『このシャトルを助けることに、何の意味がある?』
「……なっ、なんだと?」
『彼らが敵か味方かどうかも分からない状況で、自らの機体を危機にさらしてまで救出することにどんな意味があるというのだ? 核パルスエンジンの至近距離の爆発なら、私たちの機体でもダメージは免れない』
W17の行動規範の中に『自己犠牲』は存在しない。
厳密に言うのであれば、自身の破壊によって作戦が達成されるのであればそのことに対してタブーはない。ただ、それはあくまで『作成達成のための必要な手段』であって、それに該当しないのであれば、最優先事項は『作戦行動が可能な、自身のコンディションの確保』となる。
当然、不必要なダメージを被る行動は許されるものではない。
だが、目の前でアキトはそれを行おうとしている。
だからW17は尋ねたのだ。何の意味がある? と。
確かに、知り合いなど皆無のシャトルを助けることに何の意味もないのかもしれない。
この世界のことが何も分かっていない以上、今しばらくはラビアンローズの存在を隠蔽しておいた方がいいのもまた事実。
加えて、いきなり出くわした相手が北辰だった、というアキトの個人的事情を説明もせずにわかれというのも無理な相談だ。
だが、今は時間がない。
説得する時間を惜しんだアキトは、苦々しくこう言い放った。
「俺のすることが愚かだというならそれでもかまわない。手伝えともいわない。だが、これだけはいっておく。
目の前に困っている人がいるなら、俺は助けたい。レモンが、アクセルが、ヴィンデルが、そして、お前がそうしてくれたように。
たとえ代償行為と言われたとしても、愚か者と罵られても、俺は助ける。
これが、俺の、『私らしく』だ!」
そう宣言したアキトは、納刀したエネルギーブレードを左手に持ったまま、ヴァイサーガをシャトル後方へと疾駆させた。
アンジュルグは、動かない。
じっと、アキトのやろうとしていることを見つめている。
「木連式剣術・奥義・光刃閃!」
シャトルの機影と交錯するように、ヴァイサーガが駆け抜ける。
抜きはなったエネルギーブレードを一振りして、鞘に再び納める。
次の瞬間、見事にシャトルの客室とエンジンは二分されていた。
そして、シャトルの客室におおいかぶさるようにヴァイサーガが取り付き、最大出力でバーニアをふかし、エンジンブロックから遠ざかろうとする。
刹那、エンジンが爆発した。
「ぬああああああああああああああああっ!!!」
爆発の衝撃波からシャトルを守り、なおかつ姿勢制御を行おうとする。
IFS装備で基本性能より高いポテンシャルを叩き出すカスタムタイプとはいえ、ヴァイサーガ1体でシャトルの姿勢を維持しようというのは無茶が過ぎる。
「絶対にっ、助けるっ、助けてみせるっ!!
北辰……貴様の思い通りには、絶対にさせない!!」
吼えるアキトをあざ笑うかのように、エンジンブロックのノズル部分が誘爆する。
このベクトルが、シャトルをヴァイサーガごとひっくり返そうとした。
「うわあっ!!」
慣性制御のできていない機体にこの衝撃は致命的だ。中にいる人間がミンチになりかねない。
まずい!
と、思ったアキトは無意識に身構えた。
だが、思っていた衝撃はやってこなかった。
『……離脱する』
急激なベクトルを自身の慣性で中和したのは、この宙域にいたもう1機の機動兵器……アンジュルグだった。
『ラビアンローズが追いついてきた。一度帰還しろと指示が出たので、シャトルを曳航してラビアンローズに戻る』
それだけを言って、翼をはためかせてアンジュルグが飛翔する。
その先に、ジャミングを解いてラビアンローズが現れた。
「……ありがとう、W17……」
通信回線を切らないままでつぶやいたアキトの言葉は、W17にも聞こえていたはずだが、当の彼女は全く表情を変えないまま、通信を終了した。
苦笑しながら、アキトはシャトルをラビアンローズのハンガーデッキに収納する。
すると、あわただしくクルーがシャトルの乗客を保護し、重症者を医務室へ運び込んでいった。
「テンカワアキト、帰還する」
急展開の遭遇戦が終わった。
だが、この次元にシャドウミラーが現れた劇的な1日は、まだ終わっていなかった。
( See you next stage!! )
うわ、引っ張っちゃった(笑)
どうしようか悩んだのですが……10秒ぐらい……ここで切りました。
他に切れる場所がなかったというのが正解なんですが。
これと次の話は、俺アドバンスワールド(笑)の説明です。イネスさん、出ませんけど。
北辰が出た、という時点でSRWからは乖離した……っつーか彼が出てるんだから同じなわけないんですけどね。
まだ、名前は出てません。とりあえず悪あがき。
北辰も俺北辰なので、なんかそれっぽくないんですけどねぇ……修行が足りんなぁ。
アキトも空回り気味だし。
でも、こうやって熱意ある説得を繰り返していけば、そのうちW17もきゃぴるんとしたAIに成長していくのではないかと。
……いや、光も闇も出ませんけどね(謎)<小娘系AIのイメージ
女王は出るかなぁ、出したいなぁ。6話では某Jの戦士といい感じだったのだが、こっちはどうするかなぁ。
よろしければまた、次回もお付き合いくださいませ。
追記
某図書館および某学園の諸君。
……俺だ(某準竜師風に)。
「で、なんであたしがここに引っ張り出されてるわけ?」
「よく来てくれたな、えーっと、リオン・レーヌ(仮名)」
「……今更ながらの仮名だな。テンカワアキト?」
「どうやら、5〜6話を一気に観て、参入承認となったらしいぞ」
「へぇ? でも、あたしはボコボコにされてたんだけど、またどうして?」
「なんでも、改造手術から実験のシーン辺りでメロメロになっているらしいが……っておい」
「イークイップ! フュージョン!!」
「ぬあ、どうしてお前がファントムガオーにっ!?」
「そんなとこ観て何考えてるんだぁっ! 乙女の怒りぃぃぃぃ、思い知れぇぇぇっ!! マトリクスミサイル! ファランクスミサイル!! フォールディングソリッドカノン!!! ええい、めんどくさい! 全弾一斉発射ぁっ!!!!」
「俺に向かって撃つなぁっ!!」
「……ああはなりたくないな、女性人格のAIとしては」
「お前にだけは言われたくないと思うぞ、W17」
「隊長、テンカワアキトを助けなくてよろしいのですか?」
「触らぬ神にたたりなし、なんだなこれが」
どっとはらい。
代理人の感想
祝!
リオン・レーヌ(仮名)
登場決定っ!
そう、何を隠そう私は彼女の大ファンなのだっ!
ガガガF第五、六巻での活躍と合わせ、「獅子の女王」以来のファンとしては嬉しい限り。
特にFの前半ではお色気要員に近い扱いだっただけにですね、こう、
ぐぁっと一発!
血沸き肉踊り、拳握り熱涙溢れる物語を演出して欲しいのココロ。
ついでにホビージャ○ン。さっさと「獅子の女王」を単行本にしろ(爆)。(既に命令形)
アレが広く読まれていないからルネが「只の萌えキャラ」呼ばわりされるのだっ!
※「獅子の女王」
模型誌「ホビージャパン」に連載された「勇者王ガオガイガー」の外伝小説。
作者はメインライターの一人である竹田裕一郎氏。
ルネ、パピヨン、光竜闇竜、そしてポルコート(OVAでは一カットしか出番がないけど(爆))が初登場した作品である。
TVの三十五〜三十八話直後(撃龍神登場から最強七原種出現直前)までの時間軸で
フランスGGG製の勇者ロボ・光竜のバイオネットによる強奪事件を縦軸に、
バイオネットによる母の死に始まるルネの悲劇的過去と凍り付いてしまった心、
そして仲間達の手助けによってそれを乗り越えてゆくルネを横軸に絡めて熱く描いた。
断言しよう。ガガガ本編中の傑作エピソードにもなんら劣らぬ傑作である。