赤黒の女神 クリムゾンXXXX研究施設にて
作:天砂
カッカッカッ……
規則正しく、時計の針のように歩く。
ドギュドギュドギュ…!!
広めの通路。
大体70m先に箱やらなにやら(何かはわかるけど言う必要は無いでしょう?)を積み重ね、
壁のようにして数十名の武装した人間達がいる。
おまけで言うと、私の後ろには幾つかの肉塊が転がっている。
無論人間だ。
武装した連中の後ろには巨大な扉がある。
その先に用があるのだ。
しかししくじった。
考えずに目的地に行こうとしたらその前でバリケートを張るし。
これからは良く考えて行動しよう。
さて……
先ほどから私に向かって撃っている弾丸……
初めての感じ…恐らく自社製のモノだろう。
破壊力も申し分無い。
これで少し破砕力があれば私の指を吹き飛ばすくらいは出来るだろう。
貫通力を優先しているのか私の身体を貫通するだけで終わりである。
「うぅ……」
ん?
横のほうで唸り声。
見るとまだ動いている人間がいる。
「ああ、ごめんなさい」
ぎぃぃぃぃぃぃ!
ドドドドドドドドド!!!
軋むような音を立てて私の肩から巨大な機関銃が生え、
その人間に向けて高速鉄甲弾が唸りを上げる。
今度こそ間違いなく。
人間は頭を消滅させ天に帰った。
……早く終わらせようか。
「……勇敢にも私と戦う者達諸君」
私は良く通る声で前のほうにいる人間達に行った。
勇敢にも彼らはこの私に闘争を挑んだのだ。
その勇敢な行為に対しての礼を忘れてはいけない。
「ご苦労様……そしてさようなら。来世でよい人生を」
ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギ!!!!!
私が前に掲げた両手が巨大な構造物を作り出す。
ガトリングガン。
小型重力砲。
余りにも無骨な機械が花のように幾つも現れ……そして全ての標準が前方を向いた。
刹那、二つの違った力が砲身から吐き出された。
私の放った重力の線と高速鉄甲弾の線は扉の前の全てを撃ち貫いた。
しかし扉には傷1つついていない。
エネルギーその他を計算して扉を貫通しないようにするくらい簡単である。
数十秒して撃ち終わると、まるで夜のように静かになる。
耳を澄ましても心音すら聞こえない。
どうやら全員片付けたようだ。
しかし……
「あれほど避難勧告を出したのに」
しかも10分間のセルフサービスまでつけたのに。
10分間、外にいたエステバリスを数十体切り刻んでやった。
その後逃げるよう勧告して待つ。
普通逃げるか何かするものだと思っていたのだが。
数分して大部隊で攻撃してくるとは思わなかった。
あれだけの戦力差を見せ付けたのに。
それとも彼らは戦いのおきてを知らないのだろうか?
一度戦いを始めると言うことは殺されに行くことと同意義である。
生き残るか死ぬかは別として。
それが嫌なら戦わねばいい。
私も鬼畜ではない。
非戦闘員を(例外を除いて)殺すことは無い。
あくまで私に攻撃してくるもののみ。
これは礼儀だ。
闘争の掟にしたがって私は行動する。
……たまに破るけど。
167名(エステバリスが20機)
多分このくらいだろう。
10分で殺した人間の数は。
全員私を攻撃してきた。
あれほど警告したのに。
さて……
身体の全ての武装をしまい、
私は扉を開ける……
キーなど私には必要ない。
さっと解除する。
扉を開けると……
「やっほ〜〜」
私は巨大な試験管の中にいる少女達に手を振っていた。
丁度この時間帯はここに全員いることは知っていた。
全員いるが…………やはり怯えている。
私の先程までの悪鬼の雰囲気によるもの……だけではない。
あれは……人間という存在を恐れている。
私にはなんとなくわかった。
とにかく……
「これで良し」
3分後全ての試験管から少女達を細心の注意を持って連れ出す。
彼女達に触れた際に、体内新陳代謝を高めておいた。
そうしないと、彼女達は立つ事さえもままならない。
「大丈夫?」
一人一人からだの調子を確認する。
何故か、恐らく相当酷い目にあっているはずであり、
普通なら皆怖がるはずなのだが何故か皆怖がらない。
カスパー曰く
『貴方には何故か人を安心させる力があるみたいです』だそうだ。
良く分からないがまあそれはそれとして……
良かった……
皆特に異常は無い。
クシッ!
子供の一人がくしゃみをする。
おっといけない!
私としたことがみんな裸だということを失念していた!!
服……といってもボキャブラリーが無いので簡素な服しか作れないが、
皆に着せる。
10歳の少女16人。
全員とりあえず着終わらせる。
「実験……するの?」
着替え終わった少女の一人が恐る恐る私に聞く。
幾ばくかは安心しているような感じはあるのだが。
……そういえば、科学者の中には子供でさえモルモットと同じ扱いをする輩がいると聞く……
とりあえず不安を取り除かないと……
「しないわ」
「本当?」
「誓ってもいいわ」
これは純粋な本当。
そう言うと思いが通じたのか通じたのかほっとしたような顔になる。
よかった。
「あなた達をここから出すために私は来たの」
「ここから出れるの?」
「高確率的にね」
そう言うと皆が何か嬉しそうな顔になる。
やはりいい目にはあっていないようだ。
ま、だからこそ私が来たのだが。
とにかく……ここから出よう。
私は皆に手をつながせる。
その端を私が優しく掴む。
「行くわよ」
「どこへ?」
「とりあえず私の病院へ」
「病院?」
一人が怯えたような声を出す。
「大丈夫。
多少の検査はするけど絶対誓ってあなた達に害は与えないわ。
そこの職員もいい奴らよ、私が保証する。」
…集団転移シーケンス機動
周囲に重力壁発生…完了
目標……クロノスグループ幼児養護学校…設定完了
起動!
「みんな先に行ってて!!」
「おねーさんは?」
おねいさん?
初対面の人間にもうそういう呼び方ができるとは。
「少しやることがあるから!
すぐにいく!」
「本当?」
「ええ。
むこうで分からないことがあったら職員のおねーさんやおにーさんに聞いたら分かるから!!」
「わかりました!」
そう言うとその子は笑った。
そして光が皆を包み込み、数瞬後に皆が消えた。
私だけは残っている。
「メルキオール」
『はい…マスター』
「転移は?」
『完璧に完了。
全員異常ありません。
現在私の部下達が対応中』
私の幼児養護学校は小児科病院もかねている。
そこの職員は皆メルキオールの部下だ。
「みんな怖がってない?」
『少々怖がっていますが。
打ち解けているようです。
私の部下達は皆いい連中ですから』
「よかった…本当はいっしょに行きたかったんだけど」
『早く用事を済ませられては?』
「そうね」
「これかしら?」
『はい』
私は部屋の情報端末に手を置いている。
コネクターを使わなくてもこれだけで私は情報を収集できる。
●●である私にとっては造作も無いことだ。
ちょっと優越感……おっと浸ってる場合じゃなかった。
そして、私はある情報ファイルを見つけた。
『被検体実験経過ファイル』
これは、いつも見るとムカムカする。
とても子供にやることではない事がずらずら書き込まれている。
このファイルで彼女達がなにかよくない事が無いかチェックして
もしあったら、治療する。
最も…
「心の傷の方が大きいでしょうね」
さっき笑っていたけれど、やはり心には傷が、もしくは機械的に教育された影響で、
大切な感情を欠落しているかもしれない。
マシンチャイルド。
彼らは人工的に作られた子供。
それ故に、一部ではモルモット扱いする最低の輩がいるのだ。
ここの連中もそういう奴らだった(はっきりと断言できた)。
『まったく、品性の欠けた連中でございます』
「ええ……気に入らないわ……」
……こういう考え方ができるようになったのも、彼女のおかげか……
それが良い事か悪いことか分かるのは……まだ先になるだろう
続けて調べる。
『研究所リスト』
これでほかの研究所が何処にあるか分かる。
情報によれば私と同じように救出しようとした連中が、特殊な一団に先手を打たれ壊滅、
もしくは失敗しているらしい。
だが私は、先手を打たれるようなことは無い。
私なら相手が何らかの対応をする前に全てが終わる。
その他にこの施設の情報などを見るが、特に役立つようなものは無い。
後はいらないかな……あれ?
1つのファイルが目にとまった。
『秘…危険人物ファイル』
調べると製作者はここの研究者のようだ。
なるほど…自分達の保身のためね
ファイルの内容に目を通す。
個人が造ったにしてはかなりのデーターがある。
第二級……ヤガミ・ナオ
第一級……ゴート・ホーリ
第一級……北辰(本名不明)
第一級……プロスぺクター(本名不明)
etc.
etc.
・
・
・
ずらずらとデーターが浮かぶ。
ざっと見ただけでもかなりのものだ。
…中に出てくる人物達は何ら私の障害にはならないだろう。
何の事は無いようだ。
……おや?
私は一番最後の項目で目を止めた。
第0級……テンカワアキト(最高注意)
この項目だけいろいろな注意書きがある。
この男が来た場合は全力で逃げろ
武器を向けるな。
素直に投降するなどなど……
随分と詳しいわね。
私は内容を見る。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
不思議な人物だ。
データーを見た限り、凄まじい力を持っているらしい。
あと稀代の女たらし……これは私には興味ない。
私は男女関係は興味が無いのだ。
……………データーだけではわからないわね。
「メルキオール」
『はい』
「このデーターを全てコピー。
その後カスパーに連絡して、
黒洞砲で施設一帯を消滅。
そのあと、養護学校にいる子供達をガルツォーネに移動させてちょうだい。
そのあと、ガルツォーネでターミナルリング『玄武』を通って『朱雀』へ。
セントラルコロニー『麒麟』へ彼女達を移動させます。
一番安全なところへね。」
『イエス・マスターイヨ』
「それじゃ、行きましょうか」
『はい』
私とメルキオールは『ガルツォーネ』に転移した。
そして私達が転移したあと…
施設一帯に生命反応がないことを確認したカスパーが、
黒洞砲を施設だけに打ち込み消滅させた。
施設だけと限定しているのは、森を傷つけないようにいつもいってあるからだ。
意味も無く森を壊したくない。
そして………その後救助した彼女たちの質問攻めに合ったことは公然の秘密だ。
《つづく》
後書きかな?
どうも。
この話は彼女がテンカワアキトを何処で知ったかというお話の顛末です。
今回の話ではいろいろな複線が出ました。
今度はもっと詳しく出します。
でも、こんな好き勝手絶頂にやってるSSでいいのかな?
下手するとBenさんからストップかかったりして…………あはははははは(汗)
というわけで、今回はこれで失礼します。
それでは……
管理人の感想
天砂さんからの投稿第二弾です!!
イヨさんが、アキトの存在を知るまでのストーリーですね。
しかし、問答無用っすね・・・
イヨさんの戦闘シーンを見て思い出したのがターミネーター(笑)
だって・・ねえ?(苦笑)
今後、どのように本編に絡んでくるんでしょうかね?
かなり楽しみですね!!
では、天砂さん投稿有り難うございました!!
次の投稿を楽しみに待ってますね!!
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