「……はぁっ、はっくしゅん!」
ガードダイモビックの応接室で、その代表である和泉博士と会談中のミスマル・ユリカが唐突にくしゃみをしたのを見て取り、プロスペクターはおやおやと心配そうにユリカの顔を覗き込んだ。
「風邪ですか?」
「うーん、どうなんでしょう? はっ、もしかしたらどこかで私に恋をしてくれている人が噂を!?」
「信憑性はきわめて低い。単なる偶然だ」
ユリカを中心に、左隣にプロスペクターが座り、反対にはいま冷静なツッコミを入れたガードのタカマチ・キョウヤがいる。
「話がまとまったのならば艦に戻るべきだと思うが?」
「タカマチさんの言うとおりですな。副長もパイロットもおりますが、艦長もいるに越したことはありません」
両サイドからの突き上げにうーんと首をひねって腕組みしながらひと悩みすると、ユリカは大きく一つうなずいて、
「そうですね! 補給の受け入れとかもありますから、それが完了するまではナデシコで待機していましょう。早く宇宙へ出ないと……」
そこまで言ったところに、壁掛けのモニターから和泉博士にコールが入った。
『博士、連邦軍極東指令本部の三輪長官から緊急連絡が入っております』
「……うむ、つないでくれたまえ」
基地の通信士が映るモニターの画面が、釣り目に口ひげの気難しそうな軍人に切り替わる。
『和泉博士!』
「三輪長官、何事ですかな?」
恰幅よく落ち着いた風情の和泉博士に対して、モニターの向こうの三輪防人長官は大きく咳払いをして言葉を継ぐ。
『ガードダイモビックに現在停泊中のネルガル所有戦艦ナデシコは、明日0900を以って、連邦軍が徴発することとなった。ナデシコの全乗員は速やかに0900までに艦から完全撤収すべし、と伝えたまえ』
「なっ……」
あまりに一方的な三輪の台詞に絶句する和泉の後ろから、
「ええええええええええええええええええっ!?」
絶叫して割り込んできたのはそのナデシコの艦長であるユリカだった。
「どーいうことなんですかそれ!?」
その声に和泉は轟沈するが、キョウヤは平然とした顔で、プロスペクターはなにやら考えて首をかしげながら受け流す。
モニターの向こうはリミッターがかかっていたらしく、驚くどころか苦虫を噛み潰したような表情の三輪が映し出されている。
『何だ貴様は!』
「ネルガル所有、機動戦艦ナデシコ艦長のミスマル・ユリカです! それより、一体どういうことなんですか徴発なんて!!」
『ミスマルコウイチロウのところのバカ娘か……』
「何かおっしゃいましたかっ!?」
『うるさいっ!! 何も言っておらんわ!!』
まるで漫才のような三輪とユリカのやり取りに、プロスペクターが割り込んできた。
「連邦極東方面軍、三輪長官ですな。私、ネルガルのプロスペクターと申します」
『何だ貴様! 民間人の出る幕などない!!』
「いえいえそうおっしゃられましても、本社よりナデシコの渉外担当を任されておりますので」
『何度も言わせるな! 今回の決定は地球連邦直々の徴発命令だ。貴様ら民間企業はおとなしくそれに従えばよい!!』
「私どもに本社からそのような決定があったなどという話は聞き及んでおりません。本社に確認させていただきたいのですが」
『そのための撤収準備の時間を確保しておる! 今すぐ何もかも置いて貴様らだけ降りろなどといわないだけありがたいと思え!!』
「なんと……」
確かに、ナデシコはネルガルが所有する戦艦で軍籍があるわけではないが、実際にはGGG、それに現在の連邦事務総長であるロゼ・アプロヴァールの肝いりなのだ。連邦軍の独断で徴収命令を出せるとは思えない。
とはいえ、目の前にいるのは極東方面軍の実力者だ。うかつなことを言ってこれ以上の強権を発動されるわけにはいかない。
「わかりました」
「プ、プロスさん!?」
うなずいて見せたプロスペクターを見て、ユリカが絶句する。
頭を下げてフレームアウトした刹那に小さくウインクして、プロスペクターはモニターに向き直った。
「では、こちらも準備がありますので、これで失礼致したいのですが、よろしいですか?」
『ふんっ、もうすぐ監視の連中がそっちに行く。逃げようとしても無駄だからな!』
捨てゼリフを残して三輪のほうから一方的に通信を終了してしまう。
呆然とするユリカと和泉、深く長いため息をつくプロスペクターの脇で、キョウヤはコミュニケを操作してナデシコのブリッジを呼び出していた。
「こちらタカマチ。ホシノかレイナードはいるか?」
『はいっ、メグミ・レイナードです!』
「現在のレーダーの状況を転送してくれ」
キョウヤの指示を受けてメグミがコンソールを操作する。が、その指の動きがにわかに止まった。
『こ、これは……』
「どうした?」
『転送します! 4時の方向から飛行物体が1機接近……大きい……機体照合……旧ジオン公国のザンジバル級……艦名照合……出ました、リリーマルレーンです!!』
メグミが大慌てで各員のコミュニケを呼び出すのと同時刻。
当のリリーマルレーンのブリッジでは、その艦の主であるシーマ・ガラハウが舌なめずりをしていた。
「へぇ、綺麗な
太陽が西に傾きかけた頃、海の向こうから新たな局面がやってきていた。
( See you next stage!! )
どもどもー。
やー、気がついたら無職ですよはっはっは。
年末までに仕事決まるかなぁ、決めたいなぁ。
あ、そうそう、blog始めました。多分これから年末の某お祭りの情報なども載せていくつもりです。
それ以外には、時間があるから見てる深夜アニメの話とか、くっだらないことしか書いてませんけど、もしよかったらご覧くださいませ。
あと、今回は久々に裏世界(アペンディクス)も書いてます。お時間ありましたらこちらからどうぞ。
よろしければまた、次回もお付き合いくださいませ。
「早く上がって来いよアキトー、ひーまーだーぞー!」
「そうはいうがなアクセル、補給も何も無しで上がるわけにも行かないんだよ」
「あー、なんか上がってくるのも面倒みたいだなぁ」
「ビッグバリアもあるしな」
「あ、でもそれ、なんかだいじょーぶらしいんだな、これが」
「大丈夫って、なんか裏技でもあるのか?」
「裏技っつーか、コロニーといろいろやってるらしいぞ、あの『しょーにんっ!』っていうおっさんが」
「……GGGの長官を捕まえておっさんはないだろ」
どっとはらい。
代理人の感想
こー来るかっ!?(笑)
獅子王雷牙とロバート・オオミヤがウリバタケの古馴染みで、
ナデシコを接収しようとしているのが三輪長官で、その実働部隊がシーマ&海兵隊の愉快なみなさん。
うー、ゾクゾク来ちゃうなあ。
こう言うところがツボに来るのはやっぱりスパロボファンでクロスオーバー好きの性なわけですが、
でも、同じフレームの中に東方不敗とハマーン・カーンがいると言うだけで、もうどうにもたまらないのですわ、これが。
でもウリバタケ中年扱いかー。
実際に言われたら「俺はまだ20代だっ!」とか言って怒り始めるんだろうなぁw
注:ウリバタケさんはナデシコA搭乗時点で28歳です。29歳だったら「おじさま」ごっこができたのに。(!?)