「これで空いている席は、提督・副提督、と言ったところでしょうかねぇ、ゴートさん?」
眼鏡とちょび髭が目立つ、「ネルガル」と書かれた制服を着ている男が、
彼に並んで立っている人物に確認を促す。
「そうだな、ミスター」
ゴートと呼ばれた男は無愛想に返事をする。
「軍からの出向と言う事もありますから、
こちらから一方的に決める事も出来ませんし・・・
いやはや、いつになったら軍は連絡を下さるのでしょうなぁ・・・」
ハンカチで汗をぬぐい、困った表情を浮かべる。
「経験を積んだ者であれば言う事はないのだがな」
「全くその通りでございます。
各部門のエキスパートをお呼びしましたが、
経験豊富な方はいらっしゃりませんからなぁ・・・」
「豊富でなくても、戦績があればまだ良い」
「英雄、グレイスさんなどでしょうか?」
「・・・それは突拍子過ぎるが」
「はは、その通りですな」
「それで?ネルガルからの要請はどのような・・・?」
「はっ、要約いたしますと・・・
『・・・新造戦艦の開発・建造を行い、
私的に利用する事は既にお知らせいたしました。
つきましては、その艦の提督・副提督を、
軍の方からご出向願えないか、と思った所存でございます・・・』
・・・と言う事であります」
「・・・ふーむ、・・・どうする?」
「なるたけ優秀な人材を、と読める文面もございますが・・・」
「そんな物は無視に決まってる!」
「どうせ、向こうもこちらに尻尾を振っておく事を考えての要請だ。
それなら軍に必要のない者を行かせればよい」
「そうですな・・・では、このような者は?」
(ピッ)
各々の前にキノコの頭が映し出される。
「・・・形だけでも何かしら戦績のある者の方が後々問題が無いのでは?」
「グレイスなどですか?」
(ピッ)
金髪を胸の辺りまで垂らした17、8歳の女性が映る。
「馬鹿な事を言うな・・・
彼女を軍から連れて行かれたら軍は本当に負け続ける事になってしまうではないか。」
データには、『撃破・・・チューリップ 1 戦艦 27 機動兵器 多数』と書かれていた。
「それに、彼女の部下、ウォン・・・あいつが付録として付いて行ってしまう!」
(ピッ)
黒髪の25、6歳の青年が、金髪女性の隣に映る。
『撃破・・・戦艦 8 機動兵器 多数』とある。
「ふーむ・・・」
シーン、と静まる室内。
「・・・それならば、引退将校では?」
皆が、発言した将校を見る。
「いい考えだ。
フクベの事だな。」
(ピッ)
先程まで映っていたキノコがフクベの顔となる。
「おお、それはいい。ネルガルもこれでは拒否できんしな。」
「それでは、一人、決定ですな。」
フクベの顔の上に、ポンッ、と言う音と共に『決定』の印が押される。
「では、あと一人、どう致しますか?」
「先程のキノコでよかろう」
「ハッ」
キノコの顔にも、同じように印が押される。
「では、次の議題だが・・・」
『では、次の議題だが・・・』
その会議の様子を、盗み見ている者がいた。
「・・・」
ニヤッ、と彼女は笑った。
そして、
「弱くて規則だけが厳しい軍なんかに、未練なんてないモンね〜・・・♪」
(ピッ)
目の前に先程のキノコの顔が映る。
彼女の右手の紋が光り、見る見るうちに『決定』の文字が消えていく。
そして、
(ピッ)
自分のデータを呼び出す。
同じように、紋が光る。
今度は逆に、彼女の顔の上に『決定』の文字が現れていく。
「ふふん、これでよし。」
「・・・」
「これから楽しくなるかもねぇ〜」
「・・・」
「安心しなさいって。あなたも連れて行くから」
(ピッ)
彼女の背後にいる男の顔が呼び出された。
そして、その顔の上にも『決定』の文字。
「これでいいでしょ?」
男の顔を見て話す女。
男は何の反応も示さない。
彼女は画面に向き直り、
「あーあ、早くその日にならないかな〜・・・」
そう言って座席の上で、ウーッ、と伸びをした。
作者あとがき
どうも初めまして、多寡の長英です。
正真正銘、初めての投稿・・・緊張して、投稿メールの送信ボタンを押すのに10分ぐらい掛かりました。
その上少し時間がたってから、気付いた間違いが多数・・・
早速、代理人様にも迷惑を掛けてしまったと深く反省しております。
そんなに速いペースで更新は出来ないと思いますが、気長に見守ってくださると幸いです。
よろしくお願いいたします。
代理人の感想
短すぎ。以上。
・・・・・だって、本当に何も書けませんよこれじゃ?