あの戦闘の次の日


 昨日の戦闘が嘘のような朝。

(本当に無かったものとして欲しいです。)

 私は全身が映る鏡の前に立ち、自分の姿を確認する。


 ・・・おかしな所はありませんね。


 今日はアキトさんとデート♪

 アキトさんとは長い付き合いですけど、二人っきりでのデートはこれが二回目。

 そう、元の世界の今を合わせて。

 元の世界では戦後はユリカさんがいたし、あの事件の後もデートなんてしていない、

 当たり前だけど・・・


 と、言う訳でこれが2回目のデート♪

 ちょっと緊張しますね。


 トントン


 あ、アキトさんですね。


「どうぞ。」


 カチャ


「やあ、ルリ支度はできたかい?」


 アキトさんは白いシャツにジーパン、黒のパーカーを着ている。


 でも・・・


 ぺラ


 私はアキトさんのパーカーをめくる、


「・・・ルリ、解るだろ?」


 フェザーブラスターが隠されていた、

 そして腕にはいつもの鎖が・・・


「ええ、解っています。

 こんな時だからこそ用心しなければいけない事くらい。」


 現に私のちょっと長めのスカートの中には血桜が隠してある。

 本当に女の服は武器を隠すのには不自由しませんから。


「ルリ、お前くらいは俺が守れる、だから・・・」


「良いんです。

 解ってますから、もう私は丸腰では光の中すら歩けない事くらい。」


「ルリ・・・」


「さあ行きましょう。

 武器所持でデートなんてお母様にばれたら大変です。」


 私はアキトさんの腕を引き、王宮を出る。

 

 その頃、その他の皆さん


 サラ&メティ&ナオの場合


「・・・」(怒)


「・・・」(怒)


「あの〜二人とも、そんな顔してると美人が台無しだぞ。」


 二人はルリちゃんとアキトがデートに行く事が決まってから

 すご〜〜く機嫌が悪い。

 気晴らしに街に出てきたけど依然変わらず。

 サラちゃんはともかく、メティは機嫌を損なったままだとマズイ。

 なにせミリアにどんな報告をされるか解ったもんじゃない。

 ミリアは、メティの言う事は無条件で信じるからな・・・

 はて、どうしたものか・・・


 その時


「ナオさん!!」


「は、はひ?」


 突然サラちゃんが声を上げる。


「あそこの店で飲むわよ。」


「飲むって昼間っから?」


「何か文句でもあるの?」


「・・・無いです。」


「行くわよメティちゃん。」


「・・・」


 店に入っていく二人。


 その店は・・・

 あれ?なんか見た事あるような気がするな・・・アキト達の記憶かな?

 まいっか。

 

 カイト&シキの場合


「カイト〜後どれくらいだ?」


 俺は部屋で暗い顔をしていたカイトを連れて、

 皆のお土産を買いに来ていた。


「ウリバタケのスパナにホウメイの香辛料、それから・・・」


 カイトはあの戦闘の後、ずっと表情が暗かった。

 当たり前か、あんな事があったからな・・・

 俺、シュンさん、エリナさんはあの事をアキトに問いただしたが、

 『俺達も知らなかった、予想はつくが、まだハッキリしたことは解らないんだ。

  だから、すまないがこの事は皆には黙っていてくれ。』

 とアキトも苦しい表情をしていた。

 まあ、うだうだ考えるのは俺には合わないし、カイトの暗い気持ちを何とかしたかった、

 と言う訳で俺はカイトを部屋から連れ出したのだ。

 
 まあ、今は少しはマシになったかな。


「それから、ラピスに人形。」


「何!!人形?!

 今度は黒魔術でもやるのか?」


「アニメのフィギアセットだ。

 ところでお前、俺とラピスが繋がっている事忘れてないか?」


「もしかして・・・」


「ああ、ラピスが今のを聞いていた。

 因みにラピス、何か作り始めたぞ?」


 ・・・俺あと何時間生きてられるかな?

 

 プロス&シュン&エリナの場合



 カリカリカリ

 カタカタカタ
 

 俺達は今昨日の会議の結果等の報告、及び

 これからの計画をまとめていた。


 ふと、外を見ると、快晴の空が見える。

 昨日のあの戦闘が嘘の様だ。


「・・・良い天気だな。」


「ええ、絶好のデート日和でしょうね。」(怒)


「・・・」(汗)


「・・・」(汗)


 カリカリカリ

 カタカタカタ


 俺達は黙って作業を再開する。
 

 早く帰ってきてくれ、アキト・・・

 

 ???の場合


 俺は街の人通りの多そうな場所で足をとめる。


「ふむ、ここが良いだろう。」

 

 アキト&ルリサイド


「ん〜〜〜・・・良い天気ですね。」


 私は外に出て大きく伸びをする。


「そうだね。

 まずは何処に行こうか?」


「とりあえず街に下りてみましょう。」


「ああ、そうしよう。」

 

 再びサラ&メティ&ナオサイド


「マズイ!!」


「美味しくない!!」


「ああん?

 何か言ったか?」


「マズイって言ったのよ!!」


「そうだよ、何これ、

 香辛料で舌を刺激すれば良いってものじゃないんだよ!!

 料理の基礎からやり直した方が良いよ。」


「このクソガキィィィィ!!」


「ナオさん、やっちゃって!!」


「私が許します。

 やっちゃって良いよ、ナオさん!!」


「・・・はぁ〜、運が無かったな、店長。」


「何をごちゃごちゃと!!

 やれ、手下ども!!」


「「「「イイィィィ!!」」」」

 

 

「なあ、あの店、確か・・・」


「ええ、記憶が確かならあの店です。」


「でも・・・なんで半壊・・・というより全壊してるんだ?」


「しかもナオさんがその中で数人の店員をど突き回しているのが気になります。」


「ああ、更に言うとメティが『当てそうで当てないダーツ』を黒鍵でやってるのは

 すごぉぉぉぉく問題なような気がする。」


「サラさんもそれを煽ってるみたいですし・・・

 二人とも何を飲んでるんでしょう?」


「さあ?」


(あ、おにひちゃん、ルリひゃん。)


 そんな時メティから通信が入る。


 で、なんで言葉が変なんだ?


(何をしてるんですか?メティ。)


(へ?りょうりをぐろうふするひとをとっちめてるの。)


(・・・ところで何飲んでるんだ?)


(ふぇ?おれんじじゅーすだよ。)


 ・・・オレンジジュースで酔っているって事は、

 あの有名なレディーキラーを飲んでるのね・・・


(メティ、悪い人をとっちめるのはナオさんに任せなさい。)


(うんわかった、そうする〜)


「さて、どうするか・・・」


「後でエリナさん・・・じゃもっとまずいですから、

 プロスさんに来てもらいましょう。」  

 
「そうだな。」


 俺達はとりあえずプロスさんに連絡してその場を後にした。

 

 その頃、カイト&シキサイド


 とりあえず今のところラピスちゃんからの報復も無く、

 俺とカイトは平和に喫茶店でお茶をしていたりする。


「で、お前はどう思うんだ、俺のことを。」


 とカイトが切り出した。


「昨日のアレでか?」


「そうだ。」


「別に、お前はお前だろ。

 北斗や北辰とどんな関係であったとしても、

 お前がお前である事に変わりは無い。」


 まあ、やっぱりと言うか、その事を悩んでいたんだな。


「そうか・・・

 アキトとルリにも同じ事を言われたよ。」


「だろうな。

 でもやっぱり心配か?」


「ああ、アキトが世界で最も憎んでいる存在と俺は・・・

 俺はアキトに付いて行っても良いんだろうか?」


「アキトが良いって言ってんだろ?

 ならそれで良いじゃないか。」


「でも・・・」


「なんだ、カイトお前アキト達と繋がってるんだろ?

 だったら本心も解るんじゃないのか?」


「・・・昨日からリンクは繋げていない。

 俺は・・・今までアキトに拒絶されるなんて事考えてもいなかった。

 だから、もし、アキトが・・・」


 拒絶されるのが怖いのか。


「おい、オモイカネ。」


 俺はおもむろにコミニュケを開く。


 ピッ!!


『何ですか?』


「非常回線でアキトに繋いでくれ。」


「ちょっ、シキ!!」


『了解』


 そして直ぐに


 ピッ!!


『なんだシキ、何かあったのか!!』


「ああ、緊急でお前にハッキリさせたい事がある。」


「おい、シキ・・・」


 俺は止めるカイトを制してアキトに問いただす。


「お前、カイトの事好きか?」


『は?』


「良いから答えろ!!」


『ああ、勿論だが?』


 戸惑いながらも答えるアキト。


「ではカイトの正体が何であってもカイトを捨てたりしないな?」


『当たり前だ、カイトはカイトだ。

 大体捨てるって何だよ?カイトは俺の『物』じゃないぞ!!

 カイトは俺達の大切な家族だ。』


 今度ははっきりと躊躇無く答える。


「そうか・・・すまなかったな、デート中に。

 それだけ聞きたかったんだ。」


 ピッ!!


「だそうだ。」


 俺はカイトの方に向き直る。


「・・・やっぱりお前はバカだよ。」


 俯きながら言うカイト。


「お褒めに預かり光栄です。」


「・・・シキ。」


「ん?」


「ありがとう。」


「ああ。

 さて、目立っちまったし、そろそろ出るか。」


「そうだな。」


 俺達はその店を後にする。


 それにしても家族か・・・良い響きだな。

 

 

「なんだったんだ?さっきの通信。」


「・・・私達だけではカイトを支えられなかったのでしょうか?」


「ん?なんだいルリ。」


「いえ、早く続きに行きましょう。」


「そうだな。」


 ピキィィィィン!!


「・・・なあ、ルリ、ちょっと遠回りでも良いか?」


「・・・ええ、私もその方が良いと思います。」


 俺達は危険を本能的に察知し、裏道を戻る。



 その頃メインストリートでは、長身の男が宗教活動をしている所を補導されていた。



 
 そして私達はあの時の草原に辿り着く。


 サラサラサラ・・・・ 


 風が吹き、草が流れる様になびく。


「変わりませんね、ここは・・・

 あ、当たり前か。」


 私は自分の言ったことに苦笑する。

 
「ああ、ここは変わらない。

 俺達が歪めた歴史と違って。」


 ここに来て真剣な顔をするアキトさん。


「アキトさん・・・」


「なあルリ、俺は本当に正しい事をしているんだろうか?

 自分の都合で歴史を動かして、本来は行われない戦闘が起こり、

 本来は行われない取引があり、そのせいで苦しんだ人、死んだ人がいる。

 俺はただ自己満足で歴史を歪めているだけではないだろうか・・・」


「アキトさん、それは違うと思います。

 貴方は言ったじゃありませんか、『感情に従い行動する事は人として正しい』と

 だから、私達がしている事は人として正しい行動なんですよ。」


「・・・そうだったな。

 ルリ、すまないな、とんでもない事に捲きこんでしまって。」


「良いんですよ。

 私も好きでやっている事ですし。

 それに『家族にそんな気遣いは必要ない』、これも貴方が言ったことですよ?

 それとも私はもう貴方の家族では無いのですか?」


「いや、お前は俺の大切な家族の一人だよ。

 これからも頼むぞ、ルリ。」


「ええ、アキト。」


 サラサラサラ・・・


「・・・早く戦争を終わらせて、また屋台を引きましょうね。」


「ああ、今度はラーメンも商売のやり方も完璧だから、

 直ぐに繁盛するよ。」


「今度も私がチャルメラを吹きながら、ユリカさんとアキラで呼びこみをして、

 アキトさんと今度はカイトも一緒にラーメンを作って、

 ラピスと私が接客をするって言うのはどうですか?」


「はははは、前もそうだったけど、今度はカイトとラピスがいるからな、

 余計にお前達に目当ての客が増えるな。」


「客引きはそれで良いんですよ、私達が目当てでもラーメンを食べてくれたら、

 アキトさんの腕も解ってもらえますから。」


「それじゃあ、ルリ、ユリカ、アキラ、カイト、ラピスの魅力を凌駕する

 ラーメンをまた開発しなくちゃならないな。」


「私達の魅力がラーメンに負けるんですか?

 まあ、アキトさんの料理なら仕方ないでしょうけど、複雑ですね。」


「それで儲かったら店を構えるんだ、

 一般の食堂みたいなのが良いな、その方が沢山の人にいろんな料理を

 楽しんで貰えるし、俺もいろんな料理を作っていたい。

 それで家族皆で笑って暮らすんだ、何時までも・・・」


 サラサラサラ・・・


「・・・できるだろうか?」


「できますよ。

 私達がいるじゃないですか。

 力を合わせてどんな困難だって乗り越えてきた家族が。」


「ルリ・・・」


 サラサラサラサラ・・・

 

 

「さて、そろそろ行こうか。

 夢を語ってばかりいないで、現実の問題を片付けないと。」



「ええ、そうですね。

 まずはそれからです。」


 私達は来た道を引き返す。

 ピースランドの王宮へ


 仲間の待つナデシコの元へ


 

 そしてピースランド出発の時


「テンカワ殿、ルリを頼みましたよ。」


「婿殿、くれぐれもお気をつけて、

 ルリ、必ず帰ってきてね。」


「はい、お母様、お父様、行って参ります。」


「ルリを必ずこのピースランドに連れて帰る事を約束します。」


 ゴォォォォォ


 バサッ!!バサッ!!


 そして、私達は一路ナデシコへと帰艦する。


 勿論、私はアキトさんの『ファルコン』に乗って。


「そうだ、アキトさん。

 私はこれで許してあげますけど、他の皆さんは

 そうはいきませんから、がんばって下さいね。」


「え?何を?」


「とにかく、気をしっかり持っててください。」


「ああ、解った。」



 無事ナデシコに到着し


 ガシッ!!ガシッ!!<エリナとサラに両脇を固められる

 ジャララララ!!バシッ!!<メティに鎖で捕らえられる
  

「お帰りなさい、アキト(さん)(君)(お兄ちゃん)。」


 パーティーの事も聞いている、複数の夜叉の囲まれる。


「え?え?」<自分のした事に自覚が無いのと忘れているのと・・・



 この日、ナデシコで何が行われたかは、

 オモイカネの記録にも無い為、一切不明である。

 

 

 あとがき


作:ああああああ、一対多数の機動戦が上手く表現できないぃぃぃぃぃ!!

ルリ:まったく、『その5』は今までの中でも一位二位を争うくらいの駄文でしたね。

作:これからも精進していきますので、なにとぞご容赦のほどをぉぉぉ。

アキト:まあ、このバカも反省していますので、許してやってください。

作:さて、気を取りなおして捕捉説明だ。

  今回登場しました『ファルコン』、『ブラックジャック』『レックス』についてです。

  あれらはこれから敵基地に単独潜入、破壊活動をしてもらう彼等に特別に

  用意した物です。

ルリ:最初は某『風の・・・』に出てきた『メ―ヴェ』みたいな物だったんですよね。

アキト:それがなんでペガサスに?

作:それは前々から外見はもっと別の物にしようと考えていたのですが、

  その時たまたま、古本屋でB’Xをみたからです。

ルリ:ところで、やけにサブロウタが強くなっていますが?

作:ああ、大丈夫、彼には強くなった三乗分位、苦労してもらいますから。

アキト:哀れな・・・

作:はい、次回は『一番星』の話になります。

ルリ:一応ここでもなくてはならない変化があるんですけど・・・

アキト:無理にする必要は無いと思うが・・・

作:では次回『一番星×仮装?×大いなる聖戦」(仮)にレェェェッツ!!ゲキガイン!!