ナデシコ出航前日
エリナ・キンジョウ・ウォン私室
「明日ね」
男の胸に顔を埋めながらエリナが呟く。
「ああ」
薄暗い部屋、ベッドに身を横たえながら男、アキトが返事を返す。
「これから暫らくの間、貴方に会えないのね」
言葉では言い表す事が出来ないほどの「想い」を篭めた言葉。
「火星に着くまではルリちゃんの独り占め、着いたらイネス博士がいる」
潤んだ瞳をアキトに向ける。
「なのに私は地球でお留守番」
「エリナ」
低い声、意図してそうしているのかは解らないが、この「声」を聴くとぞくぞくして来る
。
圧倒的なまでの威圧感と深みを帯びた声、この声が自分に向けられるとアキトに支配されたような気がする。そして支配される事に喜びを感じている自分を自覚する。
ネルガルのトップに立つのだと、地位と名誉と権力を手にするのだと、そればかりを考えていた。なのに今の自分はどうだ、アキトに支配される事に喜びを感じ、彼の力になれることに誇りを持ち、彼の側に侍る事に幸福を感じている。
これから私はアキトに抱かれる。
今まで何度も抱かれてきた。
はじめたアキトに抱かれた時の上り詰めるような幸福感。
あのとき私はアキトの「女」になった。
ホシノ・ルリそしてイネス・フレサンジュもあの幸福感を感じているのだろう。
だからアキトの為に力を尽くす。
自ら進んでアキトの「女」であろうとする。
自分がアキトの「モノ」である事に例え様のない喜びを感じる。
私達はテンカワ・アキトに身も心も囚われているのだから。
「解っているわ。私は地球で貴方の鎧の開発を進める、それと根回しをね」
そう、それが私の役割。戦闘ではホシノ・ルリに頭脳ではイネス・フレサンジュに勝てない私に出来るのは組織を動かす事と政治外交だけ。
「ナデシコが帰ってきたら私も乗るわ」
テンカワ・アキトの側にある事がアキトの「女」である私の望みなのだから。
「だから・・・・・・・・・ね」
アキトが私に覆い被さってくる。
一夜の情事がはじまる。
私の至福の時が。
ナデシコ出航後
ネルガル会長室
「行っちゃったね〜」
アカツキの軽い声が響く。
「良いな〜僕も行きたかったな〜」
何処まで本気か解らない声が響く。
「ねえ、エリナ君。君も行きたかっただろう・・・・・・・・テンカワ君の側に」
さあどんな顔をするかな。と言った風情でニヤニヤとエリナを眺める。
「いえ、私にはここでやる事がありますし・・・・・・それに昨日たっぷりと可愛がってもらいましたから」
そう言ってエリナは微笑む。
この時の微笑を後にアカツキは「満ち足りた笑顔」と表している。
エリナの発言と笑顔に呆然としていたが思い直してアカツキは呟く
「やれやれ、エリナ君がこんなに可愛くなっちゃって、テンカワ君は偉大だねえ」
参りましたと言った様子のアカツキ。
「ナデシコは飛び立った。これから歴史は加速度的に動き出すだろうね、さてさて最後に勝つのは地球か木連か、それともテンカワ君か」
いつもの様に軽い口調、しかしその瞳は真剣な光を放ち空を見上げていた。
まるで其処に、望むべき彼方への道があるように。
あとがき
「どうもイネス後援委員会会計鑑査のtohooです。
本日は委員会参加記念と言う事でイネス女史に来ていただきました。」
イネス「どうも、イネス・フレサンジュです」
「今回の作品はエリナさんメインになってしまいましたが、不躾な招待に応じて頂き有り難うございます。」
イネス「かまわないわ。彼女の気持ちもわかるし」
「そう言って頂けるとありがたいです。」
イネス「それで私の性格ってどうなっているの?」
「一言で言ってしまえば大人です」
イネス「大人・・・・具体的には?」
「はい、私の作品でのヒロイン、ルリ・エリナ・イネスはそれぞれ、献身・従属・慈愛と言った感じでアキトを愛してもらいます」
イネス「献身と慈愛は良いとして従属って・・・・・・・・」
「ちなみに、この三つは3人全てに言える事です。イネスさんの具体的な性格ですが決してマッドにはなりません」
イネス「まあ良いわ。で、説明のほうわ?」
「一応理系大学に通っているのですが未熟なもので」
イネス「精進なさい」
「はい。それとイネスさんには遺跡の力で幾分変化してもらいました」
イネス「どんなふうに?」
「後のお楽しみに\(^。^)/」
イネス「・・・・・私の再登場は?」
「ナデシコが火星に到着してからです」
イネス「早く書きなさいよ」
「頑張ります」
追伸
題名を「追憶」 「獅子の胎動」 「闘神達の祝宴」 この三つから決めたいと思います。
悩みまくっていたりします。