FULLMETAL SOLDIER



第16話 大脱出 後編

















−チューリップ付近

 ――どっぽ〜ん バシャーン

 ――どっぽ〜ん バシャーン

 ――どっぽ〜ん バシャーン

 チューリップ付近の海面で何かが飛び跳ねていた。

純一『た、助けてくれ〜!!』

 前回、見事に海に落ちた純一機であった。

 ――どっぽ〜ん バシャーン

杉並『朝倉・・・・・・何をしているのだ?』

 一向に飛ばない純一機に触手の攻撃を軽々と避けている杉並機が話しかける。

純一『ペダルを踏んでも飛ばないんだよ!!』

 ベタ踏みでペダルを踏んで見るがスラスターは無反応。 時々『プスッ』と空回りするスラスター。

セイヤ『そりゃ、海に落ちた時にスラスターがいかれたな』

 突如、通信で話に入ってきたセイヤの言葉に純一の肩がガクッと落ちた。

純一『それじゃどうすればいいんですかぁぁぁぁぁ!!』

杉並・セイヤ『『努力と根性でなんとかしろ!!』』

純一『なるほど・・・・・・・うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!

 気合を入れる純一。 だが・・・・・・・

 ――どっぽ〜ん バシャーン

 ――どっぽ〜ん バシャーン

 ――どっぽ〜ん バシャーン

純一『何故だ!! 何故に奇跡が起きないんだ!!





















−ナデシコ 食堂

音夢「かったるい星人の兄さん『努力』『根性』なんて絶対にあるわけないです

ことり「音夢ちゃん・・・・・・ハッキリと言い切ったね・・・・・・ (   J J J)」

音夢「当たり前です。 兄さんにそんな理力――フォース――があれば、どれだけ苦労しないで済むか・・・・・・」

 涙して苦労を語る義妹の姿に・・・・・・

ことり・美咲((ここまで義妹に言われる義兄の朝倉君って・・・・・・))

美春(流石、音夢先輩です!!)

 言い切られた純一に哀れに思うことりと美咲、そして言い切った音夢に尊敬の目を向ける美春であった。










 義兄としての威厳が無いですから・・・・・・残念!!





















−トビウメ 格納庫

大尉「何が起こっているんだ!! 誰か、誰か居ないのか!!」

 通信機は何も答えない。

 ヒューズ達を見送った後に爆発が起こり、周りの兵達はそっちに向かったのだが、こいつだけはビビって残っていたのだ。

 本人曰く「後方支援のため」であるそうだが、実際は小心者なだけである。

 ちなみにこの男、『小心 大尉』という名前に決定した。 (どうでもいい事である)

大尉「ちっ、何が起こっているのだ? 何か問題があれば折角の昇進が・・・・・・」

 この男、性格は原作のムネタケである。

大尉「まずは誰か見つけなければ・・・・・・」

 ――プシュー どん

 退出しようとドアから出ると誰かにぶつかってしまった。

大尉「誰だ!? こんなとこ・・・・・・ろ・・・・に・・・・・・」

 ぶつかった人物を見て大尉の顔が真っ青になった。

アキト「み〜つ〜け〜た〜ぞ〜」

 後日、大尉は「あれ程、おぞましい顔の人間を見たことがない」とまで語っていた。

大尉「た、たたたたたたたた助けて!!」

 ガシッと頭を捕まれた大尉は近くに居たプロスに助けを求めるが・・・・・・










プロス「手早くお願いしますよ」

アキト「合点承知」

 返って来た返事は死刑執行の合図だった・・・・・・










 ――ドカッ バキッ ぐしゃ にょき グニュ グチャァ ザクッウォーリア(ルナマリア専用)










アキト「ふぅ、スッキリした」

 良い汗を掻いたと額の汗を拭うアキト。

プロス「それにしても、派手にやりましたねぇ・・・・・・

 視線の先には十字架のように壁に埋め込まれた肉塊の姿があった。

アキト「う〜ん、まだ傾いてるかな〜」

 ――ドカッ

 笑顔肉塊に蹴り上げて傾きを私刑修正するアキト。

アキト「あ〜今度は反対側に行き過ぎたか」

 ――バキッ

 またしても満面の笑顔肉塊に反対の方を殴り傾きを制裁修正する。

プロス「あの・・・・・・天枷さん? そろそろ行かないと時間がありませんよ?」

アキト「え〜じゃあ、止めに心の臓に杭を打ち込んで・・・・・・

プロス「それ・・・・・・殺人ですよ?

アキト「駄目ですか?」

プロス「もう、十分じゃないですか?」

 だって、虫の息だし・・・・・・










アキト「ちっ」










 おそるべし、義兄馬鹿・・・・・・

 プロスの内心での叫びであった・・・・・・





















−ナデシコ ブリッジ

 一方、宗介の独断により艦長(代理)に就任したかなめは・・・・・・

かなめ「暇〜〜〜」

 だらけていた。

かなめ「なんか艦長って『弾幕薄いぞ!! 何やってんの!?』とか叫ぶと思ったけど、やる事ないのね」

宗介「この艦は最新鋭の電脳艦だからな。 殆どオートでやる事は無いだろう」

かなめ「え゛・・・・・・って事は私は・・・・・・?」










ルリ「飾りですね」










 ルリの冷たいツッコミが室内の室温を一気に下げた。

かなめ「って・・・・・・私じゃなくても良かったワケぇ!?

 宗介に向かって怒鳴るかなめ。

宗介「う、うむ・・・・・・い、いや違う!! 決して、その場のノリで決めた訳じゃないぞ

ルリ「相良さん、本音が出てる」

宗介「しまった!!」

かなめ「ほ〜う・・・・・・つまりは私じゃなくても良かった訳だ・・・・・・

 ユラリと背後に殺気オーラを纏いながら宗介に近寄るかなめ。

宗介「いや、これは・・・・・・その・・・つまりだ・・・・・・弁解の余地を「問答無用」え゛・・・・・・」

 ――ガンッ!!

 丁度近くに放置されていた壷で思いっきり殴打した!!

 ブリッジに血の海が広がり、その中に宗介が沈んだ。

 しかし、ブリッジクルーは気にもせず普通に戦闘を続行している。

 流石はナデシコクルー。 この時点で人外の精神である。

 ――ピーピー

 その時、ブリッジ内にコール音が鳴り響いた。 相手は・・・・・・

メグミ「杉並機より通信です」

かなめ「繋いで下さい」

 艦長であるかなめの言う通りにメイン画面の片隅に杉並の画面が映し出された。

かなめ「どうしたの、杉並君。 まさか、もう限界?」

杉並『ふははは。 我輩の辞書に『限界』の2文字は破り捨ててあるわ! ―――だが、このままでは埒が明かん』

かなめ「それで?」

杉並『そこでだ、我輩に打開策がある』

一同「「「「『打開策?(あふもっふ?)』」」」」

 未だに血の海で眠っている宗介を除く全員が聞き返した。

杉並『先程、奴は戦艦を2隻を飲み込んでいたな』

ルリ「ええ、連合軍の戦艦クロッカスとバンジーが飲み込まれてます」

杉並『そこでだ、ナデシコでアームド・アタックナデシコ・アタックを仕掛けるのだ!!

ルリ「つまり、特攻ですね」

 折角のネタも身も蓋も無いツッコミである。

かなめ「―――って、ちょっと! 特攻って自爆させるの!?」

杉並『そうではない。 奴の内部にゼロ距離グラビティブラストを叩き込むのだ』

 それを聞いて「なるほど」と納得するかなめだが、

メグミ「でも、他の戦艦みたいに飲み込まれませんか?」

ミナト「そうねぇ、いくら最新鋭の新型艦と言っても」

 この2人は反対派の様である。 一方、ルリは・・・・・・

ルリ(ユリカさんが居ないから前回と同じ方法が使えないと思ってましたが・・・・・・)

 チラリと杉並の顔を見るルリ。

ルリ「(まさか、こんな所に伏兵が居るとは・・・・・・ こうなればフォローを入れておくべきですね)これを見てください」

 そう決めると別の画面を映し出し、デフォルメしたナデシコと戦艦とチューリップを写し出した。

ルリ「普通、戦艦がチューリップの中に入ると・・・・・・」

 説明しながら画面の戦艦をチューリップの口の中に入ると『BAN!』と爆発してチューリップだけが残っていた。

ルリ「こうなります。 ですが、このナデシコだと・・・・・・」

 同じように今度はナデシコがチューリップの口の中に入ろうとするが、口が閉じる直前にバリヤーみたいなのが張られてギリギリで止まっている。

ルリ「この様にナデシコにはディストーションフィールドがあります。 だから・・・・・・」

かなめ「なるほどね。 よし!! これより本艦はナデシコ・アタックを仕掛ける!!

 ビシッと明後日の方向に指差しながら宣言するかなめ。

メグミ「だから、ナデシコ・アタックじゃなくて特攻ですって」

 そんなかなめに冷たく突っ込むメグミだった。

かなめ「文句言わない!! ナデシコ内に対ショック体制の警報ヨロシク!!」

メグミ「了解!!」

 ナデシコ内にメグミの声が響き渡る。

かなめ「ルリちゃん、グラビティブラストは!?」

ルリ「約120秒後にチャージ完了します」

かなめ「ミナトさんにチューリップまでの経路を」

ルリ「了解」

 かなめの指示通りにミナトの方にチューリップまでの経路の画面を流した。

ミナト「さんきゅ、ルリルリ」

かなめ「ゴートさん、生ゴミを格納庫に放り込んで来て!!」

ゴート『あふもっふ』

 かなめの指示に敬礼したアフロボン太君が生ゴミ宗介を担いでブリッジを後にした。

かなめ「そこの隅で茶を啜っている2人組!!」

 今度は隅で大人しく茶を啜って世間話をしていたフクベとムネタケを指差す。

 いきなり指名された2人はビクッと肩を振るわせた。

かなめ「私の分もヨロシク。 あ、後お茶請けはドラ焼きとかの方がいいな♪」

フクベ「う、うむ・・・・・・取って置きを持って来よう」

 そう言って退室するフクベ。

かなめ「さぁ、反撃返しよ!!」

 ようやく戦艦らしくなって来たな〜と思う一同だった。

 後半を除いてだが・・・・・・





















−トビウメ 格納庫

 一方、義兄馬鹿アキトとプロスは困り果てていた。

 その理由は少々はっちゃけてしまい、脱出用のヘリまでもぶっ壊してしまったのだ。

アキト「いや〜つい銃を向けられたから・・・・・・」

 頭をポリポリと掻きながら弁解するがプロスは一向に白い目を向けている。

プロス「ま、自己防衛だから仕方ありませんけど・・・・・・どうやってナデシコに帰るつもりなんですか?」

 プロスの口調がトゲトゲしかった。

アキト「分かりました、分かりましたよ。 何とかすればいいんですよね」

 いくら『漆黒の戦神』といわれたアキトでもプロスは苦手なようだ。

アキト「文句言わないで下さいよ」

 そう言ってプロスを背中に背負うアキト。

 一方、プロスは何だか嫌な予感がして来た・・・・・・

アキト「振り落とされないで下さいよ」

 その時、プロスの脳裏にはとある場面のデジャビュが過ぎった。

 それはとある後輩から頼まれた実況のアルバイトの一場面だった。





実況『え〜実行委員会より緊急のお知らせです。
   
校門付近で待ち構えている方々は大至急に非難して下さい。
   
『天枷アキト警報 レベル8』が発生しました!! 死人が出ますよ〜





 確かにそんな事を言っていた様な気がした・・・・・・

アキト「じゃ、逝きますね♪

プロス「い、いや・・・・・・ちょっと、少し別な方法を―――」

アキト「走り出した馬とサイボーグは止まらな〜い♪」

プロス「本当に待って下さい。 私はまだ死・・・・・・に・・・・・・ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?

 ――ドドドドドドドドドドッ!!

 悪夢再び。

 トビウメのハッチから飛び出したサイボーグはナデシコ目指して海面を突っ走るのであった。










 昂氣無しで此処まで出来たら、昂氣は要らない気がして来たアキトだった。





















−チューリップ付近

 一方、対チューリップの杉並機とナデシコは・・・・・・

杉並『むっ、見える!!』

 既に触手の動きを読みきった杉並は『ニュータイプごっこ』で遊んでいた。

 額には厚紙で作った『ピキーン』の光も貼り付けている。

純一『あ゛〜あの野郎、余裕だな』

 既にスラスターがイカれて飛ぶ事を諦めた純一機は海面をプカプカ浮かばして助けを待っている。

純一『あ〜かったり』

 天下の宝刀『かったるい』を口にしながら魔法で出した和菓子を暇つぶしに食べるのであった。

 一方、ナデシコの方は準備が整った様である。

かなめ『よ〜し、ミナトさん。 全速全身!!』

ミナト『はいは〜い』

 チューリップに向かって進みだすナデシコ。

メグミ『杉並さん、チューリップから離れて下さい』

杉並『了解した。 朝倉を回収して来よう』

 そう言ってチューリップから離れて朝倉機の方に向かう杉並機。

かなめ『いっけぇ!! ナデシコ・アタック!!』

メグミ『何で叫ぶんですか?』

かなめ『その方が燃えるじゃない』

ルリ『この人も馬鹿でしたか・・・・・・』


 そう言っている間にもナデシコの前半分がチューリップに飲み込まれていた。

かなめ『グラビティブラスト!! ファイヤー!!

ルリ『発射』

 気合十分のかなめに反してルリが冷静に発射の指示をオモイカネに与えた。

 ――バシュゥゥゥゥゥ!!

 ちゅどぉぉぉぉぉぉん!!

 対チューリップ戦は見事原作通りにナデシコの圧勝で幕を閉じた。










 その後、ナデシコは朝倉機と杉並機を回収した後、ハッチに何者かが飛び乗ってきた。

 それは全力疾走して来たアキトと50歳は老けたプロスだった。

 プロスは医務室に運ばれ、悲鳴の様な声が聞こえた後、無事に元通りになっていた。

 萌先輩・・・・・・何をしたんディスカ?










 追伸:ユリカはトビウメの一室でケーキを夢中に食べていました。

 追伸2:そんなユリカを幸せそうに見ているジュンの姿があったとか・・・・・・















to be continued






この作品はフィクションです。実在の原作・人物・団体・事件等とは、一切関係ありません。











−後書きコーナー

 随分とお久しぶりです。

 覚えてますでしょうか? TAKUMAです。

 今まで入院やら何やらと、この作品の存在自体を忘れかけずつも、

 少しずつ書き続けて、とうとう1話分が書きあがりました。

 もう1年以上も開いてるんですよね・・・・・・

 その間にもスパロボにフルメタがキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!

 ついでにシャナがアニメ化フォ━━━━\(●∀●)/━━━━!!!

 コッチには放送されてナ━━━━(゚∀゚)━━━━イ!!!

 ―――とまあ、こんな事情で書けませんでした。(オイ)





 本当はネタが無かっただけですよ。

 最近になってはネタも無くなってギャグが薄いですが、元々よりギャグ中心じゃないから良しとしましょう。

 ―――という事でギャグを期待の方にはスミマセンでした。

 それでは久しぶりの後書き反省会スタートです。





−純一に奇跡が起きなかった理由−

 作中で音夢が言っていた通りなのですが、もう1つの理由は・・・・・・










 『謎邪夢』喰ってないから。(爆)










−次回予告−

 トビウメを振り切りビックバリアに挑むナデシコ。

 だが、第3防衛ラインで待っていた者とは!?

 医務室のガイは復活できるのか!?

 次回、FULLMETAL SOLDIER『さようなら・・・・・・色々な意味で』

 お楽しみに!!

2005年12月10日


 敬具









管理人の感想

TAKUMAさんからの投稿です。

まずは退院おめでとうございます!!

いやぁ、私も仕事のせいで胃が不調でして・・・そのうち入院するかもね(苦笑)

しかし、一年前の作品という事で、所々に古いネタが(笑)

ギター侍は何処に消えたんでしょうねぇ?

話としては特に進展は無いようですね、アキトが暴走してプロスさんが老けた位で。

 

さてさて、何時になったら宇宙に出れるんでしょうか?