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機動戦艦ナデシコ 〜DEFY HISTORY〜
第壱話
火星極冠遺跡某所
「もう一度・・信じてみたいんだ・・・大好きだった・・・ゲキガンガーを・・・そして、熱血を・・・」
「・・アキトさん・・・」
二人の唇が自然に近づく・・・
「・・・ん・・・んん・・・」
二人が濃厚なキスをしている間にも二人の顔、体中、にナノマシンが輝き出す。
そして、ナデシコはボソンジャンプの演算ユニットごとジャンプした
星の数ほど人がいて、星の数ほど夢がある・・・・・・・そして、野望も・・・・・・・
此処は無限に広がる大宇宙、そこに一隻の白と青のフォルムの戦艦が行く。
そう、その艦は言わづと知れた試験戦艦ナデシコBである。そのメインブリッジ。
「皆さ〜ん、御久しぶり!私が艦長でーす。ブイ!」
懐かしくも何処かの誰かさんが奇声を上げてブイサイン。
「・・・・・・・・あ、あの〜艦長?いったい何処に向かって話してんです?」
御気楽艦長ことミスマル・ユリカの奇声に律儀に突っ込む世界一不幸な少年
マキビ・ハリ、君の人生もう終わっているんだ諦めろ。(泣
「こーゆーのはサービスが肝心なんだよ。ハーリー君!」
「サ、サービス?ですか?」
ハテナマークの浮かぶハーリー、(この人は、未だに良く判らないや)
ブリッジを正面から見て中央にハーリー、左にサブロウタ、右にユリカ、が座っている。
中央はユリカが座るのだが、もともと[電子の妖精・ホシノ・ルリ]によるワンマン・オペレーション用試験戦艦なので
[電子の妖精]亡き今は、オペレーター用IFSを持っているハーリーが座っている。
「サ〜ブちゃん。つけ払えよ〜」
「サブゥ〜何処ほっつき歩いてんの?連絡しなさい!他の女とイチャイチャしてたら許さないんだから!」
「なはははは・・・・・・」「以上で留守番伝言映像サービスを終了します。」
サブは情けなく笑っている、それに突っ込みを入れるのはやはり彼だ・・・・・・
「僕は、木連の軍人さんは真面目な人ばかりだと思っていました・・・・・」
「あっ、見てたの?」
「見たくなくても、見えますよ。」
「あっ、そっか、なはははは・・・・・」
「タカスギ大尉!!」
サブロウタのいい加減な態度にハーリーが大声を上げる。だが此処には奴が居る。
「いいな〜サブロウタ君・・・ユリカもハーリー君と遊びたいな〜サブロウタ君ずるすぎ!プンプン」
さすがユリカ仕事中に遊びを優先させようとは、恐ろしいかぎりである。
ここで世界一不幸な少年が泣いていてた事を誰も知らない。
「艦長。もう直ぐターミナルコロニーサユリです。」
その時、一人のオペレーターがユリカに伝える
「よ〜し、本艦はこのまま前進!ジャンプシステムとジャンプルート確認よろしく!」
「了解!!ルート確認!タギリ、タヨリ、タギツを通ってアマテラスへ!」
「ディストーションフィールド最大!回線閉鎖!視覚防壁展開!センサーその他オールOK!」
[良くできました]などのウインドウが咲き乱れる
「よ〜し、んじゃぁ、ジャンプ!!」
ドン! 机を激しくたたくハゲオヤジ
「何だ!貴様らは!」今度はツバを飛ばしながら怒鳴るツルツルハゲオヤジ。
オヤジの前に立つ三人。
「宇宙連合軍、大佐、ミスマル・ユリカです。ブイ!」いつもの調子のユリカ
「同じく、連合宇宙軍、大尉、タカスギ・サブロウタ」こいつはこいつでいつもの調子
「ここはヒサゴプランの中枢だ!開発公団の許可は取ったのか!」
またツバを飛ばしながら叫ぶオヤジ、当社比、2倍である
「採ったから居るんじゃないの?」タメグチで、あんたはバカか?といった口調で返すサブロウタ
「何だとーー!」今度はムカズキ度120%アップである(当社比)。苛立ちをかくせ無いハゲオヤジ
「あ、あはは、単なる横浜弁です。ちゃんちゃん、あはははは」
もう、自分が何を言っているのかわからないハーリー、その時、壁にもたれていた男山崎が口を挟む
「まぁまぁ准将、ここは、栄えある宇宙連合軍の大佐殿に納得していただくためにも・・・・・・・・」
山崎がニヤリと不敵な笑みで笑う
「は〜い、皆さん未来の交通手段ボソンジャンプを研究するヒサゴプランの見学コースへよ〜うこそ案内は、マユミお姉さんと」
「僕ヒサゴン」ヒサゴプランの案内役の二人が挨拶をする
「そして、なんと特別ゲストとして、あの、連合宇宙軍の天才艦長!ミスマル・ユリカ大佐で〜す。」
「は〜い、皆さん、私が大佐でーす。ブイ」ユリカスマイル&ブイサイン炸裂
「「「「ブイ」」」」子供が無邪気に応える
男二人がなぜか正座をして向かい合いながら座っている
「ぬはははは、愉快愉快、子供と見学か愉快愉快、ぬはははは」
バカみたいに笑いご機嫌なバカオヤジ
「はっはっはっ・・・・しかし大佐さんには悪いことをしましたな」
お茶をすする山崎、悪いことをしてしっまたと口では言うが顔が笑っている、山崎の前ではバカオヤジがお茶を飲んでいる
「ふん!所詮は女・・・ガキの使いだ。ガキの使いはとっとと帰すに限る!」
っと言って「オカキ」?に手を伸ばす
ナデシコBのブリッジのウインドボールの中でハーリーは何やら作業している
「領域5001〜6000まで、OK、そろそろ行こうか・・・・
データを布越し、順次僕へ、スピードはわんこの中級っとこれで「よっ!」
ハーリーの目の前にサブロウタの顔が出てくる
「うわぁぁぁぁぁ、はぁはぁ、ウインドボールの中にいきなり入って来ないで下さい」
驚いて息も絶え絶えなハーリー、それを茶化す要にサブロウタが口を開く
「まぁまぁ、知らない仲じゃないだろ」
「な、何言ってんですか!エッチ〜!」
赤くなり抗議の声を上げるハーリー、お前は男同士でナニを考えたんだ?周りの人たちもクスクスと笑っている
「はぁ〜〜、でも良いのかな〜こんなことして」
「なんだ?叫んだり落ち込んだり忙しい奴だな」
「だって、ハッキングですよ、これ、・・・それに艦長が・・艦長が可愛そうですよ」
「な〜にセンチになってんだ、この口か?うりゃうりゃ」
頬っぺたをつままれて伸ばされるハーリー「うぅぅぅ〜うぅぅぅ〜」
「まぁ、その艦長が間抜けを演じてるんだ。今の内につかめる物。つかんじまおうぜ!!」
「はい」
「はぁ〜い、色々と難しい話をして来ました。みんな、分かったかな〜?」元気なマユミお姉さん
「「「「「分かんな〜い」」」」」子供たちから元気な否定の言葉が帰ってくる
しかし、これもマユミお姉さんのシナリオ通りである。しかし、完璧に人の予想を裏切る大人が約一名・・・
これは無視しようと心に決め込んでいるマユミお姉さん
「詰まりですね、一瞬で場所を移動出来るのがボソンジャンプなんですが、その、普通の人はだめなんですね〜その、何ていうか」
ここに来て急に歯切れの悪くなるマユミお姉さん、そう、此処からはユリカの事を無視して話を進められないのである
「私の事は気にしないで下さい」
「え〜と、普通の人がするにはDNAをいじらないといけないんですね〜」
ユリカの了解を得てから話始めるマユミお姉さん
「へ〜、じゃあ大佐改造人間?」
一人の子供が思った事を直ぐに口にする
「私は、火星生まれだからちがうんだけどね」
さり気無く自分は改造人間ではない事を主張するユリカ、・・・・・どっちみち同じである
「「「「「「へ〜〜〜〜」」」」」」
一つのウインドウが表示されている
「あっ、やっぱり、公式の設計図に無いブロックが在りますね・・・・
ボソンジャンプの人体実験?・・・・これみんな非公式ですよ・・・」
「狙われる成りの理由ってやつか・・・・・」
何時に無くシリアスな雰囲気の二人 ”ピッピッ”「注意」オモイカネが異常を伝える
「っ!! モード解除!オモイカネデータブロック!!・・進入プログラムバイパスへ?」
手際良くデータを守り現状を把握するハーリー
「な、何?これは・・・」
ただ驚くだけのサブロウタ
アマテラスの全てのウインドウが「IARIM」でうめ尽くされている
「ハーリー君もしかしてどっじちゃた?」
通信ウインドウを開いて小首をかしげているユリカ
「ち、ちがいますよ!アマテラスには非公式なシステムが存在するんです。今のは、そのシステムが
自己主張していると言うか、ただ単に喜んでいるというか・・・・その・・・・」
ハーリーは言い訳に精一杯のようである、一方、ユリカは目の前でクルクル回るウインドウをじっと見つめている
「IARIM」⇔「MIRAI]それを見て何かに気づいたかのように走り出すユリカ
「艦長〜何処に行くんですか〜」「敵がきます!ナデシコ発信準備!よろしく♪」
そのころアマテラス付近の宙域では一機の機動兵器がジャンプアウトして来ていた。
漆黒の機体「ブラック・サレナ」は飛行形態で突っ込んで行く。前面に展開している守備隊のミサイルを
軽やかにかわしてそのまま守備隊を無視してコロニーのあるポイントを目指して飛んでいく・・・・その前方
「よ〜し、野郎共出番だ!」「「「「オォォー」」」」
サレナの前に現れた赤い機体を中心にしたエステ隊、サレナがそれを高速回避する・・・
「遅い!!」火を噴くリョーコの大型カノン砲、しかしサレナのディストーションフィールドに防がれる。
サレナとエステ部隊はカーレースをしながらアマテラスの周りを駆け巡っている。
‘プシュ’空気の抜ける音がしてドアが開く
「超特急でお待たせ!ナデシコは避難民の収容を最優先!それと、ハーリー君、もう一度アマテラスにハッキング・・・・
・・・・・キーワードは 「MIRAI」です、よろしく」
それだけ言うと直ぐに自分の席に戻ってしまうユリカ
「えっ? みらい ですか?」途惑いながらも作業をこなすハーリー
「そうMIRAIです。非難民収容が終わり次第本艦はアマテラスを離脱、
艦内警戒パターンAに移行して第二次ライン上に位置して待機、負傷者の救助に当たります。」
さすが艦長、いつものお惚けぶりが嘘の要な見事な指揮である。その時、異常を知らせるウインドウが開きタカスギが報告する。
「アマテラス、F-201ポイントにボーズ粒子増大!・・・・!?アマテラス守備隊側面にグラビティブラスト!被害多数!!」
「タカスギ機発進準備お願いします」
ユリカが少し焦った声でタカスギに命令を飛ばす
「了解!」
タカスギも少し焦った感じで答える
(これは予言?でも敵はやって来た・・・アキト・・ルリちゃん・・・MIRAIなんて偶然だよね・・・・)
カツ、カツ、カツ、
通路を怪しい奴等が歩いている
「奴等は?」
「五分で来ると」
コソコソと話している白衣の山崎と黒服の二人、二人の前を歩く黒服が一人・・・・・
「あ〜大変だ〜」ボヤク山崎、その割には全然大変そうに聞こえない・・・ユリカといい勝負だ・・・・・
やがて研究室らしき所入って行く・・・・「緊急発令!五分で撤収!」・・・・・・・
先程現れた白い戦艦の上にある白い機動兵器に一人の妖精が乗っていた。
「・・・ダッシュ、戦闘パターンA-20、で対応・・・私はあの人の所に行きます・・・・」
‘了解、ルリ’
戦艦からバッタが大量に射出され所構わず襲い掛かる・・・・その中を純白の機体「ホワイト・サレナ」が駆け抜ける・・・
「ちきしょー、オレの相手は奴だ!!オメーら邪魔なんだよ!」
纏わり付くバッタを落としていくスバル機・・・・
「んん?新手か?待ちやがれ!」ホワイト・サレナを猛追撃するリョーコとその部下達・・・・・
純白の機体は漆黒の機体と相成って駆け巡る・・・・
突然その二機から機体のパーツらしき物が取れてスバル機プラス四機を襲う、次々と脱落して行く部下達・・・
っと言っても二機のサレナは飛行形態から機動形態に変わっただけだ・・・・・・
飛行形態から機動形態への変形は[突撃パック]と呼ばれる外付けのパックを外すだけなのだが・・・・・・
リョーコはそれを紙一重でかわして追いかける
「テメー等はゲキガンガーかよ!」
そうこうしている内に二機はとあるゲートの一番奥の大きな扉に来ていた。
「・・・・ルリ・・・・パスワード解析・・・・・」
「もう出来てます」
ドカーン!!爆発が起こり壁が崩れてスバル機が出て来る
「よーし、そのまま、そのまま。」 シュン ・・・・ワイヤーが漆黒の機体に繋がる。1つのウインドウが開き・・・・・
「よう、誰だか知んねーが、とある人が話しが有るって言ってんだ」
リョーコのウインドウが小さくなり、1つのウインドウが現れる
「私は、連合宇宙軍、試験戦艦ナデシコB艦長ミスマル・ユリカ大佐です。
あなた達の目的は何ですか?言わないとユリカ怒っちゃうぞ!!プンプン。」
純白の機体から出ていた 指?らしき物がパスワードを打ち込んで行く・・・・・・
やがて大きな扉が開いて行く・・・・
「・・・・・見るのは勝手だ・・・好きにしろ・・・・・」
漆黒と純白の機体が中に入って行く、それに続いてスバル機が入っていく・・・・
段々と中に在る物が見えて来る・・・かたちが変わっているようだが間違いなくボソンジャンプの演算ユニットである
「・・な、何だよ・・何だよアレは・・なんでアレがこんな処に在るんだよ!ユリカ!見てんのかよ?何とか言えよ・・・・・・」
ユリカは下を向いたまま何も喋らない・・・・・三機が奥の遺跡の在る場所まで着くと、
いきなり三機の茶色のエステバリスが攻撃して来る・・・
「リョーコちゃん(さん)右(です)!!」 「え!?うあああ!」
リョーコは、三本の[杖]の様な物で串刺しにされている・・・今、動けなかった・・・敵の攻撃も有るが・・・・・・・
今、ハッキリと聞いた・・・純白の機体に乗っているであろう人の声・・・それとよく似た声の瑠璃色の髪をした少女を
リョーコは知っている・・・・・そして、漆黒の機体に乗っているであろう少女の思い人の声も・・・・・しかし、
その二人は二年前に・・・・不慮の事故で、今は亡き人に成ってしまって・・・・いる・・・はず・・・なのだが・・・・
漆黒と純白の二機のサレナは茶色の三機のエステと打ち合っている。高機動、ハイパワー、近距離及び中距離タイプの
ブラックサレナは、両手に持っているカノン砲をぶっぱなし、高速機動、電子戦専用、中遠距離、援護タイプの
ホワイトサレナは両手で持った超大型カノン砲と背中に付いている二門のグラビティーブラスト砲台から
一直線に収束された強力なグラビティーブラストを放つ。ハッキリ言って危なすぎである。
そこら辺を壊しながら戦っている。遺跡に当たらないのが不思議である。
「シャリン」何時までも続くかと思われたこの戦いも、どこからともなく聞こえてきた鈴の音に両者は分かれて距離をとる
二機のサレナはリョーコの前の床に降り立つ、敵の三機は天井の辺りに移動する、そこに新たに三機と真紅の機体が現れる
「一夜にて、・・天津国まで伸び行くは・・・、瓢(ヒサゴ)の如く宇宙を襲う。
・・・・遅かりし復讐鬼達よ、未熟者め娘の前で死ぬか?」
低くて聞いているだけでムカつきそうな男の声が響く
「娘?」
一人事情がよく見えていないリョーコが口を開いた。その時目の前にある遺跡が輝きだし中に一人の子供が上半身を
出している「娘」と言っていたので恐らく女の子であろう。リョーコはその子をどこかで見たことがある気がするがどこだか判らない
「「ミライ!!」」そう叫ぶと二機のサレナは北辰率いる六連に突っ込んで行く、7対2で激しく打ち合いをしている、
相手に当たるものの決定的なダメージに成ってはいないので数で圧倒されつつある。
「・・・ミライ・・だと・・・」リョーコは遺跡の中の子供を見てから途惑っていた。しかし、
さっき聞いた声でハッキリした、あの二機の機動兵器に乗っているのは・・・・・乗っているのは・・・・・
「アキト!ルリ!アキトとルリなんだろ。だからさっきリョーコちゃんって、アキト〜〜ルリ〜〜」
ネルガル月面基地、極秘ドックの近くのとある一室で裸のアキトが目を覚ました。アキト達にとってはいつもの部屋である。
横にはルリが裸で寝ている。二人は昨夜も激しくお互いを求め合いそのまま寝てしまったのである。しかし、その行為も最近では
お互いの肌の温もりを感じることでお互いが生きていることを確認し、辛い事を快楽によって忘れるための行為とかしてきている。
別にそこに愛が無いわけではないのだが・・・・・・・・
昨夜のアマテラスへの襲撃は火星の後継者のアマテラス爆破により何もかもがうやむやのうちに終わってしまった
娘のミライの事も、北辰のことも・・・・・・・・・・
「うぅん」横で寝ていたルリがもそもそと起きてくる
「ルリ起きたのか?」
「はい、アキトさんが起きた気配がしたので・・・・それより二日後にある、ナデシコCによる火星の後継者への奇襲までに
こちらの準備を整えましょう」
「ああ、そうだな。しかし、ラピス・ラズリが新しく、ナデシコCに乗るとはいえ大丈夫なのか?」
「おそらく大丈夫でしょう。ラピス・ラズリとマキビ・ハリ・・あの二人とオモイカネを使えば作戦はうまくいくでしょう」
二人は昨日アマテラスを落としたにもかかわらず二日後に発動される作戦について起きたばかりなのに打ち合わせをしていく
「こんなものでいいかな・・・後はアカツキの奴と打ち合わせをするだけか、最後にルリ・・・・・」
決意のこもった瞳でルリを見つめる
「え?なんですか。アキトさん」
「北辰とは俺が決着を付ける。これは、あの時ルリやミライを守れなかった俺のケジメなんだ・・・」
「・・・分かりました・・・でも、約束して下さい。死なないって、私の所に帰ってきてくれるって・・・」
「あぁ、約束するよ」
二人の間に穏やかな空気と時間が流れる
「朝ご飯にしようか」
「そうですね」
二日後・・・・・・・ナデシコC火星極冠遺跡奪還及び草壁逮捕作戦当日サセボシティー某墓地
二人の女性が墓地を歩いている。一人が振り返り空を仰いだ。
「どうしたの?艦長?」つとめて明るく、そして優しくミナトが声をかける
「う〜ん、ハーリー君とラピスちゃんうまく飛べたかなって」
少し心配そうな顔のユリカ、そのユリカの顔を見てやれやれと肩をすくめるミナト
「そんなに心配なら一緒に付いて行けばよかったのに・・・・・」
「アハハハハ、一応三回忌なので縁担ぎです」
「意地っ張り」ミナトが優しく呟くさんなこんなで御墓に向う二人の歩みが止まる。ミナトが持っていた水桶が地面に落ちて
むなしく音を立てる。二人の目の前には、上から下まで真っ黒で黒のバイザーをかけたアキト(劇場版のアキト)と上から
下まで真っ白のアキトと同じ格好でオレンジのバイザーをかけたルリが、イネス・フレサンジュの墓の前に立っていた。
「・・・うそ・・・・」
イネスの墓にしゃがみこみ両手を合わせているユリカとミナト、・・・ユリカがゆっくりと口を開く
「あの時、ボソンジャンプの最高ランク、A級ジャンパーは私を除いて、
火星の後継者にさらわれていたのね。でも何でルリちゃんまで・・・・・」
「そうよ、ルリルリまでさらわれる理由が無いわ!」
ルリとアキトは何も言わないただそこに立っているだけ・・・・・
「ねえ!なんで何も言ってくれないの?二年間何があったの?・・・・
・・・どうして・・・・どうして生きてるって教えてくれなかったの?ねぇアキト!」
「アキト君!ルリルリ!何で何も言わないの!」
「教える必要が無かったからだ・・・」 パン!!
感情を押し殺して少し低めの声で答えるアキトの頬をミナトの手がはたく
「なんて事いうの!艦長はアキト君の事、ルリルリの事すごく心配してたのよ!謝りなさいアキト君!」
カチャ カチャ
いきなりミナトの目の前に銃を向けるアキトその横ではルリがユリカに銃を向けている
「ア、アキト君?」 「ル、ルリちゃん?」
なぜ銃を向けられているのか分からない二人、しかしアキトとルリはゆっくりと銃を別の方向に向ける。・・・・・
そこには、三角傘を付けてアキトと似たような格好でたたずむ男がいた
「うかつなり、テンカワ・アキト、そして、テンカワ・ルリ」
男が言い終わると後ろにこれまたよく似た格好の男が六人現れた。中央の男に向けて発砲するアキトとルリ
しかし、男の身につけているジャンプフィールド発生装置に当たってはねかえっている。
やがて銃の弾が無くなり銃声が止むが直ぐに二人は弾を込め直す
「あなた達は関係ありません。逃げてください」
「・・・でも、ルリちゃん・・・この場合逃げられないよ」
「そ、そうよね」
逃げたくても逃げれないユリカとミナトがそんなことを話しているとき、男達も何やら話していた
「手前の女は?」 「殺せ」 「奥の女は?」 「あヤツは捕らえよ、A級ジャンパーの可能性がある」
ユリカが何かに気ずき口を開く
「あなた達ですねA級ジャンパー達をそしてルリちゃんをさらった実行部隊は」
「そうだ、お前も我が結社のラボにて栄光ある研究の礎となり新たなる秩序をもたらすのだ。」
「はーはっはっはっは新たなる秩序笑止なり、確かに破壊と混沌の末に新たなる秩序は成立する。だが!
産みの苦しみ味わうが必然!しかし、草壁に特無し・・・・・投降しろ北辰!!」
北辰達の後方20mのあたりにロンゲの人物が立っている。月臣源一郎である。北辰達が後ろを振り向く
「ふん、木連を売った裏切り者が・・・・」
「そう、友を裏切り、木連を裏切り・・・・今は・・・・ネルガルの犬」
月臣のセリフが終わるのを待っていたかのように周りから黒服の男達が出てくる
カチャ カチャ チャキ 銃を向けるもの刀を構える者さまざまである
「北辰!投降しろ!」 「フッ、しない場合は?」 月臣に対し余裕の北辰
「力ずくでだ」 周りの黒服の男達がゆっくりと間合いを詰める
「烈風!!」北辰に呼ばれた男が月臣に向って小刀を構えて走っていく 「シェイヤァァァァー」
後、10mの所で烈風の視界から月臣が消える、次の瞬間、左手で烈風の肩をつかみ
右手で烈風の顔を鷲づかみにしている月臣の姿があった。 ここで決めゼリフ・・・・「木連式抜刀術は暗殺拳に在らず」
ボキ ボキ 烈風の首から何やら嫌な音が聞こえてくる
「なに!」それに驚きさらに二人が襲い掛かる、そこに烈風を投げ返しその二人にぶつける。
「投降しろ北辰!」叫ぶ月臣、まだ余裕の北辰 「フッ、跳躍」その声と同時にジャンプフィールド発生装置が働き
辺りが光に包まれる 「また会おう、テンカワ夫婦・・・フハハハハハハハ」光が消えた後そこには北辰も六連も居なかった
「単体のボソンジャンプか・・・・・俺たちも帰ろうか・・・」
「・・・・そうですね」ルリとアキトは光に包まれ消えていった
「ねえ、ミナトさん」 「なぁ〜に〜艦長」 「私達どうしたらいいんでしょう・・・・」
月臣が他の人達に色々な指示を出している。そんな中ユリカとミナトは取り残されていた
火星極冠遺跡
「我が基地上空にボソン反応!・・これは・・・・・ナデシコです!」
一人の男性オペレーターが悲鳴に近い声で報告する。
それと同時に基地のシステムが次々とダウンしていく、そんな中で一人の科学者が呆然と立っている
「乗っ取られた?妖精に?・・・・あり得ない・・・・
まさかさらうのに失敗した電子の天子と電子の騎士?・・・・そ、そんな・・・・・」
山崎はそう呟いてから両ひざをついて放心する、周りでは「封印」と書かれたウインドウが多数現れ、
職員達が慌てふためいている
ナデシコCではラピス・ラズリとマキビ・ハリが体中にナノマシンを浮かび上がらせながら
火星極冠遺跡のシステムの掌握に集中している
「よ〜しラピスちゃんは火星全域を!ハーリー君は本艦の維持に努めてください。」
ユリカがいつもの調子で指揮をしている
「えぇー、補佐だけじゃないんですか?」ぼやくハーリー
「駄目です理論上ラピスちゃんだけでは負担が大きすぎます」
「わ、分かりました」
「ラピスちゃん、よろしく〜」
「リョウカイ、ユリカ」
かくしてラピス・ラズリによって火星全域の敵はシステムを掌握され活動を停止。
このクーデターは宇宙連合軍の勝利と終わった。そして、最後の戦いが始まる・・・・・
「ボソン反応七つ」 ユキナが報告する
「あの二人に任せます」 「「「え!?」」」 ユリカが悲しそうに言う。ブリッジ要員も初めは驚いたが直ぐに大人しくなる
雪山のふもとからナデシコCに向けて一直線に飛ぶ七つの機体
「隊長、よろしいのですか?」
「かまわん、ジャンプによる奇襲は諸刃の剣、
向こう側にA級ジャンパーが二人生きていた時点でこちらの勝ちは五分と五分後は・・・・・」
その時、ナデシコCと北辰達の間に一隻の戦艦と機動兵器がジャンプアウトしてくる
「ふふふ・・・・見せてもらうぞ人の執念」不敵に笑う北辰
「ここで決着を付ける・・・ルリ、全力で行くぞ!サポート頼むぞ!」
「ハイ!任せてください。行きましょう。アキト」
ユーチャリスから飛び立ち北辰達に突っ込んで行き、激しく戦闘を始めるブラックサレナ
「ふはははは、怖かろう、悔しかろう、幾ら鎧を纏おうとも心の弱さまでは守れないのだ」
「くっ」少しおされぎみのサレナ、その時、四機のエステバリスが飛び立ち六連に挑んでいく
「騎兵〜隊だ〜!男のタイマン邪魔する奴は馬に蹴られて三途の川だ!」
スバル機を先頭に六連に突っ込んでいく
「馬その壱ヒィヒィーン!」 「その弐ののヒィヒィーン!」
「おいおい、俺も馬なのかよ(苦笑)」苦笑いをしながら馬にされたサブロウタがぼやく
「馬だけに〜「リョーコはサブを尻に敷き」」
「おっ、うまいね〜」ヒカリとイズミとサブロウタはトリオ漫才?をしながらはしゃいでいる
「ば、バカヤロ〜、何が尻だ!」 「まあまあ、尻に敷かれるか膝枕かはその後の展開として、ねぇ、中尉?」
「「おぉ、熱い熱い」」 「ばっ、バカヤロ〜」
真面目にやっているんだか、やっていないんだか、そんな事を思いながらアキトの感覚をサポートしているルリ。
(でもさすがですね。あの六連と互角以上に戦いそして倒しているんですから)
<アキト、何時までも撃ち合っていても仕方ありません。ここは・・・・>
<そうだな、やるしかないな>
<これで、終わるんですね(笑)>
<いや、終わらせるんだ!!> ナノマシンのリンクで繋がっているアキトとルリは心同士で会話する
サレナと夜天甲は地上に降り立って対じする。サレナは両手に持っていたカノン砲を収納し、コブシを構える
「抜き打ちか・・・勝負師め!」 北辰も構える
「勝負だ!」 かぶっていたヘルメットを?らしき物を頭から取るアキト、その顔にはナノマシンの模様が浮かび上がっている
二機の機体はしばらくは動かなかったが、突如バーニア全開で相手に突っ込んでいく・・・・そして、激突!
アキトのサレナに夜天甲の右ストレートが決まる。どこから見ても北辰の勝ちに見える、しかし、
プシュー その音と同時にサレナの機体が分解して中からピンク色のエステバリスの右腕が出てきて、
右ストレートのカウンター、これが見事に夜天甲のアサルトピットにクリーンヒット!
「グハッ!・・・み、見事・・だ・・・」 アサルトピットごと押しつぶされて血を吐いてぐったりする北辰
「はあ、はあ、はあ、・・・」アキトはアキトで荒い息をしている。そして、ピンク色の機体それは・・・・・・
エステバリス0Gゼンフレームテンカワスーパーカスタムである。だが足のパーツは初めと異なり最新の高機動タイプに付け替えてある
(お、俺は・・やったのか?)北辰を倒した事で胸がいっぱいのアキト
<アキトォ・・アキトォ・・・アキトォ・・・・・アキトォ・・・・・・>嬉しさで涙を流しながらアキトの名前を呼ぶルリ
二人はしばしの間勝利の余韻に浸っていた
その後、火星極冠遺跡から運び出されたボソンジャンプ演算ユニットから人間翻訳機にされていた「ミライ」という名の
一歳前後の女の子が助け出された
ユーチャリスが高度を上げながらボソンジャンプしていく、それを見守っている人達がいる
リョーコ、ヒカリ、イズミ、サブロウタである。
「本当に行かせちまってよかったのかな」
「行くってもんを止めるのが無理ってもんだろ」
「そうか・・・・・そうだよな・・・」
なかなかいい感じのリョーコとサブロウタ・・・・・ヒカリとイズミがいるのを忘れてないか?
高度を上げていくユーチャリス艦内
「さて、ランダムジャンプ・・・しましょうか・・・」
「そうだな、これでみんなとも・・・さよならだな」
ユーチャリスではランダムジャンプの準備が進められている。
二人は大量殺戮者である、そんな自分達が居ても残った人達に迷惑がかかる・・・・
そう考えた二人はランダムジャンプでどこか遠くの宇宙に行って新しい何かを見つけて暮らそうと考えたのである・・・・・
残された者の気持ちも考えず・・・・
「そうですね・・・・・ばいばい、楽しかった思い出・・・・」
「思い出か・・・・もう、あの頃にはもどれないんだな・・・」
‘ジャンプフィールド展開完了’ オモイカネからの報告がウインドウに現れる
楽しかった思い出を胸に、二人とユーチャリスは永遠の旅に旅だった・・・・・
さよなら
そして、ありがとう
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あとがき
タブリスの機動戦艦ナデシコ処女作品完成しました(笑
なぜ、劇場版をアキトとルリで書き直したのかというと、それは、ただ単にアキトとルリがくっついて劇場版という悲劇の後に
時代を逆行するというのを書きたかったからなんです!そう!これはただの単発花火ではないのです!
連載物です!本当はこの後直ぐに感動的で、よくよく考えれば少し間抜けな逆行の仕方を書くつもりだったのですが・・・
新たな設定を妄想してしまいました!そっちの方がいいかもと思いここで打ち切りにして、この次で逆行します。
これからもよろしくお願いします。
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あとがき2
タブリス「あ〜〜、終わった〜(笑」
アキト「ところでさ?ゴートさん出てきてないんじゃないの?」
タブリス「・・・・・・・・・・・・・・気のせいだよ・・・・」
アキト「それと、ユリカ達もたまにしかでて来ないよな・・・・・」
タブリス「・・・・・・・・・・・・・・・・・・き、気のせいでは?」
アキト「最後に、実は意外と内容、薄くない?」
タブリス「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・グーー・・・・・・・・・・・・」
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御大将風に代理人の個人的感想
そんなに逆行連載が好きかーっ!
・・・・・・正直、いきなり連載を始めると言うのは無謀の極み以外の何物でもないと思うんですけどね〜。
物を書き始めたばかりの人が長編を書き切るだけの実力と熱意を持っている確率は皆無に等しいです。
物を書きたいならまず短編から、ナデシコのちょっとした挿話でも外伝でも裏話でも、
とにかくそんな所から始めるべきだと思うんですけどね。
初心者が書く短編と長編と、どっちが面白いかといったらこれは絶対に短編です。
ただし、ちゃんとオチがついている必要がありますが。(この作品1話だけを見ればついてませんね)
代理人としたってどうせ読むなら面白いSSを読みたいです。
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あとがき+α(改正版直後)
そんなに逆行連載が好きだーっ!
はぁ、はぁ、ふぅ、落ちが無いというので、省いた部分を書き足しました・・・・
や、やばい・・・なんか完結っぽい・・・弐話から全部書き直しだ・・・・・・・・
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個人的感想その2
・・・・・・このまま終わった方がいいかなーと、ふと思ったり(爆)
少なくとも「第一話」にするよりはいっぺん仕切り直した方がよろしいのでは。