遺跡の被害者達


第三話 深緑のエステバリス その2




何故、出てきてしまったのだろうか。


デルフィニウムのミサイルをライフルで落としながらふと思う。


大体俺は、コックであって、エステバリスライダーじゃない。

こいつに乗っていたのも、眺めていたらウリバタケさんが乗ってみたらどうだと言ってくれたので

言葉に甘えて乗ってたんだ。


まだエステに乗る決心はついてなかったんだ。


…それなのに春海の奴は!!


「あっ、幸助。エステに乗るの…なら、出撃してもいいわね♪」


出撃しようとして春海に見つかった包帯熱血男(名前は確か、山田だったかな?)の首絞めながら言いやがって(怒)

さらに俺が拒否しようとすると。


「ちなみ拒否権はないので、そのつもりでね♪」


ゴキッ!


山田の首を折って脅してきた。(拒否したらあなたもこうなると言う脅し)

俺も戦いにはそれなりの自信はある。やろうと思えば、プロでも十分食っていけるだけの実力はある。

だがな!…春海と梢、あれは違う。あれは動く軍事兵器だ!!

特に春海、あいつはマジで化物だ!

いつもの笑みを浮かべながら海を割り、山を削り、遊園地を破壊し、研究所をこの世から消す。

ナデシコも春海の手にかかれば、二時間で破壊可能だろう。

テンカワもそれなりの腕を持っているらしいが春海には敵わないだろう。

それだけ化物なのだあの女は…


「……どうして俺は化物姉妹の間に生まれたんだろうな…」


いくら、先祖代々女難だからって生まれた時から女難はいくらなんでも酷すぎる!

せめて親父と同じく物心ついた時からにして欲しかったよ、まったく。



ドカーン!!



…考えにふけりすぎたらしい、デルフィニウムに囲まれてしまった。


これは…………ピンチだな。




ピッ!





画面が開き、中性的でいかにも優男といった男が現れる。

こいつが、サフィちゃんが言っていた、ナデシコの副長だな。

確か、テンカワが行くまで撃墜するなだったけ?



『お前の負けだ。おとなしく降伏しろ!』



降伏ね。出来たらしているよ。だがね!



「俺は火星行かなきゃならない。だから降伏はしない。」


火星に行って、あいつらを助けに行かなきゃいけない。

そして……………


『そうか…なら機体を破壊する!!』



全方向よりミサイルが発射された。










「頭に来た!」





「……バカですね。」











田中(弟)の無断出撃から遅れること15分、ナデシコを発進した俺の目に飛び込んできたのは

宇宙の藻屑を化したデルフィニウム数機と無傷で宇宙を漂う、一機のエステバリスだった。





ピッ!!





『テンカワ、遅かったな。』


「あ、ああ!すまなかった。遅れて。」


『別に…あっ、副長な、あそこにいるぞ。』


田中(弟)の指した先には、半壊したデルフィニウムが一機、宇宙の屑と共に浮いていた。

ジュンのことだから、特攻して返り討ちにあったのだろう。

あいつらしいと言えばあいつらしいな。


『ちなみに、副長は気絶中だ。…そう言えば、ユリカとか呟いていたな。』


そう言って田中(弟)は苦笑する。どこか悲しみがこもった笑みを。


ああ、なるほどな。

俺は唐突に理解した。この男は俺と同じなんだ。

力がなかったばかりに大切な人を守ることができなかったんだ。こいつも。

多分、それは…


『……なあ、テンカワ。一つ聞いていいか?』


「ああ」


『もし、もしもだ。一つだけ願い事がかなうとしたらお前は何を願う?
金か、地位か。それとも…』


言い終える前に田中(弟)は遠くを見る。


願い事…俺は既にかなっているな。

もう一度やり直すという願いがな。


「……お前なら、どうする?」


『…さぁな。俺にも分からん。』


多すぎてなと田中(弟)は言った。


「……そうか」


俺には何も言う資格はない。だから相槌を打つだけにした。


『さて、ミサイルが来る前に俺は帰るとするか……済まなかったな。くだらない話につき合わせて。』


「いや」


『…ありがとう』


副長はやくしないと窒息死するぞと言い残し深緑のエステはナデシコに帰還していった。


ありがとうか…別に俺は何もしてはいない。ただ話を聞いただけだ。



「…ジュンを回収するか」



この状態で、ミサイルでも飛んで来ようものなら、ジュンは本当にあの世行きになってしまう。

それでは、意味は無い。


「説得は…まあ、後でいいだろう」


どうぜ、ジュンのことだ。ユリカの一言で折れるに決まっている。


俺は、説得はユリカに任せる事にして、ジュンを回収し始めた。
















「あっ!田中に子供の事、ばれていること言うの忘れてた」


まっ、いいだろう。死にはしないさ…多分。















『田中君、これどういうこと?』


「はっ?」


『婚約者と子供が二人もいて、こんなに女性を落としてるんですか?
それも、下は小さい子供から、上は未亡人まで!!』


『説明しなさい!艦長命令です!!!』


「…サフィちゃん」(泣)


『すいません(でも、これぐらいはしていいですよね。)』


『とりあえず、田中さん。ブリッジに来てください。
そこでたっぷり話を聞きます』


「……はい」


遺書でも書いておくか…マジで。


























おまけ。




「副提督。何処行かれるんですか」(ニコリ)


「ビクッ!」



ドサクサに紛れて脱出しようとした、ムネタケ副提督と部下達は、春海に見つかり

地獄を見たが、なんとか脱出したそうだ。(本当の所は春海がわざと逃がした所だろ)












あとがき


彰吾 以下彰:終わった。終わった。

エリス 以下エ:遅いわよ、一週間以上かかってるじゃない。それに、また私が出てきてないし。

彰:俺だってそれなりに忙しいの。それにお前は、イネスさんや香奈と由那(幸助とエリスの娘達)達と火星だろうが!!

エ:そうだけどさ…

彰:そうだ!…さて、これも書き終えたし、あれでも書くか。

エ:…なんか納得できないんだけど。

彰:納得しろ!!ついでに次回予告もしておけ


エ:うん……次回、遺跡の被害者達 第四話 仮面。(梢登場!)

見てやってください。

彰:ではでは(できればご意見、ご感想ください。お願いします)

 

 

代理人の感想

ん〜む、話の筋だけではいまいち。

もっとですね、話の本筋以外にキャラクターの葛藤とか相克とか。

あるいはノリのいい会話でも挟まないと「面白い話」とは言えないのですね。

 

後ですね。

えーと。梢って誰?(爆)