《蜥蜴戦争の英雄死す!》《悲劇のお姫様逝去》《電子の妖精、失意の弔問》。

 2202年8月、夏がそろそろ終わりを迎えようとする頃、各社の新聞やテレビを賑わすのは決まってその話題だった。蜥蜴戦争の終戦の立役者であるナデシコAの艦長であり、火星の後継者に拉致され《遺跡》と結合された唯一の人間というユリカの経歴はマスコミの扱うネタとしては十分過ぎる物だったのだろう。《火星の後継者事件》を経て存在自体が世界的に有名になったルリの姉――のような存在――であることもそれに拍車をかけていた。

 2202年8月某日、ミスマル・ユリカ永眠。享年26歳。

 言葉にすれば簡単だが、それが関係者に与えた衝撃は並大抵の物ではなかった。ユリカのことを深く知る者ほど、日頃天真爛漫で陰りのない彼女と死というファクターを擦り合わせることができずに混乱するのだ。報道がなされた後、ミスマル邸にかけられたユリカの死去を尋ねる電話は軽く三桁を超えた。一度、火星の後継者にさらわれた過去があるだけに、今回もまた誤報なのではないか……という心理が働いたのだろう。

 タイミングというのはうまくできていないもので、ユリカが死んだとき、病室にはイネスと彼女をサポートする看護士たち以外誰もいなかった。ルリはネルガルにアキトの所在を問い詰めに行き、受付嬢にネルガル会長の呼び付けを頼んでいたところだったし、コウイチロウはどうしても抜けられない宇宙軍の会議に出席していた。巡り合わせというのはそういうものなのだろう。

 葬儀の様子を大々的に報道されることを嫌った故人と遺族の希望で、ユリカの葬儀は親しい者たちだけの出席を許した密葬となった。それでも、旧ナデシコクルーを初めユリカの大学時代の友人や恩師らが多数出席し、最終的な参列者は百人を超えた。喪主はコウイチロウが務め、火葬を終えた後のユリカの骨拾はルリが担当した。

 人は、脳の中の神経伝達物質の流れで思考をしたり、様々なホルモンの分泌で生活をしているので、死んで骨だけになってしまったら、人の本質など消えてしまう。どちらかといえば、ルリはそんなドライな考え方をしてしまうタイプだった。けれど、そのときばかりは青空をバックに綺麗な笑顔を向けるユリカを思い浮かべることができない自分の思考形態を呪った。

 そして関係者――とりわけルリにとって衝撃的な第二の事件が起こった。

 ユリカの葬儀から四十九日が経ち、納骨も終わり、過熱気味だったマスコミの騒動もようやく落ち着いてきた頃だった。

 火星極冠遺跡・イワト上空に、一年前の連続コロニー爆破事件の際頻繁に目撃されていた黒尽くめの機動兵器――通称幽霊ロボット――がボソンジャンプして出現。何の勧告もなしに、突然攻撃を仕掛けてきたのである。《火星の後継者事件》の轍を踏まえ、イワト周辺に多大な兵力を配備していた新地球連合だったが、ヒサゴプランが実質機能しなくなりA級ジャンパーを使うしかボソンジャンプする方法がなくなった今、まさかジャンプして奇襲してくる敵など想定の範囲外であり、それ故に指揮系統が一瞬遅滞してしまった。

 その《一瞬》で幽霊ロボットには充分だった。指揮系統が正常に機能するまでの間に、イワトに配備されていた全機動兵器、全戦艦の三割近くが破壊された。いかに不意を突いたとはいえ綿密な事前計画、そして計画通りに事を遂行できるパイロットの技量がなければここまでの成果は望めない。正しく幽霊ロボットの電光石火、疾風迅雷、問答無用の離れ業であった。地球連合としては、幽霊ロボットの余りに手際の良すぎる行動のせいで、破壊された機動兵器、戦艦のそれぞれのパイロット、クルーらが機体に乗り込むことができず、人的被害が最小限に抑えられたことが唯一の救いだった。

 敵の狙いは《遺跡》だ――必死に防衛線を死守するイワト守備隊がそう悟るのにそれほど時間はかからなかった。そもそもそれを護るために彼らはイワトに配属されたのだから思考の行き着く先がそこなのは当然の帰結ではあるけれど。しかし、それにしては――と彼らが疑問を感じ始めたのもすぐだった。《遺跡》の奪取が目的なら、この攻撃は激しすぎないか? 守備隊に苛烈な攻撃が加えられるのは分かるのだ。正義はこちらにあれど我らは彼の征く道を塞いでいるのだから。邪魔者は排除する。その考えは、まあ、納得はできないが理解することはできる。しかし幽霊ロボットの攻撃の矛先が、専ら守備隊よりも《遺跡》を安置しているイワトに重点が置かれているのはどういうわけだ? あれではまかり間違えば《遺跡》そのものを破壊してしまうではないか。

 するりと、不穏な影が守備隊の心に忍び込んだのはそのときだった。

 ――……《遺跡》の、破壊? まさか、それこそが幽霊ロボットの目的だとしたら……?

 閃光。――爆音。

 煙突のように直立していたイワトの二本の尖塔、その内の一本が地響きを立てながら地に倒れていく。ディストーション・フィールド――あまりに高密度なために半ば物質化しているそれ――を纏った幽霊ロボットが勇敢にも体当たりを敢行し、塔を支えるワイヤーを引き千切りながら接触、数秒の我慢比べの末根負けした塔を薙ぎ倒したのだ。

 守備隊の面々は知っている。あの二本の塔の中間の真下、地中深くに《遺跡》が安置されていることを。さらに塔の内部が空洞になっており、そこから《遺跡》が安置されている場所までが繋がっていることを。そこを狙って破壊したことから、そのことを幽霊ロボットが知っているだろうことも彼らは理解した。――そして、遺跡の場所まで繋がっているのそのことを知っている幽霊ロボットが、何の躊躇もなく塔を破壊する映像を彼らは見た。《遺跡》とは古代火星人が遺したブラック・ボックスの塊だ。下手な刺激を加えれば何が起こるか誰にも分からないことを知っているはずなのに――!

『う……わぁぁぁぁ――っ!』

 守備隊の面々は恐怖した。もはや幽霊ロボットの目的が《遺跡》の破壊なのは明白だった。破壊するために、万を数える軍勢の前にたった一機の機動兵器で現れた。目的を遂げようとも遂げなくても、これだけの被害を出した以上パイロットが生きてあの機体から出られないことは確定だった。それでも、現れた。破壊するために、現れた。死を厭わずに、現れた。一体、何が彼をそこまで駆り立てるのか。黒い幽霊ロボット――通称の通り亡霊のような異装を纏う機動兵器から漏れ出る憎しみに、彼らは言いようのない恐怖を募らせた。

 火線。閃光。着弾。――そして爆音。

 恐怖を振り払うように彼らは撃った。震える指はビートを刻み、常よりも速い高速射撃を可能にさせた。その分狙いは甘くなってしまったが、三千を超える銃口が一つの標的に向かって撃てばその誤差はあってないようなものだった。塔を倒すためにフィールドを最大出力で張っていた幽霊ロボットは、一時的にフィールドの出力が落ち込んでおり、高い機動性アクロバティックで銃弾のシャワーを避けながら、それでも幾らかをその身に浴びてしまった。

 着弾の影響でふらつきながらも、何とかフィールド強度を回復させた幽霊ロボットは、しかし不運なことに硝煙で視界を塞がれ、機を窺っていた精鋭による五機のステルンクーゲルが両手にフィールドランサーを構えて突撃してくるのに気付けなかった。それでも、一機目と二機目に対する反応は直前まで気付かなかったとは思えない流暢な物だった。ランサーをかわしつつ、カウンターで抜手を両脚部の重力波ユニットに叩き込み操縦不能にさせた。カウンターのタイミングは幽霊ロボットが彼の宿敵である真紅の機体との対戦のときに会得した物であり、その戦闘内容には大人と赤ん坊の喧嘩ほどの開きがあった。

 ――しかし、幽霊ロボットが人型を模して造られている以上、迎撃に使える腕は二本しかない。三、四、五機目に対する反応が後手に回ってしまったのは構造上致し方ないことだった。三、四機目が協力して計四本のフィールドランサーで幽霊ロボットのフィールドを中和し、ランサーを捨てた五機目がハンドレールガンを至近距離で叩き込んだ。即座に対応して群がる三機を同じく抜手で屠った幽霊ロボットの技量はさすがだったが、代償として右手と右足、そして背中のウィングを失っていた。特に右足に付属していたブースターとウィングは、武装の少なさを高機動性で補っている幽霊ロボットには痛手だった。

『オオオオオオオォッ!!』

 初めて弱みを見せた幽霊ロボットの姿に守備隊から一斉に喝采があがった。彼らも必死だった。《遺跡》を破壊されたらどうなってしまうのか。一説では《遺跡》が計算してきたジャンプがすべてチャラになり、結果タイムパラドックスが起こって人類が初めてボソンジャンプを使った瞬間まで時間が遡るとも言われている。その推測に魅力を感じる者もいないではなかったが、やはり今現在確固として存在している《自己》が消え去ることを許容し難い事実として受け取る者が多かった。そも、人間には自己保全本能というものがあるのだ。無意識下レベルで自己の消滅を望むことは人間の脳構造上例え自殺志願者でも不可能だ。

 勢いを得た守備隊は与えられた弾薬を使い切るなら今だとばかりに再び銃撃を開始した。幽霊ロボットの技量を魅せつけられた後に再び突撃を敢行する者はいなかった。勇敢と無謀は違う。その真理を理解していた者は少なく、ほとんどは恐怖心が発露した故の行動だったが、動機が違うからといって結果が異なるわけではない。幽霊ロボットも損傷に対しては特に反応を示さず、それまでの一撃離脱戦法ヒット&アウェイを崩さなかった。

 猛火の銃撃で《遺跡》への進路を取らせまいとしつつ幽霊ロボットの鎧装を削る守備隊と、《遺跡》へ続く道を切り拓こうと幾度もの突撃をかける幽霊ロボット。――結果戦況は膠着し、長期戦の様相を呈し始めた。

 人間が集中していられる時間は大脳生理学的にせいぜい九十分が限度。加えて長期戦――それ即ち消耗戦である。

 片や、合計一万を超える機動兵器と戦艦を保有し、弾薬も豊富に持ち、なおかつ粘れば地球連合からの援軍も望めるイワト守備隊。

 片や、機体の生命線である機動性を半減され、弾薬も残り少なく、本来サポート役である白亜の戦艦ユーチャリスもおらずエネルギー供給さえ満足におぼつかない幽霊ロボット。

 奇襲による混乱が沈静化し、戦局が電撃戦から消耗戦へと移行した段階で幽霊ロボットの勝ち目はほぼ潰えたといってよかった。もっとも、たとえ損傷した段階で幽霊ロボットが玉砕覚悟の特攻や逃げの一手を打ったとしても、満足な成果は望めなかっただろう――というのが後の軍関係者や戦術評論家たちの一貫した意見である。

 遮二無二突っ込んだところで一万の軍勢の牙城を崩せるわけがない。圧倒的物量の前に機体の性能の差や精神論が入り込む余地がないことは二世紀半前に小さな島国で起こった戦争が証明している。土台、敵軍と自軍の撃墜比キルレシオ10000:1には数字の差以上の難題が潜んでいるのだ。

 逃亡も、やはり一万という数がネックになる。これだけの数の敵兵に囲まれた場合、もはや通常の手段では戦場からの脱出は不可能だ。四面楚歌ここに極まれり、である。ボソンジャンプ――それがその不可能を覆す唯一の手段だが、幽霊ロボットに落とされた――と思われている――コロニーに恋人、家族、親類等がいた軍人も多くイワト守備隊には配属されており、ただでさえ幽霊ロボットの理解不能な行動で恐怖心を煽られていた彼らはその怒りにも火が点き、一時も銃把を握る手を休ませようとはしなかった。絶え間なく銃撃に晒される極限状態では、ジャンプに不可欠な精神集中イメージングはできない。

 だから、僅かな望みに賭けるという意味では、迷いなく消耗戦を選んだ幽霊ロボットの選択は――テロリストにそんな冷静な判断力がある場合と前置きしてから――素晴らしいと、軍関係者や評論家たちは控え目に賞賛を贈った。

 そして、その僅かばかりの賞賛が、幽霊ロボットとそのパイロットに贈られた唯一の、そして最後の賛辞となった。






 4 years later ―ホシノ・ルリの憂鬱(2)―






 戦闘開始から八時間五十三分後、幽霊ロボットは全身に鉛玉を浴びて墜落。火星の大地に激突し、約二百メートルの擦過痕を残したところで全ての動きを止めた。そのときの幽霊ロボットの惨状は、今まで動けていたのが不思議なくらいだった。

 おそらく生存は望めないだろうと思いながらも、守備隊は動きの取れなくなった幽霊ロボットのコクピット部分の鎧装を剥ぎ取りパイロットを連れ出そうとした。これだけの大事を引き起こした張本人がそこにいるのだ。生きているにしても死んでいるにしても、五体満足では逝けないことをその体に叩き込んでやるつもりだった。

 だが――彼らはそこで、信じられないモノを見ることになる。

『――え?』

 そこには・・・・誰もいなかった・・・・・・・

 血まみれのパイロットシートと、同じく血まみれの脱ぎ散らかされた無骨な耐Gスーツ。そして、無人のコクピット。

 機体に搭載されているコンピュータが、ウィンドウに多数のエラー表示を出している他は、そこに動くモノは皆無だった。守備隊は呆気に取られた。狐に化かされたような気分だった。白痴のように呆けつつ入れ代わり立ち代わりコクピットを覗き込むうちに、

《ご利用ありがとうございました。なお、この機体は機密保持のために300秒後に爆破・消去します。解除手段はありません。それでは――紳士淑女の皆様方レディース・アンド・ジェントルメンよい旅を!ゴー・トゥ・ヘル

 そんなウィンドウが現れ、数字部分が一秒ごとに一つずつ小さくなっていく。300から299。299から298……。

 きっかり300秒後に予告通り幽霊ロボットは爆炎に包まれ、黒い機体は悪夢が醒めるように火星の大気に塵となって溶け消えてゆく。

 退避することに時間を取られ、証拠こそ残っていないものの幽霊ロボットのコクピットは多数人が見ており、その全員の意見が無人だったということで共通していた。すわ、幽霊ロボットとはその名の通り幽霊が操るロボットではなかったのかという噂が一瞬で守備隊の間を席巻することになった。その手の話に弱い者の中には、高熱を発して倒れる者もおり、それがまた祟りだと尾ひれがついて広がり、また噂が広がるという悪循環に陥った。

 だが、事の真相は意外なところから明らかになった。

 《ボース粒子反応》。

 ボソンジャンプが行われる際必ず発生するのがボース粒子であり、ボソンジャンプがこの反応から逃れることはできない。その粒子が、幽霊ロボットが地面に激突する直前に検出されていたのだ。

 大部分の守備隊、とりわけ若手の機動兵器乗りたちは、ならば取り逃がしたのかと安易な結論に取り付いたが、経験豊富なベテランの機動兵器乗りたちがその意見に待ったをかけた。錐揉み状態――その状態で墜落しているパイロットに、余計なことを考えている暇はない。自分の体が機体もろともぐるぐる回転している。上も下も右も左も区別がつかなくなる。視界に映る景色が凄いスピードでぐわんぐわん回る。パイロットが生きていたのなら、絶対にまずその状態から脱しようとするはずだ。銃撃に襲われるのとはまた別種の極限状態において、ジャンプのイメージングなどができるわけがない――というのが彼らの主張だった。

 しかし墜落の際、幽霊ロボットに墜落状態から脱け出そうとする動きは見られなかった。これはどういうことかと訊かれたベテランたちは、これにもパイロットが死んでいたか、そもそも機体がオシャカになっていて脱出行動が取れなかったのだという考えを述べ、自論を曲げなかった。

 それなら検出されたボース粒子反応は何なのだ?――未だ納得しかねない若手の一人がそう異を唱えたが、それもベテランたちの余裕を崩すことはできなかった。

《なーに、必死に錐揉み状態から脱しようとした糞ったれファッキンパイロットは、自分が力尽きたか機体が力尽きたかは知らんが、最後の最後に脱出は不可能だと気付いたんだろう。だから、本当に最後の手段のボソンジャンプに縋り付いた。――奴がイワトに現れたときを思い出してみろよ。単体でジャンプしてきたんだからパイロットがA級ジャンパーなのは間違いないだろう》

 ――なら、やっぱり逃げられたって事じゃないのか?

《ばーか。さっきも言っただろうが。墜落っていう極限状態でまともなイメージングなんてできるわけねー。せいぜい目的地も決めずに跳ぶことくれーだろうよ》

 そこに至ってベテランたちが言いたかったことがようやく守備隊全員に浸透した。

 目的地も決めないジャンプ――即ち《ランダム・ジャンプ》。次の瞬間には太陽の中心やブラックホールの入り口に現れても不思議ではない。いや、それはまだ幸運な方で、目的地――対象地点が決まっていない以上、宇宙が始まる以前の何もない場所や、逆に宇宙が終わった混沌の世界に跳ぶ可能性もある危険極まりないジャンプである。それを体験して生き残れる可能性はなきに等しく――たとえ生きていたとしてもおそらくこちら側からの観測は不可能。ランダム・ジャンプとはそういうものだ。

 幽霊ロボットが欠片も残さず爆破・消滅してしまった以上、その考えを補強する材料はなかったが、概ね整合性を保っており、また他の機動兵器乗りたちからの賛同も得られたために、守備隊の多くの者には《それ》が真相として受け取られることになった。

 その現場の人間の考えを耳に入れた地球連合上層部が、ボソンジャンプ研究の第一人者であり、同時に現存する数少ないA級ジャンパーであるイネス・フレサンジュ女史に秘密裏にコメントを求め、彼女もその意見を肯定したために、幽霊ロボットのパイロットが死亡したというニュースは公然の機密として軍関係者に流布されることになった。

 ただ、流布されたのはあくまで軍関係者のみ、それも将校以上の所謂幹部連中が主であり、下士官たちには詳細は伝えられなかった。正体不明機アンノウンである幽霊ロボットを倒したこと自体は手柄だが、手柄を上回る被害が出ていては意味がない。火星の戦闘では不意打ちで起動させることもなく落とされたのが三割、正面きってのガチンコで落とされたのが一割、総じてイワトに配備されていた全機動兵器、全戦艦の実に四割超を失っていた。それも、たった一機の機動兵器相手に。

 ただでさえ一年前の《火星の後継者事件》の影響で軍と名の付くモノには風当たりの厳しい世の中である。ここで失態を晒してはさらに立場が悪くなるという思惑の元、上層部はこの事件を《なかったこと》にしようと画策していた。イワトからの要請を受け、軍ドックから多数の戦艦が出撃していたことは既に一般市民にまで広く知れ渡っていたが、それも大規模な演習だということで片が付いていた。

 彼らにとって有利な材料もあった。火星の戦闘での死傷者は、被撃墜数に比べて驚くほど少なかった。後に統計を取って判ったことだが、破壊された機動兵器、戦艦でコクピット及びブリッジ部分を破壊されたものは一つもなく、狙われたのはほとんどが動力源である重力波ユニットや核パルスエンジンだった。

 ――まるで・・・わざと外しているみたいに・・・・・・・・・・・・

 有り得ないことだ!――と大部分の将校は一瞬浮かんだ空恐ろしい考えを怒りと共に封じ込め、ただの偶然だというレッテルを貼ってその事実を棚に上げた。後は下ろさなければ見つかる心配はないのだから人の上に立つ者としてそれは賢明な判断だともいえた。臭い物には蓋を。連綿と受け継がれるお役所仕事の伝統でもあった。

 そして、この《幽霊ロボット襲撃事件》を境にして、活動が懸念されていた火星の後継者の残党の大部分が相次いで拿捕・拘留された。その様子はさながら今まで追い立てていた怖い牧羊犬が不意に消え失せ、混乱した羊の群れが自ら谷底に落ちていくような――そんな喜劇めいた感想を大衆に抱かせた。

 ここに、2201年の夏から始まった、ボソンジャンプを巡る一連の事件の幕は下りたのだった。

 ――少なくとも、表向きは。







 ルリは長い長い記憶の思索から現実世界に復帰した。

「……ん」

 目を瞬かせながら、のろのろとベッドから身体を起こす。当たり前だが目には自分の部屋が映った。整理整頓の行き届いた部屋。生活感はあまり感じられず、けれど確かに人の使っている暖かみが感じられる部屋だった。ただ綺麗なだけの、――ナデシコに乗ったばかりの自分の部屋とは違うなとルリは感じる。

「………………」

 何か、壮大なオペラでも見ていたような気分だった。少し考えて、それもそうかとルリは納得した。

 ルリは、ナデシコ乗艦以前の記憶をほとんど憶えていない。アキトやユリカ、心許せるたくさんの仲間に出会った《ナデシコ以後》がルリの記憶なのだ。ナデシコから、ルリの人生は始まった。ルリが産声を上げた場所。そこから始まった自分の半生を振り返っていたのだから、そんな気分になるのも当たり前なのかもしれないとルリは思い、――と、びっくりして目を丸くした。

 シーツが濡れていた。ちょうど寝転んでいた自分の頭があった位置だ。

「……なんで?」

 思わず呟いた自分の声は裏返っていた。その事実にルリ自身が面食らってしまう。顔をしかめて……。

 そのときの触感で自分が涙を流していたことをルリは知った。いや、正確には《いた》ではなく《いる》で事態は現在進行形だ。妙に目が腫れぼったく、慌てて姿見をのぞいてみるとそこには泣きはらしている自分の顔が映った。衝撃を覚えながらも、ああやっぱりなとどこかで納得する自分がいることもルリは感じていた。あの二人を失った悲しみを自分が忘れられるわけがないのだ。

 ユリカの死後、ルリは結局遺言のようになってしまったユリカの言葉を胸に、それまでにも増してアキトの捜索に精力を傾けていた。ネルガル絡みの場所にいることは状況証拠から考えて確定だったが、それを裏付ける物的証拠が見つからなかった。電子上なら時間と手間さえかければ自分に探し出せない情報はないことを過信ではなく事実として知っているルリは、おそらく一切の電子機器を用いず口頭や紙の書類などといったアナログな手法でアキトの処遇を決めているのだろうと当たりを付けた。それならいくら探したところで証拠を見つけられる確証はなく、ならばもはや体当たりで関係者から直接事情を聞きだすしかなかった。

 とはいえ、現在のルリならともかく当時のルリはまだ十七歳のハイティーンになったばかりの少女に過ぎなかった。ネルガル上層部の面々とは面識もあり浅くもない親交を結んでいたために、自分が必死になって頼めばきっと何とかしてくれるのではないかという甘えもあった。けれどネルガル会長であるアカツキ・ナガレは得意の軽薄な口調でルリを口説くばかりでルリがアキトの話を振ってもいつのまにか煙に巻き、それは監査役のプロスペクターにしても同様だった。アカツキより話術が巧みでルリの神経を逆撫でするようなことを言わない分強敵だともいえた。ネルガルシークレットサービス所属のゴート・ホーリーの口は幾ら問い質しても開くことはなく、会長秘書のエリナ・キンジョウ・ウォンを相手にしては証拠がないのをいいことにルリ以上の剣幕でけんもほろろに追い返された。彼らは、思考で私情を排せる種類の人間だったのだ。

 身近な人間の今まで気付かなかった一面を見せられ、結局アキトの手掛かりさえ得られずに途方に暮れるルリをさらなる衝撃が襲った。それがイワトへの《幽霊ロボット襲撃事件》だった。アキト捜索に生活の大部分をつぎこんでいたルリはそれまでのユリカの看病もあって一時的に軍とは疎遠になっており、俗世の情報からも離れて久しかった。後方勤務の任が解かれていないこともあって軍ドックから出港した幽霊ロボット討伐隊には選ばれなかったが――結局、討伐隊が到着する前に幽霊ロボットは撃墜されたわけだが――、それ故に、ルリは幽霊ロボットのパイロット、即ちアキトの消失を最悪のタイミングで知ることになった。

 目の前が真っ暗になる。沈痛な表情を浮かべたコウイチロウから事件のあらましを聞いたルリは、その言葉通りの体験をした。すうっと血が凍るような感覚と共に目に映る景色から色が消えてゆく。次いで音も消え、ルリは無色無音の世界で暫く立ち尽くした。「おそらく、生存は望めないとのことだ」というコウイチロウの声が脳裏にリフレインした。

 一度失ったと思った人たちを取り戻し、束の間の幸福と希望を味わった後に再び失ったのだ。それも短期間に立て続けに。短い幸福に浸っていた時ですら、シャトルの事故の記憶を思い返すたび、言語に絶する痛みが胸を焼いた。生きる希望を根こそぎ奪い去るような、暴力的で容赦のない痛みだ。その、二度と味わいたくないと思った思いを繰り返し味わったのだ。ルリ一人で受け止めるには、その痛みはあまりに大きかった。

 抜け殻のようになってしまったルリに救いの手を差し伸べたのは、意外なことにネルガル陣営の一人であるイネス・フレサンジュだった。彼女はルリやコウイチロウを除けば病床のユリカと最も多く言葉を交わした人物であり、その過程で何らかの意識改革が起きたものかもしれない。溺れる者に直截的にワラを差し出すというのは、およそそれまでの彼女の性格にそぐわないものではあった。

 と言っても、イネスがルリを優しく励ましたとか、一緒になって愚痴を言い合ったとか、そういうことではない。それはイネス・フレサンジュのキャラクターではない。彼女はただルリに伏せられていた真実を告げただけだった。

「ユリカさんに投与されてた薬とか、治療とか、私がどうやって決めてたかわかる?」

 それは、ルリにとって今まで考えたこともない問いだった。論理的で有能なイネスのことだから、適切な処置をしているとルリは信用していたのだ。しかし改めて考えてみると、自分の持っている知識では解答を得られないことをルリは知った。

 普通の医薬品は臨床試験等を通して有効性、安全性が確かめられている。しかし人類初、そしておそらくは最後の病態であるユリカには病気の先例がなく、臨床試験による有効性や安全性が確かめられない。それは治療行為にしても同様で、《遺跡》がユリカとどのような関係にありどのように結びついているのか、何が起こるか予想できない以上迂闊に手を出すことはできなかった。

 わかりません、どうやって決めてたんですか?――ルリは何か嫌な予感を覚えながらイネスに尋ねた。忌々しいことにこういうときのルリの予感は今まで外れたことがなかった。予想通り――できれば裏切って欲しかったのだが――衝撃的な言葉がイネスの口から飛び出した。



「お兄ちゃんが、実験台になってくれていたのよ」



 ユリカの病状を告げられたときのように硬直するルリに構わず、イネスは自分に課せられた苦役を終わらせようと早口に語りだした。

 アキトの身体には火星の後継者の科学者連中が《遺跡》を研究する過程で採掘・開発した無数のナノマシンが埋まっている。ならばユリカの域には及ばなくてもアキトにも僅かながら《遺跡》との繋がりがあると考えられる。それならアキトの身体を実験台にして新薬や治療を試し、効果があったものはユリカにも相応の効果が望めるはずだ。また並行してその安全性も確かめられる。それを抜きにしても同じ処置を行う以上、臨床者と患者が同じ体質――A級ジャンパー――であることは比較対象として望ましい。

 それがアキトが実験台になった表向きの理由であり、驚くべきは提案したのがアキト本人だということだった。火星の後継者の手によってアタマの中を弄くられたとアキトはルリに語った。そのトラウマをおしてアキトはユリカのために協力したのだ。文字通りその身をなげうってまで。自己犠牲などでは説明できないアキトがユリカを思う強さに、ルリは女としてユリカに一抹の羨望と嫉妬を覚えた。

 「まあその甲斐あってお兄ちゃんの五感は少しは回復したんだけど」。イネスの言葉は続いていたが、その声はもうルリの頭には届いていなかった。そんなことも知らずに自分はユリカのお見舞いやお葬式に来なかったアキトのことを内心罵倒していたのだ。しかし、その実アキトはユリカのために自分以上に必死になって尽くしていた。自分の思考の空回り加減に嫌が差す。自分のバカさ加減を後悔する。

 そして、アキトがそこまでしても、ユリカを助けることはできなかった。結局、アキトとユリカの身体の状態は似て非なるものであったということだそうだ。《遺跡》に比べて自分たちはなんて小さな存在なんだろう――無力感に肌が震えた。

「そのことを、ユリカさんは……?」

「……直接言ってはないけど、勘のいい人だったから。多分気付いていたわね」

「そう、ですか」

 まともに向き合ったら立ち直れなくなるような悲しみから逃れるようにして、ルリが宇宙軍の軍務に没頭するようになったのはそれからだった。そのときのルリにはその悲しみに正面から立ち向かうだけの余裕がなかった。だから、事実を受け止められるようになるまで、ルリはそれからずっと目を逸らしてきた。

 そして、その悲しみと正面から立ち向かった今、ルリはベッドの上で嗚咽をこらえている。ユリカが亡くなってから三年、アキトが消えてから三年。一縷の望みを託して、この三年の間も軍務の針の隙間の時間を使ってルリはアキトの捜索を続けていた。けれど成果は出ていない。捜索を続け電子上をさまよううちに、同じように電子上に網を広げていた少女――《火星の後継者の乱》のとき、一度だけ通信回線を介して言葉を交わした少女、ラピス・ラズリと知り合い、情報提供をお互いに続けるうちにネルガルがアキトを匿っているわけでもないことを知った。

 ユリカとの約束は守る気だった。絶対に諦めない。けれど、薄々と信じたくない事実を認めていたのも確かだった。この三年の間にボソンジャンプの研究も進んだ。その研究は、ランダム・ジャンプの致死率をさらに高めるために一役買った。電子の妖精二人が三年にわたって電子上の全領域を見張っていても手掛かり一つ見つけられない。これはもう、まともに考えたら……。

「う……っ」

 覚悟はできていても、思考と感情は別問題だった。いつかのネルガル上層部の面々のように、二つを切り離すことがルリにはできない。耐えられないとは思わない。事実、とても胸が痛く、涙が止まらないけれど、シャトルの事故を見たときのように塞ぎこんでしまうようなことはない。そのときより悲しさを涙にできる分程度は軽い。

 しかし、《耐えられる》ということがまたルリを苦しめる。一度目は耐えられなかった。しかし二度目は耐えられる。自分の中で、アキトとユリカの存在は小さくなってしまったのかと自己嫌悪に陥りそうになる。進化したのか退化したのか、わからなくなる。こんなときに抱き締めて感情を共有してくれるユリカはもういない。こんなときに頭を撫でて慰めてくれるアキトはもういない。

 嗚咽が大きくなって、ルリはえづいた。咳のしすぎで喉が痛くなった。涙で顔がぐしゃぐしゃになる。せっかくシャワーを浴びたのに。明日はお休みだし。このまま寝ちゃおうか。



 ――そのとき、光が弾けた。



「………!」

 光はすぐに収まった。ルリは身を竦めたまま動かなかった。テロか何かかと疑った。火星の後継者の残党か何かが、自分を狙ってきたのではないかと。狙われるだけのことをしてきた自覚はあった。しかし、それにしてはいくら待っても何の危害も加えられないのが不思議だった。

「………?」

 光にくらんだ目が漸く視力を取り戻してきた。何事かと疑問に思いながら光った方を見る。

「え……?」

 ルリの人生で最大の――それこそシャトルの事故、ユリカの病状を告げられたとき、アキトの消失を知ったとき以上の衝撃が襲ってきた。しかし、今度の衝撃は驚きや悲しみだけではなかった。嬉しさや愛おしさ、その他様々な感情が濃密に込められていた。その激しいうねりは、訪れると同時にルリの全てを飲み込んだ。

 その感情はルリにとって、何よりも優先されるべき感情だった。

 光が収まったところには、



「――アキトさんっ!?」



 ――黒いライダースーツのような服を着込んだ、血まみれの男が倒れていた。







 ルリはアキトに駆け寄ってその身体を抱き寄せた。意識はなく、ルリが必死に呼びかけてもアキトが目を開くことはなかった。身体は血まみれで、ルリは最悪の事態を想像して青くなる。心音を確かめるべく、アキトの胸に耳を当てる。早鐘のように鳴る自らの鼓動が邪魔して聞き取るのに手間取ったが、数秒後ルリはアキトが生きていることを確かめることができた。呼吸も、不規則だがしっかりとしている。これからの処置にもよるが、少なくとも今すぐどうこうなるような状態ではなかった。

「よかった、アキトさん……熱――っ!」

 ほっとしたせいか、それまで意識の蚊帳の外にあった情報に脳が気付き始めた。アキトの身体は、全身に強い熱を帯びていた。ルリがこんな状態になってもまだアキトの顔を覆っていたバイザーを取ってのぞきこむと、久しぶりに見る懐かしい顔に薄く光の輝線が走っていた。

 ――IFS? ナノマシンが活性化している?

 それは、暴れ回るじゃじゃ馬をむりやり押さえ込んでいた直後のように怒り狂っていた。アキトの身体が熱を帯びているのも、未だに活性化をやめないナノマシン群が熱をどんどん排出しているせいだった。明らかに人体を対象とした安全率を無視した量のナノマシンが埋め込まれている。

「………!」

 次々と明らかになる衝撃的な現実にパニックになりそうなのを唇を噛んで耐える。脳の情報処理能力の限界を越え沸騰しそうになる頭を叱咤し、ルリはアキトと両手の指――最もナノマシンが集中的に分布している部位――を絡ませ、アキトのナノマシンに介入して自らのIFSの出力を最大にした。

 少々裏技的な手段だが、IFS強化体質者として高いIFS出力を誇るルリなら想定以上の情報量をむりやり流し込むことにより、他人の身体のナノマシンを一時的にシャットダウンさせることができる。もちろん何のリスクもないわけではなく、フリーズしたコンピュータの電源をむりやり落とすような対象者にある種の覚悟を強いさせる行為だが、ほとんど暴走しているナノマシンが身体を好き勝手に蹂躙するのを黙って見ているよりはよっぽど人道的な処置だった。

 ――次は……

 何とかナノマシンを沈静化させたルリは、休む暇なく次に止血を開始した。まず救急セットを持ち出し、アキトの黒いライダースーツのような服を脱がせた。触ってみると宇宙軍の機動兵器パイロットに支給されているパイロットスーツと同じ材質であることが判った。手触りが同じなのだ。

 ――機動兵器。そうか、と小さくルリの頭で理解の火花が弾けた。アキトがたった今まで機動兵器に乗っていたとすれば全身のナノマシンが異常に活性化していたことにも納得できる。高性能な、パイロットに負担を強いる機体を長時間操った場合そういう事態が起こり得ることをルリは資料を見て知っていた。身体が朱に染まっているのも、おそらくは機動兵器を使った戦闘行為の結果生じたものだろう。

 ……たった今まで機動兵器に乗っていた?


 ――血塗れのパイロットシート。脱ぎ散らかされた無骨な耐Gスーツ。そして、無人のコクピット。


 脳裏に何かがフラッシュバックしたがアキトの傷の手当てが優先とルリはそれを切り捨てた。アキトはスーツを素肌の上に直接着ており、アキトの裸体を間近で見てルリは狼狽したが照れているような場合ではなかった。

 傷を消毒し、ガーゼを当て、包帯できつく巻く。ただそれだけの作業も、《自分に何か一つでも落ち度があればまたアキトは消えてしまうのではないか》という強迫観念に囚われたルリには大仕事だった。神経が張り詰め、なんでもないところで何度も動きが止まってしまう。その遅滞の分だけアキトが自分から離れていってしまうのではないか。そう思うだけでルリの胸は張り裂けそうになる。

 幸いにも、アキトの怪我は見た目ほど酷いものではなかった。出血こそ激しかったものの、ほとんどは切り傷や打ち身であり、軽度の捻挫が足首にあっただけだった。それ故宇宙軍で一通りのレッスンは受けているとはいえ、専門的な医療知識のないルリでもさして問題なく処置することができた。ルリの手がアキトの血で真っ赤に染まる頃、漸くアキトの治療は完了した。







 ルリは肩で息をしながらベッドで横になっているアキトを見ていた。アキトは重かった。単純な体格・体重の差もあり、何よりアキトには意識がない。意識がない人間は重くなる。意識があるときには無意識に行っている体重移動や遠慮がなくなるからだ。成人男性一人を細腕のルリが運ぶのは困難な作業だった。

 ペタンとベッドの脇の床に足を投げ出して座り、意識のないアキトの横顔を見る。呼吸も規則的になっており傍目には眠っているのと変わらない。心配していたナノマシンの強制的なシャットダウンの影響も見られない。肉体的にも精神的にも疲労の極みに達していたルリは、安堵の息を吐いて顔をベッドにつっぷした。まだ現実を完全に信じきれていないのか、ルリの手は存在を確かめるようにアキトの腕を握っている。

 ――なんで、アキトさんがいきなり……

 現れたんだろう? アキトの腕を胸の間に挟んで抱き締めながら、ようやく冷静になってきた頭で現在までの状況を顧みてみる。

 状況から考えて、あの、イワトでの《幽霊ロボット襲撃事件》。撃墜された幽霊ロボット、ブラックサレナから三年の月日を飛び越えてアキトがルリの部屋にジャンプアウトしてきたのはおそらく間違いないだろう。無人だったと言われている幽霊ロボットのコクピット、アキトが現れたときの発光現象、異常活性化していたナノマシン、血まみれだったアキト……、細かいものも挙げれば証拠は山のようにある。

 さて、《Whyなぜ》が解ってしまうと次は《Howどうやって》が問題だった。アキトは、一体、どうやって三年後のルリの部屋というピンポイント・ジャンプができたのだろうか?

 ボソンジャンプが時空間移動法である以上、理論的には過去・未来への移動も可能である。事実、ナデシコA時代にもアキトは二週間前の月に時間の壁を越えてジャンプしたことがあった。しかし、当時はまだボソンジャンプの理論が現在より確立されておらず、またアキト自身も自分がA級ジャンパーだという特殊な体質を自覚していなかったために起きた偶発的なジャンプだと推論されていた。所謂ビギナーズ・ラックと呼ばれるものだ。そして当時と比べて理論が確立され、技術が進んだ現在でも過去・未来へのジャンプの成功例は実現されていない。

 まさか、自分がアキトによせる愛が奇跡を起こしたのでは……などという妄想を信じるほど、ルリは夢見がちロマンチストではない。とはいえ、まったくの偶然というわけでもないだろう。この三年、ルリはイネスにアキト生存の可能性、及び連れ戻す方法はないのかと事あるごとに詰問し続けてきた。ルリのボソンジャンプに関する知識は、イネスをして《貴方、ボソンジャンプ研究家に転職しない?》とまで言わしめるほどになっている。特にランダムジャンプの致死性、再会できる可能性の低さについては、師であるイネスと並んで地球で一、二を争うほど熟知していた。

 《偶然》では済まされないのだ。そんな偶然は万が一、億が一にも有り得ない。あまりにも極小、そしてあまりにも……都合が良すぎるではないか。

 ――都合が良すぎる。そう、そうなのだ、ルリがひっかかっているのはそこだ。あまりにタイミングが良すぎるではないか。目を逸らし続けてきた過去に立ち向かおうと決意したその日に、まるで狙ったように、空から降ってきたみたいに幸運アキトが舞い降りるなんて。家族を失い泣いている少女の元に天から最愛の人が降りてくる。まるで、立ち向かったことに対するご褒美みたいに。一体どこの童話の主人公ヒロインだそれは。ご都合主義ここに極まれリではないか。本当に信じられない。まったく、神様の気紛れか悪魔の悪戯か――

 ……神様?







 ――私ね、さっき、神様に会ってきたんだ

 ――だからね。自分で考えて、決めたんだ







「…………え?」

 それは、果たして、誰の、言葉だっただろうか。

「え? え? え、ええぇぇぇえ!? ……うそ」

 かつてないほどの混乱がルリを襲った。生まれてこのかた使ったことのない声が声帯から漏れる。

 ルリの記憶が確かなら、それは大好きだった養母の言葉。

 死の床に就く彼女との最後の会話で交わされた、いつもの彼女とは少し違う印象をルリに抱かせた言の葉である。

 そのときのユリカの言葉を、ルリは一言一句記憶していた。

 ――約束だよ

 そうだ、約束。三年前、あの病室で、ルリとユリカは最後の約束を交わしたのだ。決して諦めないことを誓ったのだ。

 そして、ユリカの最期の言葉。


















 ――アキトは・・・・絶対にルリちゃんのところに戻ってくるよ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


















「…………あは」

 もう、笑うしかなかった。

 ――アキトをジャンプさせたのはユリカだ・・・・・・・・・・・・・・・・・

 そう考えればルリの感じたひっかかりにもきれいに説明がつく。人を食ったような事の経緯も、今思えばユリカらしいと感じた。

 結局、世界は三年前の夏、病床のユリカが夢現に描いたとおりに進んだと。宇宙軍も、統合軍も、地球連合も火星の後継者の残党もネルガルも。ユリカをよく知るアキトやルリでさえ、誰も彼もが、集団や個人の区別なく、すべてがまるでジグソーパズルのピースのように、あるべき場所にはまるように――ユリカがあの日、あの病室で思い描いた絵の通りに収まったと。

 世界は、彼女の謀の中。

 ――つまりは、そういうことだった。

「……う」

 ルリは、一瞬、のどの奥がぐっと詰まった。驚き、怒り、悲しさ、気恥ずかしさ、愛おしさ、嬉しさ。そのすべてが入り混じった説明のできない感情が身体の中を猛スピードで駆け巡る。《遺跡》の中で、ユリカさんはずっと見ていてくれたんだ。そして、最後に最高のプレゼントをしてくれた。

 今なら、辞書で《すごい》を引いたら、《ミスマル・ユリカ》と出そうな気がした。

 ユリカさん。

 ユリカさんユリカさんユリカさん。

「やっぱり、ユリカさんは凄いです」

 ぽつりと零した言葉と合わせて、ベッドのシーツにまた透明な水滴が落ちた。それが自分の頬を伝って顎先から落下したものだと知り、いつのまにか自分が泣いていることにルリは気付いた。

 今度の涙は苦みではなく甘さを運んできてくれた。






 プルルルル、と静寂を破って電話の着信音が響いた。朝の早い時間――というより、むしろまだ夜中だ。起きているのは豆腐屋か新聞配達の人くらいといった時間帯。音に、ぴくりと目蓋が動いた。うっすらと開いた瞳に、まだ暗い部屋が映る。マキビ・ハリ――通称ハーリー――は微睡みながら、ぼんやりと電話機を眺めた。

 ――電話だ。

 出なきゃ、という思いとは裏腹に、身体は完全に熟睡を決め込んでいた。マシンチャイルドというのは、遺伝子的にそういう素養があるのか、総じて低血圧だ。ハーリーにしても例外ではない。寝るなー、起きろー、と念じてみても、目蓋はどんどん重くなる。とりわけ、今日は彼の人生にとって大事――だと彼が勝手に思っている――日だった。密かに彼が思いを寄せている――当事者以外にはバレバレなのだが――相手とのデートの日なのだから。まかり間違っても待ち合わせ時間に遅れないように、昨夜は早くから床に就いていた彼にしてみれば、この電話はまさに寝耳に水だ。泥沼から這いつくばって脱け出すような気力を振り絞って受話器を持ち上げた。誰の手も借りずに自力で睡魔に打ち勝ったのは、ちょっとした偉業かもしれないとハーリーは思った。案外、偉業っていうのは誰にも誉められないものらしい。

「ふぁい、もしもしぃ。どなたですかぁ?」

『あ、ハーリー君ですか? 私です、ルリです』

「!? か、かかかか、か、艦長ッ!? ど、どうしたんですか、こんな時間に?」

『ええ、少し、伝えたいことがあって。不謹慎かとも思ったんですけど、できるだけ早く伝えた方がいいと思って、こんな時間に電話させてもらいました。メールでは、気付かない可能性もあると思いまして。……寝てましたか?』

「ま、まっさかぁ! ミスマル総司令を見習ってさっきまで乾布摩擦してましたよ!」

 不健康な男だと思われたくない一心でハーリーが吐いたデマカセは、ルリのクスリというたおやかな笑みで迎えられた。それだけで思春期真っ只中の少年の心は火が点いたように熱くなる。受話器を握る手には、いつのまにか玉の汗が浮かんでいる。けれど、朝一番で思い人の声を聞けたという彼の幸運もここまでだった。

「それで、その伝えたいことって何なんですか?」

『ええ、それは……。今日、一緒に映画に行く約束をしてましたよね。一方的で悪いんですけど、都合が悪くなったので出かけるのはまた後日ということにはできませんか?』

 ――聞き間違いだと思いたい。視界が一瞬ブラックアウトしたのは寝起きで頭が覚醒しきっていないからだと思いたい。

「ど、どうしてですか艦長ッ!? 何か不都合でも?!」

 詰問するようなキツい口調になってしまったのは致し方ない。男の純情。土壇場で踏み躙られて笑っていられるほど達観してはいないのだ。勢いに若干怯み、申し訳なさで縮こまりながら、ルリは事前に考えていた言い訳を述べる。

『ええ。実は、今までの不摂生がたたったのか、風邪をひいてしまったようで。寝込むほどでもないんですけど、ハーリー君にうつしでもしたら申し訳ないので、この土日は家でゆっくりしようと思っているんです』

「ああ、」

 ハーリーは腑に落ちた。ユリカの葬式以来、ここ数年のルリの仕事への没頭振りはハーリーも気にしていたのだ。同じくルリのことを気にかけているアオイ・ジュンやミスマル・コウイチロウ共々何度かルリの仕事量をセーブさせようと試みたこともあるのだが、それも一時凌ぎにしかならなかったという苦い過去もある。今回のルリの部下やコウイチロウのいささか強引な休養の勧めや、ハーリーの映画への誘いも、ルリの身体を気遣った彼らが示し合わせて行ったことだった。

 その自分の身体を省みなかったルリが、例え風邪気味とはいえ自主的に休養を取ろうとしているのだからハーリーとしては言うことはない。デートがご破算になってしまったことは悲しいが、すでに目的は達せられているのだ。突然のルリの心変わりを訝しくも思ったが、乙女心を理解することは男には絶対に不可能だということくらいは理解しているハーリーである。余計はことは言わずにルリに話を合わせた。

「――そうなんですか。そういえば艦長、声が少しおかしいですよ。まるで一晩咽び泣いたみたいに嗄れてます」

『……そ、そうですか? 自分ではよく判りませんけど。思ったより重い風邪なのかもしれませんね』

 なぜか珍しく狼狽したルリの声音が聞こえてきた。まさか本当に咽び泣いていたわけでもあるまいに。得した気分になったハーリーだが、それでもルリと出かけられなくなった傷心を完全に癒すことは叶わない。「けど、残念ですねー」という溜息交じりの心情が、意図せず言葉となって勝手に口から漏れていた。

『――? メール読んだときも思ったんですけど、そういえばハーリー君。何でそんなに今日にこだわるんですか?』

「何でって……」

 ハーリーは眼を瞬かせた。

 ――もしかして、艦長は今日が何の日か気付いてないんだろうか。いや、まさかそんな。幾ら何でもカレンダーくらいは見るだろうと思ったが、ルリの仕事量を思い出して閉口した。ルリは掛け値なしに有能だが、その仕事量もまたマシンチャイルドの限界に挑むくらい多大なのだ。ハーリーにも経験のあることだが、忙しすぎたり他の事が考えられないくらい何かに集中すると、日付とか時間間隔が麻痺してしまうことがある。ルリの凄いところは本来なら異常事態であるそれを日常にしてしまったことであり、継続させていることだ。その状態が続けば――まあ、日付を気にしたりする暇はなくなるかもしれない。

「だって、今日は……」







 目を覚ましたとき、アキトは見知らぬ部屋で寝かされていた。

 部屋の中は几帳面に整理されていた。テーブルの上に置かれた雑誌、テレビや空調のリモコンは、それぞれ整然と並べられている。まるで店から買ってきてそのまま使われもせず飾られているような生活感のなさ――けれど、どこか温かさを感じる部屋だった。住人の人柄のせいかもしれないなとアキトは思う。

「う……」

 頭痛がするし、身体の節々が痛かった。寝転んだまま身体を見下ろすと包帯が巻かれているのが見えた。

「…………」

 ユリカを失った怒りと悲しさから、すべての元凶である《遺跡》の破壊のために、火星極冠遺跡のイワト守備隊に喧嘩を売ったところまでは憶えていた。そして、長時間に及ぶ戦闘の最後、自分が数多の銃火を浴び撃墜されたことも。

「……生き残ったのか」

 運悪く銃弾が駆動系を貫いたのか、IFSのイメージ伝導率をいくら上げても墜落中のブラックサレナはウンともスンとも言わなかった。あのときは正直死を覚悟した。運良く――この場合は悪運か――助かっても、いくらできるだけ死傷者を出さないように戦っていたとしても、あそこまで大規模なテロ行為を働いた自分が現場の兵からまともな扱いを受けるとは思えなかった。

 それはそれで構わないと思ったし、正直とても疲れていたので楽になっていいかなとも考えた。唯一、碌に言葉も交わさずにかつて一緒に暮らしていた妖精の少女と別れるのが心残りだったが……、悔いなく人生を終える人間が果たしてどれだけいるというのだろうか。

 だが蓋を開けてみれば自分はまだ生きていて、さらに怪我には的確な処置がされている。どうやら自分はよほど人道的かつ紳士的な軍人に捕まったらしい。火星駐屯基地かどこかは知らないが、おそらくは自室に、それも手錠等の拘束や監視もなしに放置されるなんて。本当に俺は悪運が強い――アキトは苦笑した。

 人生最後の博打にも失敗した以上、今更アキトに逃げようとする気持ちもない。とりあえずこの寛大な処置に礼を述べようと、アキトは家主――この場合は部屋主だろうか?――を探すために上半身を起こそうとして――失敗した。

「ぐ……」

 頭痛と節々の痛みが酷くなる。まるで油が切れてしまったかのように、関節が軋むような音を立てていた。

 ――これは……五感が戻るのも考えものだな。快復する前ならこの程度の傷は気にせず動けていたはず……

 ユリカのために自分の身体を実験台に捧げた行為に対する神の祝福か、アキトの五感は以前の40パーセントほどにまで回復していた。イネスはアキトの予想以上の仕事をしたと言える。しかし、それも肝心要であるユリカの病気を癒せなければ意味がないとアキトは思う。自分の身体を解剖してでも《遺跡》との繋がりを調べてくれと言った方がよかったかとアキトは少し後悔している。言ったところでイネスが承諾するとは思えなかったが。

 諦めてベッドに再び身を投げ出しところで、アキトは自分の腕を抱え込んで眠っている女性がいることに気がついた。敵意がないのとその女性がベッドにつっぷしていて視界に入らなかったために気付くのが遅れてしまったのだ。腕を引き抜こうとするがしっかりと抱え込まれていて女性に気付かれずに引き抜くのは無理そうだった。

「…………」

 状況を考えるとこの女性が部屋の主であることは間違いないだろう。熟睡しているのを起こすのは可哀想だと思ったが、いずれ礼を述べたいと思っていたし、犯罪者と密室で二人きりというのは彼女の体裁にも悪かろうと思い、アキトは抱え込まれていた手をむりやり引き抜いて女性の肩を揺らした。腕を抱え込まれていたのはきっと何かの間違いだろう。寝惚けて目の前にあったものを抱え込んだとかラピスみたいに抱き枕がないと眠れないとか。

 寝起きが悪いのか女性はすぐには起きなかったが、アキトは根気よく揺らし続けた。痛みが酷いので大きな動作はできないのだ。やがて、舟を漕いでいた女性の瞼が、散歩中のカタツムリよりもゆっくりと開き始めた。眠そうに目元を擦っている。顔立ちは整っている……というより、まるで中世のサロンから抜け出してきたような優雅さがあり、正直、見惚れそうになるのを堪えた。

 まだ覚醒しきっていないのか、遠いところを見ている女性にアキトは尋ねた。

「君は、誰だ……?」

 やがて焦点を結ぶと、女は、花咲くような笑顔を見せた。

「――アキトさんっ!」

 首に腕が回され抱きつかれた。そればかりか首筋に顔を埋められ、甘えるように鼻を擦り付けてくる。触覚が万全だったなら女の身体の柔らかな感触と、火酒のような熱い吐息も感じただろう。状況を理解できずに、けれどなぜか振り払う気持ちも湧かず、女の背中におずおずと腕を回してやる。女は腕を回した瞬間こそ一度びくっと身を震わせたものの、次の瞬間にはさらに強く抱きついてきた。小柄の女の前面で、もはやアキトと接触していない部分はない。やがて嗚咽が聞こえてきた。女は、泣いていた。自分の名前を連呼しながら泣きじゃくる美女に抱きつかれ、アキトは途方に暮れた。

 誰だろう。そしてここはどこなんだ――情報を求めて首だけを動かす。すると、ベッドの枕元に見覚えのあるものが転がっているのを発見した。ラーメンのレシピと結婚指輪。間違いなく自分が書いたものと贈ったものだった。――なぜ? 頭は混乱の極みに達した。それらの近くにも一つ、小さな何かが置いてある。現在直面している状況のヒントでも得られないかとそれに目を凝らす。古い文庫本だった。何の変哲もない。ただ、表紙に描かれてある猫が《おまえさん、うまいことやったな》とでもいうような嫌に親しみのこもる視線を向けてきた。わけが解らない。

 さまよう視線は次に壁に掛けられている時計を捉えた。朝の早い時間だった。その時計は時間と一緒に西暦と日付、曜日を表示するタイプの物で《SAT 7 JULY 2205》の文字が読み取れた。2205年7月7日。西暦はともかく、日付の方はアキトにとって特別な意味を持っていた。世間的には養子であり、血縁的には他人であり、そして心情的には妹と女が混ざった微妙な関係だった少女の――誕生日、の日付だった。まさか――とようやくアキトは自分に抱きついている女の正体にある予感を抱く。彼が縋り付く女の顔を覗き込み、間違えようのない瞳と髪の色に気付いて女の名前を呟くのは、それから数秒後のことである。

 今日は――ホシノ・ルリ、二十歳の誕生日バースデイだった。








 ―――おめでとうと、どこからか笑い声が届いた。
















<FIN>





§ 後書き §

 ユリカの三年越しの誕生日バースデイプレゼント。
 なぜに三年待ったかといえば、作中の理由ともう一つ、ルリが二十歳になるのを待っていたから。
 《私がアキトに再会したのは二十歳の時なんだからルリちゃんも二十歳まで我慢しなさーい!》ってわけです。
 結局アキトもルリも、ユリカには敵わないと、そういうお話でしたー。ユリカはやればできる子です。


 >しばらく見ないうちに芸風が変わりましたねー。

 昔書いたSSを見ると文章もところどころ引っ掛かりますがなにより趣味が変わったなーと首をひねることしきり。年月を経ると人の趣味って変わるものですねー。もちろん幾ら経っても変わらないものもありますが!


♯ちなみに冒頭でルリが読んでる文庫本はロバート・A・ハインラインの「夏への扉」です。
♯古典SFの傑作。純愛好きやペット好きの人たちには是非読んでほしい小説です。興味がおありの方は是非どうぞ。
♯なぜ作中に登場させたかといえば、アキト視点から見た《作為的に未来に飛ばされた男がそこで幸福を掴む》という粗筋が似てるから。粗筋だけで中身は全然違いますけどね、オマージュオマージュぅ〜。
♯三年の間にユリカ並の巨チチに成長したラピスが、ひんぬースレンダーナデシコ代表のルリとアキトを取り合うという後日談(ポロリもあるよ♪)があったんですが、蛇足っぽいので入れられなかったのが残念。



 

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代理人の感想

ううむ。まず最初に思ったのは・・・・

アキト×ルリをやる場合、明らかにユリカはブッ殺した方が上手く落ち着きますな(そこかっ!?)。

 

冗談はさておき、綺麗にまとめましたね。

仕掛に気がいってオチがちょっと弱いような気もしますが、まぁ十分。

 

>火葬後の拾骨

日本式の火葬なら骨を拾う場合は家族や親しい人が一つずつ拾うし、

それも普通二人が二つの箸で一つの骨を挟んで骨壷に移すんですが・・・・なんだろう?

 

>夏への扉

気づかんかった・・・不覚ッ!(爆)