-堕天使と妖精の物語- TOM-X ACT5:堕天使と妖精のつかの間の安息
〜AC196/8 極東地区:シナガワシティー・ネルガル特別病院(喫茶室)〜
ヒイロとルリは、仲間達との談笑を楽しんでいた。 「…時間か。悪いな、俺は仕事に戻る。」 コーヒーを飲み終わったトロワはそう言って席を立つ。 「キャスリンさんにもよろしくと伝えておいてください。」 「おう、またな。」 「トロワさん、またお会いしましょう。」 「ああ。」 「トロワさん、では、また今度。」 カトル、デュオ、ルリ、ヒイロ、プロスの順でトロワに挨拶をする。 「ああ、何かわかったら連絡する。」 そう言って、トロワは喫茶室から出ていった。 トロワの姿が見えなくなった後、一時間ぐらいたってからヒイロがルリに尋ねる。 「そろそろ、帰るか。」 「そうですね、ミナトさんもさすがに心配しているでしょうから。」 ヒイロの問いに、ルリは肯定する。 「カトル、デュオ、プロス、悪いが俺達も帰る。」 「カトルさん、デュオさん、プロスさん、アキトさんの事よろしくお願いします。」 そう言って二人は席を立った。 「ヒイロさん、ルリさんをよろしく頼みましたよ。」 「おう、ヒイロまたな。」 「ヒイロ、何かあったら連絡します。」 そういって三人はヒイロとルリに挨拶を返す。 「ああ、わかった。」 「皆さん、さようなら。」 そう言ってヒイロとルリは喫茶室を出ていった。 二人の姿が見えなくなってからデュオはポツリと一言つぶやいた。 「…にしても、お二人さん、お似合いだったな。」 「…そうですね、ちょっと妬けますが。」 デュオのつぶやきに、カトルは自分の気持ちをつぶやいた。 デュオはカトルのつぶやきを聞き逃さなかった。 「…おまえ、まさか…。」 「…一目ぼれって言うやつですか。」 そういって、カトルはあっさり肯定する。 だが、カトルは微笑んでいた。 「…いいのか?」 「いいんですよ。僕じゃ、ルリさんを幸せには出来ませんから。」 「そうか。」 デュオの問いに、カトルはそう言って答え二杯目のコーヒーを飲む。 プロスは、二人の会話を微笑みながら聞いていた。 「お二方、そろそろ私達もでますか。」 プロスの問いに、二人は肯いて席を立った。
〜AC196/8 極東地区:中国大陸・山奥〜
同じころ、中国大陸の山奥に一体のモビルスーツが立っていた。 そのモビルスーツは《アルトロンガンダム》と呼ばれるもの、先のEVE・WARSの五機のガンダムの一体だった。 その目の前に、一人の人物が立っていた。 その人物は《張五飛》、アルトロンガンダムのパイロットだ。 五飛は、アルトロンガンダムに向かいながら独り言をつぶやいていた。 「ナタク、叱ってくれ。俺は、いまだに迷いの中から抜け出す事ができずにいる。」 そう言って、五飛の独白が続く。 「戦争は終わった。 だが、俺は結局トレーズを倒す事が出来なかった。 それが、奴の望んだ結末だ。 奴は俺に何を言いたかったのか。 …それに、戦いは本当に終わったのか。 ならば何故、未だに宇宙には不穏な気配が漂っている。 俺達の力がまた必要になるからではないのか。 ……答えてはくれぬのだな、ナタク。 わかっている、答えは俺が己で見つけなくてはならない。」 そう言って、五飛はその場所を離れた。 アルトロンガンダムは静かに立っていた。
〜AC196/8 極東地区:シナガワシティー〜オオイソシティー間(高速道路)〜
一台の車が走っている。 その車には、先程ネルガル特別病院にいた二人、ヒイロとルリが乗っていた。 二人の表情は、病院に行ったときと比べて幾分明るくなっていた。 不意に、ルリが話し掛けた。 「ヒイロさん、ヒイロさんの友達って面白い方ばかりですね。」 「…君に、言われたくないぞ。」 そう言って、ヒイロはあさっての方向に顔を向ける。 ルリは笑っている。 ヒイロもつられて笑う。 「ところで、昨日家に連絡したのか?」 「ええ、しました。」 「そうか、ならいい。」 ヒイロはミナトに連絡したか確認し、ルリは答える。 ルリは考え事をしていた。 (ミナトさんにでも頼んでみようかな、ヒイロさんも居候できるかって。) ルリはわからなかった、その考えがヒイロのためなのか、それとも自分のためなのか。 ルリは思っていた。 ヒイロにも家族のぬくもりを教えたいと。 ただ、心の奥底にヒイロと一緒にいたいという気持ちも芽生えていた。 そして、ルリはその考えが恥ずかしいかったのか顔を下に向ける。 ルリの表情は赤面していた。 そんなルリの行動に疑問に思ったのか、ヒイロは尋ねる。 「大丈夫か?」 「な、何でも有りません。」 「そうか、ならいい。」 ルリはヒイロの問いに、ドモリながらも答える。 ヒイロは、不思議に思ったがそれ以上尋ねなかった。 二人の間には、奇妙な空気が支配していた。
〜AC196/8 極東地区:シナガワシティー・サーカス劇場〜
トロワはネルガル特別病院から帰ってきていた。 トロワを見つけた、キャスリンが話し掛ける。 「トロワ、お帰りなさい。」 「ただいま、キャスリン(姉さん)。」 トロワはそう言ってキャスリンに答える。 心の中では、姉といっている。 今はまだ、話すべきでは無いと思い口には出さないが。 「おお、トロワ帰っていたのか。」 「団長、今戻った。」 「おお、そうか。だったら準備、手伝ってくれ。」 「ああ、わかった。」 団長の呼びかけにトロワは答える。 どうやら、今日も繁盛しそうである。
〜AC196/8 極東地区:オオイソシティー・ハルカ・ミナト宅〜
よる七時ごろ、ヒイロとルリはミナトの家に着いた。 「…ただいま、ミナトさん。」 ルリの声を聞いた二人の住人、ミナトとユキナが奥から出てくる。 「ルリ、お帰り!!」 「ルリルリ、心配したんだよ。」 「…ごめんなさい。」 ユキナ、ミナトの言葉にルリは素直に謝る。 そうなルリをミナトは抱え込むように抱きつく。 そして、やさしく言葉をかける。 「いいのよ、あなたが無事だったんだから。」 そんな二人を微笑みながら眺めていたヒイロだが帰ろうとした瞬間、ユキナに声をかけられる。 「ところで、あんた誰?」 その問いにはルリが答える。 「この方はヒイロさんです。私の危ないところを助けていただきました。」 ルリの言葉を聞いた後、ミナトはヒイロに言葉をかける。 「私、ハルカ・ミナト。ヒイロ君ありがとう、この子を守ってくれて。」 「気にするな、偶然通りかかっただけだ。」 「…偶然ってわりには、一日中つれまわしてるんじゃない?」 ヒイロはミナトに答えて、ユキナがその答えにつっこむ。 ヒイロは内心(この女、デュオと同類か)などと思っていたりする。 「ユキナ!!失礼な事を言うもんじゃないよ。」 「だってぇ〜。」 ミナトの叱咤にユキナはうろたえる。 「…ところで、ルリルリ。昨日と雰囲気変わったわね。」 「そうですね、いろいろありましたから、丸一日。」 ミナトの問いに、ルリは微笑んで答える。 ミナトは内心(ヒイロ君がルリの心を癒したのね。)と思う。 「ヒイロ君、もし良かったら食事していかない。ここで立ち話っていうのもなんだし…。」 「…いや、俺は…。」 「それに、いろいろ聞きたいしね!!」 「ヒイロさん、私からもお願いします。」 「…もう一人、追加して良いか?」 さすがのヒイロも女性の中だけで男一人というのは、気が引けたようである。 ヒイロは断ろうと思ったが、ルリのお願いをさすがに断ることが出来なかった。 そして、ヒイロの意外な答えに疑問を持つ三人。 「…もう一人って、誰?」 「いつまで隠れているつもりか。」 「あ〜ら、ばれていたのね。」 ミナトの問いに、ヒイロは壁に向かって叫ぶ。 叫んだ方から、ひょっこり高杉三郎太が出てくる。 「あんた、三郎太じゃない。」 「三郎太?…ああ、秋山さんの副官をしていた人ね。」 「んで、なんで三郎太がここにいるの。」 「ああそれは、ルリさんとユキナちゃんの護衛だから。」 「…へ〜、ルリは知っていたの。」 「ええ、何回か助けてくれた人です。名前は聞いてませんけど。」 「ふ〜ん、じゃあ信頼できるわけね。いいわよ〜。」 「じゃ、お言葉に甘えてご馳走になります。」 ユキナが三郎太の名前を言い、ミナトはその言葉を聞いて思い出す。 それから、ユキナは何故三郎太がここにいるのか聞き、三郎太はあっさり答える。 そして、ルリの答えに納得したのかミナトは了承する。 「…それにしても、三郎太、性格百八十度変わったわね。」 「はっはっは…」 ユキナは三郎太の性格が昔と大きく変わった事をいい、三郎太は笑ってごまかす。 もっとも、三郎太の性格豹変の原因は、オオイソシティー潜入の際の参考資料からであるが…。 ルリは三郎太のことは気にせずに、ヒイロの腕に抱きつき家に促す。 「ヒイロさん、早くあがってください。」 「ああ、わかった。」 ヒイロは、ルリと一緒に家の中に入る。 ルリの笑顔を見た三人は、それぞれつぶやく。 「ルリ、三郎太のこと眼中に無いね。」 「…まっ、俺は仕事だからな〜、とほほ…。」 「…あのこ、本気ね。ふふふ、これからが楽しみだわ〜♪」 そして、三人も家の中に入る。
〜AC196/8 極東地区:シナガワシティー・高級レストラン〜
カトルは、有名な高級レストランに来ていた。 そのレストランは高層ビルの最上階に位置している。 カトルは窓際の二人がけのテーブルに座った。 すこし時間が過ぎたころ、リリーナがやってきた。 「ごめんなさい、カトル君。私が誘ったにもかかわらず遅れてしまって…。」 「気にしないでください、リリーナさん。僕も、今着たばかりですから。」 そういって、二人は挨拶を交わす。 「今日、ヒイロに会いました。もちろん、ルリさんにも。」 「そうですか、私は昨日通信でしか会話しませんでしたから…。 まさか、ヒイロが地球に来ているとは、思っても入なかったもので…。 カトル君はいつ知ったのです?」 「…あのシャトル事故の直後です、ヒイロから通信が来ましたから。」 「そうですか。」 二人は、いったん会話を中断しスープを口にする。 「それにしても、リリーナさん。強敵が現れましたね。」 「あら、カトル君もそう言う事いうのですか。」 カトルの爆弾発言にも、リリーナは笑顔で答える。 どうやら、仲間から散々からかわれて耐性ができていたようだ。 「…ところで、カトル君も彼女の事が好きなのでしょ?」 「…なぜ、わかったんですか。」 「ここに来る前、デュオから聞きましたから♪」 「…そうですか。(デュオ、楽しみにしてくださいよ。仕返しを…。)」 さっきの仕返しとばかりに、リリーナがカトルに向かって微笑みながら爆弾を返す。 ものの見事に、爆発したカトルは理由をきき、話した主に復讐を誓う。 二人は、スープを飲み終わって、前菜を口にする。 「それにしても、あの二人なかなかお似合いでしたね。」 「そうですね。」 「リリーナさん、よろしいのですか、ヒイロの事?」 「ええ、彼が決める事ですから。それに、彼とは育った環境が違いますから。」 「そうですか。」 「…ところで、カトル君はよろしいの。」 「ええ、同じ理由で。」 「そう、彼らに比べて私達は幸せだったかもしれませんね。」 「ええ、そうですね。」 「そして、あの二人には見えない絆がありますからね。」 「ええ。」 そういって、いつのまにか食べ終わっていた前菜が片付けられ、メインディッシュが並べられる。 「…ところで、カトル君。」 「はい、何でしょう。」 リリーナの低い声の問いに、多少恐れを抱きながらも問い返すカトル。 「何か、たくらんでいるでしょ。」 「…ばれていましたか。」 「まったく平和主義を掲げている人が、と言いたいんですけど…。」 「え、見とめてくれるんですか。」 「状況が状況ですから、それに…。」 「それに…。」 「あの、統合軍(お荷物)をなくすチャンスに利用させてもらいますから♪」 「…(さすが、女王。抜け目が無い…。)」 リリーナの不気味な微笑みに恐れを抱くカトル。 「もっとも、草壁春樹が話し合いに応じる相手ではない事は証明されてますからね。」 「…そうですね。話し合いに応じる人でしたら、あんな悲劇はおきませんからね。」 「それに、ロバート・クリムゾンも裏で何かしていますから。」 「そうですね。…ところでその情報は?」 「…プリベンターからです。」 「そうですか。」 「やっと、手に入れた平和ですのに…。」 「…世の中には、自分が支配者ではないと気がすまない人がいるんですよ、悲しい事に…。」 「…そうですね。」 その後、しばらく無言で食事をする二人。 そして、メインを食べ終わった後再び話し出す。 「コロニーとの関係は?」 「例のコロニー以外は順調に関係が回復しています、カトル君のおかげで。」 「…木連は?」 「表向きは、ですね。」 「…やはり、重要なポストについている何人かは…。」 「ええ、草壁派の人達です。」 「その方たちが、妨害しているわけですね。」 「ええ。」 「…大丈夫ですか。」 「ええ、心配はいりませんよ。あなたのほうこそ、かなり無茶なことをするんですから…。」 「ええ、わかっています。」 そういって、二人はデザートを口にする。 「でも、リリーナさん変わりましたね。」 「…そうでしょうか。」 「そうですよ、昔のあなたならこんな行為許さないはずですから。」 「…言われてみれば、そうですね。でも、考えまでは変わっていませんよ。」 「ええ、そうでしょうね。」 「本当は、話し合いで解決できればと思っているんですが…。」 「今回ばかりは、そうも言っていられないと…。」 「そうです。あんな行為をしているのに、そんな甘い事はいってられませんから。」 「…そうですね。」 リリーナ自身、プリベンターの報告を読むまでは草壁と話し合いで解決しようと考えていた。 だが、その報告を読むうちに草壁派が行っている非人道的人体実験を知り断念した。 リリーナの顔には苦悩の色が浮かぶ。 カトルは、そんなリリーナの苦悩が手に取るようにわかる。 カトル自身、争い事は好きではない。 だから、出来るだけ話し合いだけで解決しようとするリリーナの考えに同意している。 争い事は最終手段として。 「…ご馳走様、リリーナさん。」 「いえ、お粗末様でした、カトル君。」 「では、行きましょうか。」 「そうですね。」 そういって、二人は席を立った。
〜AC196/8 極東地区:オオイソシティー・ハルカ・ミナト宅〜
ミナト宅では食事は終わっていた。 ユキナは自室に戻り、学校の宿題をしている。 そして、ヒイロと三郎太は縁側に座っていた。 そして、三郎太がヒイロに話し掛ける。 「そういや、あんたに礼を言っていなかったな。ありがとう、あのこを助けてくれて…。」 「…偶然だ。それに、バートン財団とは個人的にも因縁が有る。」 「そうか。それにしても、君が《ガンダム》のパイロットだとは…。」 「…誰から聞いた。」 「情報部の部長のきっつい姉さんから。」 「そうか、他の人間には話すな。」 「ああ、わかった。…ということは、あの時あんたも狙われていたわけか?」 「ああ、それでそいつらを倒した後通信が聞こえて、あの場所へ向かった。」 「そしたら、やつらに襲われているルリちゃんを見つけたわけだ。」 「ああ、そのとうりだ。」 「…にしても、やっぱりあんたがあのこを救ったんだよ、あのこの心を。」 「…心?」 「ああ、あのこはあの事件で心に深い傷をおったんだ。」 「あの事故か…。」 「だが、今日あの子を見ると完全に吹っ切れている。」 「俺は別に何もしていないが?」 三郎太はヒイロにルリの事で礼を言う。 ヒイロはそんな事はどうでもいいという感じに答える。 それで、事の顛末を三郎太に話す。 自分が《ガンダム》のパイロットを他人に話すなと忠告する。 だが、三郎太はルリの心を救ったことを指摘する。 ヒイロは、三郎太が何を言っているのかわからなかった。 そんなヒイロを見た三郎太は、(こいつ、鈍感なのか?)と内心思う。 後片付けが終わったミナトは、別の部屋でルリと会話している。 「それにしても、ルリルリ明るくなったわね、昨日とは月とスッポンぐらいに。」 「…いろいろありましたから、はは。」 「ヒイロ君と出会ってから?」 「…はい、ヒイロさんから話を聞いて思ったんです。」 「…どんな風に?」 「昨日まで、私は不幸なヒロインだと思っていたんです。でも、違った。 あの人の話を聞いて、私はいままで甘ったれていたんだと痛感しました。」 「そう。…もしかして、ヒイロ君って…。」 「ヒイロさんも、親はいません。」 「そうなんだぁ〜。」 「そして、私と違って家族のぬくもりを知りません。」 「ふ〜ん。で、ルリルリはどうしたいわけ?」 「え、私は…あの人に私と同じように家族のぬくもりを教えたい…。」 「だから、ヒイロ君もうちに居候させたいってわけね。」 「…どうしてわかったんです?」 「ははは、ルリルリは顔に出るからね♪」 「………。」 ミナトはルリの印象が変わった事を本人から聞き、ルリは素直に答える。 そして、自分が思っていたことをミナトに言われて顔が真っ赤になる。 ミナトは、そんなルリが可愛かったのか微笑んで承諾する。 「いいわよ〜♪」 「へ、いいんですか?」 「ええ、ただし本人が許可すればだけどね!」 「ありがとうございます!!」 「礼はいいわ。それに、あなたが彼を見る目…。」 「えっ?」 「恋する乙女モードになっているんですもの♪」 「み、ミナトさん。」 「あ〜ら、ルリルリ顔真っ赤だよ。」 「………。」 「じゃ、早速本人に許可をもらわなきゃね。」 「…はい。」 そういって、二人はヒイロ達がいる方へ向かう。 「あの、ヒイロ君、話があるんだけど、ちょっと良い。」 「別にかまわんが、なんだ。」 「ルリから、あなたの事聞いたんだけど、あなた一人暮しのようね。」 「ああ、そうだが、それが。」 「うち、部屋が余っているの、もし良ければうちに居候しない?」 ヒイロはその問いかけにのろうかと考えた。 (ここに居候すれば、ルリを奴らの襲撃を四六時中守れるな…。 …だが、ここは女性だけだろ…。 さすがに、俺だけ居候すればあいつらが何を言うかわからん、特にデュオが…。) ヒイロ自身、ルリを守るためには一緒にいたほうが守りやすいと考えた。 だが、あいつら特にデュオにからかわれるのが我慢できなかった。 そんな、考えが堂堂巡りする。 「…ヒイロさん、だめですか。」 ルリのお願いに、ヒイロは条件をつける。 「ミナトといったな、空いている部屋はいくつだ。」 「そ〜ね、三つあいているわね。」 「なら、こいつも一緒で良いか?」 「へ、俺?」 ヒイロの意外な提案に驚く三郎太。 そして、ヒイロは三郎太に耳打ちする。 「…一緒のほうが、彼女達を守りやすい。」 「なるほで、そういうこと。」 「そうだ。」 ヒイロの考えにあっさり納得する、三郎太。 ミナトは、その条件をあっさり認める。 「ええ、いいわよ。三郎太君のことは、秋山さんから聞いているし。」 「なら、世話になる。」 「ええ、こちらこそよろしく。ほら、ルリルリも。」 「え、はい。よろしくお願いしますね、ヒイロさん。」 「ああ、よろしく。」 「…俺は、だしだったのね。」 滝涙を流しながら、三郎太はつぶやく。 「…荷物はどうするの?」 「明日、こっちに持ってくる。」 「わかったわ。ルリ、ヒイロ君を部屋に案内して。」 「はい、ミナトさん。」 そういって、ヒイロはルリに付き添われて新しい自分の部屋に向かう。
そして、妖精は新しい家族を、堕天使は初めての家族を手に入れる。
〈後書〉 TOM-X :「毎度どうも、ご無沙汰しております。TOM-Xです。」 ルリ :「お久しぶりです、ホシノ・ルリです。」 ヒイロ :「久しぶりだな、ヒイロ・ユイだ。」 TOM-X :「やっと、考えていた構想が終わった。」 ルリ :「ほんと、長かったですね。」 ヒイロ :「と、言うより、こんだけの密度を一つにまとめる方が無理があると思うが?」 TOM-X :「…どうせ、文才無いですよ、私は。」 ルリ :「と、言うより、あの人達の個性を侮ったあなたが悪いと思いますが。」 ヒイロ :「確かに、あいつら自己主張激しいからな。」 ルリ :「では、いつもののコーナにいきますか。」 ヒイロ :「ああ、ところで、やっと出たな、あいつが。」 ルリ :「ええ、某ゲームで一度は敵にならないと気がすまないキャラですね。」 ヒイロ :「ああ、そしてほとんどの場合、撃墜されるからな。」 TOM-X :「特に、条件も無く仲間に加わる場合はな。」 ルリ :「哀れですね〜♪」 ヒイロ :「まあ、自業自得だがな。」 TOM-X :「実際、あいつはあいつなりに葛藤しているんだよ。 TV版やOVA版しかわからない人はわからんが…。」 ヒイロ :「あいつの心を知りたければ、トロワのネタで参考にした漫画や小説を見てもらえれば良いな。」 ルリ :「そうですね。」 ヒイロ :「次ぎに、カトルがルリに惹かれているな。」 TOM-X :「ああ、あれね。あれもトロワのネタで使ったやつから拾ってきた。」 ルリ :「では、それなりに理由があると。」 TOM-X :「今は秘密、後々書くことになると思うよ。」 ヒイロ :「そのわりには、リリーナとも仲が良いな。」 TOM-X :「まあ、同じような外交の仕事をしているし、年齢一緒だし…。」 ルリ :「それで、振られたものどうしをくっつけると、まるでやるドラ作品第一弾のサブキャラですね。」 TOM-X :「うっ、それは、その〜、はっはっは。」 ルリ :「…笑ってごまかす、図星ですね。」 ヒイロ :「ああ、図星だな。」 ルリ :「次ぎいきますか。」 ヒイロ :「そうだな。」 ルリ :「前回の事なんですけど、何故デュオさんをつれて行ったんです?」 TOM-X :「デュオをつれて行った理由は、アキトと一緒に行動しやすかったからな。」 ヒイロ :「あいつは、カトルと一緒で、世話焼きだからな。」 ルリ :「で、ヒイロさんは恩をあだで返したわけですね♪」 ヒイロ :「…なんのことかな?」 TOM-X :「それはおいといて、もう一つ理由がある。」 ルリ :「その理由は?」 TOM-X :「デュオ、と言うよりデスサイズ・ヘルの能力なんだけどな。」 ヒイロ :「ステルス機能か。」 TOM-X :「ご名答、彼らは隠密に行動しないといけないからな。」 ルリ :「なるほど、そう言う事ですか。」 ヒイロ :「話が変わるが、アキトの身体、あれは治るのか。」 TOM-X :「…治させるさ、いつ完治させれるかはわからんが。」 ルリ :「今の時点では?」 TOM-X :「イネスさんが方法を探している。ついでに、カトルが表裏関係無く優秀な医者を探している。」 ヒイロ :「という裏設定だな。」 TOM-X :「ああ、そのとうり。」 ルリ :「で、今の時点で第一話以外で出ていないキャラは、メグミさんに、パイロット三人娘に、 ホウメイガールズ、ウリバタケさん、ホウメイさん、ハーリー君、ラピスですか。」 ヒイロ :「こっちは、某赤い彗星の真似人にその恋人と、あいつをいさめる事が出きる唯一の人物、 金髪ダブル眉毛の高笑いね〜ちゃん、ぐらいか。」 TOM-X :「主人公サイドだとそうだな、出きるだけ早く出したいんだがな。」 ルリ :「…それにしても、まだ個性の強いお方が残っておられますね。」 ヒイロ :「…ほんとに収集がつくのか。」 TOM-X :「では最後に、今まで、感想を送ってくれた人、掲示板に感想を書いてくれた人ありがとう。 そして、今後もよろしくお願いします。 では、次回また会いましょう。」 ヒイロ&ルリ :「それでは、次回をお楽しみに。」 |