第九話 海での思い出
「…と言う訳で、テニアン島に落下した調査をやるわよ!!」
「この私と!!私のナデシコが!!優秀な為に命じられたのよ!!」
「って!!何で誰も私の話を聞きにブリッジに来ないのよ!!」
ピッ!
『説明しましょう…ふあぁぁ、因果な性格よね、私って。
現在の時刻は午前二時、日本で言う丑三つ時……こんな時間は普通皆寝てるわよ…
おやすみぃ』
ピッ!
操舵席に座っていたミナトも席を離れる。
「ちょっとアンタ!!私の話を聞きなさいよ!!
持ち場を離れちゃダメよ!!アンタ操舵手でしょ!!」
「だって交代だもん。
じゃ、後宜しく。」
そう言ってエリナとハイタッチしてブリッジを出て行く。
「テニアン島ね…
青い海、白い砂浜、灼熱の太陽…
これは、アレが必要ね。」
昼食時の喧騒が嘘の様に静まり返った食堂に、俺とルリちゃんはいた。
「ラーメン一つ、お願いしますアキトさん。」
「了解、ルリちゃん。」
今は、ホウメイさん達も休憩の時間で、俺達二人だけしか食堂にはいなかった。
「…久しぶりにアキトさんの実力を見せてもらいました。」
「う〜ん、あそこまでやるつもりは無かったんだけどね…」
俺は手際よく、スープのダシを取りながら応えた。
「それでは、どうしてあそこまで、実力を見せられたのですか?」
「…今までね、エステの機体が俺に追い付いていないこともあって、皆に助けられながらだった。
ただ、何時までもそのままだと、それに慣れてしまうと駄目になるって思ってね。」
「どうしてです、皆ナデシコの仲間なんですよ。
アキトさんが言っていた家族ですよ、頼っても良いじゃないですか!!」
「確かにね……今の内なら問題ないよね。
でも、アイツが出て来るまでに俺はもっともっと強くなってなきゃいけない。
ギリギリのところで勝利するのではなく、圧倒的な力で勝てるようにならないと、
また大事な人を、ルリちゃん達を巻き込んでしまう事になるからね。」
俺は先程打った麺を熱湯に入れて茹でながら答えた。
「……どうしてですか?
どうして一人で戦おうとされるのですか?
私だって、ラピスだっているのに………私達では助けになりませんか?」
余りに弱々しいルリちゃんの声。
「確かに、ルリちゃんやラピスはもう巻き込んでしまっているよね。
でも、二人は直接アイツと戦えない…戦ってはいけないんだ、俺はそう思ってる。
その為にも、ルリちゃん達を護る為にも、もっと強くなりたいそう思ったら、ああなってた。」
「…アキトさん。」
「おっと、麺が延びちゃうな、
はい、お待ちどうさまルリちゃん。」
「…いただきます。」
俺はルリちゃんがラーメンを食べるのを正面から見つつ、食器を洗っていた。
そして、一言だけ付け加えた。
「心配してくれて、ありがとう、ルリちゃん。」
「この間は、アキトに励ましてもらったし、今度はユリカの番だよね!!
私が特製のお夜食を、アキトに作ってあげるんだから!!」
「やれやれ、急に厨房を貸してくれだなんて言うから、何かと思えば……」
「あれ〜〜?
塩が無い?ならこの白いので良いや!
小麦粉は、多分これだよね…うん、大丈夫だよね、全部食べれるものだし!!
さて、お次は………」
「………テンカワも災難だね〜」
そう思っても口も出さず、止めもしないホウメイ。
……料理人なんだから、しちゃいけないことは止めろよ……
「出来た〜〜!!
待っててね、アキト!!今持って行くからね!!」
コンコン!
こんな時間にやって来る女性なんて、今日はいない筈だが?
プシュー!
おいおい、ロックしておいた筈だぞ?
こんな事が出来て、尚且つこんな時間に俺の部屋に来る人物といえば、
「ア〜キ〜ト〜!
ユリカね!お夜食作って来たの!!」
ピキッ!!
俺には解った。
音がしない筈の空間に、何かが凍り付く様な音がしたのを俺は確かに聞いた。
そして、その後に待っている事が死ぬ可能性が有る事を、俺は直ぐに悟っていた。
逃げろ!逃げるんだ!!○○○ーー!!
どこからか、そんな声が聞こえてくる…
しかし、ユリカにはそんな声は聞こえていないらしい、
俺の目の前で料理の蓋を取ってしまった。
「はい、アキト♪
ユリカの自信作だよ、あーーーーん♪」
「い、あ、…」
拒絶の言葉を発しようとするも、その匂いだけで俺の言語中枢は麻痺させられていた。
そこへユリカは無理やり俺の口の中にスプーンを入れて…
「ぐわああぁぁぁぁぁーーーーー!!!」
俺の叫び声は凄まじく、百キロ先の民家でも声をはっきりと聞き取れたという。
その叫び声を聞いたのか、メグミちゃんが俺の部屋にやって来て、
「アキトさん!!大丈夫ですか?」
この時、俺の理性は俺の手の動きを止め様としていた。
しかし、身体の方は、勝手に動いていた………
そして、俺はメグミちゃんからの毒薬の差し入れを飲み干していた。
「……………………………」
俺は何も言えず、
ただ、黄泉比良坂って登れるのかな、そんな考えと共に旅立っていった…
「消毒班!!急いで食堂を処理して!!
毒物が特定されるまで一般人の出入りは禁止よ!!」
「その毒物は後で私が分析するから、サンプルは残しておいて!!」
結局、毒の種類は特定する事が出来なかったという…
俺はまだ、旅立たなくても良かったらしい。
気付いた時にまず思ったのは、それだけだった。
その後、徐々に生きている事の素晴らしさ、生命の偉大さ、尊さに思い至った。
「…生きてるって、凄い事なんだな…」
もう少しで、神の悟りを啓くところだったぞ。
「…本当に…」
俺の率直な感想に、何のテレも無く同意の言葉が返ってきた。
「ジュン、何故お前が此処にいる?」
「君と同じ理由だよ…」
理由が解っても、何の慰めにもならない事が世の中には沢山ある…
「生きてて良かったな。」
「お互いにね。」
俺達二人にそれ以上の言葉は要らなかった。
そう、同じ死地からの帰還者達には、その者達にしか解らない事があるものなのだ…
太平洋、赤道直下の小さな島、テニアン島。
本来個人所有の静かなこの島に、似つかわしくない掛け声が響いた。
「パラソル部隊、急げぇ〜〜!!」
「「おおーー!!」」
リョーコを筆頭にしたパイロット三人娘が、水着姿で一番槍を取った。
「女子に負けるなーー!!」
男性陣もウリバタケの声の下、負けじとビーチに飛び出して行く。
もはやナデシコの行う調査活動など、夏休みが始ったばかりの小学生並にしか、
彼らの頭の中には、残っていなかった。
何故かプロスやゴートもその中に入っている……もう、一般の企業じゃ働けないね君達…
そんな中、一人制服姿なのがエリナ。
「ちょっとぉ、待ちなさいよぉ!
私達は仕事できてるのよ!遊びじゃないんだからね!!」
誰もエリナの話など聞いてやいない。
「もーー!ちゃんと話を聞きなさいよねぇ〜〜!!」
そんな事を叫びながらも、制服を脱ぎ捨て、水着になりつつビーチへと駆けていった。
所詮、ナデシコクルーの意識などこんなものである…
「さてと、ユリカやメグミちゃん、それにリョーコちゃん達はビーチバレーで、
イネスさんや、ミナトさんは体を焼いていて、ルリちゃんとエリナがパラソルの下、と。」
誰の所に行くべきか、考える所だな…
有り得ないのが、アクアのもとへ行くという前回と同様の選択肢だろう。
いくら俺でも、あんなオカシイ娘に近付きたいとは思わないぞ。
色々迷ったが、余り面白そうにしていないルリちゃん、エリナのもとへ行く事に決めた。
「ルリちゃんもつまんないんじゃない?
こんな時ぐらいは遊ぼうよ、エリナさんも、ね?」
エリナの方へ心持ち比重を置いて、誘いをかける。
「そうですね。
たまには、遊んでもいいですよね。」
ルリちゃんは素直に従ってくれた。
後は、エリナだが…
「エリナさんも一緒に遊びませんか?」
ルリちゃんがエリナも誘っている。
本当に良く出来た娘だよ、ルリちゃん。
ルリちゃんの誘いもあり、三人で遊ぶ事となったが、
「折角海に来たんだから、泳ごうか?
あと、ボートで少し沖に出るのもいいかもね。」
「はい、アキトさんがしたいもので結構ですよ。」
「わ、私も、別に、アキト君に、反対しようとは、思わないわよ。」
提案し甲斐の無い二人だが、まあしょうがないだろう。
今は、エリナと二人でボートに乗っている。
どうしてこうなったかと言うと、ルリちゃんがミナトさんに日焼け止めのクリームを塗って貰っている間に、海に出てしまったのである。
しかし、エリナの奴元気がないな?
「エリナさん、先程から元気がないようですけど、俺が無理に誘ってしまったからで
すか?」
そんな事は有り得ないと知りつつも、一応尋ねておく。
「う、ううん。そんな、わけじゃ、ないんだけどね。」
「そうですか、なら良いんですけど。
ほら、見てくださいよ、見渡す限りの青い海。」
「反対側にはナデシコが止まっているけどね。」
むむ。
「燦燦と降り注ぐ灼熱の太陽。」
「肌が弱いから、余り強い日差しは受けたくないのよね。」
むむむむむ。
流石は、エリナだな。
全てに、否定的な返答を返すなんて。
「あの、アキト君。
一つ質問しても良いかな?」
「はい、何です?」
「君、火星から来たということだけど、どうやって激戦下の火星から脱出してこれたの?」
とても、ストレートな質問の仕方だな、エリナ。
それは小細工をしてもしょうがないと思ったのか、俺を見下しているのか?
まさか、素直に答えるとは思っていまいが…
「あれ、プロスさんに聞きませんでしたか?
気付いたときには、既に地球にいたって。」
「確かにそう聞いたわ。
じゃあ、気付いた時の服装は、何時の間の記憶がないの……」
「あの、エリナさん。
どうしてそんな事を知りたがるんです?」
意地の悪い質問だが、しておかなければならない質問でもある。
「え、いや、その…」
「大丈夫ですよ、エリナさんがネルガルの会長秘書で、
アカツキの奴が、ネルガル会長だということは知ってますから。」
「な、何故それを?」
「ルリちゃんがいますから。
やっぱり、ネルガル関係で俺の事を見ていたんですね。」
自覚はあったのか言葉に詰まるエリナ。
ここで、追撃の手を緩めるのはただの馬鹿だ。
しかし、ビーチから丸見えだからな、下手な事は出来ない。
非常に残念な事だ。
「俺は、ネルガルの会長秘書ではない、エリナさんに興味を持ってもらいたいです。」
エリナの手をボートの影になる部分で握る。
「会長秘書ではない、私?」
「そ、ただの人としてのエリナさんが、俺に関心を抱いてくれると、嬉しいんですが。」
意味が理解できたのだろう、赤くなり、逃げ出そうとするがここは海の上。
逃げ場なぞどこにもない。
「まだ、時間はありますけど、もうそろそろビーチに帰りますか?」
手を離そうとは、もうしていないエリナ。
眼も心なし潤んでいる。
俺は過去のエリナを思い出していた。
やっぱりエリナは口ではキツイ事を言いながらも、本当は可愛らしい人なんだよな。
嬉しくなってワザとボートを揺らしたのは失敗だったな。
予定通り、エリナは俺に寄りかかって来たんだが…そう、見えているんだったよな…
睨んでいるルリちゃんには火星からの跳躍について聞かれたと言えば、納得してくれるだろう、
とりあえず、二人になった事には……
今回のテニアン島は何事もなく無事終了…になる筈もなく、
帰ってみると、ガイがいなくなっていた。
……もしかして、あのお嬢様のところへ、なんてことはないといいけどな…
「ちょっと!!アンタ達!!これはどーゆー事よ!!」
見て解らんのかキノコ。
ま、所詮キノコだしな。
「新型チュ−リップの探索は、どうなってるのよ!!」
だから、聞いちゃいないって。
「ちょっと!!アンタ達、解ってるの!!この任務は!!」
ズボッ!
ものの見事に落とし穴に嵌まった…
そこを見逃さず、一斉に埋めに走るクルー……実はキノコの話も聞いていたんだなお前達。
暫くして、周りの気配が変わってきた。
これに気付いているのは……俺、プロスさん、ゴートさんの三人か。
ゴートさんが森へ行こうとするのを見て、俺も手伝う事にする。
「ルリちゃん、これからちょっと出かけてくるね。」
「はあ?」
「結構手強いな…
少し手間取るかもしれないな…」
木の陰に隠れつつ相手の力量を推し量っているゴートさん。
「手間取っているようですね、ゴートさん。
お手伝いしましょうか?」
後ろからの突然の声に驚いているゴートさん。
「何時の間に…
それよりもどうしてここに?」
「ゴートさんが森に入っていくのが見えましたから、ついて来ただけです。
それより相手はクリムゾンのシークレットサービスの中でも上の人間でしょう。
いくらゴートさんでも、一人じゃ辛いんじゃありませんか?」
「……俺のことも知っているのか?」
「はい、ルリちゃんに教えてもらいました。」
「そうか…
なら、クリムゾンを知っていても不思議はないな。」
諜報関係の人間があっさりと納得していいのか?
ゴートさんなら後で裏をきちんと取るだろうが、ルリちゃんとオモイカネがいるから大丈夫だろう。
「テンカワ、格闘の方は?」
「何処に行っても恥ずかしくないつもりですが。」
「ふむ。
右五人を俺がヤる。テンカワは左の四人を。」
その言葉が消える前に、俺もゴートさんも姿を消していた。
首の付け根を強打する。
「まず一人目。」
殺しはしない。
今回は相手を無力化出来ればいいのだから。
「実はこいつ等は下っ端なのか?」
二人目も簡単に倒せてしまったために返って不安になってくる俺。
確かに俺のレベルまで来いとは言わないが、余りにもお粗末なレベルだぞ。
ヒュン!
やっと反撃のできる人間だ。
しかし、まだまだなのは変わらないがな。
男の鼻に頭突きを一発入れ、怯んだ所に左のハイキック、これで終わりだった。
「これで残り一人。」
「俺がラストかい?」
そう言って出てきた男は、鍛えられているのが良く解る目をしていた。
「俺は武術家タイプでね、一対一で拳を使ったほうが勝機がありそうでね。」
悪くない考えだな。
全力を尽くせる戦闘方法に相手を誘い込む。
「いいだろう…付き合ってやるよ!」
男は俺の膝を狙って地を滑らせるように足を出す。
それに対して俺は、膝を曲げ正面に出す、そこで男の体勢を崩しておいて掌底を放つ。
それをバックステップでかわしながら、話しかけてくる。
「さすがに、こんな見えみえのじゃ無理か。」
「五月蝿い男だ。」
「それが取り柄なもんで!!」
男が中段正拳打ちを放つ、それを横にズレながら腕を掴み、
そのまま一本投げ背負いのように男を投げ飛ばす。
もう一度向き合う。
「さて、時間もないことだし次で終わりにしようか。」
「遠慮しないで、まだ付き合ってけよ!」
言葉と共に目潰しを狙って手が翻ってくる。
バックステップでかわす俺、それを追って男が前に踏み出した瞬間、
俺も前に踏み込み男と体がぶつかるくらいの距離に入り込む。
「くっ!!」
男が無理に距離を取ろうとしなかったのは流石であるが、
ここまで内側に入られると、男には打つ手がなくなっていた。
「じゃ、眠ってろ!」
最後は首を叩いて気絶させておく。
こうして倒した四人の男を一箇所に纏め、縛り上げておく。
男達が落ちているのを確認してから、ゴートさんの方へ向かう。
「流石ですね、ゴートさん。」
「……テンカワ、お前は何処で諜報戦や野外戦を習った?」
俺の言葉には答えず、鋭い眼差しを俺に向けてくる。
「……今は答えられません。」
「お前は強すぎる。
そう、余りにも強すぎる……ここで排除しないと、後悔する時が来るかもしれん。」
「…排除、しますか?」
俺とゴートさんの間に険しい雰囲気が漂う。
「いや、止めておこう。
ナデシコの女性クルーを敵にまわす事ほど、恐ろしい事はないからな。
それに、お前の眼は曇っていないからな。」
「有り難う御座います。
時が来たら、お話しできると思います。」
「俺の名前はガイ!ダイゴウジ ガイだ!!」
「私の名前はアクアです。」
「何!!君はアクアマリンなのか!!
これこそ運命の出会い!!」
「そう、これこそ運命の出会い。」
「君と俺とは赤い糸と過酷な運命で結ばれている!!
だが、俺はその運命を乗り切ってみせる!!」
「そう、私達は悲劇という運命で結ばれているの。」
「おお!!この建物はまさに研究所!!ここに博士も!!」
「私達はここで死ぬの。」
「美味い!美味いよ!アクアマリン!!」
「愛し合う二人の最後。」
「いや〜!俺は幸せだよ!!
ナデシコの女性には、こんな家庭的な事は出来ないからな!!」
「私は憧れていたの!悲劇のヒロインに!!」
「フフフ…アキト!!見たか遂に俺にも運命の人が現れたぞ!!」
「迫りくる戦火、愛し合う二人に最後の時が!!」
俺達は思う存分リゾート気分を堪能した後、本来の任務に戻った。
「あれが新型チューリップか?
さっそく破壊しますか。」
「待て!!…あれは何?
バリア発生装置?」
「しかも…クリムゾン家の紋章入り?
何を考えているんだクリムゾンは?」
「アクアマリン…君は俺が守ってやる!!
君がこんな事をしたくないって事を俺は知っている!!」
「即効性の痺れ薬、私の夢を叶えてくれる薬。」
「そう!!君は無理やりこんな事をさせられているんだ!!
しか〜し!!このダイゴウジ ガイが君を救ってみせる!!」
「さあ、一緒に死にましょう。」
『バリアが邪魔で攻撃が十分に利かない!』
アカツキによる一撃も効果なし、か。
これは普通の攻撃では利かないか。
『……テンカワ、お前ならどうする?』
『そうそう、アキト君はこういう場合ど〜するのぉ?』
『是非、聞きたいわね』
俺のやり方、としたら…
「う〜ん。
ま、アレをやるしかないだろうね。
リョーコちゃん達は向こうに避難してて。」
『僕はどうするんだい、テンカワ君?』
「アカツキにはあの建物に人がいないか確認してみて欲しいな。」
『了解。』
これでガイも見つかるだろう。
「さて、終わらせるか。」
俺が格納庫に戻ると、アカツキが待っていた。
「…テンカワ君。」
「どうしたんだ?」
「…彼を見つけて連れ帰ってきたんだが……
アクアマリンを救うって叫んでいてね、そのくせ、動けずに床に転がっていてね。
僕には彼が何をしたかったのか、全然わからないんだが。」
「いや、俺にも解らないな。」
「あら、こんな所に人が。
うふふふふ…貴方は私と死んでくれるの?」
「へ、アンタ誰よ!」
「もう直ぐこの辺りは満潮で海の底…一緒に悲劇やりましょう。」
「ちょ、ちょっと、何なのよ!この子は〜〜〜!!」
「俺、本気で転職したくなってきた。」
「俺も…辛すぎるな、この仕事。」
「今回は怪我人も結構でたしな。」
「ああ、強かったな。」
「本気になってたら、俺達瞬殺されていたかもしれないぐらいにな。
二度と、アイツの前には敵として立ちたくないな。」
「生き残れた事を、感謝しないとな。」
「しかし、アイツは何もんなんだか…」
後書き
今回は真面目な(?)アキトでした。
実際問題、どうすれば落としたというのでしょう?(表で書ける物で)
最近わからなくなってきました。
戦闘シーンがまるで書けない…最低な私