-堕天使と妖精の物語- TOM-X ACT4:運命の再会とそれぞれの望み 〜AC196/8 極東地区:シナガワシティー・ネルガル特別病院(アキトの部屋)〜 ヒイロとルリが、デュオとプロスに案内されアキトの病室に着いたとき、アキトは目覚めた。 「…生きている。ここは?」 そんなアキトのつぶやきに、イネスは答えた。 「ここは、ネルガルの特別病院よ、アキト君。」 「…イネスさん?」 「ええ、わかる。」 「…声だけなら。…景色がぼやけているんです。」 「そう…。」 アキトは、声の主が誰なのか尋ね、イネスは答える。 だが、イネスは心をいためていた。 いや、イネスだけでは無い。 アキトの部屋にいる全員が、イネスと同じ気分である。 そうした中、ルリはヒイロに付き添われアキトのそばにくる。 「…アキトさん。」 「…ルリちゃんか?」 「はい。私です。」 「…ははは、心配かけてごめん。」 「いいんです。アキトさんが生きていてくれるだけで…。」 ルリはアキトと会話をしながら、涙を流していた。 アキトは、そんなルリの顔をなでて涙をふき取る。 このとき、イネスは驚いていた。 ルリがここにいる事に。 イネスだけではない、プロスと《ガンダムのパイロット》達以外全員が。 (なぜ、行方不明のルリ(君、さん、ちゃん)がここにいる)、と。 その中で、一番早く我に返ったアカツキがアキトに話し掛けた、軽い口調で。 「やぁ〜、テンカワ君。気分はどうだい?」 だがアキトは、その台詞でもアカツキはアキトの事を心配してくれているかがわかる。 だから、アカツキに返答した。 「…アカツキか。気分は…最悪だな。」 それはそうだろう、妻を目の前でさらわれ、挙句の果て自分の五感を失ってしまったのだから。 「そうか、すまない。」 アカツキは、アキトの気分を害したと思い珍しく素直に謝る。 だが、アキトは気にしたふうにも無くアカツキに懇願する。 「…アカツキ、俺は力がほしい。」 「力?何のための力だい。」 アカツキは、アキトが求めているのが何かは予想できてはいたが、あえて聞いた。 そして、アキトはアカツキの予想どうりの答えを返す。 「…ユリカを救うための力。…いや、あいつらに復讐する力が!!」 そんな、アキトの答えを聞いたルリは悲しそうな顔をする。 アカツキは、かつてナデシコで戦ったときのアキトとは、変わりかけている事を悟った。 だが、アカツキはまだアキトを説得しようと話し掛ける。 「だが、そんな事をして艦長やそこにいるルリ君は喜ぶとでも思っているのかい。」 「…俺は、ユリカを守れなかった。…そんな俺が、唯一あいつに出来る償いだ。」 アキトは自分を責めていた、ユリカを守れなかった事に。 あの状況では、アキト一人では何も出来ないことはわかってはいたが。 そして、話しつづける。 「…俺は彼女達の側にいる資格はない。」 「そんな事はありません。そんな事は…。」 ルリは泣きながら、アキトの答えを否定する。 「…だけど、俺は…。」 アキトは、語り出そうとしたがデュオにさえぎられる。 「それは違うんじゃないかい。」 聞きなれない声がしたので、アキトは声の主に聞く。 「…あなた、だれだ。」 「俺は、デュオ・マックスウェル。逃げも隠れもするが、うそは言わない、デュオ・マックスウェルだ。 あんたのことは、カトルから聞いている。」 「!!…カトルも来ているのか。」 「ここにいますよ。お久しぶりですね、アキトさん。結婚式以来ですか。」 「…ああ、久しぶりだね。元気そうで。」 アキトは、そういって微笑んだ。 デュオは、アキトに向かって思ったことを言う。 「おい、あんた本当にそんな事思っているのか。」 「…俺がいなければ、こんな事は…。」 「…おこる。」 アキトの反論をさえぎり、トロワは事実を言う。 「たとえ、ミスマル・ユリカがお前に出会ってなくても事はおこる。」 「…あんたは?」 また、アキトは自分が知らない人が話してきたので名前を聞く。 「アキトさん、こちらはトロワ。」 「トロワだ。」 カトルはアキトにトロワを紹介し、トロワも挨拶する。 「…なぜ、そう言える。」 「狙われたのは、《A級ジャンパー》の資格を持っているものばかりだ。」 「…そうかもしれない。でも、俺はあいつを守って…。」 「とられたら、取り返せばいいだろ。」 トロワの意見に、アキトは反論しようとしてデュオにさえぎられる。 「それに、あんたの妻は”あんた”に助けてもらいたいはずだしな。」 「そうですよ、アキトさん。」 デュオの意見に、ルリは肯定する。 「…だけど、俺は…。」 アキトはまだなにか言いたいことがあったか、今まで沈黙を続けていたヒイロがアキトに質問する。 「一つ聞こう。復讐が終わった後はどうするつもりだ。」 アキトは、また聞きなれない声がしたのでヒイロの事を聞く。 「…だれだ、あなた。」 ルリは、アキトにヒイロの事を紹介する。 「アキトさん、この方はヒイロさん。私の危機を救ってくれた人です。」 そういって、ルリははにかむ。 「…そうか。ありがとう。」 「礼はいい。もう一回聞く、復讐が終わった後どうするつもりだ。」 「…俺は、二人、いやみんなの前から消える。」 「「「「「「アキト(テンカワ)((((さん))))((君))。」」」」」」 ヒイロの問いに、アキトは自分の思いを言い、ヒイロ・デュオ・トロワ以外の全員が驚く。 そして、ヒイロは続ける。 「そうか。なら…。」 「…なら、どうする。」 ヒイロが何をするのか疑問に思ったアキトは、ヒイロに返す。 「…お前を殺す。」 「「「「ヒイロ(さん)」」」」 そう言って、アキトに向かって銃を構える。 ルリ、デュオ、カトル、トロワはヒイロの言葉に驚く。 そんな彼らを無視し、ヒイロは話を続ける。 「お前が、ルリの前からいなくなってからのこいつの気持ちを考えた事があるのか。」 「…それは…。」 「それにこいつはこう言っていた。どんな姿になっていてもお前はお前だとな。」 「!!」 ヒイロの問いに何も答えられないアキト。 ルリはヒイロとアキトのやり取りに、(ヒイロさんて、本当に不器用なんですから。)と心に思っていたりする。 そして、アキトは気づく。 ルリを傷つけた事に。 (俺は、こんな姿になっても家族と言ってくれたあの子を傷つけてしまった。) そんなアキトの後悔の念を察したのか、ヒイロはカトルに目で合図を送り構えをとく。 その合図に気づいたカトルは、アキトに向かって自分がかつて過ちを犯した事を語った。 その話を聞いていたルリは、カトルが《ガンダムのパイロット》だと気づく。 カトルの話が終わった後、アキトは黙って考えた。 (俺は、俺の体をこんな風にしたあいつらがにくい。 しかし、ユリカや、ルリちゃん、いやみんなを悲しませるわけには…。 でも…取り戻せるのか、あの生活を。五感が失った俺に…。) アキトが、思考のループにしばらくはまっていると、トロワが助言するようにアキトに話す。 「力を求める事は悪くない。だが、それだけの覚悟があるのならばな。」 「…覚悟?」 アキトは、トロワが何が言いたいのか判らず聞き返す。 トロワはそのまま続ける。 「ああ、覚悟の無い者は自らの力に溺れ、自分を見失い、そして自滅する。」 「!!」 アキトはトロワの言った言葉で気づいた。すでに、自分を見失っている事に。 そんな彼らのやり取りに、ネルガルの重役達は安堵する。 「どうやら、なんとかなりそうだね。テンカワ君。」 「…ええ、カトル君とそのお友達のおかげね。」 アカツキのつぶやきに、エリナが相槌をうつ。 「そうね、私達だけでは彼の説得は出来なかったわ。」 「そうですねぇ。彼らは相当な修羅場を潜り抜けているようですし。」 「だが、彼が力を求めるのは間違い無いぞ。」 「…力を求める事は問題無い。問題は、彼が力を求める時の気持ちだ。」 イネスは、エリナのつぶやきを肯定し、プロスは彼らの感想を漏らす。 ゴートは、アキトが力を求めることに危機感を抱き、元一郎はゴートの意見を否定する。 しばらくして、アキトは意を決し、アカツキとカトルに話す。 「アカツキ、カトル、俺に力をくれ。」 「何のための力だい。」 さっきの言葉に含まれる気持ちと違う事に感じたアカツキはアキトにあえて聞く。 「…俺は、あいつらが憎い。それは変わらない。だけど…。」 「だけど…。」 「俺はユリカを助けたい!!俺は、あいつの事が好きだから、愛しているから。」 アキトの答えに幾分満足したような表情で、カトルはアキトに条件を示す。 「一つだけ条件があります。」 「…条件?」 「ええ、”全てが終わったときあなたの仲間の前に必ず戻ってくる事”この条件を呑むのであれば。」 カトルの条件に、しばらく考えてアキトは答える。 「…判った、その条件を呑もう。よろしく頼む。」 「判りました。詳しい話は明日話しましょう。」 そして、アキトはルリに話す。 「ルリちゃん、心配かけてごめん。俺、必ず戻ってくるから。」 「絶対ですよ、私待っています。待っていますから。」 「ああ、約束するよ。」 そういって、ルリは笑顔で返す。 だが、この時すでにアキトに対して恋心が喪失している事にルリは気づかなかった。 恋心がヒイロに傾いている事に。 「アキト君、今日はもう休みなさい。まだ、身体が本調子では無いのだから。」 「ええ、そうさせてもらいます。おやすみなさい、イネスさん。」 「お休み、アキト君。」 そういって、アキトは再び眠りにつく。 それを合図に、全員がアキトの部屋を出ていく。 そうした中、ルリはヒイロに礼を言う。 「アキトさんの事、ありがとうございます。」 「…俺は別に何もしていないが。」 何の事かわからなかったのか、ヒイロはそういって答える。 ルリは何も言わず微笑んでいた。 ヒイロもルリの顔を見て微笑む。 〜AC196/8 極東地区:シナガワシティー・ネルガル特別病院(喫茶室)〜 アキトの病室からでたヒイロ達は喫茶室に入った。 そして、全員がウェイトレスに注文を終えた時、アカツキが話し出した。 「ところで、何故ここにルリ君が入るんだい?行方不明だって聞いたんだけど。」 「そうそう、私も聞きたいわ。」 エリナも、アカツキの言葉に相打ちを打つ。 ルリは昨日、自分の身に起こった事を彼らに話した。 ルリが全てを話し終えたとき、アカツキはヒイロに礼を言う。ついでに、からかう事も。 「ヒイロ君、君がルリ君を守ってくれてありがとう。うちも、彼女の護衛に何人かSSを付けていたんだが…。」 「気にするな、偶然だ。」 「…偶然って割には、自分の家に連れ込んで一緒に…。」 寝るとわね〜と、続けようとしたとき、アカツキの顔の側に何かが飛んできた。 そして、それは壁に刺さる。 それは、テーブルの上にあったフォークだった。 ついでに、アカツキの髪の毛数本が切れて床に落ちた。 「…ヒイロさん?」 「…手元が狂った。」 「そうですか。」 それ以上、ルリは何も言わない。 どうやら、ヒイロの行動を容認したようである。 そらそうだ、自分もからかわれる事がわかっているから。 そして、やられた本人は青ざめた顔でデュオに話し掛ける。 「…君の友達って、過激じゃないかい?」 「一つ言っておくぜ。あいつをからかうのは命を捨てるようなものだ。」 「そうですか。」 そう、デュオに言われてアカツキは黙りこくる。 それと同じに、ルリはイネスに質問する。 「イネスさん、質問があるんですけど…。」 「何、ルリちゃん。」 「イネスさん。あんた死んだんじゃなかったの?」 「…何でって、失礼しちゃうわね。」 ルリが疑問に思うのも無理はない。 アキト達がさらわれた数日後、彼女は死んだと報道されていたから。 そうした中、いつのまにか復活したアカツキが話そうとする。 「それは、僕から説明…。」 「カモフラージュだ。」 アカツキが話し終わらないうちに、ヒイロがルリに答えを言う。 「カモフラージュですか?」 「ああ、彼女も《A級ジャンパー》だからな。」 「…そう言う事ですか。」 「ああ、そうだ。」 アカツキが、滝涙を流して固まっているが、彼を無視してヒイロとルリは話を進める。 そんな二人を見ていた、ネルガル美女二人はひそひそと話をしている。 「ねぇ、ドクター。あの子達、妙に仲良くない。」 「そうね。…でも、その事をルリちゃん聞くのは…愚問よ。」 「…どうして。」 「そこの、落ち目のスケコマシの二の舞になるだけよ。」 そう、イネスに脅されてエリナは青ざめる。 しばらくして、コーヒーが全員に行き渡ってから本題に入る。 「皆さん、これからの事を打ち合わせしたいと思います。」 そうカトルが言ってから、密談が始まる。 「まずは、アキト君ね。」 「そうだね、力を貸すって言った以上は、ね。」 エリナの言葉に、アカツキが相槌をうつ。 「ドクター、あれの状況は。」 「あと、一年くらいかかるわね。正パイロットがいて、テストも含めてだけど。」 「あれを、テンカワ君に与えようと思うんだけど。」 「アキト君に?…今の身体じゃ無理よ、普通の状態でも。鍛えない事には、無理ね。」 「なら、決まりだ。月臣君、テンカワ君の修行を頼むよ。」 「私に、彼を…わかりました、お引き受けしましょう。」 アカツキはイネスに問い、イネスはアカツキの問いに答える。 そして、イネスから全ての答えを聞いたアカツキは元一郎にアキトの修行を頼み、元一郎は承諾する。 ところが、ゴートがもっともな疑問をアカツキに言う。 「ですが会長。あれをどこに隠すのです。彼の修行も、秘密裏に行わないと…。」 「僕のところでやりましょう。」 ゴートの質問に、アカツキではなくカトルが答える。 「僕のところでやれば、隠蔽工作が楽ですから。」 「よろしいのですか。」 「気にしないでください。友人に力を貸すだけですから。」 ゴートの心配をよそに、カトルは笑って答える。 「まあ、たしかにそれが妥当の線だな。」 「ああ、そうだな。なんたってL4コロニーはカトルの所有物だしな。」 トロワの肯きに、デュオは同意する。 「じゃあ、L4コロニーに向かうのは、カトル君とアキト君と月臣君と私ね。」 そういって、イネスは言うがカトルは一人付け足す。 「後一人、デュオにもついてきてもらいます。」 「俺が?なんで?」 と、デュオは疑問に思う。 「俺は、てっきりNSSの手伝いかと思っていたんだが。」 「アキトさんの、機動兵器の修行相手ですよ。」 「…なんでまた、俺なんだ。」 「僕はコロニーの会議とかで忙しいですし、トロワには各地へ行ってもらい情報を集めてもらいますから。」 「ヒイロは?」 「ヒイロは、ルリさんの護衛ですよ。それに、仲がいいみたいですし。」 そういって笑うカトル。 デュオは、頭をかきながら話す。 「へいへい、わかりやしたよ。…でも、あのお姫さんがこの事を知ったら…。」 「…なんか言ったかデュオ。」 デュオのつぶやきに、鋭く睨むヒイロ。 「いえ、何でもございません。」 そう、二人がやり取りしているのを見ながら、 (デュオ、リリーナさんはすでに知っていますよ。)と思っていたりする。 そうした中、アキトの事から話がずれ始めたので、プロスは話題を変える。 「さて、次ぎにいきたいとおもうのですが。」 「クリムゾンと草壁派の話ね。」 「ええ、そうです。」 エリナが相槌をいれ、プロスは肯く。 「今のところ、現状維持ってところだね〜。」 「そうね、明らかに情報が不足しているわ。クリムゾンも草壁派も尻尾をなかなか出さないしね。」 アカツキの答えに、イネスも苦々しく思いながらも肯定する。 それに、珍しくヒイロが話しに加わる。 「ああ、そのほうが都合が良い。」 「…都合が良いって、どう言う意味だい?」 ヒイロの言葉に興味を持ったアカツキが質問する。 他全員もヒイロを直視している。 そして、ヒイロは言う。 「…統合軍の四割が草壁派の人間だ。」 「「「「!!」」」」 トロワ、カトル、アカツキ、プロスはヒイロの意図に気づく。 「まさか、ヒイロ。」 「ああ、そのまさかだ。奴らに謀反を起こさせる。」 「…あえて奴らに蜂起させ、一掃する、か。見事な戦略眼だな。」 「ついでに、統合軍もスキャンダルで評判が落ちる、だね。」 「うまくいきますと、統合軍を解散させる事が出来ますな。」 「ああ、そのとうりだ。」 彼らは、ヒイロの意図を確認し、ヒイロは肯定する。 完全平和主義を掲げる世界でもっとも不要な組織、統合軍。 その組織を潰すために、あえて蜂起させるとヒイロは言った。 「下手に証拠をつきつけても、トカゲの尻尾きりが目に見えているもんなぁ〜。」 デュオはそうつぶやく。 「そうね、謀反を起こさせれば責任問題で一掃出来るわね。」 「…肉を切って、骨を絶つ…か、見事なものだ。」 そう言って、イネスとゴートもヒイロの考えに同意する。 「…現在、奴らの拠点は地球上で約十数個所…。」 「宇宙では、《ウワツツ》、《シラヒメ》、《タカマガ》、《ホスセリ》、 そして現在建造中の《アマテラス》の五個所です。」 元一郎とエリナが、現在のクリムゾンと草壁派の拠点を答える。 「…そして、その中のどこかに残りのジャンパー達が入るってことだね。」 「…分散されているかもしれませんが、そうです。」 「なら、決まりだ。僕達は地球上を掃除しよう。」 「それが、妥当ですな。」 アカツキの問いに、元一郎が答え、アカツキは結論を言い、プロスが肯定する。 「その過程で、艦長を救えたらなお良いね。」 「…そうね。」 アカツキのおどけた言葉に、イネスは珍しく素直に答える。 「…話がまとまったところで、会長!仕事に戻ってください!!」 「…わかった。」 そういって、アカツキはプロスに言われて喫茶室を出て行く。 そして、プロス以外のネルガル重役達も続いて出ていく。 で、残ったメンバーは談笑を始める。 「挨拶が遅れてすみません。それにしても、お久しぶりですねカトルさん。」 「気にしないでください。でも、本当に久しぶりですね、ルリさん。」 ルリはカトルに挨拶をしていなかった事に気づき挨拶する。 カトルもルリに挨拶を返す。 「でも、カトルさんがヒイロさんの友達だったのは驚きました。」 「ははは、彼そう言う話しませんから。」 二人が話している話題の主は、無言で二杯目のコーヒーを飲んでいる。 「そして、ガンダムのパイロットである事も…。」 「さっきの、アキトさんとの話しでバレちゃいましたか。」 「ええ。ところであの人は誰ですか。」 「あ、彼はトロワですよ。」 「トロワだ。」 「こちらこそ初めまして、ホシノ・ルリです。」 ついでに、トロワと自己紹介する。 「ところで、ヒイロ。」 「…なんだ。」 「彼女といつ知り合ったんだ。」 トロワがヒイロに質問する。 「ああ、昨日の夕方、デキムの一味が俺を襲ってきた。」 「奴らの一味が?」 「ああ、奴らはガンダムをほしがっていた。」 「それでか。」 「そうだ。そして、奴らを叩きのめした後通信が聞こえた。」 「…別部隊か?」 「そのとうりだ。それで俺はそこに向かった。」 「そこに、嬢ちゃんがいたわけだ。」 「そうです。」 ヒイロの話に、カトルとトロワが相槌を入れデュオがルリに話を振りルリが答える。 「でも、わからねえな。なんで、ヒイロの家に泊まったんだ。」 「…私が、わがままを言ったんです。」 「わりぃ、そんなつもりは無かったんだ。ただ…。」 「ただ、何だ?」 「…いえ、何でもございません。」 デュオの問いに、ルリは顔を伏せて答える。 ルリの行動に、罪悪感を感じたのかデュオは彼女に謝る。 そして、ヒイロをからかおうと思ったが、睨みつけられ沈黙する。 「それにしても、一週間前とは雰囲気が変わりましたな、ルリさん。」 「ええ、ヒイロさんのおかげです。」 プロスの問いに、そういってルリは微笑む。 「変わった、と言えばヒイロもだな。」 「そうですね。」 「ああ、俺と始めてあったときとはえらい違いだ。」 そう言って、トロワ、カトル、デュオの順に今のヒイロと比べる。 話題の主は、無関心で三杯目のコーヒーを飲んでいる。 堕天使と妖精は、仲間達と至福の時間を過ごす。 〈後書〉 TOM-X :「どうも、ご無沙汰しております。TOM-Xです。」 ルリ :「お久しぶりです、ホシノ・ルリです。」 ヒイロ :「久しぶりだな、ヒイロ・ユイだ。」 ルリ :「ところで、今回も構想部分が終わりませんでしたね。」 TOM-X :「思った以上に長くなってしまった。(爆)」 ヒイロ :「それでも、次回で考えていた部分が終わりそうだな。」 TOM-X :「ああ、ルリをミナトの家にちゃんと送るつもりだ。」 ルリ :「でも、何でこんなに長くなったんですか?」 TOM-X :「…アキトが、意外と頑固者だったもんだからなぁ〜。」 ルリ :「しかし、これではアキトさん、無関係な人巻き込む可能性があるのでは?」 TOM-X :「その点は、考えてある。彼らをパートナーにした時点でね。」 ヒイロ :「確かに、あいつらに任せておけば、その点は大丈夫だな。」 ルリ :「では、前回の内容のネタバレいきますか。」 ヒイロ :「そうだな。」 ルリ :「まず、トロワさんの事なんですけど…。」 TOM-X :「あのネタは、ちゃんとした理由がある。ヒイロ頼む。」 ヒイロ :「わかった。まず姉弟の断定…原作ではされていない。」 ルリ :「では、嘘ですか。」 ヒイロ :「断定は嘘になるのか。だが、確証は八割を超える。」 ルリ :「あの、わかんないんですけど…。」 TOM-X :「早い話、姉妹とはわかっていないが、ほぼ確実なんだな。」 ルリ :「でも、TV版やOVA版・劇場版ですと、そう言った描写が無いですよね。」 ヒイロ :「もともとは、TV版に入る予定だった。」 TOM-X :「だが、脚本家の途中離脱とか、スケジュールの調整とかで…。」 ルリ :「没になったと、言う訳ですか。」 ヒイロ :「そのとうりだ。」 TOM-X :「んで、単行本『新機動戦記ガンダムW EPISODE ZERO』に没ネタがかかれている。」 ヒイロ :「その中にある一文に、『DNA鑑定もすれば〜』がある。」 ルリ :「で、プロスさんに調べてもらったわけですね。」 TOM-X :「そのとうり。」 ルリ :「そういうことですか。では次ぎに…。」 ヒイロ :「あの台詞のツッコミ多かったな。」 TOM-X :「ああ、予想以上だ。私自身トロワのことでくると思ったからな。」 ルリ :「でも、狙っていたんでしょ。」 TOM-X :「もちろん。(笑)」 ルリ :「で、共通点は?」 TOM-X :「某バスケブームに火をつけた漫画に出てくる凄腕の無口なプレイヤーと…。」 ヒイロ :「声が似ているからだ。」 TOM-X :「うっ、私の台詞を…まあ、性格も似ていたもんだから。(汗)」 ルリ :「なるほど、そう言う事ですか。」 ヒイロ :「だが、原作に比べて俺の性格が丸くなっているといわれるが…。」 TOM-X :「それは、ドラマCD『新起動戦記ガンダムW BLIND TARGET』の前半部分を参考にしている。」 ルリ :「確かにあの話は、ヒイロさんの性格丸いですよね。」 ヒイロ :「で、これからの俺の性格どうなるんだ…。」 TOM-X :「現段階では、何もいえん。」 ヒイロ :「そうか。」 ルリ :「ところで、あの作品の没ネタって、これからも入れていくつもりですか。」 TOM-X :「ああ、出来る限りな。」 ヒイロ :「そう言えば、結構注文も来ているな。」 TOM-X :「お前と外道の戦いが見たいと言う方が多いな。」 ルリ :「で、どうするんです。」 TOM-X :「出来る限り、善処する。プロットを壊さない限りは。」 ヒイロ :「現時点で登場していない人物にも出してくれって言われているな。」 TOM-X :「…メインキャラは全員出すつもりなんだが…。」 ルリ :「が、何です。」 TOM-X :「今、第一部なんだよね。」 ヒイロ :「つまり、彼らが出てくるのは第二部以後か。」 TOM-X :「そう言う事。」 ルリ :「ラピスは、いつ出すのです。これも結構多いんですけど。」 TOM-X :「話がずれたからな、ちょっと遅くなるが第一部で出す。」 ルリ :「絶対にですか。」 TOM-X :「というより、プロット上第一部のキャラなんだよ、ラピスは。」 ヒイロ :「だいぶ長くなったな。終わりにするか。」 ルリ :「そうですね。」 TOM-X :「えっと、これからも、作品ないに遊び心を入れるつもりですので、ツッコミ待っています。」 ヒイロ&ルリ :「それでは、次回をお楽しみに。」 |
代理人の感想
・・・・・・・・・ヒイロってこ〜ゆ〜性格だったかなぁ(爆)。
原作に比べるとかなりひょうきんになってるような気がするのは私だけでしょうか(爆笑)?