機動戦艦ナデシコSS 二人のテンカワ

 

第六話  カイト・サイド(K・S) 新たな生活

 

 

 

 

 

 

 

木星、ガニメデ、第一都市エドの、病院内

 

「本当に、こんな事しても、いいんですか?」

 

カイトは未だに、九十九がこの間、言った事について、心配していた。

 

〔大丈夫ですって。一度言った事に、責任を持つのが、木連の人間です。〕

 

自信満々に、胸を張って言う、九十九

 

「そんなもの、なんですか?」

 

〔ええ、そんな物です。あっ!そうだ、カイトさん、しばらくの間、

 私の家に、いらしゃいませんか?〕

 

「は?」

 

〔ですから、カイトさんは、まだ、住む所が決まっていませんから、

 その間は、私の家で、生活しませんか?〕

 

「え!いいんですか?」

 

〔ええ、家は、私とユキナだけですから、全然構いませんよ。〕

 

「は〜、それでは、お言葉に甘えて、お世話になります。」

 

〔後、これからは、藤田四郎と言う、名前で、生活して下さいね。〕

 

「藤田四郎?それが、私の新しい名前ですか?」

 

〔ええ、そうです。これから、よろしくお願いしますね。四郎さん。〕

 

「はい、よろしくお願いします。九十九さん。」

 

〔僕の事は、九十九で良いですよ。四郎さん。〕

 

「じゃあ、僕の事は、四郎で良いですよ。九十九。」

 

「〔あはははは。〕」

 

同時に、笑い出す、二人。

 

 

エド郊外、白鳥家では……。

 

 

〔ただいま〜〕

 

九十九が、そう言うと、家の奥から、声がした。

 

「お兄ちゃん、おかえり。」

 

家の奥から、玄関に小走りで、ユキナが来た。

 

〔ただいま、ユキナ、後一人いるんだが、いいか?〕

 

「あと一人、誰?」

 

〔おい、入って来いよ。〕

 

「こんにちは、ユキナちゃん。」

 

そこに、カイトが入って来た。

 

「あれ〜!カイト、もう退院したの?」

 

カイトが入ってきて、驚くユキナ。

 

〔こら、ユキナ、この人は、カイトさんじゃなくて、四郎さんだ。〕

 

「四郎?」

 

「初めまして、藤田四郎と、言います。」

 

「ああ、カイトの新しい名前の事?」

 

〔ああそうだ。今度からは、四郎と呼ぶ様に、判ったなユキナ。〕

 

「は〜い、よろしくね、四郎。」

 

「ははは、よろしく。」

 

〔ユキナ、しばらくの間、四郎を家に泊めるけど、いいか?〕

 

「しばらく?」

 

〔ああ、四郎の新しい住まいが、見つかるまでだ。〕

 

「うん!全然いいよ。それより、ここに住めば?」

 

「え!?」

 

〔ほ〜、その手があったか、どうだ四郎?〕

 

「いいの?」

 

「私は、いいよ。お兄ちゃんは?」

 

〔俺も、異論は無い。〕

 

「じゃ〜きっまり〜!」

 

 

 

話が、まとまり、歓迎会が行われ、その後……。

 

「な〜九十九?」

 

〔何だ四郎?〕

 

「どうして、そんなに、親切にしてくれるんだ?」

 

〔ん〜……、なんとなくかな?〕

 

「なんとなく?」

 

〔ああ、なんか、四郎と会った瞬間、こいつとは、長い付き合いに、

 なりそうだなって、思ったんだ。」

 

「長い付き合い?」

 

〔何て言うのかな〜、運命みたいな物だな、だから、こいつの力に、

 なってやろうって、思ったんだ。〕

 

「は〜なるほどね。」

 

〔何でそんな事、聞くんだ?〕

 

「ああ……、気味悪いぐらい、親切だからもしかして、裏でも有るんじゃないかって。」

 

〔安心しろ。裏なんかないから。〕

 

「……そうか。」

 

〔ん?なんだ?まだ、疑っているのか?〕

 

「いや……、疑っては、いないんだが……。」

 

〔じゃ〜何だ?〕

 

「俺は、この通り、記憶が無いから、こんな事言ったら、疑われないかなって。」

 

〔何を、疑うんだ?〕

 

「ああ…、ここまでしてもらったから、逆に俺が、お前の力に、成れないかなって……。」

 

〔俺の力に……?〕

 

「そう、お前の為に、何か協力したいんだ。」

 

〔協力するって……、何をする気だ?〕

 

「まだ、行ってみないと判らないが、もしかしたら、俺の中に、眠っている記憶が、

 役に立てるかもしれない。」

 

〔お前の昔の記憶が……、役に立つ?どうして、忘れている記憶が、役に立つんだ?〕

 

「ああ……、病院に居る時に、本を読んだんだが、頭の中の記憶が戻らなくても、

 身体が、自分の経験を、覚えているかもしれないって、書いてあったんだ。」

 

〔へ〜、そうなのか?〕

 

「だから、もしかしたら、記憶が戻らなくても、何か協力出来るんじゃないかな。」

 

〔……で、何を、協力してくれるんだ?〕

 

「九十九……、お前は、軍に居るだろ?」

 

〔軍?……って、お前まさか!!軍に入るって事か!〕

 

「……ああ、そうだ。」

 

〔軍に入るのは、ものすごく、難しいんだぞ!!〕

 

「……判ってる、それは、覚悟の上だ。」

 

〔本気なんだな?〕

 

「本気だ!」

 

〔………は〜判った、だが、これだけは、覚えておいてくれ、軍と、優人部隊は、

 まったく別物だぞ、軍は、簡単に入れるが、優人部隊は、心技体、全てにおいて、

 優秀な、成績を収めないと、入れないぞ!〕

 

「大丈夫だ!」

 

〔……大丈夫って、お前、何か簡単に考えてないか?〕

 

「簡単になんか、考えてないよ。」

 

〔木連式柔術、木連式抜刀術、伴に最低、三段は、持っていないと、いけないんだぞ!〕

 

「木連式柔術?抜刀術?何だそれ?」

 

〔は〜、そうだった、記憶が無いんだったな。〕

 

「それを、収めてないと、駄目なのか?」

 

〔ああ、そうだ!優人部隊は、敵との接近戦の時を、想定しているからだ。〕

 

「敵?何処と戦うんだ?」

 

〔何処って、地球人達とだ!〕

 

「地・球・人?……ああ!そうだった!」

 

〔思い出したのか?〕

 

「思い出したと言うか、その言葉を聞いた時に、何か怒りを覚えたんだ!」

 

(こうでも、言わないと、流石にやばいよな。)

 

カイトは、火星を出る前に、アキトから、木連の人達の、経緯について、聞いていた。

 

〔そうだ!それだけ思い出せば、充分だ!それでこそ、木連の男だ!〕

 

「…………。」

 

〔よ〜し、四郎、俺が木連式柔術と、抜刀術を、教えてやる。〕

 

「え!いいのか?」

 

〔良いのかも何も、無いだろ、お前は、優人部隊に入りたいんだろ?〕

 

「あっ、ああ。」

 

〔それに、もしかしたら、身体が、覚えているかもしれないしな。〕

 

「そうだな。」

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

あとがき

 

どうもTAKAです。

今回も、二人のテンカワを、読んで頂いて、ありがとうございます。

今回の、第六話から、アキトの話と、カイトの話を、分けて書いてみました。

アキトの話を、アキト・サイド(A・S)、カイトの話を、カイト・サイド(K・S)

と言う風に、してみました。

恐らく、この先、アキトとカイトが、再会するまでは、この形になると思います。

そう言う訳なので、よろしくお願いします。

それでは、第七話の、あとがきで、お会いしましょう。

 

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

TAKAさんからの連載投稿第七話です!!

お互いの陣営共に動き始めましたね。

アキトは結局アイちゃんと一緒にジャンプするんですね。

しかし、九十九はどこまで良い奴なんだ(笑)

たった一人の妹の側に、こんな怪しい男を近づけるか?(核爆)

ま、ここでカイトがユキナに手を出したら、後日面白い事になりそうだけど(苦笑)

 

それでは、TAKAさん投稿有難うございました!!

 

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