火星

極冠遺跡

ボソンジャンプ演算ユニット

ここから全てが始まった

相転移エンジン

グラヴィティブラスト

ディストーションフィールド

チューリップクリスタル

人が手にした様々なオーバーテクノロジー

ネルガル・地球・木連・火星の後継者

多くのものがこれを求めた

そう、ナデシコも

 

 

 

 

 

 

 

遺跡は、古代火星人は私達に何をさせたいのだろう?

この巨大な人工物を前にするとそんな疑問が沸いてくる

遺跡

全てのボソンジャンプを統括する演算器

全ての始りと終りに在る物

私達に力を与え

全てを奪い

「今」をもたらした物

私の大切な人に幾多の苦しみをもたらした物

この遺跡には苦しめられ

助けられた

ふと、自分の身体を振りかえって見る

記憶に在るものとは若干違う

この世界の者は気が付かないだろう

だが彼ならきっと気付くだろう

私の身体の変化に

大した事ではない、ほんの少し我侭をしただけ

彼は、どんな顔をするだろう?













彼が来る

その事に驚きはない

「今」ここに来れるのは、私とあの娘と、彼しかいないのだから

さっき遺跡がほんの少し活性化した

もうすぐここまで来るだろう


カツーン カツーン


ブーツの音が聞える

自らを誇示する様に

扉の開く音

澱んでいた空気が動き出す

後少し

もうちょっと

「イネス」

無機質な、感情の感じられない声

でも私は知っている、その裏に万の思いが込められていることに

「久しぶりね、アキト君」

たった其れだけの再会の挨拶

「・・・・・・・・・・・・」

ほんの少しの沈黙

きっと私の身体が記憶と異なっているから戸惑っているのだろう

でも、教えてやらない

「これから如何するの?」

私の横に並び遺跡を見上げる彼に問い掛ける

「ナデシコに乗り火星へ、その後は和平を目指す」

迷う事無く返される答が心地よい

彼の答は簡単だった当たり前の事を当たり前の様に答える

歴史をなぞり修正を加える

その過程で助けられるものは助けようとするだろう

それでいい

この男は自分に何が出来るのか、何をすべきなのかちゃんと解っている

「次はいつ?」

主語はない、でもこれで通じる

「ナデシコが火星に到着した時に」

約15ヶ月

1年と3ヶ月

会おうと思えばいつでも会える

でも其れは出来ない

私は決して強い女ではない

いや、違う彼の前では弱くなってしまう

そして彼もその事を知っている

とても冷たく、温かい人だから

「そう」

彼の気持ちを知っているから短く返事をする

再びの沈黙

私達は無言で遺跡を見上げ、やがて彼のマントに包み込まれる

彼の腕に抱かれ

唇を重ね

光に包まれる

残ったのは「私」だけ

「あと15ヶ月」

















6ヶ月後

アカツキ・ナガレ私邸

「こうやって二人で飲むのは初めてだね」

「そうだな」

ゆっくりと杯を傾ける

「不思議だね」

不意にアカツキが呟く

「どうした?」

「いや〜今までいろんな所でいろんな人といろんな酒を飲んできたけどね」

そう言って再び杯を傾け言葉を続ける

「其れがね「おいしい」って思ったことがなかったんだけど、こうして君と二人で飲むのは「おいしい」っておもうんだ」

アカツキは杯に残った酒を一気に開ける

「そうか」

そう言ったきり会話が途切れる

二人は静かに杯を重ねていく

しばらくして

「アカツキ、頼みがある」

「へ〜なんだい、僕はね君に頼み事をされると何故か嬉しいんだ」

そういってアカツキはまた杯を飲み干す

「会いたい男がいる」

二人とも随分飲んでいるのだが酔った様子はない

「誰だい?」

何処か面白そうにアカツキが促す

「地球連合政府最高評議会議長」

其処で一度きり

「カール・グスタフ・ユング」

揺るがぬ決意と不屈の意思を持って

「この男を此方に引き込む」

 

tohooさんからの投稿です!!

イネスさんとアキトとの再会ですか。

う〜ん、イネスさんにしてみれば、15ヶ月とは長いのか短いのか・・・

・・・それ以前に、イネスさん自分でアキトの側にジャンプできるんじゃ?

逢いたい時は直ぐに行けるか(苦笑)

さてさて、最高評議会議長との会見は、どんな結果を生み出すのでしょうかね?

 

ではtohooさん、投稿有り難う御座いました!!

次の投稿を楽しみに待ってますね!!

 

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