101の部隊番号を冠した部隊は古今東西、無数にあるが世界にその名を轟かせた部隊は数少ない。
軍事知識をかじった誰もが知っている、もしくは、どこかで聞いたほどの知名度を持つ部隊はそれこそ、片手で数えるほどだ。
20世紀。
ベトナム戦争にてヘリコプターによる空挺作戦でその機動性を見せ付けた米陸軍、第101空中強襲師団<スクリーミング・イーグル>。
21世紀初頭。
今までの環境破壊の影響で世界規模の凶作が発生。同時にエネルギー危機が再発した結果、世界中で内戦が勃発。現在の地球連合の発足する切っ掛けとなった。
その内戦の中、当時最新鋭の人型機動兵器で戦い、局地的にではあるが常に勝利をもたらし続けた日本外人部隊、第101機甲師団<ガン・グリフォン>。
特に501対戦車中隊の戦いぶりは、今もなお語り草となっている。
21世紀後半。
内戦も終結して戦後の処理も終わると地球連合の枠組みの中、米国の主導で宇宙開発が軌道に乗り始めた。
同時に当時、研究段階のナノマシンを活用した地球環境改善計画がスタート。比較的良好な結果が得られ、後の火星開発に大きな貢献をもたらしたとされる。
が、同時にナノマシンの暴走も世界各地で発生。暴走ナノマシンをその区画ごと破壊、隠蔽する機密殲滅部隊の番号が101であったという未確認情報がある。
なお、この時のナノマシン騒動で地球圏でのナノマシンの一般普及は絶望的になってしまった。少なくとも、二世紀以上たった現在でもナノマシンはタブー視されている。
22世紀。
月の独立戦争が勃発。編成されたばかりの国際連合宇宙軍、第101機動兵器大隊<シューティング・スター>が両陣営不慣れだった宇宙空間戦闘に、多大な血でもってそのノウハウを構築する。
この独立戦争は両者に多大な傷跡を残して、月独立軍の内乱、分裂、国際連合への併合と言う形で収束した。この戦争で国際連合は今まで主導を握ってきた大国からの支配から抜け、超国家組織としての一歩を踏み出す。
あまりもの見事な再編振りに、月独立戦争は連合が一枚噛んでいるのではないかという噂も。
その後、国際連合は「地球人類宣言」と共に地球連合政府として、その足場を固める。
そして、23世紀。
第一次火星大戦。つまり蜥蜴戦争の中盤にて、唐突に編成された機動兵器中隊<トランプ・ナイツ>もまた、101の名を掲げていたのであった。
この101機動兵器中隊には幾つか不可解な点がある。
配備された機体。そのスペックとパイロットの事は現在、公表こそされているが、彼ら101の戦いぶりを見た者の証言はソレを超えるモノだった。
部隊運用上、結局主流になりえなかったエステバリス・核融合炉搭載型。
戦争中はネルガル式の重力波アンテナ型と陸軍採用のバッテリー・オンリー型。それらで地球連合は押し切ってしまった。
結局、戦争の主力は戦車であり、戦艦であり、戦闘機である。もちろん、エステバリスはその機動力を生かして連合軍を勝利に導いたが、IFSがその枷となったのだ。
なにより現在は、蜥蜴戦争後に発表されたクリムゾンの新鋭機<ステルン・クーゲル>の後継機種にお株を奪われてしまっている次第だ。EOSはナノマシンを必要としない。もっとも、エステバリス系は今も火星、木星圏の人間には好まれているが。
ともかく核融合炉搭載型は、ただ加速力と航続距離に少しの評価が与えられるだけで、過敏に過ぎる機動力はリミッターがつけられてしまった。なぜ、ワザワザそんな機体を選んだのだろう?
そんな使い勝手の悪い機体に装備されたのは、戦場の狂気の産物と言える槍と剣と盾そして大砲。
強大なフィールドを持つ敵戦艦を撃破する為に彼らが選んだ方法は、中世の白兵戦だった。大砲も使い捨てで、撃ち切ったら剣で戦う事になる。
この装備もまた、一般受けしなかった。
確かに破壊力はあるが、何故、超接近戦を行なわなければならないのか。
唯一、一セットになっている剣と盾が重機動フレームを装備した部隊に愛用されたくらいである。
文字通り、敵艦の砲撃から身を守る為の盾として。
そんな評価の薄い機体と武器で彼らは戦果を上げ続けた。信じられない大戦果を、だ。なにせ、彼らの戦果には、ヤンマ級、オニヤンマ級、ゆめみづき級、かんなづき級、チューリップなどの大物がゴロゴロしている。とても機動兵器の戦果とは思えない。
彼らの戦いを見た証言者は口を揃えて言う。
「あいつ等は化け物だ。ミサイル避けの魔法と、恐怖を感じない鉄の心臓を持っている。」
確かに公開されている戦闘映像を見ると彼らの言葉には頷く他無い。
101中隊のパイロットの経歴を調べるとその事がよく判る。彼らは皆、数多の戦場を駆け抜けた精鋭ぞろいである。興味深いのは、殆んどのパイロットが脛に傷を持っていた事。
問題あるパイロットを集めて独立部隊として運用した。と言う事だろうか?詳細は不明だ。
さらに、一部の人間はこの様に述べた。
「連中も凄まじかったが、更に凄まじかったのが20m位の大きさの人型兵器だ。まるでドラゴンみたいな咆哮を上げて、蜥蜴共を片端から打っ潰してた…虫も戦艦も容赦無く。連中が化け物なら、アレは悪魔だ。」
この人型兵器の事を軍に問い合わせても答えは得られなかった。20mと言えば、当時の木連のジン・シリーズよりは小さいがエステとは比べるのも愚かしいサイズだ。強いて言えば、エステバリス・月面フレームか。だが、それも20mは無い。
所謂デマ、戦場伝説とも思えたのだが、そうにしては妙にリアルな言葉。なにより彼は「実際に見た」と証言しているのだ。
色々、情報を集めて解った事は、その機体が確実に存在していたと言う事。そして、その機体の事を連合軍は一切否定しているという奇妙な結果だった。
どうやら、この機体は戦時中に造られた一機であり、世界中を転戦したと言われている。ナデシコと共に行動していた時期も有るそうだ。
なんでも合体変形すると言う、とんでもない機体でパイロットは女性らしいのだが、その詳細は不明だ。現在、編集部ではこの機体に纏わる情報を募集中である。
ともかく、この101機動兵器中隊<トランプ・ナイツ>。
101の部隊番号を持つジンクス、すなわち「最前線に投入され続ける。」という過酷な運命の中で彼らは、次々と仲間を失いつつも信じられない大戦果を上げたのであった。
そして、現在。大隊規模に拡大化したこの部隊は、今もなお、統合軍最強の部隊の一つとして燦然と君臨しているのである。
民明書房刊「101・その歴史」より一部抜粋
機動戦艦 ナデシコ OUT・SIDE
機械仕掛けの妖精
第十二話 「チューリップ畑を踏み越えろ!」欧州解放作戦 中編
クソ重たいライフルを抱えて、泥まみれで走る。
やっとの事で遮蔽物を見つけ、その影に入って一息つく。神経質なくらい辺りを見渡すと、クソッタレなバッタが一機。
まだ此方には気付いていない。
ラッキーだ!そのまま、あっち向いてろっ。
豚のように重いライフル、対ディストーション・フィールド重狙撃銃を構える。
光学式スコープは外した。自動ズームは一動作遅れるし、視野が狭くなるし、そもそもスコープが必要な距離で俺達は戦わない。
昔ながらの固定式照準器で十分だ。
昔の兵士は銃にへばり付いてる、こんな出っ張りだけで500mの狙撃を成功させたりしたそうだしな。
幸い俺の相手は約100m先でウロウロしているだけだ。
ボルトを操作し、弾を装填。銃身の電圧を上げる。
たった100m先なのに妙に小さく見える目標に狙いを定める。
発砲!
プラズマ交じりの発射炎を噴き出して、クソ重たい銃が上に跳ねる。この銃が古臭い曲銃床の理由の一つがコレだ。銃の重さですらカバー出来ない反動を上方に逃がす。直銃床だと、反動が真っ直ぐ肩に突き刺さって、脱臼するか骨折するか…どちらにしろ楽しくない事態が待っている。
直ぐに射撃体勢に戻って、ボルトを操作、人差し指よりも太い巨大な薬莢を排出し、次の弾を装填!
サイト越しにバッタの様子を窺うが、バッタは煙を吹くだけで動きを止めていた。
…再発砲!
どんなに工夫を凝らしても襲い掛かる反動に顔を顰めながら目を凝らすと、二発目は可燃物にヒットしたらしい。
煙どころか火を噴き始めたバッタが盛大に爆発した。
やれやれ、連中は妙にしぶといからな…油断させてもらえない。
ともかくこれで一息つける訳だが、状況は最低だ。仲間とハグレちまった。
…唐突だが、自己紹介しておこう。俺の名は、ベンジャミン・ディズレーリ。連合陸軍の伍長様だ。
もっとも、戦闘中に仲間とハグレる、マヌケな伍長様だが。
ココはロンドン。俺の故郷だ。
だが、今では廃墟そのもの。総ては素敵な蜥蜴共のお蔭だ。連中は有機物、無機物の区別無く、総てを破壊する超平等主義者だ。…くそったれ。
自己弁護になっちまうが、ハグレるのも仕方無い。
俺の部隊がバッタ共を駆逐していたら連中の駆逐艦、カトンボが俺達目掛けて主砲をぶっ放しやがったんだ。
お蔭で誰が死んで、誰が生きてるかわかりゃしねぇ。
あまつさえ、命からがら生き延びたと思ったらバッタの逆襲ってオマケつきだ。
畜生、せっかくロンドンにまでたどり着いたと言うのに。
懐から多機能情報端末を取り出して、現在位置を確認する。あちこちで盛大に電磁波を撒き散らして戦闘してるもんだから、無線通信はアナログ、デジタル両方使えない。
頼りになるのは予めインプットしておいた周辺の地図データと、自分の経験と勘。
23世紀になっても最後に物を言うのは人間様って訳だ。
ああ、あそこに倫敦塔の残骸が見えるから、タワーヒル駅はこっちか。
当然、伝統あるロンドンの象徴。かつて王族が住まった麗しくも陰謀渦巻いた城、倫敦塔も容赦なく破壊されている。修繕費、天文学的な桁になるんだろうなぁ…。
って、この位置は蜥蜴野郎の勢力圏じゃね〜か!
しまった。道理ではぐれる訳だ。好き好んで敵の勢力圏に逃げ込む馬鹿はいない。…ここに一人いた訳だが。
慌てて移動を開始したその時。ふと、空を見上げると…最前線だというのに、綺麗な密集編隊を組んだエステバリスが三組と戦闘機が三機、空を横切っていった。
思わず目を奪われる。
理性は、どこから弾が飛んでくるか解らない最前線で呑気にダイアモンドを組んでいる連中に「アホめ。」と連呼しているが、感情はそんな「アホ」な連中に賞賛を送っていた。
そこには「無人機共の弾など避けてみせる」と言う、誇りと技量が確かに有ったからだ。
もっとも、俺の本音は「俺もついでに乗っけて行ってくれ。」だ。
…まぁいい、俺には二本の足がある。味方の陣地まで逃げて見せるさ。
相変わらずクソ重い銃を背中に担いで、最後にもう一度、空に目をやる。
すると、あの連中は空の彼方、チューリップが控える敵陣中央方面へ一直線に飛び去っていく所だった。
…乗っけて貰わなくて良かった。頭を振ると、俺はゆっくり周囲を警戒しつつ歩き始めるのだった。
Caution!!
コクピット内に、レーダー・ロックされた事を示す警報が鳴り響き、正面モニターに警告の文字が赤く点滅する。
「へっ!敵のレーダーに捕まっただけでそう五月蝿く吼えなさんな。」
呑気ともいえる言葉と裏腹に彼は乗機を鋭く動かす。
パイロットの意に答えて機体、エステバリス核融合炉搭載型、通称・空戦改は垂直落下。あわや地面に墜落か?という高度で水平飛行に移る。当然、その時には警報は鳴り止んでいた。
地面スレスレに飛びながら、自分に狙いを定めていた敵を探す。
…居た!4時方向。ヤンマ級戦艦が自分の飛んでいる方向へ舳先を向けようとしている。
「にゃろう、グラビティー・ブラストをぶっ放すつもりじゃねぇよな。」
再び機体を鋭角に旋回させ、敵の狙いを付けさせない様に接近する。
至近距離で飛び去るエステの衝撃波を受けて、ビルの残骸が更に崩壊した。
それを無視する様に、エステの背中の熱核ロケットから猛烈な勢いで推進剤がプラズマ化し飛び出してゆく。
ヤンマ級の防空射程内に入った途端、ヤンマ級から猛烈な対空射撃が襲い掛かってきた。
ディストーション・フィールドは張られていない。張れば、対空射撃は出来ないからだ。
対するエステは右手の突撃槍を起動させ、ディストーション・フィールドを前面に展開する。
熱核ロケットで加速しつつ、重力波推進器で左右に弾を避ける。避けきれない弾は槍のフィールドで防ぐ。
あっと言う間に、彼のエステはヤンマ級の真下まで到達。そこでエステは逆噴射を開始して、速度を殺す。
「あらよっ!」
彼の掛け声と共に、エステが体ごと真上を向く。
地面を焦がすプラズマ。光を放つ重力波推進器。
ホンの少し、その場に留まっていた機体が猛烈な勢いで、天空目掛けて飛び出す。
突撃槍の根元に付いている、ぶ厚い歯車が唸りを上げて回転すると、槍から展開されるフィールドも光を増して回転を始めた。
対空砲では仕留められないと判断したヤンマ級は直ちにディストーション・フィールドを展開するが、総ては後の祭だった。
エステは容易くヤンマ級のフィールドを抜き、船体中央にある二つの胴の接合部に突っ込む。
そして、そのまま、反対方向から飛び出した。
「へっ!無人艦は他愛無いぜっ!!」
グングンと高度を上げるその機体の左肩に付けられた大きな盾。
そこにはトランプの絵柄が大きく描かれていた。描かれたカードはダイヤの4。
101機動兵器中隊、第三小隊、4番機。グエンの乗機であった。
「グエン!あまり高度を上げるな!…狙い撃ちされるぞ。」
「へっ!俺様を狙い撃つような蜥蜴は叩き落してやるぜ!!」
第三小隊長であるシンの忠告を無視して、グエンは新しく見つけた獲物に飛び掛った。
「グエン!」
「…そうカリカリするなよ、シン。グエンも解ってるよ。…だからワザと囮役をしてるのさ。蜥蜴の注目を引き付けて俺達が戦いやすいようにな。」
怒鳴るシンを、マックが諌める。
「…マックよう。俺がそんな恥ずかしい事をするタマかよ。それに最高の囮役、兼、この戦場の主役はあっちで大暴れしてるぜ。」
グエンが会話に割り込んで話を逸らす。
話の間にカトンボ級を撃墜したグエンが槍で示した先では、怒涛の勢いで盛大な花火が上がっていた。
「あ〜、我らがお嬢ちゃんか。道理でこっちに来る敵が少ない訳だ。…どうする?シン。」
マックがシンに問いかけた。もっとも答えは聴くまでも無いと判っていたが。
「死角から蜥蜴を殲滅する。…当然だろ?…第三小隊。集合!」
「ま、セオリーだわな。…第二小隊も集合だっ!編隊組んで突っ込むぞ。」
シンとマックが僚機を呼び寄せる。すぐ側にいたグエンが、集合までの暇つぶしに疑問を発した。
「ところで第一小隊は何処に消えちまったんだ?」
「ああ、彼らは先にチューリップまでの進路を切り開いている。方角的には、アリスの戦っている向こうだ。」
「って事で、この空域のお掃除が済んだら、そのままチューリップ目掛けて突撃って訳。」
シンの回答に、マックが付け足す。
「ハッ!ソイツは至れり尽くせりだぜ。」
グエンが愉快に笑い出した。
「ほんじゃま〜、前菜を戴こうかいね。」
「メイン・ディッシュはチューリップの踊り食いで御座い。ってか?」
「むしろ、活け作りじゃねーのか?」
「どっちでもいいよ。気になるなら好みの調理をすりゃいいじゃねぇか。」
「道具は揃ってるしな。」
集まってきた皆がグエンの発言に続いて次々に雑談を始める。
「さぁ!お喋りはそこまでだ。…行くぞ!!」
シンが槍を構えて、一気に駆け出す。
シンのエステの盾には、トランプのダイアの1とユニコーンの組み合わさった絵柄。
マックのエステの盾は、同じく、クラブの1と懐かしのプレイボーイ・バニーが描かれている。
因みに、ココにはいないクリシュナの盾には、スペードの1とライオンと馬が描かれたバシュタール王家の紋章が描かれている。
これら隊長機には、自分のマークを追加する権利が与えられていた。
もちろんアリスも、である。アリスの機体には、ハートのクイーンとソレを守護するように三方にドラゴンとウサギとグリフォンが描かれていた。
シンの後を追って、次々にエステが急降下する。
バラバラに飛び出した彼らだったが、目標に近づく頃には綺麗な隊列を組み上げていた。
それは長距離を旅する渡り鳥の編隊に似ていた。
唯一、異なるのは目的。
移動の為ではない。獲物を狩る為の、殲滅する為の編隊だった。
先頭に立ったシンのエステが強引な軌道変更。機首を直上へ差し向け、猛烈な加速をかける。
目標としたカトンボを貫通しても、その加速は止まらない。
次々と周囲で爆炎が、咲いた。
相変わらず、明かりの乏しい空間に一人の少女が鎮座していた。
トライデントのコクピットである。
アリスが目を瞑ったまま、複雑な表情を浮かべる。不愉快なようで実に楽しそうな。そんな不思議な笑み。
IFSで総ての情報をやり取り出来るナノマシン・サイボーグならでは状況だが、傍から見ると何がなんだか解らない。
その時、IFS回線では…。
〔アリス・周囲ノ・遊軍化シタ・木星蜥蜴・二・第二小隊ト・第三小隊・ガ・突撃ヲ・開始シタヨ。〕
トライデントの光学カメラ、各種レーダーの情報を分析、再処理された映像が電子空間上にウィンドウ・ボールの様に展開され、ソレを擬似的に見るアリスがWILLに答える。
ウィンドウ・ボールの中心ではアリスの姿が擬似投影されていた。
もちろん、脳で体で情報を感じ取る事が出来るし、そうもしているが人の意識はどうしてもこういった間接的な行為を必要としていたのだった。
「ちぇ。デザートに取っておいたのに…。まあ、いっか。さっさと平らげて大物を喰らいに行こう。」
〔Yes・アリス。チューリップ・ガ・我々・ヲ・マッテイル♪〕
アリスとWILLが状況報告交じりの雑談を繰り広げる間もトライデントは周囲の木星蜥蜴を破壊する事に余念が無い。
ジャバウォック形態の拳で、肘で、膝で、脚で、尻尾で…あらゆる部位と手段でバッタを、ジョロを、カトンボを、ヤンマを粉砕してゆく。
それでも、一度に破壊出来る数はたかが知れている。であるが故にトライデントの周囲を十重二十重に取り囲んだはいいが、味方が邪魔で身動き出来ない木星蜥蜴。
つまり、シン達の格好の獲物と化したのだった。
中心では、アリスが。外周はシン達が。それぞれ、木星蜥蜴を恐るべき効率で粉砕し続ける。
雲霞の様な無人兵器の群れが消失するのはすぐだった。
「…こちら、第一小隊、スペード・リーダーだ。チューリップへの進路を切り開いた!早く来い。」
スペード・リーダーであるクリシュナからの見事なタイミングの指示。…見てたんじゃ無いだろうかという位、最後の無人機を撃墜した時と同じくして通信が入った。
「こちらハート・リーダー。30秒以内にそちらに着くよ。」
「こちらクラブ・リーダー。以下同文!クラブ全機欠落無し!」
「こちらダイヤ・リーダー。同じくダイヤ全機、戦闘可能だ。」
アリス、マック、シンの言葉に合わせて、猛威を振るった鋼の戦鬼達が次なる獲物を求めて飛び出した。
その無線を受けたクリシュナの口元が歪む。
勿論、微笑である。
「どうしたんだ?親分。」
列機であるグレックがクリシュナに問う。
「…ああ、いや。…ただ、ドイツもコイツも戦争好きだなと思ってな。」
「しかたねぇべよ。好き好んでIFSを体に打ち込んでまで戦うんだからよ。…ソレを戦争好きと言わずして何と言うんだ?」
「…成り行きって場合もあるけど…な。」
「それでも、戦争好きって言われて意外と否定は出来ないもんだ。」
ジェンセン、バクシー、グレッグが話し始める。口は開いても手を止めないのが流石だ。
既に撃ちつくした大砲を捨て、身軽になったエステ達が空を舞う。
ロンドンに至るまでの戦いの中で彼らは剣の扱いにも慣れた。鋭い軌跡を描いてバッタを切り裂く。
与えられた道具でもって最大の効果を発揮する。それがどんなに使い勝手の悪い道具でも。
一流どころの腕では無い。超一流の証しであった。
「良し、この戦い方にも馴染んできたな。後続が来るまでこの空域を確保するぞ。」
クリシュナが言ったその目の前。少し離れた場所にこの地区に展開する木星蜥蜴の中心、チューリップがその巨体を露わにしていた。
4機のエステが超接近戦を繰り広げる。
そこに8機のエステとトライデントが到着する。アリスの宣言通り30秒後だった。
「ふふっ、目標まで一直線に突っ込むよ、WILL!」
〔ARMED・AND・READY!〕
「マグナム・ファング!起動っ!!いっけ〜!ゲキガンッふれあ〜!!」
ジャバウォック形態のままだったトライデントの右腕のカバーが展開する。
中から姿を現した巨大な歯車が回転を始める。
その右腕を正面にかざして、トライデントはチューリップ目掛け疾駆する。
チューリップへ一直線に爆発が連鎖する。
防衛網を展開していたバッタがトライデントのマグナム・ファング。高速回転するディストーション・フィールドに接触したのだ。
見る見る内にチューリップへ接近するトライデント。
その時、チューリップの口が開き、中から一隻の戦艦が姿を現した。
一見するとヤンマのような双胴艦だが、ヤンマ級よりも明らかに大きい。
オニヤンマ級の実戦配備。その初陣であった。
「大きいヤンマ?…フ〜ン、新型って訳か。さてさて、ボクの相手が務まるかな?」
その口調とは裏腹に、IFSインターフェイスに乗せられたアリスの両手は小刻みに震えていた。
〔アリス?〕
「…大丈夫。大丈夫だよ、WILL。…このまま突っ込む。出力MAX!全エネルギーをマグナム・ファングへ!!」
〔O.K.アリス。デモ・戦闘続キ・デ・推進剤・ト・燃料ノ・残量ガ・イエロー・ゾーン・二・入ッテル・注意シテ。〕
WILLの言葉に頷きで答えたアリスが目を見開く。
暗闇に包まれていたコクピットに明かりが灯る。全周囲モニターが外の風景を映し出したのだ。アリスの行動にWILLが対応したのである。
アリスにとっては無意味な行為である。
自身の目を使わずとも、トライデントの各種センサーや光学カメラのクリアな映像をIFS経由で肉眼以上の情報量でもってリアルに捉える事が出来る。
逆にIFS・フルリンクと身体感覚の同時運用はアリスに操縦ミスを生み出す可能性すらあった。
それでもアリスはその目を見開き、眉を引き締めた。その視線は、オニヤンマとその先に居座るチューリップを見据える。しかし、その顔色は恐怖で青ざめていた。
(何故、こんなに恐いのにボクは戦う?…勿論、ボクの存在理由が戦いにある事は理解してる。ボクは…戦う為に作られた。…それを否定する気は…無い。でも、死ぬ気も無い。…ボクは一体、何なんだろう。戦って、何がしたいんだろう。)
「…戦闘中に考える事じゃないよね。」
首を振って、先ほどの考えを消し飛ばす。モニター越しとはいえ、自分の目で見る敵艦は圧倒的な殺意を自分に向けている気がした。IFSのみで戦っている時とは実感が違った。
IFSを使っている時は、まるで機械の一部になったような感覚になる。感情が希薄になる事は無いが、どこか現実から切り離された違和感が付き纏う。
(まぁ、ボクはナノマシンのみで構成されているから、機械の一部どころか機械そのものなんだけど。…そういえば、自分が機械である事に疑問や苛立ち、悲しみを覚えた事が無いな…ボクの体を構成するナノマシンが肉体を持っていた時との違和感を与えないほどに優秀なのかな?)
(…それとも、ボクがナノマシンに親近感を持っている?…そうか、そうかもしれない。ナノマシンはボクに羊水シリンダーの外に出る自由を与えてくれた。…途轍もなく痛かったけど、そのお蔭でボクは今、外に居る…)
またもや思考が脱線しだした時、トライデントがオニヤンマのフィールドにぶつかった。
両者のフィールドの接触点が閃光を放つ。
閃光はコクピット内のアリスにも届き、彼女の意識を戦場へ呼び戻した。
「とっと、イケナイ、イケナイ。」
軽く焦るアリス。
すでにアクセル全開。攻撃目標に接触中、油断が出来る状況ではない。
戦闘中に物思いに耽るなんて、戦いの恐怖に慣れたのか、それとも新しい逃避なのか。
きっと後者だろうな。と思いつつアリスは眉を顰め、現状に集中した。
トライデントのマグナム・ファングは全力稼動中だが、オニヤンマのフィールドは頑丈だった。少しも進めない。
「ううっ…このままじゃ、的になっちゃう。」
背中、両肩、両足の熱核エンジンに最大出力を指示すると同時に、左腕のマグナム・ファングも展開する。
「いっっけ〜!ダブル・ファング!!」
オニヤンマのフィールドに無理やり左腕のマグナム・ファングを捻じり込む。機体各所のエンジンが長大な炎を吐き出す。
ジリジリとディストーション・フィールドが押し広げられる。
その歩みは正に牛歩。オニヤンマもフィールドを抜かれてたまるか。とフィールドに全出力を回しているのだ。
硬直状態。
ソレを崩したのは、101中隊の仲間達。
8機のボルテックス・ランス装備のエステが次々にオニヤンマに襲い掛かったのだ。
計10機のマグナム・ファングがオニヤンマのフィールドに突き刺さる。
「嬢ちゃんようっ!一人で戦争するんじゃねぇやぃ!!俺たちを忘れてもらっちゃ、困るぜ?」
マックが代表してアリスに文句を言う。
「んだ、んだ。」
「まったくだ。」
「俺にも見せ場を寄越せ。」
のこり7機のエステから次々に同意の声が上がる。
そんな9機を残り4機の剣を装備したエステ、スペード小隊が護衛する。
9機に取り付こうとするバッタを片っ端から切り裂いていく。
見事なチーム・ワーク。寸分の隙も無い。
「…みんな。」
アリスの顔が驚きの表情を作る。
オニヤンマのフィールドが激しく歪む。
瞬間、オニヤンマの船体の一部で爆発が起きた。
過負荷に耐え切れなくなったフィールド・ジェネレーターが爆発したのだ。
ディストーション・フィールドという枷を取り払われた10の牙が獲物に突き刺さる。
「貫けーっ!!」
シンの叫びに呼応するように、9機の猛禽はオニヤンマの胴体を食い破り、反対側から飛び出した。
「ブレイクッ!チェンジ!ゲキガンッ、Vーーーッ!」
「皆!このまま、チューリップを落とすよっ!!」
グリフォン形態に変形したトライデント。アリスが8機のエステを引き連れてチューリップに襲い掛かる。
「行っけ〜っ!グラビティー・ブラスト!!」
両腕を発射形態にしたトライデントの胸から無色の奔流が飛び出す。
しかし、チューリップの表面を焼くだけで目立った損傷を得られない。
所詮は機動兵器の兵装。戦艦級の破壊力には到底届かない。
「ふん、コレくらいでどうにかなるとは思ってない!」
両腕を元に戻したトライデントがチューリップに体当りする。続いて、槍を抱えたエステも次々に突撃。
しかし、20m級大型機動兵器・トライデントが小魚のように小さく感じるほどチューリップは大きい。
エステからしたら、蟻と象の差である。
だが、蟻の一噛みが象を苦しめる事もある。現に、101中隊の突撃を受けてチューリップは少しずつ削れてゆく。
そのチューリップに、更なる閃光と爆風が襲い掛かる。
「101の諸君。こちらは地球連合宇宙軍第3艦隊第2地球軌道守備隊提督、ジェームズ・ショウジョウである。これより艦砲射撃を開始する!流れ弾に当たらんよう、後退してくれたまえ。ご苦労だった!」
101中隊が大暴れした為にチューリップの至近距離まで接近出来た艦隊が大型ミサイルを、大口径レーザーを、大口径レールガンを打ちまくる。
流石のチューリップも戦艦と巡洋艦、駆逐艦の合計12隻による集中砲火には耐えられない。
101中隊と第2地球軌道守備隊に両側から攻撃を受け、岩石そのものの外壁に亀裂が入り始めたのだ。
「良し!!行け行けっ!撃って撃って撃ちまくれ〜!!栄光は我らのものだっ!!」
旗艦ポインセチアにてショウジョウ提督が吼える。
猛烈な集中砲火。チューリップに細かい亀裂が無数に生じる。
それを聞いていた101中隊のグエンがケチを付ける。
「けっ、横から獲物を掻っ攫おうたぁ、ふてぇ野郎だ。」
「まったく、何様のつもりだ!」
「連中ごと落としてしまうか?」
「つってもよ。今も遠距離兵装持ってるのは、嬢ちゃんだけだろが。アリス!かまわねぇからやっちまえ!!」
「そうそう、101にチューリップ撃破の戦功を付け足してくれよっ!」
「…どうする、クリシュナ?」
威勢のいい同僚達の台詞。シンがクリシュナに指揮官としての采配を窺う。
「ふっ、いいんじゃないか?…アリス、チューリップを落とせ。折角ここまでやったんだ。トドメを刺して帰るぞ。」
クリシュナは愉快そうにアリスに指示を出す。
「了解だよ、クリシュナ。お花は摘んで帰らないとね♪」
〔ハァ〜・ミンナ・言イ出シタラ・聴カナイ・ン・ダカラ。…後、大技・一発デ・残燃料、帰リ道分ノミ・ダヨ。〕
「おっけ〜、WILL。それじゃ、みんなのご期待に答えておっきいの行くよっ♪ぺネトレイト・エクステンション、二連射ぁっ!!」
トライデントの両腕が火花を散らして右、左と時間差で発射される。
巨大なミサイルと化した両腕がチューリップの中央のくびれに突き刺さる。
突き刺さっても、ノズルからの炎が止む事は無く、チューリップの亀裂をより大きなものに変えて行く。
反対側からは今も続く艦隊からの集中砲火。
そして、ついにチューリップは真っ二つにへし折れ、大地にその躯を横たえたのであった。
大地に轟音を立てて沈む、チューリップ。ソレを無感動に眺める7つの人影があった。
廃墟同然のビルの屋上に居並ぶ彼ら。上から下まで、黒一色のスーツに身を固め、サングラスまで常備している。
視線は、空を駆け抜ける銀の大鷲。トライデントを見つめていた。
「隊長。あれが噂のゲキガンモドキですか。」
圧倒的な存在感を撒き散らす男の背後で整列している6人の内の一人が口を開いた。
「そう。我らのターゲットだ。」
隊長と呼ばれた男は、身も凍るような声色で答えた。
「何時、仕掛けます?」
別の一人が問う。
「まだ。…そう、まだだ。奴らが気を抜いた時こそ、我らが付け入る隙。」
「御意。」
「ならば、我ら六人衆。」
「時至るまで。」
「影に潜んで居りましょう。」
6人が次々と口を開く。それを受けて彼らの隊長、北辰が宣言する。
「今しばらく、戦場を謳歌するがいい、機械仕掛けの妖精よ。闇が、汝を捕らえるその時まで…な。」
ロンドンから木星蜥蜴を一掃した一時間後。
ロンドン郊外の空き地に作られた補給拠点。
沢山のテント、プレハブ小屋、積み重なったドラム缶などが点在している。
そして、エステバリス。
エステバリスの周りには鋼管で仮設された足場が置かれ、整備兵達が忙しく整備や修理、応急処置を施している。
一見すると工事現場のようだ。
101中隊の前線基地である。
当然、トライデントの三機もそれぞれ、整備と燃料補給を受けている。
「あっ!くそ…このパーツもう、擦り切れちまってるじゃね〜か。カ〜ッこの間、交換したばっかだぜ?」
「おお〜い、8番ケーブル1.3m分、持ってきてくれ〜!」
「こっちはφ0.5の超伝導シリンダーだ!」
「すまん!こっちにも同じ径の超伝導シリンダー3つ頼むっ!!」
「よっしゃ〜、エンジンばらすぞ〜!!手が空いてる奴、2,3人来てくれ〜!!」
ガヤガヤと活気ある声がそこかしこから聞こえる。
「…ふうっ、やれやれ。被弾こそ少ないが操縦が雑すぎるぞ。パーツがカタログの耐久力以下の割合で御釈迦になるとは…クリシュナ!お前さん、部下にどんな教育を施しとるんだ!」
101中隊、整備隊長がチェック・ボード片手にクリシュナへ文句を言う。
「勘弁してくれ、マッコイ爺さん。出撃回数がメーカーの想定を上回ってるんだ。連中はよくやってる方だ。なにせ、まだ一人の死者も出していない。」
クリシュナが呆れ半分に答える。
「まぁ、機体を持ち帰ってくれる事は感謝しとるが、な。…ふ〜、この調子でパーツを消耗された日にゃ、ウチの倉庫はカラになっちまうぞ。」
「そこはマッコイ爺さんの腕の見せ所だろう。」
「やれやれ、わしにまた無理をさせるのか。他所からパーツ分捕ってくるのも中々難しいんだぞ。エステは何処の部隊でも引っ張りだこな新製品だからな。」
101中隊整備隊長マッコイ特務少尉。除隊間近の老兵ではあるが、凄まじく膨大なコネを持っており何処からとも無く必要なパーツをかき集めてくる爺様である。
必要とあらば、ホワイトハウスだって持って来れると噂されている。
ちなみに「特務」とは士官学校を出ていない、類まれな軍功を上げた兵に送られる名誉階級の一種。叩き上げの兵士、その一部に送られる称号で、特務の階級を持つものは総ての軍人に尊敬される。
もっとも、士官学校に入学させて、行く行くは佐官、将官に…とは成れない兵に送られる称号でもあるが。…爺さん、何をしたんだ?
「…どうしようも無くなれば、ネルガルに直接、納品させる。」
そんな二人に声を掛けたのはグルーバー大尉だった。
「中隊長、ネルガルにコネがあるんですか?」
クリシュナがグルーバーの発言に疑問を持った。
「ああ、バシュタール中尉。彼らにはいくらかの貸しがあるからな。…いや、彼らから見れば返済したと認識されているかもしれない。まぁ、最悪、借りを作るだけで済む。」
「商人への借りは取立てがキツイぞ、中隊長。」
マッコイがグルーバーの言葉に突っ込む。
「…知っている。」
すこし渋そうな表情でグルーバーが同意する。以前に作った借りで火星旅行につき合わされたのだ。下手をすれば片道旅行に成りかねなかった危険な旅を。
もちろん、ナデシコの一件である。
「しかし、必要とあらば仕方あるまい。取引に仕える手札は幾らかある。必要なら言ってくれ。もちろん、上層部に補充要請を出してからになるがな。」
「補充要請ねぇ。いかに連合総軍司令長官直轄の特務部隊とはいえ、ただの中隊に優先的に補給が来るとは思えんがなぁ。」
グルーバーの言葉にマッコイが諦め口調でぼやく。
「やらないよりはマシだろ、爺さん。…ああ、そうだ。ところで報告書は読んでもらえたかな?中隊長。」
マッコイのぼやきに突っ込んだ所で、グルーバーに話す事を思い出したクリシュナ。
「ん?…ああ、リニア・コイル・カノンの件かね?APFSDSでヤンマ級に3発必要。榴弾はともかく、散弾は対バッタに効果を発揮するものの、対艦には威力不足である。…という話だったな。」
「ええ、しかも今回、ヤンマ級を越える大型艦が実戦投入されました。トライデントとランス装備の8機での突撃で撃破しましたが…つまり、コイル・カノンの火力増強は必須と言う事です。」
グルーバーの答えにクリシュナが意見を付け足す。
「なるほどな。現在、コイル・カノンの改良型を設計中だ。電磁加速と火薬式の複合型になる予定だが、そうなると反動が大きくなる。現行の空戦改フレームでは連射出来ないという試算が出ているが、なにか要望はあるかね?」
「…一部のパイロットの意見ですが『機動性を犠牲にして構わないから、兵装搭載量を増やして欲しい』と。」
「ふむ。……今のフレームはあれが精一杯だな。もし、搭載量を増やすのならば、他のフレーム。たとえば重機動フレームをベースにするしかないのだがね。」
「空戦改と重機動を同時運用するのは難しかろうが。空と陸でどうやって、連携を取らせる気なんだ?」
グルーバーとクリシュナの会話にマッコイが絡む。
「と、なれば重機動フレームを飛ばせれば良い訳だな。」
マッコイの突っ込みにグルーバーが応じる。
「…出来るんですか?」
無茶だろう?と疑問を露わにするクリシュナ。
「装甲と余分なパーツを省けば、おそらくな。使用するのは骨格だけだ。」
「…防御は盾に一任させる訳か?確かに、それならば何とかなるかもしれんが…。」
「ふむ、バシュタール中尉。重機動フレーム改装案、要望を纏めて提出してくれたまえ。乗り換えたいと言う希望者数もな。こちらは先に基本設計を済ませておく。コイル・カノンをこの機体に装備させれば反動の制御も、し易かろう。」
「了解しました。中隊長!」
クリシュナがパッと敬礼し踵を返し、去っていった。
その頃、トライデントの整備場付近にて。
アリスが物思いに耽っていた。
(先の戦闘中、ボクは、なんで関係無い事を唐突に考え出したんだろう…。『何故戦うか?』…、そんなのボクが戦う為に作られたからに決まってる。…いや、正確には、ただのモルモットとして製造されたっていうのが事実らしいけど。)
(…それは解りきった事実。ならば、何故。なぜ、ボクはそんな事を考えた?)
三機のトライデントが並ぶ、仮設駐機場の側。空になったドラム缶の上に、アリスはチョコンと座っていた。
三機が整備されるのを、ボーっと見ているアリス。
彼女の手には大きなマグカップ。入れたばかりで湯気が立つココアを両手で抱えている。
(つまり、事実を否定したいという事?…決まりきった事を否定してどうするんだろう。ボクの考えた事なのに判らない。感情と言うものは自分自身にもコントロール出来ないと聞くけど。…?感情!?…ああ、なるほど。前提が違う。否定じゃなくて肯定だ。)
(ボクは『感情』を説得させたかったのかもしれない。戦う時に必ずやってくる『恐怖』。それを受け入れる為に。)
(死の恐怖。…火星で経験した、剥き出しの殺意。相手は唯の無人機械だったけど、確かにボクは殺す意思を感じた。)
(思えばボクは、ナデシコで『感情』と言う奴を手に入れたのだろう。『楽しい』という感情を始めて知ったのは、あの船の中だった。所謂、喜怒哀楽…まだ、「哀しい」ってのはよく判らないけど。)
(感情…人が持つ心。ならば、ボクもまた『人』である…と言えるのかな。)
(…それはともかく、ボクの『感情』とやらを説得させうる『戦う目的』があれば、戦闘中に物思いに耽る様な真似をしなくて済む訳か。)
(目的か…。目的。目的ね。…目的って何だろう?)
「WILL?ワード検索。形式・単語、検索語『目的』。」
〔…HIT・検索表示。モクテキ【目的】、行動スル目標トシテ考エラレタ、ソウシタイ何事カ(ソウナリタイ何者カ)。関連語・【目的意識】自分ノ行為ノ目的ニツイテノ、ハッキリシタ自覚。【目的論】スベテノ事象ハ、ソレナリノ目的ヲモッテ行ワレルモノデアルトスル考エ方。〕
アリスの唐突な疑問に即座にウィンドウを展開して対応したWILL。要求して無い事まで提示する辺りが流石である。
「ふ〜ん、目的論ね。…とするなら、ボクの行動にもそれなりの目的がある訳だ。」
(ああ、確かにある。地球連合の利益に沿うべく働くという目的が。…ユニットALSは、地球連合軍の所有物なのだ。)
(でもボクにはボクの目的が必要みたいだ。…ボクは、何を得たい?何に成りたい?)
「あ〜、こんな辺鄙な所に前線基地を作るンじゃねぇや。路面がガタガタでケツが痛くなっちまったい。」
「ま〜仕方ねぇんじゃね?道があるだけマシじゃんよ。」
「だよな〜。この間の補給先なんざ、廃墟のど真ん中で道なんか瓦礫の山に埋もれてたんだぜ?」
「へいへい。幸運ですよ〜。どうせ、俺のケツが痔になったってラッキーなんだろうよっ。」
「そう不貞腐れるなよ。…おい、見てみろよ!最新鋭のエステだぜ!!」
「へっ、エステなんざココ最近で見慣れてらぁ。…って、なんだ?重力波アンテナの代わりにエンジンを積んでるのか?」
「ほ〜。出て半年もしてないのに、もう、新型かよ。ネルガルも頑張るねぇ。」
「いや、ありゃ軍の技術本部が作った奴だな。見ろよ、メーカーロゴがプリントされるべき場所に連合のマークが付いてやがる。」
「軍の試作機か。そんなのに金を回すより、俺達の輸送トラックをホバー化して欲しいもんだ。」
「腐るなよ。」
「腐ってねぇよ!」
「ま、せめてサスくらい、もう少しイイ奴に交換して欲しいわな。」
「だよな〜、お蔭で俺の繊細なケツが大ダメージだ。」
「…ケツの話題から離れろよ。」
物思いに耽るアリスの耳に遠くから男達の雑談する声が聞こえる。
どうやらこの拠点に物資補給に来た補給部隊の運転手達らしい。
「…うぉ?こっちには戦闘機が止まってるぞ。」
「変だな。101は機動兵器のみの部隊だって聞いてたが。」
「しかも三機か。…そういや、あの噂知ってるか?」
「ひょっとして、変形合体する20mの機動兵器の話か?」
「ああ、エステを率いて蜥蜴を蹂躙するドラゴンって話だよな。」
「?…俺が聞いた話だと、細身でウサギみたいな面だったって話だが?」
「つまり、変形するって事か。」
「…、で。その機体は3機の戦闘機が合体するんだとよ。」
「その機体がコレって事か?」
「…さて、どうだろうな。…って、見てみろよ。こんな所にガキがいるぜ。」
「はぁ?…って、マジだ。何でこんな所に。」
「誰かの子供か?…にしちゃぁ、妙に慣れてる雰囲気だな。生意気な事にパイロットスーツ着てやがるし。」
「…って事はアレのパイロットの一人か?冗談だろ。」
「ありえねぇ、ありえねぇ。第一そんな事、この俺がゆるさねぇ。俺なんざパイロット志望だったのに、気が付けばトラックの運ちゃんだったんだからよ。」
「…いや、そりゃIFSの注入拒否すれば、そうなるわな。」
「けっ、機械なんか体の中に入れられるかよ。第一、一生モノなんだぜ。」
「ま、いいんじゃね?とりあえず、後方でトラックを転がしてるかぎり、死ぬ確率は低くて済むし。」
「そりゃ〜そうなんだけどよ…。」
雑談を続ける三人組は、アリスの側を離れていった。
(…『機械なんか体の中に入れられない』か。そう言えば、地球ではナノマシンがタブー視されていたっけ。)
(ボクの事を奇異の目で見る人は多いはず。今までそんな視線にあまり晒されなかったのは、ナデシコやこの部隊の人間が特別だから…かな?)
(…まぁいいや。今はただ、戦い続けよう。目的が簡単に見つかる訳は無いだろうけど、いつの日にか見つける。そうすれば『恐怖』って奴とも、もっと上手く付き合えるはずだから。)
問題が解決したわけでは無いが、それなりの結論にたどり着いたアリスが決意と共に、手にしていたマグカップを飲み干す。
くぴくぴくぴ…
温くなってしまったココアが一気に飲み干される。
ぷはっ
一息ついて、口元を拭ったその時、警報が鳴り響いた。
「緊急!緊急!!ドーバー海峡、航行中の連合海軍、混成第二艦隊より増援要請!敵、チューリップ3含む大艦隊。現在もその勢力を拡大中!味方の損害、大なり!!101は稼動全機で直ちに出撃せよ!詳細は追って報告する!…繰り返す、101は緊急発進せよ!!」
鉄柱に無理やり括りつけられたスピーカーが、通信兵からの切迫した状況報告と出撃命令をひび割れぎみの怒鳴り声で知らせる。
「回せ〜!!」
「装甲なんざ適当でいい!早く、機から離れろっ!!」
「くそっ!よりにもよって、エンジンをバラしてたのかよ!予備は付けられないのか?」
「火器担当ッ!大砲出してくれっ!タマは全部、徹甲弾で頼むっ!!」
「いくぞ〜!進路上から退けっ!!踏み潰しちまうぞっ!!」
パイロット達の威勢の良い声が響き渡る。
エステバリスもまた、彼らの勢いに感化されたように素早く起動する。
「WILL、回してっ!」
マグカップをドラム缶の上に置き去りにして、飛び出したアリスがWILLに指示を出す。
まだ、パイロットの乗っていないジャバウォックUがコクピット・ハッチを開いたまま、アリスの指示に従って滑走路へ移動を始める。
プラズマの排出音を轟かせながら移動を開始するジャバウォックU。
と、その黒い機体の上に小柄な影が飛び乗った。そのまま、ハッチの中に潜り込む。
小柄な影こと、アリスがシートに腰を下ろしたのとハッチが閉まるのは同時だった。
残り2機の相棒もまた、エンジンの唸りを上げて移動を開始する。
「101各機、状況報告。」
クリシュナから無線が飛ぶ。
「スペード・2、グレッグ。機体は絶好調。大砲は全弾、徹甲弾にしたぜ。」
「スペード・3、バクシー。問題無し。同じく大砲装備。」
「スペード・4、ジェンセン。…エンジンを外しちまってるから出られねぇ。後、10分掛かるそうだ。」
「クラブ・リーダー、マック。何時でも行けるぜ。一応、槍を選んだ。」
「クラブ・2、ライリー。オール・グリーン。武器は槍だ。」
「クラブ・3、キャンベル。義手が疼く事を除けば、問題無い。俺も槍だ。」
「クラブ・4、マクファーソン。早く出ようぜ!…機体は元気だ。槍装備!」
「ダイヤ・リーダー、シン。何時でも出られる。槍を装備した。」
「ダイヤ・2、ウォーレン。右同じ。」
「ダイヤ・3、ケン。以下同文。」
「ダイヤ・4、グエン。…テメエら、面倒くさがるんじゃねぇ!っと、俺も問題ねぇぜ。槍を選んだ。」
「ハート・リーダー、アリス。トライデント全機、出撃準備完了。全機、K.E.M.を積めるだけ積んだよ。」
「…ジェンセン、今回は居残りだ。クラブ、ダイヤ各機は大砲に装備を変更してくれ。今回は敵が多いらしい。槍でちまちま落とすより、一時的でも火力で押す。全弾、徹甲弾を装填だ。」
報告を受けたクリシュナが次々に指示を出す。
「こちらジェンセン。残念だが了解だ。」
ジェンセンが悔しそうに言う側で、それぞれが指示に従い準備を完了させてゆく。
「ふふん、ブチかましてやるぜ。」
「海軍が悲鳴を上げるほどの大群らしいしな。」
「ハッ!鴨が葱背負った上で大量に来ただけじゃねぇか。寧ろ、腕が鳴るぜ!!」
「か〜っ!燃えて来たぜぇっ!やってやるぞ〜!!」
「へ…だんだん、血が騒いで来やがったぜ!」
「俺ら、戦争大好き全開中年だもんね。」
「やれやれ、ドイツもコイツもイキイキしやがって。…ったく、どうしようもねぇ極道どもだな!」
「まあね…」
手を休める事無く雑談に応じるパイロット達。
「…どうしたの?WILL。なんかウズウズしてるけど。」
〔…ソノ・ネ・アリス。BGMヲ・流シタイ。〕
彼らの熱気に乗せられたWILLがオズオズと提案する。
「う〜ん。いいんじゃない?しちゃダメって命令は無いし。交信の邪魔にならない音量だったら問題無いんじゃないかな。」
〔ヨカッタ!今ノ・雰囲気・二・ピッタリノ・曲ガ・有ルンダ♪…古典映画、TOPGUN・カラ『DANGER ZONE』!〕
101中隊で使っている周波数帯に軽快な重低音が鳴り響く。
「お?…誰だ、ご機嫌な真似をする奴は。」
〔私デス。…迷惑デシタ・カ?〕
「いやいや、構わねぇぜ!WILL。ナイス・チョイスだ!」
「…まったく、仕様が無い奴だな。まぁ、いいだろう。」
パイロット達の肯定に押されたか、クリシュナもが、WILLの行動を認めた。
「良し。各機、随時発進せよ!」
準備の整ったエステから垂直上昇を開始する。
トライデントの3機も、仮設滑走路から重い機体を浮き上がらせる揚力を得るべく滑走を開始した。
Highway to the Danger Zone♪
Gonna take you♪
Right into the Denger Zone♪
Highway to the Danger Zone♪
歌詞が謳う危険な空へ、鋼鉄の翼を持つ男達と少女が今、飛び立った。
目指すはドーバー海峡。助けを求める艦隊を救う為に!
その艦隊には、ナデシコの姿も…。
「左舷、10時方向よりカトンボ五隻接近。後方の旗艦にバッタの群れが取り付きました。あ、機関部に集中攻撃。…もうダメですね。旗艦、長門…沈みます。」
電子情報の総てを取り扱うルリが、感情を排した声で事実を述べる。
「ミナトさん!取り舵一杯、10時方向へっ!ルリちゃん!グラビティー・ブラスト出力50%、広角発射。射角に入ったら撃っちゃって!!」
ユリカが矢継ぎ早に命令を下す。
「取り舵一杯、よーソロッ!」
「出力50%、了解。しかし、その出力ではカトンボを落とせませんが。」
ミナトとルリが同時に返事をする。
「うん、フィールドをそぎ落とすの♪落とすのはエステとミサイルでっ!…メグミちゃん、アキトとヤマダさんをカトンボに誘導して。突撃はグラビティー・ブラストを打ってからだよ。」
「解りました。…テンカワさん、ヤマダさん。ナデシコの主砲発射後に、マークしたカトンボを攻撃してください。」
「なるほど。…対艦ミサイル発射準備完了。グラビティ・ブラストも何時でもいけます。」
迎撃準備が着々とすすむナデシコ。慌ただしく命令を出し続けるユリカの元に通信が入る。
「ユリカ。船内に侵入したバッタの排除が完了したよ。被害は保安班に重傷者一名。船の運航に支障が出るような被害は受けていない。」
ゴートと共に迎撃班を率いていたジュンからの通信だった。自らも艦内用にギリギリのサイズへ切り詰めた対ディストーション・フィールド・カービン銃を抱えてバッタを撃破している。
この騎兵銃は、陸軍歩兵が持つ、電磁火薬複合加速方式携帯レール・ガンと同じ形式の銃だが、近接戦闘を想定している為、口径と銃身が短い。
7m離れただけでフィールドを抜く事も適わなくなるが、船内では心強い。
ともかく、ジュンの報告に心の重荷が一つ取れたユリカが安堵しつつ返答する。
「ご苦労様。出来るだけ、取り付かれる事の無い様に戦うけど、次に備えて待機しててね。」
「ああ、船内は任せてくれ。ユリカは敵を倒す事に集中して。」
「有難う、ジュン君。」
ユリカが通信を切るのと、ナデシコが敵に船首を向けるのは同時だった。
「カトンボ全艦、射界に捉えました。グラビティー・ブラスト発射。」
ルリの言葉に合わせて、何時もよりも少なめな発砲時の衝撃がナデシコを震わせる。
「テンカワさん、ヤマダさん。攻撃を開始してください。」
ピンクと青のエステがカトンボ目掛けて、真っ直ぐに駆け抜ける。
「でりゃぁぁあああっ!!」
「俺は、ダイゴウジ・ガイだ〜〜!!!」
二人がそれぞれの掛け声を上げて、カトンボに体当りする。
ディストーション・アタックである。
二機はそれぞれのカトンボを貫き、更に貫いた。最後の一隻はナデシコのミサイルで轟沈。
「やった〜〜!!さすが、私のアキトっ!!」
ユリカが我が事のように喜ぶ。
一瞬、状況を忘れて湧き上がるブリッジ。
「くそっ!テンカワ!、ガイ!!カトンボを落としたなら、陣形に戻れっ!!俺らだけではバッタ共を押さえ切れねぇっ!!」
二人が抜けた穴を懸命に塞いでいたリョーコ、ヒカル、イズミの三人娘。
尋常ではない奮闘振りだが、数の暴力はいかんともしがたい。
「…死神が見えてきたわね。」
「「見えん、見えん。」」
イズミの台詞にステレオで反応するリョーコとヒカル。アキトとガイは大慌てでナデシコのエア・カバーに付く。
なんとか均衡状態を維持したまま、奮闘を続けるナデシコ。しかし、状況は刻一刻と悪化するのであった。
「空母J・ワシントン、撃沈。艦隊のエアカバーに穴が開きました。」
ルリが冷徹に報告する。
辛うじて保っていた陣形に穴が開き、そこから、木星蜥蜴の大群が侵入する。
撃沈された空母にもディストーション・フィールドは装備されていたが、繰り返し襲い掛かる攻撃に耐え切れなくなったのだ。
すぐさま、残りの戦力で陣形の穴を塞ごうとする混成第二艦隊だが、指揮を振るうべき旗艦はすでに海の底。
それでも厳しい訓練と実戦を潜り抜けた彼らは体に染み付いた戦術行動に従い、戦い続ける。
もちろん、この艦隊で一番、階級が高い者が代理指揮官として采配を振るっても居る。
だが、怒涛の勢いの木星蜥蜴に彼らの行動も阻害され、次第に集団行動が取れなくなっていく。
「!?…新型艦を含む10隻がナデシコに進路を向けました。これは…グラビティー・ブラスト発射体勢に入っています。」
ルリの報告に諦めが浮かんでいた。
オニヤンマとヤンマ、合計10門の主砲がナデシコを捕らえていたのだ。それは、火星での敗北とほぼ同じ状況。
「ルリちゃん!グラビティー・ブラストはっ!?」
ユリカが先制攻撃で状況を制しようとするが、答えは「充填率20%」一撃で撃破するにはあまりにも低い。
「出力をディストーション・フィールドの維持へっ!エステ全機は砲撃範囲内から退避っ!!」
即断するユリカだったが、実行する前に木星蜥蜴の無慈悲な砲撃はナデシコを襲った。
歪む空間、放電する大気。
グラビティー・ブラストの透明な閃光がナデシコを包む。
その時、ルリはこの場に居ないはずの巨大な影を見た気がした。
第十二話 完
あとがき
え〜、調子ぶっこいて、またもや投稿が遅れて申し訳ありません。ついにスパロボに手を出したTANKです。
でも買ったソフトはスパロボMX。PSP用の奴です。
暇つぶしになればいいかな〜、と軽い気持ちで手を出したのですが…思わずハマっちゃいました。
ナデシコの面々も劇場版バージョンとはいえ活躍しますので、参考になりますしね。
さて、欧州全域での大戦争だ!と粋がった割に、あんまりそんな描写が出てません。単に自分の技量の限界です。ゴメンなさいです。
次の後編でこの状況を収束させないといけないんだよなぁ…(汗。
>話の内容が「戦った、戦った」だけなのがちょっとあれですが、
ううっ、またもや戦いオンリーです。う〜ん。後編では後始末を含めて、陰謀も交えられたら…と目論んでいますが、どこまで出来るか…。
>戦車に乗っているのも怪物中の怪物
さすが博識な鋼の城さん♪…っていうか、そのまんまな名前でしたしね。マイケルはミヒャエルの英語読み〜。語源は聖書の天使、ミカエル。
定番な名前って結構、聖書の登場人物な事が多いんすよね〜。ピーター=ペトロとか、ジョン=ヨハネとか。
代理人の感想
さて、大局が動いてきました。
戦場描写は個人の眼で見せてもらうのが一番好きなのですが、やはりこういう俯瞰的な「戦いの大局が動くシーン」というのも燃えますなー。
(要するに「動き」が感じられるかどうかが問題なのかもしれませんね、少なくとも私の場合)
「序」「破」ときて、次はついに「急」。
ラストの締めを期待してます。
>定番な名前
そりゃまぁ、向こうの人の基礎教養というか文化ベースというか(笑)。
むしろキリスト教がいかに支配的だったかということの証左なのかな。