欲しいものがある
全てを捻じ曲げてでも欲しいものが
運命にさえ逆らって望む
ただ一つの願いが
それは
ただ大切な人達が穏かに暮らせる
あるべき「未来」
眼に映るのは白銀の月
この身に感じるのは大地を駆ける風の香り
踏みしめた草の柔らかさ
「ここは、どこだ?」
何故眼が見える
何故音を香りを感じる事が出来る
「気が付きましたか、アキト」
かけられた声に振り向くと安堵の表情をしたルリがいた。
「ここは地球、ナデシコ出航の一年前、アキトが火星から地球に跳んだ日です」
地球 ナデシコ 初めてのジャンプ
懐かしく温かい日々、過ぎ去った過去
「戻ってきたのか」
「はい、やり直すために」
やり直すために、あれほど忌み嫌ったボソンジャンプを使い過去に戻る
ボソンジャンプに全てを奪われた俺がボソンジャンプによって希望を与えられる
これほどの皮肉は無いな
ふと苦笑いがこぼれた
「どうかしましたか?」
それを見咎めたのか、ルリが訝しげに訪ねる
「いや、何でも無い」
俺の気持ちを察したのかルリはそれ以上追求してこなかった、尤もリンクしている以上隠し事など出来ないが
「現状の説明を」
「はい、テンカワ・アキト、ホシノ・ルリ、イネス・フレサンジュの三名は2202年より2195年にボソンジャンプ、この時間軸でのテンカワ・アキト、ホシノ・ルリ両名の死亡を確認、イネス・フレサンジュの生存を確認、よって厳密な意味での過去ではなく並列世界に飛んだものと推測されます」
並列世界 やはり「過去」に跳ぶことは出来なかったか
「イネスは?」
この世界に共にやって来たはずの女性の事を聞く
「火星です、そこでアキトを待つと」
「そうか・・・・・・」
ナデシコの出航まで1年、火星まで約3ヶ月
また彼女に辛い思いをさせるな
「ところでアキト身体の調子はどうですか?」
身体 ボロボロだった筈なのに思う様に動く
「・・・五感が戻っているな」
「そうですか! よかった」
「ルリが直したのか?」
未来において最先端の医療を持ってしても直る事の無かったこの身体を
「いいえ、違いますイネスさんの提案で遺跡の力を借りました」
「・・・・・遺跡だと」
無意識に声が低くなる
「はい、そもそもアキトの身体に投与されたナノマシンは遺跡から回収されたロストテクノロジーです、それ自体は極めて有効で安全なものです。それが暴走していたのは制御用のナノマシンが無かったためです、そこでボソンジャンプを行う時遺跡にアクセスしてアキトの身体に制御用ナノマシンを加えました、五感が戻ったという事は成功した様ですね」
遺跡に救われる、例えようの無い屈辱と・・・・・・歓喜
「ナノマシンが完全に作動しているのならアキトはマシンチャイルドクラスのIFSを持つことになります」
「そうか、解った」
遺跡に救われ、新たな力を授かる
皮肉だが今は力が要る、全てを正すための力が
「これからどうしますか、アキト?」
「ネルガルへ、アカツキをこちらに引きずり込む」
「はい・・・・・・・・アキト」
「なんだ?」
「いえ・・・・・・・必ず未来を変えましょう」
未来を変える、そのために愛する者達を巻き込んで過去にきた
「ああ・・・・・・・ルリこれからが本当の戦いだ」
「はい、アキト 全ては貴方のために」
認めることの出来ない未来
愛する人を奪われ
全てを失い
数多の命を奪った
その未来を変える為にここまできた
歴史を在るべき形にする為に
この想いを傲慢というのだろう
だがあの不幸な未来を認めるというのなら
神よ
俺は貴方を否定する
tohooさんからの投稿です!!
並列世界へと跳んだアキト達
これから先、どのような困難が待ち受けているのでしょうか?
少なくとも、簡単に話は進まないでしょうね。
ではtohooさん、投稿有り難う御座いました!!
次の投稿を楽しみに待ってますね!!
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