機動戦艦ナデシコSS 二人のテンカワ

 

第七話  (K・S) 入隊

 

 

 

 

 

 

 

二人の男が、誰も居ない道場で、対峙していた。

 

〔はー、はー、四郎、お前!〕

 

九十九は、目の前に居る男に、そう呟いた。

 

「お、俺、どうしたんだ?」

 

自分が、何をしていたのか、判らずにいた。

 

〔ここまでにしよう。〕

 

四郎(カイト)よりも、疲労がすごい、九十九が、そう言った。

 

「あっ、ああ。」

 

〔…………。〕

 

「…………。」

 

〔……四郎、お前……、木連式柔を、極めていたのか?〕

 

「……判らない、……ただ。」

 

〔ただ?なんだ?〕

 

「九十九が構えた時、どう攻めたら良いのかが、手に取るように、解ったんだ。」

 

〔なっ!!解るのか!〕

 

「何なんだ、これは。」

 

〔……やはり、お前は、木連式柔、免許皆伝の腕前だ。〕

 

「…………。」

 

〔それだけじゃない、恐らく、抜刀術の方も、師範代ぐらいの、腕前だろう。〕

 

「…………。」

 

〔それともう一つ。〕

 

「もう一つ?」

 

〔ああ、俺の知らない、武術が、所々に入っていた。〕

 

「九十九も知らない武術……。」

 

(カイトは、木連式武術(柔、抜刀術)を、アキトから、

 もう一つは、昔、ある人から、古流武術を、教わっていた。)

 

〔その武術は、俺でも解らない。〕

 

「……すまん、俺に記憶があれば……。」

 

〔き、気にするな、それに、今のを観て、木連式柔にも、隙があることが解った。〕

 

「……そうか……。」

 

〔ま〜、これで、優人部隊には、間違えなく入隊できることは、解ったな。〕

 

「本当か!!」

 

〔ああ、優人部隊大尉、白鳥九十九が、保証する。〕

 

「……ありがとう。」

 

〔気にするな……、あっ、それと、四郎が入隊できたら、俺の部隊に、

 配属される様に、進言しておくな。〕

 

「え!そんなことしても良いのか?」

 

〔ああ、大丈夫だ、優人部隊では、戦艦を預かる者は、人選を自由に出来るんだ。〕

 

「そうなのか?」

 

〔ああ、それと、一つ言い忘れていたが、入隊試験で、優秀な成績を修めた者には、

 最低でも軍曹、良ければ中尉の位が付く。〕

 

「良ければ、中尉!!」

 

〔ああ、そうだ!だから、四郎も頑張れよ。〕

 

「ああ、頑張るよ。」

 

 

 

 

それから、一週間が経った。

 

 

 

「ただいま〜。」

 

『おかえりなさ〜い、どうだった?四郎クン?』

 

四郎が、白鳥家に帰ってきて、家の奥から、ユキナが玄関まで来た。

 

「…………。」

 

『まっ、まさか!駄目……だったの?』

 

「……ご、合格してたよ。」

 

『合格したの!!本当に本当?』

 

「ああ、本当だ!」

 

『やったね、四朗クン。』

 

「ああ、ありがとう、ユキナちゃん。」

 

『お兄ちゃんは、この事、知ってるの?』

 

「知ってるよ、だって、九十九は軍に居るだろう?」

 

『あっ、そうだった!』

 

「『あははははは〜。』」

 

 

 

こうして、四郎こと、カイトの木連優人部隊の入隊が、決まり、

その二日後、四郎は、中尉の階級と伴に、優人部隊の基地へ向かった。

 

 

「初めまして、藤田四郎です。階級は中尉になります。」

 

〔ああ、初めまして、でもないが、私が、戦艦ゆめみづき艦長、白鳥九十九だ、ちなみに、

 階級は少佐になった。〕

 

「えっ、そうなんですか、おめでとうございます。」

 

〔ああ、ありがとう。〕

 

『お〜い、九十九、じゃなかった、白鳥少佐。』

 

〔ん?何だ、源一郎じゃないか。〕

 

『少佐、昇進おめでとう。』

 

〔ああ、ありがとう。〕

 

『何だ?嬉しくないのか?』

 

〔いや、嬉しいんだが、今さっき、辞令を受けたばかりだから、実感が沸かないんだ。〕

 

『そっ、そうか、ん?こいつは?』

 

〔ああ、こいつは……。〕

 

「初めまして、藤田四郎と言います。階級は中尉です。」

 

『ああ、初めまして、月臣源一郎だ、階級は大尉だ、こいつの、副官をしている。』

 

〔四郎は、今日付けで、ウチの艦に、配属になった。〕

 

『……こいつか、入隊試験で、教官を十人抜きしたのは。』

 

〔ああ、そうだ!だから、階級も中尉になったわけだ。〕

 

『なるほど……、でもって、お前の家の居候ってわけか。』

 

〔何だ!そのニヤ付きは!〕

 

『いいや、何でも無い、ほ〜こいつが、アノ子のお気に入りなわけだ。』

 

〔げ、源一郎!!〕

 

「お気に入り?何の事です?」

 

〔いっ、いや、何でも無い。〕

 

『で、中尉の配置は、何処だ?』

 

〔そうそう、四郎は、とりあえず、源一郎と同じ、副官だな。〕

 

「副官ですか?」

 

『九十九!!お前、戦闘はどうするんだ?』

 

〔それなら安心しろ、俺とお前だ。〕

 

『そ、そうか。』

 

「僕は、具体的に何をすれば良いんですか。」

 

〔そうだな〜、一応、メカのメンテナンス監督と、戦闘の補助要員だな。〕

 

「じゃあ、メカの良い、アイデアなんか思いついたら、実践しても、良いですよね?」

 

『良いアイデア?』

 

〔何かあるのか?良いアイデアが。〕

 

「いいえ、まだ有りませんが、思い付いたらの場合です。」

 

〔ああ、それなら、構わないぞ。〕

 

『だが、一応、俺と九十九には、知らせろよ。』

 

「はい、解ってます。」

 

『所で九十九、何でメカのメンテナンス監督なんだ?』

 

〔ああ、そのことか、家に居る時から、四郎の奴は、メカをいじるのが好きらしいんだ。〕

 

『メカをいじるのが好き?』

 

「ええ、何かメカを触っていると、落ち着くんです。」

 

〔源一郎には、前話したが、四郎には、記憶が無いんだ。〕

 

『ああ、それなら聞いたが。』

 

〔だから、少しでも、記憶が戻る為に、メカのメンテナンス監督にしたんだ。〕

 

『……なるほど。』

 

〔ま〜、そう言う訳だ。〕

 

『解った、よ〜し、四郎、地球の奴等を、アッと驚かすような、物を思い付いてくれよ。』

 

「はい!がんばります。」

 

〔よ〜し、それじゃあ、行くか。〕

 

『ああ、そうだな。』

 

「はい!」

 

 

ゆめみづき艦内

 

 

〔ココが、艦橋だ、普段は艦長、副官伴に、ココに居る。〕

 

『戦闘になれば、艦長、副官、両方とも、マジン、テツジンに乗り、戦うがな。』

 

〔ま〜、場合によっては、四郎にも、戦闘に参加してもらうかもしれないがな。〕

 

「はい、解りました。」

 

〔次ぎは、生活区だな、ココには、艦長、副官、ブリッジ要員、

 一般兵士に部屋分けされている。〕

 

『艦長、副官は、ブリッジ、メインハンガーへ、早く到着する様に、配慮されている。』

 

〔ブリッジ要員は、メインハンガーに、行かない分、艦橋の近くに有る、

 一般兵士は、反対にブリッジへは、行かないから、メインハンガー、サブハンガーの、中間に部屋が有る。〕

 

「は〜。」

 

『恐らく、中尉は、メインハンガーと、艦橋の往復になると思うが、がんばってくれ。』

 

「はい、あっ、月臣さん、僕の事は、四郎で結構ですよ。」

 

『ああ、分った、今度からは、そう呼ばせてもらうよ。』

 

〔…………。〕

 

「ん?どうしたんですか?九十九さん。」

 

〔いや、源一郎が、俺や、源八郎以外に、こんな気さくに、話しているのを、

 観た事が無かったから、少し意外だったんだ。〕

 

『………そう言えば、そうだな、……四郎の雰囲気が、あまりにも、自然だからかな?』

 

「そう?ですか?」

 

〔そうかもしれんな。〕

 

「『〔あははははは〜〕』」

 

この時、九十九、月臣、四郎の三人は、良き友になったのかもしれない。

 

 

その、約半年後、彼等は、戦地へ向け、旅立った。

 

 

 

つづく

 

 

 

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あとがき

 

どうも〜TAKAです。

今回も、二人のテンカワを、読んで頂いて、ありがとうございます。

ここで一旦、カイトサイドの方は、しばらくお預けです。

(ネタが、あまりなく、アキトサイドを、進めないと、この先を、

 書けそうに有りません。)

そう言う訳で、第八話からは、アキトの話(ナデシコAでの話)になります。

しばらくは、アキトの話だけに、なると思います。

アキトの話を進める間に、カイトの話を考えておかなければ。

もしかしたら、カイトもアキトと同じ様な、女難?で、悩まされているかもしれません。

何せ、二人は、兄弟、しかも双子ですから、あの無敵の「テンカワスマイル」が、

炸裂しているかも、しれません。

それまで、楽しみに待っていて下さい。

それでは、第八話の、あとがきで、お会いしましょう。

 

 

 

 

管理人の感想

 

 

TAKAさんからの連載投稿第八話です!!

アキトがアカツキに交渉に行けば・・・

カイトは木連で大暴れっすか。

しかも、確実にユキナを落としてるし(核爆)

う〜ん、しかし元一郎が普通に見えてしまうな〜(苦笑)

まだ出ていない源八郎に期待をしよう!!

でも、次回からはアキトサイドだけだって話しだし・・・

 

それでは、TAKAさん投稿有難うございました!!

 

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