ネルガル月面極秘ドック、実験戦艦ユーチャリス、メインブリッジ
そこに、二人の人物と一つのウィンドウがある
ウィンドウの中の人物は、何がそんなに楽しいのか、大笑いしている
『あはははははは、最高だよ君達
あははは、あはっ、ま、間抜け過ぎ
くくく、あははは、さ、最高だよ。テンカワ君』
ウィンドウに映る男、アカツキ・ナガレは大笑いしている
アカツキの笑われた二人、テンカワ・アキトと自称テンカワ・ルリことホシノ・ルリは
やってしまった失敗の恥ずかしさとアカツキに笑われた悔しさで何とも言えない顔をしている。
何故なら、北辰との決着の後
アキトとルリはランダムジャンプで何処か遠い宇宙へ旅に出ようとしたが
やはり、旅に出るにはそれなりの準備が必要なので、情けなく帰ってきたのである
『くく、あははははは、
おっと、物資の搬入がすんだみたいだ・・・・・
今度は、こんな面白い失敗をしないでくれよ。』
「悪いがもう失敗はしない、お前に爆笑されるのは虫が好かんからな・・・・・
それと、すまないな、これから消える俺たちがこんなに沢山の補給物資をもらって・・・・」
『おいおい、テンカワ君、旅に出るだけだろ?
帰ってこようと思えばボソンジャンプですぐに帰って来れる。
消えるって表現はおかしいくないかい?』
「おかしくありませんよ。文字通り私達は消えるんですから・・・・・」
『はぁ、やれやれ、あい変わらす頑固者だね君達は・・・・
まぁ、気が向いたら帰って来てくれてかまわないさ。じゃあね』
そう言って、アカツキはウィンドウを閉じた。
「行こうか・・・ルリ・・・状態は?」
「ジャンプフィールド形成完了。いつでも飛べます。」
「よし!ランダムジャンプ!」
アキトとルリの顔や体中にナノマシンの模様が浮かび上がり、
ユーチャリスは光に包まれて消えた
艦内に怪しい荷物を乗せて
第弐話
火星付近の宙域にナデシコ級、ワンマンオペレーション用、実験戦艦ユーチャリスは現れた
目の前には太陽系第四惑星が見える・・・・確かめたくないが、確かめなくてはならない
先に口を開いたのは瑠璃色の髪の少年だった・・・・
「ダッシュ、現在の位置は?」
‘‘現在位置は火星宙域Hー7002ポイントです”
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
‘‘・・・・・・・・”
「火星?ランダムジャンプしても私達は太陽系すら出てないんですね・・・・!?」
(私の声ってボーイソプラノでしたっけ?もう少し高かったような・・・・
それに服の肩幅とか、少し、いやかなりきついですね)
「アカツキの奴にバレる前にもう一度ジャンプするしか・・・・!?」
(俺の声ってこんなに高かったか?
それに肩が重たくて胸も苦しい、髪も長い・・・・・・・どうなってるんだ?)
瑠璃色の髪の少年と、長く伸びた黒髪が美しい女性が顔を見合わせる
「「!?」」
そして、二人の時が止まる
俺の目の前にいるのはホシノ・ルリでなくてはならない、なのに少年・・・それも美少年
私の目の前にいるのはテンカワ・アキトでなくてはならない、なのに女性・・・それも美女
どおいう事なんですか?なんでアキトさんでなくて女性が私の前に・・・・これは何?
「ダッシュ私達の状況は一体どうなっているのですか」
‘‘ジャンプアウト直後、ルリは男にアキトは女になっていました。
それと興味深い物を見つけました。火星宙域D−0177ポイントの映像です。”
目の前に大きなウィンドウが開く
***
闇の宇宙を進む黒い物体、チュウリップLLサイズ
それを待ち構えるのは、宇宙連合軍火星艦隊である
チュウリップの先端から真ん中辺りまでが ガバッ と開き
中から小型機動兵器バッタと、レーザー駆逐艦トンボが大量に出てくる
宇宙連合軍火星艦隊とレーザー駆逐艦トンボの即席艦隊とが同時に艦砲射撃を開始する
火星艦隊はレーザー砲をトンボ艦隊は重力波砲を放つ
双方のエネルギーが干渉しあい火星艦隊のレーザーは捻じ曲げられ、
トンボ艦隊の重力波ビームはそのまま火星艦隊へと突き進み火星艦隊は次々に爆発、撃沈されていく
そんな中をチュウリップは火星の南極への航路を突き進む
そこに一隻の戦艦が自動制御で体当たりをして
チュウリップの軌道を逸らす、軌道を逸らされたチュウリップは進路変更を余儀なくされ、
そのままユートピアコロニーへ落ちた
***
「あ、あれは・・・あのコロニーはユートピアコロニー・・・それにチュウリップが落ちた?
どうなってるんだ、これじゃあまるで・・・・まるで第一次火星大戦じゃないか・・・・」
そんな呟きを口にしたのは女性の方である。
次に少年が口を開く
「ア、アキトさん・・・ついさっき火星とその周辺にあるネットワークに接触したんですが・・・・
日付けが・・・日付けが2195年になってました、これって・・・・」
少年の報告にその場は沈黙が支配した。とてつもなく重く長い沈黙・・・
頭が情報の処理を完全にやめて停止している
「・・・ルリ・・・食事にしようか・・・・」
女性がやっとの事でしぼりだしたのは、今の事とまったく関係ない言葉だった
「そ、そうですね。きょ、今日は何を食べましょうか・・・・・」
二人は連れ添ってブリッジを出て行こうとする
‘‘現実を受け入れなさい!!”
二人の前に大きなウィンドウが開き、二人は足を止める
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
「とりあえず状況を整理してみましょうか・・・」
「・・・そうだな」
「私達は2195年の火星宙域にいます。しかも私達の性別も変わっています」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「性別と過去へのボソンジャンプですが・・・私が今、ヒラメイタ推測があるんですが・・・」
「聞かせてくれ」
「はい、まず過去へのボソンジャンプですが、アキトさんがテツジンやマジンと初めて戦ったときに、
ボソンジャンプで二週間前の月に飛んだ事や、ボソンジャンプ自体が時間移動と言う事から
決してあり得ない事では在りません。原因はおそらく最後の私達が無意識にイメージしたのが
この時代だったからだと思います。」
「無意識か・・・」
「・・・はい」
「それで、性別は?」
「え〜と、性別はですね・・・まず、二週間前に飛んでしまった時と関係があると思います。
あの時は、二週間の間、月と地球の間の通信は不可能でした。
それによりタイムパラドクス、なるものが起こる事はありませんでした。
そしてそれは、世界そのものが修正した結果だと思われます。
しかし、今回、私達はユーチャリスと言う戦艦に乗りボソンジャンプによる時間短縮移動が可能です。
そうすると、タイムパラドクスが起こる可能性が有ります。
そこで、世界はそれを修正しようとします。
その結果が私達です。性別を変えることで全く違った人間に成ってしまったということです・・・・」
「性別が変わるイコール別人か・・・・じゃあ未来に帰れば元に戻るって事か?」
「未来に帰る。恐らくそれ自体が無理だと思います。私達がここに出現した事により、
この世界に何らかの影響を既に及ぼしていると思います。
私達の存在により、時の流れは私達の知っている時間の流れと違う道を進む可能性があります。
だから、多分むりです」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「!、初めてナデシコが火星から月宙域までチュウリップを使ってボソンジャンプした時は
八ヶ月、未来にジャンプアウトした。それを使えないのか?」
「それは、無理です・・・・あれはボソンジャンプで八ヶ月、未来に飛んだんじゃないんです
八ヶ月間、私達はチュウリップの中でさまよっていたんです。」
「だが俺たちは一瞬で月宙域まで」
「その認識が間違っていたんです。
火星極冠遺跡にあったボソンジャンプの演算ユニットには場所と時間の概念がありませんでした
それは、チュウリップの中も同じで、場所と時間の概念がありません。
時間の概念のない所に、時は流れていません。
時が流れていないところを八ヶ月間も漂っていても、時間は一秒も経っていないんです。
それが、私達に一瞬で未来に来てしまったという錯覚を与えたんです。」
瑠璃色の髪の少年が言い終わると、その場を再び沈黙が支配する
「・・・・・・・・・ならば、もし、俺たちが地球と木連の戦争に介入し、
この時代のテンカワ・アキトとホシノ・ルリを、
俺達の知っている未来とは違った未来に導くことも出来るのか?」
「それは、分かりません。
・・・・これからの私達の行動によっては、可能性としては十分に有り得る事だと思います。」
それは歴史の IF
ただの自己満足かもしれません。
でも
でも、もし私達の未来を変えることができるのなら、
この時代の私達に普通で平凡な場所で暮らしていける
そんな、平和な世界を作る事ができるのなら
私は
私達はその可能性にしがみ付いていいのでしょうか
ビィービィービィーー
艦内に警報が鳴り響く、
「何!?どおした!」
‘‘艦内の格納庫のて生命反応を感知しました。・・・・・・・映像が自動再生されます。”
二人の前に大きなウィンドウが開き、そこにアカツキ・ナガレが映る
『やぁ、御二人さん』
少しニヤケ顔のアカツキが、気の抜けた声で話しかける
『この映像が再生されたいるという事はランダムジャンプが成功しったてことかな?
短刀直入に言うけどね、今のユーチャリスの格納庫に入っているのは、
ミライ君の入っているポッドだ
あぁ、大丈夫、
検査の結果何処のも異常がない事が確認されてる。
それでだ、なぜ、こんなことをしたかというとだね。
子供と言うのはね親からの愛情を受けて育った方が良いと思うんだ
それと、ミライ君が小学校に入る頃になったら、僕のとこにボソンジャンプで送ってくれれば
義理の娘として引きとるよ
それじゃあ』
アカツキからの映像がそこで終わる
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
アカツキさんの生い立ちから考えると、言いたい事は判ります・・・ですが・・・
「・・・・ルリ・・・・・都合よくミライだけ・・・無理か・・・・」
「・・・・・・・・はい、無理です・・・・」
私達に残された選択肢は余り無いようです。
私達はこれから起こる事を知っている。私達はこれから死ぬ人を知っている
私達はそれを黙って見過ごす事は出来ない気がします
そして、この世界でミライを育てなくてはいけない
これはもう、やれるところまでやって、突き進むところまで突き進むしかないようです
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いいわけ
終わり方が中途半端?な気がしますが、個人的には気に入っています
ナデシコ時代逆行物を書くにあたり、A案とB案がありました。今回はA案で突っ走ります。
当面の問題は時代を逆行した子供、ミライちゃん(女の子)が女の子のままなのか
それとも男の子になっているのかです。それによって展開が微妙にちがってきます。
それと、レーザー駆逐艦トンボ、ですがレーザー駆逐艦なのになぜ重力波砲かというと
相転移エンジン積んでいるので重力波砲です。
そして、なぜレーザー駆逐艦トンボ、となっているかというと
スーパーロボット大戦インパクトで、そう表記されていたからデス。
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いいわけ2
タブリス「・・・・・・・・」
アキト「書くの遅すぎないか?」
タブリス「打つのが遅いんですよ(苦」
アキト「パソコン買えよ・・・」
タブリス「・・・・・・・・・・はい(泣)」
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管理人の感想
タブリスさんからの投稿です。
おやおや、性転換ですか(苦笑)
つくづく普通に人生を過ごせないヤツです、アキトは。
・・・最近はルリも巻き込まれる事が多いですが(笑)
しかし、ルリの性転換は初めて見たような気がしますね。
タブリスさんの次のお話に期待します。