-堕天使と妖精の物語-

TOM-X           

ACT7:妖精の思いと堕天使の決意


〜AC196/12 オオイソシティー:ミナト家(ヒイロの部屋)〜

クリスマス・イヴ二週間前の夜遅く、ヒイロはカトルと通信をしていた。

『やあ、ヒイロ、久しぶり。』

「ああ、久しぶりだな、カトル。」

『…で、同居生活はどうですか?』

「いたって、平和だが。」

『…そうですか。』

カトルが聞きたかった答えとは違う返答をしたヒイロ。

ものの見事にあてが外れたようである。

「ところで、状況は」

『そうですね、アキトさんの能力はかなり上がっていますよ。すでに、僕は抜かれていますね。』

「きにするな、お前と違って俺達はモビルスーツの操縦だけでなく、身体も鍛えられたからな。」

『…そうですね。』

「それに、逆を言わせればお前にしか出来ない事がある、俺達に出来ない事がな。」

『ありがとう。…それにしても、本当に変わりましたね。前なら他人の事なんて考えていませんでしたから。』

「…自分でもつくづく思う、この家に居候してからだがな。」

そういってカトルはヒイロが変わった事を指摘する。

ヒイロも自分自身が昔と変わっている事を実感する。

「アキトの五感の方は?」

『味覚以外は、順調に回復してきています。ただ、味覚は…。』

「…治る見こみはあるのか?」

『イネス博士によれば、”人並み”には回復しますが…。』

「…料理人としては絶望的なのか?」

『博士は、相当の努力をしないと厳しいとは言いましたが、一応回復の見こみは有りますね。ただ…。』

「ただ、なんだ?」

『全てが終わるまでは、”料理人の味覚”のリハビリは無理ですね、時間的にも。』

「そうか、なら良い。あいつの悲しい顔を見なくてすむ。」

『あいつって、…ああ、ルリさんですね。』

アキトの状態を聞いて、安堵するヒイロ。

そんな彼を見ながら微笑むカトル。

「カトル、聞きたい事があるが…?」

『…何でしょう?』

「”クリスマス・イヴ”って何をするんだ。」

『え〜と〜、それはですね…。』

ヒイロの問いに、乾いた笑いを浮かべながらも答える。

ヒイロが聞くのも無理もない。

一般的な生活をまったくおくっていなかった彼は、そう言った世間の常識にうとかった。

…基本的な一般常識は身に付けてはいたが…。

ヒイロはカトルの答えをしっかりメモにとる。

そんなヒイロを見て、カトルも真剣に答えていた。

「…ふむふむ、それであいつに何を送れば良いと思う?」

『そうですね、腕時計なんかはどうでしょう?』

カトルは心の中で(結婚指輪は早すぎますね、一番喜ぶでしょうけど。)と付けたす。

「そうか、すまんなカトル。」

『いえいえ、どういたしまして。』

そういって、ヒイロはカトルに礼を言う。

「ああ、それから…。」

『まだ、何か?』

「リリーナの事、よろしく頼むぞ♪」

そういって、不気味に微笑むヒイロ。

『な、なぜ、あ、あなたまで…、デュオですね、…彼、まだ懲りていませんか。』

「…あいつからは何も言って来てないぞ。それに、送信ログを見ればわかるだろう。

俺やトロワと違ってあいつはログ消さないからな、信頼している場所だと。」

『…では、何故。』

「お前、自分の立場わかっているのか?テレビのワイドショーでいっせいに報道されているぞ。」

『…本当(マジ)ですか?』

「……事実だ。」

カトルは世間の情報を知らなかったようである。

そんな彼に呆れるヒイロ。

「…忙しかったのか?」

『…ええ、表が特に…。』

「そうか。」

『…それにしても、あなたがワイドショーなんて物を見ているとは…。』

「…俺は見ていない。ただ、家には他人の色恋沙汰に興味をもつやつが多いからな。」

『そうですか、…もしかしてヒイロも?』

「ああ、家で散々からかわれているぞ。もうなれたがな。」

『そうですか、お互い大変ですね。』

「ああ、まったくだ。」

そういって、二人は笑い出す。

「ただ、お前ならリリーナを幸せにできるなって思ったからな。」

『…ヒイロ?』

「俺には、あいつを幸せには出来ない。」

『何故です?第一リリーナさんは、あなたの事が…。』

「俺には、好きとか愛しているとかそういった感情がわからないんだ…。」

ヒイロの告白に黙って聞いているカトル。

「…昔だったら、俺の手は血に汚れているとか、そういった理由でごまかせたんだがな…。」

『今は違うと。』

「ああ、ルリに出会ってからか、あいつの側にいるとやすらぐんだ、気持ちが。リリーナと違ってな…。」

そういわれて、カトルは気づいた。

ヒイロの気持ちが既にルリに傾いているのを。

「だから、あいつを頼む。」

『ヒイロ…。』

「もっとも、二人の気持ちしだいだがな。」

そういって微笑むヒイロ。

カトルはヒイロにむかって微笑み返す。

しばらくして、通信を終わらせた二人だった。

〜AC196/12 オオイソシティー:海岸沿い〜

クリスマス・イヴの夕方頃、ヒイロとルリは海岸沿いを散歩していた。

「ヒイロさん、何か考え事ですか?」

「ああ、昨年の戦争を思い出していた。」

「…たしか、今日でしたね。」

「そうだ、そして日が変わる時に終結した。」

「私は、火星で木連と戦っていました。」

「そうだな。」

「あの。」

「なんだ?」

「あの時、何を思っていたのですか?」

「そうだな、”やっと全てが終わる”ってところだな。」

「”全てが終わる”ですか。」

「ああ、《オペレーション・メテオ》から始まった地球圏の混乱が終息していたからな。」

「そうですか。」

そういって、二人は立ち止まる。

ヒイロは合い変わらず難しい顔をしていた。

そんな彼を心配したルリは尋ねる。

「ヒイロさん…?」

「…俺は、こんな生活をしても良いのか、何万の人間を殺した俺が…。」

「…それは、私も同じですよ。」

「ルリ?」

「ナデシコを指揮していたのはユリカさんですが、実際攻撃をしていたのは私なんです。

正確にはオモイカネに命令を出していただけですが…。」

「だが、あの時は…」

「戦争だから…、生きるためには…、しかたがなかった。それは、ヒイロさんも同じでしょ?」

「…少し違うな、俺はあの時”死に場所”を求めていた。」

「えっ?」

「俺はあの時、人の感情なんて無かった。いや、人ですらなかったな。兵器だったんだ、俺は。」

そういって、任務の巻き添えを受けた少女と子犬、OZの策謀で殺してしまったノベンタ元帥を思い出す。

「”兵器”?」

「ああ、そして俺は何時も思っていた…命なんて安い物だ、特に俺の命は…ってな。」

「でも…。」

「…そんな俺に、人の心を教えてくれたのがリリーナなんだ。」

「リリーナさんですか…。」

その答えを聞いて、ルリは少し落ち込む。

そして、意を決してヒイロに聞く。

「リリーナさんの事…好きなんですか?」

「…どう言う意味で聞いている?」

「え〜と、それは…。」

そういわれて、ルリは苦笑いしながら冷や汗をかいている。

そんなルリを見たヒイロは海岸を見て語り出す。

「俺にはそういった恋愛感情はわからない…。もっとも、最近学校で色々言われるがな。ただ…。」

「ただ…?」

「あいつが、俺の中で大切な人物なのは確かだ。君の、テンカワ・アキトと同じようにな。」

「…そうですか。(よかった。)」

ヒイロの答えを聞いて安堵するルリ。

そして、ミナトに言われた事を思い出す。

(ルリルリ、好きイコール愛しているとは限らないものなんだよ。)

(そうですね、まだチャンスはあいりますよね。)と心の中で付けたす。

ヒイロはルリの態度が気になって尋ねた。

「どうした、ルリ?」

「えっ、なんです。」

「…さっきから、笑ったり落ち込んだり…忙しいやつだな。」

「…ハ〜、鈍感。」

「何が?」

「いいえ、別に…。」

「そうか。」

ヒイロの態度に、ため息を付くルリ。

ヒイロは、思い出したかのようにリュックから小さな箱をだしてルリに渡す。

「確かこう言うんだったな、メリークリスマス、ルリ。」

「えっ、これを私に?」

「そうだ、気にいるかどうかはわからんが?」

「…あけても良いですか?」

「ああ。」

そういってルリはヒイロからもらった箱の包み紙をはがし、ふたを開ける。

中に入っていたのは、腕時計だった。

それも、時間を表す文字の脇に小さな瑠璃色の宝石が埋め込まれている物。

「…これ、本当にもらってもよろしいのですか?」

「ああ。」

「でも、高かったんでしょ?」

「値段は、…ヒ・ミ・ツ・ダ♪」

そういって、某魔族のようなポーズをとる。

目は笑っていた。

「ふふふ、変わりましたねヒイロさん♪」

「…あの家に居候したら嫌でも変わるぞ、多分…。」

「確かに、でもナデシコはもっとすごかったですよ♪」

「…だろうな。」

ヒイロの行動がおかしかったのか笑うルリ。

ルリに言われて、頭をかきながら苦笑いして肯定するヒイロ。

端から見ればカップルに思われるであろ。

いや、既に思われているか。

「この時計、ありがたくもらいますね。」

そういって、左腕に身に付ける。

ヒイロは、そんなルリを見ながらカトルに尋ねといて正解だったなと思う。

ルリの笑顔を見て自分も微笑むヒイロだった。

〜AC196/12 オオイソシティー:ミナト家(ヒイロの部屋)〜

その夜、ヒイロは夢を見ていた。

自分のミスで、殺してしまった少女と子犬、ノベンタ元帥が夢に出てきた。

『お兄ちゃん、やっと笑った。』

『ワヲ〜〜ン』

「君は、あの時の…。」

目の前に現れた少女をみて驚くヒイロ。

『久しぶりね、お兄ちゃん。』

「ああ、久しぶりだな、怒っていないのか。」

『どうして、怒るの?』

「俺は、あの時もう少し考えていれば君を死なせずにすんだはずだ…。」

そういってヒイロは、基地の破壊をした時を思い出す。

少女はもっともな意見をヒイロに言う。

『過ぎた事を言っても始まらないよ、お兄ちゃん。』

「それは、そうだが…。」

『お兄ちゃんは、何のためにあの基地を破壊したの?』

「…それは…。」

『”任務だから”はなしよ♪』

「…コロニーのため。」

『そうでしょ♪あの当時、連合の兵隊さんの支配は酷かったんだよ。』

「だが、俺は…。」

何時までも、後悔の念を抱いているヒイロに微笑んで約束させる。

『あたしの事で、罪を感じるんだったらあたしみたいな子をこれ以上つくらないと約束して。』

「ああ、約束する。」

『やっぱり、お兄ちゃんはやさしいよ。』

『ワヲ〜〜ン』

そういって微笑む少女、尻尾を横に振りながら無邪気に吠えるメリー。

「許してくれるのか、俺を。」

『許すもなにもないよ、お・に・い・ち・ゃ・ん!!最初から、恨んでなんかいないから♪』

『ワンワン』

「ありがとう。」

そういって、ヒイロは微笑む事が出来た。

『あ、そうだお兄ちゃん。』

「なんだ?」

『もう一つだけ、約束して。』

「俺の出来る限りの事はなら。」

少女は微笑みながら言った。

「あの女の子、ルリって言ったっけ?あの、妖精さんを幸せにしてあげてね♪」

そういわれて、ヒイロは固まった。

「…できる限り、善処する。」

それしか言えないヒイロだった。

『じゃあ、あたしいくね。』

「ああ、さようなら。」

そういって、消えて行く少女と子犬。

次ぎに現れたのは初老の紳士、ノベンタ元帥だった。

『初めましてかな、若者よ。』

「おまえ…、いや、あなたはノベンタ元帥。」

『私の名前を覚えていてくれているとは、光栄の極だな。』

そういって、笑っているノベンタ元帥。

「あなたは、俺の事を恨んではいないのですか?」

『なぜ、君を恨む必要がある。』

「俺は、OZいやトレーズの策略を見ぬけなかったばかりに、あなたや和平派を殺してしまったんですよ。」

『だが、君は私の一族に謝罪をしにいったではないか。』

「それは、そうですが。」

『君は何のためにあの時戦っていたのかね?』

「…コロニーのため、平和のため。」

『そうだろう。』

そういって、ヒイロに語るノベンタ元帥。

『それにな、謝らなければいけないのは私の方なんだよ。』

「えっ、それはどう言う意味です?」

『我々がもっとしっかりしていれば、君らのような子を造らないで済んだはずだからな。』

ヒイロは黙って聞いている。

『”ヒイロ・ユイ”の暗殺もそうだ。ロームフェラやセプテムの暴走をとめられていれば起きなかったはずだからな。』

「…確かに”ヒイロ・ユイ”の暗殺はセプテムの依頼からとアディンから聞いている。」

『”サンクキングダム”の件も同じだ。戦う意思が無かったあの国に攻め込んで虐殺したのだから…。』

ノベンタ元帥はそういいながら後悔の念をいだいていた。

『だから、君を恨む事は筋違いなのだよ。』

「ノベンタ元帥…。」

『それに、君はまだ若い。まだ、やりなおせる時間はある。』

そういって、ノベンタ元帥はヒイロの罪の意識を和らげる。

『若者よ、約束してくれ。』

「なんでしょう。」

『やっと平和になった世界、守ってくれ。あの戦いで死んで行った者たちの気持ちを無駄にしないために。』

「わかりました、約束します。」

『それと…。』

「まだ、何か…。」

ノベンタ元帥は笑って言った。

『はっはっは、君を慕っている女の子、泣かすんじゃないぞ。』

「…わかりました。」

さっきの硬い表情は何所へいったのか疲れた表情するヒイロだった。

だが、心の奥底に潜む罪の意識は前に比べて少なくなっていた。

『では若者よ、幸せにな。さらばだ。』

「ありがとうございました、ノベンタ元帥。」

そして、ノベンタ元帥はヒイロの目の前から消えて行った。

しばらくして、もう一人が現れた。

『よお、久しぶりだな義理息子(息子)よ。』

「お前は、アディン。」

彼は、ヒイロが最も知っている人物、《アディン・ロウ》だった。

『…せめて、義理父(父さん)とよんでくれ。』

「お前との親子関係は契約上だ。」

『…それを言われると辛いものがあるな〜。』

そう言いながらも、アディンは笑っていた。

『…にしても、一年前以前はハードな人生送ってきたな、お前は。』

「そうだな。」

『だが、俺は嬉しいぞ。お前が立派に成長して。』

「…成長しているのか、俺は。人として失格だと思うが?」

『なぜ、そう思う?』

「…俺は結局ただの人殺しだ。」

『それは違うな。』

「えっ。」

『あの時代、生き残るためには仕方が無かった。お前が罪を被る必要はない。』

「だが、俺は…」

『だったら、なおさら生きるべきだな、お前は。』

そういってアディンは語り出す。

ヒイロは黙って聞いている。

『お前が、殺してしまった人々が望んだ事をお前がかなえてやるんだ。』

「俺がかなえる。」

『そうだ、お前ならやれるさ。』

「アディン…。」

そういってアディンは自嘲気味に笑う。

だが、アディンの言った事でヒイロは救われていた。

『だめな義理父(父さん)ですまんな。』

そういって二人は少しの間沈黙する。

『それに、お前が死んだら悲しむやつがいるぞ。』

「俺には、そんなやつは…」

と言いながらも、頭の中でルリの顔が浮かんでくる。

「…いるな、一人は。」

『その子を、必ず幸せにしてやれよ。』

「ああ。」

真面目に言うアディンに答えるヒイロ。

『さらばだ、義理息子(息子)よ。』

「さよなら、義理父(父さん)。」

そういって消えて行ったアディン。

しばらくして、ヒイロは目覚めた。

その表情は、何所かふっ切れた感じがしていた。

「俺は、この平和を守る。そして、ルリも。」

ヒイロは、新たに決意をした。

〜AC196/12 極東地区:プリベンター本部(部長室)〜

そこには、レディ・アン、サリィ・ポォ、ルクレツィア・ノインの三人がいた。

「現在、草壁派とクリムゾン・グループの地上の拠点は、ネルガルの協力でかなり激減されています。」

「そうか、報告ご苦労。」

「しかし、レディ、ネルガルは信用できるのですか?」

「…確かに、普通は信用置け無いな。」

「では、何故?」

ノインは不思議に思っていた。

完全平和主義に反する企業であるネルガルにお咎めがないどころか、協力している事に。

だが、レディは微笑みながら答えた。

「ネルガルのバックに付いている人物が信用置けるのだよ。」

「ネルガルのバックに付いている人物ですか、誰なんです?」

そう聞いたのはサリィだった。

「お前たちが良く知っている人物だよ。」

「私達が?」

そういって二人は考え込む。

そんな二人にレディはヒントを言う。

「今もっとも、テレビで話題を振りまいている人物だよ。」

そう言われて、気が付く二人。

「カトルか。」

「正解だ。」

「…確かに、あの子なら信用にたる人物ね。」

そういって、二人はカトルの事を思い出す。

「ということは、アカツキは飾りなんですか。」

「それは、さすがに酷いぞ。乗っ取り寸前までいっている噂があるがな。」

サリィの問いに諌めるレディだった。

アカツキはれっきとした会長である。

もっとも、重役それも中心人物はカトルに変わってもらいたいと思ってはいるが。

「…それにしても、ドーリアン外務次官も大変ね。」

「私は、リリーナ様はヒイロの事を思っていると思ったんだがな?」

そんな会話を聞きながら、レディはあの時の事を思い出す。

(彼は、あの子と上手くやっているのか。)などと思う。

レディは誰よりもヒイロの事を真剣に考えていた。

それは、かつて彼を死の淵に追いやった償いかどうかはわからないが。

「でも、リリーナさんは満更でも無かったような雰囲気でしたわね。」

「…確かに、カトルだったら安心できるがな。」

「ところでノイン、いつまで彼を待っているつもりなの?」

「無論、死ぬまで。そういうサリィこそ、彼作らないのか?」

「私?パスよ。」

「そうか。」

そういって、恋愛話に花をさかせる弐拾代の女性陣だった。

〜AC196/12 オオイソシティー:ミナト家(居間)〜

ヒイロが来た時には、ルリだけがいた。

「他のやつらは、………まだ寝ているのか?」

「ええ、昨日があれでしたから♪」

そういってルリは、ヒイロの食事を準備する。

「「いただきま〜す。」」

そういって、二人は食事を始める。

「ところで、ヒイロさん。」

「なんだ。」

「昨日と雰囲気変わっていません?」

「…そうだな、昨日までのもやもやとした気持ちが吹っ切れたからな。」

「そうですか。」

コーヒーを一口飲む二人。

そして、ヒイロは語りだす。

「夢を見たんだ。」

「夢ですか?」

「ああ、俺がミスを犯して殺してしまった人達のな。」

「…それで。」

「怒られたよ、何時まで過去に縛られているんだとな。」

「じゃあ、その人達はあなたの事を許してくれたんですね?」

「ああ、そして頼まれた。」

「…頼まれた?」

「”手に入れた平和を守ってくれ”とな。」

「そうですね、皆平和を求めて戦ったのですから。」

「ああ、だから俺はこの平和を守る。」

「…私にも、そのお手伝いさせて下さい。」

「ああ、よろしくなルリ。」

「はい、ヒイロさん」

二人は微笑みあった。

「だが、しばらくはこの平和を満喫するか?」

「…別の意味で戦場ですがね。」

「…そうだな、それも一番手強い相手だからな。」

「…家の中だけでも、敵は三人ですものね。」

「ああ、そうだな。いくら、慣れてきたとはいえ…。」

「…前途多難ですね。」

「…ああ。」

二人は、家の三人にからかわれる姿を想像し乾いた笑いを浮かべていた

堕天使と妖精はそれぞれ新たに決意をする。


〈後書〉

TOM-X    :「毎度どうも、ご無沙汰しております。TOM-Xです。」

ルリ      :「お久しぶりです、ホシノ・ルリです。」

ヒイロ     :「久しぶりだな、ヒイロ・ユイだ。」

TOM-X    :「それにしても、今回ヒイロの独壇場だな。」

ルリ      :「まあ、主役ですから。」

ヒイロ     :「ところで、この世界の俺は過去の事ふっ切れたんだな。」

TOM-X    :「そうなるな。」

ルリ      :「じゃ、じゃあ、彼の説得はどうするのです。」

TOM-X    :「後で考える。」

ヒイロ     :「後で考える…ホントに行き当たりバッタリだな。」

TOM-X    :「う、うっさい。」

ルリ      :「ところで、アディンさんがオリジナルの”ヒイロ・ユイ”を殺したのって、本当何ですか。」

ヒイロ     :「事実だ。もともとアディンは組織の殺し屋で、セプテムに依頼されて実行した。」

TOM-X    :「その後、組織を離脱したんだよな。」

ヒイロ     :「そうだ、そして俺と出会い、俺はあいつに育てられた。」

ルリ      :「それからはどうなったのです?」

TOM-X    :「それは、秘密だ。本編で語ると思うがな。」

ヒイロ     :「この事に関しても『EPISODE ZERO』を参考にしている。」

ルリ      :「そうですか。」

ヒイロ     :「次に、あの行為だが…絶対にツッコミが来るぞ。」

TOM-X    :「ああ、来るだろうな〜♪」

ルリ      :「あれも、声優ネタですか?」

ヒイロ     :「ああ、『○○キラー』とか『ドラまた○○』などと呼ばれる少女が活躍する某作品の

          正義の味方ヲタクの尻に引かれている某残酷な魔剣士がTV版二作目第二話の最後に言った

          台詞が元ネタだ」

ルリ      :「そうですか。その作品、たしか私達が出ている『ナデシコ』の半年前の作品ですよね。」

ヒイロ     :「ああ、確かにそうだったはずだ。ついでに『ウイング』の終わった後でもあるがな。」

TOM-X    :「にしても、どんどんお茶目になっているなお前は。」

ヒイロ     :「お前がこんな風にしているんだろうが。(怒)」

ルリ      :「ヒイロさん、抑えて、抑えて。」

TOM-X    :「このまま行けば、某残酷な魔剣士と同じ運命たどるな…。」

ルリ      :「確かに彼も…前半はクールでしたよね。」

ヒイロ     :「あの三人じゃ、嫌でも変わるぞ、今の俺みたいに。(汗)」

TOM-X    :「ははは、まあ、お前の場合知らないやつにはとことんクールに接すると思う。」

ヒイロ     :「思う…だと。つまり、そうならない可能性の方が高いな。」

ルリ      :「ヒイロさん、落ち着いて。」

ヒイロ     :「ところで、なぜこの時点で彼らをだしたんだ。」

TOM-X    :「ノベンタのジィ〜サンは兎も角、あの少女は同じタイミングで夢で出て来ているからな、原作は。」

ルリ      :「なぜ、ノベンタ元帥を出したのですか?」

TOM-X    :「ヒイロの罪の意識の中で一番でかいと思ったからな、あの少女以外で。」

ヒイロ     :「…確かに、俺は一族に謝罪しにいっているからな。」

ルリ      :「そうなんですか。」

ヒイロ     :「そういえば、あいつの事ほんの少しだけ触れていたな。」

ルリ      :「ああ、某赤いハデ好きなマザコン、ロリコンの人と設定が似ている人ですか?」

TOM-X    :「そうだな。」

ルリ      :「…ところで、私この人嫌いです。」

TOM-X    :「オス兜とメス兜のどっちだ。」

ルリ      :「もちろん、オス兜です。」

ヒイロ     :「確か、某携帯ゲームでも言っていたな。」

ルリ      :「ええ。ついでに、某作品の四コマ漫画でも取り上げられるネタですけどね。」

ヒイロ     :「で、俺は”自爆男”が通っているな。死ぬほど痛いのに…。」

TOM-X    :「そればっかりはあきらめろ、原作でした事なんだからな。」

ルリ      :「ところで、某作品の最新作ヒイロさん出ないんですよね〜。」

ヒイロ     :「PSの方で、散々暴れたからな〜。」

TOM-X    :「ああ、ウイングゼロ(カスタム)一機でたいていの面クリヤ出来るからな〜。」

ルリ      :「でも、一緒に出たかったです、声付きで。」

ヒイロ     :「だが、あれは壱拾壱歳バージョンだよな。」

ルリ      :「…迂闊でした。」

TOM-X    :「劇場版が出るのは何時の事になるやら。」

ヒイロ     :「そう言いながらも、買うんだろ?」

TOM-X    :「もちろん。DC版とWSC版以外は全部やっているからな。」

ルリ      :「何故、上記の二つはやっていないんですか?」

TOM-X    :「ああ、それはDC版は他にやりたいのが無かったから、WSC版はオリジナルでやっているからだ。」

ルリ      :「そういうことですか。」

TOM-X    :「そういうこと。最後に感想かいてくれる人ほんとにありがと。

          次回を書く原動力になっています。」

ヒイロ     :「こんな作家だから…」

ルリ      :「…見捨てても、かまいませんよ♪」

TOM-X    :「お前らなあぁぁぁ〜〜、身捨てないでください。(核爆)」

ヒイロ&ルリ :「それでは、次回をお楽しみに。」

 

 

代理人の感想

うわ、ベタベタに甘ッ! 読んでるだけで胸焼けがしそうです(爆)。

食べ物にしろSSにしろ、甘ったるいのは本気で苦手なんですよねぇ(苦笑)。

 

まぁ、メモをとるヒイロには大笑いしましたが(笑)。