでいいだろ。って、おいどうした、テンカワ!』
 最後の一人はリョーコの言葉にも無言のまま。
 テンカワ・アキト。
 現在のナデシコでただひとりの男性パイロット。コックと兼任の補助パイロットという変り種。
 しかし彼は、顔を伏せ、唇を閉じ、瞼を落として静かに佇むばかり。その様に物悲しさすら感じるのは、はたして気のせいか。
 月で目覚めて以来、彼は明らかに口数が減っていた。
 まだ出現後の混乱が続いているため誤魔化されてはいるが、他のクルーを避けるような様子さえある。
『おいっ! テンカワ!』
『アキトく〜ん?』
 ウィンドウの中のアキトの姿に、ユリカの表情が僅かに歪む。
 彼をまたエステバリスに載せることは間違っているのかもしれない。ユリカはそう、思う。
「……アキト」
「ユリカ」
 アキトはゆっくりと眼を開き、普段に比べて低くめのトーンでその名を呼ぶ。
 ユリカは湧き上がる感情を必死で堪えた。
 自らの名を呼ぶ音の羅列は、何時にも増して甘く切ない。
「アキト。もし、もしだよ」
「いや、必要ない。今の、俺の仕事は――ナデシコのパイロットだろう?
 お前が今、この艦の艦長であるように。だから」
「うん。わかってる」
 ナデシコ。
 その名を口にするのに、一瞬の間が空いた。
 それが意味するものを、この花の名に彼が抱く思いを、この場で正確に理解できたのは当事者たる二人だけ。
 しかし、二人の間に特別な感情があったであろうことは、周囲の人間にも見て取れた。いかに臨戦態勢とはいえ、それを見逃すナデシコクルーではなく。
『うわぁ〜。何か通じ合ってるかも〜』
『ふたつの布地の品質……ツー、地合い……つうじあい……ふ、ふふ』
『なんだよそりゃあ! 笑うなイズミ!』
 掛け合い漫才に突入しそうなパイロット三人娘。
「あれえ? 艦長、アキト君と何かあったの?」
「そんなことありませんよね! どうなんですアキトさん!」
 即座に質問をぶつける操舵士と通信士。
「いいのか、ミスター」
「困りましたね。現在戦闘中なのですが」
 無表情な大男に、全然困っているようには見えない会計士。
 ここにいるのは歴戦のクルーの筈だが、ウィンドウの外も中も、まったく緊張感が見られない。
「相対距離、600まで接近」
「……相転移エンジン出力安定。FCS正常。システム・オールグリーン」
 真面目に仕事をしているのは副長とオペレーターぐらいのものであった。お祭騒ぎに便乗できない苦労人は損をするという見本であろう。
「……ホント、バカばっか」
 それを傍目に、当人達を取り残して盛り上がっていく周囲。
「そういえば、艦長とアキト君って一緒に展望室にいたのよね」
「でもミナトさん。イネスさんも一緒にいたんですから……」
「そうね。よかったわね、メグちゃん」
 シートが同じ階層にあるハルカ・ミナトとメグミ・レイナードは、中央のルリの頭越しにいわゆる女の子の会話状態。
 すぐ上層の首脳部にしても制止する素振りは無い。
『そうだ! 何かあったとは限らないだろう』
『はいはい。リョーコの内心はわかってるから』
『な、何を』
『………ふふ』
『勘違いするなよ! お、俺は別にテンカワのことはッ!』
『ほう、テンカワが?』
『ふ〜ん、アキト君が〜?』
『ぐっ……うるせー!』
 無駄に多機能なウィンドウ通信は、発言者の声量・仕草を受けてやたらアクティブに動き回る。ついにはブリッジ正面で追いかけっこまで始める始末。
「どうなんですかアキトさん!? ねえ、聞いてます?」
「……青春よねぇ、ルリルリ」
「今、仕事中です」 
 アキトに向けて言い募るメグミを横目で眺めつつ、ミナトはルリまで引っ張り込む気満々らしい。
 ここはれっきとした戦場であるのだが、大半の人間はその事実を脳内から放り出していた。戦艦のブリッジクルーがそんな様子で、よく艦が沈まなかったもの だ。

 問答無用になりかけた時、正面に突如巨大なウィンドウが現れた。
『あなた達、いいかげんになさい』
 声自体大きくは無かったが、そこに含まれる冷静さが皆の熱を冷ました。
 喧騒が収まるのと合わせるように縮小するウィンドウ。
 実物大の二倍程度になった金髪の美女が、枠の中から呆れたようにこちらを見る。いや、実際に彼女――イネス・フレサンジュはこの騒ぎに呆れていた。
『でもよう……』
 一旦収まったとはいえ、不満げな一同。
 ブリッジをウィンドウの奥から見渡すと――三人ほどがブリッジではなくコックピットにいるが――わざとらしい溜息をついた。
『なんなら、この私がじっくりと、説明して差し上げようか?』
 説明の文字を殊更ゆっくり発音してみせるイネス。
 その様に、一部を除いて全員があわてて首を振る。
 いかにも嫌だといわんばかりの様子だった。いささか不満が無いでもないが、今回は関知しないことにする。
『……よろしい』
「ありがとうございます。イネスさん」
『礼の必要はないわ艦長。貴方のためじゃないしね』
「それでもです」
 ユリカの笑顔には苦笑するしかない。
 イネスは、この娘のこういう所が嫌いではなかった。何故彼がユリカに惹かれ、そして全てを引き換えにしても思いを貫いたか、わからないでもない。
『ああ、それとアキト君』
『何だ?』
 先刻からだんまりを続けていたアキトがこれにはすぐ反応した。
『気をつけて。無茶はだめよ』
『わかった。またドクターの手を煩わせないように気をつける』
 アキトは声色に笑いを含ませて返す。
 久方ぶりに見た、彼のごく普通の笑みだった。
 イネスの口元に内心の安堵が滲む。
『……そう、願いたいわね』
 そのまま現れた時と同じように唐突に消えるウィンドウ。
 これまた普段のイネスとアキトの会話とは明らかに違った。ユリカとのやり取りと同じにおいに、クルーはなんとなく近くにいる者同士で顔を見合わせる。
 アキトは再び瞑目する。
 探るような視線は自然と笑顔のユリカに集中した。

 誰かが口を開くより早く、ユリカが――ナデシコ艦長が号令する。
「全艦、臨戦態勢! エステバリスは順次出撃!」 
『『『『了解!』』』』
「FCS開放、ミサイル・近接兵装はジュン君よろしく!」
「了解、トリガーをサブコンソールに」
「グラビティブラストは最大出力でチャージ!
 初撃の後、側面から敵陣を突っ切ります。ディストーション・フィールドは常に最大で維持! ルリちゃん!」
「はい」
「予想進路を算出、ミナトさんに」
「10秒ください…………………出ました、これです」
「ありがとルリルリ」
「メグちゃん、全艦放送お願い」
 指でマルを作るメグミに、ひとつ頷く。
「―――皆さん、艦長です。本艦はこれより戦闘に入ります。敵の数は多いですが、ナデシコとクルーの力があれば問題ありません! 皆さんは自分のお仕事を 全うしてください!」
 ここで一息入れて、ユリカは最後の――否、はじまりの一言を放った。
「機動戦艦ナデシコ、いきます!」




「各自散開! 各個撃破だ!」
 宙を舞うように飛ぶ、赤・黄・緑の三機のエステバリス。
 ヒカルの愛機、黄色のカラーリングを施されたエステバリスがトップスピードで無人兵器とすれ違う。
 一瞬遅れで、爆発。
「ええ〜? 十機中三機だけ〜?」
「フィールドが強化されてる……」
「くっ……コイツらぁ!」
 ヒカルだけでなく、イズミもリョーコもまた同じ感触を得ていた。
 火星での戦闘より明らかに無人兵器のスペックが上がっている。よくない状況だった。
 ふと、レーダーに目を落としてみれば、マーカーがひとつ足りない。
「おい! テンカワはどうした?!」
 気が付けばテンカワ機が見えない。
 補助パイロットでしかない彼は、明らかに自分達より腕が劣る。
「応答しろ! テンカワァ!」
 リョーコの声が悲痛に響いた。




『テンカワァ!』
「……く、鈍い」
 アキトはリョーコの考えとはまったく別の理由で苦しんでいた。
 こちらのIFSの入力と、機体の情報処理に齟齬が生じている為に、『まっとうな』操縦ができないのだ。
「……反応、が…悪、すぎる」
 しかしリョーコや彼女の通信で注意を向けたブリッジクルーが心配するような事態にはなっていない。むしろ中距離からの射撃は精密で、的確に無人兵器を落 としていく。
『……なんでぇ。大丈夫じゃねぇか』
『テンカワ機、現在撃墜数トップです』
 ルリの手の甲のタトゥが煌き、パイロットのウィンドウの隅にそれぞれのスコアが表示される。
 ほぼ四機が横並び。
 だがこれまでのアキトの戦果と比較すれば、リョーコ達と張り合える時点で飛びぬけていると言っていい。
 依然硬いアキトの表情に気付いたのは、だから彼女だけだった。
「アキト。無理しないで退避して」
 ユリカが耐えきれず声をかける。
 それでも戦況から目は離さない。艦長が一瞬でも自分の艦を忘れていいはずがない。
「……大丈夫、だ。だいぶマシになってきた」
 IFSがほぼ入力オンリーで、敵の位置情報すらフィードバックされないのは誤算だった。
 数年ぶりの有視界戦闘(無論レーダー各種はコックピットに表示されているが)はブランクがあり過ぎて、慣れるまで時間がかかった。
 出撃前に即席とはいえ、FCS――火器管制システムを弄っていなければ、どうなっていたか。
 ――オモイカネに感謝、だな。
 ナデシコの艦載機はオモイカネがFCSをソフトウェア面でフォローしている。その分、プログラム方面の融通が利くのだ。
 そうでなければIFSコンソール経由で、臨時のプログラムを組むことなど出来る筈が無い。
 ――機体制御は………諦めるか。避けるぐらいなら何とかなるだろう。
 搭載されているコンピューターが貧弱なのはしょうがないとしても、このIFS処理プロトコルは酷すぎる。イメージ情報に、いちいち無用な補正がかかって い るの だ。
 エステバリスは、『子供でも乗れる機動兵器』が売りで、これもそのための機能の一つ。
 だとしても、ファジーなイメージではなく、無駄を削ぎ落とした繊細で正確な情報入力が出来る者にとっては邪魔でしかない。
 加えて、為にタイムラグまで生じるのでは使えないにも程がある。
 しかしこれはこの時期のアキトの実力の所為ともいえた。パイロットとしては素人に毛の生えた程度だったため、設定をほぼデフォルトから変更していなかっ た のだ。
 結局、吐いた唾は自分に降ってくる。
「射撃は不得手なんだが」
 溜息まじりでも、アキトのスコアは着実に増えていった。




「……そろそろ、か」
 戦況図を厳しい表情で見つめていたユリカが、ふとつぶやく。
「はい? 何か仰いましたか艦長」
「いえ。何でもありませんよ、プロスさん。ルリちゃん、連合軍は?」
「まだ粘ってますが、損傷率が3割を越えてます。戦線維持も限界ですね」
「こっちもね! 艦長、進路上に敵多数! 多すぎて抜けられないわよ!」
 ミナトの悲鳴紛いの声が艦橋に響く。
 それでも操舵する指は休むまない。テクニカルな操縦で機敏に敵艦の主砲を避け、あるいはディストーション・フィールドで散らしていく。無人機動兵器はエ ステバリス隊が近づけさせない。
 しかし、周囲がほぼ敵艦隊のみでは、全てを避けられる筈も無い。ディストーション・フィールドの効果が薄い実体弾が確実にフィールドの耐久力を削ってい く。
「――第二艦隊右翼部隊から救援要請です。
 ……だからぁ、こっちも手一杯なんですよっ! あっ、もうちょっと!」
 メグミも引っ切り無しに舞い込む通信を必死に捌く。
 あちらは艦隊こちらは単艦。入ってくる情報量が多すぎる。
「メグミ君、そっちはまとめて艦隊司令部に中継しといて。
 FCS起動、対艦ミサイル装填。ターゲット・ロック――ユリカ!」
 コンソールに目を落としていたジュンが、顔を上げ鋭く艦長を呼ぶ。
「グラビティブラスト発射準備、目標は左舷前方! グラビティブラストと同時にミサイル発射、進路上の敵をなぎ払います。ルリちゃん!」
「チャンバー内圧力正常、チャージ率92%。射線、有効射程出ます」
 メインモニターの配置図に示されるグラビティブラストの効果範囲。
「メグちゃん! エステバリス隊に警告、射線より退避させて」
 ユリカも矢継ぎ早に指示を飛ばす。
「退避完了! いつでもどうぞ!」
「5、4、3、2、1―――撃て!」
 重力場の渦と無数のミサイルの雨に、前方敵部隊中心に穴が開く。
 そこを目掛けて、勢いよく駆け込む白亜の船体。
「よしっ! 抜けたぁ!」
 ミナトの操るナデシコは、無傷とはいかなかったがほぼ予定通りに戦域を貫通した。ルリとオモイカネの補助もあったが、艦列を縫うようにして駆け抜けたそ の手腕はまさしく職人芸の域だ。
「相転移エンジン出力正常。フィールド安定、各部問題ありません」
「で、どうするの艦長? もう一回やる?」
 強襲による側面からの切り崩し。
 戦艦クラスはグラビティブラスト、虫型機動兵器はエステバリスで掃討する。ナデシコは単艦としては驚異的な戦果をあげているが、全体から見れば焼け石に水。
 なにより、そろそろ連合宇宙軍が限界だ。
 彼らに撤退でもされた日にはナデシコは敵中に取り残されることになる。
「いえ、ナデシコは……っく」
 ユリカの声に被さるように、走る衝撃。
 艦橋を揺らす振動に、指揮卓を前に立っていたユリカはよろめいた。
「何だ!?」
 あわててユリカを支えながら、ジュンが叫ぶ。
 もう少し冷静なら、腕の中のユリカが静かにつぶやいた言葉を聞き取れたろう。
「――来た」
「来たな」
 同時に、エステバリスのコックピットにいたアキトも同じ言葉を口にした。
 ふたりは、これを待っていた。
 その正体を知ればこそ、劣勢を覆す戦力を待っていたのだ。
 しかし、他のクルーはそれを知るはずもない。突如現れた未知の戦力に、咄嗟の対応が出てこない。
「これは……グラビティブラストです。今の攻撃で敵が二割方消滅」
 緊張が走る艦橋にオペレーターの冷静な声。
「……味方、なの?」
「すっごーい」
「第二波感知」
 モニターに閃光が走る。
 また真空の闇に重力の歪みが現れ、消えた。
「多連装のグラビティブラスト……?」
「……まさか」
 プロスペクターとゴートに視線が集まる。
 グラビティブラストやディストーション・フィールド。そして、それらを生み出す相転移エンジン等の技術は、ネルガルが独占していた筈だ。
 だからこそナデシコは火星へ向けて飛び立てた。
「例の艦がこちらに通信を求めています」
「受けて、メグちゃん。相手は?」
「はい。艦籍照合――NERGAL ND−002 『COSMOS』です」
「「「「「……コスモス?」」」」」
 ブリッジ中央にウィンドウが開く。
 ナデシコと同じ型の赤い制服に黒い長髪の青年がにやりと笑った。

『そう、コスモスだ。ようこそ、ナデシコの諸君』




はじめまして。篠以(しのい)と申します。
最近、ふと何かが自分の中で燃え(萌え?)上がりました。こうして投稿するのもその場の勢いでしょうか。
内容ですが、アキト(+α)の境遇を含めてある意味王道の展開でしょう。TV版第8話(月宙域出現)からというのは、少し珍しいかな。連載は気力が続かないので、本作は前後編の予定です。

では後編でまたお逢いしましょう。



感想代理人プロフィール

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代理人の感想

おー、確かに斬新。

逆行物自体に割と食傷してる私でも楽しく読めました。

こういった一点の違い、言い換えればちょっとした捻りというのは特に二次創作では大事ですよね。

では後半楽しみにしています。