北辰を取り逃がした俺を迎えてくれたのはユリカだった。


「アキト、お帰り。

 大丈夫?」


 そう言って、微笑むユリカ。

 俺は・・・


 ガバッ!!

 
 俺は自分を押さえきれず、ユリカに抱きついた。

 
 最初は驚いたユリカも今は身を任せてくれる。


 俺は怖かった、北辰が現れて、またユリカを失うのが・・・


「大丈夫だよ、私はここにいる。

 貴方の側にいるよ、だから安心して。」
 

 ・・・え?


 ガバ!!


 俺は自ら抱きついたユリカを剥がし、ユリカの肩に手を置き、面と向かい合う。


「ユリカ?今なんて・・・」


「え?私何か言った?」


 ハテナ顔のユリカ。

 さっきのは一体・・・


「い、いや、なんでも無い。

 それよりすまなかった、いきなり抱きついて。」


「ああ、いいよ,気にしないで。」


「ところでルリ達は?」


「ルリちゃん達は今医務室にだよ。」


「すまない、見てくる。」


「うん、行ってあげて。」


 俺は逃げる様にユリカから離れた。


 さっきの声は・・・まるであの時の様だった・・・

 まさかな・・・



 医務室へ向かう廊下でカイトと合流した。


「爆弾は?」


「解体した。

 ・・・すまない、アキト俺がぐずぐずしていたから・・・」


「いいんだよ、もう。

 お前はナデシコを守ったんだよ。」


「アキト・・・」


 心配そうに見つめるカイト。



 そして医務室に着き


 プシュ!!


「あ!!アキト君!!

 ちょっと来なさい!!」


 俺は入った途端にイネスさんに捕まった。


「何ですか?」


「・・・ルリちゃんの身体、見たわよ。

 何なの、あの身体は、とても11歳のオペレーターの女の子の身体じゃないわ!!

 骨折や切り傷の跡が無数にあるじゃない!!

 聞くところによれば、さっきの戦闘にはアキラちゃん、メティちゃん、ラピスちゃんまで参加したそうね

 貴方、一体あの子達に何を教えているの?何をさせようと言うの!!」
 

 イネスさんが俺に掴みかかる。


「待ってください!!」

 
 俺が返答を考えていると、奥から包帯を巻いたルリちゃんが出てきた。


「ルリちゃん!!貴方はまだ寝ていなきゃダメよ!!」


「この程度の傷で動けなくなるような柔な鍛え方はしていません。」


「ルリ、大丈夫か?」


「はい、肋骨と右腕に少しヒビが入って、内臓の一部が傷ついただけですから。」


「十分重症でしょ!!アキト君、貴方は!!」


「やめてください。

 なんでアキトさんを責めるんですか?

 私は自分で望んでこの道を選んだんですよ。」


「でも貴方はまだ子供でしょ!!」


「子供?

 戦争の最前線に出いる戦艦に乗って一緒に戦っている時点で

 私は自分が子供だとは思っていませんよ。」


「でも・・・」


 今のルリのセリフで少し弱気になるイネスさん。


「しつこいですよ。

 それにアキラ達に戦い方を教えたのは私です。

 皆,自ら望んでやっている事です。

 口を挟まないで下さい。」


「すまないな。」


 今度は奥からナオさんがシキさんに肩を借りながら出てきた。


「ナオさん、傷は良いんですか?」


「ああ、何とかな。」


「・・・ごめんなさい、ナオさん。」


 ナオさんの直ぐ側に寄り添うメティ。


「もういいんだって。

 第一俺達がもっとしっかりしていたらお前達まで戦わせる事は無かったんだ。」


「まったく。

 この子達がいなかったら、恐らく俺達は全員殺されていただろう。

 あの北辰と言う男に。

 悔しいが、俺達だけではアキトの到着までの時間稼ぎも出来なかったよ。」


「・・・」


 二人の言葉に俯いて黙ってしまうイネスさん。


「イネスさん、貴方の言った事は正しいです。

 俺も本当はこの子達を戦わせたくありません。

 でも、奴が出てきた以上、もう、そんな甘い事は言えなくなってしまいました。」


「・・・解ったわ。

 でも、ルリちゃん、もう、命に代えてもなんていわないで。」


「・・・はい、解りました。

 ご心配をお掛けしました。」


「ところでアキト、ミナトさんとレイナちゃんがあの白鳥とか言う奴に

 連れ去られてしまったんだが・・・」


「ああ、それは大丈夫だと思いますよ。」


「そうなのか?」


「おまえ、やっぱり何か知ってるだろ。」


「・・・そうですね、俺が知っている限りの木連の事はお話しましょう。」


 そして俺はナデシコクルー全員に木連の事を説明した。




 次の日、トレーニングルーム


 ルリサイド


 ザクッ!!


 私の振った刀が木にめり込む。


「まだダメですね。」

 
 グッ!!


 私は刺さった刀を抜き、もう1度構える。

 
 今私が使っているのは錆びてボロボロの刀。


 昨日の戦闘で明らかになった私の弱点。

 感情に身を任せているせいで行動を先読みされてしまう。

 このままでは北辰に勝てない。


 感情を表に出しているせいで読まれるのなら、それを沈める。


 今はその特訓をしている所です。


 この刀で木を一刀両断できて、滝の水の一滴が見えるまで。

 心を鎮め、無心になる。


 明鏡止水を。




 メティサイド


 カカカカカ!!

 私の投げた飛針が的に刺さる。


 私は昨日、ルリちゃんの苦痛の声を聞いただけで手元を狂わせてしまった。

 援護をする者としてそんな事はあってはならない事。

 そのせいでナオさんに傷を負わせてしまった。

 もっと集中しなくては。

 特に私は射撃での援護がメインだ。


 心を細くせよ、川が板に穴を開けるのではない。

 水滴のみが板に穴を穿つ。





 カイトサイド


 二人は極意を会得する事に専念している。

 俺も北辰が出てきた以上,今のままでいる訳にはいかない。


 俺は奥義が撃てない。

 それは人間としての感情が欠けているからだった。


 奥義を使うのに必要な事、

 それは『生きる意思』だ。

 俺はアキトと出会い、この3年いろいろな事を知った。

 そして俺はアキトと共に生きたいと思っている。

 だから、今なら撃てるかも知れない、奥義を。


 生と死とその狭間で更に生きるために1歩踏み出す。


 


 アキラ、ラピスサイド


 姉さん達はそれぞれの特訓で忙しい。

 ナオさんとシキさんもお互いに高めあっている。

 そして、ジュンさんやパイロットの皆も兄さんに少しでも追いつこうと

 必死に頑張っている。

 私とラピスは昨日みたいな特殊な状態の中でしか技を使えない。

 でも今は基礎を繰り返す。

 今はそれしか出来ないから、できる事をする。 
 

 

 アキトサイド


 皆必死に特訓をしている。

 俺もしっかりしなくてわ。

 
 今俺が使っているのはテンカワ流などと言っているが、

 木連式を俺がアレンジを加えただけのもので、便宜上そう言っているにすぎない。

 しかも俺はまだ木連式に口伝でのみ伝わる最終奥義を会得していない。


 その口伝だけでは俺はその最終奥義の正体をまだ掴みきれていない。

 俺は異世界黙示禄のページをめくる。




 


 
  


 

 あとがき


作:復活第1号ぉぉぉぉ!!

  テストも終わったし、FF]も終わって(テスト期間中に)これで心置きなく筆記できる

  それにしてもサイド2は正気に戻ってから読んでみるととんでもない事をかいてますねぇ

  ええと、あれは『シン』の毒気にやられて頭がグ〜ルグルの時に書いた物ですから

  あまり気にしないで下さい。

ルリ:もともとグルグルのくせに。

   ところで貴方、ギャグはTPOをわきまえて行えと言われてるでしょ!!

   何なのこれは!!

作:ギャグ?今回はギャグの要素なんて無いぞ。

  100%真面目に行ったはずだけど?

アキト:マジで言ってるのか?

作:もちろんマジだ、ギャグのつもりは無いぞ。

ルリ:やっぱりまだ壊れてるのでわ?

作:失礼な。

  さて、次はやっとブローディアに乗り換えだ。

  兵器説明が出来る!!

アキト:サイド2で見捨てられてなきゃ良いけどな・・・