風が吹いている。限りなく広がる緑の草の上に一人の青年が横たわっていた
草の香りを含んだ風が青年の顔をなでるように流れていく
「俺は・・・・・」
青年・・・テンカワ アキトは思考の中に落ちていった
見たことのある景色。それは自分が火星を離れて初めて見た地球の景色と酷似していた
「地球・・・何故ここに俺はいるんだ」
風は今もなおアキトの髪を揺らす
「草の匂い・・・・・・！？匂い？俺の五感はもうほとんど使えないはずだ！」
アキトはバイザーを外し空を見上げ自分の身に起こった出来事に驚愕した
「眩しい・・・目が正常に見える。どうなってるんだ俺の体は」
「ラピス・・・ラピス！」
しかしいくら呼びかけてもラピスからの応答は無い
「クソ・・・リンクが切れてる」
「ねぇお母さん、なんであの人真っ黒なの？」
「駄目よそんなこと言っては！聞こえたら困るでしょ？」
アキトの格好は黒マントに顔の半分くらい隠れるバイザー。そして季節はもう暖かくなって来ている
そんな所にアキトの格好は激しく過激に最高に限りなく浮いていた
「は、はは・・・・耳も聞こえる」
アキトが泣き笑いに入ってると後ろから聞き覚えのある懐かしい声が聞こえた
「おい、お前子供が怖がってるぞ」
そしてアキトが振り向き自分の目を疑った
「サイゾウさん！！」
過去へ未来を求めて
壱話
「ねぇ〜八宝菜まだ〜」
某食堂の厨房の中・・・・
「おいアキト、八宝菜の催促来てるぞ」
厨房で中華鍋を振るっているのは一見爽やかそうな・・・いや、爽やかな青年テンカワアキトその人である
「は〜い只今〜」
何故俺は過去に戻って来たのだろう・・・遺跡の意志かそれとも俺が望んだのか・・・
だがリョウコちゃんは・・・やはり守れなかったのだろうか
「ったく、相変わらず遅せぇな、客が逃げちますぞ」
「す、すみません今出しますから」
平和な食堂の厨房で交わされる何気ない日常会話、しかし店の入り口では
「あぁ〜あまたやられた」
「機動性が違うんだから止めときゃいいのにさ」
「そうもいかないだろ軍人さんは仕事なんだから」
こちらも凄く何気なく話している。危機感・・・・という言葉は無いのだろうか、良い根性と言うか良い
度胸と言うか不思議な人たちである
「八宝菜出来ましたよ〜」
こちらはこちらで呑気に仕上げのごま油を垂らしている
「兄ちゃん良い味付けしてるね〜よっぽど店長に絞られたのかい？」
「いえそんなこと無いですよ。サイゾウさんは優しい人ですから」
「本当かい！？この悪人面が？」
「ははは・・・悪人面は否定でき無いですけど優しいことは確かですよ」
客とアキトの会話は勿論サイゾウにも聞こえている。そして厨房の中に鈍い音と悲鳴が響いた
「けっ！それが草原で彷徨ってるのを拾ってやった恩人に言う言葉か！」
「だ、だからサイゾウさんは優しい人だって言ってたじゃないですか！」
「・・・・・・俺が言ってるのは人相のことだ！」
そして厨房に新しい音・・・今度は悲鳴は聞こえなかった恐らくサイゾウの一撃必殺が見事に決まった
のであろう。そしてアキトが目を覚ました頃店は閉店を迎えていた
閉店後の店の中で二人は夕食の後のお茶を飲んでいた
「アキト・・・本当に行っちまうのか」
昼間の人間とは比べ物にならないほど暗くそして悲しい顔をしたサイゾウがそこにいた
「はい・・・ここまで良くして頂いて本当に申し訳ないです」
「勝手なことを言っているのは十分解っています・・・でも自分にはやらなきゃいけないことがあるんです！
守らなきゃいけない人がいるんです！今度こそ・・・守りたいんです・・・」
アキトの言葉の最後の方は小さくなっていた。
「気にするなお前この店に来る前に自分で言っていただろう。自分は時が来たら行かなきゃ行けない場所が
あるって。なぁにそんなに落ち込むな！こっちは人件費削減に悩んでたんだ丁度いいぜ」
「でも驚いたぜ初めて会ったときにいきなり名前を呼ばれるなんてな。あん時は見ず知らずの他人にいきな
名前を呼ばれると思ってもいなかったからなみっともねぇことに慌てちまったぜ。だがもっと驚いたのは
お前が未来から来たってことだがな」
サイゾウはアキトに心配をかけないようにと思っていた。だから笑いながら憎まれ口を叩いた
「サイゾウさん・・・俺・・・」
「何も言うな俺はお前を信じるって言っただろ」
「サイゾウさん・・・有り難う御座います」
「だが最後に一つ答えてくれ。何故お前料理を作ってるときはあんなに明るいのに普段はそんなに暗いんだ？
まるで自分を殺しちまうほど・・・」
サイゾウはアキトと暮らしていた間ずっと感じた疑問をアキトにぶつけた
「俺は・・・未来で最後の最後まで守れなかった人がいるんです。その人はいつも俺を励ましてくれました
でも俺他の女性と結婚したんですけどやっぱりその人が好きなんだと思います。
でも料理をしている時はその事を忘れられたんですよ・・・だから」
「だからお前は料理を逃げ場にしてたのか」
「ち、違います！」
「違わねぇな・・・お前今のままじゃ何にも出来やしねぇぜ・・・逃げてるうちはよ。
でもまぁそこに行って解決出来れば逃げなくても良くなるんだろ？」
「サイゾウさん？」
「だったら行って来いやお前が逃げなくても良くなる日までな。今のままじゃ足手まといにしかならねぇ」
サイゾウは最後に笑いアキトの頭を叩いた
「本当に有り難う御座います・・・」
アキトは嬉しい気持ちと申し訳ない気持がいっぱいで過去に戻って初めて泣いた
「じゃぁ行ってきます」
アキトは働いて貯めたお金で買ったＲ−１に乗りながら言ったその目には揺るぎ無い決意が見えた
「おう！行って来い・・・ってアキトお前本当にその格好で行くのか？」
「はい？」
アキトの格好は全身黒・・・これでもかと言うほど黒その姿は以前周りの人間を大いに引かせた格好である
「・・・・・子供を泣かせるなよ・・・」
「？」
「まぁいいや・・・ところでお前行ってきますって言葉の意味知ってるんだろうな」
「？・・・一応は知ってますけど」
アキトは不思議そうな顔をした
「だったら帰ってくるってことだよな」
「あ・・・・はい！」
「よしなら良いんだ、帰ってくるときはお前の好きだった女連れてこい！やっぱり一人だと忙しくてな」
「年ですか？」
アキトが思わず身の程知らずな言葉を思わず吐く
「馬鹿野郎！いくら俺でも忙しいときに客の相手まで出来るかってんだ」
「冗談ですよ」
アキトは笑いながら言った
「この野郎・・・ん？そう言えばお前料理作ってる時以外で初めて笑ったな」
「え？・・・・そうでしたね」
「まぁ良いさ笑って送り合うってのも良いもんだ。何度も言うが絶対に帰って来いよ」
「約束します！」
「おう！じゃぁ行って来い！」
アキトがバイクでネルガル地下ドックへ向かって走っているとミラーに一台の車のヘッドライトが映った
「ユリカかな・・・あいつまたトランク落とすのかな」
そう言っている間に車はアキトのバイクを追い抜き前に出る・・・そして
「やっぱり・・・」
アキトはクラッチを握り３速落とした。そしてエンジンブレーキをかけながら後輪がロックするように
後輪ブレーキを踏むそして再びギアを落としニュートラルにする。車体をドリフトさせ横にして停車する
そして空中を舞っているトランクを両手でキャッチ
「すみません！すみません！本当にすみません！申し訳ありませんでした！」
ミスマル ユリカ火星での俺の幼なじみそして・・・未来で妻だった女性、守れなかった女性。俺はユリカ
の目の前でどんな顔をすればいいのか解らない・・・俺がそんなことを考えていると
「あの・・・怪我とかしてませんか？」
「あぁこの通り怪我なんてしてないよ」
「良かった〜ずっと黙ったままだったからもしかしたら怪我をして怒ってるのかなと思いまして」
「いや・・・俺のことより君の友達が荷物に苦戦している様だぞ」
「え？」
見るとジュンがユリカの荷物に悪戦苦闘している。そりゃそうだ・・・
あんな大量の荷物どうやってここまで来たんだ・・・
「ユリカ〜今更だけど荷物減らそうよ〜」
「駄目！ユリカが三日かけて選んだお気に入りグッズばかりなんだもん全部持ってくの！」
「はいはい・・・」
哀れジュン・・・完璧にユリカの尻に敷かれてるぞ
「ははは、君たち軍の人だよね？」
「はい・・・そうですけど」
ジュンが怪訝そうな目で見てくる
「ここだと行き先はネルガルの地下ドックでしょ？」
「はいそうですでもよく解りますね！」
ユリカ・・・ここに他に軍人が行くところは無いだろ・・・
「だったらそのトランクはバイクの後ろに縛って持っていってあげるよ。俺もそこに用事があることだし」
「え？そうなんですか？でも軍の人には見えませんよね」
もっともらしい御意見・・・それもそのはずアキトはやっぱり・・・・黒
「あぁでもちょっと会って話したい人がいてね」
「そうなんですか！でもご迷惑じゃありませんか？」
「気にすることないよ人間よりも軽いんだから問題ないよ」
「すみませんでわお言葉に甘えて御願いします」
「じゃぁ何か紐みたいなの貸してもらえないかな？」
「はい！ジュン君紐頂戴〜」
ジュン・・・やっぱり君は・・・女性に弱いんだね
「ユ、ユリカ！その人信用できるの？」
ジュン！君の意見は正しい！誰がこんな黒・・・信用出来る人は普通いない
「大丈夫！ユリカの感は当たるんだから！えっへん。それにジュン君失礼だよそんなこと言ちゃ」
いや・・・間違ってるのは君だと思うぞミスマル ユリカ
「はは、彼の言っていることは間違ってはいないよ。どうする？後は君の判断だけど」
「はい！じゃぁ御願いします」
ペコリと頭を下げるユリカ。アキトはそんな元気なユリカに未来の姿を重ねてしまうそして
ユリカをバイザー越しに見つめているとユリカがこっちをじっと見つめてきた
「どうしたの？」
「いえ・・・あの〜不躾な質問で申し訳ありませんがあなた何処かでお会いしました？」
「え？」
「何かそんな気がするんですけど」
「そうかな？・・・でもそうかも知れないね。でも今はお互い急いでいるんだろ？
その話は向こうに着いてから話そうか」
「そうですねご協力感謝します！では向こうで！」
そしてユリカとジュンの乗った車とアキトの乗るバイクが走り出した
「どうも有り難う御座いました！」
ユリカが元気良く挨拶するそしてジュンも一応頭を下げている
「いいよ気にしないで。あ、じゃぁ俺ちょっと用事があるからまた後で」
「はい！でわ後で」
早くプロスさんに会わないとナデシコの出向に間に合わないな
「ユリカ〜あの男と何話してたの？」
ジュン君只今嫉妬中・・・純情だね
「え？また後で会いましょうって話してだけだよ」
「後でって多分彼にはもう会えないと思うよ」
「そういえばそうだね。でも何か会えそうな気がするんだ」
そして何処か幸せそうな顔でドックに歩いていくユリカ
「ユリカ・・・・（涙）」
そしてこっちは対照的に泣きながらドックに歩いていった
一方アキトの方はというと
「ミスター貴方に会わせろという怪しい男を保護しました」
「ほぉ〜パイロットかね？」
アキトの手の甲にあるＩＦＳを見てプロスは問いかける
「どっちでもない・・・どっちも未熟だ」
「と言うように先ほどから訳の分からないことを言っていて」
「ふ〜ん」
プロスがＤＮＡでアキトの身元を調べようとする
「舌は止めてくれ腕にしてくれ」
アキトは以前の記憶で舌はやっぱり痛い！ということを学んでいた
「お話が解って頂けるようで有り難いですね。でわ・・・」
アキトの腕にプラグの先を付ける。ちくっとした痛みの後プロスの持っている機械に反応が出る
「貴方のお名前探しましょっと♪」
どこか楽しげなプロスペクター
「ほら出た〜・・・・・・天河 明人・・・全滅したユートピアコロニーからどうやって地球に？」
「それを貴方に話しに来たんだ」
「そうですか・・・解りました私の部屋に来て下さい」
「はい、助かります」
所変わってここはナデシコブリッジ
「どうして艦長がいないのよ！」
紅テング茸が騒いでいる。流石猛毒クルーも大人しい・・・だが
「馬鹿ばっか・・・」
健在・・・・・
そこへ遅れて来たのはナデシコ艦長ミスマルユリカ
「皆さ〜ん！私が艦長のミスマル ユリカで〜す！ぶい」
「「「「「「ぶいぃ！？」」」」」」
一同見事にハモってますハイ。
「また馬鹿ぁ？」
ナデシコオペレータのホシノ ルリが誰もが感じて誰もが言わなかった言葉を平気で口にする
「これでみんなのハートをキャッチ！」
したかどうかは知らないがそんなことを考えている艦長ミスマル ユリカこれでも軍の逸材
そして再びプロスさん達
「でわ貴方はボソンジャンプで未来から来たわけですか？」
プロスが信じられないと言わんばかりの視線でアキトに言う。
それもそのはず誰がそんなことをいきなり言われて信じるであろうか
「信じられないのは無理もありませんだが現に俺はここにいるそして未来を知っています」
「でわ質問を変えます、どうやって未来から来たのですか？」
「ボソンジャンプで来ました」
「何のために？」
アキトは考える・・・何故自分が過去に飛んでしまったのか
「・・・・・・・・・・・・・解らない・・・気が付いたら再び地球にいたんです」
「まぁ良いでしょう・・・で、貴方は私にどのようなご用件でいらしたのですか？」
「俺を・・・・ナデシコに乗せて欲しいんです」
「ほぅ・・・ナデシコを知っているのですか。未来から来たのはまぁ信じましょう
でもどうしてナデシコの事まで知っているのですか？一応機密なのですが」
「それは・・・俺がナデシコのクルーだったからです」
そしてアキトは未来での事をユリカの事をプロスに話した
「そうですか・・・貴方も大変ですね・・・よろしい！今日から貴方はナデシコのコック兼パイロットです」
「両方ですか？パイロットだけじゃなくて」
「貴方先ほど言いましたねどちらも未熟だと。だったら両方やって腕を磨いて下さい」
「感謝します・・・」
「それと・・・どうして私に話したんですか？」
「それは貴方が信用できる人間だからですよ」
「そうですか信用して頂けてこちらも嬉しいですね」
「それとプロスさんに頼みがあるんですが」
「何でしょう？」
「俺の専用エステバリスを開発してくれませんか？今のエステは俺の反応にきっと追いつけません」
プロスは暫く考える仕草をする
「う〜んそれは私の一存では決定しかねますな」
「アカツキの方には自分で言いに行きますから」
「会長のこともご存じなのですか！？」
「えぇ・・・戦友ですから」
「そうですか・・・でもどうやって？会長はアレでも忙しい人ですよ」
どさくさに紛れて結構酷いことを言っているプロスペクター
「あいつの部屋までジャンプするから大丈夫ですよ」
「そうですなテンカワさんはボソンジャンプ出来るんでしたね。
では出航までナデシコの中を見ていて下さい。それとテンカワさん貴方何故大人しく捕まったのですか？」
アキトがその気になれば警備兵が束になっても敵わないだろうとプロスペクターは見抜いていた
「プロスさんには敵いませんね・・・大人しくしていた方が貴方に会いやすいと思ったからですよ」
アキトは苦笑しながら言った
「そうですかそれは正しい選択かも知れませんね。
では私も出航前の準備が色々残っていますので失礼させて頂きますよ」
「はいわざわざ時間を取らせてしまって済みませんでした」
「いえ気にしないで下さいテンカワさんの貴重な体験を聞かせて頂けたのですから。では私はこれで」
さてこれからどうしようかな・・・・ガイはまた格納庫で変なことやってるのかな・・・・
「れぇぇっつごぉぉ！げぇきがんがぁぁ！」
ご名答・・・ガイは格納庫でまた無茶な事をしていた
「ゲキガンガーじゃなくてエステバリスだろうがよ」
「ふふふ・・・諸君だけにお見せしよう！ガイ様の超ウルトラグレート必殺技！」
「名付けて！がぁい！すぅぅぅぱぁぁぁなっぱぁぁぁぁ！」
ドスゥゥゥゥゥゥン！
「あ、こけた・・・ガイの奴いくらオートバランサーがあるからってあんまり無茶な動きには耐えられないのに」
「いやぁ〜やっぱロボットって良いよな〜足があって手があって思った通りに動くんだぜ！」
「そりゃ最新のＩＦＳだからな、これさえあれば子供だって動かせるよ」
「所で山田さんパイロットの乗船は３日後になってますよ」
「それは仮の名前・・・魂の名前はダイゴウジガイ！覚えて置いてくれよ」
そしてガイはその場に勢い良く立ち上がった
「あれ・・・・足が痛いかな？」
「おたく折れてるよそれ」
ウリバタケ班長の冷たい台詞
「な、何ぃ！・・・痛てててててててて！お〜いそこの少年！
俺の宝物がコクピットにあるから取って来てくれないか」
「あぁ解ったよ後で医務室に届けるよ」
相変わらずガイの宝物はゲキガンガーか・・・やっぱり過去はそのまま繰り返されるのかな・・・
ならこの後奴らの襲撃に合うはずだ
「現在敵機動兵器と地上軍が交戦中！繰り返す現在敵機動兵器と地上軍が交戦中！」
「奴らが来たのか・・・」
「敵の攻撃は我々の頭上に集中している」
ゴートが現状を冷静に報告する
「敵の目的はナデシコか」
「そうと解れば反撃よ！ナデシコの対空砲火を上に向けて敵を下から焼き払うのよ！」
紅テング茸が何も考えずに喚く
「味方も一緒に吹き飛ばすわけ？」
「ど、どうせ全滅してるわよ」
紅テング茸が少々焦って答える
「それって非人道的って言いません？」
紅テング茸が喚き散らしているのを無視してムネタケ提督が発言する
「艦長はどうするかね？」
「海底ゲート抜けて海中へその後浮上して敵を背後より殲滅します！」
流石は軍の逸材、戦略シュミレーション無敗の実績は伊達ではない
「そこで俺の出番さ！俺様のロボットが敵を引きつける！その間に発進！かぁ〜燃える展開だ」
「でもおたく骨折中だよ」
「あ・・・・」
ガイ燃え尽きる・・・南無
「囮なら出てるわ、今エレベーターにロボットが」
「ナデシコを落とさせるわけにはいかない」
「誰だ君はパイロットか？」
アキトが独り言を呟いているとフクベ提督が通信を送ってきた
「あいつ俺のゲキゲンガーを！」
「所属と名前を言いたまえ」
ガイが怒声を発しているのとは対照的にフクベ提督は落ち着いて対処をしている
「テンカワ アキト、パイロットだ」
「パイロットだぁ？パイロットなら何でパイロットスーツ着てないんだよ！」
言うなれば黒・・・やっぱり何処に行っても怪しさが先に滲み出る不幸な男である
「え〜テンカワさんは先ほどパイロット兼コックとして雇いました」
プロスさんナイスなフォロー貴方がいなければきっと信用してもらえなかっただろう
「ユリカあの人」
「うん・・・テンカワ・・・・・・アキト」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・
「アキト！アキトだぁ！懐かしいそっかアキトかぁ何でさっき知らんぷりしてたの？」
ユリカの怒濤の言葉マシンガンにアキトが落ち着いて答える
「だからさっきも言ったろ？そうかも知れないって」
「相変わらず照れ屋さんだね！でもさっきは有り難う！」
「いやいいよ。それより俺がこいつらを引きつければ良いんだな」
「うん！でもアキトを危険な目に合わせられないよ」
「ちょ、ちょっとユリカ！あいつ誰なの？」
「私の王子様！ユリカがピンチの時いつも駆けつけてくれるの！」
「ユ、ユリカ・・・」
ジュン撃沈・・・
「俺のことは大丈夫だそれよりどのくらい引きつければ良いんだ？」
「うんえっとね・・・」
「作戦時間は１０分間とにかく敵を引きつけろでは健闘を祈る」
すかさずゴートさんの割り込み。
「ぶぅ〜」
ユリカがいじけゴートの方を睨みながら抗議の声を漏らす
「１０分か楽勝だな」
「ナデシコと私たちの命は貴方に預ける！必ず生きて帰ってきてね」
ここぞとばかりにユリカがアキトに話しかける
「再びリョウコちゃんと会うために俺は宇宙へ出る！そのためにナデシコは沈めるわけにはいかない！」
アキトの言葉はエレベーターの地上到達時の音に掻き消された
「行くぞ！」
アキトの駆るエステバリスが背中のバーニアを噴かしながら空を飛ぶ更に着地間際に太股の部分に内蔵
されているナイフを抜くそしてアキトの乗るエステバリスはジョロやバッタの中に向かって突き進む
アキトの通った後は敵の残骸が残っていた
「くぅ！やっぱり鈍い！」
それでも３分戦った今でも被弾率は０％敵は３０％消滅している。
アキトは右のワイヤードフィストで一機のバッタを捕まえて敵ミサイルの盾として使った
「テンカワ機、敵機動兵器の半数を破壊！」
「注水８割完了ゲート開く」
「エンジン良いわよ」
「ナデシコ発進です！」
「了解ナデシコ発進」
「そろそろか・・・」
アキトは反転して海の方にローラーダッシュをする。その間も敵の攻撃は続くがアキトには掠りもしない
アキトが海にジャンプして着水すると同時にナデシコが浮上した
「アキトお待たせ！」
「予定より早かったじゃないか」
「貴方のために急いで来たの！」
「そうか・・・」
俺は・・・俺のことを想ってくれるユリカを裏切ろうとしているのか・・・でも俺じゃユリカを幸せに
することは出来ない。俺はやっぱりリョウコちゃんのことを・・・・
「敵残存兵器有効射程内にほとんど入ってる！」
「目標敵まとめてぜ〜んぶ！ってぇぇぇ！」
「流石はグラビティブラストか」
「戦況を報告せよ！」
「バッタジョロ共に残存はゼロ！地上軍は被害は甚大だが戦死者数は５！」
「アキト！凄い凄い！さすが〜！」
「褒めすぎだこれくらいパイロットなら出来るだろ」
「そんなことないよ！でもアキトはやっぱり私の王子様だね！
ユリカがピンチになったら駆けつけてくれるんだものユリカ感激ぃ！」
「いや・・・俺はそう言うわけじゃないんだが」
「うんうん何も言わなくても解ってるよ！アキトのことは何でも解るから！」
「いやだから俺は・・・」
「私のこと迎えに来てくれたんでしょ？」
「いや・・・・・ちょっとまて」
「でもアキトが言うならユリカはいつだってＯＫだよ！」
「あの・・・すみません・・・ユリカさん・・・？」
「でも後でお父様の所に挨拶に行かないとね」
「俺の話を聞いてくれぇぇぇぇぇぇぇぇ！！」
弐話へ続く・・・面接が無事に終われば
後書き＆言い訳
ども流星です。
壱話・・・プロローグと比べていきなり長くなってしまいました・・・（汗）
一応テレビ版のストーリーに沿って行くつもりですが・・・テレビ版と同じ話数で
終わるのかちょっと心配です・・・。
こんな駄文で済みませんが良ければ感想をください
でわ〜
管理人の感想
燃え尽きない流星さんからの初投稿です！！
まあ、確かに劇場版の格好で道端に立たれたら恐いですよね（苦笑）
しかし、そこでサイゾウさんに出会うとは・・・まさに運命（爆）
流星さんの作品では、アキト×リョウコらしいのですが。
さてさて、すんなりと結ばれますかね？（笑）
では、流星さん！！ 投稿有難うございました！！
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