西暦2196年、地球は謎の無人兵器『木星蜥蜴』と100年間の戦争を続けている。
新造戦艦『ナデシコ』が火星住民を助けるために出航する事となる。
そして、忘れてはいけない人物『テンカワ アキト』。
彼は5年ぐらい未来から数名の逆行者と共に逆行してきたのだ。
その目的はただ1つ、『もう二度と誰も悲しませない』
そして、その願いはどうにか成就したかのようだったが、彼は遺跡と共に『跳んで』しまったのだ。
彼が『跳んだ』場所は、今は詳しく言えないが時代はナデシコ出航前で場所は日本の初音島という平和な島である。
アキトは今は何故か『天枷 アキト』と名乗っており前回の前フリの事とかいろいろ謎めいた(謎すぎ)所もありますが、読者は見捨てないでください。
そして、この物語は3会目の逆行をした『漆黒の戦神 テンカワアキト』のマイソロジーである。
FULLMETAL SOLDIER
第3話 過去・・・・・・
−某所
アキト「なんでこんな事になったんだろうな・・・・・・(lllll J)」
純一「さあな・・・・・・俺は記憶していない(lllllll )」
目の前の状況に危うく現実逃避をしている2人。
何故、こんな事になったかは1日前、美春のバナナパフェ事件の後まで遡る。
−放課後 桜並木
夕焼けを通り過ぎ、やや薄暗くなった桜並木をアキト達が歩いている。
アキト・純一「「うぷっ・・・・・・」」
未だに苦しそうな顔をしている2人。
音夢「大丈夫ですか?2人とも」
アキト・純一「「まだ、胃の中でバナナが踊ってる」」
胃の中では激しい戦闘が行われている模様である。
ことり「全部、食べなくても・・・・・」
美咲「でも、『食べられない』と言えないから。2人とも」
音夢・ことり・眞子「「「たしかに」」」
優しい人に程があるってものだ。 『NOと言える日本人』になりましょう。
美春「ごめんなさ〜い(ToT)」
さすがに美春も自分のした事に反省しているようだ。
アキト「いや、いいんだ。 今度から気をつけてくれば・・・・」
相変わらず人のいい馬鹿である。
音夢「もう! そんな事言ってるから、いつもいつもこんな目に合うのよ」
まったくだ。
ことり「たしかに・・・・・・」
美咲「そうだったね・・・・・・」
一同の脳裏にアキトと純一が『人のいい』と『優柔不断』に『天然』のお陰で酷い目に会った光景が写っていた。
眞子「でも、ダウンした時の音夢達の顔といったら・・・・」
美春「恐かったですよ〜」
実はジャンボバナナパフェを苦しくも食べ終わった2人はそのまま倒れたのである。
その後、音夢達によって美春に制裁を下しアキト達を保健室に連れて行ったのだった。
純一「俺はもうこりごりだな」
誰でも流石に嫌になるだろう。 あの量だと・・・・・・
眞子「でも、大した練習できなかったね」
ことり「途中でいろいろありましたからね〜」
美春「ごめんなさい・・・・・・」
こだごたの原因が情けない顔で何度も謝りだす。
アキト「まあまあ。美春は悪気が無かったんだし」
音夢「でも、練習が遅れているのは事実よ。 それにアキト君と兄さんが一応は主役で台詞が多いんだし」
アキト「俺には覚えるのは簡単だが純一が覚えるかどうか・・・・」
チラッと横目で純一を見るアキト。
純一「かったりぃ・・・・・・」
天下御免の迷台詞である。
ことり「朝倉君には覚えるのは無理かも・・・・・・」
人の良いことりまでこのような事を言い出すぐらいだから余程、純一が馬鹿なんだと実感させてくれる。
眞子「んじゃさ。 明日と明後日は休みだから泊まりで練習しない?」
美咲「強化合宿って訳ですね。面白そう」
アキト「面白そうで片付けないで!! 練習には賛成だけど、泊まりは・・・・・・」
『流石にちょっと不味いんじゃ?』と言いかけるアキト。
音夢「そうよ!! 確かに・・・・練習は私も賛成だけど・・・・・・」
唯一、正義感たっぷりの音夢が抗議する。
ことり「んじゃ、多数決にしようか♪」
眞子「んじゃ泊まりが反対の人〜」
アキトと音夢が手を挙げる。
眞子「賛成の人〜」
眞子、ことり、美咲が手を挙げる。
音夢「兄さんはどっちです!!」
『かったりぃ』と思いながら呆然と立って見ていた純一に一同の視線が集まる。
純一「俺はどっちでも・・・・かったるいし・・・・・・」
音夢「に・い・さ・ん・・・・・・(怒)」
般若に近い顔で睨み付ける。
純一「―――っ!? ・・・・・・もちろん、反対です・・・・・・(lllllll )」
これで3対3である。
音夢「これで互角ですねゥ」
般若から一転して勝ち誇った顔になる音夢。
音夢さん・・・・・・あくまで互角になっただけですよ・・・・・・
ことり「音夢・・・・そこまで反対しますか・・・・」
音夢「なんと言われようと、3対3は3対3。 多数決は無効よ」
眞子「ちょっと待った!!」
一方的に終わらせようとしている音夢にストップをかける。
音夢「無駄ですよ眞子。無効は無効です」
眞子「4対3よ・・・・・・(ニヤリ)」
音夢「何を言って・・・・・・はっ!!」
眞子が指差す先にあるのは・・・・・・はしゃいでいる美春であった。
美春「わーい、わーい。 皆でお泊りです〜」
『お前は小学生か!?』と言われても可笑しくないほどはしゃぎまくっている美春。
音夢「・・・・・・美春は関係ないわ!!」
眞子「でも、美春がアキトに付いて来ない訳ないでしょ」
眞子の計算だと『アキト+美春』の方程式まで読んでいたのだ!!
音夢「う・・・・・・しかたないわね」
しぶしぶ許可を出す音夢。
美春が駄々こねて厄介なのは小さい頃から付き合っているから分かっているからである。
ことり「と言う事で・・・・どこで合宿ですか?」
眞子「そおねぇ・・・・・・音夢ん家でいいんじゃないの?」
純一・音夢「「え?」」
突然の提案に住人2人が驚く。
美春「わーい。音夢先輩ん家でお泊り、お泊り〜」
ガキめ・・・・・・
音夢「ち、ちょっと。 何で私達の家なの?そんなに広くないし・・・・・・
大体、言い出した眞子や美咲の家でもいいじゃないんですか!?」
まさしく正論である。
眞子「う〜ん。 私達の家ってお堅いって言うか・・・・・・」
美咲「なんだか、いつも見張られているって感じですし・・・・・・」
こう見えて、この2人はかなりの大富豪(ご令嬢)なのである。
音夢「それなら納得しますけど・・・・・・ことりや美春の家は?」
眞子「ことりの家には先生がいるでしょ」
ちなみにことりの義姉、暦は3年前に『できちゃった婚』をして一時は実家を出た。(出たと言っても、ことりの事が心配で初音島の中)
しかし、現在は風見学園から講師を頼まれて実家に子供の面倒を見てもらうために同居している。(旦那さんも)
音夢「先生がいたほうがいいんじゃないの?」
学風は『自由な学園』を主張しているため校則は其処まで厳しくは無い。
しかし、常識として未成年者の宿泊には保護者又は大人の管理がいるだろう。
眞子「なんか、いろいろ言われそうでしょ?」
下心みえみえである。
純一「何か言われそうな事をするのか? うぷっ・・・・・・また、ヤツが暴れだした」
突然、電柱に駆け寄りしゃがむ。
彼の胃の中ではバナナが第3次BANANA大戦を勃発していた。
音夢「兄さん・・・・・・本当に大丈夫?」
純一に駆け寄り背中を擦ってやる音夢。
眞子「あれじゃあ、晩御飯はいらないわね」
そんな純一を見てからかい口調の眞子であった。
美咲「ところで美春の家は何故駄目なの?」
眞子「ほら、こういうのって大人が居ない方がいいじゃん」
アキト「それが本音か・・・・・・」
ことり「大体は予想できましたけど・・・・・・」
当然の答えに驚きもしない2人・・・・・・杉並らへんで抗体ができているのであろう。
美春「ところで音夢先輩の家ってそんなに寝る場所ありましたっけ?布団も・・・・・・」
眞子「だ〜いじょうぶ。 確か音夢の家って空き部屋があったよね」
純一「あ、ああ・・・・一応、3年前に頼子さんに使って貰おうとした部屋があるけど、まさか・・・・・・」
ちなみにここで言っている『頼子』とは・・・・
3年前に美咲が父親に『外の人達の影響が響く』と言う事で軟禁(ちょっと違う)に近い状態の時、
初音島の桜の魔法によって美咲の飼い猫『頼子』が人間化(ネコミミ)した状態のことであり・・・・
日頃から窓から見える純一に恋心を抱いていた美咲の代わりに『頼子』が純一に『メイドとして雇って』と接触してきて一波乱あったのだった。
結局は『頼子』は猫に戻って、美咲は親を説き伏せて風見学園に入学する事ができたのだった。
ちなみに猫が『頼子』になっている間、美咲は意識不明の状態であって、意識はすべて『頼子』にあったのだった。
しいて言えば体は『人間体の頼子』であり思考、意識は『美咲』だったのだ。
つまり『頼子』とは体は猫(人間体)、頭脳は美咲の状態でネコミミメイドとして朝倉家に(タダで)雇われたのだった。
付け加えると同時期まで枯れない桜の力によって純一は睡眠中に他人の夢を見せられる能力(一方的に)を
魔法使いであった純一の祖母から和菓子を『造る』能力(自分のカロリーが減少してしまう)の2つをもらい・・・・
同じく枯れない桜の力にて、ことりは人の心を読む能力(ほぼ無差別)、眞子の姉 萌は夢の中で昔死んでしまった友人と出会っていた。
他にも、ロボ美春はインプットされてない『美春』の記憶を受け継だり(『頼子』に似ている状態)・・・・
音夢とさくら(純一の幼馴染でアメリカ留学中)にもあった気があるんですが作者がうやむやに覚えていたためまた後日。
*そして、この能力は桜が枯れた今では無くなったのだが何故か時々使用できるという設定でヨロシク。
*ただし、純一の和菓子の能力だけは天性能力なのでちゃんと残っている。(祖母の能力を直接教わったから−ファンブックより−)
眞子「そのまさかよ♪ 音夢の部屋とその空き部屋の2部屋に女子が寝て、朝倉の部屋に男子3人が寝れば十分でしょ」
ことり「ん? 男子3人?」
美咲「ここにいるのは朝倉君とアキト君だけですよ」
眞子「明日になれば分かるわ・・・・・・」
何故だが呆れた顔の眞子。
結局その後、『朝倉家でお泊り』が決定となり、そのまま解散となったのだった。
−天枷家 玄関
アキト・美春「「ただいま〜」」
ドサドサッと玄関に荷物を置き靴を脱ぎ始める。
???「おかえりなさ〜い」
靴を脱いでいる途中、リビングの方から少女の声が聞こえてくる。
アキト・美春「「ん?」」
アキト達は聞き覚えのある声がリビングから聞こえてきて顔を見合わせる2人。
そのままリビングに急ぐように歩いていった。
−天枷家 リビング
???「おかえりなさい。アキトさん、美春さん」
リビングに入ってきた2人を歓迎したのは博士と対面に座っているプラチナロングヘアーに三つ編みの少女であった。
アキト「・・・・・・テッサちゃん?」
美春「本当だ。テッサさんですぅ〜」
その少女―――テッサはスーツ姿で、いかにも少し若すぎるキャリアウーマンに見える。
クルツ「よう」
マオ「相変わらず、仲の良い兄妹ね」
台所のダイニングテーブルでコーヒーを飲んでいた2人が振り向く。
クルツは緑のTシャツとジーパンというラフな格好でマオはテッサと同じスーツ姿だった。
アキトは内心で2人がビールを飲んでいない事を確認して話を切り出す。
アキト「なんでいるんだよ」
クルツ「テッサの護衛だよ」
ここで、知っていると思うがココで人物紹介をしておこう。
『テッサ・テスタロッサ』18歳。秘密組織『ミスリル』に所属。階級は大佐。
わずか6歳という若さでアインシュタインの十元連立非線形偏微分方程式を解いた天才。
10代の始めに急襲潜水艦『テゥアハー・デ・ダナン』の設計を手がけ、15歳の時に完成。 同時に艦長に就任した。
16歳の時に同じ『ウィスパード』である『千鳥かなめ』に出会い彼女の行動は次第に人間らしくなってきた。
『ささやかれし者――ウィスパード――』とは、誰もが知らない知識――ブラックテクノロジー――を生まれながらに持っている人間。
『ウィスパード』は成長するにつれ次第に聞こえてくる『ささやき』によって、急に『天才』に変化する。
そして、世界にも数人居ればいい方だと言われているほど少ない。
そんな『ウィスパード』の情報は色々と利用価値があり色んな組織が狙っているのだ。
そして組織から『ウィスパード』を護衛、又は保護している組織が『ミスリル』である。
『ミスリル』の活動は他にもテロの鎮圧や非公式の研究所の爆破、逃走している非公式罪人の捕獲と暗殺等などいわゆる『正義の味方』である。
言うまでも無いがアキトは『ミスリル』の特別対応班に所属している。
『クルツ・ウェーバー』2?歳。秘密組織『ミスリル』特別対応班に所属。
階級は軍曹。 コールサインは『ウルズ6』。
髪は金髪でアメリカ系である。 ウルズ選抜の時から宗介とマオと付き合いが長く仲が結構良い。
酒が好きで偶にマオと基地内のバーでよく飲んでいる姿が発見されている。
酒以上に女好きで有名。
イケている女がいればどんな事があろうと直に口説くが結局は玉砕する。
この口説き癖のせいで、以前にアキトと宗介とクルツの3人で潜入任務の際にクルツが相手組織の女をうっかり口説いてしまい正体がバレて危うく3人仲良く全身蜂の巣で地中海の底にコククリ抱かれてただよいそうになったのだ。(宗介談)
影でアキトは彼を『アカツキ2世』と呼んでいる。
『メリッサ・マオ』2?歳。秘密組織『ミスリル』特別対応班に所属。
階級は曹長。 コールサインは『ウルズ2』。
中国系の顔立ちで宗介やクルツの姐さん的存在である。
テッサとはプライベートでも仲が良く、たまに非番が重なったら軽く旅行するぐらいだ。
周りからは本当に『姉妹』みたいに感じ取られている。
酒が好きで飲みすぎると虎になるのもお約束である。
話は本編に戻ります。
マオ「テッサがあんたに用があるんだって」
アキト「へ?そうなのテッサちゃん」
テッサ「ええ、まぁ・・・・・・」
といいつつ、美春の顔を見る。 美春には聞かれたくないようだ。
美春「私、着替えてきますね」
テッサの視線の意味に気付いたのかそそくさとリビングを出て行く。
テッサ「彼女には気を使わせましたね・・・・・・」
美春が出てったドアを見ながらそう呟いた。
つーか、気を使わせるよう強要したのはあんたじゃー!!
博士「あの子は素直で良い子ですから」
アキト「それに、いくら『ミスリル』の事を知っているからって任務を一緒に聞くってのもどうかと思うがな」
テッサ「別に『任務』の話ならココに居てもらってもかまいませんですけど・・・・・・」
いいのか!?
アキト「『任務』では無いのですか?」
クルツ「アキト」
呼ばれたアキトはクルツを見るとカレンダーを親指でクイっと指していた。
カレンダーは9月の最終週を表している。
それがどういう意味かはアキトには直に分かった。
アキト「ああ・・・・『ナデシコ』か・・・・・・」
テッサ「来週には『ナデシコ』が火星に飛びます」
その言葉を聞いたアキトが『ふー』っとため息をつきながらリビングのソファーに座る。
アキト「長かったな・・・・・・」
テッサ「ええ・・・・・・出会ってからもう10年ぐらいですか」
アキト「ああ・・・・・・テッサちゃんと出会ってから10年か・・・・・・」
しみじみしながら語りだす2人。
クルツ「おいおい、2人で話を進めんなよ。 そういえば、アキトの昔話って聞いた事があんまりないな」
マオ「そういえばそうね・・・・・・」
アキト「・・・・・・・話す事など無い」
少し暗い顔になるアキト。
博士「まあまあ、どうせだから話してやったらどうだい。 もう時効というか・・・・とにかく、いいじゃないか」
テッサ「私もあまり詳しくは知りませんし・・・・・・」
モジモジと顔を赤くしながら質問してくるテッサ。
マオ「良い機会だから読者の人達にもバーンと言っちまいなよ」
クルツ「姐さん・・・・ソレはちょっと表現の仕方が違ってるような・・・・・・」
マオ「そう?」
アキト「・・・・・・・・・・・・わかったよ。あれは・・・・・・」
4人の意気に負けたのかアキトが少しずつ語りだした。
−回想 13年前 火星 ユートピアコロニー 空港
俺は13年前まで火星にいた。
空港で5歳の俺は幼馴染の呪縛霊を見送った後だった。
クルツ「呪縛霊!?」
まあいいから聞け!! 見送った俺を待ち受けていたのはテロの襲撃だった。
マオ「あの頃はそんなのがゴロゴロだったもんね」
俺は逃げた・・・・・・逃げて、逃げて、逃げまくった。
なんとか家に逃げ込んだ俺を出迎えたのは両親ではなく黒服の男達だった。
そして、男達の足元には蜂の巣になって血の海で寝ている動かない肉塊になった両親だった。
理由は後で分かったんだが両親のボソンジャンプの研究結果が目的だったんだ。
クルツ「ボソンジャンプ!?」
マオ「ミスリルでも確か研究していたはず・・・・」
テッサ「ええ・・・・・『ボソンジャンプ』は『ラムダドライバ』に並ぶブラックテクノロジー。とりあえずの理論は出来ているんだけど今はなんとも・・・・・・
そうそう。アキトさんの本当の両親『テンカワ夫妻』はそのボソンジャンプ研究の第一人者と聞いています」
そう・・・・・・両親はそのせいで偶然のテロに見せかけて殺された。
コレも後で調べて分かった事なんだがこの時のテロも黒服の連中の根回しだったんだ。
マオ「つまり、計画的犯行」
無論、研究の事を知らないとは言え姿を見られた俺はその場で撃ち殺された。
クルツ「お、おい!?」
次に目が覚めたのは手術台の上だった。
アキト(俺が2回目から逆行して覚醒したのはこの時だったな・・・・・・)
5歳アキト「ここは・・・・・・」
???「気が付いたか・・・・・・」
硝煙の匂いに目が覚めた俺は意識が朦朧しながら年老いた声を聞き取り体を起こしながら声がした方を見た。
そこには銃を持ったジジイがいたんだ。
ジジイ「ふむ・・・・・・体は動くようじゃな」
アキト「俺は一体どうしたんだ・・・・・・」
ジジイ「まずは自己紹介が先じゃな。 ワシの名はドクターJ、しょぼくれた科学者じゃ・・・・・・」
アキト「ガン○ムW?」
J「やかましいわい」
俺は周りをキョロキョロ見回し
アキト「ここは何処だ。 今は何年なんだ?」
J「何年? おかしな事を聞く奴じゃの。 ここは組織が使っている火星の研究所で今は西暦2183年じゃよ」
アキト(2183・・・・かなり前に跳んだな・・・・・・)
J「まぁどうでもいいが。 時間がない」
アキト「時間?」
J「まもなくこの研究所を爆破させる」
アキト「ばっ――――!!」
突然の発言に驚きを隠せないアキト。
すると、ドクターJは振り向きアキトに背中を向けた。
J「4番格納庫に大気圏脱出用のシャトルと3ヶ月分の生活資源がある」
アキト「・・・・・・・・・」
J「ソレに乗って地球に行け」
アキト「地球に・・・・・・」
J「そうじゃ・・・・・・
日本にある『初音島』という所に行け。 そして『天枷』という男がいる、そいつに頼ってみろ。 きっと力を貸してくれるだろう」
アキト「・・・・・・・・・」
手術台から降りようとしたら、手術台が影になって見えなかったが側には3人の男―――家を襲撃した黒服の連中の銃殺体が倒れていた。
アキト「なぜ・・・・俺を・・・・・・」
ジジィは口ごもりながら答えた。
J「・・・・・・おまえはワシの最高傑作品だからな。 ワシの作品を大量殺戮の道具にさせてたまるか」
そう言いながら振り向き
J「さあ、行け!! さっさと行ってこい」
俺は何も言わず指差された通路からシャトルに向かって走った。
J「・・・・・・これで良かったんじゃな・・・・・・テンカワ・・・・・・」
俺にはその呟きは聞こえなかった。
ふと、ドクターJの視線上に写真立てが置いてあった。
写真は古くて白衣を着ている連中が並んで写っていた。
中央にドクターJ、すぐ右隣に天枷博士。
そして、左隣には亡くなったテンカワ夫妻の若い姿が写っていた。
−回想 研究所爆破より2ヶ月後 初音島 天枷家
その日は雨だった。
地球までの飛行時間はフルスピードで約2ヶ月も経かった。まぁ、この世界のテクノロジーなら無理ではない時間である。
大気圏を降下して太平洋に着水し、その後は備え付けてあったビートバンで初音島まで泳いだ。
初めての地球の海水は非常に冷たかった事を今でも覚えている。
クルツ「ビ、ビートバンで? すでに人間業じゃないな・・・・・・」
マオ「宗介なら出来るかもよ?」
テッサ「なんとなく納得です」
あの・・・・・・俺、一応人間ですけど・・・・・・
その後、何とか初音島に泳ぎ着き、聞き込みで3時間かけて天枷家に到着した。
――ピンポーン
???「はーーーーーーーい」
――ガチャ
チャイムを鳴らすとほぼ同時に幼い女の子の声と共にドアが開く。 そこには4歳の美春がいた。
美春「どちらさまですかー?」
アキト「あ、あの・・・・天枷って人・・・・・・いる?」
美春「うん、いるよ!! お父さーーーーーん。お客さんだよーーーーー」
元気いっぱいに走り出しリビングに駆け込む。
アキト「子供は元気でいいねぇ・・・・・・」
ほのぼのしているのも束の間・・・・・・
博士「んぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
叫びに近い悲鳴がアキトの耳に飛び込んできた。
アキト「何があった・・・・・・・・・・( J J J)」
−13年前 天枷家 リビング
無事に何事も無くリビングに通されたアキトは博士と反対側のソファーに腰掛けた。
アキト「はじめまして。 テンカワ アキトです」
博士「天枷 博士――ひろし――です。こっちが娘の美春」
美春「よろしくです♪」
右手を差し出す美春に
アキト「よろしく」
俺も同じく右手を差し出し握手する。
アキト「ところで・・・・・・大丈夫ですか?」
博士「ははははは。まぁ大丈夫だよ」
そう言いながらお腹を擦っている。 その様子を膝に座っている美春が心配そうに見ている。
さっきの悲鳴は寝っころがっていた博士のお腹に美春が全体重でプレスしたのだった。
ちなみに博士は日頃から運動をしていないのでかなり効いている。まぁ成人病予備軍の子供持ち父親には厳しいものである。
その後、俺は火星で在った事――ランダムジャンプを除く――を全て話した。
博士「そうか・・・・テンカワさんとあの爺さんが・・・・・・」
ふーっと一息して少し考えている。
博士「ところで、君は行く所があるのかい?」
アキト「え?(そういえば・・・・考えて無かった・・・・・・)」
博士「行く所が無かったら・・・・・・私の養子にならないかい?」
アキト「へ?」
博士「私は昔ねテンカワ夫婦と同じ研究チームだった事があったんだ。
その時に彼らと気が会ってね、私も若い頃はいろいろ世話になったなぁ〜。
それにテンカワ夫妻は駆け落ち同然で結婚したから親族とは絶縁状態で君の行く宛ても無いと思うんだ。
彼らがいなかったら今の私は居なかったんだ・・・・・・その恩返しだと思ってくれ」
アキト「はあ・・・・・・」
博士「どうだね?経済的には無理は無いんだ。 後はアキト君次第なんだよ。正直な話、美春も喜ぶし」
アキト「え?」
博士は膝でコックリコックリ寝ている美春の髪を撫でながら
博士「私は日頃から家には居ないんでね。 この子にはいつも寂しい思いをさせているんだ。
妻にも先立たれ・・・・・・再婚する気は元々無いし。 美春は『平気だ』って言ってくれてるんだが・・・・・・」
アキト「友達は?」
博士「ああ・・・・・・いる事にはいるんだ。友達とは仲が良いみたいなんだがな、
それでも、家では・・・・・・一人ぼっちが多いから。 まったく・・・・・・父親失格だよ・・・・・・」
俺は幸せそうに寝ている美春を見ながら決意した。
アキト「養子の件。 お受けします」
博士「そうか!! 良かった・・・・良かった・・・・・・」
何やら安心して気が抜けたように体から力が抜けている博士。
アキト「でも、手続きとか・・・・・・」
博士「心配はない。そこら辺は何とかするよ」
アキト「あっ・・・・・・後、お願いが・・・・・・」
博士「ん?なんだね?」
アキト「詳しい事は言えないんですけど13年後―――2196年に『ナデシコ』という戦艦が火星に行く事になります」
博士「は? 13年後?」
突然の俺の発言に博士が呆けている。
アキト「何も聞かないで下さい。 今は言えないんです」
博士「は、はあ・・・・・・」
驚いて見開いていた目がやや元に戻ったので俺は続きを話し始める。
アキト「その『ナデシコ』には相転移エンジンというエンジンが使われているんです」
博士「相転移エンジン!? あれはまだ未完成以前の問題があるんだぞ!!」
アキト「13年後にはその問題も解決され『ナデシコ』は火星にスキャパレリプロジェクトで派遣されるんです」
博士「スキャパレリプロジェクト・・・・・・ネルガルか・・・・・・」
顎に手を添えながら呟く。
アキト「よくご存知で」
博士「コレぐらいの裏情報を掴まないと研究者として生きていけないんでね。 それで、お願いって?」
アキト「はい。 俺はどうしてもその『ナデシコ』に乗艦しなければならないんです。 手を貸してくれませんか?」
博士「ふむ・・・・・・難しいな・・・・・・」
額に指を当てて考え込む博士。そして・・・・・・
博士「いや・・・・・・あの人に頼んでみるか・・・・・・」
アキト「できるんですか!?」
博士「その代わり、ギブ&テイクになるかもな♪」
アキト「・・・・・・・・・・?」
−現在 天枷家 リビング
アキト「・・・・・・と言う訳。 後は博士がカリーニン少佐と連絡がつくのに3年経かったんだ」
テッサ「その時に私と出会ったんです」
クルツ「へ〜俺や宗介よりか長いと思ってたがそんな過去がね〜」
マオ「あんたも似たような過去を持ってるでしょ」
クルツがそりゃそうでしたと言わんばかりにコーヒーを一口飲む。
マオ「ちょっと待って・・・・・・おかしいわ、アキトが『ウルズ5』に任命されたのは3年前よ?」
アキト「それまではこの体を扱うために修行をしていたんだ・・・・・」
テッサ「それにいくらなんでも10年前のアキトさんは8歳。
とてもじゃないけど前線で戦えないとカリーニンさんが『ウルズ任命』を先延ばしにしたんです」
マオ「まっ、私もアキトが入隊する1、2年前に入隊だったから詳しい話は知らないんだけどね」
アキト「先延ばししていた間は学校に普通に通いながら訓練と修行だったからなぁ・・・・・・」
何か遠い所を見ながら呟くアキト。
クルツ「『地獄を見た』ってか・・・・・・」
少々笑いながらからかうクルツにアキトは・・・・・・
アキト「お前は・・・・・・『本当の』地獄を知らないだろ!!(号泣)」
涙目で必死に反論していた。( J J J)
クルツ「す・・・・すまん・・・・・・」
アキトの猛攻にただただ押されてしまい謝るクルツ。
そのときこの場にいる一同がアキトの言葉に・・・・・・
一同((((よっぽど、『訓練』と『修行』がきつかったんだな・・・・・))))
等と思っているが、現実は・・・・・
アキト(お仕置きはイヤだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!)
一同は言葉の根本的な解釈を間違っていた!!(爆)
クルツ「よっぽど辛かったんだな・・・・・・(訓練と学業の板ばさみが)」
テッサ「そんなに辛い事(修行や訓練)を毎日・・・・・・?」
マオ「まぁ(訓練をする)年齢的に辛い物があるわね・・・・・・」
アキト「ああ・・・・辛かったさ・・・・・・(お仕置きが)」
そんな会話を呆然と聞いていた博士が口を開いた。
博士「なんとなくなんだけど・・・・・・会話にズレがない?」
一同「「「「そう(か)?」」」」
そうです。
アキト「ま・・・・・・とにかく、俺の昔話はこれでおしまい」
クルツ「まぁ、俺と宗介に比べて同等ぐらいだな」
テッサ「ウェーバーさんや相良さんの昔って・・・・・・」
マオ「そーいや、あんたらのも詳しい事は聞いてないわね」
クルツ「まあまあ、いーじゃないッスか。 作者もそこらへんは知らない事だし」
余計なお世話である。
博士「それじゃ、仕方が無い事だね」
アキト「そんなんでいいのか?」
いいんです、マジで。
テッサ「とにかく来週には向かえに来ますから」
アキト「ああ、そういう事で今日は・・・・・・」
クルツ「まさか、お前忘れてたとか言うんじゃないんだろうな」
笑いながらクルツがそう言うのに対してアキトは・・・・・・
アキト「へ・・・・・・( J J J)」
マオ「本気で忘れてたわね・・・・・・」
アキト「そ、そんな事はないぞ。 絶対に無いぞ!!」
一応否定するアキト。
博士「まあ、私や美春達にとっては忘れていて欲しかったかな・・・・・・」
寂しい顔の博士。
アキト「博士・・・・・・」
博士同様に暗い顔になるアキト。
無理もない13年間も暮らしていた『家族』が離れていくのだ。 悲しくならない方がおかしい。
博士「私は何時かこの日が来ると知っていたし、覚悟は出来ていた・・・・・・だが、美春は・・・・・・」
黙り込む博士。
その沈黙の意味が『何も知らせていない・・・・・・』という事にその場に居た一同は感じていた。
アキト「美春も幼い頃の話だし・・・・・・覚えてないから・・・・・・」
マオ「歳は4歳の頃だもんね・・・・・・覚えているって方が難しいでしょ」
テッサ「それに美春さんはアキトの事を・・・・・・」
と言いながらアキトを見つめるテッサ。
アキト「俺を?」
テッサ「い、いえっ!! なんでもありません・・・・・・」
顔を真っ赤にして視線を逸らす。
クルツ「まあ、そこら辺も含めてどうするんだ?」
アキト「へ?」
クルツ「美春ちゃん達だよ。 言いにくいなら俺達が言おうか?」
ちなみにクルツ達(宗介やかなめも含む)は純一達とは面識がある。
アキト「いや。 そんな事したら地面に接吻して広辞苑の雪崩が俺を襲う」
クルツ「・・・・・・・確かに・・・・・・・」
妙に納得するクルツ。
彼も餌食になった1人です。 『ウルズ6』なのに・・・・・・( J J J)
マオ「でも、1週間も無いのよ」
アキト「分かってるよ・・・・・時を見て俺が皆に言う」
テッサ「・・・・・・分かりました。それでは詳しい打ち合わせを始めましょうか」
そう言いながら集めた情報の書類等を机に出して会議を始める。
−天枷家 廊下
そんな話をしている間に廊下には人影があった。
美春「お兄ちゃんがいなくなる・・・・・・・・・・」
アキト達も話に夢中でまさか聞いているとは分からなかったのだろう。
美春「後、1週間・・・・・・・・・・」
美春の頭から『お泊り』や『風見祭』の事は既に無くなっていた。
to be continued
この作品はフィクションです。実在の原作・人物・団体・事件なとには、一切関係ありません。
−後書きコーナー
拝啓
改装版3話目をお届けしました。
今回はアキトの過去(ジャンプ直後)について軽く語ったのがメインの話で冒頭や前半部分は次回への伏線でしたね。
やはりアキトはジャンプしてもアキトなんだなぁ・・・・・・と思いましたね。
ちなみに『ドクターJ』はどうしてもキャラが思いつかなかったので一応は一発ネタとして採用したまでです。
この話を書いてた時に、DVD−BOX第1巻、『D.C.P.S.〜ダ・カーポ〜プラスシチュエーション』のDXパック(PS用ゲーム)、単行本1巻
と、全て買ってしまった私の懐は軽かったなぁ・・・・・・(涙)
もうすぐDVD−BOX第2巻が発売で私の懐、何気にピンチ!!
でも、学業(医療事務系の専門学校)が追いつかなくなるのが涙ッスよ・・・・・
とにかくラストに・・・・・・
改装前に『私は『ロリ』でも『妹萌え』ではなぁぁぁぁぁぁぁい!!』
と言ってたのを覚えてますか?
あの時のとある人とは『K−999』さんでした。
毎回、毎回『K−999』さんの『GS横島 ナデシコ大作戦』を楽しみに読ませて頂いてます。
すっごく、おもろいです。 その笑いの才能が欲しい・・・・・・(ToT)
感想を是非とも書こうと思ってましたが何せネットカフェからなので更新してからかなりのブレが出ると思ってたので控えてました。
これからも頑張ってください。(ついでに管理人さんも頑張れ!!)
どうも、ありがとうございました。
2003年12月19日
敬具