『漆黒の戦神』テンカワ アキトは逆行者である。

 彼は『火星の後継者』の残党を片付けていた時にナデシコBと共にランダムジャンプで『精神のみ』過去へ跳んだんだ。

 彼の他に過去に跳んだのは、4人。

 一緒にユーチャラスに乗艦してた『ラピス ラズリ』、ナデシコBに乗艦してた『ホシノ ルリ』『タカスギ サブロウタ』他1名

 そんな彼らの目的はただ1つ、『もう二度と誰も悲しませない』

 そして、その願いは皆の協力にて成就したかのようが、彼は遺跡と共に『跳んで』しまったのだ。





 そして、彼が『跳んだ』場所は、西暦2178年の火星。

 そこで『ドクターJ』と名乗る老人の助けで、現在は日本の初音島という平和な島で住んでいる。

 『天枷博士――ひろし――』『天枷美春』親子に出会い博士――アキトは『はかせ』と呼んでいる――の助言(?)で養子『天枷明人』として初音島に住んでいるのだ。

 この『初音島』というのが不思議な島で一年中桜が咲いている島『だった』のだ

 何故、過去形だって? それは3年前にアキトとその友人の『朝倉純一』が巻き込まれた『事件』で『枯れない桜の木』が枯れたのがキッカケで島全体の桜が枯れてしまったのだ。

 しかし、今でも春になれば『普通に』桜は咲いているから、大した事ではない。





 枯れてしまったけど『枯れない桜の木』と呼ばれていた大木には『人の願いを叶える』という力があったらしい。

 アキトはその話を聞いたとき『科学が発展しているこの時代にそんな話あるか?』と笑っていたのも束の間、3年前の『事件』がその言葉を真実へと変えた。

 純一の義妹『朝倉音夢』は好きな相手を全て知りたいという能力

 純一の従兄弟『芳乃さくら』(現在、米国にて研究中)は純一が知っている幼い姿で居たいという能力祖母から受け継いだ『魔法の力』

 ここでも信じられん話だが純一とさくらちゃんの祖母は『魔法使い』で、『枯れない桜の木』を植えた張本人でもあり、能力を持ってた人たちに何らかの接触までしている事が分かった。
 アキトや純一的には『黒幕』な人だったのだ。
 だからと言ってアキトには『能力』など備わらなかったけど・・・・・・

 学園のアイドル『白河ことり』は人の心を読める能力(ほぼ無差別で、人の『妄想』や『欲望』と言った余計なのまで読んでしまう)

 クラスメイト『水越眞子』の姉『水越萌』は夢で昔死んだ人と会えるという能力(会いたいがために睡眠薬を大量に摂取してしまった)

 そして『魔法』というのが実感できたのが水越姉妹の友人『鷺澤美咲』の飼い猫『頼子』の人間の姿になって美咲の想いを届けたいという願い。
 その願いを桜の木は『頼子』を人間にして『美咲』の魂(?)を『頼子』に移して『鷺澤頼子』としてしまいアキト達の目の前に現れたのだった。

 いやー、その姿が『ネコミミメイドさん』というのが凄かったです。





 そうそう、忘れてならないのが3人いた。

 ことりの義姉『白河暦』、アキト達の担任で現在は1児の母親。

 アキトと純一の悪友『杉並』、アキトや『ミスリル』の情報網でもコイツだけは何故か分からん。

 最後に『朝倉純一』、祖母に教わったという手から和菓子を『造る』能力誰かの夢を見せられる能力(一方的に)
 和菓子を造る能力は、あくまでも『作る』ではない。『造る』たびに純一自身の『カロリー』が減っていくという諸刃の剣なのだ。
 しかし、純一が食べてもカロリーが戻るだけで±0カロリーなので口直しにはなるが腹の足しにはならないのだ。
 この和菓子、実は美味しいです。

 まぁ、こんなドタバタメンバーと毎日を過ごしている訳だが・・・・・・

 1週間後は『ナデシコ』と告げられたアキト。

 そんなアキトの心の中では13年間過ごしてきた初音島が恋しくなりそうだった。

 しかし、今の彼に直にしなければならない事がある。

 それは、この事を早く皆に知らせないといけないのだ!!

 ・・・・・・って、言って生きてられるかなアキトの奴・・・・・・





 この物語は2会目の逆行をした『漆黒の戦神 テンカワアキト』とその仲間達のマイソロジーである。












FULLMETAL SOLDIER



第4話 SSでも飲酒は20歳から












−天枷家 美春の部屋

テッサ『来週には迎えに来ますから』

 その言葉に、美春は一睡も出来きませんでした。

 ベットに寝そべっていると美春のお腹から『ぐぅ〜』と情けない音が聞こえてきました。

 昨夜はあの後、ご飯も食べないで部屋に閉じこもったのです。

 枕に埋め込んでいた頭を持ち上げり鏡の方を向くと。

美春「酷い顔・・・・・・」

 美春の目は充血していて涙が通った後が生々しいかったです。

 服もいつものお気に入りのバナナ柄のパジャマではなかったです。

美春「・・・・・・・・・・・・」

 ふと、時計を見ると6時を少し過ぎている。

美春「お兄ちゃん達はまだ寝てるかなぁ・・・・・・」

 この時間帯だと時々お兄ちゃんがお弁当の下ごしらえを始めているの。

 ほとんどは前夜の内に終わらせているみたいだけど間に合わなかったら翌朝になるのだ。

 そーっと、部屋を出て1階の洗面台に忍び足で行こうとしました。

 その途中でお兄ちゃんの部屋の前を横切ると部屋の中に誰か居る気配がした。

 良かった。 お兄ちゃんまだ寝てた・・・・・・

 お兄ちゃんが部屋にいたのに安心したのか、その時でした。

 『来週には迎えに来ますから』

 その言葉が美春の頭を通り過ぎたのは。

 その言葉がどういう意味かは美春でも分かっています。

 来週になったらお兄ちゃんは居なくなる。

 美春はお兄ちゃんが血が繋がって無い事は知っていました。

 あの時、初めて会った日の事は覚えていたつもりだったです。

 しかし、13年と言う月日が・・・・・・お兄ちゃんへの想い都合の悪いその部分だけの記憶を消してしまったんですね。










−天枷家 洗面所

 洗面台の前に立った時、美春は初めて『また』泣いていた事に気付きました。

美春「あ・・・・・・」

 目はさらに腫れて頬には涙の通った後が復活しています。

 ――ジャーーーーー バシャバシャ

美春(泣いていたのバレるかな?)

 そんな事を心配しながら、手際良く顔を洗い始めました。





 顔を洗い終わってタオルで拭いたけど目の充血だけは駄目でした。

美春「どうしよう・・・・・・」

 今日は皆でお泊り会なのに・・・・・・

 『ミンナデ・・・・・・』

 その言葉が美春の心に引っかかっています。

美春「・・・・・・・・・・・・」

 私はどうしたらいいんだろう・・・・・・

 その答えを教えてくれる物は何も・・・・・・ないんデス。





















−天枷家 ダイニング

 何時もの様にテーブルで朝食を食べている俺と美春と博士。

 しかし、今日の朝食何時もの朝食の感じと違っていた。

 昨日、あんな話をしたせいだろうか博士の態度が何となくぎこちない。

 それはまだ分かる。 問題は美春だった。

 さっきから呆然と明後日の方向を見ている。

 こんな美春を見たのは今までで手で数えられるぐらいだ。

アキト「美春、どうしたんだ?」

美春「・・・・・・・・・・・・」

 俺の言葉が聞こえないのか呆けている美春。

アキト「美春? 美春!!

美春「は、はい!!」

 俺の大声での呼びかけにビックリしたのか背筋が硬直している。

アキト「どうしたんだ? バターナイフを貸して欲しいんだけど」

 美春の手は塗り終えているのにも関わらずマーガリンを塗っているようにバターナイフを動かしている。

美春「え・・・・・・はっ!! はい!!」

 サッっと俺の方に差し出す。

アキト「サンキュ。 ・・・・・・美春、大丈夫か?」

 バターナイフを受け取り美春の顔を覗き込むようにそう言った。

美春「え!? ・・・・・・うん、大丈夫、大丈夫♪」

 コレでもか!!と言いたい程の笑顔で答える美春。

アキト「そ、そうか・・・・・・」

 俺もそこで深く追求はしなかった。

 美春だって女の子なのだ。





 つまり・・・・・・『あの日』なんだな(爆)

 うんうん、『あの日』は精神的に異常が起こるって言うしな。

 でも・・・・・・『あの日』だったら泊まりは控えた方がいいのかな・・・・・・?

 しかし、楽しみにしてたからな〜美春の奴。 「『あの日』だから、家で休んでろ」なんて言えないし・・・・・・

 かと言って美春に無茶をやらせるのも・・・・・・

 あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!俺はどうしたらいいんだぁぁぁぁぁぁぁぁ。





 注:そんな事を言ったらある意味『セクハラ』です。

美春「お兄ちゃん。 このハンペン噛み切れないよ」

 ――はむはむはむはむはむはむ

 え?ハンペン?

 俺、そんなの朝食に出したっけ?

 そして、美春を見てみると・・・・・・

 ――はむはむはむはむはむはむ

アキト「・・・・・・美春・・・・・・それ、ハンペンじゃなくて手ぬぐいだ。(   J J J)」





 ・・・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・

 ・・・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・・

 ・・

 ・





 ひゅるるるるるるるるるる。

 朝食のテーブルに一足早い冬が来たのは言うまでも無かった。





−朝倉家 玄関前

アキト「美春、本当に大丈夫か?」

 目が充血し掛かっているし目の下にクマが少し見える。

 本人は「インターネットで『ACTION』を見ていた」なんて言ってたけど、やっぱり『あの日』だから眠れなかったんだろう。

 注:寝不足に『あの日』は関係ありません。   多分・・・・・・

美春「大丈夫ですよ。ほら!美春はいつも元気〜♪」

 と言いながら腕を上下にバタバタ振って元気さをアピールしている。

アキト「・・・・・・それならいいんだけど・・・・・・」

 また、それ以上の追求をしなかった。

 何時の間にそんなに成長したんだろう・・・・・・今夜はお赤飯にするか?

 注:美春は高校2年生で16歳です。一般的にお赤飯の時期は過ぎていると思いますがお赤飯は本編に関係ありません。

 注:お赤飯初めて『あの日』が来た時です。   多分・・・・・・・

 ――ピンポーン

 呆けている美春をよそにさっさとチャイムを押す。

純一『はーい』

 ――ガチャ

純一「おっアキトに・・・・・・美春?」

 流石に純一でも美春の異変に気付いたか。『あの日』だという事がバレなければいいが・・・・・・

純一「美春、大丈夫か?」

美春「は、はい!! 美春はいつでも元気です!!」

純一「そ、そうか・・・・・・・(   J J J)」

アキト「皆、来ているのか?」

 中から何やら騒がしい声がしている。

純一「ああ、お前らで最後だ」

美春「音夢先輩達はリビングですか?」

 と見えない尻尾を振りながら家の中を覗き込む美春。 いつもの調子に戻ったみたいだな。

アキト「練習は始めているのか?」

 俺が靴を脱ぎながら聞いてみる。 自分だけ遅れるのも何だから・・・・・・

純一「練習の方がマシだ」

アキト「?」

 俺にはその答えの意味が分からなかった。

美春「もしかして、音夢先輩が料理を作ってるんですか?」

純一「それだけは絶対にない!!」

 俺も絶対あって欲しくないと願う。

純一「まあ、入れば分かる・・・・・・」

アキト・美春「「???」」

 そう言った純一はさっさとリビングに戻っていく。

 玄関に残ったのは顔を見合わせてる何も知らない俺と美春だった。










−朝倉家 リビング

アキト「・・・・・・何してんの?」

 俺と美春が入ったそこはある意味地獄だったのかもしれない。

眞子「あっ、来たね♪ 2人とも」

アキト「『あっ、来たね♪』じゃねーよ。 それよりも現状況になった工程の説明を要求する」

杉並「それは我輩が説明しよう」

 『ぬぅ』という効果音と共にいきなり現れる嫌な奴。

アキト「貴様がいる時点でだいたい分かったから、いい」

杉並「ほう・・・・・・流石、特殊工作員」

 いや、そんな事で褒められても困るんですけど・・・・・・(   J J J

美春「きゃ〜〜〜音夢せんぱ〜〜〜い♪」

 美春の黄色い声援の先―――リビングの中心に設営された『お立ち台』には音夢ちゃんが立っていた。

 そこまでは問題は無い。(お立ち台がある時点ですでに問題です)

 問題は音夢ちゃんがナース姿だったのだ!!

音夢「ちょっと恥ずかしい・・・・・・(//// ////)」

 『ちょっと』の問題ですか?

 さり気なーくだがスカートの丈が結構短い感じである。

 いわゆる『コスプレ』用の衣装だろう。

アキト「貴様の仕業だな・・・・・・杉並」

 キッ――っと杉並を睨み付けるが当の本人は知らん顔である。

ことり「アキト君」

アキト「ん?」

 ことりに呼ばれて杉並の反対側―――お立ち台を見ると音夢の隣には
 ネコミミ黒のホールターネック黒のロング手袋のことりが立っていた。

 無論、鈴つきの首輪も付けている。

 『ホールターネック』っていうのは『ボディコン』に似ている服である。

 まぁ『ボディコン』よりかは柔らかいイメージである。

アキト「・・・・・・(//// ////)」

 何か新鮮な感じがする・・・・・・

美春「うわ〜白河先輩も凄〜い」

アキト「うん・・・・・・って、見とれている場合じゃないんだ!!」

ことり「見とれてくれてたんですか?(////ポッ////)」

 指をもじもじしながら聞いてくるし・・・・・・

アキト「ま、まあ・・・・・」



ことり「うれしい・・・・・・です」



アキト「やはり説明してもらおうか、杉並さんよぉ〜」

 そう言って杉並にズカズカと近寄りながら睨む俺。

 すると、杉並が俺の目の前に1枚の紙を差し出した。

杉並「読んでみろ」

 俺はその紙を引ったくり読んでみる。

アキト「何々・・・・・・『脅威!! 某ネルガル会長に13人愛人が!!』

杉並「おおっと、すまんすまん。 間違えた、本物はこっちだ」

 ったく・・・・・・しかし、アカツキも懲りないなぁ・・・・・・

 結局は玉砕すんのに。(酷い)





アキト「えーっと壷を買いませんか? この壷を買うだけで我が神のご加護を得る事が出来よう。byゴット・ホーリー』

 さっそく暴走しているのか、あのオッサンは・・・・・・

杉並「あっ、間違えた」

アキト「ちなみに杉並よ。 『このチラシ』をどうするつもりだ?」

 まさか・・・・・・

杉並「もちろん、注文するためだ

アキト「何故?」

杉並「よく聞いてくれた。 これを見てくれ」

 そう言って杉並が取り出したのは一冊の本だった。 本は月刊誌『ヌー』の最新刊だった。

 杉並の愛読書で月刊なのだが廃刊の危機らしくて、ときたま発行されないらしい。

 ちなみに中身は胡散臭いオカルト雑誌である。

杉並「ここだ。 この特集コーナー」

 そこに目をやると『特集! 噂のゴット・ホーリーに直接取材』とでかでかと書かれており会見(1対1)の様子が写された写真まで載っている。

 想像通り写真には顔見知りのゴツクて危ないオッサンが写ってた。しかもモザイクは記者の方に付けられていた。

 写真の説明の文を見てみると・・・・・・





 『ゴットさんの副職――某ネルガル会長のSS――の関係のため本人の希望通りの画像処理しております』





 えぇぇぇぇぇぇぇぇ?

 つーか、モザイクかける相手が違うだろ!

 しかも副職って何よ!!副職って。 ・・・・・・本職を怪しい宗教団体首領にする気か?

 しかも、あのオッサン、スカウトの仕事をサボってこんな取材を受けていたのかよ。 (時期的にはナデシコのスカウトの時期)

アキト「んで、これが何か?」

 もう、疲れてつっこむ気力が無いよ・・・・・・

美春「お兄ちゃん、疲れているのですか?」

杉並「ん・・・・・・なんとなく面白そうだからだ

アキト「頼むから、UFOやら何やらオカルトは別にいいからコレだけには手を出すな(ToT)

 いや、マジで・・・・・・

美春「お兄ちゃんが力説している・・・・・・」

純一「アキトの過去に何が・・・・・・」

眞子「過去も何も怪しさ120%じゃない

 いえ、十中八九怪しいんです。

杉並「ふむ、我輩はこの壷を買うと付いてくる『壷の相対性理論』という本に興味があったのだが・・・・・・

 なんだよ『壷の相対性理論』って・・・・・・

アキト「もうこのネタはいいから、本題に戻ろうよ・・・・・・」

純一「ほら、コレを見てみろ」

 そう言って純一が取り出した1枚のプリント。

アキト「『ミス風見学園コンテスト申込書』?」

純一「読む所はその下だ」

 そう言われて視線を下にずらす。

アキト「何々、『予選は風見祭前日の午後より。選考基準はコスプレによる簡単な審査』・・・・・・コスプレ?

眞子「そっ、コスプレ」

アキト「あの、有明とかでやってる?」

眞子「その例えは私には解らないわ」

アキト「通称、コスチュームプレイといわれている?」

純一「通称ではなく正式名称だ」

美春「それで何故、音夢先輩達がコスプレしているんです?」

眞子「コンテストに出るためよ。いくら常連のことり達でも予選選考を受けないといけないんだって」

美春「いえ、そうじゃなくて美春が聞きたいのは、何故、音夢先輩達がミスコンに出るんですか?」

眞子「そりゃ・・・・・・ね〜」

 といいながら俺と純一を見る眞子。何か気持ち悪いぞ。

眞子「優勝が『何でも命令できる権利(拒否権無し)』に2位が同じく『何でも命令できる権利(拒否権有り)』だもん、3人ともそりゃ燃えるわよ。
   ちなみに3位は『ネルガルランド1年間フリーパス権』よ」

アキト「3位だけに金が掛かっているな」

美春「もしかしてコレを計画したのって杉並先輩ですか?」

杉並「わんこ嬢。 もしかしなくても我輩の他に誰がこのような素晴らしい企画を考えるのだ?」

 素晴らしいって・・・・・・こいつはオヤジか?

アキト「よく理事会がOKしたな、そんなセクハラに近いコンテスト」

純一「何でも『非公式新聞部に解らない情報は無い』だとよ」

 さいですか。

杉並「セクハラとは失礼だぞアキトよ!! ザギーを見てそれをお前が言えるか!?」

 と言いながら杉並がある一点を指差す。

 ちなみにサギーとは美咲の事だ。

 そこから現れたのはバニーの美咲だった。 何気に露出が多い。

美咲「・・・・・・・・・・(//// ////)」

美春「鷺澤先輩、大胆・・・・・・」

眞子「うん。 かわいいかわいい」

杉並「ふむ。 サギーはネコミミも似合うがバニーもなかなか・・・・・・」

純一「発言がオヤジだぞ」

ことり「そうです。杉並君はオヤジですっ」

杉並「これはまたお手が厳しい」

 そんなやり取りの中、音夢ちゃんが俺のそばにかけより、

音夢「感想ぐらい言ったらどうなの?アキト君」

 と言いながら俺の肩をポンってたたいた。

アキト「え・・・・・・えっと、似合っていると思うよ(テンカワスマイル)(//// ////)」

美咲「・・・・・・ありがと(////真っ赤っ赤////)」

純一「ところで、この衣装はどこから持ってきたんだ?」

音夢「え? 杉並君が手芸部から持ってきていたらしいですよ

 奴め、確信犯か!!

杉並「ふっ。 何事も先を読まなければ負けるのだよ」

アキト「誰に負けるんだよ」

純一「でも眞子、音夢達が何故ミスコンに出るのか答えになってないぞ」

眞子「あんたも鈍感ね〜自分で考えな」

純一「そんなぁ〜」

アキト「頼むから教えてくれ!!」

美春「美春は解りましたよ〜」

 何やら感づいたのかニヤニヤしている美春。

アキト・純一「「教えてくれ〜」」

一同(アキト、純一除く)((((((鈍感・・・・・・つーか、天然?))))))










杉並「カーット!! 朝倉よぉ、もう少しまともに喋れんのか?」

 いろいろあったが何とか無事(?)に最初の目的である練習に取り掛かった直後の杉並の一言で皆の芝居は止まってしまった。

純一「ちゃんと喋ってたぞ」

杉並「嘘付け。 朝倉妹も真面目に喋ってないと思ったろ」

音夢「ええ。 兄さん、恥ずかしいからって真面目にしてください」

 ちなみに今のシーンは純一と音夢の教室での朝の会話(冒頭)の練習である。

純一「だってよ・・・・・・いつまでナース姿なんだ?

 純一の反論には俺も納得した。

 何を隠そう音夢ちゃんもことりも美咲も3人ともコスプレで芝居の練習をしているのだ。

 おかげで俺も純一も目のやり場に困っている。

ことり「アキト君、こっち向いて下さい」

美咲「そうですよ。これじゃあ台詞合わせが出来ません」

 純一が杉並の演技指導を受けている間、俺はことり達と台詞合わせをしているのだが・・・・・・

眞子「ある意味拷問ね」

美春「お兄ちゃん、大丈夫?」

アキト「心配をしてくれるなら、あの3人をなんとかしてくれ」

眞子・美春「「ごめん無理」」

 即答かよ!!

 頼むから普段着で練習しようよ・・・・・・










 そのまま練習は続き夜7時を回っていた。

杉並「本日の活動昼の部はここまでにしておこう」

 杉並が何やら偉そうに仕切っている。

 流石に「昼の部」をツッコムまで気力が俺と純一には無かった。 拷問だもん。

眞子「夜の部もある訳?」

 つっこむ気力のある人が1名だけいたか・・・・・・(疲れ)

杉並「気にするな気分で言ってみただけだ」

 なら言うな。

美春「ご飯できましたよ〜」

 キッチンから美春がピョコッと飛び出す。

 夕飯をどうするか話していた時に音夢ちゃんが「私が作る」と言い出した時は焦ったな・・・・・・

 まあ、全員一致(約1名除く)やる事のない美春が作る事になったんだけどね。

美春「今日は合宿らしく、お兄ちゃんに釘を刺されて普通のカレーです♪」

 俺が釘を刺さなかったらバナナカレーを作る気だったな、コイツ。

眞子「うー良い匂い」

美咲「早く食べましょ」

 さっさと隅に立てかけておいたテーブルを元に戻してカレーを盛った皿を並べていく。

一同『いただきます』

 手を合わせてカレーに手を伸ばす。スパイスの効いている匂いが食欲をそそる。

音夢「うん。おいしい♪」

ことり「辛すぎないから私でもガツガツ食べれます♪」

 そういえば、ことりは辛い物が苦手だったな。

美咲「グットです、美春」

美春「えへへへへへへへ」

眞子「もう、立派なシェフね」

美春「そんなに美春を褒めないで下さいよ〜」

純一「本当の事じゃねーか。 でもアキトが全部教えたんだろ?」

 純一の言葉に俺のスプーンを運ぶ手が止まる。

アキト「まあな。 今でも俺が作ってるぐらいだし」

美春「美春もお兄ちゃん程ではありませんよ〜」

アキト「いや、美春には全部教えたし・・・・・・うん、美味しい。 これで嫁には行けるな♪」

純一「少なくとも音夢よりか先に『――ドゲシッ』―――ぐはっ

 殴った犯人は語るまい・・・・・・

ことり「いいなぁ〜ねぇアキト君、私にも今度料理教えてよ〜♪」

アキト「えっ?」

 突然のことりの言葉に少し驚いた。

 ことりは今でも十分に料理は上手で何回もご馳走になっている。 そのことりが料理を教えてくれなんて・・・・・・

 俺は別に教えるのは構わないが来週にはもう・・・・・・

美咲「あっずる〜い。 私も私も、いいでしょアキト君♪」

 ぴょんぴょんとウサギのように跳ねながら自分の存在をアピールする美咲。

 美咲も料理の腕は人並みなのに・・・・・・・

 ―――って、そんな事じゃなくてこの場合どう答えればいいんだろう。 う〜〜〜〜ん。

アキト「う〜〜〜〜〜〜ん」

 無意識の内に腕を組みながらうなっていた。

ことり「やっぱり駄目なの?」

美咲「アキト君?」

 2人が俺の顔を覗き込もうとした時、意外な所から援助の手が指し伸びてきた。

美春「お兄ちゃん、この頃忙しいみたいだから当分の間は無理だと思うよ。 昨日、テッサさん達が来てたし」

ことり「忙しいって、もしかして『ミスリル』の?」

美咲「それじゃ仕方ありませんね・・・・・・」

 ほっ、何とか収まったか・・・・・・

 しかし美春の奴、いつもは助けないでニヤニヤしているだけなのにどうしたんだ?










−朝倉家 純一の部屋

 夕飯も終わり何もする事の無くなった俺達はリビングでテレビを見ながら雑談をしていた。

 しかし、俺にはする事があったのだ。

アキト『杉並、この一文は本当なんだな?

 おれは夕食前にとあるプリントを杉並に付き付けとある一文の真否をはっきりさせていた。

杉並『ああ、正しくは下文の条件をクリアすればだがな』

 この条件をクリアするためには何としても純一の力が必要なのだ。

アキト「純一、ちょっといいか?」

純一「? 別にいいが」

 そう言って純一を純一の部屋まで連れ出したのだった。

純一「んで? 何か用か?」

アキト「実はだな・・・・・・・・・」

 俺は先ほど杉並と話した条件などを純一に話してとある計画を話した。

アキト「・・・・・・という訳だ。協力してくれるな?」

純一「ああ!!すべては俺達の自由のために!!

アキト「同志よ!!」

 ――がしっ!!

 お互いに熱く手を握る。

 ふっふっふっ杉並よ、貴様の思惑通りにはいかないぜ!!










−朝倉家 リビング

 細かな打ち合わせを終えた俺と純一は1階のリビンクに行くため階段を降りていた。

 ――どんちゃんどんちゃん♪

純一「何か騒がしいな」

アキト「ああ・・・・・・ん?」

 この匂いは、もしかして・・・・・・

 嫌な予感を胸いっぱいに秘めてリビングの扉を開けると・・・・・・

音夢・美春「「お兄ちゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん♪」」





 ――がしっ ×2 ←ホールド音





 どっしぃぃぃぃぃぃぃん ×1 ←人間2人分が倒れた音





 何が起こったか説明しよう。

 ただ酔っ払っている――外見でモロバレ――音夢ちゃんと美春がそれぞれ純一と俺にフライングアタックをかましたのだ。

 俺は大体予想していた事とはいえ余裕で受け止めたが、純一は不意打ちでそのままバランスを崩し倒されてしまった。

 しかも2人とも何故か涙目で胸に顔を押し付けている。

アキト「美春どうしたんだ?」

 この時、俺は美春に意識していなかったら2次災害は避けれたのかもしれなかった。

 そう・・・・・・残り2つの爆弾―――人型ミサイルがこっちに突っ込んで来たのだ。

ことり・美咲「「アキトくぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん♪」」





 ――がしっ ×2 ←ホールド音





 どっしぃぃぃぃぃぃぃん ×1 ←人間4人分が一気に倒れた音





アキト「がはっ!!」

 流石に今のは効いた。

ことり・美咲「「アキト君、いなくなるなんて嘘よね!!」」

 見事にユニゾンしながら俺を問い詰める2人。・・・・・・ん、『いなくなる』

音夢「兄さ〜ん。アキト君がいなくなるんだってぇ〜()」

純一「エッ? おいアキトどういう事だ?」

 音夢ちゃんを支えながら起き上がる純一。

 って言うか・・・・・・何故、それを皆が知ってるんだ?

眞子「アキト〜本当なの〜()」

 こっちでは怒っている人発見!!

美春「ごめんなさい。ヒック いけないと思ってたんだけど、ヒック つい・・・・聞いてしまって ヒック・・・・・・()」

 そうか、やっぱり美春が・・・・・・

 だったらあの話を全部聞いていたのか・・・・・・

杉並「アキトよ。 説明しなければこの事態は収まらんぞ」

 そこには、右手に名酒『熊殺し はいぱぁ』をかかえた杉並がいた。

アキト「その前に貴様がその一升瓶を持っているとこから説明してもらおうか?

杉並「『お泊り=宴会=酒池肉林』の公式は宇宙の導きだ」

 訳のわかんねぇ事を言うんじゃない。

 しかも酒池肉林の使い方を間違っているぞ!!










 とりあえず一同をちゃんと座らして事情を説明する事にした。(杉並はとりあえずボコった)

アキト「・・・・・・という訳だ」

ことり「つまり、アキト君は故郷の火星に行きたいから『ナデシコ』という戦艦に乗艦するのね」

 建前はね。

音夢「でも火星って木星蜥蜴が支配しているんじゃなかったけ?」

美咲「さぁ? 初音島にはそういう情報は流れてこないし・・・・・・」

眞子「火星探査隊も編成されないぐらい危険な所よ?」

美咲「アキト君、そんな所に行く気!!」

アキト「説明したと思うけど『ナデシコ』には最新の設備が整っているし、性格はともかく腕は一流のクルーだから大丈夫だって」

音夢「その『性格はともかく』ってとこが引っかかるわね」

 まったくだ。 余計に所で予算をケチってるからな、ネルガルは。

アキト「『ナデシコ』は軍の艦じゃなくて民間の艦だからね。超一流を雇うより性格第二で雇った方が安くつくんだよ」

ことり「アキト君、詳しいね」

 2回も乗艦していますから。

 流石にコレは言えなかった。

眞子「杉並、どうしたの珍しくジッとして」

 復活していた杉並は何やらウルウル涙目だった。

杉並「アキトよ!!」

 ガシッと両肩を掴み、

杉並「我輩も連れて行ってくれ!!」

一同『はい?』

 目を輝かせながら何馬鹿な事を言い出すんだ。

杉並「そのような『未知』のあふれた戦艦に『未知』だらけの火星!!行ってみたいと思わんのか!?」

 思うかよ。

眞子「はいはい、黙ってましょうね〜」

杉並「お、おい眞子よ。その振り上げている『広辞苑』――がすっ―――ぐはっ!!

 杉並よ、そのまま眠ってくれ。永遠に・・・・・・

眞子「どうせ止めても無理でしょう?」

アキト「ああ。これだけはいくら皆の頼みでも決めていた事だから・・・・・・」

眞子「そう・・・・・・ほ〜ら、いつまでも暗い顔してないの!!」

音夢「眞子・・・・・・」

眞子「アキトが『行く』って決めたんだから、私達がどうこう言う資格なんてないでしょ?」

ことり「・・・・・・・・・・・」

美咲「そうですね・・・・・・」

眞子「こうなったらパーっと宴会でもして、アキトを快く送りだそうよ!!」

一同『うん!!』

アキト「みんな・・・・・・」

 こうして宴会は朝方まで続いたのだった。しかし・・・・・・

美春「・・・・・・・・・・・」

 俺はさっきから何も言わない美春が少し気になっていたのだった・・・・・・











 ナデシコ乗艦予定日まであと7日(多分)






to be continued







この作品はフィクションです。実在の原作・人物・団体・事件なとには、一切関係ありません。







−後書きコーナー

 拝啓

 改装版も第4話をお届けしました。

 今回はアキトがナデシコに行くという事についての純一達の反応を書いていましたね。

 前も言いましたがネタで一番苦労したのがコスプレ衣装でした。

 そういう系が苦手だった私は話の中であった『ホールターネック』って言うのも知りませんでした。

 それで、女友達のDさんにメールで説明して教えてもらったんです。

 『肩紐と袖が無くて胸元からのスカート一体型のワンピースみたいなの』←そのときのメール内容(マジ)

 わざわざDさんの同居相手(Dさんは寮生)にまで聴いたぐらいだそうです。

 Dさん、ごめんなさい。ご迷惑をおかけしました。

 しかし、この文章で理解できるなんて・・・・・・(   J J J

 そんな苦労の中、『服の意味が分からない』という感想(?)がありまして、

 大至急にDさんに連絡を取り『ボディコン』という服に似ているという事を教えて貰いました。

 この『ボディコン』は『GS美神』で美神令子が良く来ていたあの服だと言う事なので、あの服の柔らかいイメージでお願いします。

 ファッションって難しい・・・・・・





 そうそう、最近は上みたいな顔文字もどきを使用し始めて読み易くなったか解りませんが『うっとおしい』というのならやめたいと思います。

 そこらへんの感想どうなんでしょ?





 さて、今回で旧作の改装はお終いで次回からは新作になっております。

 ガンガン更新していくのでヨロシクお願いします。





 んじゃ、そういう事でまた次回〜♪

2003年12月19日



 敬具