どこにあるのか分からない何もないただ闇だけが支配する空間に一つの人影があった。
それはただ何かを待つようだったが不意に一つの気配がどこからともなく現れた。
いや、初めからあったのだろうがその存在に気付かせる事が無かったのであろうか?

「待たせましたね……」

「今回の用事はなんだ?」

どうやら人影の方はひどい無愛想な用である。いや、人付き合いが苦手なのか?
もう一つの声は女性のようである。

「今回の用事はある世界にいる"プリンス・オブ・ダークネス"と呼ばれる最強のテロリスト、
テンカワ・アキトを私の所まで連れてきてほしいのです。」

その声を聞いた人影の方にわずかだが動揺した気配があった。

「何のために?」

「別の世界で同じく"プリンス・オブ・ダークネス"と呼ばれたテンカワ・アキトを巻き込んだランダムジャンプの
発動を利用して過去に似た別の世界に送りましたがその世界では彼は"漆黒の戦神"と呼ばれるほどの力をもちすぎたために
周りから危険視されて暗殺の対象にされてしまいました。」

「そうなる事が少しでもなくなるようにか?」

人影は皮肉をこめた口調で話した。

「そうです。」

もう一つの声はきっぱりと言い切った。

「彼は私のせいで二度も必要のない不幸を負ってしまいました。私は少しでも彼の不幸を償いたいのです。」

人影は苦笑いするような気配を見せると真剣な顔になって尋ねた。

「具体的にはどうするつもりだ?」

「それは彼が来てから具体的に話します。一様私から抽出されたナノマシンが投与されているので私が出来るだけ干渉していますが
彼の体内に異常に投与されたナノマシンが何時暴走するか油断できない状態です、一刻も早くつれてきてください。」

「ちっ、まずいな。」
                                     やみがらす 
「それとこれは彼をつれてくるために用意したあなた用の機体《闇烏》です。あなたの腕では動作が鈍いかもしれませんが
過ぎた力は使わない方がいいですので……」

その声と共にどこからとも泣く夜天光に似た機体が現れる

「すまない。」

「いえ、あなたなら信用できますのでお願いします。」

「ということはまだ仕事があるということか……」

「それは彼がやってきてからにしましょう……」

「分かった。急がないとな……」

その声と共に《闇烏》も消えていった……

「平行世界とはいえ実の肉親たちと戦わせるとは私も無能ですね……」

そういうと残っていた気配も消えていった…………









時の流れにα


                       

  プロローグ 新たな乱入者


ほかの世界でも多くある様に二つの戦艦が壮絶な?追い掛けっこをしていた。片や宇軍の現在最強の戦艦"ナデシコC"
片や最強のテロリスト"プリンス・オブ・ダークネス"テンカワ・アキトが搭乗する戦艦"ユーチャリス"である。(爆)
今回も時々ある逃走劇になると思いきや……

「ちっ、もう見つかったか……」

ユーチャスの中にラピスの姿はなく、ただアキトの姿があった……
実は一週間前の補給のときにアキトはエリナと2人っきりになった時に

「エリナ、頼みがある。」

「何?」

「何とか隙を見てラピスに睡眠薬を飲ませるから、その間に俺とのリンクを解除してほしいんだ。」

「あなた、それがどういう事か分かっているの?!」

「ああ、分かっているさ……」

「ならどうして?」

「気になってドクターに確認してもらったんだが何時ナノマシンが暴走して死んでもおかしくないそうだ……」

「そんな……」

「だろう?ドクター」        

アキトの声にこたえるかのように柱の影からドクター、イネス・フレサンジュが姿をあらわした。

「認めたくないけれど、本当よ……」

「何とかならないの?」

「私だって、出来るものならとっくにやっているわ……信じられないけど、彼の中に投与されたナノマシンの中で遺跡から
抽出されたものが暴走を抑えてくれているけど何時まで持つか分からないのが現状なの……」

「そして、ラピスがリンクで俺の死ぬときの感覚を読み取った時にどんな結果をもたらしてしまうか分からないんだ。」

「そう、最悪の時にはラピスの精神は破壊され、廃人になるかもしれないわ。」

「そのために俺が死んでも、最悪の場合精神が破壊されないようにリンクを切りたいんだ。
そして、リンクを切った後の感覚の補助はユーチャリスのサブAIのリーフェにしてもらう。」

「本当にいいの?」

「自己満足かもしれないがもともと俺はラピスに頼り過ぎてその為に幸せから遠ざけてしまった……
そしてその為にラピスは俺の為意外では何もする事が出来なくなってしまっている……
そろそろ普通の生き方での幸せを見つけてほしいんだ。
だから俺と別れた後のラピスの記憶を封じておいてほしい。」

「何時思い出すか分からないわよ……」

「なら記憶を操作する鍵を作ればいい」

「何にするの?」

「…………そうだな…北辰あたりが良いかもな…」

「ふふ…それって皮肉?」

「いや…あいつはもう倒したから合う事は二度とないと思ってな…
エリナ、ラピスが幸せになれるよう頼む…」

と、いうことがあったのだがアキトの後ろ姿を追うエリナの目が悲しそうだったのはお約束である。(爆)
時間は戻って……

「見つけましたよ!アキトさん!!」

「アキト!ミツケタ!!カエッテキテ!!」

一週間の間何とかして見つからないようにしていたのだが、とうとう見つかってしまったのである。
なぜナデシコCにラピスが乗っているかというと、アキトが訪れた翌日にルリがネルガルの本社にいる会長のアカツキに
アキトの居場所について何とか聞き出しに(脅迫とも言う)やってきたときに幸か不幸かばったりと出会ってしまい
記憶を封じられていたラピスにルリがアキトの事を聞いた際北辰を倒したときの事を話してしまったので
あっさりとアキトを思い出してしまったのである。(笑)

「うう……かんちょ〜〜〜何であいつばっかり……」

これまたほかの世界でもおなじみの恋心が報われない不幸なサブオペレーター、ハーリー君こと、マキビ・ハリ少年である。

「ナレーターうるさい!!」

こらこら、いくら事実をいわれたからってナレーションには突っ込むものじゃないよ第一そんなことしていたら憧れのいや、
愛している艦長に嫌われるぞ(作者も恋愛経験ないけどさ……)

「ハーリー君、うるさいです。」

「そんな〜〜」(涙)

ほら見た事か…

「作者もです!!」

すみません……
と本題に戻って……

[悪いがもう俺はみんなの所に戻るつもりはない……俺はユリカを取り戻す為とはいえ、関係のない人たちを殺しすぎた……]

「そんな事ありません!!実際には北辰達がやった事じゃないですか!!」

その通り、劇場版ではスペースコロニーの一つであるシラヒメの場合は証拠隠滅のために北辰達が爆破させたのである

[たとえそうであったとしても無関係の人たちを殺す原因となったのが俺である事に代わりがない……
すまないがもうみんなの前に現れるつもりはない……
ラピス、すまないが俺がいなくても一人ではなくなるようにしておいた、さよならだ……]

「ソンナノイヤ!!イッショニツレテッテ!!」

「ラピスの言う通りです!!それにどうしても戻る気がないのなら無理やりにでも連れて行きます!!」

ピッ!!

ルリの言葉わ終わるや否や新たなコミュニケのウインドウが開いた。

《へっ、ルリの言うとおりだぜ!!》

《そうそうリョーコはアキト君に戻ってきてほしいもんね〜〜》

《な、なに行ってやがる!!ヒカル!!》

《それはともかくいいかげん戻ってきたらどうなの?》

《わ、マジイズミになってるし……》

《てな訳で、うちの艦長のためにも来てもらおうか?》

アキトがルリたちと話しているうちに出撃していたリョーコ達パイロットからの会話である。それに気が付いたアキトは

「ちっ、ダッシュ、俺がブラックサレナで出るまでの時間稼ぎに、今つんでいるバッタたちで何とかしのいでくれ!!」

『OK!!』

アキトの声に応えるようにユーチャリスのメインAIのダッシュが報告のウインドウを出した。
それと同時にアキトはブラックサレナの置いてある格納庫までボソンジャンプで移動した……

《手前ら邪魔なんだよ!!》

さすがにナデシコCのパイロット達だけ有って、バッタたちの足止めは少しの間しか持たなかったがぎりぎりで
ブラックサレナが戦場に現れた。

《悪いが、誰が何を言おうとも俺はみんなの元に変えるつもりはない!!》

その言葉と共にブラックサレナのハンドガンが続けざまに火を放つ!!

ダン! ダン! ダン! ダン!

《クッ!!》

《キャッ!!》

《ワッ!!》

《チィ!!》

それと同時に四体のエステバリスカスタムが戦闘不能になる……

《ルリちゃん、ラピス、もう俺にかまわないでくれ、さようならだ……》

そういうとアキトはブラックサレナでユーチャリスに帰還した。

「そ、そんな、そんなのはいやです!!ハーリー君、捕獲用のアンカーをユーチャリスに向けて発射、完全に拿捕します!!」

「は、はい!!」

ハーリーはルリの激しい剣幕に驚きつつ、捕獲用のアンカーを放った!!!
その行動に驚いたアキトは一瞬の対応が遅れてしまった……

「クッ!!ダッシュ!!緊急回避!!」

『間に合いません!!』

後わずかでユーチャリスの船体にアンカーが突き刺さるという所に一つの黒き閃光が輝いた!!

《そうはさせん!!》

キィンン!!

《《《《「「「なに!?」」」》》》》

そこに現れ、アンカーを弾き飛ばしたのは夜天光に似た、黒い機体だった。

「誰だ?北辰は間違いなく倒したはずだが……」

ピッ!!

訝しげるアキトの前にダッシュからの通信が入った。

「なんだ?」

『黒い機体から通信が入っています。』

アキトは少しの間考えたが、

「つなげろ。」

と指示を出した。

ウインドウが開くと同時に、『SOUND ONLY』の文字と同時に会話が流れてきた。

《お前がテンカワ・アキトか?》

「その通りだが?お前は誰だ?」

《それに関しては後にしてくれ、今は俺の知り合いに頼まれてそこへお前を連れて行きたいんだ。》

「どういう事ですか?」

その会話にルリが乱入した。

《今は詳しい事はいえないが、知り合いの所へは一分一秒でも早く連れて行きたい……
テンカワ・アキト、あんたの方もそのほうが良いだろう?》

その言葉の裏に自分の寿命の事が含まれているのにアキトはきづいた。

「ああ、確かにな。」

「でも、そんな!!」
                   
《それに、もし邪魔をするんだったら、この闇烏でそのナデシコCを叩きのめしても良いんだが?
第一さっきの戦いでパイロットは機体を破壊されて戦闘不能だろう?》

「クッ!!」

その言葉を聞いて一瞬だがルリは動揺した。

「確かに機体の方は戦闘不能ですが、その機体をハッキングして動きを封じる事は出来ると思いますが?」

少し落ち着いたのか冷静にルリが反論すると

《ならば、試してみるか?》

ルリは相手からの自分の能力をバカにされたような返事に声を荒げて答えた。

「望む所です!!」

[電子の妖精]と呼ばれている自分の技術に自信を持っていたルリだったが……

「そんな!!」

謎の機体の制御システムへアクセスする前にセキュリティにあっさりとはじき出され、ナデシコCのすべてのシステムを奪われてしまった。


「艦長、元気を出してください……」

さすがに敬愛しているルリの初めての敗北には―リーは元気付けようと声をかけた。

《安心しろ、こちらの用事が終わった時に必ずお前達の所にアキトを届けてやるよ。》

「本当ですか?」

ルリは相手の答えを不審に思い尋ねた。

《俺は女性との約束は守る方だ。それにこの近くの統合軍の連中が気付いてすぐ近くにきている。
お前達はここからさっさと消えた方が良い。今も散々力を借りている人へ迷惑をかけているんだ、少しは我慢しろ。》

「分かりました。」

《それに、もしかしたら今度はお前達の力を借りるかもしれないな。そのときは力を貸してくれ。》

「善処させてもらいます。」

「ふ、気の強い事だ。」

しぶしぶながらもナデシコCはボソンジャンプで消えていった。

《さて、これでようやくお前と話が出来るな。》

「ああ、お前は何者だ?」

《ああ、その事だがひとまずある場所へボソンジャンプしてから話そう……すまないが俺がボソンジャンプの行き先を
イメージするからあんたはその為のジャンプフィールドを展開しといてくれ。》

  バシュ!!

そう話しているうちに遠距離からのグラビティブラストがユーチャリスの近くを通り過ぎていった。
それと同時に
                   あまよづき
《こちらは統合軍の所属戦艦、雨夜月である!!見つけたぞ、テロリスト【プリンス・オブ・ダークネス】テンカワ・アキト!!
この場で裁きを与えてくれる!!》

「ほう、逮捕して裁判にでもかけると思ったんだがな?」
                            そち
《ふん、貴様のようなテロリストのはそのような措置など必要ではない!!》

《つまりは"くさい物には蓋"、"死人に口なし"というわけか……》

《誰だ貴様は?そいつと一緒にいるという事は仲間だな?一緒に裁いてくれる!!》

《すまないが、ディストーションフィールドを張っていてくれ。》

「分かった。だが、大丈夫なのか?」

《この程度なら一人で十分だ。第一お前の方が時間がないだろう?》

「確かにそうだが……」

《ふざけるな!!全パイロット発進!!あいつらを倒せ!!》

その号令と共に多数の機動兵器が出動した。

「大丈夫か?必要なら俺も手を貸すが?」

《心配するな、それに久しぶりに本気を出すからディストーションフィールドを出力MAXで張っていろ。》

「分かった。それにお前の力がどれほどか確かめさせてもらおう……」

その声を聞くと黒い機体はユーチャリスをかばうような位置に移動した。

《はああああ!!》

謎のパイロットが気合をためるのと同時に槍の変形した部分に白銀の輝きが生まれた。

「あれは一体?」

アキトはユーチャリスのブリッジで一人つぶやいた。
                 そら
《わが内に眠りし昇竜よ、宇宙を駆けわが前に現れし愚かなる敵を呑み尽くせ!!》

謎のパイロットの呪文のような呟きと共に、謎の輝きが膨れ上がっていった。

「ダッシュ、あの輝きを解析しろ!!」

輝きが何かわからないアキトは、ユーチャリスのメインAIである"ダッシュ"に解析を命じたが……

「なに!?解析不能だと!?」

ダッシュが抱いた回答は、"解析不能"だった……
しかし、唯一つだけエネルギーの波長が、ディストーション・フィールドの波長に類似している事だけが分かった……

《ええい!ひるむな!倒せ!!》

統合軍の艦長はパイロット達を怒鳴りつけたが……

《うけよ!!奥義!竜牙乱舞陣!!》

 グオオオオオオオオオオオオ

オオオオオオオンンンンンンンン!!!

《な?!》

《うわああああああああああああああああああああああ!!!》

黒い機体が槍を振るうと同時に放たれた輝きが竜の形をとってすべての統合軍を飲み込み消し去った……

「い、今のは一体……」

アキトは目の前で起きた光景が信じられなかった……

《詳しい事はあとで話す…それじゃあ、知り合いの所へ行くぞ……》

「あ、ああ。」

アキトはそれだけの声をようやく搾り出すとジャンプフィールドを再び展開させた。

《さて、それでは行くぞ……ジャンプ》

その声と同時にアキトたちはジャンプでどこかへと消えていった。







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後書き

この作品では同盟は作らせません。

ええ、絶対に!!