人生という名の盤上で 三話
出た目:2
「新キャラ追加。一回休み」
部屋で黄色い服、生活班の制服を着た美少女。
女版アキトは悩んでいた。
「さて……どうしようかな」
ここ(ナデシコ)には、男、テンカワアキトとして入ってきた。
そんなとこに突然、テンカワアキトが消え、なぞの女が現れたら怪しい過ぎるだろう。
よくて、テンカワアキトが逃げ出し、密航者が一人増えた。
悪くて、テンカワアキトは女装癖がある、となってしまう。
そりゃ、女装したことはないとは言わないが、趣味とはいえない。
「如何しよう……男装しようかな? でも、身長も変わっちゃったし……」
さっきまで、男だったくせにものすごく女言葉に女仕草、完璧な女性となっている。
これはアキトの癖みたいなものである。
女アキトとしてナデシコに乗ったことも多々ある。
女として乗ったからには、女として生きる。
これは逆行生活の先輩からの助言のひとつ、
『行った先の世界の設定に従え!! 決してあらがうな!! あたりに流されろ!!』
を忠実に守った結果である。
そんなわけで、かなり女性としての知識も経験も豊富である。
実際、男と結婚して、子供を生んで育てたこともある。
女アキトとして逆行すると、好きになったりするのも男だったりする。
もう、一種の二重人格である。
だからといって、男を忘れたわけではない。
男の時は女性一本。女の時は両刀使いである。
男の時は男の時で、女の時は女の時でそれぞれ楽しい。
そんなわけで、女性になってしまったことを困っているアキトではない。
ただ、女性になったアキトをどのように対処するかである。
まぁ、その気になればオモイカネをハッキングして、この女性が乗組員であるようにすることはできる。
だた、人は違う。人の記憶を改ざんすることは難しいのである。
「どうしようかな〜」
頭をひねってひねって、考え出す。
晃気を体に纏って、周りをごまかしたり、マヌーサやモシャスとか使ってごまかすこともできるが、それはあくまで短期間だけ。
こういう、途中で性別が転換するというのは何回かあるが、このようにナデシコ内で、唐突に性別が変わることははじめてである。
前振り無しのイベントは珍しい。
女アキトが頭を抱え込んでいると、突然、コミュニケのモニターが開く。
「きゃっ!!」
元男の癖に、そんなかわいらしい声で驚くなよ!!! と、言いたくなるかもしれませんが、あくまで二重人格みたいなもの。
男アキトと、女アキトをまったくの同一人物とは思わないでください。
そんなことよりも、アキトは慌てふためく。
こんな風に慌てふためくのは何年ぶりだろうと、あほなことも考えているが、状況は非常にやばい。
誰が通信を送ってきたかはわからないが、相手は「テンカワアキト」に通信を入れている。
間違っても、どこぞの騎士王日本人改造Ver 4.3と話したいわけではない。
「うっす、テンカワアキト君。女になったからアキトではないな」
運がいいことに、通信相手はテンカワアキトだった。じゃなくて、遺跡だった。
いまだにアキトの格好をしている遺跡である。
「遺跡……なの。よかったぁ……てっきりルリちゃんかと思ったじゃない」
「ふむ……かなり女の子してるな」
「まあね」
「といってるが、これは録画なので、君はパニくってようがナニしてようが意味がないだよ」
録画と聞いて、かなり恥ずかしいアキト。
電車の中で、後ろから「もしもし」といわれ、振り返ったら呼びかけた相手が自分じゃなくて携帯だったときと同じである。
「君が女になった時点で、流すように設定しておいたが、どうだろうか? 体に不調はないな」
「特に変なとこはないよ」
「文句を言うなよ、君が放ったダーツが当たったところの設定がこれだったんだから」
「別に文句はないんだけど……」
「男に戻りたかったら、お湯でも浴びろ。そういう風になってる」
「お湯?」
「男の時に水を浴びたら女に、女のときにお湯を浴びたら男に、リバーシブルアキトだ! やったな」
モニターの中で、サムズアップをしてくる遺跡。
「ついでに言っておくが、これだけじゃ面白くないと思って、他にいろいろと追加してあるぞ。まぁ、どんな設定が追加されているかは内緒だけどな」
「えぇ! ちょっと、他に何を追加したの? 教えてよ!!」
「おいおい、俺は遺跡だぜ。そりゃ、君みたいな美人に口説かれたら断る気はないけどな」
録画だから、話は通じない。
しかし、遺跡は何を言われると思っていたのだろうか?
「まぁ、俺から言えることはたった一つ…………ガンパレ」
そういって、映像が切れる。
残ったアキトはじっと、モニターがあったところを見ながらつぶやいた。
「ガンパレ?」
その後、のんびりと部屋に備え付けのキッチンで、水を沸かしているアキト。
さすがに食堂に行って、「お湯貸してください」と言った後、それを浴びて男になったら笑い事ではすまない。
まぁ、別にその場でお湯を浴びなる必要はないのだが。
それに、この格好でいったりして、途中で誰かに呼び止められたらやばい。
男用の制服を着て歩く美少女。目立つこと間違いない。
それにこの女版アキトはいわゆる密航者……だと、思う。
ばれる可能性は低いと思うが、ばれないという保証ものない。
どうせなら、遺跡も素性のはっきりした人間に変化するようにしておいてほしかった。
というわけで、誰とも合うわけには行かないので、外には出れない。
念を入れて、コミュニケは着信拒否にしているので突然、通信が入ったりすることはない。
そんなわけで、アキトはのんびりとベッドで寝転んでいたりするのであった。
「…………ヒマ」
そんな、ヒマするアキトを誰かは見捨てなかった。
「出て来い!!!」
「はい?」
銃声、数発。そのあと、武装した兵士がなだれ込む。
「こっちにくるんだ!!!」
アキトのミステイク、キノコ反乱イベントの時間を忘れていた。
「あぁぁぁぁぁぁぁ」
そのまま、ずるずると、引きずられていくアキトであった。
「あっ、なにもお湯沸かさなくても、熱いシャワー浴びればよかったんだ」
さすがに、水を浴びれば女に、お湯を浴びれば男になんて体験が初めてだったアキトはお湯の大切さを忘れていたのだった。
アキトは古い人間だった。
「さて……どうしようかしら」
つれてこられた食堂においてある椅子のひとつに座りながら、アキトは一人つぶやいた。
しかし、最初っから女なら納得がいくが、途中から女になったくせにこう見事に女言葉でしゃべられると気味が悪いを通り越して尊敬に値する。
特にすることのないこの段階。別段、起こすべきフラグはそうはない。
まぁ、フラグ自体はある。
たとえば、ガイ友情フラグ。
これは逆行してない最初の体験の際に立てたものである。
立て方は簡単、ゲキガンガーを見たといえばいい。
他には、ホウメイガールズ「守ってやるよ」フラグ。
これもまんま。兵士がいて怯えている彼女たちを慰めれば楽に立ち上がる。
まぁ、問題をあげるとするならば、その後のイベントで選択肢を間違えたりすると、単なる都合のいい人になってしまう。
いい人止まりほど、むなしいものはない。
たいていはその後、芸能界入りする彼女たちのマネージャーとして過ごすことが多い。
まぁ、あの芸能界という深く恐ろしい世界はそれなりに楽しかったりする。
他にも、いっぱいあるのだが、それを立てたところでこのナデシコがたどる歴史には影響が少ない。
個人レベルのフラグしか立てられないから、面倒くさかったりする。
というか、そんな個人ENDでこの一万回目の逆行を彩りたくない。
もっと、でかくて、今までにないようなEndingにしたいアキト。
個人ENDなんて、スタッフロールの後のNG集よりもいらないのだ!!
と、ここでふとアキトは思い出した。
「(私って、今女だ)」
非常に根本的なことを忘れていた。
まぁ、試してはいないが、男には戻れるらしい。
が、今は女。こんな場所で男に戻ったりしたらややこしいことになる。
「まぁ、なるようになるか」
すっかり、腰の重い人物になってしまったアキト。
テンションが高まったり、某同盟関係のことや他の興味をそそられることがおきない限り、自分で行動しようとは思わなくなってしまっている。
まぁ、男モードに比べて、女モードの方はやる気が出やすいのだが……
そんな風に、のんびりとアキトがくつろいでいたら、いきなりの大音響。
ガイのゲキガンガー放映会が始まった。
「ゲキガンガー……か」
アキトは一回だけだが、ゲキガンガーのアニメの中の世界にいったことがある。
だが、一回だけで十分だ。
あまりにも………濃い!
まぁ、スーパーロボット系は熱さで勝負するところがあるため、キャラクターが濃いのは必然である。
アキトだってそれくらい理解している。
だけど、あの世界は一回だけで十分だ。
まぁ、今となってはそれも楽しい過去。
決して、もう一度体験しようとは思わない過去である。
「やぁ、アキラちゃん」
のんびりと、アキトが周りの人から見えない映像を見つめているとすぐそばで声がした。
どうやら、誰かに呼びかけているようだ。
まぁ、女版アキトはここにはいない人物。
誰かに呼び止められる可能性はない。
そう、思ってアキトはのんびりと眠りにつこうとした。
「どうしたんだぁ? こんな状況で眠ろうなんてさすがはアキラちゃんだ!」
へぇ、私と同じように凄い人もいるもんだぁ。名前からして女の子みたいだけど。
しかも、呼びかけているのはセイヤさんじゃない。
「ほら、こんなとこで寝たらえらい事になるぞ」
と、アキトの肩に手が置かれる。
「(…………私?)」
「その後、私はセイヤさんとの話を誤魔化し誤魔化し終わらせました」
誰に話しかけてるのか、アキトは虚空をぼんやりと見つめがらつぶやいた。
そんなアキトを気味悪がって誰も近寄らない。
まぁ、近寄ってこなくてアキトとしては良かった。
「えーと、情報を整理しましょう。
私の名前はアキラ、苗字は不明。
清掃班所属の女性クルー。
趣味は機械いじり、それと、格闘技。といってもかじる程度。
たまに整備班の手伝いをする物好き。
詳しい経歴は不明」
これがウリバタケセイヤ情報である。
先ほどのセイヤさんとの会話である程度、必要最低限の情報は手に入れた。
どうやら、アキト女版はただのアキト男版の女性バージョンではなく、アキト女版、否、アキラという人物として存在するらしい。
「これはこれでややこしいことになったぞ」
アキトにとってややこしいことはひとつ。
別に、誰かのからだを乗っ取ったんじゃないのか、とかという問題ではない。
「一人二役で働かなきゃいけないの?」
ちょっと涙目になりながらアキトは……いや、アキラはつぶやいた。
いくら、逆行しまくって不思議な力、手に入れました、といっても(まだ)人間。
そんな働いたら疲れるし、寝なきゃいけない。だって、人間だもん、まだ。
「アキトとして、日勤。アキラとして、夜勤」
かなりハードスケジュールな勤務時間である。
だったら、休めば良いじゃないか、と思うかもしれない。
だが、アキトの性根に刻み込まれた苦労人根性は与えられた仕事をこなさなければいけないというものがある。
まぁ、別にいまさらそんなこといっても意味がない。
ナデシコに乗らずにごろごろヒモとして生活したことだってあるのだから……
しかし、今回は……というか前回の逆行のときが魂の休日だった。
だから、今回は勤勉に働こうと、さりげなく決意しながら前回ランダムジャンプしたのである。
それに、仕事をサボった後のプロスさんの説教は怖い。
後半のアキトの地位が高まれば高まるほど、説教は軽くなっていくのだが、
この序盤でサボったりしたら、最悪、降ろされる。
メモリープレイバックしようにも、毎回毎回違う説教をするから、メモリープレイバックが通用しない。
よくぞここまで説教のバリエーションがあると感心したものである。
オモイカネに勤務時間どうにかしたらと思うかもしれないが、それをしたらルリの目が心眼モードに突入する。
というか、怪しまれる。
十回ほど、怪しまれすぎて、ルリ自身がアキトを首にしたこともある。
そりゃー、一ヶ月近く、仕事も何もせずにごろごろしてたら追い出されるだろう。
「本当のアキトさんはそんなことしません!」
の一言で首にさせられたときはある意味爽快だった。
やったぜアキト、お前はついにルリ坊にまでそっぽ向かれるほど堕落しきったな!!
そういいながら、遺跡と杯を傾けあったときは何故か涙が出たものだった。
そんなわけで、さすがに今回はサボらず、まじめに働こうと思った矢先にこんな展開だから、ややこしい。
一度決めた誓約は、ぜったいにその逆行では破らない、が仇となった。
これまで、999CHAINしてきたのをここでとめるわけには行かない。
それに、栄えある一万回目の逆行。
絶対にやり遂げてみせる!!
アキトはそう心に誓った。
まぁ、活躍すればするほどに、プロスさんにアキトのコックとしての勤務時間を減らしてもらうように交渉しようと思っている時点で、駄目なやつなのではないだろうか?
そんな風にアキトが……アキラが燃え上がっていたころ、ルリたちブリッジ組が食堂に入ってきた。
無論、アキラはそれに気づいている。
だが、どうしろと?
声をかけるべきか? それとも……
「(あぁ〜、ルリちゃん辺りを見回しまくっているぅ)」
出前とろうとして、連絡しようにも着信拒否されているし、食堂に着いたらついたらで、アキトの存在は見当たらない。
「(やばい…………爆発する)」
何回か、こんな場面になって、ルリが爆発する場面を見たことがある。
あれはルリではなかったとアキトは遺跡にこぼしていた。
あれはルリちゃんじゃない。電子の……電子の……
そういいながらおたおたするその他大勢を笑いながら見ていたアキトである。
別に怖くはないが、こんなとこでナデシコを落とさせるわけにも行くまい。
そう、思い立つとアキラはルリに向かって歩を進める。
「ホシノ……ルリさんですね?」
さりげなく、だが、ルリにだけ聞こえるようにアキラは後ろからルリに近づく。
「?? はい……そうですが……」
「(うわぁ、ルリちゃん、かなり疑っている。でも、仕方ないしね)実はえーと、テンカワ……アキトさん? からの伝言があるのですが……」
「えっ!! アキトさん!!」
ルリの嬌声に一気に食堂中の人間の目が集まる。
例外を上げるとするならば、ゲキガンガーに食い入るガイぐらいだろうか?
「(うわぁ)え、えぇ。あの、ちょっと内密の話らしいので……」
あんまり注目されるわけには行かないので、ルリを引き連れて食堂の端っこに行く。
「それで、アキトさんはどこに!?!?」
うおうおうおう、な感じで詰め寄るルリ。
「えぇ、これを渡してくれと……」
ポケットからさっき書いたばっかしのアキラ直筆秘密の手紙を取り出す。
それを奪わんばかしの勢いでひったくったルリはその手紙を燃やしそうなほど苛烈な目でにらみつける。
手紙の中身は、『すまない、ルリちゃん。ちょっといろいろと野暮用があってそっちにはいけない。すぐに合流するからよろしく』と、書いてある。
嘘ではない。
いろいろと野暮用があって、“アキト”はそっちにいけない。
「では、それじゃぁ……」
あんまり突っ込まれた質問されると答えられないから早々に退却するアキラ。
が、運命の女神はそんなことをするアキラを見逃さない。
「ちょっと、待ってください、あなたは誰なんですか!?」
「それが私にも分からないんです」
なんて、答えられるわけがない。
記憶喪失のナデシコクルーなんて一人で十分だ。今はいないけど……
仕方無いから、当たり障りのないところで答えておこう。
ついでに、今までにないフラグも立てておこうかな、と思ったりしている。
「私の名前はアキラ。ナデシコのクルーよ。後は……アキトさんの味方かしら?」
そういい残すと、ルリが何かを言う前に姿を消す。
ちょうど良いタイミングで、船を取り返そうぜと騒ぎ立てているガイ組に混じりこんで姿を隠す。
食堂から出て行く時、何かを踏んだ気がするが、それは気のせいじゃなくガイだったりするが狙って踏んでやった。
「ん? なんかまずい事したような気が……」
長いこと生きているアキトでも、墓穴掘るところは変わってないようだ。
言っておくが、墓穴とはガイを踏んだことではないのであしからず……
「さて……チューリップをどうかしなきゃな」
(キノコ)反乱に対する(ガイ)反乱のごたごたに隠れて、アキトは自室に戻り、お湯をかぶって男に戻った。
もし戻らなかったら、面倒くさいことになっていたのか? と思ったりしたのだが、そうなった時はその時だ。
長いこと生きてきたアキトは自分という人間がどういう体質を持っているかは知っている。
1、女磁石。その気になれば、近寄る女性全てを落とすことができる。
2、ハプニング体質。何をしても、何もしなくてもハプニングが転がり込んでくる。
まぁ、他にもあるのだが、はっきし言って覚えていない。
覚えてなくても支障をきたさないから、覚えてないだけなのかもしれない。
というか、一万回も逆行してきて、それら全てを覚えようとしたら頭がパンクする。
昔(別の逆行時)であった、ヨーロッパの魔王を名乗る爺さんはそうだった。
ナノマシンの補助脳やらを使ってきたが、限界は来る。
一応、遺跡の下には今までの逆行生活の詳細なデータが書き込まれたCD−Rが大量においてある。
なぜ、CD−Rなのだと遺跡に聞いたら、ロマンだ!! と言い切られちょっと困った。
ロマンを追求するなら、書物の方が……と遺跡とアキトのロマンの方向性は違いがある。
そんなわけでハプニング体質を持つアキトは、男に戻っても戻らなくても、絶対問題はおきるんだろうなぁと達観してたりする。
達観というより諦め、諦めというよりは悟り、悟りというよりは必然なんだなと思っている。
必然じゃなきゃ困る。酷く日常的で、特に問題や騒ぎが起こらない生活をするアキト。
なんとつまらないアキトだろう。一回、遺跡の設定でハプニング体質がない設定を体験したことがある。
………………とてもつまらなかった。
そりゃー、津波続きの海も飽きるが、凪ばっかしだったら船は進まない。
難しいものである。
そのあと、いつものようにエステに乗って、チューリップを牽制する。
ユリカが帰ってくるまでの時間稼ぎだが、別に五、六時間帰ってこなくてもよけ続ける自信はある。
ひょいひょい、とチューリップの触手をよけながら、アキトはふと思う。
俺はなぜ、こんなことをする羽目になったのだろう。
なぜ、俺はこんな逆行生活を歩む羽目になったのだろう。
別にアキトは、この逆行生活がいやになったわけではない。
このチューリップの触手をよけるという、目をつぶってもできることを毎回するのがいやになってるだけである。
一度、このチューリップの中に特攻して、木連に神風特攻してみた。
木連を壊滅させてしまった後で、なんてことしてしまったんだと、立ちすくんだものである。
そうか……この時点ではバッタやジョロぐらいしかないんだな、としみじみ思った。
八ヶ月という期間は非常に重要だったんだな。
たかが八ヶ月、されど、八ヶ月。
開始五秒で終わってしまったアキトの五千七百一回目の逆行とは違う。
たかが、五秒、たった五秒。
なして、五秒で死んだのかは、状況確認する前に死んだからいまだに理由が分からない
と、もそもそしてたら、ナデシコがチューリップに半分突っ込んで、グラビティブラストを撃っていた。
何回か、このときにナデシコがどっかにジャンプしてしまったことある。
木連に飛んでしまったりするのは別にいいのだが、たまに、時間まで飛んでしまう。
アキトが死の間際、畳の上で寝ていたら、その庭先にジャンプアウトしてきたことがあって驚いた。
あるときなんか、過去にジャンプして、遺跡の中で鎮座するナデシコを見たときは遺跡って凄いんだなと思ったものである。
なんとか、今回は無事に済んだナデシコを見ながら、アキトは悩む。
そう、アキラのことである。
ルリちゃんにどう説明しようか?
変な説明すると某同盟が発足されるからなぁ。
どんなに気をつけても、必ず、某同盟と某組織、それとゴートさんの壊れは逃れられない。
ただ、遅いか早いかだけである。
考え込むアキトの背後では、ナデシコがアキトに通信を送っている。
「アキトさん、聞きたいことがあるんですけど」
来たーーー!!!
自分の部屋に帰る途中で、ルリに呼び止められるアキト。
一応、ごまかせる程度、穴はない程度の理由、という名のごまかしは用意しといたから大丈夫であろう。
「あのヤガミ アキラさんというのは誰ですか?」
「あぁ、彼女はねぇ…………ヤガミ?」
「はい、先ほどの食堂で私に話しかけてきた人がいまして、アキトさんの味方と聞いたのですが」
そういってくる、ルリだが、今のアキトにとってそんなことどうでも良い。
アキトの思考回路はただ一点のみ、ルリのある発言のみを考えていた。
「ヤガミって…………ナオさん?」
今回の設定はややこしいことになってるようだ。
後書き(代弁者:如月龍次)
土(世界)を用意して〜♪
種(メインキャラクター)を植えて〜♪
肥料(サブキャラクター)を追加して〜♪
水(設定or伏線)をやって〜♪
水をやって〜♪
水をやって〜♪
水をやって〜♪
水をやって〜♪
水をやって〜♪×∞
そしたら種が〜腐りました〜♪
肥料は無駄になりました〜♪
土も無駄になりました〜♪
な、ことにならないように気をつけろ!!
まぁ、そこまで水(設定or伏線)をやれはしないと思うが……
というかそれって俺の仕事でもある!?<設定or伏線
代理人の感想
・・・・・微妙だなぁ。
コンセプトや目の付け所は面白いと思うんだけど・・・・
なんていうかこう、極めて豪快に上滑りしまくっていると言うか。
チト勿体無い気が無きにしも非ず。